JP2013067938A - 凝集紡糸構造体および電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブを紡糸してなる、電気伝導性の高い凝集紡糸構造体を得る。
【解決手段】カーボンナノチューブを含む凝集紡糸構造体であって、共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であり、電気伝導度が50S/cm以上であることを特徴とする凝集紡糸構造体である。
【選択図】図4

Description

本発明は、カーボンナノチューブの粉末から製造される、樹脂を含まないカーボンナノチューブの凝集紡糸構造体に関するものである。
カーボンナノチューブは、炭素によって作られるグラフェンシートが単層あるいは多層の同軸管状になった物質であり、超微細径、軽量性、高強度、高屈曲性、高電流密度、高熱伝導性、高電気伝導性を有する材料である。このようなカーボンナノチューブを糸状に紡ぐことで、従来にない特性を持つ繊維状材料を得ることができると期待されている。
このようなカーボンナノチューブの紡糸方法として、大きく分けて気相法と液相法がある。気相法としては、カーボンナノチューブの合成工程の後に、直接紡糸する工程を設け、カーボンナノチューブの合成と紡糸を同時に行う方法である。一方、液相法は、既に合成されたカーボンナノチューブの粉末を液体に溶かし、分散したカーボンナノチューブを紡糸することで、糸状、繊維状のカーボンナノチューブを得る方法であり、カーボンナノチューブの合成と紡糸を別の工程で行う方法である。
気相法としては、例えば、筒状の反応器内に、カーボンナノチューブ合成用の触媒、カーボンナノチューブの原料となる炭化水素を、キャリアガスとともに供給し、カーボンナノチューブを成長させ、反応器の反応領域外でスピンドルにまきつけて紡糸を行い、カーボンナノチューブの繊維を得る方法が開示されている(特許文献1を参照)。
また、液相法としては、均一にカーボンナノチューブを分散させた低粘度のカーボンナノチューブ分散液を、一定の流れのあるポリビニルアルコール(PVA)などが含まれた粘性のある凝集液に注入することで、カーボンナノチューブとPVAとの複合繊維を得る方法が開示されている(特許文献2を参照)。
さらに、別の液相法としては、均一にカーボンナノチューブを分散させた低粘度のカーボンナノチューブ分散液を、強酸または強アルカリの凝集液(pHが3以下またはpH11以上)に注入することでナノファイバーを得る方法が開示されている(特許文献3を参照)。
特表2007−535434号公報 米国特許出願公開第2008/0124507号明細書 米国特許出願公開第2007/0243124号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、カーボンナノチューブの合成と紡糸が連続して行われるため、最適条件の異なる合成速度と紡糸速度の両方を最適化することが困難であるという問題点があった。また、カーボンナノチューブの合成と紡糸とが連続して行われるため、合成後のカーボンナノチューブから触媒を除去することや、カーボンナノチューブの表面処理を行うこと、金属性のカーボンナノチューブと半導体性のカーボンナノチューブを分離することなどができないという問題点があった。特に、カーボンナノチューブは、通常は金属性と半導体性の両者の混合物として合成されるため、これらを分離せずに紡糸すると、得られる繊維状材料の電気導電性は優れたものにならない。
また、特許文献2に記載の方法では、カーボンナノチューブの紡糸をPVAなどの樹脂を用いて行うため、カーボンナノチューブの表面に樹脂層ができ、カーボンナノチューブの内部に樹脂がしみこんでしまう。表面の樹脂層は、カーボンナノチューブ同士の接触抵抗を増加させてしまい、複合線材の導電性を低下させる。内部にしみこんだ樹脂は、カーボンナノチューブ自体の電気伝導性を低下させる。そのため、特許文献2に記載の方法では、電気伝導性に優れた複合線材を得ることができないという問題点があった。
また、特許文献3に記載の方法では、カーボンナノチューブの紡糸において、強酸または強アルカリの液体を凝集液として用いるため、カーボンナノチューブに欠陥が生じる。欠陥が生じると、カーボンナノチューブのグラファイト結晶が傷ついてしまうため、カーボンナノチューブ単体の電気伝導性や機械特性が悪化する。そのため、得られたカーボンナノチューブの二次ナノファイバーの電気伝導性や機械特性も悪化してしまうという問題点があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、カーボンナノチューブを紡糸してなる、電気伝導性の高い凝集紡糸構造体を得ることである。
前述した目的を達成するために、以下の発明を提供する。
(1)カーボンナノチューブを含む凝集紡糸構造体であって、共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であり、電気伝導度が50S/cm以上であることを特徴とする凝集紡糸構造体。
(2)カーボンナノチューブを含む凝集紡糸構造体であって、かさ密度が0.5g/cm以上であり、共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であり、電気伝導度が50S/cm以上(ただし、電気伝導度が500S/cm以上を除く。)であることを特徴とする凝集紡糸構造体。
(3)前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブ、ダブルウォールカーボンナノチューブまたはマルチウォールカーボンナノチューブを含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の凝集紡糸構造体。
(4)前記凝集紡糸構造体の直径が10μm以上1cm以下であって、長さ/直径の比が100以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の凝集紡糸構造体。
(5)前記凝集紡糸構造体の表面に深さ1〜3μmで長さ30μm以上の複数の長手方向の溝を有し、前記凝集紡糸構造体の内部に100nm以上10μm以下の複数の空洞を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の凝集紡糸構造体。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の凝集紡糸構造体を縒り合わせて導体として用いることを特徴とする電線。
(7)前記導体の表面に絶縁体を被覆したことを特徴とする(6)に記載の電線。
本発明により、カーボンナノチューブを紡糸してなる、電気伝導性の高い凝集紡糸構造体を得ることができる。
(a)本発明にかかる凝集紡糸構造体の製造方法における、分散液製造工程を説明する図、(b)同じく凝集紡糸工程を説明する図、(c)(b)のA部分を拡大した図。 実施例1で用いたシングルウォールカーボンナノチューブ(FH−P)のラマンスペクトルを示す図。 (a)実施例1において、分散液を凝集液に注入した後の凝集紡糸構造体を示す図、(b)実施例1において、水から引き上げたときの凝集紡糸構造体を示す図、(c)乾燥後の凝集紡糸構造体を示す図。 (a)実施例1に係る凝集紡糸構造体の表面を走査型電子顕微鏡にて観察した際の写真、(b)(a)での該当箇所の拡大図、(c)(a)での該当箇所の拡大図。 (a)FIB加工前の実施例1に係る凝集紡糸構造体を観察した写真、(b)凝集紡糸構造体をFIB加工して縦断面を露出させた写真。
(本発明の凝集紡糸構造体)
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、本発明に係る凝集紡糸構造体は、多数のカーボンナノチューブが紡糸されて形成される。
本発明の凝集紡糸構造体は、かさ密度が0.5g/cm以上であってもよい。このかさ密度は、公知の方法により求めることができるが、特には、凝集紡糸構造体の重量と直径と長さを計測し、凝集紡糸構造体を円筒形と仮定して体積を求め、乾燥重量を体積で除して求める方法が好ましい。なお、紡糸前のシングルウォールカーボンナノチューブのかさ密度は0.2〜0.3g/cm程度である。気相法により製造されるカーボンナノチューブの繊維も、同様に0.2〜0.3g/cm程度である。つまり、本発明の凝集紡糸構造体は、気相法により製造される凝集紡糸構造体に比べて、カーボンナノチューブが密に紡糸されているため、電気伝導度や強度に優れる。
本発明の凝集紡糸構造体は、空気雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で100℃まで加熱して100℃で10分放置した後の重量を乾燥重量として、さらに空気雰囲気下で10℃/分の昇温速度で450℃まで追加加熱した後の重量を加熱重量として、乾燥重量から加熱重量を引いた重量を乾燥重量で割った重量減少率が65%以下であってもよい。なお、この重量減少率が50%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。重量減少率が小さいほど、凝集紡糸構造体に含まれるカーボンナノチューブ以外の有機物(特に樹脂)の量が少なくなり、凝集紡糸構造体の電気伝導率、耐熱性が向上する。
本発明の凝集紡糸構造体は、電気伝導度が50S/cm以上であることが好ましく、100S/cm以上であることがより好ましく、200S/cm以上であることがさらに好ましく、500S/cm以上であることがさらにより好ましい。一般的な導電性ポリマーの電気伝導度は50S/cm未満であり、電気伝導度が50S/cm以上である本発明の凝集紡糸構造体は、多くの用途に使用することができる。また、電気伝導度は、より高いほうが、より多くの用途に使用でき、好ましい。
本発明の凝集紡糸構造体は、表面に、深さ1〜3μmで長さ30μm以上の複数の長手方向の溝を有し、断面から観察すると、内部に100nm以上10μm以下の複数の空洞を有するものである。このような長手方向の溝や空洞は、凝集液や浸漬液から取り出した際に、溶液が乾燥する際に発生すると考えられる。
本発明の凝集紡糸構造体は、直径が10μm以上、好ましくは30μm以上、1cm以下であり、長さ/直径の比が100以上であることが好ましい。
本発明の凝集紡糸構造体は、レーザー(例えば514nmのArレーザー)を照射した際の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であることが好ましく、G/D比は30以上であることがより好ましい。1550〜1650cm−1の範囲内のピークはGバンドと呼ばれ、カーボンナノチューブのグラファイト構造に由来するピークであり、1300〜1400cm−1の範囲内のピークはDバンドと呼ばれ、アモルファスカーボンやカーボンナノチューブの格子欠陥に由来するピークである。G/D比が10以上であるとは、格子欠陥の少ない高品質のカーボンナノチューブで構成されることを意味する。特に30以上であれば、さらに高品質のカーボンナノチューブで構成され、熱伝導性、電気伝導性、耐熱性に優れる。
本発明の凝集紡糸構造体は、カーボンナノチューブを75重量%以上含むことが好ましい。
(カーボンナノチューブ)
本発明の凝集紡糸構造体に含まれるカーボンナノチューブの種類としては、特に限定されず、公知のプロセスにより製造されたカーボンナノチューブを使用することができる。具体的には、高圧一酸化炭素(HiPco)法、レーザーアブレーション法、アーク放電法、化学的気相成長(CVD)法で合成されたカーボンナノチューブなどである。カーボンナノチューブは、シングルウォールカーボンナノチューブのみでもよいし、ダブルウォールカーボンナノチューブのみ、マルチウォールカーボンナノチューブのみでも良く、これらの混合物であっても良いが、触媒を除去した金属性のシングルウォールカーボンナノチューブのみで構成されることが好ましい。
カーボンナノチューブは、通常は鉄やニッケル、コバルトなどの金属粒子の触媒を用いて合成されるため、カーボンナノチューブの粉末には触媒が含まれることが多い。触媒が含まれると、導電性の悪化や耐熱性の低下を引き起こす。そのため、紡糸前のカーボンナノチューブを酸により処理をするなどして、触媒を除去することが好ましい。
カーボンナノチューブは、平均直径が0.5〜100nmであることが好ましい。平均直径は電子顕微鏡による径の実測値を平均して求めることが好ましい。さらに、カーボンナノチューブは、直線状であっても、湾曲状であってもよい。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積したマルチウォールカーボンナノチューブを得る方法である。また、シングルウォールカーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するススから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、シングルウォールカーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
高圧一酸化炭素(HiPco)法は、気相成長法の一種で、触媒に鉄化合物を用い、一酸化炭素を高圧で熱分解することにより高純度で比較的小さな直径(1nm前後)のシングルウォールカーボンナノチューブを得る。
また、カーボンナノチューブが、バリスティック伝導性を有するカーボンナノチューブを含むことが好ましい。バリスティック伝導性とは、カーボンナノチューブの大きさが電子の平均自由行程よりも大きく、位相総和長よりも小さい場合に実現する。バリスティック伝導性を有するカーボンナノチューブでは、キャリアの無散乱走行に基づく電気伝導性の向上が期待される。
カーボンナノチューブが、ドーピングされたカーボンナノチューブを含んでもよい。ドーピングとは、カーボンナノチューブの内部空間にドーパントを収容することや、カーボンナノチューブをドーパントで被覆することである。ドーパントは、アルカリ金属、ハロゲン、導電性高分子(PPyCFSO、PPyTFSI)、イオン液体(EMIBF、EMITFSI)、有機分子(TCNQ(Tetracyanoquinodimethane)、DNBN−3,5−Dinitrobenzonitrile,F4−TCNQ(Tetrafluorotetracyanoquinodimethane)、TDAE(Tetrakis(dimethylamino)ethylene)、TTF(Tetrathiafulvalene)、TMTSF(Tetramethyltetraselenafulvalene))、LiTFSI(Lithium bis(trifluoromethane sulfone)imide)などが好ましい。
また、カーボンナノチューブが、銅、ニッケル、チタン、マグネシウムなどの金属ナノ粒子が付与されたカーボンナノチューブを含むことが好ましい。ナノ粒子が付与されるとは、カーボンナノチューブの表面に金属粒子を付着させることである。
また、シングルウォールカーボンナノチューブを合成すると、通常は、金属性のものと半導体性のものが約1:2の割合で生成される。そのため、イオンクロマトグラフィーなどで、金属性のシングルウォールカーボンナノチューブと半導体性のシングルウォールカーボンナノチューブを分離し、金属性のもののみを紡糸に使用することが好ましい。
本発明で使用されるカーボンナノチューブの特性としては、前述したラマンスペクトルのG/Dの比が10以上であることが好ましく、G/D比は30以上であることがより好ましい。G/D比が10以上であるとは、格子欠陥の少ない高品質のカーボンナノチューブであることを意味する。特に30以上であれば、さらに高品質のカーボンナノチューブであり、熱伝導性、電気伝導性、耐熱性に優れる。
また、本発明で使用されるカーボンナノチューブの特性としては、800℃程度まで熱分解せず、100℃〜800℃の間の重量減少が50%以内になることが好ましく、更には25%以内になることが好ましい。カーボンナノチューブの100℃〜800℃の間の重量減少は、アモルファスカーボンの量に由来し、アモルファスカーボンの少ないカーボンナノチューブの方が、より高品質であり、熱伝導性、電気伝導性、耐熱性に優れる。
(凝集紡糸構造体の効果)
本発明の凝集紡糸構造体は、内部に樹脂を含まず、強酸または強アルカリの溶液を通さずに欠陥が発生しないため、電気伝導性の高い凝集紡糸構造体を得ることができる。さらに、触媒を除去した金属性のシングルウォールカーボンナノチューブのみを使用すれば、さらに高い電気伝導率の凝集紡糸構造体を得ることができる。
また、本発明の凝集紡糸構造体は、強酸または強アルカリの溶液を通す処理による欠陥がないため、従来の方法による凝集紡糸構造体よりも機械的強度も高いと考えられる。
また、本発明の凝集紡糸構造体は、表面に溝を有するシワ構造であるため、加工性、摺動性に優れる。
これらの凝集紡糸構造体を、所望の大きさに縒り合わせたものを導体とし、必要に応じて外部に絶縁体を被覆して、電線とすることができる。このような電線は、高い電気伝導率、高い熱伝導率、高い熱的安定性を持つことから、軽量かつ大電流を流すことが可能な電線となる。
(凝集紡糸構造体の製造方法)
図1は、本発明の実施形態に係る凝集紡糸構造体の製造方法を説明する図である。まず、図1(a)に示すように、様々な方法で合成されたカーボンナノチューブ3を、界面活性剤5とともに第1の溶媒7に分散し、分散液1を得る。
次いで、図1(b)に示すように、分散液1を、攪拌中の凝集液9に、シリンジ等で連続的に注入する。図1(c)は、図1(b)のA部分を拡大した図である。図1(c)に示すように、凝集液9に注入された分散液からは、界面活性剤5と第1の溶媒7が凝集液9に分散し、カーボンナノチューブ3が紡糸され、凝集紡糸構造体11が得られる。
本発明は、「分散液を凝集液に連続的に注入する」ことで凝集紡糸構造体を得る点に特徴がある。例えば、シリンジ等に凝集液を入れて、カーボンナノチューブを含む分散液中にその凝集液を連続的に注入しても、不定形の凝集体や膜状の凝集体が得られるものの凝集紡糸構造体を得ることはできない。また、ビーカ等に凝集液を入れて、分散液中にその凝集液を一度に投入しても、不定形の凝集体や膜状の凝集体が得られるものの凝集紡糸構造体を得ることはできない。
さらにこの後、カーボンナノチューブ3の凝集紡糸構造体11を、水に浸漬し、乾燥させる工程や、凝集紡糸構造体を延伸する工程を含んでも良い。延伸工程では、凝集紡糸構造体を、破断ひずみの50%以上に機械的に延伸することで、カーボンナノチューブの配向性が良くなる。さらに、複数の凝集紡糸構造体11を縒る工程、つまり、ひねって絡み合わせ、一本の太い線材を形成する工程を含んでも良い。
カーボンナノチューブ3は、前述のような、凝集紡糸構造体に含むことができるカーボンナノチューブを使用する。
(界面活性剤)
界面活性剤5としては、次の(1)〜(3)が挙げられ、少なくともこれらの(1)から(3)の群に属する界面活性剤のいずれかから1種以上を使用することが望ましい。あるいは、(1)と(2)または(1)と(3)の群に属する界面活性剤のうち、それぞれ1種以上を組み合わせて使用することもできる。
(1)HLBで8以上の非イオン性界面活性剤
(2)陰イオン性界面活性剤:アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、アルキルアルコール硫酸エステル塩(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウム、アルキルアルコールリン酸エステル塩など
(3)陽イオン性界面活性剤:テトラアルキルアンモニウムハライドなど
非イオン性界面活性剤のHLBが8以上であれば、水に分散又は溶解しやすいので、分散液1に用いる第1の溶媒7として、水を用いることができる。なお、非イオン性界面活性剤のHLBは、グリフィン法により求める。
グリフィン法とは、HLB値=20×(親水部の式量の総和/分子量)で定義する方法である。また、デイビス法とは、官能基によって決まる基数を定め、HLB値=7+(親水基の基数の総和−親油基の基数の総和)で定義する方法である。
(1)の非イオン性界面活性剤としては、HLBが8以上であれば特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルのうち、HLBで8以上の界面活性剤であり、特にポリ(オキシエチレン)オクチルフェニルエーテル(例えば、Triton(登録商標) X−100)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(例えば、Tween(登録商標) 20)などのうち、HLBで8以上の界面活性剤などが挙げられる。
また、分散液1を、常温より高い温度に加熱して用いることも好ましい。加熱することで界面活性剤の機能性が高くなり、添加する界面活性剤の量を減らすこともできる。添加する界面活性剤の量を減らすことができれば、凝集紡糸構造体に混入する界面活性剤の量を減らすことができ、凝集紡糸構造体の導電性を向上させることができる。また、常温では紡糸に成功しない界面活性剤を用いた分散液でも、加熱することで紡糸に成功できる場合もある。
上記の(1)〜(3)の界面活性剤を、複数用いることも可能であるが、(2)陰イオン性界面活性剤と(3)陽イオン性界面活性剤の両方を含む場合には、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤との間で会合し、界面活性剤として機能しなくなるので、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤とを混合しないことが好ましい。つまり、複数の界面活性剤を用いる場合は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤の同じ種類の界面活性剤を複数用いるか、非イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤の組み合わせ、又は非イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤の組み合わせであることが好ましい。
また、主鎖の長さの異なる複数の界面活性剤を含むことが好ましい場合もある。具体的には、同じ官能基を持っているが、アルキル鎖の長さの異なる複数種類の界面活性剤を加えることが考えられる。現実に取り扱うカーボンナノチューブは、1本ずつ分散しているカーボンナノチューブだけでなく、複数本が凝集して塊となっているカーボンナノチューブも存在する。このとき、1本ずつ分散しているカーボンナノチューブには、主鎖が短い界面活性剤のほうが、紡糸時にカーボンナノチューブより取れやすいため、凝集紡糸構造体に取り込まれる界面活性剤の量が減り好ましい。また、複数本が凝集して塊となっているカーボンナノチューブには、主鎖の長い界面活性剤のほうが、分散時に塊の中まで取り込まれず、凝集紡糸構造体に取り込まれる界面活性剤の量が減り、好ましい。以上のとおり、現実に取り扱うカーボンナノチューブに、1本ずつ分散したカーボンナノチューブと、塊状に凝集したカーボンナノチューブの両方を含む場合は、主鎖の長さの異なる界面活性剤を複数加えることが好ましい。
(第1の溶媒)
第1の溶媒7は、水もしくは、水と有機溶媒の混合溶媒である。この有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
分散液1中に、カーボンナノチューブ3を0.1wt%〜1.5wt%含み、好ましくは0.2wt%〜0.4wt%含み、界面活性剤5を0.1wt%〜2.0wt%、好ましくは0.6wt%〜1.2wt%含む。
分散液1のpHは、3〜11の間にあることが好ましい。強酸や強アルカリの溶液にカーボンナノチューブをさらすと、カーボンナノチューブのグラファイト結晶に欠陥が生じ、カーボンナノチューブ自体の電気伝導性、機械的特性の劣化につながるからである。
(第2の溶媒)
第2の溶媒(凝集液)9としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、プロパノールのいずれか一つを含む溶液であることが好ましく、少なくともN,N−ジメチルアセトアミドを含むことがより好ましい。なお、第2の溶媒9は、第1の溶媒7と異なるものである。また、凝集液9と第1の溶媒7では、界面活性剤5との親和性が異なる。すなわち、カーボンナノチューブと界面活性剤の集合体への親和性が、分散液と凝集液で異なり、分散液中では、カーボンナノチューブと界面活性剤の集合体がよく分散する必要があるが、凝集液中ではカーボンナノチューブと界面活性剤の集合体が凝集する必要がある。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(分散液作製)
まず、シングルウォールカーボンナノチューブ(株式会社名城ナノカーボン社製FH−P)40mgと、ドデシル硫酸ナトリウム(陰イオン性界面活性剤、HLB値=40(デイビス法))120mgを、水9840mgに加え、700rpm2時間の条件で攪拌し、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製US−50)で5分間、分散させる。
FH−Pのラマンスペクトルを図2に示す。FH−PのGバンド(1588cm−1)と、Dバンド(1339cm−1)の強度の比を取ると、G/D比は38.9であった。
(注入・紡糸工程)
凝集液として、N,N−ジメチルアセトアミドをそのまま用い、分散液をシリンジに入れ、シリンジの先を凝集液に浸し、緩やかに分散液を凝集液に注入して、カーボンナノチューブを凝集紡糸した。分散液の凝集液への注入条件は、注入ノズル口径を0.51mmとし、凝集液の中心から注入ノズルの距離を約3cmとし、注入速度を約1.9ml/minとし、凝集液の攪拌子の回転速度を50rpmとした。
分散液を凝集液に注入した後の凝集紡糸構造体を、図3(a)に示す。
その後、凝集紡糸構造体を水に1日間浸漬し1日間真空乾燥した。
凝集紡糸構造体を水から引き上げたときの様子を図3(b)に示し、乾燥後の凝集紡糸構造体を図3(c)に示す。
(注入条件の検討)
分散液の凝集液への注入条件は、凝集紡糸構造体の形態に影響した。特に、分散液の総量に比較した凝集液の総量が凝集紡糸構造体の形態に影響した。例えば、シリンジ内に含まれる分散液の総量に比較して凝集液の総量が5倍以下の2倍と4倍として、その他の条件は実施例1の条件にて緩やかに分散液を凝集液に注入したところ、凝集紡糸構造体は得られなかった。
一方で、シリンジ内に含まれる分散液の総量に比較して凝集液の総量が5倍を超える6倍と10倍について、また、その他の条件は実施例1の条件にて緩やかに分散液を凝集液に注入すると、両者ともに凝集紡糸構造体が得られた。分散液の総量に対する凝集液の割合は、多いほうが望ましく10倍以上である方がより好ましく、その割合に上限はない。
(評価)
実施例1に係る凝集紡糸構造体の電気伝導度を、20℃にて四端子法を用いて測定した。実施例1に係る凝集紡糸構造体の電気伝導度は、1275.6S/cmであった。
また、実施例1に係る凝集紡糸構造体を、長さを測定し、天秤を用いて重量を測定し、走査型電子顕微鏡を用いて直径を測定し、円筒形と仮定して計算した結果、実施例1に係る凝集紡糸構造体のかさ密度は0.74g/cmであった。
また、実施例1に係る凝集紡糸構造体を、空気雰囲気下で10℃/分の昇温速度で熱重量分析を行ったところ、100℃から450℃の間で、重量は22.7%減少した。実施例1に係る凝集紡糸構造体のラマンスペクトルのG/D比は13.1であった。
また、実施例1に係る凝集紡糸構造体の表面を走査型電子顕微鏡にて観察した際の写真を図4(a)〜(c)に示す。図4(a)に示すように、凝集紡糸構造体の表面には無数の長手方向への溝が生じており、これらの溝は深さが1〜3μmであり、長さが30μm以上である。また、図4(b)、(c)より、表面にカーボンナノチューブの白い筋が無数に走っており、実施例1に係る凝集紡糸構造体は多数のカーボンナノチューブが紡糸されて形成されていることがわかる。
また、実施例1に係る凝集紡糸構造体の表面の一部を収束イオンビーム(FIB)加工し、縦断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。図5(a)は、FIB加工前の凝集紡糸構造体を観察した写真であり、図5(b)は、凝集紡糸構造体をFIB加工して縦断面を露出させた写真である。図5(b)より、凝集紡糸構造体は、内部に複数の100nm以上10μm以下の空隙を有することが分かる。
[実施例2〜43、比較例1〜6]
実施例1から、水浸漬時間や超音波条件、攪拌条件、カーボンナノチューブの割合、カーボンナノチューブの種類、超音波分散時間、分散液の溶媒(第1の溶媒)、界面活性剤の種類、凝集液(第2の溶媒)の種類を変更し、実施例2〜43、比較例1〜6に係る凝集紡糸構造体を形成し、導電率を測定した。
実施例2〜6は、水に浸漬する時間や超音波時間を変更した。
実施例7〜10は、分散液を作成する工程で、実施例1では単なる攪拌であったものを、超音波スターラを用いて超音波攪拌を行った。
実施例11〜14は、カーボンナノチューブの配合比を変更した上に、超音波分散を行う装置や条件を変更した。
実施例15〜17は、カーボンナノチューブと界面活性剤の配合比を変更した上に、超音波分散を行う装置や条件を変更した。
実施例18〜20は、カーボンナノチューブの種類を変更した。
実施例21〜23は、分散液に使用する第1の溶媒を、水に有機溶媒を添加した混合溶媒とした。
実施例24〜26は、分散液に使用する界面活性剤をTriton X−100に変更し、凝集液に使用する第2の溶媒を変更した。
実施例27〜29は、分散液に使用する界面活性剤をTween20に変更し、凝集液に使用する第2の溶媒を変更した。
実施例30〜34は、分散液に使用する界面活性剤をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのハードタイプまたはソフトタイプに変更し、凝集液に使用する第2の溶媒を変更した。
実施例35は、実施例1の分散液の分散工程を変更した実施例である。
実施例35〜39は、分散液に使用する界面活性剤のアルキル鎖の長さを実施例35のドデシル硫酸ナトリウム(炭素数12)単独から、オクチル硫酸ナトリウム(炭素数8)とドデシル硫酸ナトリウムの混合へと変更した。さらに、実施例38は、実施例35からドデシル硫酸ナトリウムの量を変更した実施例であり、実施例39は、界面活性剤の量を減らしながらオクチル硫酸ナトリウムとドデシル硫酸ナトリウムの混合へと変更した実施例である。なお、後述する比較例5に示すように、界面活性剤としてオクチル硫酸ナトリウムのみを用いる場合は紡糸ができなかった。
実施例40、41、比較例1、2は、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(炭素数16)や、オクタデシル硫酸ナトリウム(炭素数18)を用いた例である。ヘキサデシル硫酸ナトリウムやオクタデシル硫酸ナトリウムのような、アルキル鎖の鎖長の長い界面活性剤を用いる場合は、室温では紡糸ができなかったが、加熱することで紡糸に成功した。
実施例42は、実施例41の水浸漬の期間を1日間から7日間に延ばした実施例である。オクタデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤に使用する場合、水浸漬の期間を延ばした結果、導電率が上がった。
実施例43、比較例3、4、6は、界面活性剤の量を60mgに減らした例である。実施例43では、炭素数18のオクタデシル硫酸ナトリウムでは、界面活性剤の量を減らしても紡糸ができたが、比較例3で炭素数16のヘキサデシル硫酸ナトリウムを用いた場合や、比較例4で炭素数12のドデシル硫酸ナトリウムを用いた場合、比較例6で炭素数8のオクチル硫酸ナトリウムを用いた場合は、紡糸に失敗した。なお、比較例5のようにオクチル硫酸ナトリウムを用いる場合は、界面活性剤を120mg用いても紡糸できなかった。
その結果を表にまとめた。
なお、実施例で用いた装置・材料は以下のとおりである。
・攪拌装置A:株式会社日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−50
・攪拌装置B:日本精機製作所製の超音波スターラUSS−1
・攪拌装置C:マイクロテック・ニチオン社製超音波ホモジナイザーNR−50M
・SN2102:Sun Innovation inc.製SN2102 シングルウォールカーボンナノチューブ
・SG−SWNTs:産業技術総合研究所製のスーパーグロース法により製造されたシングルウォールカーボンナノチューブ
・Hipco−CNT:unidym社製のHiPco法により製造されたシングルウォールカーボンナノチューブ(灰分5〜15重量%のPurified品質のもの)
・Triton X−100:キシダ化学社製トリトンX−100、ポリ(オキシエチレン)オクチルフェニルエーテル(非イオン系界面活性剤、HLB値=13.4)
・Tween20:キシダ化学社製ツイーン20、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(非イオン系界面活性剤、HLB値=16.7)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム ハードタイプ(陰イオン系界面活性剤)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム ソフトタイプ(陰イオン系界面活性剤)
以上のように、水浸漬時間や超音波条件、攪拌条件、カーボンナノチューブの割合、カーボンナノチューブの種類、超音波分散時間、分散液の溶媒(第1の溶媒)、界面活性剤の種類、凝集液(第2の溶媒)の種類を変更しても、各実施例に係る凝集紡糸構造体は、50S/cm以上の導電率を有する。
[比較例7]
比較例7として、実施例1の凝集液として、ポリビニルアルコール(Fluka、MW49000)の1重量%水溶液を用いる以外は実施例1と同様の方法で凝集紡糸構造体を形成した。
また、比較例7に係る凝集紡糸構造体を、実施例1と同様に熱重量分析を行ったところ、100℃から450℃の間で、重量減少率は65.7%であった。カーボンナノチューブの種類を変えても,50%以下にはならなかった。比較例7に係る凝集紡糸構造体のラマンスペクトルのG/D比は8.37であった。
以上のように、比較例7に係る凝集紡糸構造体は、樹脂を含むため、実施例1に係る凝集紡糸構造体に比べて、100℃から450℃までの間の重量減少が大きい。
1………分散液
3………カーボンナノチューブ
5………界面活性剤
7………第1の溶媒
9………第2の溶媒(凝集液)
11………凝集紡糸構造体

Claims (7)

  1. カーボンナノチューブを含む凝集紡糸構造体であって、
    共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であり、
    電気伝導度が50S/cm以上である
    ことを特徴とする凝集紡糸構造体。
  2. カーボンナノチューブを含む凝集紡糸構造体であって、
    かさ密度が0.5g/cm以上であり、
    共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であり、
    電気伝導度が50S/cm以上(ただし、電気伝導度が500S/cm以上を除く。)である
    ことを特徴とする凝集紡糸構造体。
  3. 前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブ、ダブルウォールカーボンナノチューブまたはマルチウォールカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の凝集紡糸構造体。
  4. 前記凝集紡糸構造体の直径が10μm以上1cm以下であって、長さ/直径の比が100以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝集紡糸構造体。
  5. 前記凝集紡糸構造体の表面に深さ1〜3μmで長さ30μm以上の複数の長手方向の溝を有し、
    前記凝集紡糸構造体の内部に100nm以上10μm以下の複数の空洞を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の凝集紡糸構造体。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の凝集紡糸構造体を縒り合わせて導体として用いることを特徴とする電線。
  7. 前記導体の表面に絶縁体を被覆したことを特徴とする請求項6に記載の電線。
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