JP2013057417A - 石炭火力発電プラント - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、酸素燃焼ボイラにおいて、空気燃焼から酸素燃焼へ切り替えるときに、支燃ガスの酸素濃度を安定的に制御し、ボイラの蒸気温度や発電出力の変動を抑えることが可能な制御方式を提供することにある。
【解決手段】本発明の石炭火力発電プラントは、3つのダンパを設置し、空気燃焼から酸素燃焼に切り替える場合、該空気流量、該循環排ガス流量、該酸素ガス流量をボイラに供給する燃料流量のデマンドに応じて変化させ、かつ、該空気流量を減少させるのに合わせて、該循環排ガス流量と該酸素ガス流量を増加させ、かつ、該空気流量、該循環排ガス流量、該酸素ガス流量が線形関係であることを特徴とする。
【効果】本発明によれば、酸素燃焼ボイラにおいて、空気燃焼から酸素燃焼へ切り替えるときに、支燃ガスの酸素濃度を安定的に制御し、ボイラの蒸気温度や発電出力の変動を抑えることが可能な制御方式を提供できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、石炭火力発電プラントに関する。
地球温暖化対策として、温室効果ガスの一つであるCO2(二酸化炭素)の排出削減の取り組みが世界的に実施されている。火力発電所はCO2の排出量が多い設備の一つであり、特に炭素含有量が多く燃焼排ガス中にCO2を多量に発生させる石炭を燃焼する石炭ボイラを備えた石炭火力発電プラントは発電量当りのCO2排出量が最も多く、早急なCO2削減対策が要望されている。
石炭火力発電プラントのCO2削減対策としては、発電の高効率化に加えて、石炭ボイラでの燃焼によって発生した燃焼排ガス中からのCO2の分離・回収が挙げられる。CO2の分離・回収とは、石炭火力発電プラントで発生した燃焼排ガス中からCO2のみを取り出して圧縮・液化し、パイプライン等を通してこの液化させたCO2を地下深部等に貯留させる方式である。
CO2分離・回収方式の一つに酸素燃焼方式がある。これは、空気から酸素のみを分離し、分離させた純酸素を使用するように構成したものである。酸素燃焼ボイラでは、石炭を燃焼して生成した燃焼排ガス(主要成分はCO2)の一部と純酸素とを混合させた混合ガスを支燃ガスに使用する。酸素と燃焼排ガスを混合させるのは、石炭ボイラ内で燃焼する火炎温度を抑制するためである。空気燃焼ボイラで発生した燃焼排ガスにはN2(窒素)が多く含まれるので、空気燃焼ボイラから排出される排ガスからCO2を分離する処理が必要となるが、酸素燃焼ボイラで発生した燃焼排ガスは成分のほとんどがCO2であるため、排ガスからCO2の分離処理をしないで、そのままCO2を回収できる利点がある。
酸素燃焼では支燃ガスに燃焼排ガスを利用するため、酸素燃焼の状態でボイラを点火し、起動することはできない。通常は、空気燃焼の状態でボイラを点火し、負荷上昇させた後、酸素燃焼へと切り替える。この燃焼切替では、空気で石炭を燃焼させている状態から、空気を排ガスと酸素の混合ガスへと徐々に置き換えていく。
燃焼特性に影響を与える要素の一つに、支燃ガスの酸素濃度がある。空気燃焼の場合、支燃ガスである空気の酸素濃度はほぼ一定であるため、支燃ガスの酸素濃度の制御は行わない。これに対し、酸素燃焼の場合には、酸素ガスの供給流量が一定であっても、循環排ガスの流量や組成によって酸素濃度が変わる。このため、酸素燃焼の場合には、安定した燃焼状態を維持するために、酸素濃度の制御が重要になる。特に、燃焼切替時においては、空気の酸素濃度と、酸素燃焼の条件で最適な支燃ガスの酸素濃度は異なるため、燃焼切替の進行に合わせて、酸素濃度が適切な値になるように制御する必要がある。
酸素燃焼ボイラにおける燃焼切替の制御方式として、特開2009−257751号公報に記載された方式がある。ここでは、流量制御ダンパにより、空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量を調整することにより、酸素濃度が所定の値になるよう維持しながら、空気燃焼から酸素燃焼への切替を行っている。
特開2009−257751号公報
しかしながら、酸素濃度の計測には時間遅れや計測値の変動が伴うため、酸素濃度の計測値のみで、空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量を制御すると、支燃ガスの酸素濃度が変動し、燃焼の安定性に支障をきたす。
さらに、燃焼切替時における支燃ガスの酸素濃度は、切替の進行に合わせてスムーズに変わっていくのが好ましいが、機器の構成上、それが困難な場合がある。特に、空気流量については、酸素燃焼へと切り替わるに従い、流量が0へと漸近するように制御するのが理想であるが、流量制御用のダンパの特性から最小流量が存在する。つまり、空気流量をダンパの最小流量まで低下させた後、ダンパを全閉して、流量を0に落とす操作手順を取る。この操作により、切替中の支燃ガスの酸素濃度も突変する。このような状況でも、安定した燃焼を維持できる制御方式が要求される。
燃焼が不安定になると、バーナ失火の危険性が高まると共に、ボイラの蒸気温度や発電出力に変動が発生するため、プラントの運転の信頼性が損なわれる。本発明の目的は、酸素燃焼ボイラにおいて、空気燃焼から酸素燃焼へ切り替えるときに、支燃ガスの酸素濃度を安定的に制御し、ボイラの蒸気温度や発電出力の変動を抑えることが可能な制御方式を提供することにある。
本発明の石炭火力発電プラントは、ボイラに投入する空気流量を制御するダンパと、ボイラに投入する循環排ガス流量を制御するダンパと、ボイラに投入する酸素ガス流量を制御するダンパを設置し、空気燃焼から酸素燃焼に切り替える場合、該空気流量、該循環排ガス流量、該酸素ガス流量をボイラに供給する燃料流量のデマンドに応じて変化させ、かつ、該空気流量を減少させるのに合わせて、該循環排ガス流量と該酸素ガス流量を増加させ、かつ、該空気流量、該循環排ガス流量、該酸素ガス流量が線形関係であることを特徴とする。
本発明によれば、酸素燃焼ボイラにおいて、空気燃焼から酸素燃焼へ切り替えるときに、支燃ガスの酸素濃度を安定的に制御し、ボイラの蒸気温度や発電出力の変動を抑えることが可能な制御方式を提供できる。
本発明の一実施例である石炭火力発電プラントを示す概略構成図(空気燃焼)である。 本発明の一実施例である石炭火力発電プラントを示す概略構成図(酸素燃焼)である。 酸素濃度デマンドとガス流量のトレンドである。 循環排ガス流量の制御ロジックである。 酸素ガス流量の制御ロジックである。 空気流量の制御ロジックである。 酸素濃度補正回路の動作のON/OFFを示す図である。 本実施例の制御方式によるプラント動特性のシミュレーション結果である。 空気流量保持操作を実施しない場合のプラント動特性のシミュレーション結果である。
本発明は、石炭火力発電プラントが排出する二酸化炭素の回収に好適な方式の一つである酸素燃焼を対象として、空気燃焼の運転から酸素燃焼の運転に切り替える場合の制御方式、及び、該制御方式を実現するための機器構成に関するものである。本発明の一実施例である空気燃焼と酸素燃焼が可能な石炭火力発電プラントの構成と制御方式について図面を参照して以下に説明する。
図1は、本発明の一実施例である石炭火力発電プラントの構成を示す概略図である。図1に示す石炭火力発電プラントは、空気燃焼と酸素燃焼の両方で運転可能な構成になっている。
先ず、ボイラ1を通常の空気燃焼で運転するときのガスの流れを説明する。
空気燃焼での支燃ガスは空気である。ファン21とファン22が配管41を通して外気から空気を吸い込む。このとき、ダンパ101は開いた状態とし、後述する酸素供給用のダンパ102は閉じた状態とする。ファン21とファン22を通った空気はガス予熱器4に送られ、ここでボイラ1から排出された高温の排ガスで加熱される。ファン21が取り込んだ空気は配管42を通してミル2に送られ、ここで粉砕された石炭と混合し、ボイラ1に燃料ガスとして供給される。一方、ファン22が取り込んだ空気は配管43を通してボイラ1に供給される。ボイラ1での燃焼後の排ガスは、配管44を通して脱硝装置3に送られる。脱硝装置3では、排ガス中の窒素酸化物が取り除かれる。次に、排ガスはガス予熱器4に送られる。前述したように、ガス予熱器4では空気燃焼での支燃ガスである空気と熱交換を行う。空気は加熱されて温度が上昇するのに対し、排ガスの温度は伝熱によって低下する。次に、ガス予熱器4を排出された排ガスは、集塵装置5に送られる。集塵装置5では、排ガス中の煤塵や灰を除去する。集塵装置5から排出された排ガスはファン23により、配管45を通して、後段の脱硫装置6に送られる。このとき、ダンパ103は閉じた状態、ダンパ104は開いた状態とし、排ガス循環用の配管46に排ガスが送られないようにする。脱硫装置6では、排ガス中の硫黄酸化物を除去する。脱硫装置6から排出された排ガスは、配管47を通して煙突から大気に放出される。このとき、ダンパ105は開いた状態、ダンパ106は閉じた状態とし、配管48に排ガスが送られないようにする。
以上がボイラ1を空気燃焼で運転したときのガスの流れである。次に、図2を用いて、ボイラ1を酸素燃焼で運転したときのガスの流れを説明する。図2は、図1と同じ機器構成であり、ダンパの開閉状態のみが異なる。
空気燃焼では支燃ガスとして空気を用いるが、酸素燃焼では純酸素と排ガスの混合ガスを用いる。先ず、大気から空気分離装置9に空気が取り込まれる。空気分離装置では、酸素と窒素の沸点の差を利用して分離する深冷法により、空気から酸素を取り出し、配管44を通して酸素ガスを供給する。このとき、ダンパ101は閉じた状態、ダンパ102は開いた状態とする。これにより、ボイラに空気が取り込まれることはない。酸素ガスは、配管46を流れてきた排ガスの一部と混合される。このとき、ダンパ103は開いた状態とする。酸素ガスと排ガスの混合ガスが支燃ガスとなり、ファン21、22を用いてボイラ1へ供給される。ボイラ1で燃焼した後の排ガスは、空気燃焼の場合と同様に、脱硝装置3、ガス予熱器4、集塵装置5へと排出される。ファン23を通った排ガスは、配管45と配管46に分岐する。このとき、ダンパ103、ダンパ104は開いた状態であり、両ダンパによって配管46を通る排ガスの流量を制御する。配管46を通った排ガスは、ボイラ1へ戻る循環排ガスとなる。一方、配管45を通った排ガスは脱硫装置6に送られた後、配管48を通して冷却除湿装置に送られる。このとき、ダンパ105は閉じた状態、ダンパ106は開いた状態とし、排ガスが大気に放出されないようにする。冷却除湿装置7では、排ガスを大気で冷却して水分を除去した後、CO2液化装置8に送られる。ここで液化された排ガス(CO2)が回収される。
以上がボイラ1を酸素燃焼で運転したときのガスの流れである。また、図1の201は、ボイラの制御を行うための制御装置である。制御装置にはボイラに設置されたセンサの計測値を取り込むと共に、ファンやポンプなどの機器を操作するための制御信号を出力するが、図1ではこの信号の流れは省略している。
本実施例では、図1で説明した空気燃焼の状態から、図2で説明した酸素燃焼の状態に切り替えるときのガスの制御方式を説明する。燃焼の安定性を考慮すると、空気燃焼から酸素燃焼へ徐々に切り替える処理が必要となり、燃焼切替中は空気燃焼におけるガスの流れと酸素燃焼におけるガスの流れが並存した状態となる。つまり、配管41を通して空気を取り込むと共に、配管44を通して酸素ガスを供給し、配管46を通して排ガスをボイラ1へ循環させる。燃焼切替制御では、前述の空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量を制御し、燃焼の安定性を維持したまま、空気燃焼から酸素燃焼へ切り替える。
本実施例の装置では、空気燃焼の状態でボイラを点火し、負荷上昇した後に、酸素燃焼への切替を実施する。したがって、燃焼切替のためのガス流量の制御に加えて、発電出力・蒸気温度・蒸気圧力を一定に維持するための制御も動作させる。ただし、これらの制御方式については、既存の空気燃焼のボイラと同様であるため、説明は省略する。
上述したように、空気燃焼から酸素燃焼への燃焼切替方法は、切替の進行に従って、空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量をどのように制御するかということを指している。酸素燃焼へ完全に切替わった後は、空気流量は0であり、酸素ガス、循環排ガスが所定の流量になっている。酸素燃焼における酸素ガス、循環排ガスの流量は、両ガスを混合して生成した支燃ガスが、体積酸素濃度で27〜30vol%、酸素比で1.2になるよう調整された値である。
酸素比とは、ボイラに投入した燃料流量に対して、化学反応の理論上、完全燃焼させるのに必要な酸素量を1とする規格化された酸素量である。したがって、理論上は、支燃ガスの酸素比が1であれば、投入した燃料は全て燃焼する。しかしながら、実際には、火炉の中で支燃ガスと石炭がよく混ざらない箇所が局所的に存在するため、酸素比1の支燃ガスで石炭を燃焼させると未燃分が大量に発生する。未燃分の発生は、発熱量の低下をもたらし、発電効率を低下させる。したがって、ボイラを運転する際には、投入した燃料流量に対して、酸素量に余裕をもたせるため、酸素比は約1.2に設定する。
一方、酸素燃焼での支燃ガスの酸素濃度に関しては、酸素濃度を高く設定するほど、燃焼ガス温度が上昇し、ボイラ効率が増加する。しかしながら、ガス温度の上昇は、材料の熱的負荷を増加させ、損傷のリスクを高めるため、酸素燃焼の場合でも空気燃焼の熱的条件と同等になる酸素濃度を設定するのが、運転信頼性の点から好ましい。空気燃焼と同等のボイラ収熱量が得られる酸素濃度が、前述した27〜30vol%の範囲になる。
設計段階において、ボイラの熱出力を設定すれば、必要となる燃料流量が計算される。次に、酸素比を設定すれば、空気燃焼の条件での空気流量が計算される。一方、酸素比と酸素濃度を設定すれば、酸素燃焼の条件での酸素ガス流量と循環排ガス流量が計算される。このようにして求めた空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量を計画値とし、それぞれF0air、F0oxy、F0recで表す。つまり、空気燃焼での空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量の計画値はそれぞれF0air、0、0であり、一方、酸素燃焼での計画値は0、F0oxy、F0recである。ここで、各流量の計画値は燃料流量に依存している。
上述の方法で、空気燃焼と酸素燃焼それぞれの条件での燃料流量デマンドに応じた各ガス流量の計画値が求められる。この値を基に、燃焼切替時も含めた各ガス流量の計画値を、以下の式(1)で決定する。
air、Foxy、Frecが各ガス流量に対する燃料流量デマンドに応じた計画値である。燃焼切替中でも出力制御が動作しているため、燃料流量デマンドも変動する(ただし、出力一定条件で切替を行うため、通常の変動幅は僅かである)。したがって、Fair、Foxy、Frecの値も変動する。また、Xcは燃焼切替率を示す。このパラメータは、空気燃焼から酸素燃焼への切替の進行の程度を示す数値であり、0から1に規格化された値である。Xcが0のときが空気燃焼、1のときが酸素燃焼を表す。燃焼切替制御では、後述する方法に従って、切替時間に応じてXcの値を0から1へと変えていき、各ガス流量の計画値を演算する。
式(1)が示すように、燃焼切替時の各ガス流量は線形関係にある。前述したように、酸素燃焼での酸素濃度の計画値は、空気燃焼での熱的条件と同等になるように設定し、この酸素濃度に応じて酸素ガスと循環排ガスの流量を決定した。燃焼切替時の空気、酸素ガス、循環排ガスの3種類のガスが混在する状態でも、各ガス流量が式(1)の関係を満たせば、空気燃焼におけるボイラ収熱量などの熱的条件と同等になる。
燃焼切替率Xcが決まれば、式(1)から各ガス流量の計画値が演算できるため、それらの混合ガスである支燃ガスの酸素濃度Voxyも決まる。したがって、XcとVoxyは1対1の関係にあり、式(2)のように変換関数fを用いて表すことができる。
制御装置は、式(1)と式(2)を用いて、支燃ガスの酸素濃度Voxyの要求値から、燃焼切替率Xcを演算し、次に、空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量の計画値を演算する。ただし、実際のボイラで切替制御を行った場合、燃焼特性が想定していた状態と異なり、ガス流量と酸素濃度との関係が計画値からずれることが予想される。例えば、支燃ガスと石炭の混合がうまくいかず、未燃分が予想より多く発生した場合、その分だけ燃焼後の排ガスには酸素が多く残り、二酸化炭素の発生量は少なくなるので、排ガス組成は想定した値と異なってくる。したがって、酸素燃焼では支燃ガスに排ガスを利用するので、支燃ガスの組成も想定した値とは異なってくる。このような状況を踏まえ、酸素濃度を計測するためのセンサを設置し、センサの計測値を用いて、前述の方法で演算したガス流量の計画値に対する補正値を求め、流量のデマンド信号を作成する。
支燃ガスの酸素濃度については、図1に示すセンサ51で測定する。ただし、空気燃焼の場合は、空気中の酸素濃度は水分を除けば一定であるため、ガス流量の制御には使用しない。一方、酸素燃焼及び燃焼切替時の場合には、空気、酸素ガス、循環排ガスの混合比によって酸素濃度が変わる。酸素濃度によって燃焼特性や伝熱特性が変わるため、酸素濃度が所定の値になるように、センサで計測しながら、循環排ガス流量の計画値を補正する。
一方、ボイラ出口ガス(排ガス)の酸素濃度については、センサ52で測定する。ボイラ出口ガスの酸素濃度は、ボイラに投入した酸素のうち、燃焼に使用されなかった酸素量を示す。すなわち、完全燃焼に必要な酸素量に対する余裕度を示す酸素比に関連したパラメータである。通常の空気燃焼のボイラの場合でも、ボイラ出口ガスの酸素濃度を計測し、その計測値が所定の値になるように空気流量を調整することで、酸素比を間接的に制御している。本実施例において、酸素燃焼及び燃焼切替時に、ボイラ出口酸素濃度の計測値が所定の値になるように、酸素ガス量の計画値を補正する。
以上の補正処理を式(3)に示した。式(1)で求めた各流量の計画値に対して、補正値Rを乗じて、各流量のデマンド信号とする。Rairは空気流量、Roxyは酸素ガス、Rrecは循環排ガスに対する補正値であり、通常はいずれも1近傍の値になる。RairとRoxyはボイラ出口酸素濃度の計測値から求めるパラメータであり、Rrecは支燃ガス酸素濃度の計測値から求めるパラメータである。したがって、補正値は、計測値の変化に従って時々刻々と変わる。
以上に述べた方法で、空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量を制御したときに得られる結果を図3に示す。(a)に示す規格化切替時間Trは、燃焼切替開始までの時刻を0、燃焼切替終了(空気投入終了)以降の時刻を1に規格化した時間を表すパラメータである。支燃ガスとボイラ出口ガスの酸素濃度に対するデマンドは、規格化切替時間Trを用いて、それぞれ(b)、(c)のように与える。(d)は、支燃ガス酸素濃度のデマンド値に対して求めた燃焼切替率Xcである。(e)は、燃焼切替率Xcに対して、前述の式(1)及び(3)から求めた各ガス流量のデマンド値である。
次に、この制御方式を実現するための制御ロジックについて説明する。図4は、循環排ガス流量のデマンド値を作成するための制御ロジックである。(a)に示すロジックで、循環排ガス流量の計画値に対する補正信号Rrec、及び、燃焼切替率Xcを求める。(a)のロジックでは、空気中の酸素濃度、及び発電出力デマンドに対応した酸素燃焼条件での支燃ガス酸素濃度の計画値を用いて、前述の規格化切替時間Trに対応した支燃ガス酸素濃度のデマンド値を作成する。デマンド値の時間変化は前述の図3に示したトレンドとなる。支燃ガス酸素濃度のデマンド値から、燃焼切替率Xcを求めると共に、デマンド値と計測値との差を入力としてPI(比例−積分)制御を行うことにより、循環排ガス流量の補正信号Rrecを求める。ここで、補正信号は1近傍であるのが好ましいので、この範囲に入るようにリミッターで上限・下限値を設ける。以上のロジックで求めた燃焼切替率Xcと補正信号Rrecを基に、循環排ガス流量のデマンド値を作成する。(b)のロジックに示すように、燃料流量のデマンド値から循環排ガス流量の計画値を求め、これに補正信号Rrecと燃焼切替率Xcを乗じた値をデマンド値とする。燃焼切替の開始時はXcの値は0であるので、これを乗じて求めたデマンド値も0となる。燃焼切替が進行するに従い、Xcは1に近づくので、デマンド値も増加していく。
図5は、酸素ガス流量のデマンド値を作成するための制御ロジックである。(a)に示すロジックで、酸素ガス流量の補正信号Roxyを求める。(a)のロジックでは、発電出力デマンドに対応した空気燃焼条件と酸素燃焼条件それぞれでのボイラ出口酸素濃度の計画値を用いて、規格化時間Trに対応したボイラ出口酸素濃度のデマンド値を作成する。デマンド値の時間変化は前述の図3に示したトレンドとなる。デマンド値と計測値との差を入力としてPI制御を行うことにより、酸素ガス流量の補正信号Roxyを求める。補正信号にはリミッターを設けて1近傍になるようにする。以上のロジックで求めた補正信号Roxyを基に、酸素ガス流量のデマンド値を作成する。(b)のロジックに示すように、燃料流量のデマンド値から酸素ガス流量の計画値を求め、これに補正信号Roxyと前述の燃焼切替率Xcを乗じた値をデマンド値とする。
図6は、空気流量のデマンド値を作成するための制御ロジックである。(a)に示すロジックで、発電出力デマンドに対応した空気流量の計画値を求め、これをボイラ出口酸素濃度のデマンド値とする。デマンド値と計測値との差を入力としてPI制御を行うことにより、空気流量の補正信号Rairを求める。補正信号にはリミッターを設けて1近傍になるようにする。以上のロジックで求めた補正信号Rairを基に、空気流量のデマンド値を作成する。(b)のロジックに示すように、燃料流量のデマンド値から空気流量の計画値を求め、これに補正信号Rair、及び、前述の燃焼切替率Xcと1.0との差、すなわち1.0−Xcを乗じた値をデマンド値とする。燃焼切替が進行するにしたがって、1.0−Xcの値は0に近づいていき、これを乗じて求めたデマンド値も0に近づく。また、空気流量のデマンド値については、後述する理由から保持回路により値を保持する機能を設けている。
以上が燃焼切替を実現するための空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量の制御ロジックである。空気燃焼から酸素燃焼へ切り替える場合、酸素ガスと循環排ガス流量は切替開始時には0であり、切替が進行するに従い、流量は増加していく。一方、空気流量は、切替が進行するに従って流量は減少していき、最終的に0になる。これらの流量制御はダンパを用いて行うが、ダンパの特性上、流量を漸近的に0に減少させるのは困難である。したがって、空気流量を0に減少させる際には、そのダンパで可能な最小流量から全閉操作をすることで流量を0に落とす。このとき、空気流量が突変するため、支燃ガスの組成も突変することになる。これによって生じる支燃ガス酸素濃度の突変は、燃焼の不安定性をもたらし、失火のリスクを高める。この現象を踏まえ、本実施例になる装置では、以下に説明する処理により、燃焼の安定性を高める。
これまで説明した制御方法により、燃焼切替では酸素ガスと循環排ガスの流量が増加するにつれて、空気流量が減少していく。ここで、空気流量がダンパの最小流量に近づいた場合、空気流量のデマンド値を一定時間保持する。また、この間、酸素ガスと循環排ガスの制御ロジックでは、酸素濃度の計測値に応じた補正処理を一時停止する。これらの制御の動作関係を図7に示した。燃焼切替の開始に伴って、空気流量の酸素濃度補正は停止(OFF)し、これに代わって、酸素ガスと循環排ガス流量の酸素濃度補正を開始(ON)する。切替が進行し、空気流量がダンパの最小流量に近づいたら、空気流量デマンド値の保持回路をONにすると共に、酸素ガスと循環排ガス流量の酸素濃度補正をOFFにする。空気流量のデマンド値が一定時間保持された後、空気流量を制御するためのダンパを全閉にし、流量を0にする。これに伴って、酸素ガスと循環排ガス流量の酸素濃度補正を再度ONにする。
図8は、以上に述べた方法で燃焼切替制御を行ったときの、プラント動特性の計算結果である。(a)は発電出力の変動を示すトレンド、(b)は支燃ガス酸素濃度のデマンド値と計算値を比較したトレンド、(c)は各ガス流量のトレンドを示している。(c)に示した空気流量のトレンドから分かるように、空気流量は0になる前に、一定時間保持される。この効果を示すために、図9に、空気流量を保持する操作を実施しなかった場合のプラント動特性を示す。図8と図9を比較すると、空気流量の保持操作を実施することにより、発電出力の変動が抑えられると共に、支燃ガス酸素濃度のデマンド値への追従が改善できるのが分かる。
上述した本発明の実施例によれば、CO2を回収可能な石炭火力発電の一方式である酸素燃焼ボイラにおいて、空気燃焼から酸素燃焼へ切り替える際に、酸素濃度の計測値のみで空気、酸素ガス、循環排ガスの各流量を制御するのに比べて、酸素濃度の計測遅れや変動、または、ダンパ全閉時におけるガス組成の突変が支燃ガスの酸素濃度に与える影響を最小限に抑えられるため、安定した燃焼状態が得られ、この効果により、ボイラの蒸気温度及び発電出力の変動を抑えることができる。これにより、プラントの運転信頼性が向上できる。
本発明は石炭火力発電プラントのCO2回収に好適な酸素燃焼ボイラ及び酸素燃焼ボイラの制御方法に適用できる。
1 ボイラ
2 ミル
3 脱硝装置
4 ガス予熱器
5 集塵装置
6 脱硫装置
7 冷却除湿装置
8 CO2液化装置
9 空気分離装置
21〜23 ファン
41〜48 配管
101〜106 ダンパ
201 制御装置

Claims (4)

  1. 石炭を燃焼させる支燃ガスとして空気をボイラに供給する空気燃焼と、支燃ガスとして空気から分離した酸素と石炭の燃焼後にボイラから排出される排ガスとを混合したガスをボイラに供給する酸素燃焼との両方の燃焼方式が実現できるように構成したボイラにおいて、
    ボイラに投入する空気流量を制御するダンパと、ボイラに投入する循環排ガス流量を制御するダンパと、ボイラに投入する酸素ガス流量を制御するダンパを設置し、
    空気燃焼から酸素燃焼に切り替える場合、該空気流量、該循環排ガス流量、該酸素ガス流量をボイラに供給する燃料流量のデマンドに応じて変化させ、かつ、該空気流量を減少させるのに合わせて、該循環排ガス流量と該酸素ガス流量を増加させ、かつ、該空気流量、該循環排ガス流量、該酸素ガス流量が線形関係であることを特徴とする石炭火力発電プラント。
  2. 請求項1の石炭火力発電プラントにおいて、ボイラに投入する支燃ガスの酸素濃度を計測するセンサと、ボイラ出口排ガスの酸素濃度を計測するセンサを設置し、
    空気燃焼から酸素燃焼に切り替える場合、支燃ガスの酸素濃度の計測値を基に該循環排ガス流量を補正し、かつ、ボイラ出口排ガスの酸素濃度の計測値を基に該酸素ガス流量を補正することを特徴とする石炭火力発電プラント。
  3. 請求項2の石炭火力発電プラントにおいて、空気燃焼から酸素燃焼に切り替える場合、空気流量を一定時間保持した後に、空気流量を0にすることを特徴とする石炭火力発電プラント。
  4. 請求項3の石炭火力発電プラントにおいて、空気燃焼から酸素燃焼に切り替える場合、空気流量を一定時間保持している間は、前記循環排ガス流量及び前記酸素ガス流量の補正処理を一時停止することを特徴とする石炭火力発電プラント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7408255B2 (ja) 2021-08-10 2024-01-05 中外炉工業株式会社 加熱炉の加熱処理方法、連続式加熱炉及びバッチ式加熱炉

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