JP2013063958A - 統合失調症治療薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】G−タンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャンネルの活性化電流を抑制する作用を有する化合物(GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物)または必要に応じクロザペン等の他の統合失調症治療薬を有効成分として含有する統合失調症治療薬を提供すること。
【解決手段】この発明に係る統合失調症治療薬は、チぺピジンなどのGIRKチャンネル活性化電流抑制作用を有する化合物(GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物)を、有効成分として含有する、統合失調症の陽性症状および/または陰性症状にも有効で、かつ、副作用が少ない薬剤である。
【選択図】なし

Description

この発明は、統合失調症治療薬に関するものであり、更に詳細には、GIRKチャンネル活性化電流抑制作用を有するGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物を有効成分として含有する統合失調症治療薬に関するものである。
統合失調症は、思春期から青年期の人生の早期に、0.8%もの高い効率で発症し、患者のうち10%〜30%の患者が抗精神病薬に抵抗性を示すために慢性化しやすく、完全な社会復帰を果たす割合は2割に満たないという厄介な疾患である。
統合失調症の症状は、陽性症状と陰性症状の2つのグループに一般に分類されている。陽性症状は、幻覚・妄想・興奮・昏迷などの急性期症状を指すが、陰性症状は、陽性症状と反対に、正常な心理状態にまで及ばない症状を指し、普通の人よりも感情の揺れや言葉・行動が鈍くなり、通常の状態にまで至らなくなる状態を指している。これら2つの症状は、一見無関係のように見えても、実は根本のところでは、社会性の欠如という共通した要素があると言われている。
現在、統合失調症の治療には抗精神病薬が使用されている。使用されている抗精神病薬のほぼすべてがドパミンD受容体拮抗作用を共通して有しているが、最近では、セロトニン5-HT受容体または5-HT1A受容体に作用する統合失調症治療薬が開発されてきた。
現在使用されている抗精神病薬は、統合失調症の陽性症状に対しては十分な効果を有しているが、陰性症状に対しては未だ多くの場合難治性であり、患者やその家族の社会生活に有害な影響を及ぼしているのが現状である。このことから、統合失調症の陰性症状に対しても有効な新規抗精神病薬の開発が求められている。
そこで、本発明者らは、過去20数年にわたる中枢性鎮咳薬に関する研究の結果、鎮咳薬であるチペピジン(tipepidine)が、Gタンパク質共役型内向き整流性カリウムイオンチャンネル(GIRKチャンネル)を抑制する(非特許文献1)とともに、これまで既存薬が奏功しない、様々な難治性中枢神経疾患モデル動物に対して鎮咳有効量で一定の改善作用を示すこと、を報告している。
つまり、本発明者らは、長年に亘る研究成果を、このGIRKチャンネル活性化電流を抑制する作用を有する化合物を活性成分として含有する、うつ病や治療抵抗性うつ病などの気分障害または感情障害の治療薬(特許文献1)、注意欠陥・多動性障害の治療薬(特許文献2)、治療薬のない脳硬塞に伴う排尿障害を改善する薬剤(特許文献3)、環境化学物質に起因する脳機能障害の機能改善薬(特許文献4)、および排尿障害治療薬(特許文献5)などとして特許出願をしている。
また、GIRKチャンネルは、心筋などに加えて脳内に広く分布し、様々な受容体と共役していて、この共役する受容体を介して、活性化され、細胞の興奮性を抑制する作用に関与していることが知られている。このGIRKチャンネル活性は細胞内の様々な要因により調節を受けていることも知られている。またGIRKチャンネルは、セロトニン(5-HT)やノルアドレナリンなどの様々な神経伝達物質受容体と共役しており、例えば5-HT1A受容体やアドレナリンα2受容体をそれぞれ刺激するセロトニンやノルアドレナリンにより活性化されることも知られている。
さらに、チペピジンは、これまで統合失調症治療薬の作用標的とされてきた、種々のモノアミン受容体に対して親和性が極めて低いということも分かっているところから、本発明者らは、チペピジンなどのGIRKチャンネル抑制作用を有する薬物が、統合失調症の陽性症状ばかりではなく、既存の抗神経病薬が奏功しない統合失調症の陰性症状や、認知障害症状に対しても効果を発揮する可能性が十分にあると判断した。
特開2009−227631 WO2007/037258 WO2005/084709 WO2007/139153 特開2007−204366
Takahama, K., et al., Handb. Exp. Pharmacol. 2009:219-240
そこで、本発明者らは、G−タンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャンネルの活性化電流を抑制する作用を有する薬物であるチペピジンを、統合失調症の治療薬のスクリーニング系に供したところ、統合失調症の陽性症状のモデルであるMK-801による運動量の増加と、同じく陰性症状のモデルでもあるMK-801による強制水泳の無動化に対して著明な緩解作用を持つこととともに、認知障害モデルに対しても有意に改善することを見いだした。
さらに、本発明者らは、チペピジンが、それ単独では、副作用が強くて、使用制限がある別の統合失調症薬であるクロザピンと併用することにより、クロザピンの投与量を抑制できることを見いだした。この結果、チペピジンが、他の統合失調症薬との併用により、その統合失調症薬の効果を改善できることも確認した。そこで、本発明はこれらの知見に基づいて完成した。
したがって、この発明は、G−タンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャンネルの活性化電流を抑制する作用を有する化合物(「GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物」ともいう)を、統合失調症の治療に有効な活性成分として含有する統合失調症治療薬およびその用途を提供することを目的としている。
この発明は、その好ましい態様として、上記統合失調症薬が、クロザピン等の別の統合失調症薬を更に含有しているか、または併用することからなる統合失調症薬およびその用途を提供することを目的としている。
また、この発明は、その好ましい態様として、統合失調症の陽性症状ばかりではなく、既存薬剤が有効でない陰性症状に対しても著効を奏するとともに、認知障害に対しても有効な統合失調症薬を提供することを目的としている。
この発明は、その好ましい態様として、GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物が、クロペラスチン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノン、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジンおよびクエン酸イソアミニルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である統合失調症治療薬およびその用途を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、この発明は、G−タンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャンネルの活性化電流を抑制する作用を有する化合物(GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物)を、統合失調症の治療に有効な活性成分として含有する統合失調症治療薬およびその用途を提供する。
この発明は、その好ましい態様として、上記統合失調症薬が、クロザピン等の別の統合失調症薬を更に含有するか、または併用することからなる統合失調症薬およびその用途を提供する。
この発明はまた、その好ましい態様として、統合失調症の陽性症状ばかりではなく、既存薬剤が有効でない陰性症状に対しても著効を奏するとともに、認知障害に対しても有効な統合失調症薬を提供する。
この発明は、その好ましい態様として、GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物が、クロペラスチン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノン、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジンおよびクエン酸イソアミニルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である統合失調症治療薬およびその用途を提供する。
この発明に係る統合失調症治療薬は、長年小児領域で鎮咳薬として使用されている副作用が極めて少ないチペピジンなどのGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物を有効成分として含有する薬剤であることから、統合失調症の予防ならびに治療に有効で、しかも副作用の少ない薬剤として適用可能と期待できる。また、この発明の統合失調症薬は、副作用が強いなどの理由で使用制限があるクロザピン等の他の統合失調症薬と併用することにより、その他の統合失調症薬の投与量などを抑制することができるなどの効果を有している。
MK-801誘発行動過多に対するチペピジンの影響(90分全体の行動量)を示す図。 MK-801誘発行動過多に対するクロザピン(clozapine)の影響(90分全体の行動量)を示す図。 MK-801誘発行動過多に対するチペピジンの影響(30分毎の行動量)を示す図。 MK-801誘発行動過多に対するクロザピン(clozapine)の影響(30分毎の行動量)を示す図。 MK-801誘発行動過多に対するチペピジンとクロザピンとの併用投与による作用効果を示す図。 MK-801誘発無動時間延長に対するチペピジンの影響を示す図。 MK-801誘発無動時間延長に対するクロザピンの影響を示す図。 MK-801誘発無動時間延長に対するチペピジンとクロザピンとの併用投与による作用効果を示す図。 MK-801視覚記憶障害に対するチペピジンの作用効果を示す図 MK-801視覚記憶障害に対するチペピジンとクロザピンとの併用投与による作用効果を示す図。
この発明において、本発明者らは、チペピジンに代表されるG−タンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャンネルの活性化電流を抑制する作用を有する化合物(GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物)が、統合失調症に対して有効な作用を有することを確認した。
この発明においては、GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物の統合失調症に対する作用を確認する方法としては、統合失調症の治療薬のスクリーニング系であるMK-801を用いた実験系を用いた。つまり、統合失調症の陽性症状のスクリーニングとしては、MK-801による運動量の増加について調べた。また、同じく陰性症状のスクリーニングとしては、MK-801による強制水泳の無動化時間の延長について調べた。
その結果、この発明に係るGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物は、統合失調症の陽性症状モデルばかりではなく、陰性症状モデルに対しても著明な緩解作用を持つことが確認された。
さらに、チペピジンが、マウスを用いた新奇物体認識試験において、MK-801による識別指数値の減少を有意に改善する効果を有するかどうかを調べた結果、チペピジンがMK-801による識別指数値の減少を有意に改善することが確認された。したがって、チペピジンを主成分とするこの発明の統合失調症薬は認知障害に対しても有効であることが期待できる。
しかも、この発明の統合失調症治療薬は、G−タンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャンネルの活性化電流を抑制する作用を有する化合物(GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物)を主な有効成分として含有する副作用が少ない薬剤である。さらに、この発明に係るチペピジンなどのGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物は、その他の薬剤、特に他の統合失調症治療薬などと併用することもできる。かかる統合失調症薬としては、例えば、治療抵抗性統合失調症治療薬であり、非定型型抗神経病薬であるクロザピン(clozapine)などが挙げられる。
この発明において使用可能なGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物は、細胞内のGIRKチャンネル活性化電流を抑制することができる化合物であって、例えば、クロペラスチン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノン、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジンおよびクエン酸イソアミニルから選択することができ、これらの化合物は有効成分として単独でもまたは2種以上を併合しても使用することができる。これらGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物のうち、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジンなどのチペピジンが特に好ましい。
この発明に係る統合失調症治療は、経口的(舌下投与を含む)または非経口的に投与される。このような薬剤の形態としては、錠剤、カプセル剤、細粒剤、丸剤、トローチ剤、輸液剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等を挙げることができる。
この発明の統合失調症治療を輸液剤として生体内に投与する際には、生理食塩水に、必要に応じて他の水溶性の添加剤、薬液を配合したものを用いることができる。このような水に添加される添加剤としては、カリウム、マグネシウム等のアルカリ金属イオン、乳酸、各種アミノ酸、脂肪、グルコース、フラクトース、サッカロース等の糖質等の栄養剤、ビタミンA、B、C、D等のビタミン類、リン酸イオン、塩素イオン、ホルモン剤、アルブミン等の血漿蛋白、デキストリン、ヒドロキシエチルスターチ等の高分子多糖類等を挙げることができる。このような水溶液における化合物の濃度は、10-7Mから10-5Mの濃度の範囲とすることが好ましい。
この発明による統合失調症治療はまた、固形剤として生体に投与することができる。固形剤としては、粉末、細粒、顆粒、マイクロカプセル、錠剤等を挙げることができる。このような固形剤の中では、好ましくは嚥下しやすい錠剤の形状をしていることが好ましい。
錠剤を形成するための充填剤、粘結剤としては公知のもの、例えばオリゴ糖等を使用することが出来る。錠剤の直径は2〜10mm、厚さは1〜5mmの範囲にあることが好ましい。また、他の治療薬と混合して使用してもよい。
固形剤には通常用いられる種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、安定剤、界面活性剤、可溶化剤、可塑剤、甘味剤、抗酸化剤、着香剤、着色剤、保存剤、無機充填剤等を挙げることができる。
界面活性剤としては、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレン型、多価アルコールエステル型、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体等の非イオン界面活性剤があるが、これらに限定されるものではない。
嚥下性等の改善等の目的のため配合される無機充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、二酸化チタン等を挙げることができる。
安定剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸等を挙げることができる。可溶化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール等の界面活性剤、アスパラギン、アルギニン等を挙げることができる。甘味剤として、アスパルテーム、アマチャ、カンソウ等、ウイキョウ等を挙げることができる。
懸濁化剤としては、カルボキシビニルポリマー等を、抗酸化剤としては、アスコルビン酸等を、着香剤としては、シュガーフレーバー等を、pH調整剤としてはクエン酸ナトリウム等を挙げることができる。
この発明による統合失調症治療は、通常1回1〜40mg、好ましくは10mg〜20mg、1日3回までの範囲で体内に投与される。
以下の実施例によりこの発明を更に詳しく説明するが、この発明はこれらの実施例によって一切限定されるものではない。
〔実施例1〕
所定量(10、20、40mg/kg)のチペピジンを、実験動物(ddY雄マウス)に実験の10分前に腹腔内投与した。その後、MK−801(0.25mg/kg)を腹腔内投与した直後に、マウスをオープンフィールドに入れて、ビデオトラッキングシステムにより90分間歩行距離を測定した。図1はマウスが90分間歩行した全歩行距離を示しており、図3は30分ごとの歩行距離を示している。なお、コントロールとして生理食塩水を用いて同様に調べた。
〔比較例1〕
実施例1と同様にして、治療抵抗性統合失調症治療薬であり、非定型型抗神経病薬であるクロザピン(clozapine)(3mg/kg)をマウスの腹腔内に投与した後、MK−801(0.25mg/kg)を腹腔内投与した直後に、マウスをオープンフィールドに入れて、ビデオトラッキングシステムにより90分間歩行距離を測定した。図2はマウスが90分間歩行した全歩行距離を示しており、図4は30分ごとの歩行距離を示している。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、チペピジン10mg/kgと、クロザピン1mg/kgを実験動物(ddY雄マウス)に腹腔内投与した。その後、MK−801(0.25mg/kg)を腹腔内投与した直後にオープンフィールドに入れ、ビデオトラッキングシステムにより、90分間歩行距離を測定し、90分間歩行した全歩行距離を記録して、MK−801誘発行動過多を抑制しているかどうかを調べた。その結果、チペピジンとクロザピンとを併用した場合も、MK−801誘発行動過多を抑制することが確認できた。結果を図5に示す。
この発明の結果(図1および図3)と比較薬剤の結果(図2および図4)とを比較した結果、この発明の化合物が、実験薬剤に比べて明らかにMK−801誘発行動過多を抑制していることを示している。また、本発明のチペピジンは、非定型型抗神経病薬であるクロザピンと併用投与した場合もMK−801誘発行動過多を抑制している(図5)。したがって、この発明の化合物は、統合失調症の陽性症状に対して有効であることが期待できる。
〔実施例3〕
実験動物(ddY雄マウス)にMK−801(0.3mg/kg)を1日1回、15日間腹腔内投与し、2日間の休薬期間を置いた後、実験を行った。
実験は、所定量(10、20、40mg/kg)のチペピジンを、上記実験動物に実験の30分前に腹腔内投与し、6分間強制水泳をさせた。6分間の強制水泳時間のうち、最初の2分間を馴化時間とし、残りの4分間における行動を観察した。マウスが水面上に頭だけ出して手足を動かすことなく浮いている状態を無動とみなし、この持続時間(immobility time)を目視にてストップウオッチで測定した。なお、測定のバイアスを避けるために、実験はブラインド下で行った。その結果を図6に示す。
〔比較例2〕
実施例3と同様にして、クロザピン(clozapine)(3mg/kg)をマウスの腹腔内に投与してMK−801による誘発無動時間延長について調べた。その結果を図7に示す。
〔実施例4〕
実施例3と同様にして、実験動物(ddY雄マウス)にMK-801 (0.3 mg/kg) を1日1回、15日間腹腔内投与し、2日間の休薬期間後、ddY雄マウスにチペピジン10mg/kgと、クロザピン1mg/kgを試験の30分前に腹腔内投与した。その後、6分間の強制水泳を行った。この強制水泳時間のうち、最初の2分間を馴化時間とし、残りの4分間における行動を観察した。マウスが水面上に頭だけ出して手足を動かすことなく浮いている状態を無動とみなし、この持続時間(immobility time)を目視にてストップウォッチで測定した。なお、測定のバイアスを避けるために、実験はブラインド下で行った。その結果を図8に示す。
この発明の結果(図6)と比較薬剤の結果(図7)とを比較した結果、この発明の化合物が、実験薬剤に比べて明らかにMK−801誘発無動化時間延長に対して効果があることを示している。また、本発明のチペピジンは、非定型型抗神経病薬であるクロザピンと併用投与した場合もMK−801誘発無動化時間延長に対して効果があることを示している(図8)。したがって、この発明の化合物は、統合失調症の陰性症状に対しても有効であることが期待できる。
〔実施例5〕
実験動物(ddY雄マウス)を使用して、馴化(habituation)セッション、訓練(training)セッション、および保持(retention)セッションからなる新奇物体認識試験による認知障害実験を行った。
本試験は、まず、何もないオープンフィールド内にマウスを5分間探索させ(馴化セッション)、その30分後、オープンフィールド内に左右対称の位置に同じ物体を設置し、5分間探索させた(訓練セッション)。さらに、その1時間後、訓練セッションに使用した物体のうちの1つを新しい物体に変え、5分間探索させた(保持セッション)。この保持セッション中のマウスの行動をビデオで記録し、マウスがそれぞれの物体を探索した時間をストップウォッチで測定し、以下の式によりdiscrimination of index(DI)値を算出した。
[式1]
DI= 新奇物体を探索した時間(秒)/両物体を探索した時間(秒) ×100
なお、チペピジン(5、10、20、40mg/kg)およびMK-801(0.2mg/kg)は、保持セッション開始の30分前に腹腔内投与した。また、実験は、測定のバイアスを避けるために、ブラインド下で行った。本実験の結果は図9に示す。
〔実施例6〕
実施例5と同様にして、実験動物(ddY雄マウス)を使用して、上記と同じ新奇物体認識試験による認知障害実験を行った。チペピジン (5 mg/kg)、クロザピン (0.5 mg/kg)およびMK-810(0.2 mg/kg)は、保持セッションの30分前に腹腔内投与した。また、実験は、測定のバイアスを避けるためにブラインド下で行った。なお、実験結果は、図10に示す。
この発明に係るGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物は、統合失調症治療の陽性症状ばかりではなく、既存薬が奏功しない陰性症状に対しても有効である画期的な統合失調症治療薬として適用できることが期待できる。また、この発明のGIRKチャンネル活性化電流抑制化合物は、副作用が強く使用が制限されているクロザピンなどの他の統合失調症薬と併用しても薬効を奏することができる。

Claims (6)

  1. G−タンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャンネルの活性化電流を抑制する作用を有する化合物(GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物)を有効成分として含有することを特徴とする統合失調症治療薬。
  2. 請求項1に記載の統合失調症治療薬であって、前記統合失調症治療薬が、クロザピン等の他の統合失調治療薬をさらに含有しているか、または併用することを特徴とする統合失調症治療薬。
  3. 請求項1または2に記載の統合失調症治療薬であって、統合失調症の陽性症状および/または陰性症状および/または認知障害に有効であることを特徴とする統合失調症治療薬。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の統合失調症治療薬であって、前記GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物が、クロペラスチン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノン、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジン、及びクエン酸イソアミニルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする統合失調症治療薬。
  5. GIRKチャンネル活性化電流抑制化合物を有効成分として含有する統合失調症治療を使用して統合失調症の予防または治療に適用することを特徴とする統合失調症治療薬の用途。
  6. 請求項5に記載の統合失調症治療薬の用途であって、統合失調症の陽性症状および/または陰性症状および/または認知障害に適用することを特徴とする統合失調症治療薬の用途。
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