以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
実施形態では、投機対象を株式とする。実施形態に係る装置1は、時間軸を軌道として売買ポイントを判断するために用いるものであり、パーソナル・コンピュータからなり、図1に示すように、入力装置11、演算制御装置12、記憶装置13、通信装置14、及び、表示装置15を備えている。ここで、「時間軸を軌道として売買ポイントを判断する」とは、「時間軸上に並ぶ価格反転時期(すなわち、反転ポイント)に、時間軸を軌道として移動する現在時刻が到達することに基づいて売買の判断をする」という意である。装置1は、インターネットを介して株価配信サーバ9に接続される。株価配信サーバ9は、株式市場における各銘柄の株価情報を配信するサーバであり、証券会社に設けられている。
入力装置11は、マウス等のポインティング・デバイス、キーボード等から構成されて、ユーザの操作に応じて各種情報や各種指令等を演算制御装置12に入力する。
演算制御装置12は、CPU、CPUのワークエリアとなるRAM、固定データを記憶したROM等から構成される。
記憶装置13は、半導体メモリ、ハードディスク装置、コンパクト・ディスク装置等から構成されている。
通信装置14は、通信回線を介して、装置1と株価配信サーバ9等の他のコンピュータとを接続するときのインタフェースとなる部分であり、演算制御装置12と協働して、通信回線(実施形態では、インターネット)を介して投機対象の価格情報を受信する受信手段として機能する。
表示装置15は、液晶ディスプレイ等からなり、画像を表示する表示面となる表示画面16を有し、演算制御装置12からの表示命令に応じて各種画像を、表示画面16に表示する。表示装置15は、演算制御装置12と協働して、上記受信手段により受信した価格情報に基づいて、後述するチャート表示部31を表示画面16に表示する価格情報表示手段、及び、後述する標識表示部21を表示画面16に表示する標識表示手段として機能する。
装置1には、OS(オペレーティング・システム)としてWindows(マイクロソフト社の登録商標)がインストールされるとともに、Windows上で動作する時間軸表示プログラム及びWebブラウザがインストールされている。
時間軸表示プログラムは、時間軸を軌道として売買ポイントを判断するために用いるプログラムであって、装置1を、上記標識表示手段として機能させるためのプログラムであり、記憶装置13に記憶されている。詳しくは、時間軸表示プログラムは、Visual Studio(マイクロソフト社の商標又は登録商標)のWindowsフォームを用いて作成したアプリケーション・プログラムであり、起動時に、図11に示すメニュー部4を表示し、このメニュー部4においてユーザが選択した内容に従って、図2に示すような時間軸表示フォーム2を表示するように構成されている。Windowsフォームは、メニュー部4や時間軸表示フォーム2のようなフォーム(ウィンドウ)を表示するアプリケーション・プログラムを作成するためのソフトウェアであり、表示されるフォームについて、種々のボタンやテキストボックス等のコントロールを配置可能であり、フォーム全体あるいはフォームに配置されたコントロールに対して種々のプロパティを設定可能である。
時間軸表示フォーム2では、フォームのサイズのプロパティ(Form Border Styleプロパティ)を「Sizable(可変)」にすることにより、サイズ(大きさ)が変更(拡大・縮小)可能とされ、フォームの透明度のプロパティ(Opacityプロパティ)を「0.0(完全に透明)」にすることにより、時間軸表示フォーム2に設けられている標識表示部21の背景色(地色)が透明とされて、表示画面16における標識表示部21の背後の画像が視認可能とされている。すなわち、標識表示部21は、表示画面16に表示された他の画像の前側に重ねて表示したときに、標識表示部21を通して(すなわち、背景部分を透かして)他の画像を視認可能である。また、時間軸表示フォーム2には、時間軸表示フォーム2を最小化する(すなわち、表示画面16上には表示しない)ためのボタン28が配置されている。
また、メニュー部4は、サイズは可変であるが、背景色は不透明とされ、背後の画像が透けて見えることはないように構成されている。メニュー部4には、表示画面16上に表示する時間軸表示フォーム2の数を選択するための表示数選択部40が設けられ、表示数選択部40で選択された数に応じて種類設定部41が設けられる。すなわち、最初にメニュー部4が表示されたとき、図11(a)に示すように表示数選択部40において「1」が選択され、種類設定部41は1つだけ表示された状態であるが、図11(b)に示すように表示数選択部40で「2」を選択すると、種類設定部41がもう1つ表示されて2つとなる。
種類設定部41は、時間軸表示フォーム2の種類を設定するためのものであり、地域を選択するための地域選択部43、期間を選択するための期間選択部44、選択された地域における現在時刻から選択された期間内での次の価格反転時期までの時間を表示するカウントダウン部42、及び、選択を確定するためのボタン45が設けられている。地域選択部43は、投機対象が取引される市場の時間を定める地域を選択するものであり、「日本」、「香港」等が選択できる。期間選択部44は、標識表示部21の横幅Wで表す期間を選択するものであり、一日か午前(前場)か午後(後場)かが選択できるが、地域によっては午前と午後に取引が分かれていない場合もあるので、地域選択部43において選択された地域によって、選択できる期間は異なるように構成される。
Windowsフォームで作成されたアプリケーション・プログラムにより表示されるフォームは、表示画面16上で移動可能とされているため、メニュー部4及び時間軸表示フォーム2は表示画面16上で移動可能、すなわち、表示位置を変更可能である。
また、Windowsフォームでは、ユーザが何らかの操作を行ったり、何らかの条件が成立したりする等のイベントが発生したときに実行するプログラム(イベント・プロシージャ)をプログラミングして、作成するアプリケーション・プログラム中に含めておくことができる。時間軸表示プログラムは、起動時、メニュー部4において時間軸表示フォーム2の表示数が増やされたとき、メニュー部4において時間軸表示フォーム2の種類が変更されたとき、最小化された時間軸表示フォーム2を元に戻す操作が行われたとき、時間軸表示フォーム2を移動する操作が行われたとき、時間軸表示フォーム2の大きさを変更する(すなわち、伸縮する)操作が行われたとき、及び、所定時間(ここでは、0.1秒)毎に、後述するイベント・プロシージャ(時間軸表示処理)を実行するように構成されている。
Webブラウザは、Internet Explorer(マイクロソフト社の商標又は登録商標)であり、記憶装置13に記憶されている。装置1は、Webブラウザに従って動作することにより、上記受信手段及び上記価格情報表示手段として機能する。
以上のように構成された装置1の動作について、次に説明する。
ユーザがWebブラウザを起動して、株価配信サーバ9にアクセスし、ある銘柄(ここでは、「××株式会社」とする。)の株価情報を要求すると、株価配信サーバ9は、要求された株価情報を含むWebページ3(正確には、Webページ3を表示するためのデータ及びプログラム)を送信する。なお、証券会社等の提供する株価情報は、通常、チャートの形で閲覧できるように構成されており、株価配信サーバ9も、株価情報を、時間を横軸とするチャートで表示されるような形式で送信する。
装置1は、インターネットを介して株価配信サーバ9から、株価情報を含むWebページ3を受信し、表示画面16に、図3に示すようなチャート表示部31と出来高表示部32と時間表示部33とを含むWebページ3を表示する。チャート表示部31には、受信した株価情報に基づいて、時間を横軸として一日分の株価情報がチャートで表示される。ここでは2011年6月20日の午前10時15分頃に、その日の「××株式会社」の株価情報が要求されたものとする。したがって、図3に示すチャート表示部31には、その日の取引開始時刻である午前9時から現在時刻である午前10時15分頃までの株価情報がチャートで表示されている。チャート表示部31におけるチャートは、時間を横軸とし、株価を縦軸として、チャート表示部31の左端部31aが取引開始時刻に対応し、右端部31bが取引終了時刻に対応する。出来高表示部32は、チャート表示部31の下方に、チャート表示部31と時間を合わせて表示される。また、図3に示す株式を取引する株式市場の一日の取引時間は、9時〜11時及び12時30分〜15時であり、出来高表示部32の下方には、11時〜12時30分を除いた状態で時間を横方向(左右方向)に表示する時間表示部33が表示されている。
このWebページ3が表示された状態で、ユーザが時間軸表示プログラムを起動すると、装置1は、図4に示すように、メニュー部4を表示画面16に表示し、メニュー部4においてデフォルト(初期値)とされている地域及び期間(ここでは、「日本」及び「一日」)に応じた時間軸表示フォーム2を、表示画面16に表示する。Webページ3、時間軸表示フォーム2、及び、メニュー部4とは、それぞれ別ウィンドウであるので、Windowsの機能により互いに重ねて表示可能であり、図3に示すようにWebページ3が全画面に表示された状態で時間軸表示プログラムを起動すると、図4に示すように、Webページ3の手前に重ねて時間軸表示フォーム2及びメニュー部4が表示される。また、上述したように時間軸表示フォーム2の標識表示部21の背景色は透明とされているので、標識表示部21を通して、その背後が視認可能であり、図4では、標識表示部21の背後にチャート表示部31があるので、標識表示部21を通してチャート表示部31を視認可能である。但し、時間軸表示プログラムを起動することにより標識表示部21が表示されたとき、図4に示すように、必ずしも、標識表示部21の左端部21aの位置と、チャート表示部31の左端部31aの位置とが、一致しているとは限らない。
なお、Internet Explorerが起動されてWebページ3を表示可能な状態ではタスクバー17が、時間軸表示プログラムが起動されて時間軸表示フォーム2を表示可能な状態ではタスクバー18が、Windowsの機能により表示画面16上に表示される。そして、タスクバー17がクリックされると、Webページ3が時間軸表示フォーム2の手前に表示され、タスクバー18がクリックされると、時間軸表示フォーム2がWebページ3の手前に表示される。また、時間軸表示フォーム2のボタン28がクリックされて、時間軸表示フォーム2が最小化(非表示)とされたとき、タスクバー18をクリックすれば、時間軸表示フォーム2は最小化される前の大きさで再表示される。
時間軸表示フォーム2には、標識表示部21が設けられ、標識表示部21には、時間の直接の表示はないが、時間を横軸として、価格反転時期を示す標識24と、現在時刻を示すライン25とが表示されている。なお、「時間を横軸として」とは、「時間を横方向と考えて」という意であり、必ずしも標識表示部21に時間軸を表示する必要はない。
詳しくは、標識表示部21には、時間を横軸として、標識表示部21の左端部21aを期間選択部44で選択された期間(ここでは、一日、すなわち、9時〜11時及び12時30分〜15時とする。)における取引開始時刻、右端部21bを同期間における取引終了時刻とし、同期間内における価格反転時期を示す上下一対の三角形からなる複数の標識24(区別のために、図2,4に示すように時期の早い順に、24a、24b、…と符号を付する。)と、現在時刻を示す赤色のライン25とが表示される。価格反転時期は一日の中で複数回存在し、銘柄に拠らず各価格反転時期は固定であって、それらの価格反転時期に対応する位置に、それぞれ標識24が表示される。なお、図中、ライン25は破線で示す。また、現在時刻が経過した価格反転時期を示す(図中、ライン25よりも左方にある)標識24a、24b、24cは、黒色で表示されるとともに、上下の三角形が灰色のライン26で結ばれ、現在時刻がまだ経過していない価格反転時期の中で現在時刻に最も近い標識24dは、上の三角形が赤色、下の三角形が青色で表示されるとともに、さらに現在時刻の1分以内に存在するときは点滅表示され、それ以外の標識24e、24f、24g、24h、24i、24j、24k、24l、24m、24n、24oは、黄色で表示される。
また、標識表示部21には、チャート表示部31の上端部と下端部とに配置された互いに色の異なる上下一対のバー(横長の矩形)からなる標識27が表示されている。標識27は、前場での最安値圏(すなわち、最安値を付けることが多い時間帯)と最高値圏(すなわち、最高値を付けることが多い時間帯)を示すものであり、取引開始値が上下どちらの標識27近くからスタートするかで、以後の株価の方向性(すなわち、上昇するか下降するか)を推測できるので、取引にエントリーする際のスタンス(すなわち、買いから始めるのか売りから始めるのか)を判断できる。例えば、寄付きが上の標識27近くからの開始なら次の価格反転時期までは下落すると判断し、下の標識27近くからの開始なら次の価格反転時期までは上昇すると判断して、ライン25で示される現在時刻を見ながら、取引を行うことができる。また、標識27は最安値圏と最高値圏を示すものであるから、利益の確定にも利用できる。なお、午後における最安値圏及び最高値圏を表す標識27を表示してもよく、一日を通しての最安値圏及び最高値圏を表す標識27を表示してもよい。
ここで、装置1が標識表示部21に標識24等を表示するときの動作について、説明する。上述したように、時間軸表示プログラムは、起動時等に、図5,6に示す流れのイベント・プロシージャである時間軸表示処理を実行するように構成されている。
まず、装置1は、内蔵している時計から現在時刻を取得する(図5のステップS01)。次に、標識表示部21の現在のサイズに対する現在時刻の座標を計算する(S02)。すなわち、標識表示部21の横幅Wを期間選択部44において選択された期間、標識表示部21の左端部21aを同期間における取引開始時刻として、現在時刻が標識表示部21中の横方向におけるどの位置に該当するかを計算する。そして、画面描画処理を行う(S03)。ここでは、期間選択部44において選択された期間が「一日」であり、地域選択部43において選択された地域が「日本」であるものとする。また、装置1が内蔵する時計は、日本時間に設定されているものとする。したがって、地域選択部43において選択された地域が「日本」であるときは、内蔵する時計から取得した時刻をそのまま現在時刻とするが、「日本」以外の場合には、内蔵する時計から取得した時刻に対し、選択された地域に応じて予め定められている時間を増減することにより、選択された地域における現在時刻を算出する。
画面描画処理では、装置1は、現在時刻に相当する位置にライン25を描画する(図6のS101)。なお、ライン25の上下方向の位置を定めるには、例えば、標識表示部21の基準の高さと、その基準の高さに対するライン25の上端点及び下端点の標識表示部21内での上下方向における座標とを、予め定めておき、基準の高さに対する標識表示部21の現在の高さHの比に基づいて、高さHに対するライン25の上端点及び下端点の上下方向における座標を算出する等の方法がある。
次に、装置1は、各価格反転時期について、ステップS102〜S109の処理を行う。ここで、各価格反転時期は時期(時刻)が定まっているので、その時刻を図6では「所定時刻」と表記し、図6に基づく以下の説明においても「所定時刻」という。時間軸表示プログラムは各所定時刻を固定値として有しており(すなわち、装置1は、各所定時刻を記憶部13に記憶しており)、装置1は、所定時刻の数(ここでは、15)だけ、ステップS102〜S109の処理を行う。なお、各所定時刻をどの順で処理するかは任意であるが、ここでは、時刻の早い順に処理するものとする。まず、装置1は、現在時刻が最初の所定時刻、すなわち、標識24aで示される所定時刻を過ぎているか否かを判定する(S102)。そして、過ぎていればステップS103に進み、過ぎていなければステップS105に進む。図2,4の例では、現在時刻は標識24aで示される所定時刻を過ぎているので、ステップS103に進んで、その所定時刻の位置に、上下一対の黒の三角形からなる標識24aを描画し、ステップS104に進んで、その所定時刻の位置に、上下の三角形を連結するように灰色のライン26を描画する。なお、標識表示部21における所定時刻の位置は、現在時刻の位置を計算したときと同様にして計算する。そして、ステップS102に戻り、現在時刻が次の所定時刻、すなわち、標識24bで示される所定時刻を過ぎているか否かを判定する。標識24b、24cで示される所定時刻については、標識24aと同様に、黒の三角形及び灰色のライン26が描画されることとなる。
次に、現在時刻が標識24dで示される所定時刻を過ぎているか否かを判定したとき(S102)、過ぎていないため、装置1は、ステップS105に進み、標識24dで示される所定時刻が、現在時刻に最も近い所定時刻か否かを判定する。そして、現在時刻に最も近い所定時刻であるため、ステップS106に進み、現在時刻がその所定時刻の1分以内であるか否かを判定する。そして、1分以内でなければ、その所定時刻の位置に、上下一対の三角形からなる標識24dを、上の三角形を赤、下の三角形を青として描画する(S107)。一方、1分以内であれば、上の三角形を赤、下の三角形を青として、点滅するように描画する(S108)。なお、点滅させる方法としては、例えば、時間軸表示処理は0.1秒毎に実行されるので、前回の時間軸表示処理で描画したか否かの情報を保存しておき、前回描画したら、今回は描画せず、前回描画していなかったら、今回は描画する等の方法がある。
また、図5,6には示されていないが、装置1は、ステップS105でYESと判断された所定時刻(図2,4の例では標識24dで示される所定時刻)については、現在時刻からその所定時刻までの時間を計算し、カウントダウン部42に表示する。
次に、装置1は、標識24eで示される所定時刻については、現在時刻がその所定時刻を過ぎていないと判定し(S102)、現在時刻に最も近い所定時刻でもないと判定して(S105)、ステップS109に進む。ステップS109では、装置1は、その所定時刻の位置に、上下一対の三角形からなる標識24eを黄色で描画する(S107)。標識24f、24g、24h、24i、24j、24k、24l、24m、24n、24oで示される所定時刻についても、標識24eと同様に、黄色の三角形が描画されることとなる。
なお、図5,6には示されていないが、時間軸表示プログラムは、前場における最安値圏及び最高値圏について、それぞれ、開始時刻と、終了時刻又は時間(長さ)とを、固定値として有しており(すなわち、装置1は、それらの固定値を記憶部13に記憶しており)、装置1は、それらの固定値を用いて、各標識27を標識表示部21に表示する。
装置1は、時間軸表示プログラムで設定されたタイマーを用いることにより、0.1秒毎に、図5,6に示す時間軸表示処理を実行するため、時間軸表示フォーム2は0.1秒毎に更新されて、ユーザには連続して表示されているように視認されるとともに、現在時刻を示すライン25は刻々と右方向に移動する。そして、現在時刻が経過した標識24は、黒色で表示されるとともに、上下の三角形が灰色のライン26で結ばれ、現在時刻が経過していない標識24のうち、現在時刻に最も近い標識24は、上の三角形が赤色、下の三角形が青色で表示されるとともに、さらに現在時刻の1分以内になると点滅表示され、それ以外の標識24は、黄色で表示されることとなる。また、現在時刻から現在時刻よりも後であって現在時刻に最も近い標識24で示される価格反転時期までの時間が、カウントダウン部42に表示されることにより、次の価格反転時期までのカウントダウンがなされることとなる。
また、上述したように、時間軸表示フォーム2は、ユーザが所定の操作を行うことにより、表示画面16上で移動可能である。詳しくは、マウス等のポインティング・デバイスを操作することにより、ポインタを時間軸表示フォーム2の上部の所定範囲に配置して左クリックし、ドラッグアンドドロップすることにより、時間軸表示フォーム2は表示画面16上で移動できる。この機能はWindouwsで表示されるウィンドウの基本的機能であり周知であるため、装置1がこの機能を如何にして実現しているかについては説明を省略する。
このように時間軸表示フォーム2を移動させることにより、標識表示部21の表示画面16における表示位置が変更される。したがって、図4に示すように、標識表示部21の左端部21aの位置と、チャート表示部31の左端部31aの位置とが、一致していないとき、時間軸表示フォーム2を移動して、図7に示すように略一致させることができ、チャート表示部31における取引開始時刻を示す位置と、標識表示部21における取引開始時刻を示す位置とを略一致させることができる。なお、左端部21aと左端部31aの位置を、完全に一致させることも、勿論可能である。時間軸表示フォーム2が移動されたときも、装置1は、上述した時間軸表示処理を実行する。
さらに、上述したように、時間軸表示フォーム2は、ユーザが所定の操作を行うことにより、表示画面16上でサイズを変更可能である。詳しくは、マウス等のポインティング・デバイスを操作することにより、ポインタを時間軸表示フォーム2の左端部又は右端部に配置して、左右方向の矢印が表示された状態で左クリックし、ドラッグアンドドロップすることにより、左右の幅が伸縮される。また、ポインタを時間軸表示フォーム2の上端部又は下端部に配置して、上下方向の矢印が表示された状態で左クリックし、ドラッグアンドドロップすることにより、上下の幅が伸縮される。さらに、ポインタを時間軸表示フォーム2の四隅のいずれかに配置して、斜め方向の矢印が表示された状態で左クリックし、ドラッグアンドドロップすることにより、上下の幅と左右の幅が同率で伸縮される。この機能もWindouwsで表示されるウィンドウの基本的機能であり周知であるため、装置1がこの機能を如何にして実現しているかについては説明を省略する。
このように時間軸表示フォーム2のサイズを伸縮(拡大・縮小)することにより、標識表示部21の表示画面16におけるサイズ(横幅W及び高さH)も伸縮される。したがって、図7に示すように、標識表示部21の左端部21aの位置と、チャート表示部31の左端部31aの位置とは、一致しているが、標識表示部21の右端部21bの位置と、チャート表示部31の右端部31bの位置とが、一致していないとき、時間軸表示フォーム2を伸縮して、図8に示すように略一致させることができ、チャート表示部31における取引終了時刻を示す位置と、標識表示部21における取引終了時刻を示す位置とを略一致させることができる。図8では、図7の状態から時間軸表示フォーム2の横幅Wを拡大し、高さHを縮小している。なお、右端部21bと右端部31bの位置を、完全に一致させることも、勿論可能である。時間軸表示フォーム2のサイズが変更されたときも、装置1は、上述した時間軸表示処理を実行する。
なお、標識表示部21の表示位置を変更しただけでは、標識24同士の間隔、及び、標識27の横の長さは変化しないが、標識表示部21の横幅Wを伸縮した場合には、その伸縮率と同じ伸縮率で、標識24同士の間隔、及び、標識27の横の長さが伸縮される。
図8の状態から時間が経過して、現在時刻が標識24dで示される価格反転時期を過ぎると、装置1は、図9に示すように、標識24a、24b、24cに加えて、標識24dを構成する上下の三角形を黒色で表示するとともにそれらの三角形間にライン26を表示する。そして、現在時刻より後であって現在時刻に最も近い標識24eを構成する上の三角形を赤色、下の三角形を青色で表示し、標識24eより右方の標識24は黄色で表示する。そして、現在時刻から標識24eで示される価格反転時期までの時間を、カウントダウン部42に表示する。図9は、現在時刻が10時23分頃の状態を示す。
図10に、図9の状態からさらに時間が経過して、その日の取引が終了したときの状態を示す。この状態では、全ての標識24について、上下の三角形が黒色で表示されるとともに、上下の三角形間にライン26が表示されている。また、ライン25は表示されていない。
次に、時間軸表示フォーム2の複数表示及び期間の変更について、説明する。
ユーザがメニュー部4の表示数選択部40において時間軸表示フォーム2の表示数を増加したとき、装置1は、表示数の増加数に応じて、メニュー部4の種類設定部41を増加するとともに、上述した時間軸表示処理を行って別個の時間軸表示フォーム2を表示することにより、表示画面16に表示する時間軸表示フォーム2を増加する。図12に、時間軸表示フォーム2を2つ表示した状態を示す。なお、種類設定部41に表示されるタイトル「時間軸表示1」、「時間軸表示2」等は、時間軸表示フォーム2の上端部に表示されるタイトルに対応しており、タイトルにより種類設定部41と時間軸表示フォーム2とが対応付けられる。
また、ユーザがメニュー部4の期間選択部44において期間を変更したとき、装置1は、上述した時間軸表示処理を行うことにより、表示されている時間軸表示フォーム2を、変更後の期間に応じた時間軸表示フォーム2に変更する。したがって、例えば、期間を「一日」から「午前」に変更すると、標識表示部21は、左端部21aが前場の取引開始時刻に相当し、右端部21bが前場の取引終了時刻に相当し、横幅Wが前場の取引時間に相当して、標識24のうち標識24a、24b、24c、24d、24eのみを表示するものに変更される。図12においてタイトル「時間軸表示1」が付された時間軸表示フォーム2は、期間を「午前」としたものである。
以上説明したように、装置1によれば、価格反転時期を示す標識24が表示された標識表示部21を通して、株価のチャートを視認できるため、あたかもチャートに標識24を貼り付けたように見えて、価格反転時期が分かり易く、売買タイミングを容易に判断できる。例えば、ユーザは、寄付きが高値で始まれば、次の価格反転時期までは株価が下落してから上昇に転じ、その次の価格反転時期には株価が上昇から下落に転じると推測でき、逆に、寄付きが安値で始まれば、次の価格反転時期までは株価が上昇してから下落に転じ、その次の価格反転時期には株価が下落から上昇に転じると推測できるので、売買タイミングを容易に知ることができる。なお、図中の株価のチャートは例示であり、実際とは異なるので、必ずしも反転時期が当て嵌まってはいない。
そして、装置1によれば、知見により導き出された時間軸上での価格反転時期(すなわち、反転ポイント)が、証券会社から配信されたチャート上に重ねられた標識表示部21に、標識24により予め表示されており、かかる標識表示部21内を現在時刻を示すガイドラインとしてのライン25が時間軸を軌道として移動するため、リアルタイムで動く1分足等の株価と、ライン25とが、同時に反転ポイントに到着したことを以って売買の判断をすることが可能となる。
また、株価のチャートが表示されるチャート表示部31の幅や高さ、表示画面16における表示位置は、配信元である証券会社によって様々であり、同じ証券会社でも銘柄によってそれらが異なる場合もある。装置1では、標識表示部21の大きさや表示位置を変更することができるので、標識表示部21を、その大きさや表示位置を変更することにより、任意のチャート表示部31に、左端部21a、31a同士、右端部21b、31b同士が一致するように重ね合わせることができる。したがって、チャート表示部31における時間軸と標識表示部21における時間軸を一致させた状態で、標識表示部21を通してチャート表示部31を視認することができ、時期の見誤りを防止することができる。
また、カウントダウン部42におけるカウントダウンや、ライン25の移動、標識24を構成する三角形の色の変化や点滅により、次の価格反転時期が迫っていることに、ユーザの注意を向けることができ、時期の看過を防止することができる。
また、標識表示部21には利益確定に適した時期を示す標識27も表示されるので、価格反転時期だけでは利益確定時期を把握し難い初心者のユーザであっても、例えば、寄付きが安値で始まれば、最初の標識27が表示されている時間帯が、株価の山(最高値圏)となり、次の標識27が表示されている時間帯が、株価の谷(最安値圏)となる、というように株価の大きな動きが分かるので、これらの時間帯に売買することにより利益を確定できる。しかも、標識27はピンポイントではなく時間的に幅を持っているので、ユーザが売買に利用し易い。
さらに、1つの表示画面16に、時間軸表示フォーム2を複数表示可能、すなわち、標識表示部21を複数表示可能であるので、1つの表示画面16に複数の銘柄のチャートを表示させてそれぞれの銘柄について売買するときに、それぞれのチャートに標識表示部21を重ねることができる。
また、期間選択部44において期間を選択可能であり、その選択された期間に応じた標識表示部21が表示されるので、例えば前場のみの取引に用いたい場合や、複数の標識表示部21を表示させることにより表示領域が制約される場合等に便利である。
また、地域選択部43において地域を選択可能であり、その選択された地域における現在時刻を用いて、標識表示部21におけるライン25等が表示されるので、ユーザの所在地域以外の地域における取引にも対応可能であり、標識表示部21を2つ表示させて、一方は日本、他方は香港とする等、複数地域における取引にも対応可能である。
なお、装置1は、株式以外の投機対象にも適用可能であり、また、任意の期間における取引にも適用可能である。そして、任意の投機対象及び任意の期間に対して共通の時間軸表示フォーム2を用いることとしてもよいが、投機対象別に時間軸表示フォーム2を設けたり、適用期間別に時間軸表示フォーム2を設けたりしてもよい。投機対象別に時間軸表示フォーム2を設ける場合、種類設定部41において投機対象の種類を選択させるようにしてもよい。また、地域選択部43で選択可能な地域別に、時間軸表示フォーム2を設けてもよい。
また、標識24の形状や色は上述したものに限らず、ユーザが時期を知得可能なものであればよい。標識27を表示するか否かや、その形状や色、ライン25、26を表示するか否かや色等も、任意に変更可能である。また、現在時刻を示す標識は必ずしもライン25のような線状でなくてもよく、現在時刻を示す標識を表示しないこととしてもよいが、現在時刻を示す標識を標識表示部21に表示すれば、現在時刻から次の価格反転時期まで時間的に余裕があるのか否か等、現在時刻と価格反転時期との関係が視覚的に分かり易くなって好ましい。
また、標識表示部21を重ねる画像は、必ずしもチャートでなくてもよいが、時間を横軸として投機対象の価格の動向を示すものであることが、売買タイミングの判断のためには好ましい。
また、上記実施形態では、汎用的なWebブラウザを用いて証券会社のサイトにアクセスして価格情報を受信し、チャートを表示する例を示したが、Webブラウザではなく、例えば、株式会社SBI証券が提供するソフトウェア「ハイパーSBI」(商標又は登録商標)等、専用ソフトを用いて価格情報を受信し、チャートで表示することとしてもよい。
さらに、現在時刻の取得を、内蔵する時計からではなく、現在時刻を提供するWebサーバから取得することとしてもよい。すなわち、時間軸表示プログラム中に、そのようなWebサーバからインターネットを介して現在時刻を取得するプログラムを含めておき、装置1が、そのようなWebサーバからインターネットを介して現在時刻を取得するようにしてもよい。そうすれば、正確な時刻が得られるからであり、また、そのようなWebサーバには、日本標準時を提供するもののみならず、世界各地の標準時を提供するものもあるため、日本以外の地域の現在時刻も計算の必要なく取得できるからである。
また、時間軸表示フォーム2の複数表示を可能にするか否かや、地域選択部43を設けて地域を選択可能にするか否か、期間選択部44を設けて期間を選択可能にするか否か、カウントダウン部42を設けるか否か等も、適宜変更可能である。