JP2013060316A - 焼結体、焼結体の製造方法および切削工具 - Google Patents

焼結体、焼結体の製造方法および切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】高い硬度と高い靭性を有する焼結体を提供する。
【解決手段】本発明に係る焼結体は、工具用の焼結体であって、酸窒化アルミニウムと、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含む結合材と、ウィスカーと、を含み、焼結体における酸窒化アルミニウムの含有量が20体積%以上80体積%以下である、焼結体である。
【選択図】図1

Description

本発明は焼結体、焼結体の製造方法および切削工具に関し、特に、酸窒化アルミニウムを含有する工具用の焼結体、焼結体の製造方法および切削工具に関する。
切削加工などに用いられる切削工具の材料として、アルミナ(Al23)焼結体が広く知られている。アルミナ焼結体は、鉄系被削材との反応性が低く、cBN焼結体よりも安価に製造することができるという点で優れているが、その靭性が低い傾向にあるために、アルミナ焼結体を切削工具として使用した場合に、切削工具が破損し易い傾向がある。このため、アルミナ焼結体においては、たとえば、炭化珪素ウィスカーでその構造を強化する方法が採用されている。
また、近年、アルミナ焼結体と類似した特性を有し、さらに、アルミナ焼結体よりも高い硬度と低い熱膨張係数を有する、酸窒化アルミニウム焼結体の利用が検討されている。酸窒化アルミニウム焼結体は、たとえば、Al23275のような組成からなるスピネル型結晶構造を有しており、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムとを用いて作製することができる。たとえば、米国特許第4241000号明細書(特許文献1)には、酸化アルミニウムの粉末と窒化アルミニウムの粉末とを、非酸化性雰囲気下の1800℃を超える温度において、超高圧で焼成させることによって、酸窒化アルミニウムを作製する方法が記載されている。
しかしながら、酸窒化アルミニウム焼結体においても、その靭性が低い傾向にあるために、工具用とするためには、アルミナ焼結体と同様に、結合材を加える必要がある。たとえば、特表2007−533593号公報(特許文献2)には、ホットプレスを用いた焼結方法において、酸窒化アルミニウム焼結体を炭化珪素ウィスカーで強化する技術が開示されている。また、たとえば、特開平3−187998号公報(特許文献3)には、炭素粉末と、アルミニウムまたは酸化アルミニウムを混合したものを窒素雰囲気下で加熱することにより、窒化アルミニウムウィスカーを製造する方法が開示されている。
米国特許第4241000号明細書 特表2007−533593号公報 特開平3−187998号公報
しかしながら、特許文献2において、炭化珪素は鉄系被削材との反応性が高いために、炭化珪素ウィスカーを酸窒化アルミニウム焼結体の結合材として用いた場合、鉄系被削材を切削するための工具の材料に適さなくなるという問題がある。また、特許文献3に開示される方法で作製された窒化アルミニウムウィスカーには、残留炭素が存在し、また、これを完全に除去することが困難であるために、やはり、鉄系被削材を切削するための工具の材料に適さなくなるという問題がある。
換言すれば、従来の技術では、酸窒化アルミニウム焼結体に靭性を付加する一方で、鉄系被削材との反応性が低いという酸窒化アルミニウム焼結体の優れた特性を低下させることとなっており、酸窒化アルミニウム焼結体の特性を生かした、靭性の高い酸窒化アルミニウム焼結体、すなわち、耐摩耗性および耐欠損性の高い酸窒化アルミニウムを含む焼結体を提供することは実現できていなかった。
上記事情を鑑み、本発明は、酸窒化アルミニウムを含み、高い耐摩耗性および耐欠損性を有する焼結体、焼結体の製造方法および切削工具を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、酸窒化アルミニウムと、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含む結合材と、ウィスカーと、を含み、焼結体における酸窒化アルミニウムの含有量が20体積%以上80体積%以下である、焼結体である。
上記焼結体において、遷移金属は、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅または亜鉛のいずれかであることが好ましい。
上記焼結体において、ウィスカーは、酸窒化アルミニウムを含むことが好ましい。
上記焼結体におけるウィスカーの含有量が1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。
上記焼結体において、酸窒化アルミニウム、結合材、およびウィスカーに加えさらに窒化アルミニウムを0.1体積%以上10体積%以下含むことが好ましい。
上記焼結体において、酸化アルミニウムを0.1体積%以上20体積%以下含むことが好ましい。
上記焼結体において、酸窒化アルミニウムにおける酸素/窒素のモル比が3以上9以下であることが好ましい。
上記焼結体において、結合材は、さらに、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記焼結体を用いた切削工具である。
本発明の第3の態様は、上記焼結体の製造方法であって、酸化アルミニウムからなる第1粉末、窒化アルミニウムからなる第2粉末、ならびに、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物およびホウ化物から選択される少なくとも1種からなる第3粉末を混合して混合粉末を作製する工程と、混合粉末を、窒素雰囲気下において、1600℃以上2000℃以下、100Pa以上10MPa以下の条件で焼成して焼成体を形成する工程と、焼成体を粉砕して粉砕物を形成する工程と、粉砕物を成形して、1100℃以上2500℃以下、40MPa以上20GPa以下の条件で焼結させる工程と、を含み、混合粉末を準備する工程において、酸化アルミニウムの粉末と窒化アルミニウムの粉末とのモル混合比が0.25以上3以下となるように調製される、焼結体の製造方法である。
上記焼結体の製造方法において、第3粉末は、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物およびホウ化物から選択される少なくとも1種からなる第4粉末を含有するが好ましい。
本発明によれば、工具用の焼結体であって、高い耐摩耗性と耐欠損性とを有する焼結体を提供することができる。
実施例1における焼成体をSEMで観察した結果を示す図である。 図1に示されるSEM画像の一部を拡大した結果を示す図である。
<第1の実施形態>
≪焼結体≫
以下、本実施形態に係る焼結体について詳細に説明する。
本実施形態において、焼結体は、酸窒化アルミニウムと、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、該遷移金属の炭化物、および該遷移金属のホウ化物から選択される少なくとも1種を含む結合材と、ウィスカーと、を含み、焼結体における酸窒化アルミニウムの含有量が20体積%以上80体積%以下の焼結体である。
上記酸窒化アルミニウムは、Al(8+x)/34-xx(但し、0.4≦x≦1)の組成で表される酸窒化アルミニウムからなる。焼結体において、酸窒化アルミニウムの粒子同士は結合していてもよいが、焼結体の靭性を向上させる観点からは、粒子同士が結合せずに、結合材によって酸窒化アルミニウムの粒子が強固に結合される構造であることが好ましい。すなわち、結合材の連続する結晶相中に酸窒化アルミニウム粒子が分散して存在する構造であることが好ましい。
焼結体における酸窒化アルミニウムの含有量が80体積%以下の場合、酸窒化アルミニウムの粒子同士を結合を効果的に抑制して、結合材によって粒子同士を結合することができ、70体積%以下の場合にさらに粒子同士の結合を効果的に抑制することができる。また、焼結体における酸窒化アルミニウムの含有量が20体積%以上の場合、酸窒化アルミニウムによる焼結体の硬度を十分に維持することができ、また酸窒化アルミニウムの鉄系被削材との反応性の低さを維持することができ、40体積%以上の場合にさらに効果的にこれらの特性を維持することができる。焼結体中の酸窒化アルミニウムの含有量は、たとえば、SEM−EDX(走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光)を用いて確認することができる。
上記結合材は、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、該遷移金属の炭化物、および該遷移金属のホウ化物から選択される少なくとも1種を含み、酸窒化アルミニウム粒子を強固に結合させることができる。とくに、本発明者らは、鋭意検討の結果、上記遷移金属の窒化物を用いた場合に、酸窒化アルミニウム粒子を強固に結合させることができることを知見している。
焼結体における結合材の含有量は、20体積%以上80体積%以下である。焼結体における結合材の含有量を20体積%以上とすることにより、焼結体に十分な靭性を付加することができ、80体積%以下とすることにより、酸窒化アルミニウムによる硬度を維持することができる。なお、焼結体における結合材の含有量は、SEM−EDX法を用いて確認することができる。
上記遷移金属は、周期表の第5族元素〜第10族元素から選択される少なくとも1種の遷移金属である。なかでも、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)または亜鉛(Zn)から選択される遷移金属が好ましい。また、窒化物、炭化物、およびホウ化物とは、たとえば、金属がCrの場合、窒化クロム(Cr2N)、炭化クロム(Cr32)、およびホウ化クロム(CrB2)を意味する。なお、結合材が遷移金属の窒化物、遷移金属の炭化物、および遷移金属のホウ化物から選択される2種以上から構成される場合、結合材は、混合物、または固溶体となる。
上記ウィスカーは、窒化アルミニウムの六方晶の結晶からなり、結合材と酸窒化アルミニウムとの結合をより強固にすることができる。焼結体におけるウィスカーの含有量は、1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。ウィスカーの含有量が1体積%以上であることにより、結合材と酸窒化アルミニウムとの結合をさらに強固にすることができ、30体積%以下であることにより、酸窒化アルミニウムを含む焼結体の特性が、単純な窒化アルミニウムと類似となることに起因する靭性の低下を抑制することができる。
なお、後述する製造工程上、ウィスカーには、ウィスカー生成の触媒として作用する遷移金属が含まれる場合があるが、ウィスカーの特性が変化しない程度にこれらの遷移金属がウィスカーに含まれていても問題ない。具体的には、ウィスカーにおける50体積%以上が窒化アルミニウムで構成されていればよい。
以上のように、本実施形態における焼結体は、酸窒化アルミニウム粒子が結合材によって結合されるだけでなく、さらに、窒化アルミニウムからなるウィスカーによって、より強固に結合される。このため、本実施形態における焼結体は、高い硬度と高い靭性とを有することができ、もって、高い耐磨耗性、高い耐欠損性を有することができる。また、従来のように、炭化珪素ウィスカーなどの鉄系被削材との反応性の高い結合材を用いていないため、鉄系被削材との反応性が低いという酸窒化アルミニウム焼結体の特性を生かした上で、靭性の高い酸窒化アルミニウム焼結体を提供することができる。また、この焼結体を切削工具などの工具の材料とすることにより、長寿命の切削工具を提供することができる。
また、酸窒化アルミニウムにおいて、酸素と窒素とのモル比(O/N)が3以上9以下であることが好ましい。本実施形態の酸窒化アルミニウムは、酸化アルミニウム(Al23)の粉末と窒化アルミニウム(AlN)の粉末とを原料とするが、本発明者らは、後述する焼結体の製造方法において、これらの粉末を焼成することによって生成される酸窒化アルミニウムにおける酸素と窒素とのモル比が上記範囲内となる場合、焼結体中に不可避不純物として、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムとが適切な濃度の範囲内で存在できる傾向にあることを知見している。なお、ここでの窒化アルミニウムとは、ウィスカーに加えさらに焼結体が含有する窒化アルミニウムのことを意味するため、ウィスカー形状を有する窒化アルミニウムとは異なる。これらは、TEM観察および/またはSEM観察により区別することができる。
より具体的には、本実施形態の焼結体において、0.1体積%以上20体積%以下の酸化アルミニウムが存在することが好ましい。これにより、高い硬度と高い靭性を維持したまま、さらに、焼結体の耐熱性を向上させることができる。これは、たとえば、高速切削時に切削工具の刃先などが高温になった場合であっても、焼結体に含まれる酸化アルミニウムのさらなる酸化が起こらないために、結果的に、焼結体の酸化が抑制されるためである。
また、本実施形態の焼結体において、0.1体積%以上10体積%以下の窒化アルミニウムが存在することが好ましい。これにより、高い硬度と高い靭性を維持したまま、さらに、焼結体と被削材とのすべりを向上させることができる。これにより、当該焼結体を材料とする切削工具の逃げ面、およびすくい面の耐摩耗性を向上させることができ、もって、切削工具の寿命をさらに延ばすことができる。
なお、酸窒化アルミニウムにおける酸素と窒素とのモル比は、たとえば、TEM−EDX(透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光)を用いて確認することができ、焼結体における酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムの各含有量は、SEM−EDXを用いて確認することができる。
≪焼結体の製造方法≫
以下、本実施形態に係る焼結体の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。
(混合粉末を準備する工程)
まず、酸窒化アルミニウムの原料となる酸化アルミニウムの粉末(第1粉末)および窒化アルミニウムの粉末(第2粉末)と、結合材の原料となる金属および/または金属化合物の粉末(第3粉末)を準備し、これらを混合して混合粉末を作製する。
各粉末の混合割合については、第1粉末と、第2粉末とのモル比(Al23/AlN)が0.25以上3以下となるように各粉末を混合する。また、第3粉末は、混合粉末における混合割合が20体積%以上80体積%以下となるように混合する。
第1粉末において、酸化アルミニウムの結晶構造はα型、γ型、およびθ型のいずれの構造であってもよいが、γ型酸化アルミニウムは酸窒化アルミニウムと同じスピネル構造であり、容易に酸窒化アルミニウムに変換されるという観点から、γ型であることが好ましい。また、第1粉末および第2粉末は、それぞれ粒径が0.005μm以上10μm以下であることが好ましい。この場合、各粉末をより均一に混合することができ、また焼成によって生成される酸窒化アルミニウム粒子を小さくすることができるため、結果的に、焼結体の構造を緻密にすることができる。たとえば、各粉末を混合する前に、各粉末を乳鉢、ビーズミル、遊星ボールミルなどを用いて粉砕することによって、上記粒径の範囲内に各粉末を調製することができる。なお、本明細書において粒径とは、「平均粒子径」を意味し、BET比表面積法、光散乱法などにより算出することができる。
また、第3粉末は、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物およびホウ化物から選択される少なくとも1種からなる粉末である。第3粉末は、その粒径が0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。この場合、各粉末をより均一に混合することができ、また焼成によって生成される結合材の構造を緻密にすることができる。特に、第3粉末として窒化物を用いた場合、構造の緻密な、磨耗し難い焼結体が製造され易い傾向にある。
各粉末の混合方式には乾式と湿式の何れの方式を用いてもよく、湿式の混合方式を用いた場合には、混合物の乾燥に際し、自然乾燥やスプレードライヤなどの乾燥方法を用いることが好ましい。
(焼成体を形成する工程)
次に、上記工程で作製された混合粉末を所定条件下で焼成することによって、焼成体を作製する。
本工程において、焼成は、窒素雰囲気下において、1600℃以上2000℃以下、100Pa以上10MPa以下の条件で、30分以上行なわれる。これにより、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムが焼成されて、酸窒化アルミニウムの粒子が生成されるとともに、第3粉末が触媒となることにより、窒化アルミニウムからなるウィスカーが生成される。さらに、焼成体には、第3粉末からなる結合材の原料となる結合材粒子が含まれる。なお、酸窒化アルミニウムの組成は、Al(8+x)/34-xx(但し、0.4≦x≦1)となる。
また、本工程により作製された焼成体は、酸窒化アルミニウム粒子、ウィスカー、結合材粒子のほかに、未反応の酸化アルミニウム粒子および/または窒化アルミニウム粒子を含む場合もある。ただし、上記条件下で作製された焼成体において、若干残留する酸化アルミニウム粒子および窒化アルミニウム粒子の含有量は、後述する焼結工程後においても、それぞれ0.1体積%以上20体積%以下および、0.1体積%以上10体積%以下の範囲内となるため、特に問題はない。
(粉砕物を形成する工程)
次に、形成された焼成体を粉砕して、粉砕物を形成する。形成された焼成体において、酸窒化アルミニウム粒子および結合材粒子は、それぞれ部分的に粒成長している場合があるため、本工程により、焼成体を均一な粉末に粉砕する。これにより、後述する焼結工程において、酸窒化アルミニウムと結合材とがより均一に混在する焼結体を作製することができる。粉砕は、乳鉢、ビーズミルなどを用いて行なうことができる。なお、各粉末の混合方式には乾式と湿式の何れの方式を用いてもよい。
(焼結する工程)
次に、形成された粉砕物をプレスして成形体を形成し、該成形体を1100℃以上2500℃以下、40MPa以上20GPa以下の条件下で焼結して、焼結体を作製する。たとえば、タンタル製などのカプセルに粉砕物を充填してプレス成形し、これを超高圧プレス機で焼結することによって、上述の焼結体を作製することができる。より好ましい条件は、1200℃以上1900℃以下、1GPa以上8GPa以下である。
以上の工程により、本実施形態に係る焼結体を製造することができる。本実施形態の製造方法によれば、酸窒化アルミニウム粒子を、結合材とウィスカーとで強固に結合することができるため、高い硬度と、高い靭性とを有し、耐摩耗性、耐欠損性の高い焼結体を製造することができる。また、当該焼結体からなる切削工具は、長寿命を有することができる。なお、焼結体をそのまま切削工具としてもよく、焼結体を所望の形状に仕上げ加工したものを切削工具としてもよい。
また、本実施形態に係る製造方法と、従来技術とを比較すると、特許文献2の焼結方法では、ホットプレスで焼結体を作製しているため、焼結体の内部にポア(空隙)が発生する傾向にある。これによって酸窒化アルミニウム粒子の結合力が不足するために、結果的に、切削工具用の材料として適切な焼結体を製造するに到っていないという問題がある。
これに対し、本実施形態では、超高圧プレス法で焼結体を製造するため、ポアの発生を効果的に抑制することができる。
<第2の実施形態>
≪焼結体≫
以下、本実施形態に係る焼結体について詳細に説明する。
本実施形態は、結合材に、さらに、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含む点で、第1の実施形態の焼結体と相違する。以下、第1の実施形態との相違点についてのみ説明し、第1の実施形態の焼結体と同一の構成については説明を繰り返さない。
結合材は、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、該遷移金属の炭化物、および該遷移金属のホウ化物から選択される少なくとも1種と、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含む。すなわち、本実施形態においては、結合材は混合物または固溶体である。
本実施形態において、焼結体に含まれる結合材が、第1の実施形態の構成に加えて、さらに、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含むことにより、さらに耐摩耗性、耐欠損性に優れた焼結体となる。特に、鉄系被削材に対する工具としてより優れた焼結体となる。この理由は、第4族元素の化合物は他の遷移金属の化合物よりも硬度および靭性が高いために、結果的に磨耗し難い焼結体を形成できるためと考えられる。
本発明者らは、とくに、結合材が、第5族元素〜第10族元素の遷移金属の窒化物と、第4族元素の遷移金属の窒化物とからなること、なかでも、第6族元素の遷移金属の窒化物と、第4族元素の遷移金属の窒化物とからなることが好ましいことを知見している。これは、耐摩耗性が高い第4族元素と、ウィスカーを形成し易い第6族元素との組み合わせであり、さらに各元素が互いの機能を阻害しないためと考えられる。
≪焼結体の製造方法≫
以下、本実施形態に係る焼結体の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態は、準備する第3粉末が、第1の実施形態の第3粉末と異なる点で相違する。以下、第1の実施形態との相違点についてのみ説明し、第1の実施形態の製造方法と同一の工程については説明を繰り返さない。
(混合粉末を準備する工程)
酸窒化アルミニウムの原料となる第1粉末および第2粉末については、第1の実施形態と同様である。結合材の原料となる第3粉末としては、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物およびホウ化物から選択される少なくとも1種と、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種とからなる粉末である。
とくに、第3粉末が、第5族元素〜第10族元素の遷移金属の窒化物の粉末と、第4族元素の遷移金属の窒化物の粉末とからなること、なかでも、第6族元素の遷移金属の窒化物の粉末と、第4族元素の遷移金属の窒化物の粉末とからなることが好ましいことを知見している。これは、耐摩耗性が高い第4族元素と、ウィスカーを形成し易い第6族元素との組み合わせであり、さらに各元素が互いの機能を阻害しないためと考えられる。
各粉末の混合割合については、第1の実施形態と同様に、第1粉末と、第2粉末とのモル比(Al23/AlN)が0.25以上3以下となるように各粉末を混合する。また、第3粉末は、混合粉末における混合割合が20体積%以上80体積%以下となるように混合する。また、第3粉末の粒径が0.01μm以上10μm以下であることが好ましいことは、第1の実施形態と同様である。
本実施形態に係る焼結体の製造方法によれば、酸窒化アルミニウム粒子を、結合材とウィスカーとで強固に結合することができるため、高い硬度と、高い靭性とを有し、耐摩耗性、耐欠損性の高い焼結体を製造することができる。とくに、結合材が、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物およびホウ化物から選択される少なくとも1種と、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種とからなることにより、より耐摩耗性、耐欠損性の高い焼結体を得られることを実験より知見している。
以下に、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、これらの実施例は例示的なものであり、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜18および比較例1〜4)
各実施例および比較例において、粒径が0.01μmの酸化アルミニウム(γ−アルミナ)粉末(第1粉末)と、粒径が0.1μmの窒化アルミニウム粉末(第2粉末)と、粒径が4μmのCr2N粉末(第3粉末)とが、それぞれ下記表1に示す混合比となるように、ボールミルに添加した。そして、分散溶媒としてのエタノールをボールミルに添加して、これらを均一に混合した。なお、各粒子の粒径は、光散乱法により測定し、各粉末の体積は、各粉末の重量を測定し、各粉末の密度から換算した。そして、各粉末が均一に混合されて形成されたスラリーをバット内に均一に広げ、これを乾燥させることによって、混合粉末を準備した。
そして、乾燥させた混合粉末を窒化ホウ素製の容器に入れ、当該容器を加熱炉に入れて窒素雰囲気下において、表1に示す焼成条件に従って、焼成体を形成した。ここで、構造解析用に作製した焼成体の一部を採取し、SEM−EDXによりその構造を解析した。その結果を図1および図2に示す。なお、図2は、図1の一部を拡大したものである。
図1および図2を参照し、焼成体中にはウィスカーが生成されており、また、そのウィスカーが六方晶の窒化アルミニウム結晶であることがわかった。
引き続き、各実施例および各比較例における焼成体をビーズミルを用いて粉砕し、形成された粉砕物をタンタル製のカプセルに充填し、超高圧プレス機を用いて、表1に示す焼結条件に従って焼結体を作製した。
作製された焼結体における酸窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ウィスカーおよび結合材の各体積%を、SEM−EDXにより算出した。また、酸窒化アルミニウムにおける酸素と窒素のモル比(O/N)をTEM−EDXにより算出した。
さらに、各焼結体を、レーザにより切断して仕上げ加工し、先端ノーズR0.8mmの切削工具を作製した。そして、以下の条件で、各切削工具における鋼(S45C)の切削試験を行い、1km切削後の各切削工具の逃げ面の磨耗量を測定した。
切削速度:400m/min.
切込み量:0.2mm
送り量:0.1mm/rev
切削油:なし。
各実施例および各比較例における、原料組成(各粉末の体積%)、焼成条件および焼結条件を表1に示す。また、各実施例および各比較例において作製された焼結体の組成、および各焼結体を材料とする切削工具の上記切削試験後の逃げ面の磨耗量(μm)を表2に示す。また、比較例3および4として、超硬合金工具(組成:WC/Co=50体積%/50体積%)およびセラミック工具(組成:Al23/Y23=95体積%/5体積%)を用いて、上記と同様の切削試験を行い、各工具の逃げ面の磨耗量を観察した結果も表2に示す。なお、表2において、酸窒化アルミニウムを「AlON」と表記している。
実施例1〜18および比較例1〜4を参照し、酸窒化アルミニウムを含む焼結体であって、結合材としてのCr2Nおよび窒化アルミニウムのウィスカーを含み、さらに、酸窒化アルミニウムの含有量が20体積%以上80体積%以下である場合に、切削工具の磨耗量が低いことが分かった。切削工具の磨耗量が低い場合、切削工具の材料である焼結体が高い耐磨耗性、耐欠損性を有する、高硬度で高靭性であることが分かる。
また、実施例1〜12および実施例13、14を比較し、焼結体におけるウィスカーの含有量が、1体積%以上30体積%以下の場合に、切削工具の磨耗量がより低く、焼成体の上記特性が向上していることが分かった。また、実施例1〜14および実施例15、16を比較し、焼結体における酸化アルミニウムの含有量が20体積%以下であることが好ましく、窒化アルミニウム(ただし、ウィスカー形状のものを除く)の含有量が15体積%以下が好ましく、10体積%以下がより好ましいことが分かった。また、たとえば、実施例1〜12および実施例17、18を参照し、上記焼結体において、酸窒化アルミニウムにおける酸素/窒素のモル比が3以上9以下である場合に、より切削工具の磨耗量が低いことが分かった。
(実施例19〜38)
実施例19において、第3粉末として、表3に示すCr2N、TiNを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって焼結体を作製し、また、該焼結体を用いて切削工具を作製し、上記切削試験を行った。Cr2Nの粉末とTiNの粉末とは、体積比が1:1となるように混合した。
実施例20〜38において、第3粉末として表3に示す各金属または各金属化合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって焼結体を作製し、また、該焼結体を用いて切削工具を作製し、上記切削試験を行った。
各実施例19〜38における原料組成(各原料の体積%)、焼成条件および焼結条件を表3に示す。また、各実施例において作製された焼結体の組成、および各焼結体を材料とする切削工具の上記切削試験後の逃げ面の磨耗量(μm)を表4に示す。
表3および表4を参照し、表3に示す金属化合物を結合材の原料として用いた場合にも、実施例1〜18と同様に、切削工具の上記切削試験後の逃げ面の磨耗量が低下することが分かった。なかでも、実施例19において、磨耗量が顕著に低かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明による焼結体は、切削工具に広く利用することができ、長距離に亘って、被削材の表面に平滑な切削表面を形成することができる。特に、硬度の高い被削材、耐熱合金からなる被削材、鉄系材料を含む被削材を切削するための切削工具に好適に利用することができる。

Claims (11)

  1. 酸窒化アルミニウムと、
    第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含む結合材と、
    ウィスカーと、を含み、
    前記焼結体における前記酸窒化アルミニウムの含有量が20体積%以上80体積%以下である、焼結体。
  2. 前記遷移金属は、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅または亜鉛のいずれかである、請求項1に記載の焼結体。
  3. 前記ウィスカーは、窒化アルミニウムを含む、請求項1または2に記載の焼結体。
  4. 前記焼結体における前記ウィスカーの含有量が1体積%以上30体積%以下である、請求項1または2に記載の焼結体。
  5. 前記酸窒化アルミニウム、前記結合材、および前記ウィスカーに加えさらに窒化アルミニウムを0.1体積%以上10体積%以下含む、請求項1または2に記載の焼結体。
  6. 酸化アルミニウムを0.1体積%以上20体積%以下含む、請求項1から3のいずれかに記載の焼結体。
  7. 前記酸窒化アルミニウムにおける酸素/窒素のモル比が3以上9以下である、請求項1から4のいずれかに記載の焼結体。
  8. 前記結合材は、さらに、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物、およびホウ化物から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から7のいずれかに記載の焼結体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の焼結体を用いた切削工具。
  10. 請求項1から8のいずれかに記載の焼結体の製造方法であって、
    酸化アルミニウムからなる第1粉末、窒化アルミニウムからなる第2粉末、ならびに、第5族元素〜第10族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物およびホウ化物から選択される少なくとも1種からなる第3粉末を混合して混合粉末を作製する工程と、
    前記混合粉末を、窒素雰囲気下において、1600℃以上2000℃以下、100Pa以上10MPa以下の条件で30分以上焼成して焼成体を形成する工程と、
    前記焼成体を粉砕して粉砕物を形成する工程と、
    前記粉砕物を成形して、1100℃以上2500℃以下、40MPa以上20GPa以下の条件で焼結させる工程と、を含み、
    前記混合粉末を準備する工程において、前記酸化アルミニウムの粉末と前記窒化アルミニウムの粉末とのモル混合比が0.25以上3以下となるように調製される、焼結体の製造方法。
  11. 前記第3粉末は、第4族元素の遷移金属、該遷移金属の窒化物、炭化物およびホウ化物から選択される少なくとも1種からなる第4粉末を含有する、請求項10に記載の焼結体の製造方法。
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