JP2013060888A - 内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステム - Google Patents

内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステム Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの自動停止時における再始動を、従来技術よりも燃料を無駄にすることなく行うことができる内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステムを提供する。
【解決手段】再始動要求が発生したときには、エンジン1の各気筒2があらかじめ指定されたクランク角度にあるときの気筒2の筒内温度を、各気筒2の筒内圧力の測定値を基にそれぞれ算出し、クランク回転センサ5及びカム回転センサ6の測定値からピストンが圧縮行程の上死点に最も近い位置にある気筒2を選択して、その気筒2の筒内温度と自着火温度とを比較する。その気筒2の筒内温度が自着火温度未満の場合には、筒内温度が自着火温度以上となる気筒2が見つかるまで、ピストンが圧縮行程の上死点に近い順に気筒2を選択する一方で、その気筒2の筒内温度が自着火温度以上の場合には気筒2内に噴射ノズル4から燃料を噴射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステムに関し、更に詳しくは、従来技術よりも燃料を無駄に使用することなく再始動を行うことができる内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステムに関する。
近年、自動車のエンジンには、燃費の低減及び排気ガスによる環境悪化の防止の観点から、停車時においてエンジンを自動停止し、かつ発車時にエンジンを自動で再始動させる、いわゆるアイドリングストップ機構が搭載されるようになっている。具体的には、エンジンの停止要求が発せられたときにはエンジンへの燃料供給を停止し、エンジンの再始動要求が発せられたときは、燃料供給を再開してスタータでエンジンを再始動させることが自動的に行われるようになっている。
このようにアイドリングストップを行うことでエンジンの再始動回数が多くなることにより、再始動時における制御の重要性が増している。具体的には、エンジンの再始動要求に対し素早く燃料噴射を行うことでドライバーに違和感を与えず、かつ無駄な燃料噴射を行わないようにするための適切な制御が望まれている。
一般にエンジンの制御システムは、エンジンのカムパルス信号やクランクパルス信号から気筒の判別を行い、適切な気筒に対して燃料噴射を行うようになっている。エンジンの再始動時においても、同様に判別された気筒に燃料噴射を行うが、冷間時などの条件下では燃料を噴射したにもかかわらず自着火しない状態が生じることがある。そのような場合には、噴射された燃料は無駄になってしまい、車両の燃費を悪化させる一因となる。
このような問題を解決するためには、例えば特許文献1が提案するような、エンジンの自動停止後に膨張行程で停止している気筒に対して燃料を噴射する場合において、その気筒内の温度が自着火温度以上の場合には燃料を噴射し、自着火温度未満の場合にはスタータで再始動するエンジン始動装置を用いることが考えられる。
しかしながら、上記のエンジン始動装置では、スタータの駆動後でも気筒の筒内温度条件によっては自着火しない状態もあり得るため、そのような場合には噴射された燃料が無駄になってしまうことになる。
特開2010−031834号公報
本発明の目的は、エンジンの自動停止時における再始動を、従来技術よりも燃料を無駄にすることなく行うことができる内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステムを提供することにある。
上記の目的を達成する本発明の内燃機関のアイドリングストップの制御方法は、エンジンの運転中に発生した停止要求によりエンジンへの燃料供給を停止し、再始動要求の発生により燃料供給を再開するアイドリングストップシステムを備えた内燃機関のアイドリングストップの制御方法であって、前記再始動要求が発生したときには、前記エンジンの各気筒の行程を判別するとともに、それら各気筒の筒内圧力をそれぞれ測定し、前記各気筒があらかじめ指定されたクランク角度にあるときの気筒の筒内温度を、前記測定された各気筒の筒内圧力を基にそれぞれ算出し、ピストンが圧縮行程の上死点に最も近い位置にある気筒を選択し、前記選択された気筒の筒内温度と自着火温度とを比較し、前記気筒の筒内温度が自着火温度未満の場合には、前記筒内温度が自着火温度以上となる気筒が見つかるまで、前記ピストンが圧縮行程の上死点に近い順に気筒を選択し、前記気筒の筒内温度が自着火温度以上の場合には、その気筒内に燃料を噴射することを特徴とすることを特徴とするものである。
上記の目的を達成するための本発明の内燃機関のアイドリングストップシステムは、エンジンの運転中に発生した停止要求によりエンジンへの燃料供給を停止し、再始動要求の発生により燃料供給を再開する内燃機関のアイドリングストップシステムであって、前記エンジンの気筒内の圧力を測定する圧力センサと、前記気筒内に燃料を噴射する噴射ノズルと、クランク軸の回転パルスを測定するクランク回転センサと、カムシャフトの回転パルスを測定するカム回転センサと、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記再始動要求が発生したときには、前記クランク回転センサ及びカム回転センサが測定した回転パルスからエンジンの各気筒の行程を判別するとともに、それら各気筒の筒内圧力を前記圧力センサを用いてそれぞれ測定し、前記各気筒があらかじめ指定されたクランク角度にあるときの気筒の筒内温度を、前記測定された各気筒の筒内圧力を基にそれぞれ算出し、前記測定された回転パルスからピストンが圧縮行程の上死点に最も近い位置にある気筒を選択し、前記選択された気筒の筒内温度と自着火温度とを比較し、前記気筒の筒内温度が自着火温度未満の場合には、前記筒内温度が自着火温度以上となる気筒が見つかるまで、前記ピストンが圧縮行程の上死点に近い順に気筒を選択し、前記気筒の筒内温度が自着火温度以上の場合には、その気筒内に前記噴射ノズルにより燃料を噴射することを特徴とするものである。
本発明の内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステムによれば、確実に自着火して膨張行程に移行する気筒に対してのみ燃料噴射を行うようにしたので、エンジンの自動停止後の再始動を燃料を無駄にすることなく行うことができる。
本発明の実施の形態からなる内燃機関のアイドリングストップシステムの構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態からなる内燃機関のアイドリングストップの制御方法を説明するフロー図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態の内燃機関のアイドリングストップシステムの構成を示す。
この内燃機関のアイドリングストップシステムは、内燃機関であるエンジン1の各気筒2の筒内圧力をそれぞれ測定する筒内圧力センサ3と、それらの気筒2内に燃料を噴射する噴射ノズル4と、クランク軸のクランク角度を測定するクランク回転センサ5と、カムシャフトの回転角度を測定するカム回転センサ6と、制御手段であるECU(エンジンコントロールユニット)7とから主に構成されている。
ECU7には、筒内圧力センサ3、噴射ノズル4、クランク回転センサ5及びカム回転センサ6が、それぞれに信号線8a〜8dを通じて接続している。通常運転時においては、ECU7はクランク回転センサ5及びカム回転センサ6の測定値から各気筒2の行程を判別し、運転状況に応じたタイミングでコモンレール9内の燃料を噴射ノズル4から気筒2内へ噴射させる。
なお、筒内圧力センサ3としては、グロープラグ一体型のアンプ内蔵筒内圧力センサが好ましく例示される。
また、エンジン1の各気筒2には、それぞれ気筒番号k1〜k4が付されており、それらの気筒2に対して、吸気通路10に接続する吸気マニホールド11と、排気通路12へ接続する排気マニホールド13とが連通している。なお、図1の例では4つの気筒2を示しているが、気筒2の数はこれに限るものではない。
このような構成を有するアイドリングストップシステムにおいて、エンジン1が自動停止した後に再始動要求が発せられた場合におけるアイドリングストップの制御方法を、図2に示すフロー図に基づいて以下に説明する。
ECU7は再始動要求の発生を受け取ると(S10)、クランク回転センサ5及びカム回転センサ6の測定値から各気筒2の行程を判別し(S20)、筒内圧力センサ3の測定値から各気筒2の筒内圧力を求める(S30)。
次に、各気筒2があらかじめ指定されたクランク角度θにあるときの筒内温度Tθを、以下の式(1)〜(3)を用いてそれぞれ算出する(S40)。
Figure 2013060888
但し、N:気筒番号、Pθ:筒内圧力、Vθ:筒内行程容積、Gt:全ガス質量、R0:ガス定数、B:ボア径、Xθ:ピストン変位、Vc:隙間容積、Ga:吸入空気質量をそれぞれ示す。
なお、ピストン変位Xθは、クランク角度θから幾何学的に算出される。吸入空気質量 Gaは、吸気通路等に取り付けられた吸入空気量センサ(図示せず)から求めることができる。
また、指定されたクランク角度θにあるときの筒内圧力Pθは、例えばクランク回転センサ5の回転パルス信号が6度毎である場合には、ECU7内部で1度の逓倍信号を生成し、1度毎にサンプリングするなどして収集される。このサンプリングの開始は、各気筒2の上死点の180度前から行う。また、吸気マニホールド11に設置されたインマニ圧力センサ14が測定するインマニ圧力によりドリフトの補正を行ってから物理量である圧力値に変換する。上死点の180度前のインマニ圧力データを利用して補正する。
次に、クランク回転センサ5及びカム回転センサ6の測定値から、ピストンの位置が圧縮行程の上死点も最も近い気筒番号の気筒2を選択する(S50)。
そして、選択された気筒2の筒内温度Tθを、気筒2内で燃料が自着火する温度(自着火温度)と比較する(S60)。この自着火温度は、あらかじめ実験等で求めておき、ECUのメモリに記憶させておく。また、その気筒2で自着火可能であるかどうかを判定するために、燃料噴射前の筒内圧力データを利用する。例えば、クランク角度θを上死点の20〜30度前とする。
筒内温度Tθが自着火温度以上である場合には、直ちに噴射ノズル4から気筒2内へ燃料を噴射して(S70)、スタータでエンジン1を始動させる。
一方、筒内温度Tθが自着火温度未満である場合には、クランク回転センサ5及びカム回転センサ6の測定値からピストンが圧縮行程の上死点に次に近い気筒番号の気筒2を判別して選択し(S80)、その選択された気筒2の筒内温度Tθを自着火温度と再び比較する(S60)。この比較処理は、筒内温度Tθが自着火温度以上である気筒番号の気筒2が見つかるまで繰り返され、見つかった気筒2内へ燃料を噴射して、スタータでエンジン1を始動させる。
このように、気筒2の筒内圧力を基に算出した筒内温度から、確実に自着火して膨張行程に移行する気筒2を選択し、その気筒2に対してのみ燃料噴射を行うようにしたので、エンジン1の自動停止後の再始動を燃料を無駄にすることなく行うことができる。
なお、本発明の内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステムにおいては、あらかじめ上記の式(1)〜(3)に従って、筒内圧力と筒内温度との関係をデータベース化しておくことで、筒内圧力の測定値のみから自着火可能であるか否かを判定するようにしても良い。
本発明の内燃機関のアイドリングストップの制御方法及びアイドリングストップシステムの用途は、上述したような自動車用のエンジン1に限るものではなく、一般の内燃機関にも適用することができる。
1 エンジン
2 気筒
3 筒内圧力センサ
4 噴射ノズル
5 クランク回転センサ
6 カム回転センサ
7 ECU
8a〜8d 信号線
9 コモンレール
10 吸気通路
11 吸気マニホールド
12 排気通路
13 排気マニホールド
14 インマニ圧力センサ

Claims (7)

  1. エンジンの運転中に発生した停止要求によりエンジンへの燃料供給を停止し、再始動要求の発生により燃料供給を再開するアイドリングストップシステムを備えた内燃機関のアイドリングストップの制御方法であって、
    前記再始動要求が発生したときには、前記エンジンの各気筒の行程を判別するとともに、それら各気筒の筒内圧力をそれぞれ測定し、
    前記各気筒があらかじめ指定されたクランク角度にあるときの気筒の筒内温度を、前記測定された各気筒の筒内圧力を基にそれぞれ算出し、
    ピストンが圧縮行程の上死点に最も近い位置にある気筒を選択し、
    前記選択された気筒の筒内温度と自着火温度とを比較し、
    前記気筒の筒内温度が自着火温度未満の場合には、前記筒内温度が自着火温度以上となる気筒が見つかるまで、前記ピストンが圧縮行程の上死点に近い順に気筒を選択し、
    前記気筒の筒内温度が自着火温度以上の場合には、その気筒内に燃料を噴射することを特徴とする内燃機関のアイドリングストップの制御方法。
  2. 前記測定された各気筒の筒内圧力を基に、下記に示す式(1)〜(3)により前記各気筒の筒内温度をそれぞれに付された気筒番号毎に算出する請求項1に記載の内燃機関のアイドリングストップの制御方法。
    Figure 2013060888
    但し、θ:クランク角度、N:気筒番号、Tθ:筒内温度、Pθ:筒内圧力、Vθ:筒内行程容積、Gt:全ガス質量、R0:ガス定数、B:ボア径、Xθ:ピストン変位、Vc:隙間容積、Ga:吸入空気質量、をそれぞれ示す。
  3. 前記測定された気筒の筒内圧力をインマニ圧力で補正してから該気筒の筒内温度を算出する請求項1又は2に記載の内燃機関のアイドリングストップの制御方法。
  4. エンジンの運転中に発生した停止要求によりエンジンへの燃料供給を停止し、再始動要求の発生により燃料供給を再開する内燃機関のアイドリングストップシステムであって、
    前記エンジンの気筒内の圧力を測定する圧力センサと、前記気筒内に燃料を噴射する噴射ノズルと、クランク軸の回転パルスを測定するクランク回転センサと、カムシャフトの回転パルスを測定するカム回転センサと、制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記再始動要求が発生したときには、前記クランク回転センサ及びカム回転センサが測定した回転パルスからエンジンの各気筒の行程を判別するとともに、それら各気筒の筒内圧力を前記圧力センサを用いてそれぞれ測定し、
    前記各気筒があらかじめ指定されたクランク角度にあるときの気筒の筒内温度を、前記測定された各気筒の筒内圧力を基にそれぞれ算出し、
    前記測定された回転パルスからピストンが圧縮行程の上死点に最も近い位置にある気筒を選択し、
    前記選択された気筒の筒内温度と自着火温度とを比較し、
    前記気筒の筒内温度が自着火温度未満の場合には、前記筒内温度が自着火温度以上となる気筒が見つかるまで、前記ピストンが圧縮行程の上死点に近い順に気筒を選択し、
    前記気筒の筒内温度が自着火温度以上の場合には、その気筒内に前記噴射ノズルにより燃料を噴射することを特徴とする内燃機関のアイドリングストップシステム。
  5. 前記制御手段は、前記測定された各気筒の筒内圧力を基に、下記に示す式(1)〜(3)により前記各気筒の筒内温度をそれぞれに付された気筒番号毎に算出する請求項4に記載の内燃機関のアイドリングストップシステム。
    Figure 2013060888
    但し、θ:クランク角度、N:気筒番号、Tθ:筒内温度、Pθ:筒内圧力、Vθ:筒内行程容積、Gt:全ガス質量、R0:ガス定数、B:ボア径、Xθ:ピストン変位、Vc:隙間容積、Ga:吸入空気質量、をそれぞれ示す。
  6. 前記エンジンの吸気マニホールド内の圧力を測定するインマニ圧力センサを備えるとともに、前記制御手段は、前記測定された気筒の筒内圧力を、前記インマニ圧力センサが測定したインマニ圧力で補正してから該気筒の筒内温度を算出する請求項4又は5に記載の内燃機関のアイドリングストップシステム。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の内燃機関のアイドリングストップシステムを備えた内燃機関。
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