JP2013068789A - 静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、従来のトナーとしては、特許文献1及び2に記載されたトナーが知られている。
<1>少なくとも、結着樹脂、及び、着色剤を含むトナー粒子を含み、前記結着樹脂が、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂を含み、前記トナー粒子の表面に下記式(1)で表される基を有し、前記トナー粒子の表面に架橋構造を有することを特徴とする静電荷像現像トナー、
<3>上記<1>に記載の静電荷像現像トナー又は上記<2>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナーと、キャリアと、を含む静電荷像現像剤、
<4>少なくとも上記<1>に記載の静電荷像現像トナー又は上記<2>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナーを収容しているトナーカートリッジ、
<5>像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、を備え、上記<1>に記載の静電荷像現像トナー若しくは上記<2>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、又は、上記<3>に記載の静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジ、
<6>像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記現像剤として上記<1>に記載の静電荷像現像トナー若しくは上記<2>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、又は、上記<3>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法、
<7>像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として上記<1>に記載の静電荷像現像トナー若しくは上記<2>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、又は、上記<3>に記載の静電荷像現像剤を備える画像形成装置。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像ストレスを受けた後であっても帯電量環境依存性に優れる静電荷像現像トナーの製造方法を提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像ストレスを受けた後であっても帯電量環境依存性に優れる静電荷像現像剤を提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像ストレスを受けた後であっても帯電量環境依存性に優れる静電荷像現像トナーを収容しているトナーカートリッジを提供することができる。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像ストレスを受けた後であっても帯電量環境依存性に優れる静電荷像現像トナー又は静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジを提供することができる。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、静電荷像現像トナーが現像ストレスを受けた後であっても帯電量環境依存性に優れる画像形成方法を提供することができる。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、静電荷像現像トナーが現像ストレスを受けた後であっても帯電量環境依存性に優れる画像形成装置を提供することができる。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
本実施形態の静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、結着樹脂、及び、着色剤を含むトナー粒子を含み、前記結着樹脂が、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(以下、「不飽和ポリエステル樹脂」ともいう。)を含み、前記トナー粒子の表面に下記式(1)で表される基を有し、前記トナー粒子の表面に架橋構造を有することを特徴とする。
本実施形態のトナーは、トナー粒子の表面に前記式(1)で表される基を有する。
式(1)におけるRとしては、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
前記Rにおけるアルキル基は、直鎖であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
前記Rにおけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアルキル基であることが更に好ましい。
前記Rにおけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
本実施形態のトナーは結着樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を含むので、トナー粒子の表面には不飽和ポリエステル樹脂が有する水酸基やカルボキシ基が存在する。例えば、下記式(A)〜(C)で示すように、当該水酸基及び/又はカルボキシ基に対し、モノイソシアネート化合物を反応させることにより、前記式(1)で表される基がトナー粒子の表面に形成される。
本実施形態のトナーは、トナー粒子の表面に架橋構造を有する。
前記架橋構造としては、前記不飽和ポリエステル樹脂の2以上のエチレン性不飽和基とエチレン性不飽和化合物とが重合して形成された架橋構造であることが好ましく、前記不飽和ポリエステル樹脂の2以上のエチレン性不飽和基と単官能エチレン性不飽和化合物とが重合して形成された架橋構造であることがより好ましく、前記不飽和ポリエステル樹脂の2以上のエチレン性不飽和基とスチレン化合物とが重合して形成された架橋構造であることが更に好ましく、前記不飽和ポリエステル樹脂の2以上のエチレン性不飽和基とスチレンとが重合して形成された架橋構造であることが特に好ましい。
具体的には、非晶性不飽和ポリエステル樹脂の不飽和ポリエステル成分と、ビニル系単量体と、の架橋物に由来するTHF不溶分を、以下のようにして測定する。
(1)トナー粒子0.5gから1.0gを100mlの三角フラスコに直接秤量し、5
0mlのTHFを入れて密閉し、超音波分散する。
(2)メンブレンフィルター(メッシュサイズ0.20μm)を秤量する。
(3)メンブレンフィルターを吸引ビンに取り付け、(1)の溶液をろ過する。
(4)残渣が残るメンブレンフィルターを80℃の減圧乾燥機に入れ30分放置し乾燥させた後、デシケータ内で放冷乾燥しフィルターを精秤する。
(5)下記計算式で求めた数値をトナー中のTHF不溶解分とする。
・式:トナー中のTHF不溶解分=(B−A)÷S
A:ろ過前のメンブレンフィルターの重量
B:ろ過後のメンブレンフィルターの重量
S:試料採集量
その後、メンブレンフィルター上の残渣を、例えば、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(熱分解GC/MS)によって分析することで測定される。
また、架橋構造の化学構造については、特に制限はなく、分離精製、IR法、NMR法、分解GC−MS法等の公知の方法により行えばよい。
本実施形態のトナーにおけるトナー粒子は、結着樹脂として、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)を少なくとも含有する。
本実施形態に使用される不飽和ポリエステル樹脂としては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
不飽和ポリエステル樹脂が有するエチレン性不飽和結合は、特に制限はないが、コストや反応性の観点から、ポリカルボン酸成分に含まれるエチレン性不飽和基であることが好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂を重縮合するために使用する脂肪族不飽和多価カルボン酸としては、具体的には例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸、これらの低級エステル、酸無水物等が挙げられる。中でも、脂肪族不飽和多価カルボン酸としては、エチレン性不飽和基を有する炭素数が4又は5の脂肪族多価カルボン酸が好ましく挙げられ、マレイン酸、フマル酸、又は、無水マレイン酸が特に好ましく挙げられる。
三価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料モノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
なお、ポリエステル樹脂の合成の際、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造してもよい。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
不飽和ポリエステル樹脂と併用してもよい他の結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体又は共重合体が例示される。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。更に、不飽和ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン樹脂、パラフィン、ワックス類が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、エステル結合濃度が低く、電気抵抗が適度であり、トナー帯電性に優れる。また、20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
本実施形態のトナーにおける結着樹脂の酸価は、2〜20mgKOH/gであることが好ましく、2〜15mgKOH/gであることがより好ましく、5〜12mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲であると、トナーの造粒性に優れ、また、帯電量環境依存性により優れる。
なお、本実施形態における酸価及び水酸基価の測定は、以下の方法により行う。
酸価及び水酸基価は、JIS K0070−1992に定められた方法(電位差滴定法)に準じて測定した値を採用する。ただし、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒を用いる。
また、本実施形態のトナーにおける結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、静電荷像現像トナーの全重量に対し、5〜95重量%であることが好ましく、20〜90重量%であることがより好ましく、40〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、保管性、粉体特性、帯電特性等に優れる。
本実施形態のトナーにおけるトナー粒子は、着色剤を含有する。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤が用いられるが、具体的には、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン・オキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などを代表的なものとして例示される。
着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本実施形態のトナーにおけるトナー粒子は、少なくとも離型剤を含有することが好ましい。
本実施形態に用いられる離型剤は、特に制限はなく、公知のものが用いられ、次のようなワックスから得られるものが好ましい。パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等である。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も用いられる。
離型剤の融解温度は、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、不溶分を遠心分離により取り出し、更にTHFにより洗浄し、乾燥させ、これを熱分析装置((株)島津製作所製)を用い、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて0℃から150℃までの温度を測定し、ピークの温度を測定し、当該温度を離型剤の融解温度とする。なお、前記不溶分には離型剤以外に着色剤が含まれることがあるが、着色剤は上記温度範囲にはピークを有さないため、無視される。
本実施形態のトナーには、前記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、外添剤等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又は、これら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、外添剤は、主にトナーの粘弾性調整を目的としてトナー母粒子に添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
また、本実施形態のトナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であることが好ましい。体積分布指標GSDvが1.30以下であると、画像の解像性に優れる。
なお、本実施形態において、トナーの粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDvの値は、次のようにして測定し算出した。まず、コールターカウンターTAII(ベックマン・コールター社製)、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16vと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50vと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84vと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、D84v/D16vとして定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)を算出される。
なお、形状係数SF1の値は、トナーの丸さを示すものであり、真球の場合は100となり、トナーの形状が不定形になるに従って増大するものである。また、形状係数SF1を用いた算出に際して必要となる値、すなわち、トナー径の絶対最大長、トナーの投影面積は光学顕微鏡((株)ニコン製、Microphoto−FXA)を用いて倍率500倍に拡大したトナー粒子像を撮影し、得られた画像情報を、インターフェースを介して、例えば、(株)ニレコ製画像解析装置(LuzexIII)に導入して画像解析を行って求めた。なお、形状係数SF1の平均値は、無作為にサンプリングした1,000個のトナー粒子を測定して得られたデータを元にして算出した。
形状係数SF1が110以上であると、画像形成の際に転写工程での残存トナーの発生が抑制され、ブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性に優れ、結果として画像欠陥が抑制される。一方、形状係数SF1が160以下であると、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊されることを防止し、結果として微粉の発生を抑制し、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により感光体表面等が汚染されることを防ぎ、帯電特性に優れるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等が抑制される。
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂、及び、着色剤を含むトナー粒子を得る工程(「粒子作製工程」ともいう。)、前記トナー粒子の表面に存在する活性水素を有する基とモノイソシアネート化合物とを反応させる工程(「イソシアネート処理工程」ともいう。)、及び、前記トナー粒子の表面の前記ポリエステル樹脂におけるエチレン性不飽和結合に多官能エチレン性不飽和化合物を反応させる工程(「架橋形成工程」ともいう。)を含むことを特徴とする。
また、本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法において、前記イソシアネート処理工程と、前記架橋形成工程とは、どちらを先に行ってもよい。
以下に各工程について説明する。
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂、及び、着色剤を含むトナー粒子を得る工程(粒子作製工程)を含む。
トナー粒子の作製方法としては、特に制限はなく、例えば、結着樹脂と着色剤と、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が使用される。また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
これらの中でも、乳化重合凝集法によりトナー粒子を作製することが好ましい。
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、前記トナー粒子の表面に存在する活性水素を有する基とモノイソシアネート化合物とを反応させる工程(イソシアネート処理工程)を含む。
前記活性水素を有する基としては、トナー粒子表面に存在する活性水素含有基であれば特に制限はないが、主としては、不飽和ポリエステル樹脂が有する、水酸基及びカルボキシ基が挙げられる。
前記モノイソシアネート化合物は、イソシアナト基を1つのみ有する化合物であれば特に制限はない。
前記モノイソシアネート化合物としては、下記式(1’)で表される化合物が好ましく挙げられる。
前記モノイソシアネート化合物の具体例としては、イソシアン酸、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、及び、フェニルイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や帯電量環境依存性の観点から、フェニルイソシアネートが特に好ましい。
前記イソシアネート処理工程におけるモノイソシアネート化合物の使用量としては、使用するトナー粒子の全重量に対し、0.5〜50重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、2〜10重量%であることが更に好ましい。
前記イソシアネート処理工程に用いられる溶媒としては、モノイソシアネート化合物と反応性のない溶媒であれば、特に制限はないが、炭化水素溶媒であることが好ましく、脂肪族炭化水素、ベンゼン又はトルエンであることがより好ましく、炭素数5〜7の脂肪族炭化水素であることが更に好ましい。
前記イソシアネート処理工程における溶媒の量としては、特に制限はないが、使用するトナー粒子の全重量に対し、50〜2,000重量%であることが好ましく、100〜1,500重量%であることがより好ましく、200〜1,000重量%であることが更に好ましい。
前記イソシアネート処理工程における反応温度としては、前記活性水素を有する基とモノイソシアネート化合物とが反応しうる温度であればよいが、0〜60℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。
また、前記イソシアネート処理工程における反応時間も特に制限はなく、前記活性水素を有する基とモノイソシアネート化合物とが十分反応しうる時間であればよい。
前記イソシアネート処理工程の一例としては、前記粒子作製工程で得られた又は前記架橋形成工程を経たトナー粒子を炭化水素溶媒に分散し、そこへモノイソシアネート化合物を添加し反応させる工程が好ましく挙げられる。
また、必要に応じて、前記イソシアネート処理工程の後、トナー粒子を含む分散液をろ過、洗浄、及び、乾燥等を行い、トナー粒子を単離してもよい。
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、前記トナー粒子の表面の前記ポリエステル樹脂におけるエチレン性不飽和結合にエチレン性不飽和化合物を反応させる工程(架橋形成工程)を含む。
架橋形成工程においては、例えば、エチレン性不飽和化合物であるビニル系重合性単量体をシード重合プロセスを用いることによって形成される。
本実施形態に使用されるエチレン性不飽和化合物は、以下のようなビニル系重合性単量体が使用される。
スチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルトルエン、ビニルカルバゾール、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
また、これらに限らず、ブタジエンやイソプレンなどのモノマーを使用してもよい。
特にe値が異符号でない場合は、不飽和ポリエステル樹脂とエチレン性不飽和化合物との反応性が悪く、エチレン性不飽和化合物同士の反応が優先的に起こるため、本実施形態の狙いである不飽和ポリエステル樹脂との架橋が促進させるため、e値が異符号である重合性単量体が好ましい。
具体的には、例として不飽和ポリエステル樹脂の不飽和結合を有するフマル酸のセグメントのe値をフマル酸ジエチルとして見積もるとe値が正(2.26)であることから、架橋に用いるエチレン性不飽和化合物としては、e値が負であるものが好ましい。例えば、スチレンやブタジエン、イソプレンなどが好ましいが、Q値及びコストやTgと言った観点を総合するとスチレンが最も好適である。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限はないが、過酸化物及びアゾ化合物が好ましく挙げられる。
具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピルテトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
前記架橋形成工程に用いられる溶媒としては、特に制限はないが、水系媒体であることが好ましい。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、脱イオン水(イオン交換水)等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及び脱イオン水等の水がより好ましく、脱イオン水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
前記架橋形成工程における溶媒の量としては、特に制限はないが、使用するトナー粒子の全重量に対し、50〜2,000重量%であることが好ましく、100〜1,500重量%であることがより好ましく、200〜1,000重量%であることが更に好ましい。
前記架橋形成工程における反応温度としては、架橋反応が進行しうる温度であればよいが、40〜100℃であることが好ましく、60〜100℃であることがより好ましい。
また、前記架橋形成工程における反応時間も特に制限はなく、架橋構造が十分形成しうる時間であればよい。
また、前記架橋形成工程においては、水系媒体中へのトナー粒子やエチレン性不飽和化合物の分散を促進するため、界面活性剤を使用してもよい。
前記界面活性剤としては、例えば、特開2007−114635号公報の段落0055〜0056に記載された、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、第四級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤;高分子分散剤などが挙げられる。
前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて、前記架橋形成工程の後、トナー粒子を含む分散液をろ過、洗浄、及び、乾燥等を行い、トナー粒子を単離してもよい。
本実施形態の静電荷像現像トナーは、静電荷像現像剤として好適に使用される。
本実施形態の静電荷像現像剤は、本実施形態の静電荷像現像トナーを含有すること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成を取りうる。本実施形態の静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
一成分系現像剤として、現像スリーブ又は帯電部材と摩擦帯電して、帯電トナーを形成して、静電潜像に応じて現像する方法も適用される。
前記樹脂による被膜は、前記樹脂中に樹脂粒子及び/又は導電性粒子が分散されていることが好ましい。前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記樹脂粒子の平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、前記被膜における樹脂粒子の分散性に優れ、一方、2μm以下であると、前記被膜から樹脂粒子の脱落が生じにくい。
具体的には前記キャリア芯材を、前記被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を前記キャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、前記キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で前記被膜形成用液を混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態において、ニーダーコーター法が好ましい。
なお、体積固有抵抗は以下のように測定する。
エレクトロメーター(KEITHLEY社製、商品名:KEITHLEY 610C)及び高圧電源(FLUKE社製、商品名:FLUKE 415B)と接続された一対の20cm2の円形の極板(鋼製)である測定治具の下部極板上に、サンプルを厚さ約1mm〜3mmの平坦な層を形成するように載置する。次いで上部極板をサンプルの上にのせた後、サンプル間の空隙をなくすため、上部極板上に4Kgの重しをのせる。この状態でサンプル層の厚さを測定する。次いで、両極板に電圧を印加することにより電流値を測定し、次式に基づいて体積固有抵抗を計算する。
体積固有抵抗=印加電圧×20÷(電流値−初期電流値)÷サンプル厚
上記式中、初期電流は印加電圧0のときの電流値であり、電流値は測定された電流値を示す。
また、静電荷像現像剤(静電荷像現像トナー)は、静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用される。
本実施形態の画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記現像剤として、本実施形態の静電荷像現像トナー又は本実施形態の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
前記現像工程は、前記像保持体表面に形成された前記静電潜像を本実施形態の静電荷像現像トナー又は本実施形態の静電荷像現像トナーを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。
前記転写工程は、前記トナー像を被転写体上に転写する工程である。
前記定着工程は、加熱部材と加圧部材との間に未定着の前記トナー像が形成された前記被転写体を通過させ前記トナー像を定着する工程である。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として、本実施形態の静電荷像現像トナー又は本実施形態の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用される。また、本実施形態で用いる画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態で用いる画像形成装置は前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像トナーを少なくとも収容しているトナーカートリッジである。本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像トナーを静電荷像現像剤として収納していてもよい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、を備え、本実施形態の静電荷像現像トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容しているプロセスカートリッジである。
また、トナーカートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものでもよい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−233736号公報等が参照される。
測定装置としてはコールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用した。
測定法としては分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を1.0mg加える。これを前記電解液100ml中に添加して試料を懸濁した電解液を作製した。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径として50μmアパーチャーを用いて1〜30μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求める。測定する粒子数は50,000であった。
なお、外添剤などの粉体を測定する場合は、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分分散して、試料を作製し、前述の分散液と同様の方法で、測定した。
離型剤の融解温度はトナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、不溶分を遠心分離により取り出し、更にTHFにより洗浄し、乾燥させる。これを熱分析装置((株)島津製作所製)を用い、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて0℃から150℃までの温度を測定し、ピークの温度を測定し、離型剤の融解温度とした。なお、前記不溶分には離型剤以外に着色剤が含まれることがあるが、着色剤は上記温度範囲にはピークを有さないため、無視される。
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50モル部、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50モル部、テレフタル酸10モル部、フマル酸50モル部、n−ドデセニルコハク酸18モル部、酸成分(テレフタル酸、フマル酸、n−ドデセニルコハク酸の合計モル数)に対して0.05モル部のジブチルスズオキサイドを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃〜230℃で12時間〜20時間共縮重合反応させ、その後210℃〜250℃で除々に減圧して非晶性不飽和ポリエステル樹脂を合成した。
得られた非晶性不飽和ポリエステル樹脂3,000重量部、イオン交換水10,000重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム90重量部を、高温、高圧乳化装置(キャビトロンCD1010)の乳化タンクに投入した後、130℃に加熱溶融後、110℃で流量3L/m、10,000rpmで30分間分散させ、冷却タンクを通過させて固形分30%、体積平均粒径D50vが120nmの非晶性不飽和ポリエステル樹脂粒子分散液Aを作製した。
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10−ドデカン二酸230部、1,9−ノナンジオール160部、及び、触媒としてジブチル錫オキサイド0.2部を入れ、その後減圧操作により、三口フラスコ内の空気を窒素に置換して不活性雰囲気下として、機械撹拌により180℃、5時間撹拌し、且つ還流して反応を進行させた。反応中は、反応系内において生成した水を留去した。その後、減圧下において235℃まで徐々に昇温し、2時間撹拌して粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量28,500になったところで、減圧蒸留を停止し結晶性ポリエステル樹脂を得た。
この結晶性ポリエステル樹脂100部と、酢酸エチル35部、及びイソプロピルアルコール35部をセパラブルフラスコに入れ、これを75℃で充分混合、溶解した後、10%アンモニア水溶液を5.5部滴下した。加熱温度を60℃に下げ、撹拌しながらイオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度6g/minで滴下し、液が白濁したのち、送液速度25g/minに上げ、総液量が400部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒の除去を行い、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は140nmであり、その後蒸留水を加えポリエステル樹脂粒子の固形分濃度を25%に調整した。
シアン顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化工業(株)製) 45重量部
イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックス)により10分間分散し、中心径170nmの着色剤分散液1を得た。
ポリアルキレンFNP0080(融解温度77℃、日本精蝋(株)製) 45重量部
カチオン性界面活性剤ネオゲン RK(第一工業製薬(株)製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上を100℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、中心径180nm、固形分量25%の離型剤分散液1を得た。
離型剤分散液1の作製例で用いたポリアルキレンFNP0080の代わりにフィッシャートロプシュワックス(融解温度92℃、日本精蝋(株)製)を用いた以外は、離型剤分散液1の作製例と同様の方法で、離型剤分散液2を得た。中心径200nm、固形分量は25%であった。
離型剤分散液1の作製例で用いたポリアルキレンFNP0080の代わりにポリワックス750(融解温度103℃、ベーカーペトロライト社製)を用いた以外は、離型剤分散液1の作製例と同様の方法で、離型剤分散液3を得た。中心径210nm、固形分量は25%であった。
離型剤分散液1の作製例で用いたポリアルキレンFNP0080の代わりにソルビタンベヘネート(融解温度73℃、理研ビタミン(株)製)を用いた以外は、離型剤分散液1の作製例と同様の方法で、離型剤分散液4を得た。中心径150nm、固形分量は25%であった。
離型剤分散液1の作製例で用いたポリアルキレンFNP0080の代わりにソルビタントリベヘネート(融解温度68℃、理研ビタミン(株)製)を用いた以外は、離型剤分散液1の作製例と同様の方法で、離型剤分散液5を得た。中心径150nm、固形分量は25%であった。
非晶性不飽和ポリエステル樹脂粒子分散液A500重量部、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液47重量部、顔料分散液85重量部、離型剤分散液1 94重量部、硫酸アルミニウム(和光純薬工業(株)製)5重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10重量部、0.3M硝酸水溶液50重量部、イオン交換水500重量部を丸型ステンレス製フラスコ中に収容して、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT−50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で50℃まで撹拌しながら加熱した。50℃で保持し、体積平均粒径が5.5μm程度の凝集粒子が形成されていることを確認した後、追加の非晶性不飽和ポリエステル樹脂粒子分散液A233重量部を添加後、更に30分保持した。続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpH7.0に到達するまで緩やかに添加した後、撹拌を継続しながら85℃まで加熱し、3時間保持した。
反応生成物をろ過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥してトナー粒子A1を得た。
非晶性不飽和ポリエステル樹脂粒子分散液Aを547重量部に変更し、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を加えなかった以外は、トナー粒子A1と同様の操作を行ってトナー粒子A2を得た。
離型剤分散液1を離型剤分散液2に代えた以外は、トナー粒子A1と同様の操作を行ってトナー粒子A3を得た。
離型剤分散液1を離型剤分散液3に代えた以外は、トナー粒子A1と同様の操作を行ってトナー粒子A4を得た。
離型剤分散液1を離型剤分散液4に代えた以外は、トナー粒子A1と同様の操作を行ってトナー粒子A5を得た。
離型剤分散液1を離型剤分散液5に代えた以外は、トナー粒子A1と同様の操作を行ってトナー粒子A6を得た。
トナー粒子A1を100重量部、ヘキサン600重量部に分散後、更に超音波分散機を使用して分散した分散液を作製した。
反応試薬フェニルイソシアネート5.0重量部をヘキサン10重量部に溶解した。これを反応溶液とする。前記分散液をスターラーを用いて撹拌しながら反応溶液を滴下ロートを使用して40分かけて滴下した後、反応温度40℃で24時間反応させた。次にろ過、洗浄を繰り返して未反応のイソシアン酸プロピルを洗浄除去し、風乾、減圧乾燥してイソシアン酸処理トナー粒子A1を得た。
トナー粒子A1の代わりに、それぞれトナー粒子A2〜A6を用いた以外はイソシアン酸処理トナー粒子A1と同様の操作を行い、イソシアン酸処理トナー粒子A2〜A6を得た。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3重量部を添加したイオン交換水600重量部へイソシアン酸処理トナー粒子A1を100重量部添加して超音波により分散させた分散液中に、過硫酸アンモニウム(APS)1.0重量部をイオン交換水10重量部に溶解させた溶液を添加し、温度80℃でスチレン(和光純薬工業(株)製)2重量部をイオン交換水30重量部に混合し、更にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を混合した混合液を30分かけて滴下し、80℃で2時間重合した。反応生成物をろ過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥して架橋形成トナー粒子A1を得た。
イソシアン酸処理トナー粒子A1の代わりに、それぞれイソシアン酸処理トナー粒子A2〜A6を用いた以外は、架橋形成トナー粒子A1と同様の操作を行い、架橋形成トナー粒子A2〜A6を得た。
イソシアン酸処理トナー粒子A1の代わりに、トナー粒子A1を用いた以外は、架橋形成トナー粒子A1と同様の操作を行い、架橋形成トナー粒子A7を得た。
架橋形成トナー粒子A1 100重量部に対し1.5重量部の疎水性シリカ(TS720:キャボット製)を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速25m/s、1分間混合してトナー1を得た。
これをポリメタクリル酸メチル(綜研化学(株)製)を1%コートした体積平均粒径40μmのフェライトキャリアに対しトナー濃度が5%になるように秤量し、ボールミルで5分間撹拌・混合し、現像剤1を得た。
架橋形成トナー粒子A1の代わりにそれぞれ架橋形成トナー粒子A2〜A7を用いた以外は、トナー1と同様の操作を行い、トナー2〜7を得た。更に現像剤1と同様の操作を行い、現像剤2〜7を得た。
架橋形成トナー粒子A1の代わりにイソシアン酸処理トナー粒子A1を用いた以外は、トナー1と同様の操作を行い、トナー8を得た。更に現像剤1と同様の操作を行い、現像剤8を得た。
富士ゼロックス(株)製DocuPrintColor400CPの現像機に現像剤を入れ、冬環境(10℃、湿度30%)で12時間放置した。白紙を複写(現像しない)し60分操作を続け、終了後夏環境(30℃、湿度90%)に移動し12時間放置した。更に白紙を複写し60分操作を続けた。各環境の終了時の現像剤を取り、現像剤の帯電量をTB200(東芝ケミカル(株)製)にて比較した。
帯電量としては、絶対値で15μC/g以上であることが好ましく、80μC/g以下であることが現像剤としては必要である。また、環境依存性(夏環境の帯電量/冬環境の帯電量)は大きい方が好ましいが、1が最良である。0.7以下であると、現像剤としては環境による画像濃度に差が出てしまう。
また、取りだした現像剤を50℃湿度50%の環境にて24時間放置し、その凝集具合を確認した。凝集物は目視で評価し、確認できないものを良いとした。
現像剤1〜6についてそれぞれ評価を行った。結果を表1に示す。
現像剤7及び8についてそれぞれ評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (7)
- エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂、及び、着色剤を含むトナー粒子を得る工程、
前記トナー粒子の表面に存在する活性水素を有する基とモノイソシアネート化合物とを反応させる工程、及び、
前記トナー粒子の表面の前記ポリエステル樹脂におけるエチレン性不飽和結合にエチレン性不飽和化合物を反応させる工程を含むことを特徴とする
静電荷像現像トナーの製造方法。 - 請求項1に記載の静電荷像現像トナー又は請求項2に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナーと、キャリアと、を含む静電荷像現像剤。
- 少なくとも請求項1に記載の静電荷像現像トナー又は請求項2に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナーを収容しているトナーカートリッジ。
- 像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、を備え、
請求項1に記載の静電荷像現像トナー若しくは請求項2に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、又は、請求項3に記載の静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジ。 - 像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、
前記現像剤として請求項1に記載の静電荷像現像トナー若しくは請求項2に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、又は、請求項3に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成方法。 - 像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、
トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記現像剤として請求項1に記載の静電荷像現像トナー若しくは請求項2に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、又は、請求項3に記載の静電荷像現像剤を備える
画像形成装置。
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