JP2013054983A - 放電電極とこれを用いた活性種発生ユニットおよび活性種発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は活性種の発生量の減少を抑制する放電電極とこれを用いた活性種発生ユニットおよび活性種発生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】半導電被覆針である放電電極15を、セラミック製絶縁体20としてのアルミナの周囲を覆うように酸化物の導電材22と構成材23としてのガラスを含有する中空円筒状またはキャップ状の半導電体21を構成したことにより、コロナ放電による放電電極の先端の磨耗を抑制し、経時的に活性種の発生を安定させることができる。
【選択図】図5
【解決手段】半導電被覆針である放電電極15を、セラミック製絶縁体20としてのアルミナの周囲を覆うように酸化物の導電材22と構成材23としてのガラスを含有する中空円筒状またはキャップ状の半導電体21を構成したことにより、コロナ放電による放電電極の先端の磨耗を抑制し、経時的に活性種の発生を安定させることができる。
【選択図】図5
Description
本発明は、室内空間の除菌や脱臭等を行う活性種発生装置に関するものである。
近年、空気中にラジカルなどの活性種を供給し、この活性種による清浄化作用により、この空気を清浄化する活性種発生装置が開発されている。
従来のこの種、活性種発生装置は、本体ケースと、放電電極と、この放電電極に対向する対向電極と、これらの放電電極と対向電極とに電圧を印加する電源部と、対向電極の表面に設けた吸着手段とを備えた構成であった(例えば特許文献1参照)。
上記従来の活性種発生装置では、放電電極と対向電極間に電圧を印加することで、コロナ放電を行わせ、これによって吸着手段に吸着した水分を分解し、活性種を発生させるようになっていた。
このような構成において、放電電極が針状の金属電極の場合、コロナ放電により、活性種が発生すると同時に金属の微粒子が空中に飛び出したり、酸化による電気腐食が発生したりして、電極の先端が磨耗して変形し、活性種の発生量が減少するという課題があった。
そこで、本発明は、活性種の発生量の減少を抑制する放電電極とこれを用いた活性種発生ユニットおよび活性種発生装置を提供することを目的とするものである。
そして、この目的を達成するために本発明は、柱状のセラミック製絶縁体の周囲を覆うように酸化物の導電材とガラスを含有する中空筒状またはキャップ状の半導電体を構成したことを特徴とする放電電極であり、これにより所期の目的を達成するものである。
以上のように本発明は、柱状のセラミック製絶縁体の周囲を覆うように酸化物の導電材とガラスを含有する中空筒状またはキャップ状の半導電体を構成したことを特徴とする放電電極であり、コロナ放電による放電電極の先端の磨耗を抑制し、活性種の発生を安定させることができる。
すなわち、放電電極が針状の金属電極の場合は酸化による電気腐食が発生し、電極の先端が磨耗して変形するのに対し、本願の半導電体を構成する導電材は酸化物であるため、酸化されにくく電気腐食も発生しにくいので、電極の先端の磨耗による変形を起こしにくくできる。
つまり、金属電極は導電性の金属が酸化されると絶縁性に変わる、すなわち導電率が低下するため、放電電流が低下してしまうが、本願の半導電体を構成する酸化物の導電材は導電率が低下しにくく、放電電流も低下しにくいため、経時的に活性種の発生を安定させることができるものである。
また、半導電体が酸化物の導電材とガラスを含有するため、仮に一部の導電材が劣化したとしてもガラスが半導電体の構造を安定化させているため、電極が磨耗して変形することがなく、活性種の発生を安定させることができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1には、活性種発生装置1の外観図が示されている。この活性種発生装置1は、室内の空気中にラジカルなどの活性種を供給することで、この活性種による清浄化作用により、空気を清浄化するものである。図1では、風にのせて衣類やカーテンに活性種を放出することにより、衣類に付着したにおいの脱臭や除菌などの効果を発現させている。
図2は、図1における活性種発生装置1の断面を示している。
活性種発生装置1は、吸気口3と排気口4を有する本体ケース5と、この本体ケース5内に設けられた活性種発生ユニット6と、送風手段7と、電源部2とを備えている。
本体ケース5は、略箱形状で天面に排気口4を備え、側面に吸気口3を設けている。この吸気口3に対向して、送風手段7を備えている。この送風手段7は、スクロール形状のケーシング8と、このケーシング8内に設けた電動機9と、この電動機9によって回転する羽根10とから形成している。
ケーシング8は、側面には円形状の吸込口11を、天面には吐出口12を備えている。ケーシング8の吸込口11が、本体ケース5の吸気口3に対向している。ケーシング8の吐出口12と、本体ケース5の排気口4との間の風路に活性種発生ユニット6を設けている。室内の空気は、送風手段7によって、本体ケース5の吸気口3から吸い込まれ、活性種発生ユニット6を介して、排気口4から室内へ送風される。
なお、図2では活性種発生ユニット6を送風経路に沿って上方に開口部を備える位置にしているが、発生する活性種が風にのって室内に送風されればよく、活性種発生ユニットの位置や向きはこの場所には限定されない。例えば活性種発生ユニット6自体は本体ケース5内の送風経路外に設置し、活性種の放出口を送風経路に備える配置でもよい。活性種発生ユニット6を送風手段7の上流に配置してもよい。また、活性種発生ユニット6を複数備えてもよい。
活性種発生ユニット6は、図3に示すように、筒形状のケース部13と、このケース部13の一端開口部(図3の下方)からこのケース部13内に、その先端側を挿入した棒形状の放電電極15と、放電電極15の先端側に所定間隔をおいて対向配置した平板形状の絶縁性基板14とを備えている。絶縁性基板14の放電電極15に対向する面には、半導電性の皮膜が備えられている。
図4に示すように、絶縁性基板14は、放電電極15の先端側に対向する部分に円形の孔である孔部16を備えている。
絶縁性基板14の放電電極15側には、リング形状の導電部17を備え、この導電部17の角部には、対向電極18を有している。なお、絶縁性基板14は、セラミック基板であっても、フッ素などの樹脂基板であっても良い。セラミック基板として、シリカ、アルミ、マグネシウムのうちいずれか1つを含む基板であっても、アルミナ基板であっても良い。オゾンやラジカルで腐食されにくい無機系のものあるいはフッ素樹脂であれば良いためである。また、対向電極18を設けず、導電部17を対向電極としてもよい。
なお、通常セラミックは絶縁体であり表面抵抗は、1010Ω/□以上であるが、本発明では表面に半導電性の皮膜を備えているため、表面抵抗は106から1010Ω/□となっている。半導電性の皮膜を備える方法としては、適度な導電性を有するインキを印刷して乾燥させる方法、適度な導電性を有する材料を蒸着する方法などが挙げられ、前記表面抵抗の範囲内に制御できれば、特に方法は限定されない。
導電部17は、図3、図4に示すように、絶縁性基板14とケース部13との間に位置するものである。導電部17および対向電極18は、SUSなどのステンレス、アルミ、金、銀、銅などで形成されている。なお、これらに限られること無く、導電性の素材であれば良い。導電部17および対向電極18の表面抵抗は、10-1Ω/□以下であることが望ましい。
これら絶縁性基板14と、導電部17とは、筒形状のケース部13の他端開口部に嵌る固定蓋19によって、ケース部13に固定されるものである。対向電極18と放電電極15には電源部2から電圧を印加する構成である。
なお、放電電極15の放電を受ける電極として、半導電性の皮膜を備えた絶縁性基板14および導電部17および対向電極18からなる構成を説明したが、電極として対向電極18のみを用いてもよい。すなわち、絶縁性基板14と同形状の孔空き平板状の導電性金属を使って対向電極18としてもよい。
本実施形態における特徴は、放電電極15が、図5に示すように、円柱状のセラミック製絶縁体20の周囲を覆うように、酸化物の導電材22と構成材23としてのガラスを含有する中空円筒状の半導電体21を構成している点である。
図5では、円柱状のセラミック製絶縁体20の先端も半導電体21で覆っているが、覆わなくても、放電は半導電体21の先端部以外の導電材22から発生するため、その作用効果はほとんど変わらない。
なお、放電電極15は、別の形状として図6に示すように、セラミック平板を棘状(三角柱状)に切断したセラミック製絶縁体20の周囲を覆うように、酸化物の導電材22と構成材23としてのガラスを含有するキャップ状の半導電体21を構成してもよい。
セラミック製絶縁体20として、ジルコニア、チタニア、コージィエライト、SIC、AlN等のセラミックが使用可能であるが、入手性や加工性からアルミナが好ましい。
酸化物の導電材22としては、酸化スズが酸化に対する安定性と入手の容易さの理由で好ましく、他にはZnO、PbO2,CdO,In2O3、Tl2O3、Ga2O3、Fe3O4などの酸化物導電材およびこれらの複合酸化物などが使用可能である。導電材としての酸化スズ(SnO2)にSbなどをドープしたものを用いてもよい。
構成材23としては、ガラス粉末などの化学的に不活性で耐酸化性のある材料が好ましい。アルミナやジルコニアの粉末あるいはフッ素樹脂粒子などを用いてもよい。構成材23の大きさは、形状を安定化させるために導電材22よりも大きいほうが好ましく、導電材の2〜100倍程度の大きさにすると良い。
半導電体21として導電材22と構成材23としてのガラスの構成割合は、1:4〜1:1、すなわち導電材22が20〜50%、ガラスが80〜50%が好ましく、強度面から構成材23としてのガラスは50%以上必要で、半導電性、すなわち表面抵抗率を106〜1010Ω/□とするためには、導電材22が20%以上必要となる。
放電電極15の製造方法は、例えば0.03μmの酸化スズとガラスの粉末を適度な溶媒を加えて混合し、作成した半導電性インキを絶縁性の基板に印刷し、ガラスが溶融する温度まで加熱して、ガラス中に導電材が分散した状態を作る方法などが挙げられる。また、酸化スズとガラスと接着剤を混合して作成したインキに、絶縁性の基板をディップして乾燥させる方法などが挙げられる。
例えば、外径としてφ1mmのアルミナ棒を導電性のインキにディップ後、余剰液を除去した後、ガラスが溶融する700℃以上の温度で焼成することにより、外径φ1.2mm程度の放電電極15としての半導電被覆針を製造することができる。
以上の構成において、放電電極15にプラスの電圧を印加した場合について説明を行う。図7のように、この放電電極15に、電源部2により放電電圧をプラス約3〜10KVで印加を行うと、放電電極15表面に強い電界が形成される。放電電極15にプラスの高電圧が印加されているため、空気中に存在する遊離電子が流れ込む。このとき、対向電極18は、マイナス状態となっているので、その結果、電子が移動することで、対向電極18から放電電極15へ電子が流れる。この状態がコロナ放電であって、このコロナ放電の力でOHラジカル(活性種の一例)が発生する。
更に詳細に説明すると、放電電極15にプラスの高電圧を印加してプラスコロナ放電を行うと、対向電極18中の電子は、導電部17から絶縁性基板14の表面を被覆する半導電性皮膜を介して、放電電極15に強い力で引き寄せられるため、電子が高速で移動する。電子が、導電部17および半導電性皮膜の近くに有る酸素分子と衝突すると、酸素分子に電子が一つ増えた状態の酸素分子の陰イオンが発生する。その後、酸素分子陰イオンが、空気中の水分子と反応をすることで、OHラジカルなどの活性種を発生する。
このコロナ放電による経時変化、すなわち放電電極15の先端の磨耗に着目したのが本願の発明であり、半導電被覆針である放電電極15を、セラミック製絶縁体20としてのアルミナ棒の周囲を覆うように酸化物の導電材22と構成材23としてのガラスを含有する中空円筒状の半導電体21を構成したことにより、コロナ放電による放電電極の先端の磨耗を抑制し、活性種の発生を安定させることができる。
すなわち、放電電極15が針状の金属電極の場合は酸化による電気腐食が発生し、電極の先端が磨耗して変形するのに対し、本実施の形態の半導電体21を構成する導電材22は酸化スズ、すなわち酸化物であるため、酸化されにくく電気腐食も発生しにくいので、電極の先端の磨耗による変形を起こしにくくできる。
つまり、金属電極は導電性の金属が酸化されると、電気抵抗が変化して徐々に絶縁性に変わる、すなわち導電率が低下するため、放電電流が低下してしまうが、本実施の形態の半導電体21を構成する酸化物の導電材22は導電率が低下しにくく、放電電流も低下しにくいため、経時変化による活性種の発生の低下を抑制できるものである。
また、従来用いられてきた放電電極15が針状の金属電極の場合は、酸化による電気腐食で電極の先端が磨耗して、鋭利な針先端あるいは棘状の先端角部が丸く短くなり、放電電極と導電材の距離が長くなるため放電量が徐々に低下して、活性種の発生量が減少するという課題があった。本発明においては、半導電体が酸化物の導電材とガラスを含有するため、仮に一部の導電材が劣化したとしてもガラスが半導電体の構造を安定化させているため、電極全体が磨耗して変形することがない。その結果、放電量の変化が少なく、経時的に活性種の発生を安定させることができるものである。
なお、本実施の形態では、セラミック製絶縁体20を円柱状、半導電体21を中空円筒状としたが、セラミック製絶縁体20を角柱状、半導電体21を中空角筒状としても、その作用効果には差異はないが、製造面から円柱状、中空円筒状が製造しやすく、材料も低減でき、好ましい。
以上のように本発明は、柱状のセラミック製絶縁体の周囲を覆うように酸化物の導電材とガラスを含有する中空筒状の半導電体を構成したことを特徴とする放電電極であり、コロナ放電による放電電極の先端の磨耗を抑制し、活性種の発生を安定させることができる。
すなわち、放電電極が針状の金属電極の場合は酸化による電気腐食が発生し、電極の先端が磨耗して変形するのに対し、本願の半導電体を構成する導電材は酸化物であるため、酸化されにくく電気腐食も発生しにくいので、電極の先端の磨耗による変形を起こしにくくできる。
つまり、金属電極は導電性の金属が酸化されると絶縁性に変わる、すなわち導電率が低下するため、放電電流が低下してしまうが、本願の半導電体を構成する酸化物の導電材は導電率が低下しにくく、放電電流も低下しにくいため、経時的に活性種の発生を安定させることができるものである。
したがって、空気清浄機や活性種発生装置としての活用が期待される。
1 活性種発生装置
2 電源部
3 吸気口
4 排気口
5 本体ケース
6 活性種発生ユニット
7 送風手段
8 ケーシング
9 電動機
10 羽根
11 吸込口
12 吐出口
13 ケース部
14 絶縁性基板
15 放電電極
16 孔部
17 導電部
18 対向電極
19 固定蓋
20 セラミック製絶縁体
21 半導電体
22 導電材
23 構成材
2 電源部
3 吸気口
4 排気口
5 本体ケース
6 活性種発生ユニット
7 送風手段
8 ケーシング
9 電動機
10 羽根
11 吸込口
12 吐出口
13 ケース部
14 絶縁性基板
15 放電電極
16 孔部
17 導電部
18 対向電極
19 固定蓋
20 セラミック製絶縁体
21 半導電体
22 導電材
23 構成材
Claims (8)
- 柱状のセラミック製絶縁体の周囲を覆うように酸化物の導電材とガラスを含有する中空筒状またはキャップ状の半導電体を構成したことを特徴とする放電電極。
- セラミックはアルミナであることを特徴とする請求項1記載の放電電極。
- 酸化物は酸化スズであることを特徴とする請求項1または2記載の放電電極。
- 半導電体は、酸化物の導電材よりガラスを多く含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の放電電極。
- セラミック製絶縁体を円柱状とし、半導電体を円筒状としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の放電電極。
- 筒形状のケース部と、
このケース部の一端開口部からこのケース部内に、その先端側を挿入した請求項1から5のいずれか一つに記載の放電電極と、
前記放電電極の先端側に所定間隔をおいて対向配置した導電部とを備え、
前記導電部は、前記放電電極の先端側に対向する部分に配置した孔部を有し、
前記導電部と前記放電電極には電源部から電圧を印加してコロナ放電により活性種を発生させる活性種発生ユニット。 - 導電部の、放電電極の反対側に、表面に半導電性の被覆を備えた絶縁性基板を設けたことを特徴とする請求項6記載の活性種発生ユニット。
- 吸気口と排気口を有する本体ケースと、
この本体ケース内に送風手段と請求項6または7記載の活性種発生ユニットとを設け、
前記送風手段により前記本体ケースの吸気口から吸込んだ空気を、前記活性種発生ユニットに送り、
前記活性種発生ユニットで発生した活性種を含んだ空気を前記排気口から吹出す構成としたことを特徴とする活性種発生装置。
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JP2011193561A JP2013054983A (ja) | 2011-09-06 | 2011-09-06 | 放電電極とこれを用いた活性種発生ユニットおよび活性種発生装置 |
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WO2021256513A1 (ja) * | 2020-06-17 | 2021-12-23 | 株式会社松本技研 | 電子装置、及び電子装置の製造方法 |
-
2011
- 2011-09-06 JP JP2011193561A patent/JP2013054983A/ja not_active Withdrawn
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WO2021256513A1 (ja) * | 2020-06-17 | 2021-12-23 | 株式会社松本技研 | 電子装置、及び電子装置の製造方法 |
JP2021197318A (ja) * | 2020-06-17 | 2021-12-27 | 株式会社松本技研 | 電子装置、及び電子装置の製造方法 |
JP7202575B2 (ja) | 2020-06-17 | 2023-01-12 | 株式会社松本技研 | 電子装置、及び電子装置の製造方法 |
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