JP2013066973A - 集塵アダプターおよび集塵アダプターを備えた動力工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】汎用の動力工具本体に集塵機能を持たせ、かつ、砥石ホイール等の先端工具を取り付けられるようにした、集塵アダプターを提供することにある。
【解決手段】動力工具本体10aに取り付けられ、かつ、動力工具本体10aの本体スピンドル17により回転駆動される砥石ホイール23により被処理物50を処理する際に生じる粉塵を収集する集塵アダプター20であって、本体スピンドル17により回転駆動される集塵ファン31と、動力工具本体10aに装着された集塵カバー32とを有し、集塵ファン31は、ファン本体31aとボス部31bとを有し、ボス部31bは、本体スピンドル17の雄ねじ部21にねじ結合される雌ねじ部44を備え、ボス部31bの先端部に、砥石ホイール23を固定するロックナット28がねじ結合される雄ねじ部45が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】動力工具本体10aに取り付けられ、かつ、動力工具本体10aの本体スピンドル17により回転駆動される砥石ホイール23により被処理物50を処理する際に生じる粉塵を収集する集塵アダプター20であって、本体スピンドル17により回転駆動される集塵ファン31と、動力工具本体10aに装着された集塵カバー32とを有し、集塵ファン31は、ファン本体31aとボス部31bとを有し、ボス部31bは、本体スピンドル17の雄ねじ部21にねじ結合される雌ねじ部44を備え、ボス部31bの先端部に、砥石ホイール23を固定するロックナット28がねじ結合される雄ねじ部45が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、先端工具により被処理物を処理するディスクグラインダ等の動力工具、および動力工具に装着されて処理時に発生する粉塵を集塵する集塵アダプターに関する。
動力源により回転砥石等の先端工具を回転駆動して被処理物の表面を加工処理する動力工具にはディスクグラインダ等がある。ディスクグラインダは電動モータやエアモータにより先端工具を回転駆動して被処理物の表面を研削加工するため使用される。先端工具としては、円板形の砥石、ダイヤモンドカッター、カップ形の砥石、ワイヤブラシなどがあり、被処理物の種類に応じて任意の先端工具が選択される。例えば、コンクリートや石材等の被処理物の表面を研削加工するためには、ダイヤモンドカッターが先端工具として選択され、動力工具により表面の研削処理が行われる。先端工具により被処理物の表面を研削処理する動力工具は、ディスクサンダーやポリッシャとも言われている。
ディスクグラインダやディスクサンダー等のように先端工具により研削処理を行う動力工具には、加工時に発生した粉塵が外部へ飛散しないように集塵アダプターを備えた集塵タイプがある。特許文献1には、集塵カバーの開口部に防塵ブラシを装着するようにしたディスクサンダーが記載されている。この動力工具の集塵カバー内には、粉塵を取り込んでホースに供給するための集塵ファンが設けられている。先端工具を駆動するスピンドルに装着される集塵ファンとこれを覆う集塵カバーとにより集塵アダプターが形成されている。
ディスクグラインダやディスクサンダー等の動力工具には、集塵カバーが装着された集塵タイプと集塵カバーが設けられていない汎用の簡易タイプとがある。簡易タイプの動力工具には、オプションとして、集塵ファンと、集塵ファンが組み込まれる防塵カバーとをユニット化した集塵アダプターを、動力工具本体に着し得るようにしたタイプがある。簡易タイプにおいては、研削砥石等の先端工具を駆動するスピンドルは、直接に先端工具を取り付けるための長さとなっている。このため、簡易タイプの動力工具に、集塵ファンと集塵カバーとを取り付ける場合には、スピンドルの長さが足りず、先端工具の取り付けが困難であった。
また、簡易タイプの動力工具に予め設けられているスピンドル、つまり本体スピンドルを取り外すことなく、簡易タイプの動力工具を防塵タイプの動力工具に仕様変更できるようにするには、本体スピンドルの先端に延長スピンドルを連結できるようにする必要がある。延長スピンドルを本体スピンドルの先端に連結するには、延長スピンドルの基端部に、本体スピンドルの雄ねじ部にねじ結合する雌ねじ部が設けられる。そして、延長スピンドルの先端部に先端工具を取り付けるために、先端工具を締結するためのロックナットがねじ結合される雄ねじ部が、延長スピンドルの先端に設けられることになる。
一方、本体スピンドルに対する先端工具の交換のために先端工具を着脱する際、つまり取り付けたり取り外したりする際には、動力工具本体に設けられたロックボタンを操作して本体スピンドルを回転しないようにロックするようにしている。したがって、先端工具を交換するときには、作業者は一方の手でロックボタンを操作して本体スピンドルを固定させた状態のもとで、他方の手でロックナットを回転操作して先端工具を本体スピンドルに締結している。
しかしながら、延長スピンドルに取り付けられた先端工具を交換すべく、ロックボタンにより本体スピンドルの回転を停止させた状態のもとで、先端工具を締結しているロックナットを緩めようとすると、ロックナットが延長スピンドルに対して回転することなく、ロックナットと延長スピンドルが共に回転してしまい、延長スピンドルと本体スピンドルとのねじ結合部分が緩んで外れてしまう場合がある。
延長スピンドルが本体スピンドルから緩んで外れると、延長スピンドルと先端工具とが固着した状態となるので、先端工具を延長スピンドルから取り外すための作業が別途必要となり、工具交換の作業性が悪いという問題点があった。
本発明の目的は、汎用の動力工具本体に集塵機能を持たせた構成としても、砥石ホイール等の先端工具を取り付けられるようにした集塵アダプターおよび集塵アダプターを備えた動力工具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、動力工具本体に対する砥石ホイール等の先端工具の交換作業性を向上することのできる集塵アダプターおよび集塵アダプターを備えた動力工具を提供することにある。
本発明の集塵アダプターは、動力工具本体に取り付けられ、かつ、前記動力工具本体の本体スピンドルにより回転駆動される先端工具により被処理物を処理する際に生じる粉塵を収集する集塵アダプターであって、前記本体スピンドルにより回転駆動される集塵ファンと、前記動力工具本体に装着され前記集塵ファンを収容するとともに前記先端工具の径方向外方を覆う集塵カバーとを有し、前記集塵ファンは、複数のブレードを有するファン本体と、当該ファン本体の回転中心部に設けられ前記本体スピンドルの雄ねじ部にねじ結合される雌ねじ部が形成されたボス部とを備え、前記ボス部の先端に前記先端工具を固定する締結部材がねじ結合される雄ねじ部を設けることを特徴とする。
本発明の集塵アダプターは、前記ボス部の前記雄ねじ部に対して前記締結部材を回転させる際に、前記集塵ファンが前記締結部材の回転方向に回転するのを規制するための回転規制部を前記ボス部の雄ねじ部の先端に設けることを特徴とする。
本発明の集塵アダプターは、前記回転規制部は前記ボス部の雄ねじ部の先端面に開口し、着脱治具が係合する六角穴等の凹部であり、前記着脱治具を前記凹部に係合させて前記集塵ファンが前記締結部材の回転方向に回転するのを規制することを特徴とする。
本発明の集塵アダプターは、前記回転規制部は前記ボス部の雄ねじ部の先端面から突出し、着脱治具が係合する六角突起等の突起であり、前記着脱治具を前記突起に係合させて前記集塵ファンが前記締結部材の回転方向に回転するのを規制することを特徴とする。
本発明の集塵アダプターは、前記集塵ファンの成形時に前記ファン本体と前記ボス部とを一体に成形することを特徴とする。
本発明の動力工具は、先端工具を回転駆動する本体スピンドルが設けられた動力工具本体と、前記動力工具本体に設けられ、かつ、前記本体スピンドルと同軸に配置されたホルダーと、前記ホルダーに取り付けられた前記集塵アダプターとを有することを特徴とする。
本発明の集塵アダプターによれば、動力工具本体の本体スピンドルに集塵ファンが取り付けられ、この集塵ファンは、先端工具を取り付けるボス部を有している。このボス部には、本体スピンドルの雄ねじ部に結合される雌ねじ部が設けられている。また、ボス部の先端面には、先端工具を固定するための締結部材がねじ結合される雄ねじ部が設けられている。したがって、汎用の動力工具本体に集塵アダプターを取り付けて集塵機能を持たせることができるとともに、ボス部の雄ねじ部に砥石ホイール等の先端工具を取り付けることができる。
本発明の集塵アダプターによれば、ボス部の雄ねじ部に対して締結部材を回転させる際に、ボス部の回転規制部に着脱治具を係合することで、集塵ファンが締結部材の回転方向に回転することを防止できる。特に、ボス部の雄ねじ部に取り付けられている先端工具を交換する際に、ボス部から締結部材を取り外す操作を容易に行うことができ、先端工具交換時の作業性を向上させることができる。
本発明の集塵アダプターによれば、ボス部に先端工具を取り付け、ついで、ボス部の雄ねじ部に締結部材を取り付けて締め付ける際に、集塵ファンが回転することを防止できる。したがって、締結部材を確実に締め付けることができ、先端工具の交換作業性が向上する。
本発明の集塵アダプターによれば、着脱治具と凹部とを係合させて着脱治具を固定することにより、ボス部が締結部材の回転方向に回転するのを防止することができる。
本発明の集塵アダプターによれば、着脱治具を突起に係合させることにより、ボス部が締結部材の回転方向に回転するのを防止することができる。
本発明の集塵アダプターによれば、ファン本体およびボス部を一体化して集塵ファンが構成されているため、動力工具本体に対して集塵ファンを取り付ける作業、または取り外す作業の作業性が向上する。
本発明の動力工具によれば、汎用の動力工具本体に集塵アダプターを取り付けて集塵機能を持たせることができるとともに、ボス部の雄ねじ部に砥石ホイール等の先端工具を取り付けることができる。また、締結部材に他の着脱治具を係合させ、他の着脱治具を動かすことにより、締結部材をボス部に対して容易に回転させることができる。したがって、先端工具を交換する際に、ボス部から締結部材を取り外す操作を容易に行うことができ、先端工具交換時の作業性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2に示す動力工具は、携帯型つまり手持ち式のディスクグラインダ10であり、このディスクグラインダ10は、被処理物50の表面、例えば、コンクリートや石材等の表面を研削処理するために使用され、ディスクサンダーとも言われる。
このディスクグラインダ10は円筒形状のモータケース11aと、その先端部に取り付けられるギヤケース11bとを有し、モータケース11aの内部には図2に示すように電動モータ12が動力源として収容される。電動モータ12はモータケース11aの後端部から引き出される電源コード13を介して図示しない商用電源に接続され、商用電源から供給される電力により駆動される。電動モータ12の回転軸14にはベベルギヤ15が取り付けられ、このベベルギヤ15と噛み合うベベルギヤ16が設けられている。べベルギヤ16は、回転軸14に対して直角に配置された本体スピンドル17に取り付けられている。このため、電動モータ12のトルクがベベルギヤ15,16を経由して本体スピンドル17に伝達されて、本体スピンドル17が軸線Aを中心として回転する。この本体スピンドル17はギヤケース11bに取り付けられる軸受18により回転自在に支持されている。軸受18はギヤケース11bに固定される環状のホルダー19によりギヤケース11bに取り付けられている。ホルダー19は本体スピンドル17と同軸に配置され、かつ、本体スピンドル17の径方向外方に設けられている。
ディスクグラインダ10は、モータケース11aおよびギヤケース11bと、モータケース11aおよびギヤケース11bの内部に組み込まれる上述した部材とにより、動力工具本体10aが構成されている。そして、動力工具本体10aに対して着脱自在に構成された集塵アダプター20が設けられている。集塵アダプター20が動力工具本体10aに装着されると、ディスクグラインダ10は、図2に示すように集塵タイプとなる。一方、集塵アダプター20を動力工具本体10aから取り外し、先端工具である砥石ホイール23を取り付けると、図3に示すように、簡易タイプのディスクグラインダ10となる。図2および図3に示すように、本体スピンドル17の先端部には雄ねじ部21が設けられている。雄ねじ部21よりも基端部側には大径のフランジ部22が設けられており、このフランジ部22は軸受18に突き当てられている。
まず、図3に示すように、ディスクグラインダ10を簡易タイプとするための構成、および先端工具の取り付け作業を説明する。本体スピンドル17の先端部の雄ねじ部21に、先端工具としてのカップ型の砥石ホイール23が直接取り付けられることになる。この砥石ホイール23はカップ形状に形成された台盤24を有し、この台盤24の前面外周部には複数のダイヤモンド砥石25が接着等の手段により固定されている。台盤24は、ダイヤモンド砥石25を保持するホルダとしての機能を有する。台盤24の径方向中心部にはボス26が取り付けられている。図2に示すように、ボス26は、台盤24の孔24aに挿入された貫通する円筒部26aと、円筒部26aの端部に設けられた環状の端板部26bと、端板部26bの外周に連続された円筒部26cとを有している。円筒部26cは円筒部26aと同軸に配置され、円筒部26cは円筒部26aの外側に配置されている。この円筒部26a内に雄ねじ部21が挿入されている。
砥石ホイール23は、本体スピンドル17の雄ねじ部21にねじ結合、つまり螺合する締結部材としてのロックナット28により本体スピンドル17に取り付けられる要素である。図5に示すように、ロックナット28には雄ねじ部21にねじ結合される雌ねじ部28aが設けられている。砥石ホイール23を本体スピンドル17に取り付ける際には、雄ねじ部21を円筒部26aに挿入するとともに、ボス26の端板部26bをフランジ部22に突き当てる。また、雄ねじ部21および円筒部26aを孔24aに挿入して、台盤24を円筒部26cに接触させた状態とし、ロックナット28を雄ねじ部21に取り付けて締め付け固定する。ロックナット28には、軸線Aを中心とする同一半径上に複数の係合孔48が形成されている。この係合孔48に、後述する着脱治具のピンを係合させ、着脱治具を手動で操作することにより、ロックナット28を締め付けたり、緩めたりすることができるように構成されている。このように、ロックナット28を締め付けるときに、本体スピンドル17が回転しないようにするために、ギヤケース11bにはロックボタン29が設けられている。
このロックボタン29には、本体スピンドル17と平行な方向に往復動自在のロックピン(図示せず)が設けられており、図3においてロックボタン29を押すと、ロックピンがベベルギヤ16に形成された図示ない凹部に係合し、ベベルギヤ16が固定されて本体スピンドル17の回転が規制される。このように、本体スピンドル17の回転が規制された状態において、ロックナット28を回転させることにより、容易にロックナット28を雄ねじ部21にねじ止めすることができる。なお、ロックナット28を緩めて雄ねじ部21から取り外すときにも、ロックボタン29を押し込んで本体スピンドル17をロックしてその回転を規制することになる。
つぎに、前述した集塵アダプター20の具体的な構成を、図2により説明する。図2においては、動力工具本体10aに集塵アダプター20が取り付けられている。集塵アダプター20は、電動モータ12により、砥石ホイール23と共に回転駆動される集塵ファン31と、この集塵ファン31を収容するとともに砥石ホイール23の径方向外方を覆う集塵カバー32とを有している。砥石ホイール23および集塵ファン31は、後述するように軸線Aを中心として回転するように構成されている。なお、集塵ファン31および砥石ホイール23の構成は後述する。
集塵カバー32は、環状の端壁部33と、円筒形状の周壁部34と、集塵ファン31の外周部を介して端壁部33に対向する仕切り壁35とを有している。別部材により構成された端壁部33および周壁部34は、ねじなどの固定要素(図示せず)により固定されている。周壁部34における端壁部33とは反対側の端部に、内側に向けて延ばされた環状の仕切り壁35が連続して形成されている。仕切り壁35には吸い込み口35aが形成されている。また、周壁部34における端壁部33とは反対側の端部には、円筒形状の工具カバー36が連続して形成されている。工具カバー36は砥石ホイール23の外径よりも大きな内径となっており、砥石ホイール23の径方向外方を覆うことになる。工具カバー36は、実質的に集塵カバー32の第2のケース半体32bと一体化されている。
また、端壁部33の径方向中心部には動力工具本体10aのホルダー19に嵌合される円筒部33aが設けられている。円筒部33aをホルダー19の外周に嵌合すると、集塵カバー32および工具カバー36が、ホルダー19に固定されるようになっている。端壁部33と仕切り壁35との間には、ファン収容室37が形成されており、このファン収容室37内に集塵ファン31が組み込まれている。仕切り壁35には吸い込み口35aが形成されている。集塵ファン31を回転させると、吸い込み口35aを介して外部から空気がファン収容室37内に流入する。周壁部34と集塵ファン31の外周との間に形成されるボリュート流路38は、円周方向の下流側に向かうに従って断面積が徐々に大きくなっている。ボリュート流路38の最下流に連通させて集塵カバー32には排出ダクト39が設けられている。
集塵カバー32は、それぞれナイロンなどの樹脂材料により成形された、第1のケース半体32aおよび第2のケース半体32bを組み合わせることにより構成されている。第1のケース半体32aは、端壁部33と周壁部34の一部と排出ダクト39の一部とが一体となっている。また、第2のケース半体32bは、周壁部34の残りの一部と、排出ダクト39の残りの一部と、仕切り壁35と、工具カバー36とが一体となって構成されている。
排出ダクト39には図1に示されるようにホース39aが取り付けられており、ホース39aにより排出ダクト39は図示しない集塵バッグに接続されている。したがって、砥石ホイール23による研磨加工時に発生した粉塵は、集塵ファン31の回転により集塵カバー32内のファン収容室37内に入り込み、ホース39aを通って集塵バッグに案内される。これにより、研磨加工時に発生した粉塵は、ディスクグラインダ10の周囲に飛散することなく、集塵バッグにより除去される。
工具カバー36の内部には、環状のスカート部材40が、本体スピンドル17の軸方向に移動自在に設けられている。スカート部材40は、環状のホルダー40bに取り付けられている。ホルダー40bの内側に砥石ホイール23が配置されている。仕切り壁35とホルダー40bとの間には、ばね(圧縮ばね)40aが設けられており、スカート部材40を工具カバー36の先端面から外部に突出する方向に、ばね40aのばね力が加えられている。さらに、ホルダー40bの外周には、所定間隔をおいて係止爪40cが設けられている。一方、工具カバー36の内側にはストッパ36aが設けられている。このため、ばね40aによりスカート部材40が押され、かつ、係止爪40cがストッパ36aに接触して、スカート部材40が停止している。
そして、砥石ホイール23を用いてコンクリート等の表面を研磨処理するときに、スカート部材40を全周に亘って被処理物50に押し付けると、ばね40aのバネ力に抗してスカート部材40が工具カバー36内に押し戻され、ダイヤモンド砥石25およびスカート部材40が、共に被処理物50に接触した状態となる。このため、砥石ホイール23の径方向外方を、スカート部材40により確実に覆うことができ、ダイヤモンド砥石25により削られた粉塵が、工具カバー36の外部に吹き飛ばされることを、確実に防止することができる。
つぎに、集塵ファン31の構成を具体的に説明する。集塵ファン31は、ファン本体31aおよびボス部31bを有している。ファン本体31aは、円筒部31cと、円筒部31cの外周から半径方向に張り出した環状のディスク部31dと、ディスク部31dの一方の端面側に設けられた複数のブレード31eとを有している。そして、ボス部31bは、ファン本体31aの円筒部31cの取付孔31fに配置されて、ファン本体31aとボス部31bとが一体化されている。また、ファン本体31aは樹脂材料により構成されている一方、ボス部31bは金属材料、例えば、アルミニウムなどの軽金属により構成されている。そして、ファン本体31aおよびボス部31bは、製造工程(成形工程)において、インサート成型により一体化されたものである。すなわち、金型(図示せず)のキャビティ(図示せず)内にボス部31bがインサートされるとともに、流動状態の樹脂材料がキャビティ内に注入されて樹脂材料が固化し、ファン本体31aとボス部31bとが一体化されたものである。
ファン本体31aとボス部31bとが一体化された構造を、図6により具体的に説明する。取付孔31fの内周面には180度ずつ位相をずらして2つの平坦面31gが形成されている。2つの平坦面31g同士は平行であり、2つの平坦面31gの両端は、それぞれ円弧面31hにより接続されている。
一方、ボス部31bの外周面形状は、取付孔31fと相似する形状となっている。すなわち、ボス部31bの外周面には180度ずつ位相をずらして2つの平坦面31iが形成されている。2つの平坦面31i同士は平行であり、2つの平坦面31iの両端は、それぞれ円弧面31jにより接続されている。このように、ボス部31bは二面幅構造となっている。つまり、ファン本体31aとボス部31bとが一体化された状態において、平坦面31gと平坦面31iとが接触し、円弧面31hと円弧面31jとが接触している。
このため、ファン本体31aとボス部31bと、軸線Aを中心として相対回転させる力が作用しても、平坦面31gと円弧面31hとにより形成される角部が、取付孔31fの内周面に係合し、ファン本体31aとボス部31bとの相対回転が防止される。すなわち、これらの平坦面および円弧面は、ファン本体31aとボス部31bとが相対回転することを防止する回り止め機構としての役割を果たす。このようにして、ファン本体31aとボス部31bとが、集塵ファン31の軸線Aを中心とする円周方向で位置決め固定されている。また、ファン本体31aおよびボス部31bは、集塵ファン31の軸線Aに沿った方向に一体的に移動可能である。
さらに、ボス部31bには雌ねじ部44が形成されている。雌ねじ部44は、本体スピンドル17の雄ねじ部21にねじ結合されるねじ孔である。雌ねじ部44は、ボス部31bの回転中心となる軸線Aを中心として設けられている。このため、ボス部31bが本体スピンドル17に固定された状態において、集塵ファン31は軸線Aを中心として回転可能である。さらに、ボス部31bにおける雌ねじ部44の開口孔とは反対側の先端面には雄ねじ部45が連続して形成されている。雄ねじ部45は、ロックナット28の雌ねじ部28aがねじ結合される。また、雄ねじ部21,45は外径およびねじピッチが共に同一に設定されている。さらに、雄ねじ部45の先端には、凹部46が設けられている。この凹部46は、雄ねじ部45を先端側から見た場合の平面形状が六角形をなす六角穴である。
このように、本実施形態におけるディスクグラインダ10は、図2に示すように、本体スピンドル17の雄ねじ部21に、ファン本体31aおよびボス部31bを一体化した集塵ファン31を取り付けた後、ボス部31bの雄ねじ部45に砥石ホイール23を取り付け、さらに、雄ねじ部45にロックナット28を取り付けて締結すると、集塵タイプとなる。一方、本体スピンドル17に集塵ファン31を取り付けることなく、図3に示すように、雄ねじ部21に直接砥石ホイール23を取り付けると、ディスクグラインダ10は簡易タイプとなる。
本実施形態において、雄ねじ部21,45は共に右ねじであり、相互に同一向きのねじとなっている。したがって、本体スピンドル17に図3のように砥石ホイール23を取り付けるときには、ロックナット28を雄ねじ部21にねじ止めする。このときには、ロックボタン29を操作して、本体スピンドル17の回転を規制した状態のもとで、ロックナット28をその正面側、つまり図3において下側から見て右方向に回転させることになる。
次に、動力工具本体10aに集塵アダプター20を取り付ける作業を、図5を参照して説明する。動力工具本体10aに集塵アダプター20を取り付ける作業は、本体スピンドル17を上向きにして行う。まず、動力工具本体10aに取り付ける集塵アダプター20を用意する。なお、動力工具本体10aは図2に示されており、図5では便宜上、省略してある。このとき、集塵アダプター20のファン収容室37には、ファン本体31aおよびボス部31bを一体化して構成された集塵ファン31が収容されている。また、集塵カバー32には、スカート部材40、ばね40a等も取り付けられている。一方、ボス部31bの雄ねじ部45には、砥石ホイール23、ロックナット28等の部品は取り付けられていない。
一方、動力工具本体10aのホルダー19と、集塵カバー32の円筒部33aとを同軸上に配置するとともに、ロックボタン29を押して本体スピンドル17の回転を規制する。そして、集塵アダプター20を軸線Aに沿った方向に移動して、動力工具本体10aに近づける。さらに、本体スピンドル17の雄ねじ部21を、ボス部31bの雌ねじ部44に挿入し、ボス部31bを右方向に回転させて締め付ける。この締め付け作業に伴い集塵カバー32を動力工具本体10aに近づけ、集塵カバー32の円筒部33aを、動力工具本体10aのホルダー19の外周に嵌合する。
このようにして、ボス部31bの締め付けが完了した後、雄ねじ部45の首部にボス26を取り付ける。さらに、円筒部26aの外側に砥石ホイール23を取り付けた後、ロックナット28を雄ねじ部45に取り付けて締め付け固定すると、ディスクグラインダ10の組み立てが完了する。このときもロックボタン29により本体スピンドル17の回転を規制した状態としておき、ロックナット28を右方向に回転させることになる。このように、ファン本体31aおよびボス部31bを一体化して形成された集塵ファン31を有する集塵アダプター20を、動力工具本体10aに取り付けるとディスクグラインダ10は集塵タイプとなる。
本実施形態においては、動力工具本体10aに集塵アダプター20を取り付けて集塵タイプとして用いる場合に、雄ねじ部21に雌ねじ部44を有するボス部31bを取り付け、そのボス部31bの先端に設けられている雄ねじ部45に、砥石ホイール23を取り付けるように構成されている。このため、本体スピンドル17の雄ねじ部21の長さを変更することなく、雄ねじ部45により、砥石ホイール23の取り付けに必要な雄ねじ部の軸方向の長さを十分に確保することができ、砥石ホイール23を確実に取り付けることができる。すなわち、動力工具本体10aは、集塵ファン31および砥石ホイール23の両方を取り付けるにあたり、本体スピンドル17の雄ねじ部21の長さが相対的に短い、汎用の動力工具本体を用いることができる。また、ファン本体31aのブレード31eを厚く形成しても十分にねじ止めすることができることから、確実な取り付けを実現しながら集塵のための風量を大きくすることができる。
次に、図2に示すように集塵アダプター20が装着された動力工具本体10aから、砥石ホイール23を取り外す作業を説明する。動力工具本体10aから砥石ホイール23を取り外す際には、着脱治具を用いてロックナット28を緩める方向に回転させることになる。このときには、ロックナット28が緩むことなく、ボス部31bの雌ねじ部44と、本体スピンドル17の雄ねじ部21とのねじ結合が緩むことがある。しかも、作業者は一方の手でロックボタン29を押しながら、他方の手で着脱治具を操作してロックナット28を回転することになる。雄ねじ部45に取り付けられているロックナット28を緩める操作は、本体スピンドル17の雄ねじ部21に取り付けられているロックナット28を緩めて取り外す際に比べて、ロックボタン29の位置からロックナット28の位置までの距離が相対的に長いので、容易ではない。
そこで、作業者がロックナット28を回転させる作業を容易に行うことができるように、本実施形態においては、雄ねじ部45の先端に凹部46が回転規制部として形成されている。この凹部46は、図6に示すように六角穴により形成されている。そして、ロックナット28を回転させる際には、図4のように、外周面が六角形に形成された着脱治具47を凹部46に係合させる。その着脱治具47を作業者が手で掴めばボス部31bの回転を規制することができる。ボス部31bの回転を規制した状態で、着脱治具49のピンをロックナット28の係合孔48に差し込む。そして、ロックナット28を緩める方向、図4において反時計方向に着脱治具49を回転させる。このような作業により、ボス部31bの雌ねじ部44と、雄ねじ部21との結合部分が緩むことなく、ロックナット28を雄ねじ部45から容易に取り外すことができる。なお、ロックナット28が、図4においてボス部31bに対して相対的に左方向に回転すれば、ロックナット28を緩めることができるので、着脱治具49を固定して着脱治具47を右回転させるようにしても良く、両方を同時に回転させるようにしても良い。
上記のようにして、ボス部31bの雄ねじ部45から砥石ホイール23を取り外した後、集塵ファン31を本体スピンドル17から取り外す際には、ロックボタン29を押し込んで本体スピンドル17の回転を規制してから、ボス部31bを左方向に回転させることになる。このときには、着脱治具47を凹部46に差し込み、着脱治具47を操作してボス部31bを左方向に回転させて、雄ねじ部21と雌ねじ部44との結合を緩めることができる。この作業中に、集塵カバー32の円筒部33aを、動力工具本体10aのホルダー19から抜き取る。なお、着脱治具47を用いずに、集塵ファン31のボス部31bを手に持って左方向に回転させて、雄ねじ部21と雌ねじ部44との結合を緩めても良い。さらに、ボス部31bを本体スピンドル17にねじ止めするときには、着脱治具47によりボス部31bを右方向に回転操作するようにしても良く、集塵ファン31のボス部31bを手で掴んで右方向に回転させるようにしても良い。
図7〜図11は、ボス部31bの雄ねじ部45に設けられる回転規制部の変形例を示す図である。図7(A),(B)に示される雄ねじ部45の先端部には、雄ねじ部45の半径方向に延びる1本の凹状溝、つまりマイナス溝46aが回転規制部として設けられている。したがって、図7に示される雄ねじ部45に対してロックナット28を着脱する際に用いる着脱治具の形状は、先端がマイナス形状である。図8(A),(B)に示される雄ねじ部45の先端部には、十字形状の凹状溝、つまりプラス溝46bが回転規制部として設けられている。したがって、図8に示される雄ねじ部45に対してロックナット28を着脱する際に用いる着脱治具の形状は、先端がプラス形状である。
図9(A),(B)に示される雄ねじ部45の先端部には、その先端面から突出した六角形の突起46cが回転規制部として設けられている。図10(A),(B)に示される雄ねじ部45の先端部には、その先端面から突出して四角形の突起46dが回転規制部として設けられている。したがって、図9および図10に示される雄ねじ部45にロックナット28を着脱するには、スパナ等が着脱治具として使用される。
図11(A),(B)に示される雄ねじ部45の先端部には、その先端面から突起46eが突出して設けられており、回転規制部としての突起46eには、ボス部31bの軸線Aに対して径方向を向いた貫通孔46fが設けられている。したがって、図11に示される雄ねじ部45に対してロックナット28を着脱するには、貫通孔46fを貫通する棒材が着脱治具として使用される。なお、図7〜図11に示されたボス部31bの外周面にも、それぞれ平坦面31iおよび円弧面31hが形成されている。また、図7〜図11においては、便宜上、円筒部31cの図示を省略している。
このように、ボス部31bの回転を規制するための回転規制部としては、凹部、突起および突起に貫通孔を形成した形態等のように、ボス部31bに着脱治具を係合させることができる形態であれば、どのような形態でも良い。また、ロックナット28についても、係合孔48が形成されたものに限られず、外周面が四角形や六角形となった形状のロックナット28を用いるようにしても良い。
本実施形態においては、集塵ファン31を構成するファン本体31aとボス部31bとが、一体化されていれば良い。ファン本体とボス部とを一体化する際には、例えばダイカスト成型により、ファン本体およびボス部を、全体として同じ金属材料により一体成形しても良い。また、ファン本体およびボス部を、全体として同じ樹脂材料により一体成形しても良い。
さらに、ファン本体を金属材料で構成し、ボス部を樹脂材料で構成しても良い。このような場合、ファン本体31aの円筒部31cと、ボス部31bとが一体化されて、本発明のボス部が構成される。また、先端工具としては、砥石ホイールの他、円板形の砥石、ダイヤモンドカッター、カップ形の砥石、ワイヤブラシなどがあり、被処理物の種類に応じて任意に選択される。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図示するディスクグラインダ10は電動モータを駆動源とした電動工具つまり動力工具であるが、エアモータを駆動源とした形態の動力工具にも本発明を適用することができる。図示したディスクグラインダ10は、被処理物の表面を研磨加工するために使用されており、研磨加工により被処理物の表面を荒加工することができる。これに対して、仕上げ加工は研磨加工と言われており、研磨加工する動力工具はディスクサンダーやポリッシャと言われる。本発明の動力工具としては、研磨加工するものにも適用することができる。
10…ディスクグラインダ、10a…動力工具本体、11a…モータケース、11b…ギヤケース、12…電動モータ、13…電源コード、14…回転軸、15,16…ベベルギヤ、17…本体スピンドル、18…軸受、19,40b…ホルダー、20…集塵アダプター、21,45…雄ねじ部、22…フランジ部、23…砥石ホイール、24…台盤、24a…孔、25…ダイヤモンド砥石、26…ボス、26b…端板部、26a,26c,33a…円筒部、28…ロックナット、28a,44…雌ねじ部、29…ロックボタン、31…集塵ファン、31a…ファン本体、31b…ボス部、31c…円筒部、31d…ディスク部、31e…ブレード、31f…取付孔、31g,31i…平坦面、31h,31j…円弧面、32…集塵カバー、32a…第1のケース半体、32b…第2のケース半体、33…端壁部、34…周壁部、35…仕切り壁、35a…吸い込み口、36…工具カバー、36a…ストッパ、37…ファン収容室、38…ボリュート流路、39…排出ダクト、39a…ホース、40…スカート部材、40a…ばね、40c…係止爪、46…凹部、46a…マイナス溝、46b…プラス溝、46c,46d,46e…突起、46f…貫通孔、47,49…着脱治具、48…係合孔、50…被処理物、A…軸線。
Claims (6)
- 動力工具本体に取り付けられ、かつ、前記動力工具本体の本体スピンドルにより回転駆動される先端工具により被処理物を処理する際に生じる粉塵を収集する集塵アダプターであって、
前記本体スピンドルにより回転駆動される集塵ファンと、
前記動力工具本体に装着され前記集塵ファンを収容するとともに前記先端工具の径方向外方を覆う集塵カバーとを有し、
前記集塵ファンは、複数のブレードを有するファン本体と、当該ファン本体の回転中心部に設けられ前記本体スピンドルの雄ねじ部にねじ結合される雌ねじ部が形成されたボス部とを備え、
前記ボス部の先端に前記先端工具を固定する締結部材がねじ結合される雄ねじ部を設けることを特徴とする集塵アダプター。 - 前記ボス部の前記雄ねじ部に対して前記締結部材を回転させる際に、前記集塵ファンが前記締結部材の回転方向に回転するのを規制するための回転規制部を前記ボス部の雄ねじ部の先端に設けることを特徴とする請求項1記載の集塵アダプター。
- 前記回転規制部は前記ボス部の雄ねじ部の先端面に開口し、着脱治具が係合する六角穴等の凹部であり、前記着脱治具を前記凹部に係合させて前記集塵ファンが前記締結部材の回転方向に回転するのを規制することを特徴とする請求項1または2に記載の集塵アダプター。
- 前記回転規制部は前記ボス部の雄ねじ部の先端面から突出し、着脱治具が係合する六角突起等の突起であり、前記着脱治具を前記突起に係合させて前記集塵ファンが前記締結部材の回転方向に回転するのを規制することを特徴とする請求項1または2に記載の集塵アダプター。
- 前記集塵ファンの成形時に前記ファン本体と前記ボス部とを一体に成形することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の集塵アダプター。
- 先端工具を回転駆動する本体スピンドルが設けられた動力工具本体と、
前記動力工具本体に設けられ、かつ、前記本体スピンドルと同軸に配置されたホルダーと、
前記ホルダーに取り付けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の集塵アダプターとを有することを特徴とする動力工具。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7549352B2 (ja) | 2021-04-12 | 2024-09-11 | ケヰテック株式会社 | 保護カバー装着シャフト付回転研磨具 |
-
2011
- 2011-09-22 JP JP2011207278A patent/JP2013066973A/ja not_active Withdrawn
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