上述したように道路の側部や交差点の角などに立設される信号柱などの鋼管柱は、中空の鋼管で構成され、鋼管柱下部の所定長部分が地中に埋設されていることから、一定以上の強度を有する。
一方、その地際部分、すなわち地中に埋設された部分と地上に露出した部分との境の地際の部分は、雨水が溜まりやすく、さらには犬などがマーキングのために好んで排尿することが多いため、他の地中部分や鋼管柱上部に比較して常に湿潤して腐食しやすい環境にあるといえる。そのため、このような環境下にある鋼管柱は、車両等の接触事故に際して、地際部分から折れ曲がり易くなっている可能性は否めない。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋼管柱の地際部分を簡単かつ経済的に補強する鋼管柱用の補強体および該補強体を用いた鋼管柱の補強方法を提供することにある。
上記課題を達成するため、請求項1記載の鋼管柱用の補強体は、下部の所定長部分が地中に埋設されて地上に立設された真っ直ぐな中空の鋼管柱の地際を補強すべく鋼管柱内の地際に配設される鋼管柱用の補強体であって、鋼管柱の長手方向に沿って鋼管柱の地際を挟んで下方に所定長、上方に所定長配設される複数の第1の補強用棒状部材と、この複数の第1の補強用棒状部材を鋼管柱の周方向に等角度で均等に配設するように複数の第1の補強用棒状部材が挿通される複数の保持部を有する複数の均等配置治具と、前記複数の第1の補強用棒状部材が挿通された複数の均等配置治具の複数の保持部の外周部から中心部に向かって貫通するように螺合するねじであって、この貫通したねじの先端を第1の補強用棒状部材に当接させて複数の第1の補強用棒状部材を複数の均等配置治具の複数の保持部で一体的に保持する複数のねじと、前記複数の均等配置治具の中心部に形成された中心孔に挿通される第2の補強用棒状部材と、前記複数の均等配置治具のうち最上部の均等配置治具の中心孔を挿通する前記第2の補強用棒状部材の上部を最上部の均等配置治具の中心孔に固定的に保持するための高ナットとを有することを要旨とする。
請求項1記載の鋼管柱用の補強体では、鋼管柱の長手方向に配設される複数の第1の補強用棒状部材を複数の均等配置治具の保持部で鋼管柱の周方向に等角度で均等に配設し、この複数の保持部にねじを螺合貫通させ、このねじの先端を第1の補強用棒状部材に当接させて複数の第1の補強用棒状部材を一体的に保持するとともに、均等配置治具の中心孔に挿通される第2の補強用棒状部材の上部を最上部の均等配置治具の中心孔に高ナットで固定的に保持するため、鋼管柱用の補強体は一体的に保持される複数の補強用棒状部材により1個の構成部材として一体的に堅固に構成され、中空の鋼管柱を強固に補強することができる。
請求項2記載の鋼管柱用の補強体は、前記複数の第1の補強用棒状部材が、アラミドロッドであり、前記第2の補強用棒状部材が、PC鋼線であることを要旨とする。
請求項3記載の鋼管柱用の補強体は、下部の所定長部分が地中に埋設されて地上に立設された屈曲した中空の鋼管柱の地際を補強すべく鋼管柱内の地際に配設される鋼管柱用の補強体であって、鋼管柱の長手方向に沿って鋼管柱の地際を挟んで下方に所定長、上方に所定長配設される複数の補強用棒状部材と、この複数の補強用棒状部材を鋼管柱の周方向に等角度で均等に配設するように複数の補強用棒状部材が挿通される複数の保持部を有する複数の均等配置治具と、前記複数の補強用棒状部材が挿通された複数の均等配置治具の複数の保持部の外周部から中心部に向かって貫通するように螺合するねじであって、この貫通したねじの先端を補強用棒状部材に当接させて複数の補強用棒状部材を複数の均等配置治具の複数の保持部で一体的に保持する複数のねじとを有することを特徴とする鋼管柱用の補強体。
請求項3記載の鋼管柱用の補強体では、鋼管柱の長手方向に配設される複数の補強用棒状部材を複数の均等配置治具の保持部で鋼管柱の周方向に等角度で均等に配設し、この複数の保持部にねじを螺合貫通させ、このねじの先端を複数の補強用棒状部材に当接させて複数の補強用棒状部材を一体的に保持するため、鋼管柱用の補強体は一体的に保持される複数の補強用棒状部材により1個の構成部材として一体的に堅固に構成され、中空の鋼管柱を強固に補強することができる。
請求項4記載の鋼管柱用の補強体は、前記複数のねじが、頭の大きな平ねじであって、当該平ねじの先端が補強用棒状部材に当接しても、当該平ねじのねじ頭が保持部の外周部から突出していることを要旨とする。
請求項4記載の鋼管柱用の補強体では、平ねじのねじ頭が保持部の外周部から突出しているため、この平ねじの突出長を調整することにより、内径の異なる種々の鋼管柱に適応することができる。
請求項5記載の鋼管柱用の補強体は、前記複数の補強用棒状部材を保持する複数の均等配置治具のうち、最上部と最下部に位置する均等配置治具の保持部の外周部から中心部に向かって貫通するように螺合するねじが、頭の大きな平ねじであって、当該平ねじの先端が補強用棒状部材に当接しても、当該平ねじのねじ頭が保持部の外周部から突出しており、前記複数の補強用棒状部材を保持する複数の均等配置治具のうち、最上部と最下部に位置する均等配置治具を除く他の均等配置治具の保持部の外周部から中心部に向かって貫通するように螺合するねじが、いもねじであって、当該いもねじの先端が補強用棒状部材に当接した場合、当該いもねじのねじ頭は、保持部内に埋設し、保持部の外周部から突出しないことを要旨とする。
請求項5記載の鋼管柱用の補強体では、最上部と最下部の均等配置治具の保持部の外周部から中心部に向かって貫通するように螺合するねじは頭の大きな平ねじであって、該平ねじのねじ頭が保持部の外周部から突出しており、最上部と最下部の均等配置治具を除く他の均等配置治具の保持部の外周部から中心部に向かって貫通するように螺合するねじは、いもねじであって、該いもねじのねじ頭は保持部内に埋設し、保持部の外周部から突出しないため、平ねじの大きな頭部が他の部分よりも鋼管柱の内周面に対して点接触的に強く当接し、これにより屈曲した鋼管柱に対しても補強体は円滑に挿入される。
請求項6記載の鋼管柱用の補強体は、前記複数の補強用棒状部材は、最上部の均等配置治具から上方に突出した上端部の長さである突出長が同じであることを要旨とする。
請求項6記載の鋼管柱用の補強体では、最上部の均等配置治具から上方に突出した補強用棒状部材の上端部の突出長が同じである。
請求項7記載の鋼管柱用の補強体は、前記複数の補強用棒状部材が、最上部の均等配置治具から上方に突出した上端部の長さである突出長が同じでなく、徐々に順次長くなっていることを要旨とする。
請求項7記載の鋼管柱用の補強体では、複数の補強用棒状部材の、最上部の均等配置治具から上方に突出した上端部の長さである突出長が同じでなく、徐々に順次長くなっているため、鋼管柱用の補強体を屈曲した鋼管柱に挿入する場合に、上方に突出した補強用棒状部材の最も長い上端部が鋼管柱の内周面に当たって梃子のように作用して、補強体の鋼管柱への挿入を円滑にすることができる。
請求項8記載の鋼管柱用の補強体は、前記複数の補強用棒状部材が柔軟性があり曲がり易いアラミドロッドであることを要旨とする。
請求項8記載の鋼管柱用の補強体では、複数の補強用棒状部材が柔軟性があり曲がり易いアラミドロッドであるため、屈曲した鋼管柱に対しても補強体を容易かつ円滑に挿入することができる。
請求項9記載の鋼管柱の補強方法は、下部の所定長部分が地中に埋設されて地上に立設された真っ直ぐな中空の鋼管柱の地際を補強するための請求項1または2記載の鋼管柱用の補強体を用いた鋼管柱の補強方法であって、鋼管柱の上端の頂部開口から鋼管柱内に砕石を投入する砕石投入工程と、鋼管柱内に投入した砕石の量の確認後、補強体の上部に懸吊紐を取り付けて補強体を吊るしながら補強体を鋼管柱の上端の頂部開口から鋼管柱内に挿入する補強体挿入工程と、この吊るしながら鋼管柱内に挿入された補強体を徐々に降下させ、補強体の下端部が前記砕石に当接するまで補強体を下降させる補強体下降工程と、補強体の下端部が砕石に当接して安定した後、前記懸吊紐を鋼管柱の頂部開口から取り出す懸吊紐取出し工程と、鋼管柱の上端の頂部開口から鋼管柱内にモルタルを投入するモルタル投入工程とを有することを要旨とする。
請求項9記載の補強体の補強方法では、鋼管柱内に砕石を投入し、懸吊紐で補強体を吊るしながら補強体を頂部開口から鋼管柱内に挿入し、補強体を砕石に当接するまで下降させ、補強体の安定後、頂部開口から鋼管柱内にモルタルを投入するため、鋼管柱の下部を補強体もろとも全体的にモルタルで固めることができ、鋼管柱の地際は強固に補強され、鋼管柱は地際部分から極めて倒壊しにくいとともに、また鋼管部分が腐食したとしても複数の補強用棒状部材からなる強固な構造とモルタルで固められて構成される補強体により鋼管柱は容易には倒れ難く、かつ折れ難くなっているとともに、複数の補強用棒状部材を均等配置治具にねじなどで一体化して構成される補強体を単に鋼管柱に挿入してからモルタルで固めるだけのものであり、比較的簡単かつ経済的に構成することができる。
請求項10記載の補強体の補強方法は、下部の所定長部分が地中に埋設されて地上に立設された屈曲した中空の鋼管柱の地際を補強するための請求項3乃至8のいずれか1項に記載の鋼管柱用の補強体を用いた鋼管柱の補強方法であって、鋼管柱の上端の頂部開口から鋼管柱内に砕石を投入する砕石投入工程と、鋼管柱内に投入した砕石の量の確認後、補強体の上部に懸吊紐を取り付けて補強体を吊るしながら補強体を鋼管柱の上端の頂部開口から鋼管柱内に挿入する補強体挿入工程と、この吊るしながら鋼管柱内に挿入された補強体の上端部を押込み棒で下方に押し込みながら補強体を徐々に降下させ、補強体の下端部が前記砕石に当接するまで補強体を下降させる補強体下降工程と、補強体の下端部が砕石に当接して安定した後、前記懸吊紐を鋼管柱の頂部開口から取り出す懸吊紐取出し工程と、鋼管柱の上端の頂部開口から鋼管柱内にモルタルを投入するモルタル投入工程とを有することを要旨とする。
請求項10記載の補強体の補強方法では、鋼管柱内に砕石を投入し、懸吊紐で補強体を吊るしながら補強体を頂部開口から鋼管柱内に挿入し、この挿入された補強体の上端部を押込み棒で下方に押し込みながら補強体を砕石に当接するまで下降させ、補強体の安定後、頂部開口から鋼管柱内にモルタルを投入するため、屈曲した鋼管柱の下部を補強体もろとも全体的にモルタルで固めることができ、鋼管柱の地際は強固に補強され、鋼管柱は地際部分から極めて倒壊しにくいとともに、また鋼管部分が腐食したとしても複数の補強用棒状部材からなる強固な構造とモルタルで固められて構成される補強体により鋼管柱は容易には倒れ難く、かつ折れ難くなっているとともに、複数の補強用棒状部材を均等配置治具にねじなどで一体化して構成される補強体を単に鋼管柱に挿入してからモルタルで固めるだけのものであり、比較的簡単かつ経済的に構成することができる。
本発明によれば、鋼管柱の長手方向に配設される複数の第1の補強用棒状部材を複数の均等配置治具の保持部で鋼管柱の周方向に等角度で均等に配設して保持するとともに、均等配置治具の中心孔に挿通される第2の補強用棒状部材の上部を最上部の均等配置治具の中心孔に高ナットで固定的に保持するので、鋼管柱用の補強体は一体的に保持される複数の補強用棒状部材により1個の構成部材として一体的に堅固に構成され、中空の鋼管柱を強固に補強することができる。
また、本発明によれば、鋼管柱の長手方向に配設される複数の補強用棒状部材を複数の均等配置治具の保持部で鋼管柱の周方向に等角度で均等に配設して複数の補強用棒状部材を一体的に保持するので、鋼管柱用の補強体は一体的に保持される複数の補強用棒状部材により1個の構成部材として一体的に堅固に構成され、中空の鋼管柱を強固に補強することができる。
更に、本発明によれば、鋼管柱内に砕石を投入し、懸吊紐で補強体を吊るしながら補強体を頂部開口から鋼管柱内に挿入し、補強体を砕石に当接するまで下降させ、補強体の安定後、頂部開口から鋼管柱内にモルタルを投入するので、鋼管柱の下部を補強体もろとも全体的にモルタルで固めることができ、鋼管柱の地際は強固に補強され、鋼管柱は地際部分から極めて倒壊しにくいとともに、また鋼管部分が腐食したとしても複数の補強用棒状部材からなる強固な構造とモルタルで固められて構成される補強体により鋼管柱は容易には倒れ難く、かつ折れ難くなっているとともに、複数の補強用棒状部材を均等配置治具にねじなどで一体化して構成される補強体を単に鋼管柱に挿入してからモルタルで固めるだけのものであり、比較的簡単かつ経済的に構成することができる。
本発明によれば、鋼管柱内に砕石を投入し、懸吊紐で補強体を吊るしながら補強体を頂部開口から鋼管柱内に挿入し、この挿入された補強体の上端部を押込み棒で下方に押し込みながら補強体を砕石に当接するまで下降させ、補強体の安定後、頂部開口から鋼管柱内にモルタルを投入するので、屈曲した鋼管柱の下部を補強体もろとも全体的にモルタルで固めることができ、鋼管柱の地際は強固に補強され、鋼管柱は地際部分から極めて倒壊しにくいとともに、また鋼管部分が腐食したとしても複数の補強用棒状部材からなる強固な構造とモルタルで固められて構成される補強体により鋼管柱は容易には倒れ難く、かつ折れ難くなっているとともに、複数の補強用棒状部材を均等配置治具にねじなどで一体化して構成される補強体を単に鋼管柱に挿入してからモルタルで固めるだけのものであり、比較的簡単かつ経済的に構成することができる。
また、本発明によれば、平ねじのねじ頭が保持部の外周部から突出しているので、この平ねじの突出長を調整することにより、ねじ頭に接する外接円の外径を調整して、内径の異なる種々の鋼管柱に適応することができる。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる鋼管柱用の補強体を用いて補強された真っ直ぐな鋼管柱91の内部構造を全体的に示す図である。同図において、本実施形態の補強体1は、鋼管柱91内の下部に挿入されて、その地際部分に設けられ、鋼管柱91の地際部分を補強している。この鋼管柱91は、下部の所定長部分、例えば下部の600mmが地中99に埋設され、上部の所定長部分、例えば4000mmが地上から出て、地上に立設された例えば交通信号灯用の信号柱などのような中空の真っ直ぐな鋼管柱である。
なお、地中99に埋設された鋼管柱91の下部の周囲には、基礎砕石101が設けられ、この基礎砕石101の上に基礎コンクリート103が設けられて、鋼管柱91の下部の周囲を固めている。
図2(a)および(b)は、それぞれ図1に示すように補強体1で補強された鋼管柱91の地際部分を拡大して示す平面図および説明図である。図1および図2に示すように、鋼管柱91の最下部には、砕石93(例えば7号の砕石)が堆積されて固められ、この砕石93の上に補強体1が配設され、さらに、このように配設された補強体1の間の隙間および上部や砕石93の隙間には無収縮のモルタル95が充填されている。
補強体1は、図3に単体で示すように、複数の補強用棒状部材である複数(本実施形態では、4本)のアラミドロッド5とこれらのアラミドロッド5の中心に設けられている1本のPC鋼線7とを有し、これらの補強用棒状部材を構成する複数のアラミドロッド5とPC鋼線7は、複数(本実施形態では4個)の均等配置治具9で一体的に保持されている。なお、本実施形態において、アラミドロッド5は、第1の補強用棒状部材を構成するものであり、PC鋼線7は、第2の補強用棒状部材を構成するものである。
図4は、図3に示した補強体1を詳細に示すために部分的に分解して示す図である。更に詳しくは、図4(a)、(b)、(c)は、図3に示した補強体1の側面図(a)および、この補強体1に使用されている端部用の均等配置治具9の要部の詳細を示す側面図(b)、および中間部用の均等配置治具9の要部の詳細を示す側面図(c)である。
各均等配置治具9は、図3の斜視図に示すように、中心部にPC鋼線7が挿通される中心孔11aが形成された円盤11を有し、この円盤11の外周部に接触して複数(本実施形態では4個)の短筒状の保持部13が円盤11の周方向に等角度(本実施形態では90度毎)で均等に取り付けられている。本実施形態では、均等配置治具9の円盤11は2枚の板盤部材で構成され、保持部13から突出した(図示しない)短い腕部をこの2枚の板盤部材で挟み込み、2枚の板盤部材をねじで固定することにより一体に構成している。なお、円盤11の中心孔11aの周囲には、強度を保持しつつ、材料の低減と軽量化を計るために、複数の孔がもうけられている。
また、この保持部13は、本実施形態では円盤11の外周部に直接、接触して設けられるが、鋼管柱91の内径と円盤11の直径との相対関係、すなわち鋼管柱91の内壁面と円盤11の外周面との離間距離に応じて、極力、複数のアラミドロッド5が鋼管柱91の内壁面に近づいて、強度を高められるように、保持部13に腕部を設けて円盤11の外周部とは離間して設けるようにしても良い。これにより、鋼管柱91の内径に応じて外接円の直径の異なる均等配置治具9を多種類、揃える必要がなくなり、直径の異なる円盤11と腕部の長さの異なる保持部13とを少ない種類だけ揃えることで、これらの組み合わせにより、種々の鋼管柱91に対応することが可能となる。
そして、この複数の円盤11の複数の保持部13に、図4(c)に示すようにアラミドロッド5がそれぞれ挿通され、これにより複数のアラミドロッド5が複数の保持部13を介して円盤11に一体的に保持されるようになっている。
また、補強体1の上下両端部に用いられる均等配置治具9の保持部13は、図4(b)に示すように有底のカップ状に形成され、アラミドロッド5を上下方向に保持するようにしている。このとき有底の保持部13に替えて、筒状の保持部13を用いて、後述するように、タッピンねじやドリリングタッピンねじ、あるいはトラフねじやいもねじなどを保持部13の外周部から中心部に向かってねじをねじ込んで、ねじの先端をアラミドロッド5に当接させて、アラミドロッド5を保持部13に保持するようにしても良い。
このように複数のアラミドロッド5を複数の保持部13を介して円盤11に一体的に保持・固定するために、アラミドロッド5を挿通された均等配置治具9の保持部13の外周部から中心部に向かって、同図では図示しないいもねじなどのねじを螺合貫通させ、この貫通したねじの先端をアラミドロッド5に当接させることにより、アラミドロッド5を保持部13で一体的に強固に固定する。
なお、ねじを保持部13の外周部から中心部に向かって貫通させるには、保持部13の外周部から中心部に向かうねじ孔を予め保持部13に形成しておき、このねじ孔にねじを螺合させて貫通させたり、またはねじとして、例えばタッピンねじやドリリングタッピンねじなどを使用し、このタッピンねじやドリリングタッピンねじなどで保持部13の外周部から中心部に向かってねじを切りながらねじ込んで、当該タッピンねじやドリリングタッピンねじなどの先端をアラミドロッド5に当接させて、アラミドロッド5を保持部13に保持するなどにより可能である。
PC鋼線7は、複数のアラミドロッド5の中心に1本設けられていて、この1本のPC鋼線7は、複数の円盤11の中心孔11aに挿通されているが、このPC鋼線7は、複数の均等配置治具9のうちの最上部の均等配置治具9の円盤11の中心孔11aを挿通して上方に延出したPC鋼線7の上部とその下部に高ナット15を取り付けて、最上部の均等配置治具9に固定的に保持されている。
更に詳しくは、最上部の均等配置治具9の円盤11の上下には、円盤11を挟むように2個の高ナット15を設け、この2個の高ナット15のうち下側の高ナット15の雌ねじ部にPC鋼線7の先端を螺合させてから、この下側の高ナット15の雄ねじ部を円盤11の中心孔11aに挿通させて上方に延出させ、この上方に延出した雄ねじ部に上側の高ナット15の雌ねじ部を螺合させることにより、下側の高ナット15と上側の高ナット15との間に円盤11を挟み、これによりPC鋼線7を高ナット15を介して円盤11に固定している。
以上のように構成することにより、複数のアラミドロッド5は、均等配置治具9の保持部13を介して一体的に保持され、またPC鋼線7は、高ナット15を介して円盤11に一体的に保持され、図3に示すように、補強体1は、1個の構成部材である補強体1として一体的に堅固に構成されている。
図5は、本発明の第2の実施形態に係わる鋼管柱用の補強体で補強された鋼管柱の地際を拡大して示す図2と同様な平面図(a)および参考図(b)である。同図に示す鋼管柱91は、図1および図2に示す鋼管柱91と同じものであるが、この鋼管柱91を補強する補強体100は、アラミドロッド5の数および均等配置治具の構造が図1および図2に示した補強体1と異なっているものであり、その他の構成は同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5に示す補強体100は、図6に単体で図4と同様な図で示すように、補強用棒状部材として6本のアラミドロッド5と1本のPC鋼線7を有するとともに、この6本のアラミドロッド5と1本のPC鋼線7を一体的に構成するための均等配置治具19からなる。
図6(a)は、補強体1の側面図、図6(b)は、この補強体1に使用される端部用の均等配置治具9の要部の詳細を示す側面図、および図6(c)は、中間部用の均等配置治具9の要部の詳細を示す側面図である。
円盤17の外周部に接触して6個の短筒状の保持部13が円盤17の周方向に等角度で均等に取り付けられ、この6個の保持部13に6本のアラミドロッド5がそれぞれ挿通されている。また、各円盤17の中心部に形成された中心孔17aにはPC鋼線7が挿通されている。なお、円盤17の中心孔17aと外周部との間には複数の孔と切り込みが形成されている。
上述したように、図5および図6に示す第2の実施形態の補強体100は、図1乃至図4に示した第1の実施形態の補強体1においてアラミドロッド5の数が4本から6本に増えるとともに、保持部13の数が4個から6個に増えたものであって、その他の構造、特に6本のアラミドロッド5を6個の保持部13に挿通して保持する構造およびPC鋼線7を円盤17の中心孔17aに挿通して、高ナット15で保持する構造、および保持部13の形状などは第1の実施形態と同じである。
次に、図7乃至図12を参照して、図1乃至図4に示す第1の実施形態に係わる補強体1を用いて鋼管柱91を補強する方法について説明する。なお、図5および図6に示す第2の実施形態の補強体100を用いた鋼管柱91の補強方法の処理手順も図7乃至図12に示す補強方法の処理手順と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
まず、図7に示すように、下部の所定長部分が地中に埋設されて地上に立設されている鋼管柱91の内部に塩ビパイプ31を挿入し、この塩ビパイプ31の下端部を鋼管柱91の底面に突き当てて、鋼管柱91の床付け深さを確認する。なお、この塩ビパイプ31の下端部には、例えば円板31aが取り付けられているが、この円板31aを鋼管柱91の底面に突き当てることにより、鋼管柱91の床付け深さを適確に確認することができる。
次に、図8に示すように、鋼管柱91の頂部開口に漏斗33を設置し、この漏斗33を介して砕石93を鋼管柱91内に投入する(砕石投入工程)。なお、砕石93の投入にあたっては、砕石93を予めバケツ37に入れておき、このバケツ37から漏斗33の上に砕石93を投入し、漏斗33から鋼管柱91内に入るようにする。
このように漏斗33を介して鋼管柱91内に投入された砕石93は、鋼管柱91の底に堆積されるので、次に、図9に示すように、塩ビパイプ39を用いて、鋼管柱91の底に堆積された砕石93の量を確認する。なお、この塩ビパイプ39の下端部にも、例えば円板39aが取り付けられているが、この円板39aを鋼管柱91の底面上の砕石93に突き当てることにより、鋼管柱91の底に堆積された砕石93の量を適確に確認することができる。なお、塩ビパイプ39は、塩ビパイプ31と同じものであってもよい。
砕石93の投入量は、この投入された砕石93の上に前記補強体1を配設した場合に、補強体1の長さ方向の中央部が地際の位置となり、この地際を境に下方の地中99に補強体1の半分が配設され、補強体1の残りの半分が地際より上方の地上に出るような投入量になるように砕石93を投入する。これは、図7で説明したように、塩ビパイプ31で鋼管柱91の床付け深さを確認した時の床付け深さと、今回の図9で示したように、塩ビパイプ39で鋼管柱91の底の砕石93の量を確認した時の砕石93の量とから、この投入された砕石93の上面から地際までの長さを算出することができる。
従って、この砕石93の上面から地際までの長さと補強体1の半分の長さを比較することにより、補強体1の長さ方向の中央部が地際の位置になるか、どうかがわかるので、この位置関係に基づいて砕石93の投入量を加減するように行われる。
次に、図10に示すように、鋼管柱91の内部に図1乃至図4で説明した第1の実施形態の補強体1を挿入するが、このためにまず補強体1の上部に懸吊紐41を取り付け、この懸吊紐41で補強体1を吊るしながら補強体1を鋼管柱91の上端の頂部開口から鋼管柱91内に挿入する(補強体挿入工程)。それから、懸吊紐41で吊るしながら鋼管柱91内に挿入した補強体1を徐々に降下させ、補強体1の下端部が鋼管柱91の底の砕石93に当接するまで補強体1を下降させる(補強体下降工程)。
次に、図11に示すように、外部に設けた電源部47に電気コード45を介して接続されたCCDカメラ43を鋼管柱91の頂部開口から内部に挿入し、補強体1の配置状態を確認する。そして、補強体1の配置状態が正常であることを確認すると、補強体1の上部にくぐらすなどして取り付けていた懸吊紐41を鋼管柱91の頂部開口から取り出す(懸吊紐取出し工程)。
次に、図12に示すように、CCDカメラ43で確認しながら、鋼管柱91の頂部開口から鋼管柱91内にモルタル95を投入する(モルタル投入工程)。このモルタル95の投入は、図8で説明した砕石93の投入と同様に、鋼管柱91の頂部開口に漏斗53を設置するとともに、モルタル95をバケツ55に入れておき、このバケツ55から漏斗53の上にモルタル95を投入し、漏斗53から鋼管柱91内に入るようにする。
このように鋼管柱91内に投入されたモルタル95は、補強体1を構成するアラミドロッド5およびPC鋼線7からなる複数の補強用棒状部材の間をその下部から上部まで埋め尽くすとともに、更に補強体1の上部を覆って、補強体1の上部が見えなくなる程に、具体的には例えば補強体1の上10cm以上、鋼管柱91内に投入される。
以上のように、下部が地中に埋設されて地上に立設された真っ直ぐな中空の鋼管柱91の底に地際を中心として補強体1を配設するとともに、この補強体1の上からモルタル95を投入して、鋼管柱91の下部を補強体1もろとも全体的にモルタル95で固めることにより、鋼管柱91の地際は強固に補強され、鋼管柱91は地際部分から極めて倒壊しにくくなるとともに、また鋼管部分が腐食したとしても複数の補強用棒状部材からなる強固な構造とモルタルで固められて構成される補強体1により鋼管柱91は容易には倒れ難く、かつ折れ難くなっている。また、本実施形態の補強体1による鋼管柱91の補強は、複数の補強用棒状部材を均等配置治具19にねじなどで一体化して構成される補強体1を単に鋼管柱91内に挿入してからモルタル95を投入するだけのものであり、比較的簡単かつ経済的に構成することができる。
図13は、本発明の第3の実施形態に係わる鋼管柱用の補強体を用いて補強された屈曲した鋼管柱の内部構造を全体的に示す図である。同図に示す第3の実施形態の補強体61は、道路交通標識やカーブミラーでよく用いられる屈曲した鋼管柱97内に挿入され、その地際部分に設けられ、この屈曲した鋼管柱97の地際部分を補強している。
この屈曲した鋼管柱97は、全体の大きさとしては、図1に示した真っ直ぐな鋼管柱91と同様に、全長4m、内径60〜100mm程度で、例えば下部の600mmが地中99に埋設され、上部の所定長部分、例えば3400mmが地上から出て、地上に立設される。
この鋼管柱97の頂部から、例えば、800mmだけ下がった所で約20〜30度屈曲し、この屈曲部から更に下方に650mm下がった所で戻るように約20〜30度屈曲し、下部の例えば2550mmが真っ直ぐになっているものである(I型曲柱)。このように上部寄りの途中が屈曲した鋼管柱97も、例えば交通信号灯用の信号柱などのための中空の鋼管柱として使用され、上部を屈曲させることにより、この鋼管柱97の傍を通過する交通の邪魔にならないようにしているものである。なお、地中99に埋設された鋼管柱97の下部の周囲には、基礎砕石101が設けられ、この基礎砕石101の上に基礎コンクリート103が設けられて、鋼管柱97の下部の周囲が固められていることは同じである。
図13のように屈曲した鋼管柱97の下部の地際を中心とした部分を補強する本実施形態の補強体61について図14、図15、図16(a)、(b)を参照して説明する。図14は、鋼管柱97の地際を拡大した断面を示す図であり、図15は、補強体61を単体で示す斜視図であり、図16(a)、(b)は、補強体61を部分的に分解して示す図4に類似した図である。
補強体61は、補強用棒状部材を構成する複数(本実施形態では、5本)のアラミドロッド59を有するも、第1および第2の実施形態の補強体1および100のようなPC鋼線7は備えていない。これは、補強体61が図13に示すように屈曲した鋼管柱97内に挿入される場合に、補強体61が柔軟性をもって鋼管柱97内を比較的円滑に挿入され得るようにするためである。
また、この補強体61に使用されるアラミドロッド59は、第1および第2の実施形態の補強体1および補強体100に使用される硬性の強いアラミドロッド5に比較して若干硬性が低く、曲がり易いように構成されているものである。このため、図13のように屈曲した鋼管柱97でも補強体61を容易かつ円滑に挿入することができる。
前記5本のアラミドロッド59は、複数(本実施形態では4個)の円板状の均等配置治具69で一体的に保持されている。各均等配置治具9は、図16(a)、(b)において、図16(a)の平面図で示すように、中心部に形成された孔の周囲に保持部である5個のロッド保持孔71が周方向に等角度で均等に形成されている。そして、図16(b)の側面図で示すように、この複数のロッド保持孔71に複数のアラミドロッド59がそれぞれ挿通され、これにより複数のアラミドロッド59が複数のロッド保持孔71を介して均等配置治具69に一体的に保持されるようになっている。なお、5本のアラミドロッド59の上端部は、最上部の均等配置治具69のロッド保持孔71を貫通して上方に少し、例えば数cm程度延出しているが、この上方に延出した上端部の長さは、5本ともすべて同じ長さになっている。
更に具体的には、このように複数のアラミドロッド59を複数のロッド保持孔71を介して均等配置治具69に一体的に保持するために、複数の均等配置治具69の複数のロッド保持孔71に対応する部分の外周部から中心部に向かって、頭の大きな平ねじであるトラスねじ73が5個螺合して取り付けられている。従って、このトラスねじ73を締め付けることにより、このトラスねじ73は、均等配置治具69の外周部から中心に向かって進み、その先端がアラミドロッド59に当接し、これによりアラミドロッド59をロッド保持孔71で一体的に保持することができる。
また、トラスねじ73を締め付け、その先端をアラミドロッド59に当接させて、アラミドロッド59をロッド保持孔71で一体的に保持した場合に、トラスねじ73の大きな頭部を均等配置治具69から突出させることにより、トラスねじ73の頭部が屈曲した鋼管柱97の内周面に対して点接触的に当接し、補強体61を円滑に挿入することができるとともに、トラスねじ73の頭部が均等配置治具69から突出する長さを調整することにより、5個のトラスねじ73の頭部で構成される外接円の直径を調整することができるが、この外接円の直径は、補強体61が挿入される鋼管柱97の内径に対応するものである。
従って、鋼管柱97の内径に応じてトラスねじ73の頭部の突出する長さを可変することにより、本実施形態の補強体61を種々の内径の鋼管柱97に適応することができる。具体的には、内径が大きく太い鋼管柱97に対しては、頭部の突出する長さが長いトラスねじ73を使用し、また内径が小さく細い鋼管柱97に対しては、頭部の突出する長さが短いトラスねじ73を使用することにより、種々の太さの鋼管柱97に対応することができる。
なお、トラスねじ73を均等配置治具69の外周部から中心部に向かって螺合させるには、均等配置治具69の外周部から中心部に向かうねじ孔を予め均等配置治具69に形成しておき、このねじ孔にトラスねじ73を螺合させて貫通させたり、またはトラスねじ73として、例えばタッピンねじやドリリングタッピンねじ形式のねじを使用し、このタッピンねじやドリリングタッピンねじ形式のトラスねじ73で均等配置治具69の外周部から中心部に向かってねじを切りながらねじ込んで、トラスねじ73の先端をアラミドロッド59に当接させて、アラミドロッド59を均等配置治具69に保持することができる。
以上説明したように、本実施形態の補強体61は、複数の均等配置治具69の複数のロッド保持孔71に複数のアラミドロッド59を挿通し、この挿通された複数のアラミドロッド59に対して均等配置治具69の外周部から中心部に向かって、トラスねじ73を螺合させ、これらのねじの先端をアラミドロッド59に当接させることにより、複数のアラミドロッド59は、複数の均等配置治具69により一体的に保持され、図15に示すような一体構造として構成されるが、上述したように、複数の均等配置治具69に対しては、頭の大きな平ねじであるトラスねじ73を使用し、このトラスねじ73の大きな頭部分を均等配置治具69から突出させることにより、トラスねじ73の大きな頭部が屈曲した鋼管柱97の内周面に対して点接触的に当接し、補強体61を円滑に挿入することができるとともに、またトラスねじ73の頭部の突出する長さを可変することにより、本実施形態の補強体61を種々の内径の鋼管柱97に適応することができる。
次に、以上のように構成される補強体61を用いて、図13に示すように屈曲した鋼管柱97を補強することになるが、この鋼管柱97の補強方法は、図17に示すように、補強体61を鋼管柱97内に挿入する補強体挿入工程を除いて、図7乃至図12で説明した第1の実施形態の補強体1を用いた補強方法と基本的には同じである。従って、補強体挿入工程を除いて簡単に説明する。
まず、屈曲した鋼管柱97の内部に若干柔軟性を有して鋼管柱97の屈曲に対して十分曲がり易い塩ビパイプを挿入し、この塩ビパイプの下端部を鋼管柱97の底面に突き当てて、鋼管柱97の床付け深さを確認する。それから、鋼管柱97の頂部開口に漏斗を設置し、この漏斗を介して砕石93を鋼管柱91内に投入する(砕石投入工程)。この鋼管柱97内に投入された砕石93は、鋼管柱97の底に堆積されるので、上述したと同様に柔軟性を持って曲がり易い塩ビパイプを用いて、鋼管柱97の底に堆積された砕石93の量を確認する。
次に、図17に示すように、補強体61の上部に懸吊紐41を取り付け、この懸吊紐41で補強体61を吊るしながら補強体61の下部を鋼管柱97の上端の頂部開口内に挿入するとともに、押込み棒77で補強体61の上端を下方に押し込みながら補強体61を鋼管柱97内に挿入する(補強体挿入工程)。
それから、懸吊紐41で吊るされた補強体61を押込み棒77で更に下方に押し込みながら、補強体61を徐々に降下させ、補強体61の下端部が鋼管柱97の底の砕石93に当接するまで補強体61を下降させる(補強体下降工程)。補強体61が鋼管柱97の底まで下降したら、押込み棒77を鋼管柱97の頂部開口から外部に取り出す。なお、押込み棒77を使用する理由は、鋼管柱97の屈曲部で補強体61が下降し難くなった場合に補強体61を押込み棒77で下方に押し込んで下降させるためである。また、押込み棒77は、鋼管柱97の屈曲に対して十分曲がり得る棒材である。
それから、CCDカメラを鋼管柱97の頂部開口から挿入し、補強体61の配置状態を確認し、補強体61の配置状態が正常であることを確認すると、補強体61の上部に取り付けていた懸吊紐41を鋼管柱91の頂部開口から取り出す(懸吊紐取出し工程)。次に、鋼管柱97の頂部開口に漏斗を設置し、バケツから漏斗の上にモルタルを投入し、漏斗から鋼管柱97内にモルタルを投入する(モルタル投入工程)。このモルタル95の投入は、図12で説明したと同様に、アラミドロッド59の間をその下部から上部まで埋め尽くすとともに、更に補強体61の上部を覆って、補強体61の上部が見えなくなる程に鋼管柱97内に投入される。
以上のように、鋼管柱97の底に地際を中心として補強体61を配設するとともに、この補強体61の上からモルタルを投入して、鋼管柱97の下部を補強体61もろとも全体的にモルタルで固めることにより、鋼管柱97の地際は強固に補強され、鋼管柱97は地際部分から極めて倒壊しにくくなるとともに、また鋼管部分が腐食したとしても複数のアラミドロッド59からなる強固な構造とモルタルで固められて構成される補強体61により鋼管柱97は容易には倒れ難く、かつ折れ難くなっている。また、本実施形態の補強体61による鋼管柱97の補強は、複数のアラミドロッド59を均等配置治具69で一体化して構成される補強体61を単に鋼管柱97に挿入してからモルタルを投入するだけのものであり、比較的簡単かつ経済的に構成することができる。
次に、本発明に係わる第4の実施形態の鋼管柱用の補強方法について説明する。図18は、本発明の第4の実施形態に係わる鋼管柱用の補強体を示す斜視図、図19は、図18に示す鋼管柱用の補強体の側面図である。
図18および図19に示す第4の実施形態の鋼管柱用の補強体81は、図13乃至図17で示した第3の実施形態のように屈曲した鋼管柱97の地際を補強するために使用されることは同様である。第3の実施形態の補強体と異なるのは、上述した第3の実施形態の補強体81における複数の均等配置治具69のうち、最上部と最下部との間に設けられる2個の均等配置治具69において、トラスねじ73の代わりにいもねじ75を使用し、このいもねじ75の頭部は均等配置治具69内に入り込んで均等配置治具69の側面から露出していない点と、最上部の均等配置治具69から上方に突出した複数のアラミドロッド59の上端部の長さを反時計回りに徐々に順次長くなるように上端部の長さを異ならせている点である。その他の構成作用は同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
なお、上述したように、複数の均等配置治具69のうち、最上部と最下部の均等配置治具69に対しては、頭の大きな平ねじであるトラスねじ73を使用し、最上部と最下部との間に設けられる他の均等配置治具69に対しては、いもねじ75を使用するのは、図13に示すように屈曲した鋼管柱97内を補強体81が円滑に挿入することを容易にするためである。
すなわち、このようにトラスねじ73といもねじ75を使用した補強体81を屈曲した鋼管柱97内に挿入した場合、最上部と最下部の均等配置治具69のトラスねじ73の大きな頭部が他の部分よりも鋼管柱97の内周面に対して点接触的に当接し、かつ中間部分のいもねじ75が内周面に接触することないことから、補強体61が鋼管柱97内を円滑に挿入することができる。
また、最上部の均等配置治具69から上方に突出した複数のアラミドロッド59の上端部の長さが徐々に順次長くなるように異ならせるのは、本実施形態の補強体81を図13に示すように屈曲した鋼管柱97に挿入する場合に、上方に突出した複数のアラミドロッド59の長い上端部が鋼管柱97の内周面に当接して梃子のように作用して、補強体81の湾曲を助け、鋼管柱97への挿入を円滑にするためである。
上述した本実施形態の補強体81は、複数の均等配置治具69の複数のロッド保持孔71に複数のアラミドロッド59を挿通し、この挿通された複数のアラミドロッド59に対して均等配置治具69の外周部から中心部に向かって、トラスねじ73およびいもねじ75を螺合させ、これらのねじの先端をアラミドロッド59に当接させ締め付けることにより、複数のアラミドロッド59は、複数の均等配置治具69により一体的に保持され、図18に示すような一体構造として構成される。
また、上述したように、複数の均等配置治具69のうち、最上部と最下部の均等配置治具69に対しては、頭の大きな平ねじであるトラスねじ73を使用し、最上部と最下部を除く他の均等配置治具69に対しては、いもねじ75を使用することにより、最上部と最下部の均等配置治具69のトラスねじ73の大きな頭部が他の部分よりも鋼管柱97の内周面に対して点接触的に当接し、これにより補強体81が鋼管柱97内に円滑に挿入され得るとともに、また最上部の均等配置治具69から上方に突出した複数のアラミドロッド59の上端部の長さを徐々に順次長くして異ならせることにより、上方に突出した複数のアラミドロッド59の長い上端部が鋼管柱97の内周面に当たって梃子のように作用して、補強体81の鋼管柱97への挿入を円滑にすることができる。
以上のように構成される補強体81を用いて、例えば図13に示すように屈曲した鋼管柱97の地際を補強する方法は、図13乃至図17を用いて説明した第3の実施形態の鋼管柱用の補強体61を用いた補強方法と同じであるので、その説明は省略する。
上述してきたように、鋼管柱の地際が強靱に補強されることから、例え、地際部分が腐食したり、車両が接触したりしても、鋼管柱が折れ曲がり屈曲することがなく、若干傾く程度で済むことが想定され、これにより交通への影響を極力低減することを可能とするものである。 以上、実施形態を挙げて本発明の実施形態を説明したが、前記実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。