JP2013063652A - 凹版印刷機のワイピング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイピングローラの交換作業を容易かつ短時間に行えるようにする。
【解決手段】回転可能に支持され凹版胴60の凹版に当接して当該凹版の余剰インキを取り除くワイピングローラ5と、ワイピングローラ5の軸5Aの両端に設けられた軸受10と、機台側に設けられワイピングローラ5の軸受10を着脱可能に支持する軸受保持部40とを備え、軸受保持部40は、軸受10の取付け及び取外しを許容する開口を備えた支承部材を有する凹版印刷機のワイピング装置1において、軸受10の外側に球面状の周面を有する内輪部14Aが設けられると共に、支承部材の内側に球面状の周面を有する外輪部14Bが設けられるようにする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、凹版印刷機のワイピング装置に関するものであり、特に、凹版印刷機における凹版胴の凹版面に供給されたインキのうち、画線以外の箇所に付着した余分なインキ(以下、これを余剰インキと呼ぶ。)を拭き取るワイピング装置に関する。
従来、凹版印刷機による印刷作業は、インキ装置によって凹版胴上に装着された凹版面にインキを転移させ、この転移されたインキのうちの画線部分以外の箇所に付着した余剰インキをワイピング装置により除去した後、凹版胴と圧胴との間を通過するシートに対して、凹版面に残された画線部分のインキを転移させることにより印刷を施す。
その際、ワイピング装置は、凹版胴の凹版面と対接した状態で塩化ビニル等でなるワイピングローラが回転し、凹版面上の余剰インキを当該ワイピングローラによって拭き取るようになされている(例えば、特許文献1参照)。
特公平7−98390号公報
ところで上述した凹版印刷機のワイピング装置においては、ワイピングローラを交換する際、当該ワイピングローラの軸に取り付けられた軸受ごと洗浄液槽のブッシュから取り外した後、新たなワイピングローラの左右の軸受と洗浄液槽の左右のブッシュとを正確に位置合わせして当該左右の軸受を左右のブッシュに同時に取り付けなければならず、作業者に対して高精度に位置決めさせるという作業負担を強いるだけでなく、ワイピングローラの交換作業に多大な時間を要し、生産性が低下するという問題があった。
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、ワイピングローラの交換作業を容易かつ短時間に実行させ得る凹版印刷機のワイピング装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明では、回転可能に支持され凹版胴の凹版に当接して当該凹版の余剰インキを取り除くワイピングローラと、前記ワイピングローラの軸の両端に設けられた軸受と、機台側に設けられ前記ワイピングローラの前記軸受を着脱可能に支持する軸受保持部とを備え、前記軸受保持部は、前記軸受の取付け及び取外しを許容する開口を備えた支承部材を有する凹版印刷機のワイピング装置において、前記軸受の外側に球面状の周面を有する内輪部が設けられると共に、前記支承部材の内側に球面状の周面を有する外輪部が設けられるようにする。
また本発明において、前記内輪部は球面軸受の内輪であり、前記外輪部は直径方向に半分にされた球面軸受の一方の外輪であり、直径方向に半分にされた球面軸受の他方の外輪を有し、前記他方の外輪と前記一方の外輪とを分割面を重ね合わせて前記開口を閉塞する閉塞位置と、前記他方の外輪を前記一方の外輪から離反させて前記開口を開放する開放位置との間で移動自在に支持された軸受けカバーを有するようにすることができる。
さらに本発明において、前記一方の外輪は、機台側に周方向へ移動可能に支持され直径方向に半分に分割された一方の偏心軸受に支持され、前記他方の外輪は、前記軸受けカバーに周方向へ移動可能に支持され直径方向に半分に分割された他方の偏心軸受に支持され、一方の偏心軸受を回動させる駆動装置を備えるようにすることができる。
本発明によれば、軸受の内輪部の周面および支承部材の内輪部の周面が球面状に形成されているので、ワイピングローラを機台に取付ける際、軸受のワイピングローラの長手方向へのずれやワイピングローラの傾きを球面状の周面で吸収することができるので、作業者による位置決めを容易にして、ワイピングローラの交換作業を容易かつ短時間で実行させることができる。
本発明に係る一実施の形態におけるワイピング装置の全体構成を示す上面図である。 ワイピングローラの断面構成を示す断面図である。 ワイピングローラのA矢視構成を示す側面図である。 軸受カバー、偏心軸受、外側外輪、内側外輪の相互関係を示す側面図である。 軸受カバーを開閉するために分割面を水平状態に動かすための構造を示す側面図である。
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
(1)ワイピング装置の全体構成
図1に示すように、ワイピング装置1は、機台としての洗浄液槽2にワイピングローラ5が回転可能かつ軸方向へ移動可能に支持されているとともに、当該ワイピングローラ5が、図3に示されるように凹版印刷機の凹版胴60の凹版に接触されている。
(2)ワイピングローラの構成
図2及び図3に示すように、ワイピングローラ5(図2)は、その軸5Aの左右両端に当該軸5Aの軸線方向へ移動自在に支持された軸受10を有する。
軸受10は、インナーレース11がワイピングローラ5の軸5Aに対して軸方向へ移動自在に支持されており、当該インナーレース11の外周面では転動体としての例えばボール12がボール保持器としてのリテーナ13を介して保持されている。
また軸受10は、複数のボール12の外側に、後述する球面軸受14の内輪部としての内輪14Aを有する。内輪14Aの外周面14iCは球面で形成されている。
(3)洗浄液層の構成
洗浄液槽2は、図示しない機台としてのフレームに支持されており、ワイピングローラ5にワイピング液を供給するノズルを備え、ワイピング液によるワイピングローラ5の洗浄後の廃液を貯留するものである。
(4)軸受保持部の構成
洗浄液槽2の上部開口端の両側板には、ワイピングローラ5の両端の軸受10を着脱可能に支持する軸受保持部40が設けられている。軸受保持部40は、軸受10の内輪14Aを保持し当該内輪14Aと共に球面軸受14を構成する外輪14Bと、この外輪14Bの外周に設けられると共に洗浄液槽2の両側板に回動自在に支持され、その回動により球面軸受14の軸心すなわちワイピングローラ5の軸5Aの軸心位置を調整する偏心軸受16とを備えている。
そして、軸受保持部40は、ワイピングローラ5の内輪14Aの外輪14Bに対する取付け及び取外しを可能にするよう構成されている。すなわち、図4に示すように、球面軸受14の外輪14Bは、その中心P1を対称とした分割面CL1、CL2により他方の外輪としての上方外輪14BUPと一方の外輪としての下方外輪14BDWとに2分割され、偏心軸受16は、分割面CL1、CL2の延長線上にある分割面CL3、CL4により他方の偏心軸受としての上方偏心軸受16UPと一方の偏心軸受としての下方偏心軸受16DWとに2分割されている。
なお、外輪14Bの上方外輪14BUPおよび下方外輪14BDWの外周面14tCはともに球面で形成されている。洗浄液槽2の上部開口端の両側板には、軸受保持部40を構成する軸受カバー3が回動軸3Aを介して揺動自在に支持されている。この軸受カバー3は半円状の内周を有しており、両側面には周方向に延びる溝部3Bが形成されている。
図2乃至図4に示されるように、軸受カバー3の内周側には後述する偏心軸受16の上方偏心軸受16UPが支持されている。すなわち、上方偏心軸受16UPの両側端部には係合部材としての2個のホルダ21がボルト22、23により固定され、当該ホルダ21に設けられたピン21Aが軸受カバー3の両側面に形成された溝部3Bと係合しており、ピン21Aと溝部3Bとの係合により2個のホルダ21が軸受カバー3に沿って摺動する。すなわち、上方偏心軸受16UPが軸受カバー3に対し、2個のホルダ21を介して円周方向へ移動自在に支持されているのである。
ここで、上方偏心軸受16UPの内周面には、球面軸受14の外輪14Bの上方外輪14BUPがボルト17により固定されているため、ホルダ21、上方偏心軸受16UP及び上方外輪14BUPが一体となり、軸受カバー3に沿って摺動するよう構成されているのである。
また、図2、図3に示されるように、上方偏心軸受16UPの両側面には半割りされたリング状のベアリング押え19がネジ18により固定されている。ベアリング押え19は上方外輪14BUPの両側面に当接して当該上方外輪14BUPの位置を規制している。
軸受カバー3は、図5に示されるように、球面軸受14の外輪14Bの上方外輪14BUPと下方外輪14BDWおよび偏心軸受16の上方偏心軸受16UPと下方偏心軸受16DWとがそれら分割面CL1、CL2、CL3、CL4で離間して下方外輪14BDWが上方に開口する開放位置と、図4に示されるように、上方外輪14BUPと下方外輪14BDWとの分割面CL1、CL2同士および上方偏心軸受16UPと下方偏心軸受16DWとの分割面CL3、CL4同士を接触させて下方外輪14BDWの開口を上方外輪14BUPで閉塞し、上方外輪14BUPと下方外輪14BDWとによりワイピングローラ5の球面軸受14の内輪14Aの全周を支持する閉塞位置との間で揺動可能に支持されている。
一方、洗浄液槽2の上部開口端の両側板に形成された半円状の切欠2Aには、下方偏心軸受16DWが円周方向へ摺動自在に保持され、当該下方偏心軸受16DWは後述する駆動装置としての着脱装置及び接触圧調整装置に連結されている。
また、図2および図3に示されるように、下方偏心軸受16DWの両側面には半割りされたリング状のベアリング押え19がネジ18により固定されている。ベアリング押え19は下方外輪14BDWの両側面に当接して当該下方外輪14BDWの位置を規制している。ここで、下方偏心軸受16DWと下方外輪14BDWは軸受10の支承部材を構成し、当該支承部材の内側に下方外輪14BDWが配され、当該下方外輪14BDWは外輪部を構成している。
(5)ワイピングローラの着脱装置及び接触圧調整装置の構成
図5に示すように、洗浄液槽2の両側面には取付保持部32が固定されており、当該取付保持部32には油圧シリンダ31が移動可能に支持されている。
油圧シリンダ31の後端部には従動ギア31Cが回動自在に支持されており、この従動ギア31Cにはネジ軸35が当該従動ギア31Cと一体的に回転するように固定され、このネジ軸35が取付保持部32に設けられた雌ネジ(図示せず)と螺合されている。そして、油圧シリンダ31のシリンダロッド31Aの先端部31Bは、下方偏心軸受16DWに固定されたプレート33に支持されている。
さらに、洗浄液槽2の両側面であって油圧シリンダ31の隣には駆動モータ34が設けられており、当該駆動モータ34の駆動ギア34Aと油圧シリンダ31の従動ギア31Cとが噛合している。
ここで、油圧シリンダ31、プレート33、偏心軸受16等により凹版胴60に対するワイピングローラ5の着脱装置が構成され、駆動モータ34、駆動ギア34A、従動ギア31C、ネジ軸35、取付保持部32に設けられた雌ネジ、油圧シリンダ31、プレート33、偏心軸受16等により凹版胴60に対するワイピングローラ5の接触圧調整装置が構成されている。そして、着脱装置と接触圧調整装置との少なくとも一方により駆動装置が構成されている。
(6)ワイピング装置の動作
続いて、このように構成された凹版印刷機のワイピング装置1の動作を説明する。図3に示されるように、ワイピングローラ5は図示しないワイピングローラ駆動装置により回転するとともに軸方向へ往復動しながら凹版胴60に対接し、凹版胴60の凹版面に付着した余剰インキを除去する。
その後、ワイピングローラ5の周面にワイピング液が供給されるとともに、当該ワイピングローラ5に対して図示しないブラシ部材が押圧され、ワイピングローラ5上の余剰インキがワイピング液により溶解されブラシ部材により掻き落とされて洗浄液槽2内に溜められる。その後、ワイピングローラ5はドクターブレードによりその周面に付着しているワイピング液が掻きとられた状態で、凹版胴60凹版面の余剰インキを除去する。
ワイピングローラ5は、印刷時には凹版胴60に対接(以下、着状態と呼ぶ)し、非印刷時には凹版胴60から離反する(以下、脱状態と呼ぶ)よう着脱装置により凹版胴60に対して着脱される。
すなわち、印刷時においては、油圧シリンダ31のシリンダロッド31Aが退縮(図5の矢印R方向)し、プレート33が図5の2点鎖線位置から実線位置へ移動する。このプレート33の移動により、偏心軸受16の下方偏心軸受16DWが下方外輪14BDWとともに図5中反時計方向へ回動し、これら下方偏心軸受16DW及び下方外輪14BDWの回動により、分割面CL1〜CL4同士で接触している上方偏心軸受16UP及び上方外輪14BUPも下方偏心軸受16DW及び下方外輪14BDWと一体となって図5中反時計方向へ回動する、つまり偏心軸受16および球面軸受14の外輪14Bが図5中反時計方向へ回動する。これにより、球面軸受14の中心P1、すなわちワイピングローラ5の中心が凹版胴60へ近接する方向(図4の矢印B)へ移動して、ワイピングローラ5が凹版胴60に対接する。
このようにしてワイピングローラ5を着状態としたときは、分割面CL1乃至CL4が図5の実線で示されるように水平に対して傾くように偏心軸受16の上方偏心軸受16UP及び下方偏心軸受16DWおよび外輪14Bの上方外輪14BUP及び下方外輪14BDWが位置付けられる。
一方、印刷が終了した場合においては、油圧シリンダ31は、油圧シリンダ31のシリンダロッド31Aが突出(図5の矢印P方向)し、プレート33が図5の実線位置から2点鎖線位置へ移動する。このプレート33の移動により、偏心軸受16(上方偏心軸受16UP及び下方偏心軸受16DW)と外輪14B(上方外輪14BUP及び下方外輪14BDW)とが一体となって図5中時計方向へ回動し、球面軸受14の中心P1、すなわちワイピングローラ5の中心が凹版胴60から離反する方向(図4の矢印A)へ移動した結果、ワイピングローラ5が凹版胴60から離間する。
このようにしてワイピングローラ5を脱状態としたときは、分割面CL1乃至CL4が図5の2点鎖線で示されるようにほぼ水平となるように偏心軸受16の上方偏心軸受16UP及び下方偏心軸受16DWおよび外輪14Bの上方外輪14BUP及び下方外輪14BDWが位置付けられる。
(7)ワイピング装置による接触圧調整動作
次に、ワイピングローラ5の着状態における凹版胴60に対する接触圧の調整について説明する。駆動モータ34が駆動ギア34Aを回転させることにより、当該駆動ギア34Aと係合された従動ギア31C及びネジ軸35を回転させ、当該ネジ軸35と取付保持部32の雌ネジとのネジ作用により、当該油圧シリンダ取付保持部32を起点として油圧シリンダ31の長手方向(すなわち矢印P方向又は矢印R方向)へ当該油圧シリンダ31および当該駆動モータ34を移動させる。
駆動モータ34が油圧シリンダ31を矢印R方向へ移動させたとき、プレート33が図5の反時計方向へ移動することに伴い、偏心軸受16(上方偏心軸受16UP及び下方偏心軸受16DW)と外輪14B(上方外輪14BUP及び下方外輪14BDW)とが一体となって図5の反時計方向へ回動し、球面軸受14の中心P1、すなわちワイピングローラ5の中心が凹版胴60へ近接する方向(図4の矢印B)へ移動した結果、ワイピングローラ5が凹版胴60に近づく方向へ移動する。このようにして、ワイピングローラ5の凹版胴60に対する接触圧を強くするように調整することができる。
一方、駆動モータ34が油圧シリンダ31を矢印P方向へ移動させたとき、プレート33が図5の時計方向へ移動して偏心軸受16(上方偏心軸受16UP及び下方偏心軸受16DW)と外輪14B(上方外輪14BUP及び下方外輪14BDW)とが一体となって図5の時計方向へ回動し、球面軸受14の中心P1、すなわちワイピングローラ5の中心が凹版胴60から離反する方向(図4の矢印A)へ移動した結果、ワイピングローラ5が凹版胴60から離れる方向へ移動する。このようにして、ワイピングローラ5の凹版胴60に対する接触圧を弱くするように調整することができる。
従ってワイピング装置1では、駆動モータ34により、油圧シリンダ31および当該駆動モータ34を全体的に矢印P方向又は矢印R方向へ僅かに移動させることによって、ワイピングローラ5と凹版胴60との接触圧を微調整することができる。
また、ワイピング装置1では、駆動モータ34により、油圧シリンダ31および当該駆動モータ34を全体的に矢印P方向又は矢印R方向へ僅かに移動させた際、図示しないポテンショメータにより油圧シリンダ31の位置を検出し、その検出結果をモニタ出力することにより、ワイピングローラ5と凹版胴60との接触圧を、作業者がモニタを確認しながら容易に微調整させることができる。
(8)ワイピング装置におけるワイピングローラの交換動作
次に、ワイピングローラ5の交換作業について説明する。ワイピングローラ5を交換する際には、先ず、油圧シリンダ31によりワイピングローラ5を脱状態とする。ワイピングローラ5を脱状態とすることにより、分割面CL1乃至CL4がほぼ水平(図5の2点鎖線で示す)になるよう位置付けられる。
なお、接触圧調整装置による調整によっても分割面CL1乃至CL4が完全に水平にならない場合があるが、必ずしも完全に水平にしておく必要はない。分割面CL1乃至CL4が大きく傾いている場合には、駆動モータ34を動作させて油圧シリンダ31を全体的に矢印PまたはR方向へ移動させ、分割面CL1乃至CL4をほぼ水平となるよう調整する。
分割面CL1乃至CL4をほぼ水平にしたのち、軸受カバー3を開放位置(図5の2点鎖線)へ揺動させると、上方偏心軸受16UP及び上方外輪14BUPが軸受カバー3と一体になって揺動し、下方偏心軸受け16DW及び下方外側外輪14BDWから当該分割面CL1乃至CL4を境目として上方偏心軸受16UP及び上方外輪14BUPが離間する。これにより、下方外側外輪14BDWは上方が開口した状態となる。
そして、内輪14A、軸受10と一体化されたワイピングローラ5の軸5Aを、下方外輪14BDWの開口から取り出し、インナーレース11、リテーナ13、ボール12及び内輪14Aと一体化された新しいワイピングローラ5を、下方外輪14BDWの開口から挿入して取り付ける。
このときワイピング装置1は、新しいワイピングローラ5を取り付ける際、下方外輪14BDWに対して軸5A側の外輪14Aがその長手方向すなわち軸5Aの軸方向に僅かにずれていても、そのずれが球面状の周面14iC、14tCによって吸収されるので、外輪14Aが自動的に位置決めされながら取り付けられる。
また、軸受10の外輪14Aと下方外輪14BDWとの球面接触による滑りにより、ワイピングローラ5の一方の軸受10の外輪14Aが一方の下方外輪14BDWに支承された状態で当該ワイピングローラ5の他方の軸受10の位置調整が可能になるため、ワイピングローラ5の左右の軸受10の外輪14Aを左右の下方外輪14BDWに同時に嵌めこむ作業に比べて、取付け作業が極めて容易になり、作業者の負担が大幅に減少すると共に準備時間が大幅に削減される。
特に、ワイピングローラ5の軸方向への往復動を可能にするために軸受10がワイピングローラ5の軸方向へ移動自在に支持されている場合には、ワイピングローラ5の取付け時にワイピングローラ5の左右の軸受10の外輪14Aを左右の下方外輪14BDWに対して正確に位置合せする必要がなく、大まかな位置合せだけで、取付け時に両外輪14Aが自動的に位置合せされるので、作業性が大幅に向上する。
なお、ワイピングローラ5を着状態としたときは、分割面CL1乃至CL4が図5の実線で示されるように水平に対して傾いた状態となるため、軸受カバー3を開くことができない。これによりワイピング装置1は、ワイピングローラ5により凹版胴60の余剰インキを除去している印刷処理中、不用意に軸受カバー3が開いてしまうという事態を回避することができる。
さらにワイピング装置1は、外側外輪14Bと内側外輪14Aとを一体化させるとき、球面の滑らかな周面14iC、14tC同士を面接触させることになるので、従来の角部を有するようなブッシュにワイピングローラの軸受が衝突して破損するような事態を予め回避することができる。
以上の構成によれば、ワイピング装置1においては、ワイピングローラ5の交換作業を作業者の操作負担少なく効率的に実行させることができるので、印刷処理の生産性を従来よりも向上させることができる。
(9)他の実施の形態
なお、上述した実施の形態においては、ボール12を用いた転がり軸受10を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、コロを用いた転がり軸受や、その他種々の構成でなる軸受を用いるようにしても良い。
また、上述した実施の形態においては、上述した実施の形態においては、外輪14B及び偏心軸受16がボルト17(図3)により一体化された状態で取り付けられ、かつ軸受カバー3と偏心軸受16とがボルト22、23により一体化された状態で取り付けられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、軸受カバー3、偏心軸受16及び外側外輪14Bを全て貫通するボルト等によって一体化された状態で取り付けられるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、内輪14Aの外周面14iCがその半径方向外方へ向かって凸状に膨らんだ球面で形成され、外輪14Bの内周面14tCはその半径方向内方へ向かって凹状に凹んだ球面で形成されている。但し、これに限るものではなく、内輪14Aの外周面14iCがその半径方向内方へ向かって凹状に凹んだ球面で形成され、外輪14Bの内周面14tCはその半径方向外方へ向かって凸状に膨らんだ球面で形成されるようにしても良い。要は、外輪14Aと内輪14Bとが球面の周面14iC及び14tCによって互いに位置決めされると共に、相互に面接触することにより球面軸受14が構成されるのであれば、凹凸面の向きは特に限定されるものではない。
さらに、上述した実施の形態においては、軸受カバー3側の上方外輪14BUPの内周面を下方外輪14BDWの内周面と同一の球面としたが、これに限るものではなく、上方外輪14BUPの内周面を平面にして内輪14Aの周面を押付けるようにしても良い。要は、下方外輪14BDWに取り付けられたワイピングローラ5の内輪14Aが当該下方外輪14BDWから外れないように構成されるのであれば、上方外輪14BUPは球面軸受としての機能は果たさなくても良く、周面形状も特に限定されるものではない。
1…ワイピング装置、2…洗浄液槽、3…軸受カバー、5…ワイピングローラ、10…軸受、11…インナーレース、12…ボール、13…リテーナ、14…球面軸受、14A…内輪、14B…外輪、14BUP…上方外輪、14BDW…下方外輪、14iC…外周面、14tC…内周面、16…偏心軸受、16UP…上方偏心軸受、16DW…下方偏心軸受、17、22、23…ボルト、18…ネジ、19…ベアリング押え、21…ホルダ、分割面31…油圧シリンダ、31C…従動ギア、32…取付保持部、33…プレート、60…凹版胴、34…駆動モータ、34A…駆動ギア、35…ネジ軸、40…軸受保持部、CL1〜CL4…分割面。

Claims (3)

  1. 回転可能に支持され凹版胴の凹版に当接して当該凹版の余剰インキを取り除くワイピングローラと、
    前記ワイピングローラの軸の両端に設けられた軸受と、
    機台側に設けられ前記ワイピングローラの前記軸受を着脱可能に支持する軸受保持部とを備え、
    前記軸受保持部は、前記軸受の取付け及び取外しを許容する開口を備えた支承部材を有する凹版印刷機のワイピング装置において、
    前記軸受の外側に球面状の周面を有する内輪部が設けられると共に、前記支承部材の内側に球面状の周面を有する外輪部が設けられる
    ことを特徴とする凹版印刷機のワイピング装置。
  2. 前記内輪部は球面軸受の内輪であり、
    前記外輪部は直径方向に半分にされた球面軸受の一方の外輪であり、
    直径方向に半分にされた球面軸受の他方の外輪を有し、前記他方の外輪と前記一方の外輪とを分割面を重ね合わせて前記開口を閉塞する閉塞位置と、前記他方の外輪を前記一方の外輪から離反させて前記開口を開放する開放位置との間で移動自在に支持された軸受けカバーを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の凹版印刷機のワイピング装置。
  3. 前記一方の外輪は、機台側に周方向へ移動可能に支持され直径方向に半分に分割された一方の偏心軸受に支持され、
    前記他方の外輪は、前記軸受けカバーに周方向へ移動可能に支持され直径方向に半分に分割された他方の偏心軸受に支持され、
    一方の偏心軸受を回動させる駆動装置を備えた
    ことを特徴とする請求項2に記載の凹版印刷機のワイピング装置。
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