JP2013057268A - 直噴ガソリンエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】気筒内に噴射された燃料を自己着火燃焼させる場合に、燃焼時の気筒内圧力上昇率を小さくして、振動騒音(NVH)レベルを出来る限り低減する。
【解決手段】エンジンが自己着火燃焼運転領域にあるときに、インジェクタにより気筒内に噴射された燃料にエネルギーを付与して、燃料の自己着火燃焼をアシストする着火アシスト手段を設け、エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、燃料噴射開始時期を、圧縮行程終期から圧縮上死点にかけての期間内に設定し、上記着火アシスト手段を、エンジンのモータリング時におけるクランク角変化に対する気筒内の圧力変化である気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点が、燃料の燃焼質量割合が10%以上90%以下となる燃焼期間と重なるように、上記燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間内に、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、インジェクタにより気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含む燃料を自己着火燃焼させる自己着火燃焼運転領域を有する直噴ガソリンエンジンに関する技術分野に属する。
例えば特許文献1には、火花点火式ガソリンエンジンの理論熱効率を高めるべく、シリンダヘッド下面に凹陥したキャビティと、ピストン冠面に凸設した突起部と、によって、燃焼室内を中央燃焼室と主燃焼室とに区画しつつ、燃焼室全体として、圧縮比を16程度の高圧縮比に設定すると共に、中央燃焼室内では混合気を相対的にリッチに、主燃焼室内では混合気を相対的にリーンにすることで、燃焼室全体として、混合気をリーンにしたエンジンが記載されている。
また、例えば特許文献2には、冷却損失を低減させて熱効率を向上させる観点から、エンジンの燃焼室を区画形成する面を、多数の気泡を含んだ断熱材によって構成する技術が開示されている。この特許文献2のエンジンの圧縮比は16とされている。
特開平9−217627号公報 特開2009−243355号公報
ところで、火花点火式エンジンの理論サイクルであるオットーサイクルにおいては、エンジンの圧縮比を高めれば高めるほど、また、ガスの比熱比を高めれば高めるほど、理論熱効率が高くなる。このため、特許文献1に記載されているような高圧縮比化と混合気のリーン化との組み合わせは、熱効率(図示熱効率)の向上に、ある程度は有利になる。しかし、この場合、圧縮比15程度で図示熱効率が最大になり、それ以上に圧縮比を高めても、図示熱効率は高くならない(逆に、圧縮比を高めれば高めるほど、図示熱効率が低くなる)。これは、混合気がリーンであるため比較的大量の空気がシリンダ内に導入される一方で、そのシリンダ内の大量の空気が、高圧縮比化に伴い大きく圧縮されて燃焼圧力及び燃焼温度が大幅に高くなってしまうためである。つまり、高い燃焼圧力及び燃焼温度によってシリンダの壁面等を通じた熱の放出量が増え、冷却損失が大幅に増大する結果、図示熱効率が低くなってしまうのである。
そこで、特許文献2のように、シリンダ壁面を断熱材によって構成することで燃焼室の断熱化を行うことによって、シリンダ壁面からの熱の放出量を低減する、つまり冷却損失を低減するようにすることが好ましい。これにより、エンジンの幾何学的圧縮比を、特許文献1及び2に記載されたエンジンの幾何学的圧縮比よりも高くして、高い図示熱効率を実現することが可能になる。
しかし、このようにエンジンを高圧縮比化すると、エンジンのモータリング時において、気筒内の最大圧力が上昇するとともに、クランク角変化に対する気筒内の圧力変化である気筒内圧力上昇率の最大値及び最小値(負の最大値)も大きくなる。
ここで、エンジンの高圧縮比化に伴って燃料を自己着火燃焼させる場合、その自己着火燃焼が圧縮上死点の手前で開始されると、モータリング時における気筒内圧力上昇率が大きいクランク角時点で燃焼するため、燃焼時の気筒内圧力上昇率の最大値が非常に大きくなって、振動騒音(所謂NVH)レベルが増大してしまう。尚、振動騒音(NVH)レベルは、気筒内の圧力そのものの大きさよりも、気筒内圧力上昇率の大きさの方が大きく影響する。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気筒内に噴射された燃料を自己着火燃焼させる場合に、燃焼時の気筒内圧力上昇率を小さくして、振動騒音(NVH)レベルを出来る限り低減しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、インジェクタにより気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含む燃料を自己着火燃焼させる自己着火燃焼運転領域を有する直噴ガソリンエンジンを対象として、上記エンジンの幾何学的圧縮比が18以上40以下であり、上記インジェクタによる燃料の噴射を制御する噴射制御手段と、上記エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、上記インジェクタにより気筒内に噴射された燃料にエネルギーを付与して、燃料の自己着火燃焼をアシストする着火アシスト手段とを備え、上記噴射制御手段は、上記エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、燃料噴射開始時期を、圧縮行程終期から圧縮上死点にかけての期間内に設定するように構成され、上記着火アシスト手段は、上記エンジンのモータリング時におけるクランク角変化に対する気筒内の圧力変化である気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点が、燃料の燃焼質量割合が10%以上90%以下となる燃焼期間と重なるように、上記燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間内に、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成されている、という構成とした。
上記の構成により、圧縮行程終期から圧縮上死点にかけての期間内に燃料噴射が開始され、その燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間(通常は、全燃料が噴射完了するまでの期間)に、着火アシスト手段の作動により、該作動時までに気筒内に噴射された燃料にエネルギーが付与され、そのエネルギーが付与された燃料が昇温して着火し、その着火燃料を基点にして、後に噴射された燃料が連鎖的に着火していく。このように着火アシスト手段を設けたことにより、圧縮上死点後であっても、燃料の自己着火燃焼を容易に行わせることができる。そして、モータリング時の気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点が、燃焼質量割合が10%以上90%以下となる燃焼期間(主燃焼期間と呼ばれる)と重なるので、燃焼時の気筒内圧力上昇率を小さくすることができて、振動騒音(NVH)レベルを低減することができる。
ここで、上記幾何学的圧縮比が18以上40以下である場合には、上記エンジンのモータリング時における上記気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点は、圧縮上死点後4°〜15°CAとなる。
上記直噴ガソリンエンジンにおいて、上記着火アシスト手段は、燃料の燃焼質量割合が10%となる時期が圧縮上死点後となるように、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成されている、ことが好ましい。
これにより、主燃焼期間が圧縮上死点後となるので、膨張行程での燃焼により冷却損失を低減することができる。
上記直噴ガソリンエンジンにおいて、上記噴射制御手段は、上記エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、所定量の燃料を噴射させる第1噴射を行わせるとともに、該第1噴射後に、該第1噴射に対して連続的又は非連続的に残りの燃料を噴射させる第2噴射を行わせるように構成され、上記着火アシスト手段は、上記第1噴射末期から上記第2噴射初期にかけての期間内に、該第1噴射による燃料に上記エネルギーを付与するように構成されている、ことが好ましい。
このことにより、上記所定量を適切に設定する(例えば、全噴射燃料に対して質量百分率で1%以下に設定する)ことで、微少混合気塊を形成することができ、この微少混合気塊(第1噴射による燃料)にエネルギーを集中的に付与して、第1噴射による燃料を確実に着火させることができるようになる。そして、この第1噴射による燃料が、着火のトリガーとなって、後続の第2噴射による燃料が連鎖的に着火していくようになる。したがって、燃料の着火性を向上させることができる。
上記直噴ガソリンエンジンにおいて、上記着火アシスト手段は、プラズマ点火によって、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成されている、ことが好ましい。
すなわち、プラズマ点火は、火花点火よりも大きいエネルギーを燃料に付与することができるので、燃料の着火安定性を向上する上で有利になる。
以上説明したように、本発明の直噴ガソリンエンジンによると、エンジンが自己着火燃焼運転領域にあるときに、インジェクタにより気筒内に噴射された燃料にエネルギーを付与して、燃料の自己着火燃焼をアシストする着火アシスト手段を設け、エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、燃料噴射開始時期を、圧縮行程終期から圧縮上死点にかけての期間内に設定し、上記着火アシスト手段を、エンジンのモータリング時におけるクランク角変化に対する気筒内の圧力変化である気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点が、燃料の燃焼質量割合が10%以上90%以下となる燃焼期間と重なるように、上記燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間内に、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成したことにより、燃焼時の気筒内圧力上昇率を小さくすることができて、振動騒音(NVH)レベルを低減することができる。
本発明の実施形態に係る直噴ガソリンエンジンを示す概略図である。 インジェクタの内部構成を示す断面図である。 クランク角に対する外開弁のリフト量の変化及び気筒内圧力上昇率の変化を示すグラフである。 エンジンの幾何学的圧縮比が20、30及び40である場合の、エンジンのモータリング時における気筒内圧力上昇率の変化を示すグラフである。 エンジンの幾何学的圧縮比が40である場合の、燃焼開始時期を異ならせて燃焼時の気筒内圧力上昇率がどのように変化するかを調べた結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る直噴ガソリンエンジン1(以下、単にエンジン1という)を概略的に示す。本実施形態では、エンジン1は、エンジン本体に付随する様々なアクチュエータ、様々なセンサ、及び、該センサからの信号に基づきアクチュエータを制御するエンジン制御器100を含む。
エンジン1は、自動車等の車両に搭載され、その出力軸は、図示しないが、変速機を介して駆動輪に連結されている。エンジン1の出力が駆動輪に伝達されることによって、車両が推進する。エンジン1のエンジン本体は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、シリンダブロック12の内部に複数のシリンダ11(気筒)が形成されている(図1では、1つのみ示す)。シリンダブロック12及びシリンダヘッド13の内部には、図示は省略するが冷却水が流れるウォータージャケットが形成されている。
各シリンダ11内には、ピストン15が摺動自在にそれぞれ嵌挿されており、ピストン15は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画している。本実施形態では、燃焼室17は所謂ペントルーフ型であり、その天井面(シリンダヘッド13の下面)は吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしている。ピストン15の冠面は、上記天井面に対応した凸形状をなしていて、冠面の中心部には、凹状のキャビティ15aが形成されている。尚、上記天井面及びピストン1の冠面の形状は、後述の高い幾何学的圧縮比が可能であれば、どのような形状であってもよく、例えば、天井面及びピストン1の冠面(キャビティ15aを除く部分)の両方が、シリンダ11の中心軸に対して垂直な面で構成されていてもよく、天井面が上記のように三角屋根状をなす一方、ピストン1の冠面(キャビティ15aを除く部分)がシリンダ11の中心軸に対して垂直な面で構成されていてもよい。
図1には1つのみ示すが、シリンダ11毎に2つの吸気ポート18がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の下面(燃焼室17の天井面における吸気側の傾斜面)に開口することで燃焼室17に連通している。同様に、シリンダ11毎に2つの排気ポート19がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の下面(燃焼室17の天井面の排気側の傾斜面)に開口することで燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、シリンダ11内に導入される新気が流れる吸気通路(図示省略)に接続されている。吸気通路には、吸気流量を調整するスロットル弁20が介設しており、エンジン制御器100からの制御信号を受けて、スロットル弁20の開度が調整される。一方、排気ポート19は、各シリンダ11からの既燃ガス(排気ガス)が流れる排気通路(図示省略)に接続されている。排気通路には、図示は省略するが、1つ以上の触媒コンバータを有する排気ガス浄化システムが配置される。
シリンダヘッド13には、吸気弁21及び排気弁22が、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を燃焼室17から遮断(閉)することができるように配設されている。吸気弁21は吸気弁駆動機構により、排気弁22は排気弁駆動機構により、それぞれ駆動される。吸気弁21及び排気弁22は所定のタイミングで往復動して、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を開閉し、シリンダ11内のガス交換を行う。吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、図示は省略するが、それぞれ、クランクシャフトに駆動連結された吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを有し、これらのカムシャフトはクランクシャフトの回転と同期して回転する。また、少なくとも吸気弁駆動機構は、吸気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は機械式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)23を含んで構成されている。尚、VVT23と共に、弁リフト量を連続的に変更可能なリフト可変機構(CVVL(Continuous Variable Valve Lift))を備えるようにしてもよい。
また、シリンダヘッド13には、点火プラグ31が配設されている。この点火プラグ31は、例えばねじ等の周知の構造によって、シリンダヘッド13に取付固定されている。点火プラグ31は、本実施形態では、シリンダ11の中心軸に対し、排気側に傾斜した状態で取付固定されており、その先端部は燃焼室17の天井部に臨んでいる。この点火プラグ31の先端部は、後述のインジェクタ33のノズル口41の近傍に位置する。尚、点火プラグ31の配置はこれに限定されるものではない。本実施形態では、点火プラグ31は、プラズマ点火式のプラグであり、点火システム32はプラズマ発生回路を備える。そして、点火プラグ31は、点火システム32によって放電でプラズマを発生させ、そのプラズマを点火プラグ31の先端から気筒内にジェット状に噴射させて、燃料の点火を行う。また、点火プラグ31は、後述の如く、燃料を自己着火燃焼させる自己着火燃焼運転領域では、燃料の自己着火燃焼をアシストする役割を果たす。点火システム32は、エンジン制御器100からの制御信号を受けて、点火プラグ31が所望の点火タイミングでプラズマを発生するよう、それに通電する。尚、点火プラグ31は、プラズマ点火式のプラグに限らず、一般によく使用されている火花点火式のプラグであってもよい。
シリンダヘッド13におけるシリンダ11の中心軸上には、気筒内(燃焼室17内)に燃料を直接噴射するインジェクタ33が配設されている。このインジェクタ33は、例えばブラケットを使用する等の周知の構造でシリンダヘッド13に取付固定されている。インジェクタ33の先端は、燃焼室17の天井部の中心に臨んでいる。
図2に示すように、インジェクタ33は、気筒内に燃料を噴射するノズル口41を開閉する外開弁42を有する、外開弁式のインジェクタである。ノズル口41は、シリンダ11の中心軸に沿って延びる燃料管43の先端部において、先端側ほど径が大きくなるテーパ状に形成されている。燃料管43の基端側の端部は、内部にピエゾ素子44が配設されたケース45に接続されている。外開弁42は、弁本体42aと、弁本体42aから燃料管43内を通ってピエゾ素子44に接続された連結部42bとを有している。弁本体42aの連結部42b側の部分が、ノズル口41と略同じ形状を有しており、該部分がノズル口41に当接(着座)しているときには、ノズル口41が閉状態となる。このとき、弁本体42aの先端側の部分は、燃料管43の外側に突出した状態となっている。
ピエゾ素子44は、電圧の印加による変形により、外開弁42をシリンダ11の中心軸方向の燃焼室17側に押圧することで、その外開弁42を、ノズル口41を閉じた状態からリフトさせてノズル口41を開放する。このとき、ノズル口41から気筒内に燃料が、シリンダ11の中心軸を中心とするコーン状(詳しくはホローコーン状)に噴射される。そのコーンのテーパ角は、本実施形態では、90°〜100°である(内側の中空部のテーパ角は70°程度である)。そして、ピエゾ素子44への電圧の印加が停止すると、ピエゾ素子44が元の状態に復帰することで、外開弁42がノズル口41を再び閉状態とする。このとき、ケース45内における連結部42bの周囲に配設された圧縮コイルバネ46がピエゾ素子44の復帰を助長する。
ピエゾ素子44に印加する電圧が大きいほど、外開弁42の、ノズル口41を閉じた状態からのリフト量(以下、単にリフト量という)が大きくなる。このリフト量が大きいほど、ノズル口41の開度が大きくなってノズル口41から気筒内に噴射される燃料噴霧のペネトレーションが大きくなる(長くなる)とともに、単位時間当たりに噴射される燃料量が多くなりかつ燃料噴霧の粒径が大きくなる。ピエゾ素子44の応答は速く、後述の第1噴射及び第2噴射を容易に実現することが可能である。但し、外開弁42を駆動する手段としては、ピエゾ素子44には限られない。
燃料供給システム34は、外開弁42(ピエゾ素子44)を駆動するための電気回路と、インジェクタ33に燃料を供給する燃料供給系とを備えている。エンジン制御器100は、所定のタイミングで、リフト量に応じた電圧を有する噴射信号を上記電気回路に出力することで、該電気回路を介してピエゾ素子44及び外開弁42を作動させて、所望量の燃料を、気筒内に噴射させる。上記噴射信号の非出力時(噴射信号の電圧が0であるとき)には、外開弁42によりノズル口41が閉じられた状態となる。このようにピエゾ素子44は、エンジン制御器100からの噴射信号によって、その作動が制御される。こうしてエンジン制御器100は、ピエゾ素子44の作動を制御して、インジェクタのノズル口41からの燃料噴射及び該燃料噴射時におけるリフト量を制御する。
上記燃料供給系には、図示省略の高圧燃料ポンプやコモンレールが設けられており、その高圧燃料ポンプは、低圧燃料ポンプを介して燃料タンクより供給されてきた燃料をコモンレールに圧送し、コモンレールは、その圧送された燃料を、所定の燃料圧力で蓄える。そして、インジェクタ33が作動する(外開弁42がリフトされる)ことによって、上記コモンレールに蓄えられている燃料がノズル口41から噴射される。
ここで、エンジン1の燃料は、本実施形態ではガソリンであるが、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよく、少なくともガソリンを含む燃料(液体燃料)であれば、どのような燃料であってもよい。
エンジン制御器100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
エンジン制御器100は、少なくとも、エアフローセンサ71からの吸気流量に関する信号、クランク角センサ72からのクランク角パルス信号、アクセル・ペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ73からのアクセル開度信号、及び、車速センサ74からの車速信号をそれぞれ受ける。エンジン制御器100は、これらの入力信号に基づいて、例えば、所望のスロットル開度信号、燃料噴射パルス、点火信号、バルブ位相角信号等といった、エンジン1の制御パラメーターを計算する。そして、エンジン制御器100は、それらの信号を、スロットル弁20(スロットル弁20を動かすスロットルアクチュエータ)、燃料供給システム34(上記電気回路)、点火システム32、VVT23等に出力する。
このエンジン1の幾何学的圧縮比εは、18以上40以下とされている。この幾何学的圧縮比εは、特に25以上35以下が好ましい。本実施形態では、エンジン1は圧縮比=膨張比となる構成から、高圧縮比と同時に、比較的高い膨張比を有するエンジン1でもある。尚、圧縮比≦膨張比となる構成(例えばアトキンソンサイクルや、ミラーサイクル)を採用してもよい。
燃焼室17は、図1に示すように、シリンダ11の壁面と、ピストン15の冠面と、シリンダヘッド13の下面(天井面)と、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッドの面と、によって区画形成されている。そして、冷却損失を低減するべく、これらの各面に、断熱層61,62,63,64,65が設けられることによって、燃焼室17が断熱化されている。尚、以下において、これらの断熱層61〜65を総称する場合は、断熱層に符号「6」を付す場合がある。断熱層6は、これらの区画面の全てに設けてもよいし、これらの区画面の一部に設けてもよい。また、図例では、シリンダ壁面の断熱層61は、ピストン15が上死点に位置した状態で、そのピストンリング14よりも上側の位置に設けられており、これにより断熱層61上をピストンリング14が摺動しない構成としている。但し、シリンダ壁面の断熱層61はこの構成に限らず、断熱層61を下向きに延長することによって、ピストン15のストロークの全域、又は、その一部に断熱層61を設けてもよい。また、燃焼室17を直接区画する壁面ではないが、吸気ポート18や排気ポート19における、燃焼室17の天井面側の開口近傍のポート壁面に断熱層を設けてもよい。尚、図1に図示する各断熱層61〜65の厚みは実際の厚みを示すものではなく単なる例示であると共に、各面における断熱層の厚みの大小関係を示すものでもない。
燃焼室17の断熱構造について、さらに詳細に説明する。燃焼室17の断熱構造は、上述の如く、燃焼室17を区画する各区画面に設けた断熱層61〜65によって構成されるが、これらの断熱層61〜65は、燃焼室17内の燃焼ガスの熱が、区画面を通じて放出されることを抑制するため、燃焼室17を構成する金属製の母材よりも熱伝導率が低く設定される。ここで、シリンダ11の壁面に設けた断熱層61については、シリンダブロック12が母材であり、ピストン15の冠面に設けた断熱層62についてはピストン15が母材であり、シリンダヘッド13の天井面に設けた断熱層63については、シリンダヘッド13が母材であり、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッド面に設けた断熱層64,65については、吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ母材である。したがって、母材の材質は、シリンダブロック12、シリンダヘッド13及びピストン15については、アルミニウム合金や鋳鉄となり、吸気弁21及び排気弁22については、耐熱鋼や鋳鉄等となる。
また、断熱層6は、冷却損失を低減する上で、母材よりも容積比熱が小さいことが好ましい。つまり、燃焼室17内のガス温度は燃焼サイクルの進行によって変動するが、燃焼室17の断熱構造を有しない従来のエンジンは、シリンダヘッドやシリンダブロック内に形成したウォータージャケット内を冷却水が流れることにより、燃焼室17を区画する面の温度は、燃焼サイクルの進行にかかわらず、概略一定に維持される。
一方で、冷却損失は、冷却損失=熱伝達率×伝熱面積×(ガス温度−区画面の温度)によって決定されることから、ガス温度と壁面の温度との差温が大きくなればなるほど冷却損失は大きくなってしまう。冷却損失を抑制するためには、ガス温度と区画面の温度との差温は小さくすることが望ましいが、冷却水によって燃焼室17の区画面の温度を概略一定に維持した場合、ガス温度の変動に伴い差温が大きくなることは避けられない。そこで、断熱層6の熱容量を小さくして、燃焼室17の区画面の温度が、燃焼室17内のガス温度の変動に追従して変化するようにすることが好ましい。
上記断熱層6は、例えば、母材上にZrO等のセラミック材料をプラズマ溶射によってコーティングして形成すればよい。このセラミック材料の中には、多数の気孔を含んでいてもよい。このようにすれば、断熱層6の熱伝導率及び容積比熱をより低くすることができる。
また、本実施形態では、図1に示すように、熱伝導率が非常に低くて断熱性に優れかつ耐熱性にも優れたチタン酸アルミニウム製のポートライナ181を、シリンダヘッド13に一体的に鋳ぐるむことによって、吸気ポート18に断熱層を設けている。この構成は、新気が吸気ポート18を通過するときに、シリンダヘッド13から受熱して温度が上がることを抑制乃至回避し得る。これによってシリンダ11内に導入する新気の温度(初期のガス温度)が低くなるため、燃焼時のガス温度が低下し、ガス温度と燃焼室17の区画面との差温を小さくする上で有利になる。燃焼時のガス温度を低下させることは熱伝達率を低くし得るから、そのことによる冷却損失の低減にも有利になる。尚、吸気ポート18に設ける断熱層の構成は、ポートライナ181の鋳ぐるみに限定されない。
本実施形態では、上記の燃焼室17及び吸気ポート18の断熱構造に加えて、気筒内(燃焼室17内)においてガス層による断熱層を形成することで、冷却損失を大幅に低減するようにしている。
具体的には、エンジン制御器100は、エンジン1の気筒内(燃焼室17内)の外周部に新気を含むガス層が形成されかつ中心部に混合気層が形成されるように、圧縮行程においてインジェクタ11のノズル口41から気筒内に燃料を噴射させるべく、燃料供給システム34の電気回路に噴射信号を出力する。すなわち、圧縮行程においてインジェクタ33により気筒内に燃料を噴射させかつその燃料噴霧のペネトレーションを、燃料噴霧が気筒内の外周部まで届かないような大きさ(長さ)に抑えることで、気筒内の中心部に混合気層が形成されかつその周囲に新気を含むガス層が形成されるという、成層化が実現する。このガス層は、新気のみであってもよく、新気に加えて、既燃ガス(EGRガス)を含んでいてもよい。尚、ガス層に少量の燃料が混じっても問題はなく、ガス層が断熱層の役割を果たせるように混合気層よりも燃料リーンであればよい。
上記のようにガス層と混合気層とが形成された状態で点火プラグ31による点火(又は自己着火燃焼のアシスト)を行えば、混合気層とシリンダ11の壁面との間のガス層により、混合気層の火炎がシリンダ11の壁面に接触することがなく、そのガス層が断熱層となって、シリンダ11の壁面からの熱の放出を抑えることができるようになる。この結果、冷却損失を大幅に低減することができる。
尚、冷却損失を低減させるだけでは、その冷却損失の低減分が排気損失に転換されて図示熱効率の向上にはあまり寄与しないところ、このエンジン1では、高圧縮比化に伴う高膨張比化によって、冷却損失の低減分に相当する燃焼ガスのエネルギを、機械仕事に効率よく変換している。すなわち、エンジン1は、冷却損失及び排気損失を共に低減させる構成を採用することによって、図示熱効率を大幅に向上させているということができる。
ここで、エンジン負荷が所定値以下である低負荷領域では、気筒内(燃焼室17内)全体の空気過剰率λが2以上、又は、気筒内におけるガスの燃料に対する重量比G/Fが30以上に設定される。これにより、低負荷領域において、断熱層による断熱化を図って図示熱効率を向上させながら、RawNOxを低減することができる。RawNOx低減の観点からは、上記空気過剰率λ≧2.5がより一層好ましい。また、上記空気過剰率λ=8で図示熱効率がピークになることから、上記空気過剰率λの範囲としては、2≦λ≦8(より好ましくは2.5≦λ≦8)が好ましい。尚、混合気のリーン化は、スロットル弁20を開き側に設定することになるから、ガス交換損失(ポンピングロス)の低減による図示熱効率の向上にも寄与し得る。
一方、上記高負荷領域では、トルク優先により、気筒内全体の空気過剰率λ=1に設定される(混合気層では、空気過剰率λ<1となる)。尚、上記所定値は、エンジン回転数が大きくなるに連れて大きくなってもよく、エンジン回転数に関係なく一定の値であってもよい。
エンジン1は、インジェクタ33により気筒内に噴射された燃料を自己着火燃焼させる自己着火燃焼運転領域を有している。この自己着火燃焼運転領域は、本実施形態では、上記低負荷領域の全体と、上記高負荷領域において全負荷乃至その近傍を除く領域とであるが、これに限るものではない。
エンジン制御器100は、エンジン1が上記自己着火燃焼運転領域にあるときには、インジェクタ33による燃料噴射開始時期を、圧縮行程終期から圧縮上死点にかけての期間内に設定する。本実施形態では、図3の下段に示すように、圧縮行程終期に燃料噴射を開始させる。したがって、エンジン制御器100は、本発明の噴射制御手段を構成することになる。
また、エンジン制御器100は、エンジン1が上記自己着火燃焼運転領域にあるときには、点火プラグ31によるプラズマ点火によって、該プラズマ点火時までに気筒内に噴射された燃料にエネルギーを付与して、燃料の自己着火燃焼をアシストさせる。これにより、そのエネルギーが付与された燃料が昇温して着火し、その着火燃料を基点にして、後に噴射された燃料が連鎖的に着火していく。上記エネルギーの付与は、エンジンのモータリング時におけるクランク角変化(Δθ)に対する気筒内の圧力変化(ΔP)である気筒内圧力上昇率(ΔP/Δθ)が負の最大値となるクランク角時点が、燃料の燃焼質量割合が10%以上90%以下となる燃焼期間(主燃焼期間と呼ばれる)と重なるように、上記燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間内(本実施形態では、圧縮上死点付近)に行われる。したがって、エンジン制御器100及び点火プラグ31は、本発明の着火アシスト手段を構成することになる。
また、上記エネルギーの付与は、燃料の燃焼質量割合が10%となる時期が圧縮上死点後となるように(つまり圧縮上死点後に主燃焼期間が始まるように)行うことが好ましい。
図4に示すように、モータリング時の気筒内圧力上昇率は、圧縮上死点の手前で最大値となり、圧縮上死点で0となり、圧縮上死点後は負の値となり、やがて負の最大値(最小値)となる。このモータリング時の気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点は、幾何学的圧縮比εによって変化するが、幾何学的圧縮比εが18以上40以下であれば、圧縮上死点後4°〜15°CA(図4でハッチングを施した範囲)となる。
図5は、燃焼開始時期を異ならせて燃焼時の気筒内圧力上昇率がどのように変化するかを調べた結果を示す(幾何学的圧縮比εは40である)。燃焼開始時期は、圧縮上死点前20°CA(−20°CA)、圧縮上死点前10°CA(−10°CA)、圧縮上死点(0°CA)、圧縮上死点後10°CA(+10°CA)、及び、圧縮上死点後20°CA(+20°CA)の5種類である。モータリング時の気筒内圧力上昇率は、二点鎖線で示す。燃焼開始が圧縮上死点前であると、モータリング時の気筒内圧力上昇率が大きいクランク角時点で燃焼するため、燃焼時の気筒内圧力上昇率の最大値が大きくなる。これに対し、圧縮上死点で燃焼が開始すると、モータリング時の気筒内圧力上昇率が小さいクランク角時点で燃焼するため、燃焼開始が圧縮上死点前の場合に比べて、燃焼時の気筒内圧力上昇率の最大値がかなり小さくなる。尚、燃焼開始が圧縮上死点からかなり後になる場合も、燃焼時の気筒内圧力上昇率の最大値が小さくなるが、これは燃焼効率が悪化するからである。したがって、上記のように、モータリング時の気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点が、主燃焼期間と重なるように、上記燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間内に、気筒内に噴射された燃料にエネルギーを付与するようにする。
エンジン1が自己着火燃焼運転領域にあるときの燃料噴射は、以下の如く行うことが特に好ましい。すなわち、燃料噴射開始から圧縮上死点(TDC)付近までに所定量の燃料を噴射させる第1噴射を行わせる。この第1噴射による燃料噴射量である上記所定量は、後述の如く、全噴射燃料に対して質量百分率で1%以下と比較的少量に設定することが好ましい。そのために、第1噴射時の外開弁42のリフト量は、後述の第2噴射時の外開弁42のリフト量(但し、第2噴射の初期を除く)よりもかなり小さい。それ故、その燃料噴霧のペネトレーションが小さくて、第1噴射による燃料は、微少混合気塊として点火プラグ31の先端部の近傍に位置する。
続いて、上記第1噴射後に、該第1噴射に対して連続的に残りの燃料を噴射させる第2噴射を行わせる。この第2噴射の初期は、圧縮上死点付近であって、後述の如く自己着火燃焼のアシストが行われる時期であり、このときの外開弁42のリフト量は、第1噴射時よりも小さいが、その後に外開弁42のリフト量が急激に大きくなって、残り全ての燃料が噴射されることになる。
エンジン制御器100は、上記第1噴射末期から上記第2噴射初期にかけての期間内(本実施形態では、圧縮上死点付近(第2噴射の初期))に、点火プラグ31によるプラズマ点火によって、上記第1噴射による燃料(上記微少混合気塊)にエネルギーを付与して、該第1噴射による燃料及び第2噴射による燃料の自己着火燃焼をアシストさせる。このように、第2噴射の初期(多量に噴射する前)にプラズマ点火を行うことで、上記微少混合気塊にエネルギーを集中的に付与することができる。これにより、上記微少混合気塊が急激に昇温して圧縮上死点直後に着火し、この微少混合気塊が着火のトリガーとなって、後続の第2噴射による燃料が連鎖的に着火していく。この結果、燃焼時の気筒内圧力上昇率は、図3の上段のグラフにおいて実線のように変化する(二点鎖線は、モータリング時の気筒内圧力上昇率である)。
本実施形態では、図3の上段のグラフにおいて、燃焼時の気筒内圧力上昇率の変化曲線が、ハッチングを施した範囲に入らないようにすることができる。すなわち、燃焼時の気筒内圧力上昇率がP1を超えると、振動騒音(NVH)レベルが悪化する。また、燃焼が遅すぎると燃焼効率が悪化し、燃焼が早すぎると、気筒内圧力及び温度の上昇によりエミッションの悪化を招くとともに、燃焼効率も悪化する。しかし、本実施形態では、このような問題は生じず、振動騒音(NVH)レベルを低減することができるとともに、エミッションや燃焼効率の悪化を抑制することができる。
ここで、上記第1噴射による燃料(上記微少混合気塊)を、エネルギーの付与開始から所定クランク角後に遅れて着火させるために必要なエネルギーは、上記所定クランク角が小さくなるほど大きくなり、また、上記所定クランク角が一定であれば、上記所定量の全噴射燃料に対する質量割合と上記必要エネルギーとが比例関係となる。つまり、第1噴射による燃料噴射量(上記所定量)を多くすると、微少混合気塊を着火させるためにそれだけ大きいエネルギーが必要になる。一方、プラズマ点火により付与可能なエネルギーは100mJ〜200mJであり、これを考慮すると、上記所定クランク角が例えば5°CA程度として、上記所定量は、全噴射燃料に対して質量百分率で1%以下の量が好ましい。また、火花点火によりエネルギーを付与する場合には、付与可能なエネルギーは35mJ程度であるので、上記所定量は、全噴射燃料に対して質量百分率で0.3%以下が好ましい。
したがって、本実施形態では、エンジン1が自己着火燃焼運転領域にあるときに、燃料噴射開始時期を、圧縮行程終期から圧縮上死点にかけての期間内に設定し、エンジンのモータリング時における気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点が、燃料の燃焼質量割合が10%以上90%以下となる燃焼期間と重なるように、上記燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間内に、気筒内に噴射された燃料にエネルギーを付与して、燃料の自己着火燃焼をアシストするようにしたことにより、燃焼時の気筒内圧力上昇率を小さくすることができて、振動騒音(NVH)レベルを低減することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、第2噴射を、第1噴射に対して連続的な噴射としたが、第1噴射に対して非連続的な噴射としてもよい。すなわち、第1噴射及び第2噴射による分割噴射を行うことになる。この場合も、第1噴射末期から第2噴射初期(第2噴射初期は、膨張行程初期である必要がある)にかけての期間内に、点火プラグ31によるプラズマ点火(又は火花点火)によって、上記第1噴射による燃料にエネルギーを付与すればよいが、第1噴射と第2噴射との間でエネルギーの付与を行うことがより好ましい。
また、上記実施形態では、燃焼室17及び吸気ポート18の断熱構造を採用するとともに、気筒内(燃焼室17内)にガス層による断熱層を形成するようにしたが、燃焼室17及び吸気ポート18の断熱構造を採用しないエンジンや、ガス層による断熱層を形成しないエンジンにも本発明を適用することができる。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、インジェクタにより気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含む燃料を自己着火燃焼させる自己着火燃焼運転領域を有する直噴ガソリンエンジンに有用である。
1 直噴ガソリンエンジン
11 シリンダ(気筒)
31 点火プラグ(着火アシスト手段)
33 インジェクタ
100 エンジン制御器(噴射制御手段)(着火アシスト手段)

Claims (5)

  1. インジェクタにより気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含む燃料を自己着火燃焼させる自己着火燃焼運転領域を有する直噴ガソリンエンジンであって、
    上記エンジンの幾何学的圧縮比が18以上40以下であり、
    上記インジェクタによる燃料の噴射を制御する噴射制御手段と、
    上記エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、上記インジェクタにより気筒内に噴射された燃料にエネルギーを付与して、燃料の自己着火燃焼をアシストする着火アシスト手段とを備え、
    上記噴射制御手段は、上記エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、燃料噴射開始時期を、圧縮行程終期から圧縮上死点にかけての期間内に設定するように構成され、
    上記着火アシスト手段は、上記エンジンのモータリング時におけるクランク角変化に対する気筒内の圧力変化である気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点が、燃料の燃焼質量割合が10%以上90%以下となる燃焼期間と重なるように、上記燃料噴射開始後から膨張行程初期にかけての期間内に、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成されていることを特徴とする直噴ガソリンエンジン。
  2. 請求項1記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記エンジンのモータリング時における上記気筒内圧力上昇率が負の最大値となるクランク角時点は、圧縮上死点後4°〜15°CAであることを特徴とする直噴ガソリンエンジン。
  3. 請求項1又は2記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記着火アシスト手段は、燃料の燃焼質量割合が10%となる時期が圧縮上死点後となるように、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成されていることを特徴とする直噴ガソリンエンジン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記噴射制御手段は、上記エンジンが上記自己着火燃焼運転領域にあるときに、所定量の燃料を噴射させる第1噴射を行わせるとともに、該第1噴射後に、該第1噴射に対して連続的又は非連続的に残りの燃料を噴射させる第2噴射を行わせるように構成され、
    上記着火アシスト手段は、上記第1噴射末期から上記第2噴射初期にかけての期間内に、該第1噴射による燃料に上記エネルギーを付与するように構成されていることを特徴とする直噴ガソリンエンジン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記着火アシスト手段は、プラズマ点火によって、上記気筒内に噴射された燃料に上記エネルギーを付与するように構成されていることを特徴とする直噴ガソリンエンジン。
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