JP2013066902A - 線状加熱の加熱方案算出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚板の場合や加熱線が密集した場合であっても、その変形を実用的な時間で正確に予測することができ、その予測に基づいて目標形状を形成可能な条件を算出することができる、線状加熱の加熱方案算出方法を提供する。
【解決手段】加熱線3が密集した干渉部4の変動量Cを計測して補正データベースBを作成する補正データベース作成工程と、補正データベースBに基づいて補正対象の加熱線3の変動量Cを算出する変動量算出工程と、変動量Cを加熱方案Aに加算して補正変形量tを算出する補正変形量算出工程と、補正変形量tに基づいて加熱方案Aを再計算して補正加熱方案A2を算出する加熱方案再計算工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、船舶の外殻に使用される鋼板のように、金属板を線状加熱によって曲げ加工するための加熱線配置及び加熱条件を定める線状加熱の加熱方案算出方法に関する。
造船の外板曲げ加工は日本中のほとんどの造船所において、撓鉄又は線状加熱と呼ばれる作業者の技能によって行われている。しかしながら、船首尾外板等のような曲がりの大きな曲面や複雑な曲面を加工することができるレベルの技能の習得には、十年以上の作業経験を必要とする。また、大型船一隻の建造において、このような高い技能を要する曲げ加工の作業量は、曲げ加工作業全体の50〜60%を占めている。したがって、船舶の建造には、熟練度の高い技能者を多数確保していなければならず、このことは造船業にとって大きな負担であり、近年の後継者不足によってさらに顕著な問題となっている。
そこで、近年、線状加熱を機械的に行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる線状加熱を機械的に行う方法としては、有限要素法(FEM)を応用して、曲げ加工すべき金属板表面を多数の領域に分割すると共に、分割領域ごとに目標形状に曲げ加工するために要する目的固有ひずみを求め、目的固有ひずみの面内収縮ひずみ成分と曲げひずみ成分を与えるべく、例えば、金属板の一方の面における分割領域に曲線状の加熱を交差配置して、加熱線に沿って加熱源を移動させながら、加熱源の移動速度を制御パラメータとして所定の入熱量となるように局所加熱することにより、各分割領域を目標形状に曲げて金属板全体を目標形状の曲面に形成する方法がある。
また、特許文献1に記載の方法では、溶接による鋼構造物の変形を予測する技術として、加熱源が移動したときの入熱と塑性変形の関係を一定とみなせるものと仮定して事前に調査してデータベース化し、かかるデータを入力として線形加算することで全体の変形形状を予測する手法(固有ひずみ法)を応用して、目標形状を与える加熱条件(加熱位置と加熱速度の組合せ)を探索的な計算方法で逆算する自動線状加熱手法を採用している。この方法は、目標形状を与える加熱方法を計算で求める自動線状加熱手法を提供し、船体外板曲げの世界で唯一の自動化例として実用化されている。なお、加熱位置と加熱速度の組合せによる加熱条件を、特に「加熱方案」と呼び、加熱方案には加熱順序も含まれる場合がある。
特開2003−211230号公報
しかしながら、例えば、船首尾外板を構成する曲がりの大きな曲面や厚板では、加熱線が密集し易く、特に、交差したり重なったりする場所において、上述した入熱と塑性変形の関係が成り立たないことが判明してきた。
例えば、厚さ25mm以上の厚板に対して、加熱源を鋼板(金属板)の表面に配置して曲げ加工を施す場合、現在利用可能な加熱源では、鋼板の裏面まで塑性変形させるのに充分な温度に加熱することが難しく、冷却後、加熱付近に大きな残留応力が残ってしまう。そして、この加熱付近を再加熱すると、残留応力が開放されて二つの加熱が独立に施された場合とはかけ離れた塑性変形が作り出されることとなる。
また、平板から曲がりの大きな曲面を作るには、大きな収縮を与える必要があるため、入熱の大きな加熱を高い密度で施すことになる。この場合も先に施した加熱線の周囲に残留応力が累積され、この付近に後から施工される加熱線が作り出す塑性変形は、独立の加熱線の塑性変形とは大きく異なったものとなる。
したがって、一本ごとの加熱線の塑性変形を足し合わせたものが形状を作るという仮定が成り立たず、二本の加熱線が接近して施されたときの変形は、一本ずつの推定変形の和から大幅に乖離し、その変動は加熱条件の組合せによって種々の態様を見せる。この接近した加熱線の局所変動が原因となり、最も自動化のニーズが高い曲がりの大きな曲面の曲げ加工の自動化が困難となっている。
ところで、自動化の鍵である「加熱による変形」を精密に推定する方法として、熱弾塑性有限要素法によるシミュレーションがある。この方法を用いれば、接近して施される加熱線の変形を推定することができる。しかしながら、現状のコンピュータの計算能力では、複雑に組み合わされる大量の加熱線の計算を、加熱の施工と並行して実行することは困難であり、現実的ではない。さらに、目標形状を与える加熱条件を求める最適化探索をするために、この方法を多数回繰り返すことは、現状ではほとんど不可能である。
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、厚板の場合や加熱線が密集した場合であっても、その変形を実用的な時間で正確に予測することができ、その予測に基づいて目標形状を形成可能な加熱方案を算出することができる、線状加熱の加熱方案算出方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、加熱によって作り出したい目標形状を示す有限要素法用の格子モデルを作成する格子モデル作成工程と、有限要素法を用いて、前記目標形状を平面形状に強制変形した後、該平面形状を前記目標形状に強制変形し、前記平面形状から前記目標形状を形成可能なひずみ分布である目的固有ひずみを算出する目的固有ひずみ算出工程と、前記目的固有ひずみを近似する加熱線の配置、加熱速度及び加熱順序を含む加熱方案を設定する加熱方案算出工程と、を有する線状加熱の加熱方案算出方法において、前記加熱線が密集した干渉部の干渉パターンに対する加熱施工条件と前記加熱線による変形の標準値からの変動量とを計測して補正データベースを作成する補正データベース作成工程と、前記加熱方案算出工程で算出された前記加熱方案から前記干渉パターンに相当する補正対象の加熱線を抽出し、前記補正データベースに基づいて該補正対象の加熱線の前記変動量を算出する変動量算出工程と、該変動量算出工程により算出された前記変動量を前記加熱方案に加算して補正変形量を算出する補正変形量算出工程と、前記補正変形量に基づいて前記加熱方案を再計算して補正加熱方案を算出する加熱方案再計算工程と、を有することを特徴とする線状加熱の加熱方案算出方法が提供される。
前記干渉パターンは、例えば、平行、重畳、斜交又は直交である。また、前記補正データベースは、前記干渉パターンに対して、例えば、加熱順序、加熱速度、加熱面、配置間隔、重畳回数又は交差角度をパラメータとして有する。
前記補正データベースにおける加熱順序パラメータは、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線及び前記第二加熱線の加熱順序の後先を条件値として含んでいてもよい。
前記補正データベースにおける加熱速度パラメータは、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線の加熱速度と前記第二加熱線の加熱速度との組合せを条件値として含んでいてもよい。
前記補正データベースにおける加熱面パラメータは、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線及び前記第二加熱線が同一面又は反対面に存在するか否かを条件値として含んでいてもよい。
前記補正データベースにおける配置間隔パラメータは、前記干渉パターンが形成する複数の加熱線を有する場合に、先行加熱される直近の加熱線との距離を条件値として含んでいてもよい。
前記補正データベースにおける重畳回数パラメータは、前記干渉パターンが重畳の場合であって、重畳される加熱線の本数を条件値として含んでいてもよい。
前記補正データベースにおける交差角度パラメータは、前記干渉パターンが斜交の場合であって、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線と前記第二加熱線とのなす角度を条件値として含んでいてもよい。
前記補正データベースは、横収縮、横曲がり変形、縦収縮又は縦曲がり変形のひずみ成分ごとにテーブルが形成されていてもよい。
前記加熱方案再計算工程は、加熱方案の再計算を必要回数行うまで、又は、前記補正変形量に基づいて形成されるひずみ分布である生成固有ひずみと前記目的固有ひずみとを比較した差分が基準値以下となるまで、前記加熱方案の再計算を繰り返すことを含んでいてもよい。また、前記基準値は、例えば、前記生成固有ひずみと前記目的固有ひずみとの差分が前記目的固有ひずみに対して5〜10%の大きさである。
前記補正加熱方案は、少なくとも前記加熱速度を再計算することによって算出されるものであってもよい。
上述した本発明に係る線状加熱の加熱方案算出方法によれば、加熱線の干渉パターンに着目し、この干渉パターンに応じた補正データベースを作成し、この補正データベースを使用して加熱方案を補正するようにしたことにより、対象の金属板が厚板の場合や加熱線が密集した場合であっても、その変形を正確に予測することができ、その予測に基づいて目標形状を形成可能な優れた加熱方案を算出することができる。
したがって、高いニーズがありながら、現在の自動曲げ加工システムでは、処理できなかった船首尾構造のような高度の曲げ加工の自動化について、実時間計算が難しく、大規模な計算環境を用いた高価な非線形シミュレーションを用いることなく、線形加算システムである現在の自動曲げ加工システムを拡張するだけで、容易に実現化を図ることができる。
本発明の第一実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法を示すフローチャートである。 図1に示したフローチャートにおける鋼板の概念図であり、(a)は目標形状の格子モデル、(b)は有限要素法を用いて形成される格子モデルの平面形状、(c)は算出された加熱線の配置、を示す図である。 干渉パターンを示す説明図であり、(a)は平行、(b)は重畳、(c)は斜交、(d)は直交、を示している。 直交加熱による変動量の概念説明図であり、(a)は第一加熱線による加熱、(b)は第二加熱線による加熱、(c)はY軸方向の収縮変形、(d)はX軸方向の収縮変形、を示している。 直交加熱における補正データベースのテーブルの一例を示す図であり、(a)は同一面加熱の第一加熱線に対する横収縮の変動テーブル、(b)は同一面加熱の第二加熱線に対する横収縮の変動テーブル、(c)は反対面加熱の第一加熱線に対する横収縮の変動テーブル、(d)は反対面加熱の第二加熱線に対する横収縮の変動テーブル、である。 本発明の第二実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法について、図1〜図6を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法を示すフローチャートである。図2は、図1に示したフローチャートにおける鋼板の概念図であり、(a)は目標形状の格子モデル、(b)は有限要素法を用いて形成される格子モデルの平面形状、(c)は算出された加熱線の配置、を示す図である。
本発明の実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法は、図1及び図2に示したように、加熱によって作り出したい目標形状1を示す有限要素法用の格子モデルMを作成する格子モデル作成工程(Step1)と、有限要素法を用いて、目標形状1を平面形状2に強制変形した後、平面形状2を目標形状1に強制変形し、平面形状2から目標形状1を形成可能なひずみ分布である目的固有ひずみPを算出する目的固有ひずみ算出工程(Step2)と、目的固有ひずみPを近似する加熱線3の配置、加熱速度及び加熱順序を含む加熱方案Aを設定する加熱方案算出工程(Step3)と、を有する線状加熱の加熱方案算出方法であって、加熱線3が密集した干渉部4の干渉パターンに対する加熱施工条件と加熱線3による変形の標準値からの変動量Cとを計測して補正データベースBを作成する補正データベース作成工程(Step4)と、加熱方案算出工程(Step3)で算出された加熱方案Aから干渉パターンに相当する補正対象の加熱線3を抽出し、補正データベースBに基づいて補正対象の加熱線3の変動量Cを算出する変動量算出工程(Step5)と、変動量算出工程(Step5)により算出された変動量Cを加熱方案Aに加算して補正変形量tを算出する補正変形量算出工程(Step6)と、補正変形量tに基づいて加熱方案Aを再計算して補正加熱方案A2を算出する加熱方案再計算工程(Step7)と、を有することを特徴とする。
前記格子モデル作成工程(Step1)は、有限要素法用(弾性FEM計算用)の格子モデルMを作成する工程である。具体的には、図1及び図2(A)に示したように、曲げ加工によって作り出したい曲面形状である目標形状1が与えられた後、目標形状1の曲面上に格子モデルMを作成する。目標形状1は、例えば、船首尾外板を構成する曲がりの大きな曲面形状である。また、船首尾外板は、25mm以上の厚さを有する厚板であることも多い。
前記目的固有ひずみ算出工程(Step2)は、平面形状2を目標形状1に変形させる連続ひずみ分布を得る工程である。具体的には、図1及び図2(b)に示したように、弾性大変形FEM計算を適用して、目標形状1を面内方向に自由に動ける状態に保ったまま平面形状2に強制変形し、さらに、平面形状2から目標形状1に強制変形させたときのひずみ分布を算出し、このひずみ分布を目的固有ひずみPとして設定する。
前記加熱方案算出工程(Step3)は、平面形状2から目標形状1を形成可能な加熱方案Aを算出する工程である。具体的には、目的固有ひずみPを近似する加熱線3の配置と加熱線3に沿って加熱源を走行させる際の加熱速度とを計算する。また、併せて、複数の加熱線3の施工順番(加熱順序)を経験的又は統計的なルールに従って選定する。したがって、加熱方案Aは少なくとも加熱線3の配置と加熱速度とを含み、好ましくは加熱順序も含む加熱条件である。なお、加熱方案Aは、曲面の二方向に直交する主曲率方向に一続きの加熱線(対象鋼板の板幅又は板長さを跨ぐ長さを持つ)を設け、これらを二方向の交差部ごとを単位とした線素に分割し、この加熱線線素(の組合せ)を計算単位として加熱速度(入熱条件)を選定している。
上述した格子モデル作成工程(Step1)〜加熱方案算出工程(Step3)までの加熱方案Aの算出方法は、例えば、上述した特許文献1(特開2003−211230号公報)に記載された方法と同じである。しかしながら、従来の加熱方案の算出方法は、一本ごとの加熱線の塑性変形を足し合わせたものが形状を作るという仮定を前提としている。それに対して、本発明は、加熱線3が密集した干渉部4では、二本以上の加熱線3が接近して施されたときの変形は、一本ずつの推定変形の和から大幅に乖離し、その変動は加熱条件の組合せによって種々の態様を見せるという事象が起こるという知見を得たことにより創案されたものである。すなわち、従来の加熱方案の算出方法に対して、加熱線3の干渉部4の加熱方案Aを補正して、より正確な加熱方案(正の加熱方案Ar)を算出し、平面形状2から目標形状1により近い曲面形状を形成できるようにしたものである。具体的には、本発明は、図1において破線で囲んだ部分の工程(Step4〜Step8)を追加したことを特徴とする。
前記補正データベース作成工程(Step4)は、加熱線3が密集した干渉部4の干渉パターンに対応する変動量Cを計測して補正データベースBを作成する工程である。具体的には、曲げ加工の対象となる金属板の材質及び板厚ごとに、加熱線3の干渉パターンを網羅するようにパラメータを整理して、加熱方案(加熱線3の配置、加熱速度及び加熱順序)の組合せに対して、作り出される変形の標準値からの変動量Cを計測して非線形変動データベースである補正データベースBを作成する。ここで、標準値とは、干渉部4以外の加熱線3における一本ごとの加熱線3の塑性変形量(すなわち、加熱線3による変形が互いに影響を与えない場合の変形量)を意味する。また、加熱方案の組合せ条件数が膨大となる場合には、実験と非線形シミュレーション(熱源特性の計測試験から、熱源特性及び加熱条件から温度分布の計時変化推定シミュレーションを行い、推定した温度分布の計時変化データを用いて行う熱弾塑性シミュレーション)を併用して補正データベースBを作成するようにしてもよい。
ここで、図3は、干渉パターンを示す説明図であり、(a)は平行、(b)は重畳、(c)は斜交、(d)は直交、を示している。図3に示したように、干渉パターンには、例えば、平行、重畳、斜交、直交の四種類がある。
図3(a)に示した「平行」の干渉パターンは、二本の加熱線3(例えば、第一加熱線31と第二加熱線32)が所定の配置間隔gで配置されている状態を意味する。図では、三本の加熱線3(第一加熱線31、第二加熱線32及び第三加熱線33)が「平行」に配置されている場合を図示している。ここで、所定の配置間隔gとは、第一加熱線31及び第二加熱線32に沿って加熱方案Aにより加熱した場合に、その塑性変形に互いに影響を与える(塑性変形の和が成立しない)間隔を意味する。したがって、配置間隔gは一般に近接した値となるが、曲げ加工対象である板材の材質や肉厚、加熱温度等の条件によって適宜変更される値である。また、配置間隔gが狭くなると相互に与える影響は大きくなり、配置間隔gが広くなると相互に与える影響は小さくなる。
図3(b)に示した「重畳」の干渉パターンは、二本以上の加熱線(例えば、第一加熱線31と第二加熱線32)が重なり合う状態を意味する。図では、三本の加熱線3(第一加熱線31、第二加熱線32及び第三加熱線33)が「重畳」に配置されている場合を図示している。かかる「重畳」は、「平行」の干渉パターンにおいて配置間隔gがゼロとなった状態でもある。なお、図3(b)では、説明の便宜上、第一加熱線31〜第三加熱線33を若干ずらした状態で、灰色のグラデーションにより区別して図示している。
図3(c)に示した「斜交」の干渉パターンは、二本の加熱線3(例えば、第一加熱線31と第二加熱線32)がなす交差角度θが直角(90°)ではない状態を意味する。図では、第一加熱線31に対して三本の加熱線3(第二加熱線32、第三加熱線33及び第四加熱線34)が「斜交」に配置されている場合を図示している。また、交差角度θが0°又は180°となった状態が「重畳」である。
図3(d)に示した「直交」の干渉パターンは、二本の加熱線3(例えば、第一加熱線31と第二加熱線32)が直交する状態を意味する。図では、第一加熱線31に対して三本の加熱線3(第二加熱線32、第三加熱線33及び第四加熱線34)が「直交」に配置されている場合を図示している。すなわち、交差角度θが90°となった状態が「直交」である。
ここで、「直交」の干渉パターンにおける塑性変形に与える影響に関し、図4を参照しつつ、その概念について説明する。図4は、直交加熱による変動量の概念説明図であり、(a)は第一加熱線による加熱、(b)は第二加熱線による加熱、(c)はY軸方向の収縮変形、(d)はX軸方向の収縮変形、を示している。また、図4(c)及び(d)において、直交加熱における収縮変形を実線で表示し、単独加熱における収縮変形を一点鎖線で表示している。なお、単独加熱とは、干渉部4以外の加熱線3における一本ごとの加熱(すなわち、加熱線3による変形が互いに影響を与えない場合の加熱)を意味している。
いま、図4(a)に示したように、XY平面においてX軸方向に第一加熱線31を施し、図4(b)に示したように、XY平面においてY軸方向に第二加熱線32を施した場合を想定する。かかる直交加熱を施した場合、図4(c)に示したように、単独加熱の場合にはY軸方向の収縮変形(横収縮)δyの数値が一定であるのに対し、直交加熱の場合にはY軸方向の収縮変形(横収縮)δyの数値が破線で示した交差部を中心にして増加することとなる。また、図4(d)に示したように、単独加熱の場合にはX軸方向の収縮変形(横収縮)δxの数値が一定であるのに対し、直交加熱の場合にはX軸方向の収縮変形(横収縮)δxの数値が破線で示した交差部を中心にして減少することとなる。このような収縮変形(横収縮)の増減は、特に、対象の金属板が厚板(例えば、厚さ25mm以上)の場合や目標形状が曲がりの大きな曲面の場合に生じやすい。
このように、直交加熱の場合には交差部における収縮変形(横収縮)が、単独加熱の場合と大きく異なることから、従来の加熱方案の算出方法における、一本ごとの加熱線の塑性変形を足し合わせたものが形状を作るという仮定が成り立たなくなる。また、図示しないが、かかる現象は、他の干渉パターン(平行、重畳、交差)においても生じ得る。
次に、上述した干渉パターンと補正データベースBのパラメータとの関係について説明する。ここで、表1は、干渉パターンと補正データベースのパラメータとの関係を示す表である。また、横軸に干渉パターン(平行、重畳、交差、直交)、縦軸にパラメータ(加熱順序、加熱速度、加熱面、配置間隔、重畳回数、交差角度)を表示している。すなわち、補正データベースBは、干渉パターンに対して、加熱順序、加熱速度、加熱面、配置間隔、重畳回数又は交差角度をパラメータとして有している。
「加熱順序」のパラメータは、自己(補正対象の加熱線3)は、干渉パターンを構成する組合せ相手の加熱線3との間で、先に加熱(先行加熱)されるか、又は後から加熱(後続加熱)されるか、を条件としたものである。このパラメータは、加熱順序の後先によって変動量Cが変化することに基づくものであり、ほとんどの場合において、加熱順序の後先によって変動量Cは逆向きに現れる。したがって、補正データベースBにおける加熱順序パラメータは、干渉パターンを形成する第一加熱線31と第二加熱線32とを有する場合に(図3参照)、第一加熱線31及び第二加熱線32の加熱順序の後先を条件値として含んでいる。
「加熱速度」のパラメータは、自己(補正対象の加熱線3)の加熱速度(自己速度)と、干渉パターンを構成する組合せ相手の加熱線3の加熱速度(相手速度)との組合せを条件としたものである。このパラメータは、加熱源の移動速度によって入熱量が変化し、加熱速度(自己速度と相手速度)の組合せによって変動量Cが変化することに基づくものである。したがって、補正データベースBにおける加熱速度パラメータは、干渉パターンを形成する第一加熱線31と第二加熱線32とを有する場合に(図3参照)、第一加熱線31の加熱速度と第二加熱線32の加熱速度との組合せを条件値として含んでいる。
「加熱面」のパラメータは、自己(補正対象の加熱線3)の施工される面と、干渉パターンを構成する組合せ相手の加熱線3の施工される面とが、同一面であるか、又は反対面であるか、を条件としたものである。このパラメータは、加熱面が同一であるか否かによって変動量Cが変化することに基づくものである。したがって、補正データベースBにおける加熱面パラメータは、干渉パターンを形成する第一加熱線31と第二加熱線32とを有する場合に(図3参照)、第一加熱線31及び第二加熱線32が同一面又は反対面に存在するか否かを条件値として含んでいる。
「配置間隔」のパラメータは、自己(補正対象の加熱線3)と干渉パターンを構成する組合せ相手の加熱線3が隣接して複数存在する場合に、自己より先行加熱される直近の加熱線3との距離(間隔)を条件としたものである。このパラメータは、配置間隔の大小によって変動量Cが変化することに基づくものである。したがって、補正データベースBにおける配置間隔パラメータは、干渉パターンが形成する複数の加熱線3を有する場合に(図3参照)、先行加熱される直近の加熱線3との距離を条件値として含んでいる。
「重畳回数」のパラメータは、自己(補正対象の加熱線3)と「重畳」の干渉パターンを構成する組合せ相手の加熱線3が、何本重畳しているか(重畳回数)を条件としたものである。このパラメータは、同じ加熱位置を、1回だけ加熱するか、2回加熱するか、多数回繰り返して加熱するか、によって変動量Cが変化することに基づくものである。したがって、補正データベースBにおける重畳回数パラメータは、干渉パターンが重畳の場合であって、重畳される加熱線3の本数を条件値として含んでいる。なお、実際の適用にあたっては、例えば、各回数によって変動量Cは変化しないものと仮定し、加熱速度に応じた変動量Cを増分として重畳回数分だけ加算するようにすればよい。
「交差角度」のパラメータは、自己(補正対象の加熱線3)と「斜交」の干渉パターンを構成する組合せ相手の加熱線3との交差角度θが何度であるかを条件としたものである。このパラメータは、交差角度θの大小によって変動量Cが変化することに基づくものである。したがって、補正データベースBにおける交差角度パラメータは、干渉パターンが斜交の場合であって、干渉パターンを形成する第一加熱線31と第二加熱線32とを有する場合に(図3参照)、第一加熱線31と第二加熱線32とのなす角度を条件値として含んでいる。
続いて、干渉パターンごとに、図3及び表1を参照しつつ、補正データベースBのパラメータについて説明する。なお、上述したパラメータは、例えば、加熱方案の計算単位である加熱線3を構成する線素単位に設定される。
図3(a)に示した「平行」の干渉パターンにおいては、表1に示したように、加熱順序、加熱速度、加熱面及び配置間隔をパラメータとして使用する。例えば、図3(a)に示したように、第一加熱線31、第二加熱線32及び第三加熱線33が「平行」に配置され、この順序で加熱されるものとする。いま、第二加熱線32を補正対象の加熱線3として選択した場合には、「配置間隔」のパラメータには、第一加熱線31との配置間隔gをデータとして使用する。
図3(b)に示した「重畳」の干渉パターンにおいては、表1に示したように、加熱順序、加熱速度、加熱面及び重畳回数をパラメータとして使用する。例えば、図3(b)に示したように、第一加熱線31、第二加熱線32及び第三加熱線33が「重畳」している場合には、重畳回数は三回である。また、「加熱面」のパラメータでは、重畳回数が三回以上の場合には、各回数の加熱線3が同一面である場合と反対面である場合とが存在するため、重畳回数のデータを組み合わせて使用する。
図3(c)に示した「斜交」の干渉パターンにおいては、表1に示したように、加熱順序、加熱速度、加熱面、配置間隔及び交差角度をパラメータとして使用する。例えば、図3(c)に示したように、第一加熱線31に対して、第二加熱線32、第三加熱線33及び第四加熱線34が「斜交」し、この順序で加熱されるものとする。いま、第三加熱線33を補正対象の加熱線3として選択した場合には、「配置間隔」のパラメータには、第二加熱線32との配置間隔をデータとして使用する。
図3(d)に示した「直交」の干渉パターンにおいては、表1に示したように、加熱順序、加熱速度、加熱面及び配置間隔をパラメータとして使用する。例えば、図3(d)に示したように、第一加熱線31に対して、第二加熱線32、第三加熱線33及び第四加熱線34が「直交」し、この順序で加熱されるものとする。いま、第三加熱線33を補正対象の加熱線3として選択した場合には、「配置間隔」のパラメータには、第二加熱線32との配置間隔をデータとして使用する。例えば、この「配置間隔」が狭い場合には、前回の斜交加熱(第一加熱線31と第二加熱線32との斜交加熱)による残留応力が開放されて、今回の斜交加熱(第一加熱線31と第三加熱線33との斜交加熱)による変動量Cは小さくなる傾向にある。
上述した干渉パターン及びパラメータは、単なる一例であり、より詳細に補正した場合や特異点等の特殊な変動を考慮した場合には、特殊な干渉パターンを追加してもよいし、パラメータに材質、板厚、加熱温度等の種類を追加するようにしてもよい。勿論、簡素化したい場合には、任意のパラメータを削除又は無視するようにしてもよい。
ここで、図5は、直交加熱における補正データベースのテーブルの一例を示す図であり、(a)は同一面加熱の第一加熱線に対する横収縮の変動テーブル、(b)は同一面加熱の第二加熱線に対する横収縮の変動テーブル、(c)は反対面加熱の第一加熱線に対する横収縮の変動テーブル、(d)は反対面加熱の第二加熱線に対する横収縮の変動テーブル、である。
図5(a)〜(d)に示したテーブルは、板厚が20mmの横収縮の変動データ(変動量C)を、縦軸に先行加熱の加熱速度(V11〜V110)、横軸に後続加熱の加熱速度(V21〜V210)をとって、それぞれの組合せにおける変動データである変動量C(mm)を示したものである。加熱速度(V11〜V110及びV21〜V210)には、例えば、毎分50mm〜5000mmまでの10水準を設定すればよい。また、「直交」の干渉パターンを形成する第一加熱線31と第二加熱線32において(図3参照)、第一加熱線31を先行加熱とし、第二加熱線32を後続加熱としている。
図5(a)に示した変動テーブルは、第一加熱線31と第二加熱線32とが同一面加熱である場合における、第一加熱線31(先行加熱)の横収縮の変動テーブルである。また、図5(b)に示した変動テーブルは、第一加熱線31と第二加熱線32とが同一面加熱である場合における、第二加熱線32(後続加熱)の横収縮の変動テーブルである。なお、変動量Cのデータについては、図5(a)に示した変動テーブルではA1121〜A110210、図5(b)に示した変動テーブルではB1121〜B110210、のように形式的に記号で表示しているが、実際には計測した数値が入力される。
図5(c)に示した変動テーブルは、第一加熱線31と第二加熱線32とが反対面加熱である場合における、第一加熱線31(先行加熱)の横収縮の変動テーブルである。また、図5(d)に示した変動テーブルは、第一加熱線31と第二加熱線32とが反対面加熱である場合における、第二加熱線32(後続加熱)の横収縮の変動テーブルである。なお、変動量Cのデータについては、図5(c)に示した変動テーブルではC1121〜C110210、図5(d)に示した変動テーブルではD1121〜D110210、のように形式的に記号で表示しているが、実際には計測した数値が入力される。
このように、直交加熱における変動テーブルは、例えば、加熱線3が組合せ相手に対して、先行加熱であるか、後続加熱であるか、同一面加熱であるか、反対面加熱であるか、の組合せに対して四つのテーブルを有する。また、同様の組合せテーブルが、変形成分(横収縮、横曲がり、縦収縮、縦曲がり)ごとに構成される。他の干渉パターン(平行、重畳、斜交)についても類似のテーブルで構成される。なお、図5のテーブルに示した加熱速度の水準間は計算により補間して埋めるようにすればよい。
本発明は、上述した補正データベースBを使用して、従来の方法により算出された加熱方案Aに対して、加熱線3の干渉部4の変動量Cを算出し、以下の変動量算出工程(Step5)〜加熱方案再計算工程(Step7)により、より正確な加熱方案(正の加熱方案Ar)を算出する。なお、上述した補正データベース作成工程を、説明の便宜上、Step4として表示したが、補正データベースBは、本発明の加熱方案算出方法を使用する前に予め作成しておくものである。
前記変動量算出工程(Step5)は、補正対象の加熱線3に対して補正データベースBから変動量Cを算出する工程である。具体的には、加熱方案Aにより配置された加熱線3について、自己以外の加熱線3との関係を調べ、それらが所定の干渉パターン(平行、重畳、斜交、直交)に該当する場合には、相互の加熱速度及び加熱順序(後先)の情報を加えることによって、補正データベースBを検索し、変動量Cを入手する。変動量Cを入手する際に、テーブルによって設定された変動量Cをそのまま使用してもよいし、テーブルのデータを補間したり調整したりして変動量Cを算出するようにしてもよい。この一連の処理は、加熱方案Aを算出するコンピュータ、加熱方案Aを算出するコンピュータとネットワークで接続されたコンピュータ又は加熱方案Aを算出するコンピュータから分離独立したコンピュータに搭載されたコンピュータプログラムによって行ってもよい。
前記補正変形量算出工程(Step6)は、算出された変動量Cを加熱方案Aに加算する工程である。具体的には、加熱方案Aに基づいて加熱した場合に、平面形状2に与える変形量に変動量Cを加算し、補正変形量tを算出する。この補正変形量tは、加熱線3同士の干渉を受けた後の変形量予測値に相当する。このように、加熱線3の干渉による変動量Cを考慮することにより、従来の線形加算システムの枠組みの中で、非線形影響を考慮することができる。
前記加熱方案再計算工程(Step7)は、補正変形量tに基づいて補正加熱方案A2を算出して加熱方案Aを修正する工程である。例えば、加熱方案算出工程(Step3)において、加熱方案Aの計算は、加熱線格子を構成する直交する線素を取り上げ、その変形量が該当部の目的固有ひずみPの積分値になるように加熱条件を選択する計算をしている。このとき、補正変形量算出工程(Step6)で算出される補正変形量tは、変動量算出工程(Step5)で求めた加熱線の干渉に伴う変動量Cを該当部の線素が伴う定数として取り込み、変動量Cの分だけ数値が上乗せされた状態と考える。そして、加熱方案再計算工程(Step7)において、目的固有ひずみPを目標に改めて加熱方案を計算し、補正加熱方案A2を算出する。すなわち、第一実施形態における加熱方案再計算工程(Step7)は、補正変形量t(直接的には、変動量C)に基づいて加熱方案Aを再計算することを含む工程である。
また、図1に示したように、加熱方案再計算工程(Step7)の後に、加熱方案Aの再計算を必要回数(N回)行ったか否かを確認する再計算回数確認工程(Step8)を組み込んでもよい。加熱方案Aの再計算を行った場合、補正加熱方案A2の加熱速度に対応する加熱線3の干渉影響は、補正前の加熱方案Aにおける加熱線3の干渉影響とは異なったものとなる。そこで、加熱方案Aの場合と同様に、補正加熱方案A2についても、変動量算出工程(Step5)及び補正変形量算出工程(Step6)を繰返すことが好ましい。したがって、加熱方案Aの再計算を必要回数(N回)行っていない場合には、変動量算出工程(Step5)に戻り、変動量算出工程(Step5)〜加熱方案再計算工程(Step7)の工程を繰り返すようにしている。
ここで、必要回数(N回)のNは、任意に設定することができる正の整数であればよく、N=1であってもよい。また、N=1で固定する場合には、実質的に、再計算回数確認工程(Step8)を省略するようにしてもよい。また、N=2で固定する場合には、再計算回数確認工程(Step8)の代わりに、変動量算出工程(Step5)、補正変形量算出工程(Step6)及び加熱方案再計算工程(Step7)を再度行うようにしてもよい。
そして、加熱方案Aの再計算を必要回数(N回)行った補正加熱方案Anを正の補正加熱方案Arとして採用し、次の工程に進む。なお、干渉影響による変動量は最初の加熱方案Aの変動量Cに比べれば小さいので、加熱方案Aの再計算の繰り返しは少ない回数(例えば、1回又は数回程度。ただし、それに限定されるものではない。)で収束し、実用に耐えることができる。
また、変動量Cは加熱による塑性変形量と比べて小さいので、塑性変形量の変化に比べて変動量Cの変化もさらに小さくなる。そこで、簡略化した考え方として、変動量Cの変化を無視し、最初に求めた変動量Cをそのまま使い続けても実用に耐える正の加熱方案Arを得ることができる。具体的には、加熱方案算出工程(Step3)〜加熱方案再計算工程(Step7)の繰り返し工程において、繰り返しごとに変動量Cを算出するのではなく、最初の変動量算出工程(Step5)により算出した変動量Cを用いて加熱方案Aの再計算をN回繰り返すようにすればよい。
正の加熱方案Arが設定された後、以下の加熱施工フローに沿って加熱の施工が行われる。加熱施工フローは、生成固有ひずみQに基づいた曲面形状である出力形状を算出する出力形状算出工程(Step9)と、出力形状と目標形状1との差分eが基準値β以下であるか否か確認する出力形状確認工程(Step10)と、差分eが基準値β以上である場合に目標形状1に差分eを加算した補正目標形状を算出する補正目標形状算出工程(Step11)と、差分eが基準値β以下である場合に加熱方案Arに基づいて加熱を施工する加熱施工工程(Step12)と、を有する。
出力形状算出工程(Step9)では、目的固有ひずみPに近づいた生成固有ひずみQを弾性FEMプログラムに入力し、自由変形計算を行い、曲面形状を算出する。
出力形状確認工程(Step10)では、出力形状と目標形状1とを比較する。具体的には、その差分eが目標形状1に対して板厚比10〜100%以下であるか否かによって判断される。この差分eは、加熱線3の離散ひずみの周りの非加熱部に残留応力ができるために形状差が残ることによって生じる。ここで、基準値βを板厚比10〜100%と設定したのは、対象の板により要求のたわみ精度に差があり、例えば、幅3m、長さ15m、厚さ20mm程度の大きな板では板厚程度の差分が許容され、30〜50mm程度の厚板では、板の大きさが小さくて(例えば、幅2m、長さ3m程度)、曲面の剛性が高いことから、数mm以下の誤差しか許容されていないためである。
補正目標形状算出工程(Step11)では、目標形状1に形状差(差分e)を逆向きに加えたものを新たな目標形状1として補正目標形状を算出する。補正目標形状が算出された場合には、新たな目標形状1が与えられた状態であるため、再び、格子モデル作成工程(Step2)から正の加熱方案Arを算出する工程を繰り返す。かかる加熱方案算出工程については、既に説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
加熱施工工程(Step12)では、出力形状確認工程(Step10)をパスした加熱方案Arに基づいて鋼板に加熱の施工を行う。
なお、上述した加熱施工フローは、従来の加熱方案算出方法により算出された加熱方案に基づいて加熱の施工を行う場合と同様のフローであり、図示したものに限定されず、従来の他の方法を適用することもできる。
上述した本発明に係る線状加熱の加熱方案算出方法によれば、加熱線3の干渉パターンに着目し、この干渉パターンに応じた補正データベースBを作成し、補正データベースBを使用して加熱方案Aを補正するようにしたことにより、対象の金属板が厚板の場合や加熱線が密集した場合であっても、その変形を正確に予測することができ、その予測に基づいて目標形状1を形成可能な優れた加熱方案Arを算出することができる。
したがって、高いニーズがありながら、現在の自動曲げ加工システムでは、処理できなかった船首尾構造のような高度の曲げ加工の自動化について、実時間計算が難しく、大規模な計算環境を用いた高価な非線形シミュレーションを用いることなく、線形加算システムである現在の自動曲げ加工システムを拡張するだけで、容易に実現化を図ることができる。
続いて、本発明の他の実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法について説明する。ここで、図6は、本発明の第二実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法を示すフローチャートである。なお、上述した第一実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図6に示した第二実施形態は、図1に示した第一実施形態における加熱方案再計算工程(Step7)と再計算回数確認工程(Step8)との間に、生成固有ひずみ確認工程(Step13)を組み込んだものである。生成固有ひずみ確認工程(Step13)は、補正変形量tに基づいて形成されるひずみ分布(生成固有ひずみQ)と目的固有ひずみPとを比較した差分dが基準値α以下であるか否かを確認する工程である。そして、差分dが基準値α以下である場合には、加熱方案Aの再計算を終了し、次工程の出力形状算出工程(Step9)に進む。また、差分dが基準値α以下でない場合には、再計算回数確認工程(Step8)に進む。かかる生成固有ひずみ確認工程(Step13)を組み込むことによって、加熱方案Aの再計算を必要回数(N回)行っていなくても、次工程に進んでよいレベルまで加熱方案Aが修正できている場合に、無駄な加熱方案Aの再計算を省略して次工程に進むことができ、作業の効率化を図ることができる。
ここで、生成固有ひずみQは、補正変形量tに基づいて作り出される変形の分布からなる離散的なひずみ分布である。この生成固有ひずみQが目的固有ひずみPに充分近ければ、この加熱方案Anを実行して得られる曲面は目標形状1に近いものとなる。生成固有ひずみQが目的固有ひずみPに充分近いか否かは、上述したように、基準値αによって判断する。基準値αは、例えば、生成固有ひずみQと目的固有ひずみPとの差分dが目的固有ひずみPに対して5〜10%の大きさに設定される。また、差分dは、ひずみ成分ごとに算出され、比較される。かかる差分dが、5〜10%程度(基準値α)以内であれば、上述した出力形状算出工程(Step9)〜補正目標形状算出工程(Step11)の処理により、差分dが加熱の施工(Step12)に影響しない実用レベルまで収束させることができる。なお、上述した基準値αの数値は単なる一例であり、これに限定されるものではなく、例えば、経験値に基づいて設定を変更してもよいし、事前に試験等を繰り返して施工対象の鋼板に最適な数値を算出して設定してもよい。
なお、差分dを算出する際において、FEM計算により出力される目的固有ひずみPは滑らかに連続した分布を有する一方、加熱方案Anの生成固有ひずみQは細切れの離散変形を拾い上げることから、生成固有ひずみQを平滑化した上で目的固有ひずみPと比較する。生成固有ひずみQの平滑化は、例えば、FEM要素単位に拾い上げた生成固有ひずみを隣り合うFEM要素間で平均することにより行われる。
上述した第二実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法によっても、第一実施形態に係る線状加熱の加熱方案算出方法と同様に、補正データベースBを使用して加熱方案Aを補正することができ、同様の効果を奏する。なお、第二実施形態においても、変動量Cは、繰り返しごとに算出して加熱方案の再計算を行ってもよいし、最初の数値に固定して加熱方案の再計算を行ってもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されず、造船の外板曲げ加工以外の種々の金属板の曲げ加工に適用することができる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
1 目標形状
2 平面形状
3 加熱線
4 干渉部
31 第一加熱線
32 第二加熱線

Claims (13)

  1. 加熱によって作り出したい目標形状を示す有限要素法用の格子モデルを作成する格子モデル作成工程と、有限要素法を用いて、前記目標形状を平面形状に強制変形した後、該平面形状を前記目標形状に強制変形し、前記平面形状から前記目標形状を形成可能なひずみ分布である目的固有ひずみを算出する目的固有ひずみ算出工程と、前記目的固有ひずみを近似する加熱線の配置、加熱速度及び加熱順序を含む加熱方案を設定する加熱方案算出工程と、を有する線状加熱の加熱方案算出方法において、
    前記加熱線が密集した干渉部の干渉パターンに対する加熱施工条件と前記加熱線による変形の標準値からの変動量とを計測して補正データベースを作成する補正データベース作成工程と、
    前記加熱方案算出工程で算出された前記加熱方案から前記干渉パターンに相当する補正対象の加熱線を抽出し、前記補正データベースに基づいて該補正対象の加熱線の前記変動量を算出する変動量算出工程と、
    該変動量算出工程により算出された前記変動量を前記加熱方案に加算して補正変形量を算出する補正変形量算出工程と、
    前記補正変形量に基づいて前記加熱方案を再計算して補正加熱方案を算出する加熱方案再計算工程と、
    を有することを特徴とする線状加熱の加熱方案算出方法。
  2. 前記干渉パターンは、平行、重畳、斜交又は直交である、ことを特徴とする請求項1に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  3. 前記補正データベースは、前記干渉パターンに対して、加熱順序、加熱速度、加熱面、配置間隔、重畳回数又は交差角度をパラメータとして有する、ことを特徴とする請求項2に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  4. 前記補正データベースにおける加熱順序パラメータは、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線及び前記第二加熱線の加熱順序の後先を条件値として含む、ことを特徴とする請求項3に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  5. 前記補正データベースにおける加熱速度パラメータは、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線の加熱速度と前記第二加熱線の加熱速度との組合せを条件値として含む、ことを特徴とする請求項3に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  6. 前記補正データベースにおける加熱面パラメータは、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線及び前記第二加熱線が同一面又は反対面に存在するか否かを条件値として含む、ことを特徴とする請求項3に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  7. 前記補正データベースにおける配置間隔パラメータは、前記干渉パターンが形成する複数の加熱線を有する場合に、先行加熱される直近の加熱線との距離を条件値として含む、ことを特徴とする請求項3に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  8. 前記補正データベースにおける重畳回数パラメータは、前記干渉パターンが重畳の場合であって、重畳される加熱線の本数を条件値として含む、ことを特徴とする請求項3に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  9. 前記補正データベースにおける交差角度パラメータは、前記干渉パターンが斜交の場合であって、前記干渉パターンを形成する第一加熱線と第二加熱線とを有する場合に、前記第一加熱線と前記第二加熱線とのなす角度を条件値として含む、ことを特徴とする請求項3に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  10. 前記補正データベースは、横収縮、横曲がり変形、縦収縮又は縦曲がり変形のひずみ成分ごとにテーブルが形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  11. 前記加熱方案再計算工程は、加熱方案の再計算を必要回数行うまで、又は、前記補正変形量に基づいて形成されるひずみ分布である生成固有ひずみと前記目的固有ひずみとを比較した差分が基準値以下となるまで、前記加熱方案の再計算を繰り返すことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  12. 前記基準値は、前記生成固有ひずみと前記目的固有ひずみとの差分が前記目的固有ひずみに対して5〜10%の大きさである、ことを特徴とする請求項11に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
  13. 前記補正加熱方案は、少なくとも前記加熱速度を再計算することによって算出される、ことを特徴とする請求項1に記載の線状加熱の加熱方案算出方法。
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