JP2013060148A - 空気入りランフラットタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】良好なユニフォミティを具え、且つランフラット走行時の耐久性の高い空気入りランフラットタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りランフラットタイヤであって、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスプライからなるカーカス(5)と、少なくとも一層のベルト層(6A、6B)と、サイド部の各々に断面三日月形状のサイド補強ゴム層(7)を有し、カーカスプライはセルロースのフィラメントとナイロンのフィラメントとを撚り合わせてなるハイブリッドコードの複数本をゴムで被覆してなり、断面三日月形状のサイド補強ゴム層の形状に沿って、径方向において該サイド補強ゴム層の少なくとも一部と重なるように補強コード層(8)が配置され、該補強コード層の径方向外側端(8e1)は、径方向最内側のベルト層の幅方向端から、幅方向内側に8〜23mmの範囲内に配置される。
【選択図】図1
【解決手段】空気入りランフラットタイヤであって、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスプライからなるカーカス(5)と、少なくとも一層のベルト層(6A、6B)と、サイド部の各々に断面三日月形状のサイド補強ゴム層(7)を有し、カーカスプライはセルロースのフィラメントとナイロンのフィラメントとを撚り合わせてなるハイブリッドコードの複数本をゴムで被覆してなり、断面三日月形状のサイド補強ゴム層の形状に沿って、径方向において該サイド補強ゴム層の少なくとも一部と重なるように補強コード層(8)が配置され、該補強コード層の径方向外側端(8e1)は、径方向最内側のベルト層の幅方向端から、幅方向内側に8〜23mmの範囲内に配置される。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、タイヤのサイド部にサイド補強ゴム層を配置して、パンク時等の低内圧時の所定距離内での走行を保証する、いわゆるランフラットタイヤに関する。
ランフラットタイヤ、中でもサイド部に比較的モジュラスが高い断面三日月状のサイド補強ゴム層を配置したサイド補強型のランフラットタイヤは、パンク時等の低内圧時の所定距離内での走行、すなわちランフラット走行時の耐久性をより向上させることを所期した際、サイド補強ゴム層のゲージを厚くして、サイド部の剛性を高める必要がある。
しかし、サイド補強ゴム層によりサイド部の剛性が高くなると、通常のタイヤに比べて縦バネが大きくなるため、通常走行時に良好な乗心地性を得ることが難しくなる。
しかし、サイド補強ゴム層によりサイド部の剛性が高くなると、通常のタイヤに比べて縦バネが大きくなるため、通常走行時に良好な乗心地性を得ることが難しくなる。
そこで、例えば特許文献1に開示されるように、サイド補強ゴム層の外側に、さらにサイド補強コード層を設けることにより、サイド補強ゴム層のゲージを厚くすることなしに、縦バネの上昇を抑制することが提案されている。
しかしながら、サイド補強ゴム層の外側に補強コード層を設けても尚、ユニフォミティが不足する場合のあることが問題であり、とりわけ、荷重負荷の下で転動するタイヤの1回転当たりに生じる、タイヤ径方向の路面からの反力変動の大きさを示すRFV(ラジアルフォースバリエーション)が大きくなる場合があった。このRFVは、車両に対する加振力となるため、タイヤのRFVの値が大きいと、車両の乗心地性が悪化する。従って、この点に改善の余地が残されていた。
以上のことから、近年、ランフラットタイヤ、とりわけサイド補強型のランフラットタイヤにおいて、良好なユニフォミティの下、ランフラット走行時の耐久性を向上させることが切望されている。
従って本発明の目的は、良好なユニフォミティを具え、且つランフラット走行時の耐久性の高い空気入りランフラットタイヤを提供することにある。
上記目的を達成すべく、発明者はRFVが上昇する原因を追求した。その結果、カーカスを形成するカーカスプライの繊維種を選択することによって、RFVの上昇を抑制できることを見出した。
近年、カーカスのプライコードの材料としては、セルロースやポリエステルを用いることが主流とされているが、ポリエステルを、高負荷環境での使用が想定されるランフラットタイヤに適用する場合、高温時の接着性の低さに起因して、耐久性が不十分であるという問題がある。そのため、ランフラットタイヤのカーカスプライコードとしては、一般に、レーヨンに代表されるセルロースが使用されているが、レーヨンは高弾性であるため、レーヨンを単独でカーカスプライコードに用いると、今度は乗心地性が悪化してしまう場合がある。従って、レーヨンの使用量を下げるための技術の一つとして、例えば、カーカスプライにレーヨンとアラミドを撚り合わせた複合コードを使用することが提案されている。
しかしながら、レーヨンの使用量を低減するためにレーヨン以外の繊維種を含む複合コードをカーカスプライに用いた場合、用いるコードの繊維種によって、今度はユニフォミティが悪化する場合がある。
近年、カーカスのプライコードの材料としては、セルロースやポリエステルを用いることが主流とされているが、ポリエステルを、高負荷環境での使用が想定されるランフラットタイヤに適用する場合、高温時の接着性の低さに起因して、耐久性が不十分であるという問題がある。そのため、ランフラットタイヤのカーカスプライコードとしては、一般に、レーヨンに代表されるセルロースが使用されているが、レーヨンは高弾性であるため、レーヨンを単独でカーカスプライコードに用いると、今度は乗心地性が悪化してしまう場合がある。従って、レーヨンの使用量を下げるための技術の一つとして、例えば、カーカスプライにレーヨンとアラミドを撚り合わせた複合コードを使用することが提案されている。
しかしながら、レーヨンの使用量を低減するためにレーヨン以外の繊維種を含む複合コードをカーカスプライに用いた場合、用いるコードの繊維種によって、今度はユニフォミティが悪化する場合がある。
そこで発明者は、レーヨンやリヨセル等のセルロースは、熱収縮応力は高くないが高剛性であるという特性を有することから、反対に、熱収縮応力は高いが低剛性の特性を有するナイロンをレーヨンに加えて、複合コード(以下、ハイブリッドコードと称する)をカーカスプライに適用すれば、両繊維の異なる特性を利用して、良好なユニフォミティを実現できることを見出したのである。
加えて発明者は、RFVの大きさは、補強コード層のタイヤ内での位置に応じて変化するものであり、RFVを常に小さい値に維持することができる、補強コード層の適正位置があることを発見した。すなわち、サイド補強型ランフラットタイヤに補強コード層を配置する際、補強コード層をタイヤの適切な位置に配置すれば、RFVを悪化させることなく、良好なユニフォミティを実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は次の通りである。
(1)一対のビード部の径方向外側に一対のサイド部及びトレッド部を、前記一対のビード部間にトロイド状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカスに沿って連ねて成り、該カーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも一層のベルト層を有し、さらに、前記サイド部の各々に断面三日月形状のサイド補強ゴム層を有する空気入りタイヤであって、
前記カーカスプライは、セルロースのフィラメントとナイロンのフィラメントとを撚り合わせてなるハイブリッドコードの複数本をゴムで被覆してなり、
前記断面三日月形状のサイド補強ゴム層の形状に沿って、径方向において該サイド補強ゴム層の少なくとも一部と重なるように補強コード層が配置され、該補強コード層の径方向外側端は、径方向最内側のベルト層の幅方向端から、幅方向内側に8〜23mmの範囲内に配置される
ことを特徴とする、空気入りランフラットタイヤ。
(1)一対のビード部の径方向外側に一対のサイド部及びトレッド部を、前記一対のビード部間にトロイド状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカスに沿って連ねて成り、該カーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも一層のベルト層を有し、さらに、前記サイド部の各々に断面三日月形状のサイド補強ゴム層を有する空気入りタイヤであって、
前記カーカスプライは、セルロースのフィラメントとナイロンのフィラメントとを撚り合わせてなるハイブリッドコードの複数本をゴムで被覆してなり、
前記断面三日月形状のサイド補強ゴム層の形状に沿って、径方向において該サイド補強ゴム層の少なくとも一部と重なるように補強コード層が配置され、該補強コード層の径方向外側端は、径方向最内側のベルト層の幅方向端から、幅方向内側に8〜23mmの範囲内に配置される
ことを特徴とする、空気入りランフラットタイヤ。
(2)加硫成型前のタイヤから取り出した前記ハイブリッドコードの170℃における熱収縮率が1.0%以上4.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りランフラットタイヤ。
(3)前記ハイブリッドコードの総dtex数に対するナイロンのdtex数の比率が20〜50%であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の空気入りランフラットタイヤ。
(4)加硫成型前のタイヤから取り出した前記ハイブリッドコードの175℃における熱収縮率と165℃における熱収縮率との差が1.2%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一に記載の空気入りランフラットタイヤ。
(5)加硫成型前のタイヤから取り出した前記ハイブリッドコードの170℃における熱収縮率を、タイヤ周方向に等間隔に10点測定したときの、最大値と最小値との差が0.55%以内であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一に記載の空気入りランフラットタイヤ。
(6)加硫成型前のタイヤから取り出したカーカスプライコードの177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が、0.10cN/dtex以上であり、かつ、加硫成型後のタイヤから取り出したカーカスプライコードの25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex以上であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一に記載の空気入りランフラットタイヤ。
(7)前記カーカスは、前記一対のビード部に各々埋設されるビードコアを巻き返してなる一対の折り返し部を有し、
前記補強コード層の径方向内側端は、前記ビードコアを巻き返して、前記折り返し部の折り返し端より径方向内側に配置されることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一に記載の空気入りランフラットタイヤ。
前記補強コード層の径方向内側端は、前記ビードコアを巻き返して、前記折り返し部の折り返し端より径方向内側に配置されることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一に記載の空気入りランフラットタイヤ。
本発明によれば、良好なユニフォミティを具え、且つランフラット走行時の耐久性の高い空気入りランフラットタイヤを提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明に従う空気入りタイヤを詳細に説明する。図1は、本発明に従う空気入りランフラットタイヤの一実施形態のタイヤ幅方向の断面図である。図2は、本発明に従う空気入りランフラットタイヤの他の実施形態のタイヤ幅方向の断面図である。
図1に示すように、本発明に従う空気入りランフラットタイヤ1(以下、単に「タイヤ」と言う)は、ビードコアを埋設した一対のビード部2、2と、このビード部からそれぞれタイヤ径方向外側に延びる一対のサイド部3、3と、これらサイド部間に跨るトレッド部4とを有している。
一対のビード部2、2間には、トロイダル状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカス、ここでは一枚のカーカスプライからなるカーカス5が配置されている。このカーカス5のクラウン部の径方向外側には、少なくとも一層のベルト層、ここでは2層のベルト層6A、6Bからなるベルト6が配置されている。ベルト層6A、6Bは、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくはスチールコードのゴム引き層からなり、二層のベルト層の場合、ベルト層を構成するコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されて、ベルト6を構成している。
一対のビード部2、2間には、トロイダル状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカス、ここでは一枚のカーカスプライからなるカーカス5が配置されている。このカーカス5のクラウン部の径方向外側には、少なくとも一層のベルト層、ここでは2層のベルト層6A、6Bからなるベルト6が配置されている。ベルト層6A、6Bは、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくはスチールコードのゴム引き層からなり、二層のベルト層の場合、ベルト層を構成するコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されて、ベルト6を構成している。
また、一対のサイド部3、3の各々には、一対の断面が三日月形状のサイド補強ゴム層7、7が配置されている。このサイド補強ゴム層7、7は、中央部においてタイヤ幅方向最大厚さを有するとともに、タイヤ径方向内側及び外側に向かってそれぞれタイヤ幅方向厚さを減じて、全体が略三日月の断面形状となるように形成されており、比較的モジュラスが高いゴムからなる。このサイド補強ゴム層7、7により、各サイド部の剛性が高くなるため、内圧低下時にサイド部の撓み変形が極端に増加することなく荷重を負担することが可能となり、ランフラット耐久性が向上する。
さらに、サイド部3、3には、断面三日月形状のサイド補強ゴム層7、7の形状に沿って、一対の補強コード層8、8が配置されている。この補強コード層8は、その一方端である径方向外側端8e1がベルト6の下、ここではカーカス5とベルト6との間に配置されており、各サイド部3において、サイド補強ゴム層7の少なくとも一部と径方向領域で重なり合うように、ビード部2に向かって延在している。
上述のように、ランフラット耐久性のためにサイド部の剛性をさらに高めようとする場合、サイド補強ゴム層7のゴムゲージを増加させることが考えられる。しかし、ゴムゲージが増加すると、タイヤの重量が増加するため、乗心地性が悪化するだけでなく、車両への必要な入力が増加してしまうという問題がある。そこで、各サイド部3に、さらに、ベルト6の端部付近からビード部2に向かって延在する補強コード層8を配設することにより、サイド補強ゴム層7のゴムゲージの増加を極力抑えつつサイド部の縦剛性を高めるとともに、サイド補強ゴム層7に起因する縦バネの上昇を抑制することが可能となる。
上述のように、ランフラット耐久性のためにサイド部の剛性をさらに高めようとする場合、サイド補強ゴム層7のゴムゲージを増加させることが考えられる。しかし、ゴムゲージが増加すると、タイヤの重量が増加するため、乗心地性が悪化するだけでなく、車両への必要な入力が増加してしまうという問題がある。そこで、各サイド部3に、さらに、ベルト6の端部付近からビード部2に向かって延在する補強コード層8を配設することにより、サイド補強ゴム層7のゴムゲージの増加を極力抑えつつサイド部の縦剛性を高めるとともに、サイド補強ゴム層7に起因する縦バネの上昇を抑制することが可能となる。
そして、本発明のタイヤにおいては、まず、カーカス5を形成するカーカスプライが、セルロースのフィラメントと、ナイロン(脂肪族ポリアミド)のフィラメントとを撚り合わせてなるハイブリッドコードの複数本をゴムで被覆することにより形成されていることが肝要である。
レーヨンやリヨセル等のセルロースは、高剛性であるが熱収縮応力は低いという特性を有する一方、ナイロンは、低剛性であるが熱収縮応力が高いという特性を有する。
ここで、サイド補強型ランフラットタイヤの内圧が空気圧と等しくなった場合、サイド部においては、サイド補強ゴム層7が圧縮応力を、カーカス5が引張応力を負担することで、効果的に曲げ剛性を発現することが知られている。しかしながら、ランフラット走行時には、タイヤ内部で発熱が生じてゴムのモジュラスが低下するため、走行を継続すると、次第にタイヤの撓みが大きくなってしまう。そこで、カーカスの材料として、レーヨンだけでなく、高い熱収縮応力を有するナイロンをカーカスの材料として用いることにより、ランフラット走行に伴う温度上昇によってカーカスプライが収縮して高い熱収縮応力を発現し、高温下において、タイヤの撓みに抗する方向の曲げ剛性が負荷されることになる。
このように、両繊維の相反する特性を組み合わせることで、高い熱収縮応力を有するとともに、初期の剛性が低いハイブリッドコードを得ることができる。かかるハイブリッドコードをランフラットタイヤのカーカスプライの材料に適用すれば、通常走行時には、レーヨン等のセルロースのみを使用したカーカスプライを用いる場合と比べてサイド部の剛性を適度に低下させ、縦バネ上昇を抑制して乗心地性を良好に維持することができ、一方、ランフラット走行時には、上述のようにタイヤの撓みを抑制して、ランフラット耐久性を向上させることが可能となる。
ここで、サイド補強型ランフラットタイヤの内圧が空気圧と等しくなった場合、サイド部においては、サイド補強ゴム層7が圧縮応力を、カーカス5が引張応力を負担することで、効果的に曲げ剛性を発現することが知られている。しかしながら、ランフラット走行時には、タイヤ内部で発熱が生じてゴムのモジュラスが低下するため、走行を継続すると、次第にタイヤの撓みが大きくなってしまう。そこで、カーカスの材料として、レーヨンだけでなく、高い熱収縮応力を有するナイロンをカーカスの材料として用いることにより、ランフラット走行に伴う温度上昇によってカーカスプライが収縮して高い熱収縮応力を発現し、高温下において、タイヤの撓みに抗する方向の曲げ剛性が負荷されることになる。
このように、両繊維の相反する特性を組み合わせることで、高い熱収縮応力を有するとともに、初期の剛性が低いハイブリッドコードを得ることができる。かかるハイブリッドコードをランフラットタイヤのカーカスプライの材料に適用すれば、通常走行時には、レーヨン等のセルロースのみを使用したカーカスプライを用いる場合と比べてサイド部の剛性を適度に低下させ、縦バネ上昇を抑制して乗心地性を良好に維持することができ、一方、ランフラット走行時には、上述のようにタイヤの撓みを抑制して、ランフラット耐久性を向上させることが可能となる。
なお、ランフラットタイヤにおけるカーカスプライには、通常、レーヨンに代表されるセルロースが材料として使用されているが、レーヨンは、製造過程におけるCS2の発生による環境汚染や、使用されるZnの毒性などが問題視されていることから、製造メーカーが減少し、これに伴って価格が上昇している。従って、本発明のように、ナイロンを含むハイブリッドコードとしてレーヨンの使用量を低減することで、環境性に優れ、価格を抑えたランフラットタイヤを製造することが可能となる。
また、レーヨンに加えてナイロンからなるハイブリッドコードを用いる場合には、ディップコード作製時の接着剤として、従来一般に使用されているレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)を用いたRFL系接着剤液を使用することができ、1種類の接着剤による処理で接着性を確保するができるというメリットもある。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのポリエステル又はアラミドをベースとする有機繊維は、その科学的性質のためにゴムに対する接着性が乏しく、接着性を確保するためには、例えば、ブロックドイソシアネート又はエポキシ樹脂等による前処理が必要とされ、接着剤塗布加工時の工数が多くなる。また、アラミドやポリケトンを使用する場合、セルロースやナイロンに比べて疲労性に劣るため、疲労性を確保するためには、撚り加工で高撚りにしなければならなくなり、撚り加工の工数が増加するだけでなく、ハイブリッドコードにした際の径が大きくなり過ぎてしまう場合がある。従って、セルロース及びナイロン以外の他の有機繊維の組み合わせによっては、接着性を確保するためには2種類以上の接着剤を用いる必要があり、ディップ処理の工数が多くなるとともに、2種類の接着剤を混合することで副反応が生ずる可能性があり、実用上充分なものではない。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのポリエステル又はアラミドをベースとする有機繊維は、その科学的性質のためにゴムに対する接着性が乏しく、接着性を確保するためには、例えば、ブロックドイソシアネート又はエポキシ樹脂等による前処理が必要とされ、接着剤塗布加工時の工数が多くなる。また、アラミドやポリケトンを使用する場合、セルロースやナイロンに比べて疲労性に劣るため、疲労性を確保するためには、撚り加工で高撚りにしなければならなくなり、撚り加工の工数が増加するだけでなく、ハイブリッドコードにした際の径が大きくなり過ぎてしまう場合がある。従って、セルロース及びナイロン以外の他の有機繊維の組み合わせによっては、接着性を確保するためには2種類以上の接着剤を用いる必要があり、ディップ処理の工数が多くなるとともに、2種類の接着剤を混合することで副反応が生ずる可能性があり、実用上充分なものではない。
そして、本発明のタイヤでは、上記構成に加えて、各補強コード層8の径方向外側端8e1が、径方向最内側のベルト層の幅方向端、図示例ではベルト層6Aの幅方向端6Aeから、幅方向内側に8〜23mmの範囲内に配置されることが肝要である。すなわち、図1に示すように、ベルト層6Aの幅方向端6Aeから補強コード層8の径方向外側端8e1までの幅方向距離をx(mm)とした場合に、8≦x≦23となるように、補強コード層8を配置することが肝要である。
このように、補強コード層の一方端が、タイヤ径方向最内側のベルト層のベルト端から、タイヤ幅方向内側に8〜23mmに位置することが必要な理由は、補強コード層8の径方向外側端8e1が、ベルト層6Aの幅方向端6Aeから幅方向内側に8mmよりも幅方向外側に在ると、タイヤ形状の不均一性が増すことでRFVが悪化する場合があるからである。一方、幅方向端6Aeから幅方向内側に23mmよりも幅方向内側に在ると、タイヤ重量が増す上、センター部の構造不均一性が増すために、RFVの悪化を招く場合があるからである。
このように、サイド補強ゴム層7及び補強コード層8を備えることで充分なランフラット耐久性を確保したタイヤにおいて、さらに、補強コード層8の径方向外側端8e1を、ベルト端6Aeから幅方向内側に8〜23mmの範囲内に配置することで、RFVの値を小さくすることができ、その結果、良好なユニフォミティを維持することが可能となる。
このように、カーカスプライの材料として、セルロースのフィラメントとナイロンのフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードを用いるとともに、補強コード層を所定の位置に配置することにより、低コストで環境性に優れ、且つ良好なユニフォミティの下、ランフラット耐久性を向上した空気入りタイヤを実現することが可能となる。
そして発明者は、さらに、カーカスプライに用いる上記ハイブリッドコードにおける、レーヨン等のセルロースと、ナイロンとの特性の違いに着眼し、両繊維の特性を調整すれば、タイヤのユニフォミティ及びランフラット走行時の耐久性がより一層向上することを見出した。
従って本発明においては、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの170℃における熱収縮率が、1.0%以上4.0%以下であることが好ましく、特には、2.0%以上3.0%以下であることが好ましい。
ハイブリッドコードの加硫温度170℃における熱収縮率を1.0%以上とすることにより、上述の通り、タイヤの撓みに抗する方向の曲げ剛性を発現させて、ランフラット耐久性を向上させることができるからである。また、加硫時にカーカスプライコードが過剰な熱収縮により締め付けられると、コード近傍のゴムの厚みが不均一となりバラツキが生じて、RFVが大きくなるおそれがある。従って、ハイブリッドコードの加硫温度170℃における熱収縮率を4.0%以下とすることが好ましい。このように、加硫成型前のハイブリッドコードの、加硫温度170℃における熱収縮率を上記範囲とすることにより、タイヤのユニフォミティを向上させることが可能となる。
ハイブリッドコードの加硫温度170℃における熱収縮率を1.0%以上とすることにより、上述の通り、タイヤの撓みに抗する方向の曲げ剛性を発現させて、ランフラット耐久性を向上させることができるからである。また、加硫時にカーカスプライコードが過剰な熱収縮により締め付けられると、コード近傍のゴムの厚みが不均一となりバラツキが生じて、RFVが大きくなるおそれがある。従って、ハイブリッドコードの加硫温度170℃における熱収縮率を4.0%以下とすることが好ましい。このように、加硫成型前のハイブリッドコードの、加硫温度170℃における熱収縮率を上記範囲とすることにより、タイヤのユニフォミティを向上させることが可能となる。
また、ハイブリッドコードの総dtex数に対するナイロンのdtex数の比率が、20〜50%であること、特には、30〜40%であることが好ましい。
ハイブリッドコードにおけるナイロンの比率が20%未満であると、カーカスの熱収縮が小さくなって、ランフラット走行時の高温下において、タイヤの撓みに抗する方向の曲げ剛性を充分に負荷することが難しいからである。一方、ハイブリッドコードにおけるナイロンの比率を50%超とすると、カーカスコードの引張弾性力が低くなって、タイヤ撓みが増加することからランフラット耐久性が悪化するおそれがあるからである。このように、レーヨン等のセルロースに加えてナイロンを含むハイブリッドコードにおいても、ナイロンよりも高弾性のセルロースを少なくとも50%確保することによって、タイヤの耐久性を確実に維持することができる。
ハイブリッドコードにおけるナイロンの比率が20%未満であると、カーカスの熱収縮が小さくなって、ランフラット走行時の高温下において、タイヤの撓みに抗する方向の曲げ剛性を充分に負荷することが難しいからである。一方、ハイブリッドコードにおけるナイロンの比率を50%超とすると、カーカスコードの引張弾性力が低くなって、タイヤ撓みが増加することからランフラット耐久性が悪化するおそれがあるからである。このように、レーヨン等のセルロースに加えてナイロンを含むハイブリッドコードにおいても、ナイロンよりも高弾性のセルロースを少なくとも50%確保することによって、タイヤの耐久性を確実に維持することができる。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの175℃における熱収縮率と165℃における熱収縮率との差が、1.2%以下であること、特には0.8%以下であることが好ましい。すなわち、加硫成型前のハイブリッドコードの175℃における熱収縮率をε(175℃)、165℃における熱収縮率をε(165℃)としたとき、次式、ε(175℃)−ε(165℃)≦1.2%が成り立つことが好ましい。
このように、タイヤの加硫温度近傍における熱収縮率の変動を小さくすることで、加硫成型後、タイヤの良好なユニフォミティを実現することが可能となる。従って、この熱収縮率の差は小さいほど好ましい。
このように、タイヤの加硫温度近傍における熱収縮率の変動を小さくすることで、加硫成型後、タイヤの良好なユニフォミティを実現することが可能となる。従って、この熱収縮率の差は小さいほど好ましい。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの170℃における熱収縮率をタイヤ周方向に等間隔に10点測定したときの最大値と最小値との差が、0.55%以内であること、特には0.40%以内であることが好ましい。つまり、加硫時の熱収縮率の値が、タイヤ周方向において均一であることが好ましい。
このように、タイヤの加硫温度における熱収縮率が、タイヤ全体で同程度であるようにすることで、加硫成型後、タイヤの良好なユニフォミティを実現することが可能となる。
このように、タイヤの加硫温度における熱収縮率が、タイヤ全体で同程度であるようにすることで、加硫成型後、タイヤの良好なユニフォミティを実現することが可能となる。
さらに、加硫成型前のタイヤから取り出したカーカスプライコードの177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が0.10cN/dtex以上であり、かつ、加硫成型後のタイヤから取り出したカーカスプライコードの25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex以上であることが好ましい。
かかる数値に設定することが好ましい理由は、ハイブリッドコードの(加硫温度170℃よりも高い)177℃における熱収縮応力が0.10cN/dtex以上とすることで、充分なランフラット耐久性を確保することが可能となるからである。また、カーカスプライコードの25℃、すなわち常温時における3%歪時の引張弾性率を12cN/dtex以上とすることで、内圧が大気圧に等しい場合における縦バネを低く抑えるためである。
かかる数値に設定することが好ましい理由は、ハイブリッドコードの(加硫温度170℃よりも高い)177℃における熱収縮応力が0.10cN/dtex以上とすることで、充分なランフラット耐久性を確保することが可能となるからである。また、カーカスプライコードの25℃、すなわち常温時における3%歪時の引張弾性率を12cN/dtex以上とすることで、内圧が大気圧に等しい場合における縦バネを低く抑えるためである。
以上のように、ハイブリッドコードの熱収縮率や熱収縮応力、引張弾性率の値を調整する方法としては、接着剤処理(ディップ処理)工程におけるテンションや、温度を抑制する方法が挙げられる。
具体的には、コード熱処理時における条件が重要であり、コード熱処理時の最大張力をコード一本あたり1000g以下とするとともに、多段階からなる熱処理ゾーンのうちの最終ゾーン(いわゆる、ベイキングゾーン)におけるテンションを最大張力の50%以下に設定することで、上記本発明に係る熱収縮率の条件を満足するハイブリッドコードを得ることができる。さらに、ディップによる接着層形成のため、コード熱処理時における最大温度を180℃以上に設定することが好適である。
すなわち、各繊維において固有の物性値範囲はあるものの、上記ディップ処理条件を制御することにより、その範囲内で物性値を調整して、所望の物性を有するハイブリッドコードを得ることができる。
具体的には、コード熱処理時における条件が重要であり、コード熱処理時の最大張力をコード一本あたり1000g以下とするとともに、多段階からなる熱処理ゾーンのうちの最終ゾーン(いわゆる、ベイキングゾーン)におけるテンションを最大張力の50%以下に設定することで、上記本発明に係る熱収縮率の条件を満足するハイブリッドコードを得ることができる。さらに、ディップによる接着層形成のため、コード熱処理時における最大温度を180℃以上に設定することが好適である。
すなわち、各繊維において固有の物性値範囲はあるものの、上記ディップ処理条件を制御することにより、その範囲内で物性値を調整して、所望の物性を有するハイブリッドコードを得ることができる。
なお、図1に示す実施形態においては、補強コード層8の径方向内側端8e2がビードコア9まで届くことなく、補強コード層8をカーカス5に沿うように延在させているが、本発明のタイヤでは、補強コード層8を、図2に示すように配置してもよい。すなわち、カーカス5が一対のビード部2、2に各々埋設されるビードコア9、9の周りを巻き返してなる一対の折り返し部5a、5aを有しており、補強コード層8、8の径方向内側端8e2、8e2は、それぞれ、ビードコア9、9の周りを巻き返して、折り返し部の折り返し端5ae、5aeよりタイヤ径方向内側に配置されてもよい。
このように、補強コード層8をビードコア6の周りに巻き付けることで、補強コード層の引き抜けが抑制され、補強コード層8を上述の所望の位置に維持することができる。また、補強コード層8の他方端8e2をカーカスの折り返し部の端部5aeよりもタイヤ径方向内側に配置することで、タイヤ走行中の端部からの故障率を下げることができる。
このように、補強コード層8をビードコア6の周りに巻き付けることで、補強コード層の引き抜けが抑制され、補強コード層8を上述の所望の位置に維持することができる。また、補強コード層8の他方端8e2をカーカスの折り返し部の端部5aeよりもタイヤ径方向内側に配置することで、タイヤ走行中の端部からの故障率を下げることができる。
また、補強コード層8のラジアル方向に対する傾斜角度は、0〜±20°であることが好ましい。傾斜角度がラジアル方向に対して±20°超となると、縦バネが有効に抑制されず、良好な乗心地性を得ることが難しい場合があるからである。
また、上記説明では、カーカスプライが、セルロースのフィラメントとナイロンのフィラメントとを撚り合わせてなるハイブリッドコードの複数本をゴムで被覆してなるものであることを説明したが、本発明においては、補強コード層を、カーカスプライと同様のハイブリッドコードで形成してもよい。ハイブリッドコードを用いることで、補強コード層分の熱収縮応力が増加し、ランフラット耐久性をさらに向上させることができる。
なお、本発明は、ここで示す例に限定されるものではない。例えば、図1に示すタイヤでは、カーカスが一枚のカーカスプライからなる、1プライ構造の場合を示したが、カーカスプライの枚数はこれに限定されるものではなく、2枚以上のカーカスプライからなるカーカスであってもよい。図1に示したように1プライ構造とする場合には、カーカスプライの重量を極力抑えてタイヤ全体の重量を軽減することができる。
また、上述の実施形態では、カーカス5の内側にサイド補強ゴム層7を設け、カーカス5の外側に補強コード層8を設ける形態を開示したが、補強コード層8をカーカス5の内側であって、カーカス5及びサイド補強ゴム層7の間に配置する構成としてもよい。
また、例えば、図1では、2枚のベルト層6a、6bからなるベルト6を示したが、ベルトは1層又は3層以上の複数層からなってもよい。さらに、図1に示すように、ベルト6の全幅を覆うように、数本のナイロンコードをゴム被覆してなるリボンをタイヤ赤道面に対して微小なリード角をもって幅方向端から端に向けて巻き回して形成されるベルト補強層と、このベルト補強層と同様に形成され、ショルダー部のみを補強する狭幅のショルダー部補強層を設けたり、ここでは図示していないが、インナーライナー等の他の部材を含んでいてもよい。
以下、本発明を、発明例タイヤ1〜14及び比較例タイヤ1〜4を用いてより詳細に説明する。
タイヤサイズ225/45R17にて、図1に示すところに従う空気入りタイヤを作製した。カーカスは、下記表1中に示す使用のカーカスプライコードを用いたカーカスプライからなるものとした。また、ベルトは、タイヤ周方向に対し±30°(プライから見ると60°)の角度にてスチールコードを互いに交差配置させた2層のベルト層からなるものとした。さらに、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配置された、ナイロンコードをゴム引きしてなるキャップ層及びレイヤー層を、それぞれ1層ずつ配置した。
タイヤサイズ225/45R17にて、図1に示すところに従う空気入りタイヤを作製した。カーカスは、下記表1中に示す使用のカーカスプライコードを用いたカーカスプライからなるものとした。また、ベルトは、タイヤ周方向に対し±30°(プライから見ると60°)の角度にてスチールコードを互いに交差配置させた2層のベルト層からなるものとした。さらに、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配置された、ナイロンコードをゴム引きしてなるキャップ層及びレイヤー層を、それぞれ1層ずつ配置した。
各タイヤの、カーカスプライコードの材料、補強コード層のベルト下挿入量、プライ構造、コード材質の繊度は、下記表1に示す通りである。
<熱収縮率、熱収縮応力、引張弾性率の測定>
熱収縮率を求めるために、まず、各発明例及び比較例のカーカスプライコードを、タイヤ周方向に均等に、10ヶ所から抜き取った。抜き取るコード長は250mm以上とした。そのコードの一端をテストライト試験機に固定して、コードに張りを持たせるために50gの荷重をかけ、コード長を測定した。このときのコード長をL1(mm)とした。次に、荷重を掛けた状態で177℃の槽内にコードを挿入して昇温させ、所定の温度、すなわち表1に示す各温度になったときのコード長L2(mm)を測定した。これらの測定結果から、下記式に基づいて熱収縮率を算出して、コード10本の平均値を求めた。
熱収縮率=(L1−L2)/L1×100(%)
またカーカスプライコードの熱収縮応力は、同様にテストライト試験機を用いて、荷重をかけることなくコードの両端を固定した状態で、177℃の槽内にコードを挿入し、所定の温度の際に収縮しようとする力を測定した。引張弾性率は、島津・オートグラフを用いて描いたS−Sカーブのグラフの、その傾きを測定した。
熱収縮率を求めるために、まず、各発明例及び比較例のカーカスプライコードを、タイヤ周方向に均等に、10ヶ所から抜き取った。抜き取るコード長は250mm以上とした。そのコードの一端をテストライト試験機に固定して、コードに張りを持たせるために50gの荷重をかけ、コード長を測定した。このときのコード長をL1(mm)とした。次に、荷重を掛けた状態で177℃の槽内にコードを挿入して昇温させ、所定の温度、すなわち表1に示す各温度になったときのコード長L2(mm)を測定した。これらの測定結果から、下記式に基づいて熱収縮率を算出して、コード10本の平均値を求めた。
熱収縮率=(L1−L2)/L1×100(%)
またカーカスプライコードの熱収縮応力は、同様にテストライト試験機を用いて、荷重をかけることなくコードの両端を固定した状態で、177℃の槽内にコードを挿入し、所定の温度の際に収縮しようとする力を測定した。引張弾性率は、島津・オートグラフを用いて描いたS−Sカーブのグラフの、その傾きを測定した。
<ラジアルフォースバリエーション(RFV)の測定>
得られた各タイヤを、リムサイズ7 1/2Jのリムに組み、内圧200kPa、負荷荷重497kgの条件下で、JASO C 607(2000)に規定されたユニフォミティ測定方法に従って、ラジアルフォースバリエーション(RFV)を測定した。結果は、比較例1のタイヤのRFVを100として指数表示した。指数値が小さいほど、タイヤのユニフォミティが高く、良好であることを示す。
得られた各タイヤを、リムサイズ7 1/2Jのリムに組み、内圧200kPa、負荷荷重497kgの条件下で、JASO C 607(2000)に規定されたユニフォミティ測定方法に従って、ラジアルフォースバリエーション(RFV)を測定した。結果は、比較例1のタイヤのRFVを100として指数表示した。指数値が小さいほど、タイヤのユニフォミティが高く、良好であることを示す。
<ランフラット耐久性の測定>
得られた各タイヤをリムサイズ7 1/2Jのリムに組み、内圧0kPa、負荷荷重400kg、温度38℃、速度80km/hの条件下で耐久性試験を行って、タイヤが故障するまでの距離を測定した。結果は、比較例1のタイヤの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きいほど、タイヤの耐久性が高く、良好であることを示す。
得られた各タイヤをリムサイズ7 1/2Jのリムに組み、内圧0kPa、負荷荷重400kg、温度38℃、速度80km/hの条件下で耐久性試験を行って、タイヤが故障するまでの距離を測定した。結果は、比較例1のタイヤの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きいほど、タイヤの耐久性が高く、良好であることを示す。
これらの測定結果は、下記表1の通りである。
表1からわかるように、補強コード層のベルト下挿入量を8〜23mmにした発明例タイヤ1〜4は、良好なランフラット耐久性を維持しつつ、比較例タイヤ3及び4に比べてRFVの値が小さくなることが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの170℃における熱収縮率が4.0%超である発明例タイヤ5は、発明例タイヤ2よりもRFVが大きくなる傾向があり、1.0%未満である発明例タイヤ6は、発明例タイヤ2よりもランフラット耐久性が低下することが確認された。
また、ハイブリッドコードの総dtex数に対するナイロンのdtex数の比率が20%未満である発明例タイヤ7は、発明例タイヤ2よりもランフラット耐久性が低下する傾向があり、50%超である発明例タイヤ8は、発明例タイヤ2よりもランフラット耐久性が低下する傾向にあることが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの175℃における熱収縮率と165℃における熱収縮率との差が1.2%超である発明例タイヤ9は、発明例タイヤ2よりもRFVが比較的大きくなる傾向にあることが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの170℃における熱収縮率を、タイヤ周方向に等間隔に10点測定したときの最大値と最小値との差が0.55%超である発明例タイヤ10は、発明例タイヤ2よりもRFVが大きくなることが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したカーカスプライコードの177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が、0.10cN/dtex未満であり、かつ、加硫成型後のタイヤから取り出したカーカスプライコードの25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex未満である発明例タイヤ13は、発明例タイヤ2と比較してRFVが若干大きくなり、ランフラット耐久性が低下する傾向があることが確認された。
さらに、カーカスがビードコアを巻き返してなる一対の折り返し部を有する場合、折り返し部を有さないタイヤと比較して、ランフラット耐久性が向上することが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの170℃における熱収縮率が4.0%超である発明例タイヤ5は、発明例タイヤ2よりもRFVが大きくなる傾向があり、1.0%未満である発明例タイヤ6は、発明例タイヤ2よりもランフラット耐久性が低下することが確認された。
また、ハイブリッドコードの総dtex数に対するナイロンのdtex数の比率が20%未満である発明例タイヤ7は、発明例タイヤ2よりもランフラット耐久性が低下する傾向があり、50%超である発明例タイヤ8は、発明例タイヤ2よりもランフラット耐久性が低下する傾向にあることが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの175℃における熱収縮率と165℃における熱収縮率との差が1.2%超である発明例タイヤ9は、発明例タイヤ2よりもRFVが比較的大きくなる傾向にあることが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したハイブリッドコードの170℃における熱収縮率を、タイヤ周方向に等間隔に10点測定したときの最大値と最小値との差が0.55%超である発明例タイヤ10は、発明例タイヤ2よりもRFVが大きくなることが確認された。
また、加硫成型前のタイヤから取り出したカーカスプライコードの177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が、0.10cN/dtex未満であり、かつ、加硫成型後のタイヤから取り出したカーカスプライコードの25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex未満である発明例タイヤ13は、発明例タイヤ2と比較してRFVが若干大きくなり、ランフラット耐久性が低下する傾向があることが確認された。
さらに、カーカスがビードコアを巻き返してなる一対の折り返し部を有する場合、折り返し部を有さないタイヤと比較して、ランフラット耐久性が向上することが確認された。
この発明によって、良好なユニフォミティを具え、且つランフラット走行時の耐久性の高い空気入りランフラットタイヤを提供することが可能となった。
1 空気入りランフラットタイヤ
2 ビード部
3 サイド部
4 トレッド部
5 カーカス
6 ベルト
6A、6B ベルト層
6Ae ベルト層6Aの幅方向端
7 サイド補強ゴム層
8 補強コード層
8e1 補強コード層8の径方向外側端
9 ビードコア
2 ビード部
3 サイド部
4 トレッド部
5 カーカス
6 ベルト
6A、6B ベルト層
6Ae ベルト層6Aの幅方向端
7 サイド補強ゴム層
8 補強コード層
8e1 補強コード層8の径方向外側端
9 ビードコア
Claims (7)
- 一対のビード部の径方向外側に一対のサイド部及びトレッド部を、前記一対のビード部間にトロイド状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカスに沿って連ねて成り、該カーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも一層のベルト層を有し、さらに、前記サイド部の各々に断面三日月形状のサイド補強ゴム層を有する空気入りタイヤであって、
前記カーカスプライは、セルロースのフィラメントとナイロンのフィラメントとを撚り合わせてなるハイブリッドコードの複数本をゴムで被覆してなり、
前記断面三日月形状のサイド補強ゴム層の形状に沿って、径方向において該サイド補強ゴム層の少なくとも一部と重なるように補強コード層が配置され、該補強コード層の径方向外側端は、径方向最内側のベルト層の幅方向端から、幅方向内側に8〜23mmの範囲内に配置される
ことを特徴とする、空気入りランフラットタイヤ。 - 加硫成型前のタイヤから取り出した前記ハイブリッドコードの170℃における熱収縮率が1.0%以上4.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りランフラットタイヤ。
- 前記ハイブリッドコードの総dtex数に対するナイロンのdtex数の比率が20〜50%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りランフラットタイヤ。
- 加硫成型前のタイヤから取り出した前記ハイブリッドコードの175℃における熱収縮率と165℃における熱収縮率との差が1.2%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りランフラットタイヤ。
- 加硫成型前のタイヤから取り出した前記ハイブリッドコードの170℃における熱収縮率を、タイヤ周方向に等間隔に10点測定したときの、最大値と最小値との差が0.55%以内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りランフラットタイヤ。
- 加硫成型前のタイヤから取り出したカーカスプライコードの177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が、0.10cN/dtex以上であり、かつ、加硫成型後のタイヤから取り出したカーカスプライコードの25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りランフラットタイヤ。
- 前記カーカスは、前記一対のビード部に各々埋設されるビードコアを巻き返してなる一対の折り返し部を有し、
前記補強コード層の径方向内側端は、前記ビードコアを巻き返して、前記折り返し部の折り返し端より径方向内側に配置される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りランフラットタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011200895A JP2013060148A (ja) | 2011-09-14 | 2011-09-14 | 空気入りランフラットタイヤ |
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-
2011
- 2011-09-14 JP JP2011200895A patent/JP2013060148A/ja not_active Withdrawn
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