JP2013070858A - 衛生薄葉紙及び衛生薄葉紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キッチンペーパー10は、第1のシート材11と、第1のシート材11に積層される第2のシート材12と、を備え、第1シート材11の内面と第2のシート材12の内面との少なくとも一方には、高吸水性樹脂を媒体液に分散させて成る樹脂分散液13が塗布されており、媒体液は、水分、ポリオール、及び高吸水性樹脂の水分の吸収を妨げる吸水阻止剤を含有する粘性液体である。
【選択図】図2
Description
しかしながら、特許文献1の技術は、高吸水性層と低吸水性層との吸水速度差により、吸水を効率よく行うことを可能とした技術であるため、衛生薄葉紙の本質的な吸水量を高めるものではない。
高吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等を顆粒状にしたものなどが用いられ、紙おむつ等においては、シート間に分散するように当該高吸水性樹脂を挟んだ状態でシートの端部同士がヒートシールされている。
また、シート材に、接着剤などを用いて高吸水性樹脂を固着させた場合には、高吸水性樹脂を接着剤固形分が固めてしまい、高吸水性樹脂の吸水を阻害するため、高吸水性樹脂の吸水性を十分に活かせない。
このように、粉状あるいは顆粒状の高吸水性樹脂を、衛生薄葉紙を構成するシート材に均等となるように分散し固着させ、且つ衛生薄葉紙の使用時に高吸水性樹脂の持つ吸水性が十分に発現されることを可能とした衛生薄葉紙は未だ開発されていない。
請求項1記載の発明は、衛生薄葉紙において、
第1のシート材と、
前記第1のシート材に積層される第2のシート材と、を備え、
前記第1シート材の内面と前記第2のシート材の内面との少なくとも一方には、高吸水性樹脂を媒体液に分散させて成る樹脂分散液が塗布されており、
前記媒体液は、水分、ポリオール、及び前記高吸水性樹脂の水分の吸収を妨げる吸水阻止剤を含有する粘性液体であることを特徴とする。
前記吸水阻止剤は、塩化ナトリウム又は塩化カリウムであることを特徴とする。
前記第1シート材及び前記第2のシート材には、エンボス加工が施されていることを特徴とする。
請求項1に記載の衛生薄葉紙を製造するための衛生薄葉紙の製造方法であって、
水分、ポリオール、及び高吸水性樹脂の水分の吸収を妨げる吸水阻止剤を含有する媒体液に、高吸水性樹脂を分散させて、樹脂分散液を作成する樹脂分散液作成工程と、
前記樹脂分散液作成工程で作成した前記樹脂分散液を、第1のシート材及び/又は第2のシート材の一面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により前記樹脂分散液の塗布された前記第1のシート材と前記第2のシート材とを、前記樹脂分散液の塗布面を内面にして貼り合わせる貼合工程と、
を有することを特徴とする。
積層されたシート材が水分を吸収すると、シート材表面から内部へ水分が吸収され、シート材内部に塗布された媒体液内の水分量が増加し、分散された高吸水性樹脂周囲の塩分濃度が低下して高吸水性樹脂の浸透圧が上昇して高吸水性樹脂の持つ吸水性が発現するため、衛生薄葉紙において、高い吸水性を実現することができる。
加えて、上記の樹脂分散液は水分、ポリオールを主成分とし塩分(吸水阻止剤)によっても粘性や保湿性は変わらないため、衛生薄葉紙の手触りを柔らかくし、拭き心地の良いものとすることができる。
図1に示すように、本実施形態におけるキッチンペーパー10は、2枚のシート材(第1のシート材,第2のシート材)11,12が積層一体化されたものである。
2枚のシート材11,12の内面の少なくとも一方には、樹脂分散液13(後述)が塗布されているため、キッチンペーパー10は、図2に示すように、断面視において2枚のシート材11,12の間に樹脂分散液13が介在する構成となっている。
NBKPの原料である針葉樹は、広葉樹と比較して繊維長が2倍以上長い。そのため、NBKPを配合することによって、繊維間の結合が強くなり、紙基材の強度(紙力)を上げることができる。
LBKPの原料である広葉樹は、繊維長が短い。そのため、LBKPを配合することによって、紙基材の表面は滑らかになり、地合を良くすることができる。
したがって、NBKPとLBKPとの配合割合は、キッチンペーパー10が備えるべき特性に応じて、適宜設定すると好適である。すなわち、紙力を向上させたい場合には、NBKPの配合割合を高め、滑らかさを向上させたい場合には、LBKPの配合割合を高めると効果的である。
具体的に、媒体液は、水、グリセリンに代表される常温(25℃)で液体の液体油性成分等の原料を主成分とし、ここに塩化ナトリウム等の電離しやすい1価の金属塩が添加されて構成されている。なお、このほかにも、保湿成分などの食材が触れても安全な成分を適宜配合することができる。なお、媒体液に含まれる水分は、約10重量%程度である。
この媒体液は、その粘性により、当該媒体液にSAPが添加された際にSAPを安定して分散させる。また、この媒体液を含んだ樹脂分散液13をシート材11、12に塗布することで、キッチンペーパー10は、柔らかくしなやかになる。
即ち、塩化ナトリウムを媒体液中で飽和状態とすることで、媒体液にSAPを添加した際に、その時点でSAPが媒体液中の水分により膨潤するのを防止することができる。塩化ナトリウムが足りないと、媒体液にSAPを添加した際に、SAPが媒体液中の水分を吸収しすぎるため、媒体液の粘度が上昇してしまう。
なお、吸水阻止剤としては、塩化ナトリウムは、水への溶解度が小さく、温度による影響が小さい点で最も好ましく使用できるが、塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを使用することとしても良い。
なお、SAP粉体の平均粒径は、動的光散乱法により、溶媒中で測定され(光源:He-Neレーザー、測定温度:25℃、溶媒:シクロヘキサン)、重量平均により求めた。
また、SAPの媒体液中の含有量は、0.01〜30重量%であることが好ましい。SAPの含有量が0.01重量%未満であると効果が得られず、一方、30重量%より大きいと沈殿や二次凝集が多くなり配管内の汚れにより塗布が安定しないためである。
水溶液重合方法は、モノマー水溶液を重合させ、ゲル化させたものを乾燥させた後、粉砕する方法である。この水溶液重合方法の特徴は、原料のモノマーから重合するので、重合度の調整が可能であるため、重合を伸ばすことで、分子量を大きくでき、吸水力の高いポリマーを合成できることにある。
逆相懸濁重合方法は、有機溶媒中にモノマー水滴を分散させ、撹拌することで、パール状のポリマーを製造する方法である。この逆相懸濁重合方法の特徴は、第1に、粒子同士が繋がっている形状をとるため、粒子表面積が大きく吸水スピードが速いこと、第2に、一定の撹拌速度で製造するため、粒度分布が安定しており、吸水量や吸水速度など品質精度の高いポリマーが製造できることにある。
なお、SAPの製造方法としては上記した2つの方法が挙げられるが、より吸水力を高めるためには、水溶液重合方法が好ましい。
塗布率が35%より大きいと、紙力強度が著しく減衰し、ロール加工し難くなると推測される。
また、塗布率を4.5%以上とした根拠は以下の通りである。SAPの媒体液中の含有量を30重量%に設定し、必要なSAPの量を0.3gとした場合、媒体液及びSAPの合計量は1.0gとなる。ここで、シート材の米坪を米坪22g/m2とすると、1.0/22=4.5となる。
キッチンペーパー10は、図3に示すように、樹脂分散液作成工程(ステップS1)と、塗布工程(ステップS2)と、貼合工程(ステップS3)とを有する製造方法にて製造される。
まず、上述した顆粒状のSAPと、媒体液とを作成する。次いで、所定量のSAPを、媒体液に添加して均一に分散させることで、樹脂分散液13を作成する。
これにより、樹脂分散液13の中に分散した顆粒状のSAPが、シート材11及び/又はシート材12の一面に均一に分散して配されることとなる。
これにより、キッチンペーパー10が製造される。
本実施形態のキッチンペーパー10においては、上記した組成の媒体液にSAPを分散させた樹脂分散液13を用いることで、シート材11,12に、SAPを、膨潤させることなしに分散するように固着させている。
そして、このキッチンペーパー10では、水分の多い食材の水切りに用いられた場合や台所周りの拭き取りに用いられた場合に、シート材11,12を透過した水分が、樹脂分散液13中に分散されたSAPにより吸収保持される。
SAPは、自重の十倍以上の吸水力があり、圧力をかけても離水しにくいという特徴があるため、キッチンペーパー10の吸水力は、SAPを備えないものと比較して格段に向上する。
また、SAPは水分を吸収することで膨潤するため、水分の裏抜けが発生しにくく、キッチンペーパー10が破れにくい。
また、キッチンペーパー10は、上記した組成の媒体液が用いられることで、手触りが柔らかく、拭き心地の良いものとなっている。
上記した組成の媒体液にSAPを分散させた樹脂分散液13を用いることで、キッチンペーパー10を構成するシート材11,12に、SAPを、膨潤させることなしに分散するように固着させることができる。
また、キッチンペーパー10は、水分を吸収すると、SAPの持つ吸水性が発現するため、高い吸水性のキッチンペーパーを実現することができる。これにより、1回あたりのキッチンペーパーの使用量を減らすことが可能である。
また、上記した樹脂分散液13を用いることで、キッチンペーパー10の手触りを柔らかくし、拭き心地の良いものとすることができる。
このため、シート材11,12に水分や油分を吸収・保持させる凹凸空間が形成されるため、水分を吸収する際に、吸収量を大きくすることができる。
このため、顆粒状のSAPを、膨潤させることなしに、シート材11に分散するように塗布(固着)させることができ、SAPの高い吸水性を備えたキッチンペーパー10を製造することができる。
次に、上記に説明した本発明に係るキッチンペーパーの実施例を比較例とともに説明する。
また、比較例1として、樹脂分散液の塗布されていないキッチンペーパーを作成し、吸水量を測定した。
また、樹脂分散液は、水分含有率10%の100gの媒体液(有効成分90%、粘度86.5mPa・s)に、塩化ナトリウム3.6gを添加し、更に粒径50〜300μmに調整したSAPを5.5g加えたものである。
また、表1に示す吸水量は、実施例1〜3及び比較例1のキッチンペーパーに対して各3回ずつ上記測定を行い、その平均値をとったものである。
実施例1及び比較例1より、SAP含有量が約0.3g/m2の樹脂分散液を塗布した場合、吸収量が約170g/m2増量したことがわかる。
また、実施例2及び比較例1より、SAP含有量が約0.4g/m2の樹脂分散液を塗布した場合、吸収量が約190g/m2増量したことがわかる。
また、実施例3及び比較例1より、SAP含有量が約0.6g/m2の樹脂分散液を塗布した場合、吸収量が約230g/m2増量したことがわかる。
11 シート材(第1のシート材)
12 シート材(第2のシート材)
13 樹脂分散液
Claims (4)
- 第1のシート材と、
前記第1のシート材に積層される第2のシート材と、を備え、
前記第1シート材の内面と前記第2のシート材の内面との少なくとも一方には、高吸水性樹脂を媒体液に分散させて成る樹脂分散液が塗布されており、
前記媒体液は、水分、ポリオール、及び前記高吸水性樹脂の水分の吸収を妨げる吸水阻止剤を含有する粘性液体であることを特徴とする衛生薄葉紙。 - 前記吸水阻止剤は、塩化ナトリウム又は塩化カリウムであることを特徴とする請求項1に記載の衛生薄葉紙。
- 前記第1シート材及び前記第2のシート材には、エンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生薄葉紙。
- 請求項1に記載の衛生薄葉紙を製造するための衛生薄葉紙の製造方法であって、
水分、ポリオール、及び高吸水性樹脂の水分の吸収を妨げる吸水阻止剤を含有する媒体液に、高吸水性樹脂を分散させて、樹脂分散液を作成する樹脂分散液作成工程と、
前記樹脂分散液作成工程で作成した前記樹脂分散液を、第1のシート材及び/又は第2のシート材の一面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により前記樹脂分散液の塗布された前記第1のシート材と前記第2のシート材とを、前記樹脂分散液の塗布面を内面にして貼り合わせる貼合工程と、
を有することを特徴とする衛生薄葉紙の製造方法。
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JP2011212568A JP5930639B2 (ja) | 2011-09-28 | 2011-09-28 | 衛生薄葉紙及び衛生薄葉紙の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH03258839A (ja) * | 1990-03-08 | 1991-11-19 | Honshu Paper Co Ltd | 吸水性複合体の製造法 |
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2011
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