JP2013070086A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率・長寿命の白色発光の有機電界発光素子を提供する。特に白色発光の有機
電界発光素子を提供する。
【解決手段】リン光赤色発光層12と、リン光緑色発光層11と、蛍光青色発光層22と
、蛍光緑色発光層21とを備える。リン光赤色発光層12とリン光緑色発光層11とによ
りリン光ユニット1が形成される。蛍光青色発光層22と蛍光緑色発光層21とにより蛍
光ユニット2が形成される。リン光ユニット1と蛍光ユニット2とは中間層3を介して接
続されている。好ましくは、リン光ユニット1が蛍光ユニット2よりも陰極4a側に配置
されている。好ましくは、発光色が、W色、WW色、L色のいずれかである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電界発光素子に関するものであり、より詳しくは、白色発光に適した有
機電界発光素子に関するものである。
電極と電極との間に、発光層を含む有機材料層を単層又は多層に積層して形成した有機
電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)が知られている。この有機電界発光
素子は、一方の電極を陽極とすると共に他方の電極を陰極として、両電極間に電圧を印加
することによって、陰極側から有機材料層内に注入・輸送された電子が陽極側から注入・
輸送された正孔(ホール)と再結合して発光が得られるものである。有機電界発光素子は
、面発光が得られる薄型の発光素子であり、各種用途の光源や自発光の薄型表示装置の表
示単位を構成するものとして、近年注目されている。
有機電界発光素子については、所望の発光色を得ることが試みられており、特に発光色
を合成させて白色発光の有機電界発光素子を得る技術が提案されている。
特許文献1には、赤色を発光するリン光材料と、緑色を発光するリン光材料と、青色を
発光する蛍光材料とを含んだ白色有機電界発光素子が開示されている。しかし、この有機
電界発光素子は、青色を発光する蛍光材料の層が律則となって素子全体の発光の色度変化
が生じるものであり、この蛍光青色発光材料の層は色度が変化しやすいので、色度変化量
による寿命で見ると、有機電界発光素子の寿命が短くなるという問題があった。また、白
色発光といっても、具体的な色味としては、D、N、W、WW、Lといった種々のものが
あり、これらの個々の白色の色味において、JIS規格の範囲内での色度を変化させずに
発光することが難しかった。
特開2007−173827号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、発光効率が高く、また、寿命が長く、
さらに発光バランスのよい有機電界発光素子、とりわけ高効率・長寿命の白色発光の有機
電界発光素子を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る有機電界発光素子は、リン光赤色発光層12と、リン光緑色発
光層11と、蛍光青色発光層22と、蛍光緑色発光層21とを備えてなることを特徴とす
るものである。
請求項2に係る有機電界発光素子は、上記構成の有機電界発光素子において、リン光赤
色発光層12とリン光緑色発光層11とを含むリン光ユニット1と、蛍光青色発光層22
と蛍光緑色発光層21とを含む蛍光ユニット2とを備え、リン光ユニット1と蛍光ユニッ
ト2とが中間層3を介して接続されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る有機電界発光素子は、上記構成の有機電界発光素子において、リン光赤
色発光層12とリン光緑色発光層11とを含むリン光ユニット1と、蛍光青色発光層22
と蛍光緑色発光層21とを含む蛍光ユニット2とを備え、リン光ユニット1が蛍光ユニッ
ト2よりも陰極4a側に配置されていることを特徴とするものである。
請求項4に係る有機電界発光素子は、上記構成の有機電界発光素子において、リン光赤
色発光層12とリン光緑色発光層11とを含むリン光ユニット1と、蛍光青色発光層22
と蛍光緑色発光層21とを含む蛍光ユニット2とを備え、リン光ユニット1における、赤
色発光波長(λRT)の最大強度[I(λRT)]と緑色発光波長(λGT)の最大強度
[I(λGT)]との比[I(λGT)/I(λRT)]が、I(λGT)/I(λRT
)<0.65を満たし、蛍光ユニット2における、青色発光波長(λBS)の最大強度[
I(λBS)]と緑色発光波長(λGS)の最大強度[I(λGS)]との比[I(λG
S)/I(λBS)]が、I(λGS)/I(λBS)>0.3を満たすことを特徴とす
るものである。
請求項5に係る有機電界発光素子は、上記構成の有機電界発光素子において、リン光赤
色発光層12とリン光緑色発光層11とを含むリン光ユニット1と、蛍光青色発光層22
と蛍光緑色発光層21とを含む蛍光ユニット2とを備え、リン光ユニット1における緑色
発光波長(λGT)と、蛍光ユニット2における緑色発光波長(λGS)との波長差が、
絶対値で10nm以下であることを特徴とするものである。
請求項6に係る有機電界発光素子は、上記構成の有機電界発光素子において、蛍光青色
発光層22の発光ドーパントのイオン化ポテンシャル(IpB)は蛍光緑色発光層21の
発光ドーパントのイオン化ポテンシャル(IpG)よりも大きく、蛍光青色発光層22の
発光ドーパントの電子親和力(EaB)は蛍光緑色発光層21の発光ドーパントの電子親
和力(EaG)よりも大きいことを特徴とするものである。
請求項7に係る有機電界発光素子は、上記構成の有機電界発光素子において、発光色が
、W色、WW色、L色のいずれかであることを特徴とするものである。
請求項8に係る有機電界発光素子は、上記構成の有機電界発光素子において、赤色波長
領域での最大強度(IR)と、緑色波長領域での最大強度(IG)と、青色波長領域での
最大強度(IB)とが、この順で弱くなる(IR>IG>IB)ことを特徴とするもので
ある。
請求項1の発明によれば、赤色と緑色とを呈するリン光の発光層と、青色と緑色とを呈
する蛍光の発光層とを備えていることにより、特に緑色発光をリン光と蛍光とにより生成
して発光バランスを良好にし、電気エネルギーから光への変換効率を向上することができ
、また、長期に発光させても輝度や色度の変化を抑制することができるので、発光効率が
高く、寿命の長い有機電界発光素子を得ることができるものである。
請求項2の発明によれば、リン光ユニットと発光ユニットとが中間層を介して接続され
ていることにより、二段マルチユニットで素子を構成することができるので、さらに高効
率・長寿命の有機電界発光素子を得ることができるものである。
請求項3の発明によれば、リン光ユニットを陰極側に配置することにより、電子をリン
光ユニットに、正孔を蛍光ユニットに、それぞれ先に注入することができるので、発光効
率をさらに高くすることができるものである。
請求項4の発明によれば、リン光ユニットにおける緑色と赤色、蛍光ユニットにおける
青色と緑色、の各色の相対強度が上記数値範囲を満たすことにより、各ユニットの発光の
バランスを良好にすることができ、発光バランスが優れ、色度変化の少ない有機電界発光
素子を得ることができるものである。
請求項5の発明によれば、リン光ユニットにおける緑色の波長と蛍光ユニットにおける
緑色の波長とが近くなることにより、発光効率を高く、かつ寿命を長くすることができ、
さらに高効率・長寿命の有機電界発光素子を得ることができるものである。
請求項6の発明によれば、蛍光青色発光層の発光ドーパントが蛍光緑色発光層の発光ド
ーパントよりもイオン化ポテンシャルと電子親和力の両方においてエネルギーレベルが高
くなることにより、青色と緑色との適切な発光バランスを得ることができ、また、発光効
率を高く、かつ寿命を長くすることができるので、さらに高効率・長寿命の有機電界発光
素子を得ることができるものである。
請求項7の発明によれば、発光色が、W色(白色)、WW色(温白色)、L色(電球色
)のいずれかであることにより、発光寿命を長くすることができ、さらに長寿命の有機電
界発光素子を得ることができるものである。
請求項8の発明によれば、発光強度が、赤、青、緑の順になることにより、発光バラン
スを良好にすることができ、さらに発光バランスの優れた高効率・長寿命の有機電界発光
素子を得ることができるものである。
本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例を示す概略断面図である。 実施例1〜5の発光スペクトルを示すグラフである。 比較例1〜5の発光スペクトルを示すグラフである。 実施例6〜10の発光スペクトルを示すグラフである。 (a)及び(b)は、本発明を説明する評価素子の発光スペクトルを示すグラフである。 (a)は実施例1〜5の、(b)は実施例11〜15のエネルギーレベルを説明するポテンシャル図である。 rubreneの発光スペクトルを示すグラフである。
図1に、本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例を示す。この有機電界発光素子
は、ガラス基板などの基板5の表面に、一対の電極4,4に挟まれて各層が積層されて構
成されている。そして、有機電界発光素子は、リン光赤色発光層12と、リン光緑色発光
層11と、蛍光青色発光層22と、蛍光緑色発光層21とを備えている。したがって、発
光色は、赤色と緑色とを呈するリン光と、青色と緑色とを呈する蛍光とによって形成され
る。このように、リン光と蛍光とを用いて発光し、特に緑色発光をリン光と蛍光との二種
類の発光により生成することにより、発光の際の色度・輝度が調整されて発光バランスが
良好になる。そして、電気エネルギーから光への変換効率を向上することができ、また、
長期に発光させても輝度や色度の変化を抑制することができる。すなわち、リン光緑色と
蛍光緑色との二つの緑色発光層の積層により緑色発光の輝度寿命が延びるため、結果とし
て色度変化が小さくなり寿命を長期化することができるのである。
基板5は、有機電界発光素子を支持するものであり、ガラス基板などの材料で形成され
る。発光した光を基板5側から取り出すためには、基板5は透明基板であることが好まし
い。
電極4は、導電性の金属等の材料で形成されるものであり、一方が陰極4aとなり、他
方が陽極4bとなる。図示の形態では、陽極4bが基板5に接する層として形成されてい
る。発光した光を外部に取り出すために、電極4の少なくとも一方は透明電極として形成
されていることが好ましいく、図示の形態では、陽極4bが透明電極として形成され、少
なくとも基板5側から光を取り出すようになっている。なお、陰極4aを透明電極にして
、陰極4a側から光を取り出したり、電極4,4の両側から光を取り出したりしてもよい
リン光赤色発光層12とリン光緑色発光層11とは、互いに接触した層として形成され
ている。図示の形態では、リン光赤色発光層12が陽極4b側に、リン光緑色発光層11
が陰極4a側に配置されている。そして、この二つのリン光の発光層によりリン光ユニッ
ト1が構成されている。
リン光の発光層(リン光赤色発光層12及びリン光緑色発光層11)は、発光層のホス
ト材料にリン光発光ドーパントを適宜の濃度でドープして形成されるものである。その際
、発光ドーパントとして、赤発光ドーパントを用いればリン光赤色発光層12が得られ、
緑発光ドーパントを用いればリン光緑色発光層11が得られる。
蛍光青色発光層22と蛍光緑色発光層21とは、互いに接触した層として形成されてい
る。図示の形態では、蛍光青色発光層22が陽極4b側に、蛍光緑色発光層21が陰極4
a側に配置されている。そして、この二つの蛍光の発光層により蛍光ユニット2が構成さ
れている。
蛍光の発光層(蛍光青色発光層22及び蛍光緑色発光層21)は、発光層のホスト材料
に蛍光発光ドーパントを適宜の濃度でドープして形成されるものである。その際、発光ド
ーパントとして、青発光ドーパントを用いれば蛍光青色発光層22が得られ、緑発光ドー
パントを用いれば蛍光緑色発光層21が得られる。
リン光ユニット1と蛍光ユニット2との間には、中間層3が形成されている。中間層3
は、金属化合物や、金属化合物と有機物の混合物などの導電性材料などで形成されるもの
であり、発光ユニット間の電子及び正孔の移動をスムーズにするものである。このように
、リン光ユニット1と蛍光ユニット2とは、中間層3を介して電気的に直列に接続されて
いる。すなわち、電極4,4間に、並列ではなく直列に、リン光ユニット1、中間層3、
蛍光ユニット2が配置されている。このような素子構造は、二段マルチユニットと呼ばれ
る。それにより、それぞれの発光層に偏りなく電子及び正孔が流れるため、バランスのよ
い発光が得られ、また、高効率・長寿命となる。また、二段マルチユニットで構成すれば
、積層が容易になり生産性を向上することができる。
中間層3は、単層であっても複数層からなるものであってもよい。単層であれば、素子
構成が簡単になり製造が容易になる。一方、複数層にすれば、それぞれの発光ユニットへ
の電子輸送及び正孔輸送に適する層材料を採用することができ、さらなる効率の向上、寿
命の長期化を図ることができる。
リン光ユニット1と蛍光ユニット2の配置としては、リン光ユニット1が陰極4a側に
、蛍光ユニット2が陽極4b側に配置されている。つまり、電子をリン光ユニット1に、
正孔を蛍光ユニット2に、それぞれ先に注入することになる。このように素子を構成する
ことにより、発光効率がより高くなる。リン光ユニット1を陽極4b側に、蛍光ユニット
2を陰極4a側に配置した場合、寿命を長期化することはできるが、発光効率が低下する
のであまり好ましくない。
有機電界発光素子は、例えば、分光放射輝度計などの光学機器を用いることにより、可
視光領域(波長:400〜800nm程度)の発光スペクトルが観測される(図2の発光スペクト
ルなどを参照)。この発光スペクトルは、各波長における発光の強度を相対的に示すもの
である。そして、この可視光領域のうち、青色波長領域(波長:450〜490nm程度)
の間に最大発光強度を有する青発光ドーパントと、緑色波長領域(波長:500〜570
nm程度)の間に最大発光強度を有する緑発光ドーパントと、赤色波長領域(波長:590
〜650nm程度)の間に最大発光強度を有する赤発光ドーパントとを用いて有機電界発光
素子を構成するものである。すなわち、この赤、緑、青の色の三原色を組み合わせること
により、種々の発光色が得られるものであり、特に、白色発光が得られるものである。
ところで、本発明における発光ドーパントの色は、上記のように最大発光強度を有する
波長の値から定義されるものである。発光スペクトルの拡がりなどにより、色が不鮮明に
なったり異なる色を呈したりすることがあるが、あくまで上記の波長により発光色は定義
される。例えば、発光ドーパントのrubrene(ルブレン)は、見た目には黄色発光
(または黄緑色発光)であり黄発光ドーパントとも呼べるものであるが、これは長波長側
への発光スペクトルの拡がりが大きいためであり、最大発光波長は560nm近辺である
ので、緑発光ドーパントに分類される。参考までに、図7にrubreneの発光スペク
トルを示す。
ここで、白色発光と一言でいっても、詳細には発光色として種々のものがある。特に蛍
光灯などの照明分野では、白色発光の色の違いが重要であり、蛍光灯に置き換わるような
有機電界発光素子や、蛍光灯の色味を呈したい有機電界発光素子においては、この発光色
の規定が重要になる。
以下に、白色発光の具体的な発光色(色味)を示す。
表示:名称 :JIS規格(色温度):色の説明
D :昼光色: 5700〜7100K :晴天の正午の日光の色
N :昼白色: 4600〜5400K :晴天の正午をはさんだ時間帯の日光の色
W :白色 : 3900〜4500K :日の出2時間後の日光の色
WW:温白色: 3200〜3700K :夕方の日光の色
L :電球色: 2600〜3150K :白色電球の色
なお、上記において、JIS規格は、「JIS Z 9112 蛍光ランプの光源色及び演色性に
よる区分」である。また、色温度の単位「K」は「ケルビン」である。
そして、本発明による有機電界発光素子は、上記のような構成によって、赤(R)、緑
(G)、青(B)の発光バランスを良好にすることができるので、JIS規格に入る優れ
た白色発光を得ることができるため、特に白色発光に適したものである。
リン光ユニット1においては、赤色発光領域での発光強度が最大となる波長を赤色発光
波長(λRT)とし、緑色発光領域での発光強度が最大となる波長を緑色発光波長(λG
T)としたときに、赤色発光波長(λRT)での最大強度[I(λGT)]と、緑色発光
波長(λGT)での最大強度[I(λGT)]との関係(比)が、次の式を満たすことが
好ましい。
I(λGT)/I(λRT)<0.65
それと同時に、蛍光ユニット2においては、青色発光領域での発光強度が最大となる波
長を青色発光波長(λBS)とし、緑色発光領域での発光強度が最大となる波長を緑色発
光波長緑色発光波長(λGS)としたときに、青色発光波長(λBS)での最大強度[I
(λBS)]と、緑色発光波長(λGS)での最大強度[I(λGS)]との関係(比)
が、次の式を満たすことが好ましい。
I(λGS)/I(λBS)>0.3
このように、各発光色の相対強度が上記の数値関係になることにより、リン光ユニット
1における緑色と赤色、蛍光ユニット2における青色と緑色、の各発光色の各ユニットで
の発光バランスを良好にすることができる。上記の関係を満たさないと発光バランスが低
下し、所望の発光色を得られなくなるおそれがある。そして、スペクトル強度の関係が上
記のようになれば、JIS規格に規定される白色範囲に入る発光が変化することなく維持
され、高効率・長寿命の素子になるものである。
また、リン光ユニット1における緑色発光波長(λGT)と、蛍光ユニット2における
緑色発光波長(λGS)との波長差は、絶対値で10nm以下であることが好ましい。す
なわち、|λGT−λGS|≦10(nm)の関係であり、別式で表せば、−10≦λG
T−λGS≦10の関係である。リン光ユニット1における緑色の波長と蛍光ユニット2
における緑色の波長とが近くなることにより、発光効率を高く、かつ寿命を長くすること
ができる。
なお、上記のような関係は、各ユニットの素子を評価素子として作製して、その発光ス
ペクトルを測定することにより確認することができる。
また、蛍光青色発光層22の発光ドーパント(青発光ドーパント)のイオン化ポテンシ
ャル(IpB)は、蛍光緑色発光層21の発光ドーパント(緑発光ドーパント)のイオン
化ポテンシャル(IpG)よりも大きいことが好ましい。すなわち、IpB>IpGの関
係である。
それと同時に、蛍光青色発光層22の発光ドーパント(青発光ドーパント)の電子親和
力(EaB)は、蛍光緑色発光層21の発光ドーパント(緑発光ドーパント)の電子親和
力(EaG)よりも大きいことが好ましい。すなわち、EaB>EaGの関係である。
このように、蛍光青色発光層22の発光ドーパントが、蛍光緑色発光層21の発光ドー
パントよりもイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の両方においてエネル
ギーレベルが高くなることにより、青色と緑色との適切な発光バランスを得ることができ
、また、発光効率を高く、かつ寿命を長くすることができる。
有機電界発光素子にあっては、上記の白色の種類のうち、発光色が、W色(白色)、W
W色(温白色)、L色(電球色)のいずれかであることがさらに好ましい。それにより、
発光寿命をさらに長くすることができ、長寿命の有機電界発光素子を得ることができる。
すなわち、上記のとおり、白色発光といっても種々の発光色があるが、従来の有機電界発
光素子では微小な色度変化を十分に防ぐことができず、色度変化により白色発光色の色味
を維持することが難しかった。しかしながら、本発明による有機電界発光素子では、特に
発光色をW色、WW色、L色にすれば、色度変化が小さく白色発光の色味を維持して、長
寿命化が可能になるものである。
また、有機電界発光素子の発光スペクトルにおいて、赤色波長領域での最大強度(IR
)と、緑色波長領域での最大強度(IG)と、青色波長領域での最大強度(IB)とが、
この順で弱くなることが好ましい。すなわち、IR>IG>IBの関係である。それによ
り、発光バランスが良好になり、発光バランスの優れた高効率・長寿命の有機電界発光素
子を得ることができる。
有機電界発光素子には、図1のように、一方の電極4(陰極4a)と他方の電極(陽極
4b)との間に、電子や正孔(ホール)を注入したり輸送したりするための層を設けても
よい。このようにすれば、電子や正孔の移動がスムーズになるので、効率化、長寿命化を
促進することができる。
図示の形態では、陽極4bと蛍光ユニット2との間に、正孔注入層31と正孔輸送層3
2とがこの順で積層されている。また、蛍光ユニット2と中間層3との間に、電子輸送層
33が積層されている。また、中間層3とリン光ユニット1との間に、正孔輸送層34が
積層されている。また、リン光ユニット1と、陰極4aとの間に電子輸送層35と電子注
入層36とがこの順で積層されている。
なお、有機電界発光素子の層構成(積層順)としては、図1の形態に限られるものでは
ない。例えば、図1の形態では、電子及び正孔の注入層・輸送層を除けば、積層順が、図
の下側から、基板5、陽極4b、蛍光ユニット2、中間層3、リン光ユニット1、陰極4
aの順となっているが、逆順となって、基板5、陰極4a、リン光ユニット1、中間層3
、蛍光ユニット2、陽極4bとなるような構成であってもよい。
発光層の膜厚としては、リン光赤色発光層12の膜厚を5〜40nm程度に、リン光緑
色発光層11の膜厚を5〜40nm程度に、蛍光青色発光層22の膜厚を5〜40nm程
度に、蛍光緑色発光層21の膜厚を5〜40nm程度に設定することができる。また、膜
厚の比としては、リン光赤色発光層12の膜厚とリン光緑色発光層11の膜厚とを1:8
〜8:1程度に、蛍光青色発光層22の膜厚と蛍光緑色発光層21の膜厚とを1:8〜8
:1程度に設定することができ、蛍光ユニット2の膜厚とリン光ユニット1の膜厚とを1
:3〜3:1程度に設定することができる。なお、中間層3の膜厚については3〜50n
m程度に設定することができる。膜厚をこのように設定することで、有機電界発光素子を
高効率・長寿命にすることができる。
ここで、各層の材料例を説明する。なお、本発明はこの材料例に限られるものではない
電極4としては、基板5に接する電極4(陽極4b)に、仕事関数の大きい金属、合金
、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましい
。このような陽極4bの材料としては、例えば、金などの金属、CuI、ITO(インジ
ウム−スズ酸化物)、SnO、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)等、PED
OT、ポリアニリン等の導電性高分子及び任意のアクセプタ等でドープした導電性高分子
、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料などを用いることができる。また、他
方の電極4(陰極4a)に、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれら
の混合物からなる電極材料を用いることが好ましい。このような陰極4aの材料としては
、アルカリ金属、アルカリ土類金属等、およびこれらと他の金属との合金、例えばナトリ
ウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、マグネシウム−銀混合物、
マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金を例として挙げることが
できる。さらに金属等の導電材料を1層以上積層して用いてもよい。例えば、アルカリ金
属/Alの積層、アルカリ土類金属/Alの積層、アルカリ土類金属/Agの積層、マグ
ネシウム−銀合金/Agの積層などが例として挙げられる。また、ITO、IZOなどに
代表される透明電極を用い、陰極4a側から光を取りだす構成としても良い。
リン光緑色発光層11としては、発光層のホストに、CBP、CzTT、TCTA、m
CP、CDBPなどを用いることができる。リン光緑色の発光ドーパントとしては、Ir
(ppy)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mppy)などを用いることが
できる。ドープ濃度は通常1〜40質量%である。
リン光赤色発光層12としては、発光層のホストに、CBP、CzTT、TCTA、m
CP、CDBPなどを用いることができる。リン光赤色の発光ドーパントとしては、Bt
Ir(acac)、BtIr(acac)、PtOEPなどを用いることができる
。ドープ濃度は通常1〜40質量%である。
蛍光緑色発光層21としては、発光層のホストに、Alq、ADN、BDAFなどを
用いることができる。蛍光緑色の発光ドーパントとしては、C545T、DMQA、co
umarin6、rubreneなどを用いることができる。ドープ濃度は通常1〜20
質量%である。
蛍光青色発光層22としては、発光層のホストに、TBADN、ADN、BDAFなど
を用いることができる。蛍光青色の発光ドーパントとしては、TBP、BCzVBi、p
eryleneなどを用いることができ、電荷移動補助ドーパントとして、NPD、TP
D、Spiro−TADなどを用いることができる。発光ドーパントと電荷移動補助ドー
パントとを合わせた合計のドープ濃度は通常1〜30質量%である。
中間層3としては、BCP:Li、ITO、NPD:MoO、Liq:Alなどを用
いることができ、例えば、中間層3を、BCP:Liからなる第1層を陽極4b側に、I
TOからなる第2層を陰極4a側に配置した二層構成のものにすることができる。
正孔注入層31としては、CuPc、MTDATA、TiOPCなどを用いることがで
きる。
正孔輸送層32,34としては、TPD、NPD、TPAC、DTASiなどを用いる
ことができる。
電子輸送層33,35としては、BCP、TAZ、BAlq、Alq、OXD7、P
BDなどを用いることができる。
電子注入層36としては、LiF、LiO、MgO、LiCOなどのアルカリ金
属やアルカリ土類金属のフッ化物や酸化物、炭酸化物の他に、有機物層にリチウム、ナト
リウム、セシウム、カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属をドープした層を用
いることができる。
なお、上記の材料中、
CBPは、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルを表し、
Alqは、トリス(8−オキソキノリン)アルミニウム(III)を表し、
TBADNは、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセンを表し、
Ir(ppy)は、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを表し、
BtpIr(acac)は、ビス−(3−(2−(2−ピリジル)ベンゾチエニル)
モノ−アセチルアセトネート)イリジウム(III))を表し、
C545Tは、クマリンC545Tのことであり、10−2−(ベンゾチアゾリル)−
2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−
(1)ベンゾピロピラノ(6,7,−8−ij)キノリジン−11−オンを表し、
TBPは、1−tert−ブチル−ペリレンを表し、
NPDは、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニルを
表し、
BCPは、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナンスロリンを表
し、
CuPcは、銅フタロシアニンを表し、
TPDは、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,
4’−ジアミンを表している。
上記の材料を用い、各層を積層することにより有機電界発光素子を得ることができる。
なお、積層の方法としては、真空蒸着法やスパッタ法などを使用することができる。
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
[有機電界発光素子の作製]
各実施例及び比較例の有機電界発光素子の作製を次の手順で行った。
基板5として厚み0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウム−スズ酸化物)を
スパッタしてシート抵抗10Ω/□の陽極4bを形成し、ITO付ガラス基板を作製した
。このITO付ガラス基板を、アセトン、純水、イソプロピルアルコールで15分間超音
波洗浄した後、乾燥し、UVオゾン洗浄した。次に、ITO付ガラス基板を真空蒸着装置
にセットし、5×10−5Pa以下の真空度にて、各有機層又は無機層を順に抵抗加熱蒸
着した。最後に、Alを蒸着し、陰極4aを形成した。
(有機電界発光素子のデバイス構造)
(実施例1〜5)
以下に、デバイス構造(層構成)と各層の膜厚を示す。実施例1〜5の層構成について
は、図1の形態と同じである。ただし、中間層3は第1層と第2層との二つの層で構成さ
れている。
基板5 : ガラス基板(0.7mm)
陽極4b : ITO (150nm)
正孔注入層31 : CuPc (30nm)
正孔輸送層32 : TPD (30nm)
蛍光青色発光層22 : TBADN:TBP:NPD (Xnm)
蛍光緑色発光層21 : Alq3:C545T (Ynm)
電子輸送層33 : BCP (30nm)
中間層3(第1層) : BCP:Li (10nm)
中間層3(第2層) : ITO (10nm)
正孔輸送層34 : TPD (30nm)
リン光赤色発光層12: CBP:Btp2Ir(acac) (αnm)
リン光緑色発光層11: CBP:Ir(ppy)3 (βnm)
電子輸送層35 : BCP (20nm)
電子注入層36 : LiF (1nm)
陰極4a : Al (80nm)
上記の有機電界発光素子において、各発光層の詳細を次に示す。
蛍光青色発光層22は、発光層ホスト:TBADNに、青発光ドーパント:TBPを1.5%ドープ
、かつ、電荷移動補助ドーパント:NPDを5%ドープしたものである。
蛍光緑色発光層21は、発光層ホスト:Alq3に、緑発光ドーパント:C545Tを1.5%ドー
プしたものである。
リン光赤色発光層12は、発光層ホスト:CBPに、赤発光ドーパント:Btp2Ir(acac)を1
0%ドープしたものである。
リン光緑色発光層11は、発光層ホスト:CBPに、緑発光ドーパント:Ir(ppy)3を10%ド
ープしたものである。
なお、本発明において、ドープ濃度の単位「%」は「質量%」のことである。
各発光層の膜厚X、Y、α、βについては、表1に示す通りである。
(比較例1〜5)
以下に、比較例1〜5のデバイス構造(層構成)と各層の膜厚を示す。
基板5 : ガラス基板(0.7mm)
陽極4b : ITO (150nm)
正孔注入層31 : CuPc (30nm)
正孔輸送層32 : TPD (30nm)
蛍光青色発光層22 : TBADN:TBP:NPD (Xnm)
電子輸送層33 : BCP (30nm)
中間層3(第1層) : BCP:Li (10nm)
中間層3(第2層) : ITO (10nm)
正孔輸送層34 : TPD (30nm)
リン光赤色発光層12: CBP:btp2Ir(acac) (αnm)
リン光緑色発光層11: CBP:Ir(ppy)3 (βnm)
電子輸送層35 : BCP (20nm)
電子注入層36 : LiF (1nm)
陰極4a : Al (80nm)
比較例の有機電界発光素子は、実施例の有機電界発光素子から蛍光緑色発光層21を除
去した構成となっており、特許文献1の層構成の考え方に近いものである。ただし、発光
色の調整のため、各発光層の膜厚を調整している。なお、各発光層の詳細は実施例と同様
であり、各発光層の膜厚X、α、βについては、表1に示す通りである。
(実施例6〜10)
実施例1〜5における有機電界発光素子において、蛍光ユニット2の蛍光緑色発光層2
1を以下の構成とした以外は、実施例1〜5と同様に、実施例6〜10の有機電界発光素
子を構成した。
蛍光緑色発光層21 : Alq3:rubrene (Ynm)
蛍光緑色発光層21は、発光層ホスト:Alq3に、緑発光ドーパント:rubrene(ルブレ
ン)を2%ドープしたものである。なお、この蛍光緑色発光層21は、見た目には黄色発光
を呈するrubreneを用いており、蛍光黄色発光層とも呼べる。また、膜厚については、表
1に示すとおりである。
(実施例11〜15)
実施例1〜5における有機電界発光素子において、蛍光ユニット2の蛍光緑色発光層2
1を以下の構成とした以外は、実施例1〜5と同様に、実施例11〜15の有機電界発光
素子を構成した。
蛍光緑色発光層21 : Alq3:coumarin6 (Ynm)
蛍光緑色発光層21は、発光層ホスト:Alq3に、緑発光ドーパント:coumarin6(クマ
リン6、λmax=510nm)を2%ドープしたものである。また、膜厚については、表1に示す
とおりである。
(実施例16)
以下に、実施例16のデバイス構造(層構成)と各層の膜厚を示す。
基板5 : ガラス基板(0.7mm)
陽極4b : ITO (150nm)
正孔注入層31 : CuPc (30nm)
正孔輸送層32 : TPD (30nm)
リン光赤色発光層12: CBP:btp2Ir(acac) (30nm)
リン光緑色発光層11: CBP:Ir(ppy)3 (10nm)
電子輸送層33 : BCP (30nm)
中間層3(第1層) : BCP:Li (10nm)
中間層3(第2層) : ITO (10nm)
正孔輸送層34 : TPD (30nm)
蛍光青色発光層22 : TBADN:TBP:NPD (20nm)
蛍光緑色発光層21 : Alq3:C545T (15nm)
電子輸送層35 : BCP (20nm)
電子注入層36 : LiF (1nm)
陰極4a : Al (80nm)
なお、実施例16の有機電界発光素子は、実施例4の有機電界発光素子について、リン
光ユニット1と蛍光ユニット2とを入れ替えた構成となっている。これにより、積層順の
違いによる素子特性を評価することができる。
Figure 2013070086
[測定]
(発光スペクトル)
各有機電界発光素子の発光スペクトルを、分光放射輝度計(コニカミノルタ製CS−2
000)を用いて測定した。
(効率)
各有機電界発光素子を電源(KEYTHLEY2400)に接続し、電流密度10mA
/cmの定電流を通電し、積分球(ラブスフェア社製SLMS−CDS)を用いて電力
効率を測定した。
(寿命)
各有機電界発光素子を電源(KEYTHLEY2400)に接続し、電流密度10mA
/cmの定電流を通電し、連続発光させたときの輝度を輝度計(コニカミノルタ製LS
−110)を用いて観測し、輝度が半減する半減時間を測定した。また同時に、発光色度
の変化について観測し、初期の発光色度と比較して色度変化量が0.01以上となる変色
時間を測定した。輝度が半減する時間(半減時間)と、色度変化量が0.01以上となる
時間(変色時間)のうち、短いほうの時間を素子の寿命とした。
[各有機電界発光素子の比較]
図2に、実施例1〜5の有機電界発光素子の発光スペクトルを示す。また、図3に、比
較例1〜5の有機電界発光素子の発光スペクトルを示す。なお、各発光スペクトルは、赤
色波長領域での最大発光強度を「1」として規格化したものである。
表2に、各実施例・比較例の発光色及びCIE色度座標とともに、発光色ごとに実施例
と比較例とを比較した結果(効率・寿命)を示す。なお、同一発光色における実施例の効
率及び寿命の値を「1」として、比較例の効率及び寿命を相対値で示している(例えば、
比較例1は実施例1と比較)。
ところで、CIE色度座標とは、正確には「CIE1931色度図におけるx,y座標
値」を意味している。表2では、CIE1931色度図におけるx座標値を‘CIE−x
’、CIE1931色度図におけるy座標値を‘CIE−y’として記載している。CI
E1931色度図におけるx,y座標値によって、発光色を表記することが可能であり、
表2における各発光色(D〜L色)での実施例と比較例のx,y座標値が近いということ
は、ほぼ同じ発光色を呈すること意味している。例えばD色と一口に言っても、D色と呼
ばれる範囲は広いため、同じ外部量子効率を示す有機電界発光素子であっても、緑っぽい
(黒体軌跡より上側)発光色を呈する設計にすると視感効率の関係で電流効率(電力効率
)は高くなってしまう。すなわち、CIE1931色度図における座標値を明記すること
によって、色味だけではなくさらに厳密な「同じ発光色」を示すことができ、また、同じ
発光色での効率や寿命を比較することがより可能になるものである。
表2に示すとおり、いずれの実施例においても同一発光色の比較例と比較して、寿命が
長時間化した。また、特に実施例3(W色)、実施例4(WW色)、実施例5(L色)に
おいては、比較例よりも効率が向上した。
Figure 2013070086
表3に、実施例1〜5の赤色波長領域での最大発光強度(IR)と、緑色波長領域で
の最大発光強度(IG)と、青色波長領域での最大発光強度(IB)との相対強度を示す
。ここで、各色の最大発光強度を示す波長は、次の通りである。
青:λ(blue) :462nm
緑:λ(green):525nm
赤:λ(red) :620nm
表3に示すように、実施例1〜5で得られる発光スペクトルの強度は、赤が最も強く、
緑、青の順になっている。
Figure 2013070086
表4に、実施例16と実施例4を比較した結果を示す。表に示すとおり、蛍光ユニッ
ト2を陰極4a側、リン光ユニット1を陽極4b側に配置した実施例16は、実施例4と
比較し、寿命が同等であるものの、効率が低いことが確認された。すなわち、陰極4a側
にリン光ユニット1を配置した実施例4が高効率であることが確認された。
Figure 2013070086
ここで、各発光ユニットの特性を説明する。
実施例1〜5で用いられた発光ユニットごとの素子を評価素子として作製した。以下に
、評価素子の層構成と各層の膜厚を示す。
<蛍光ユニット評価素子:評価素子1〜5>
基板5 : ガラス基板(0.7mm)
陽極4b : ITO (150nm)
正孔注入層31 : CuPc (30nm)
正孔輸送層32 : TPD (30nm)
蛍光青色発光層22 : TBADN:TBP:NPD (Xnm)
蛍光緑色発光層21 : Alq3:C545T (Ynm)
電子輸送層33 : BCP (30nm)
電子注入層36 : LiF (1nm)
陰極4a : Al (80nm)
<リン光ユニット評価素子:評価素子6〜10>
基板5 : ガラス基板(0.7mm)
陽極4b : ITO (150nm)
正孔注入層31 : CuPc (30nm)
正孔輸送層34 : TPD (30nm)
リン光赤色発光層12: CBP:btp2Ir(acac) (αnm)
リン光緑色発光層11: CBP:Ir(ppy)3 (βnm)
電子輸送層35 : BCP (20nm)
電子注入層36 : LiF (1nm)
陰極4a : Al (80nm)
なお、各評価素子の膜厚については、表5に示すとおりである。すなわち、評価素子1
〜5、及び評価素子6〜10の膜厚が、それぞれ実施例1〜5の膜厚に対応している。
各評価素子の発光スペクトルを測定し、発光色(青、緑、赤)間の発光強度を対比した
。図5(a)に蛍光ユニット評価素子である評価素子1の発光スペクトルを、図5(b)
にリン光ユニット評価素子である評価素子6の発光スペクトルを示す。
表5に、各評価素子の相対発光強度を示す。蛍光ユニット評価素子については、青色波
長領域での最大発光強度を「1」とし、緑色波長領域での最大発光強度を相対強度として
示している。リン光ユニット評価素子については、赤色波長領域での最大発光強度を「1
」とし、緑色波長領域での最大発光強度を相対強度として示している。
表及び発光スペクトルに示すとおり、蛍光ユニット評価素子(評価素子1〜5)では、
青色発光波長(λBS)の最大発光強度[I(λBS)]と、緑色発光波長(λGS)の
最大発光強度[I(λGS)]との関係が、[I(λGS)]/[I(λBS)]>0.
3となっている。
また、リン光ユニット評価素子(評価素子6〜10)では、赤色発光波長(λRT)の
最大強度[I(λRT)]と、緑色発光波長(λGT)の最大強度[I(λGT)]との
関係が、[I(λGT)]/[I(λRT)]<0.65となっている。
したがって、実施例1〜5の、蛍光ユニット2及びリン光ユニット1における発光強度
も、上記のような数値範囲を満たしていることが確認された。この数値関係により、発光
バランスがよく、高効率・長寿命になると考えられる。
Figure 2013070086
参考のため、実施例1〜5と同様の層構成で膜厚を表6のようにした、実施例17、
18及びそれらの評価素子11〜14の発光特性を調べた。なお、実施例17の膜厚は評
価素子11及び13に、実施例18の膜厚は評価素子12及び14に記載しているもので
ある。結果を表6に示す。上記の数値範囲を満たさない場合、D、N色で寿命の低下が見
られ、また、W、WW、L色の作製は困難であった。
Figure 2013070086
表7に、実施例6〜10と実施例1〜5の有機電界発光素子を比較した特性評価の結
果を示す。また、図4に、実施例6〜10の有機電界発光素子の発光スペクトルを示す。
各発光ドーパントの最大発光強度を示す波長は次の通りである。
Ir(ppy)3:λmax=520nm (リン光緑色発光層11)
C545T:λmax=525nm (蛍光緑色発光層21)
rubrene:λmax=560nm (蛍光緑色発光層21)
すなわち、リン光緑色発光層11の発光ドーパントの波長と蛍光緑色発光層21の発光
ドーパントの波長との波長差は、実施例1〜5では5nm、実施例6〜10では40nmとなっ
ている。この波長差は、リン光ユニット1における最大発光強度を示す緑色発光波長(λ
GT)と、蛍光ユニット2における最大発光強度を示す緑色発光波長(λGS)との波長
差に等しいといえる。すなわち、実施例1〜5では、λGS−λGT=5<10の関係になって
いる。
表7に示すとおり、発光ドーパントとして緑発光ドーパントのrubrene(λmax=560nm
)を用いた実施例6〜10の有機電界発光素子は、対応する実施例1〜5よりも効率・寿
命がともに低かった。すなわち、実施例1〜5の有機電界発光素子は、実施例6〜10の
有機電界発光素子よりも、効率及び寿命がともに高いことが確認された。
Figure 2013070086
表8に実施例1〜5と実施例11〜15に用いた発光ドーパントのエネルギーレベル
の比較を示す。表9に実施例1〜5と比較例11〜15の効率・寿命の比較を示す。また
、図6は、(a)実施例1〜5のエネルギーレベルと、(b)実施例11〜15のエネル
ギーレベルとのポテンシャルレベルを比較した図である。
表8に示すように、実施例1〜5において、蛍光青色発光層22の発光ドーパントであ
るTBPと、蛍光緑色発光層21の発光ドーパントであるC545Tとを比較すると、TBPは、イ
オン化ポテンシャル(IpB)が−5.5であり、C545Tのイオン化ポテンシャル(IpG)−5.6
よりも大きい。また、TBPは、電子親和力(EaB)が−2.7であり、C545Tの電子親和力(Ea
G)−3.0よりも大きい。
一方、実施例11〜15において、蛍光青色発光層22の発光ドーパントであるTBPと
、蛍光緑色発光層21の発光ドーパントであるcoumarin6とを比較すると、TBPは、イオン
化ポテンシャル(IpB)が−5.5であり、coumarin6のイオン化ポテンシャル(IpG)−5.4
よりも小さい。また、TBPは、電子親和力(EaB)が−2.7であり、coumarin6の電子親和力
(EaG)−2.7と等しい。
このようなエネルギーレベルの関係について、図6の(a)には実施例1〜5の関係が
、(b)には実施例11〜15の関係が示されている。
そして、表9に示すとおり、緑発光ドーパントとしてcoumarin6(λmax=510nm)を用
いた実施例11〜15の有機電界発光素子は、対応する実施例1〜5よりも効率・寿命が
ともに低かった。すなわち、実施例1〜5の有機電界発光素子は、実施例11〜15の有
機電界発光素子よりも、効率及び寿命がともに高いことが確認された。
Figure 2013070086
Figure 2013070086
以上の結果をまとめて表10に示す。表より、実施例1〜5が高効率・長寿命である
ことが確認された。
Figure 2013070086
1 リン光ユニット
11 リン光緑色発光層
12 リン光赤色発光層
2 蛍光ユニット
21 蛍光緑色発光層
22 蛍光青色発光層
3 中間層
4 電極
4a 陰極
5 基板

Claims (8)

  1. リン光赤色発光層と、リン光緑色発光層と、蛍光青色発光層と、蛍光緑色発光層とを備
    えてなることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. リン光赤色発光層とリン光緑色発光層とを含むリン光ユニットと、蛍光青色発光層と蛍
    光緑色発光層とを含む蛍光ユニットとを備え、リン光ユニットと蛍光ユニットとが中間層
    を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. リン光赤色発光層とリン光緑色発光層とを含むリン光ユニットと、蛍光青色発光層と蛍
    光緑色発光層とを含む蛍光ユニットとを備え、リン光ユニットが蛍光ユニットよりも陰極
    側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. リン光赤色発光層とリン光緑色発光層とを含むリン光ユニットと、蛍光青色発光層と蛍
    光緑色発光層とを含む蛍光ユニットとを備え、リン光ユニットにおける、赤色発光波長(
    λRT)の最大強度[I(λRT)]と緑色発光波長(λGT)の最大強度[I(λGT
    )]との比[I(λGT)/I(λRT)]が、I(λGT)/I(λRT)<0.65
    を満たし、蛍光ユニットにおける、青色発光波長(λBS)の最大強度[I(λBS)]
    と緑色発光波長(λGS)の最大強度[I(λGS)]との比[I(λGS)/I(λB
    S)]が、I(λGS)/I(λBS)>0.3を満たすことを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  5. リン光赤色発光層とリン光緑色発光層とを含むリン光ユニットと、蛍光青色発光層と蛍
    光緑色発光層とを含む蛍光ユニットとを備え、リン光ユニットにおける緑色発光波長(λ
    GT)と、蛍光ユニットにおける緑色発光波長(λGS)との波長差が、絶対値で10n
    m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  6. 蛍光青色発光層の発光ドーパントのイオン化ポテンシャル(IpB)は蛍光緑色発光層
    の発光ドーパントのイオン化ポテンシャル(IpG)よりも大きく、蛍光青色発光層の発
    光ドーパントの電子親和力(EaB)は蛍光緑色発光層の発光ドーパントの電子親和力(
    EaG)よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機電界発
    光素子。
  7. 発光色が、W色、WW色、L色のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいず
    れか1項に記載の有機電界発光素子。
  8. 赤色波長領域での最大強度(IR)と、緑色波長領域での最大強度(IG)と、青色波
    長領域での最大強度(IB)とが、この順で弱くなる(IR>IG>IB)ことを特徴と
    する請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
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