JP2013059272A - キシロシダーゼ遺伝子、組み換えdna、発現ベクター、形質転換体及びキシロシダーゼ - Google Patents

キシロシダーゼ遺伝子、組み換えdna、発現ベクター、形質転換体及びキシロシダーゼ Download PDF

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伸一 矢野
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達也 藤井
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【課題】木質等のリグノセルロース系バイオマスの分解において、キシロースを十分に回収することができるキシロシダーゼ、該キシロシダーゼを発現することができるキシロシダーゼ遺伝子、それを含有する組み換えDNA、それらを含有する発現ベクター及びそれを宿主に導入した形質転換体の提供。
【解決手段】(A)特定の塩基配列からなる核酸;(B)特定のアミノ酸配列をコードする核酸;及び(C)特定の塩基列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、又は、該核酸と相補的な塩基配列を有する核酸;からなる群より選択された核酸を含むキシロシダーゼ遺伝子である。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規なキシロシダーゼ遺伝子、それを含有する組み換えDNA、それらを含有する発現ベクター、それを宿主に導入した形質転換体及びそれから発現される新規なキシロシダーゼに関する。
木質等のリグノセルロース系バイオマスを加水分解し、セルロースやヘミセルロースとし、さらにこれらを酵素加水分解して単糖やエタノールにする研究が行われている。
これらの分解反応において、単糖やエタノールの生産効率を向上させるためには、セルロースのみならず、ヘミセルロースの酵素加水分解が重要視される。すなわち、セルロースを糖化する酵素であるセルラーゼのみならず、ヘミセルロースを糖化するヘミセルラーゼが重要となっている。
ところで、ヘミセルロースの構造は植物の種類によって異なる。例えば、針葉樹のヘミセルロースは、マンナンが主要構成成分であるが、被子植物である広葉樹、草本等はキシランが主要構成成分となっている。
一般に、キシランはキシラナーゼによりキシロビオースやキシロオリゴ糖に分解され、キシロシダーゼにより単糖であるキシロースに分解される。
かかるキシロシダーゼは、試薬レベルでは市販されているが極めて高価であり、実用的に使用できる単一酵素は入手できないのが現状である。
これに対し、キシロシダーゼを産生させる方法が研究されている。
例えば、所定のアミノ酸配列からなるヌクレオチド配列やキシラナーゼポリペプチドが知られている。これらによれば、β−キシロシダーゼを産生できる(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、アスペルギルス・オリゼからキシロシダーゼ遺伝子を取り出し、そのDNA配列を決定し、これをアスペルギルス属菌株に導入して形質転換体を作成し、この形質転換体を用いてキシロシダーゼを産生する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特表平11−507837号公報 特表2011−510613号公報 特表2004−509626号公報 特開平11−313683号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載の方法で発現されるキシロシダーゼは、実用的な木質等のリグノセルロース系バイオマスの分解におけるキシロースの回収には必ずしも効果的とはいえない。
本発明は、木質等のリグノセルロース系バイオマスの分解において、キシロースを十分に回収することができるキシロシダーゼ、該キシロシダーゼを発現することができるキシロシダーゼ遺伝子、それを含有する組み換えDNA、それらを含有する発現ベクター及びそれを宿主に導入した形質転換体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、セルラーゼ生産菌として単離される糸状菌アクレモニウム・セルロリティカスが、セルラーゼのみならず、各種のヘミセルラーゼも生産することに着目した。そして、アクレモニウム・セルロリティカスのゲノムDNA配列を解析し、キシロシダーゼの遺伝子を取得することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(1)(A)配列表の配列番号1に示される塩基配列からなる核酸;
(B)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸;及び
(C)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、又は、該核酸と相補的な塩基配列を有する核酸;
からなる群より選択された核酸を含むキシロシダーゼ遺伝子に存する。
本発明は、(2)アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)から単離された上記(1)記載キシロシダーゼ遺伝子に存する。
本発明は、(3)上記(1)又は(2)に記載のキシロシダーゼ遺伝子を組み換えた組み換えDNAに存する。
本発明は、(4)上記(1)又は(2)に記載のキシロシダーゼ遺伝子又は上記(3)記載の組み換えDNAを含有する発現ベクターに存する。
本発明は、(5)上記(4)記載の発現ベクターを糸状菌に導入した形質転換体に存する。
本発明は、(6)糸状菌がアクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)である上記(5)記載の形質転換体に存する。
本発明は、(7)上記(5)又は(6)に記載の形質転換体が発現するキシロシダーゼに存する。
本発明は、(8)(A)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が60%以上のタンパク質;及び
(B)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードするタンパク質;
からなる群より選択されたキシロシダーゼ活性を有するタンパク質からなるキシロシダーゼに存する。
本発明のキシロシダーゼ遺伝子によれば、キシロシダーゼを効率良く生産することが可能となり、得られるキシロシダーゼは、木質等のリグノセルロース系バイオマスの分解において、キシロースを十分に回収することができる。
また、本発明のキシロシダーゼ遺伝子を含有する組み換えDNA、それらを含有する発現ベクター又はそれを宿主に導入した形質転換体によれば、キシロシダーゼをより効率良く生産することが可能となり、得られるセルラーゼは、上記同様、木質等のリグノセルロース系バイオマスの分解において、キシロースを十分に回収することができる。
図1は、実施例の評価1において、アクレモニウム・セルロリティカスの野生株と形質転換株との酵素活性を示したグラフである。 図2は、実施例の評価2において、アクレモニウム・セルロリティカスの野生株又は形質転換株を用いた場合のキシロースの収率を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(キシロシダーゼ遺伝子)
本発明のキシロシダーゼ遺伝子は、
(A)配列表の配列番号1に示される塩基配列からなる核酸;
(B)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸;及び
(C)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、又は、該核酸と相補的な塩基配列を有する核酸;
からなる群((A)〜(C))より選択された核酸を含む。
ここで、(A)「配列表の配列番号1に示される塩基配列」は、アクレモニウム・セルロリティカス (Acremonium cellulolyticus)のゲノムDNA配列情報から複数の生物種のキシロシダーゼにおいて保存されているアミノ酸配列を基に、キシロシダーゼをコードしている遺伝子領域を推定し、これをポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)により増幅した後、単離したものである。
(B)「配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列」とは、後述する本発明のキシロシダーゼ(酵素タンパク質)のアミノ酸配列である。なお、配列番号2に示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を有し、同様の性質を示すキシロシダーゼも本発明に包含される。
(C)「配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸」における上述した配列番号1に示される塩基配列と60%以上の相同性、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは95%以上の相同性が配列間に存在するときにハイブリダイゼーションが起こるDNAである。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば以下の条件をいう。すなわち、0.5%SDS、5×デンハルツ[Denhardt’s、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400]及び100μg/mlサケ精子DNAを含む6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl.0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)中で、50℃で4時間〜一晩保温を行う条件をいう。
ハイブリダイゼーション操作の詳細は、例えば、1989年、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル第2版(Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.)に記載されている。
また、「該核酸と相補的な塩基配列を有する核酸」とは、配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸から転写反応などで相補的に合成された核酸等を意味する。
本発明のキシロシダーゼ遺伝子によれば、キシロシダーゼを効率良く生産することが可能となる。
(組み換えDNA)
本発明の組み換えDNAは、上記キシロシダーゼ遺伝子を組み換えたものであり、遺伝子工学的手法により得られた本発明の遺伝子を含有したDNAである。
例えば、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA分子の中のある部分が切断と再結合により他のDNA分子の一部と混ぜ合わされたものである。
(発現ベクター)
本発明の発現ベクターは、キシロシダーゼ遺伝子又は上記組み換えDNAを含有する。具体的には、キシロシダーゼ遺伝子又は上記組み換えDNAに、糸状菌で遺伝子を発現できるプロモーターを結合したものを、プラスミド、ファージ、ウイルス等のベクターに導入したものである。
プラスミドベクターとしてはpUC18、pUC19、pBluescript、pET等の市販品が好適に使用でき、ファージベクターとしては、λgt10、λgt11等のラムダファージベクターなどの市販品が好適に使用でき、ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター等が使用できる。これらのベクターは、用いる宿主細胞に応じて、適宜選ばれる。かかるベクターには、誘導可能なプロモーター、選択用マーカー遺伝子、ターミネーターなどの因子を適宜有していてもよい。
上記プロモーターとしては、糸状菌で遺伝子を発現させる能力を有するものであれば特に限定されないが、タンパク質高発現性のプロモーターであることが好ましく、セルラーゼ生産糸状菌のcellobiohydrolase I のプロモーターであることがより好ましい。
ベクターにキシロシダーゼ遺伝子又は上記組み換えDNAを挿入する方法としては、例えば、精製されたアクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)のゲノムDNA配列を適当な制限酵素で切断してキシロシダーゼ遺伝子(又はそれを組み換えた組み換えDNA)とし、選択マーカー遺伝子を含む適当なベクターのDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトにインフレームで挿入してベクターに連結する方法等が採用される。これにより、発現ベクターが得られる。
(形質転換体)
本発明の形質転換体(非ヒト形質転換体)は、発現ベクターを糸状菌に導入したものである。
発現ベクターの宿主への導入は、常法に従ってすることができ、例えばエレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法、アグロバクテリウム法等が用いられる。これらの中でも、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法を用いることが好ましい。この場合、エレクトロポレーション法のような特殊な機器、あるいはアグロバクテリウム法のような特殊な微生物を必要とせず、簡易に実施できるという利点がある。
これによりキシロシダーゼ遺伝子が導入されたクローンを選択マーカーによって選抜し、得られた菌株を培養することにより、効率良くキシロシダーゼを生産させることが可能となる。生産された酵素が細胞外に分泌されればその回収・利用に有用である。
ここで、用いられる糸状菌は、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)であることが好ましい。この場合、キシロシダーゼをより効率良く生産することが可能となる。
(キシロシダーゼ)
本発明のキシロシダーゼは、上述した形質転換体により発現される。
本発明のキシロシダーゼは、(A)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が60%以上のタンパク質;及び
(B)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードするタンパク質;
からなる群より選択されたキシロシダーゼ活性を有するタンパク質からなる。
ここで、(A)「配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列」は、本発明のキシロシダーゼのアミノ酸配列を解析したものである。かかるアミノ酸配列は、菌体破砕液由来全RNAを鋳型に逆転写反応を行うことにより同定される。なお、配列番号2に示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を有し、同様の性質を示すキシロシダーゼも本発明に包含される。
(B)「配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、上述した配列番号1に示される塩基配列と60%以上の相同性、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは95%以上の相同性が配列間に存在するときにハイブリダイゼーションが起こるDNAである。
本発明のキシロシダーゼによれば、木質等のリグノセルロース系バイオマスの分解において、キシロースを十分に回収することができる。また、キシロース配糖体からのアグリコンの分離、キシロース転移作用を利用した各種キシロシドの合成等にも利用できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、発現ベクターを導入する宿主として、糸状菌が用いられているが、これに限定されず、酵母、大腸菌、枯草菌等であってもよい。
また、糸状菌として、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)が用いられているが、これに限定されず、ペニシリウム属、トリコデルマ属、アスペルギルス属に属する糸状菌、及びこれらのテレオモルフ等であってもよい。
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.ゲノムDNAの抽出
まず、ゲノムDNAを抽出する方法としては、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)をPD (ポテトデキストロース) 培地で一晩培養し、得られた培養液を遠心分離によって集菌した。
次に、菌体の2倍量から3倍量のTE+2%SDSで菌体を懸濁し、50℃で1時間保温し、5M酢酸カリウムを全量の10分の1量加えて、氷上で1時間冷却した後、遠心して上清を回収した。
そして、得られた上清に対し、フェノール・クロロホルム処理を2回行い、100%エタノールを2.5倍量加えて、マイナス20℃で1時間以上冷却した後、70%エタノールで2回洗い、適当量のTEに懸濁してRNase処理を行った。
2.キシロシダーゼ遺伝子の探索と取得
次に、多種のキシロシダーゼと相同性を持つ、β−キシロシダーゼをアクレモニウム・セルロリティカスのゲノムデータベースの中から、IMC(in silico molecular cloning、in silico biology inc.,)で相同性検索をし、β-キシロシダーゼ遺伝子を推定した。
配列情報をもとにプライマーを設計しβ-キシロシダーゼ増幅させた。プライマーの配列はそれぞれ、
(1)forward primer(5’−GCACTAGTATGGTCTACACCACG)
(2)Reverse primer(5’−GCGGTACCTCAATTAGAATCAGGC)
とした。
3.キシロシダーゼ遺伝子による形質転換
増幅したPCR産物をセロビオヒドラーゼI(セルロース分解酵素)プロモーターに連結させ、PLD10 プラスミド(Dr. Kistler, USAより寄贈)を用い、作成した発現ベクターをプロトプラスト−ポリエチレングリコール法にて形質転換した。
PD培地に一晩培養したアクレモニウム・セルロリティカスY−94株を遠心分離によって集め、0.8MのNaClで菌糸を洗浄した。
洗浄した菌糸に対し、10mMのKHPO、0.8MのNaCl、0.2%のYatalase(タカラバイオ株式会社)を用いて30℃で1時間処理し、顕微鏡にて菌糸がプロトプラストになっていることを確認し、プロトプラストを遠心分離にて集めた。
その後、プロトプラストを、0.8MのNaClで2回洗浄し、1.2Mのソルビトール、10mMのトリス塩酸緩衝液及び10mMのCaClからなる溶液Aに加え、懸濁した。
そして、得られたプロトプラスト懸濁液に、プラスミド(10μg)を加え、更に40%のPEG4000、10mMのトリス塩酸緩衝液及び10mMのCaClからなる溶液Bを50μl加え、氷中で30分冷却した後、15分室温で放置した。
次に、溶液Aを8.5ml加えてプロトプラスト懸濁液を希釈し、これをYPSAプレート(1%のBacto yeast extract、1%のBacto tryptone、1MのSucrose及び2%の寒天Agar) にスプレッドして、30℃で一晩培養した。
そして、500μgのハイグロマイシンを含む、0.2%寒天のPD培地をYPSAプレートの上に重層した3日後にコロニーを単離し、500μgのハイグロマイシンを含むPDプレートで培養し、形質転換糸状菌株(YKX1)を得た。
(評価1)酵素活性
形質転換糸状菌株(YKX1)を、セルロースを炭素源として培養し、その培養液を遠心分離によって分離し、酵素活性を測定して酵素の生産を確認した。
酵素活性は、基質として、p−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシドを用い、45℃で10分間、酵素液および基質をインキュベートすることにより、遊離されたp−ニトロフェノールを比色定量することで測定した。
培養した日数と酵素活性との関係を図1に示す。なお、図1中、右側の棒グラフは、本発明の形質転換糸状菌株(YKX1)の酵素活性の実験結果を示しており、左側の棒グラフは、比較対象として野生型のアクレモニウム・セルロリティカスを用いて同様の評価を行った場合の酵素活性の実験結果を示している。
図1に示すように、酵素活性の値が、野生型と比べて顕著に高いことが明らかになった。
(評価2)糖化実験
また、得られたキシロシダーゼを含む培養液を用いて、キシロオリゴ糖(和光純薬製)の糖化実験を行った。
時間とキシロースの収率との関係を図2に示す。なお、図2中、上側の折れ線グラフは、形質転換糸状菌株(YKX1)を用いた糖化実験の実験結果を示しており、下側の折れ線グラフは、比較対象として野生型のアクレモニウム・セルロリティカスを用いて同様の評価を行った場合の糖化実験の実験結果を示している。
図2に示すように、本発明の形質転換糸状菌株(YKX1)によれば、キシロオリゴ糖からのキシロース収率が極めて高くなることがわかった。
以上より、本発明のキシロシダーゼ遺伝子、形質転換体によれば、効率良くキシロシダーゼを産生させることができ、本発明のキシロシダーゼによれば、木質等のリグノセルロース系バイオマスの分解において、キシロースを十分に回収することができることが確認された。なお、キシロシダーゼ遺伝子を用いた組み換えDNA、発現ベクターでも同様の効果が得られると考えられる。
本発明のキシロシダーゼ遺伝子、組み換えDNA、発現ベクター、形質転換体及びキシロシダーゼにより、キシロシダーゼ生産の低コスト化、およびリグノセルロース系バイオマス糖化におけるキシロースの収量増加への利用が期待できる。

Claims (8)

  1. (A)配列表の配列番号1に示される塩基配列からなる核酸;
    (B)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸;及び
    (C)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、又は、該核酸と相補的な塩基配列を有する核酸;
    からなる群より選択された核酸を含むキシロシダーゼ遺伝子。
  2. アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)から単離された請求項1記載キシロシダーゼ遺伝子。
  3. 請求項1又は2に記載のキシロシダーゼ遺伝子を組み換えた組み換えDNA。
  4. 請求項1又は2に記載のキシロシダーゼ遺伝子又は請求項3記載の組み換えDNAを含有する発現ベクター。
  5. 請求項4記載の発現ベクターを糸状菌に導入した形質転換体。
  6. 前記糸状菌がアクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)である請求項5記載の形質転換体。
  7. 請求項5又は6に記載の形質転換体が発現するキシロシダーゼ。
  8. (A)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が60%以上のタンパク質;及び
    (B)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードするタンパク質;
    からなる群より選択されたキシロシダーゼ活性を有するタンパク質からなるキシロシダーゼ。
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