JP2013054323A - 偏光ガラス、偏光ガラス構造体、偏光ガラス組立体及び光アイソレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光ガラスの偏光軸が異なる場合に、偏光ガラスに目印の傷などをつけることなくこれを簡単に見分けられるようにする。
【解決手段】偏光ガラス表面の可視光領域における分光反射率曲線を、この偏光ガラスの偏光軸の方向に応じてそれぞれ異なるように構成したことにより、この偏光ガラスに光を当てて目視したときに、偏光軸に対応して互いにその色あいが異なるようにみえるようにすることによって、この色合いの違いにより偏光軸の違いを区別できるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】偏光ガラス表面の可視光領域における分光反射率曲線を、この偏光ガラスの偏光軸の方向に応じてそれぞれ異なるように構成したことにより、この偏光ガラスに光を当てて目視したときに、偏光軸に対応して互いにその色あいが異なるようにみえるようにすることによって、この色合いの違いにより偏光軸の違いを区別できるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、通過する光を直線偏光にする偏光ガラス、その偏光ガラスを用いた偏光ガラス構造体、偏光ガラス組立体及び光アイソレータに関する。
ガラス中に形状異方性を有する金属微粒子、例えば、銀粒子や銅粒子が配向・分散されたガラスは、その金属の光吸収波長帯が入射偏光方向によって異なるために偏光子になることが知られている。なお、ここで、形状異方性とは、縦寸法と横寸法とが異なることをいい、配向とは、多数の形状異方性粒子の長手方向がそろって特定の方向を向いていることをいい、分散とは、形状異方性粒子が互いに分離して配置されていることをいう。
形状異方性金属微粒子を分散させた偏光ガラスの製造方法は、例えば特開平5−208844号公報(特許文献1)に詳細に記載されており、その製造工程は以下に示すように大別される。
〈1〉塩化第1銅を含むガラス材料を所望の組成になるように調合し、それ等を約1450℃で溶融した後室温まで除冷する。
〈2〉その後、熱処理を施すことにより、塩化第一銅の微粒子をガラス中に析出させる。
〈3〉塩化第一銅の微粒子を析出させた後、機械加工により適当な形状を有するプリフォームを作製する。
〈4〉プリフォームを所定の条件で延伸し、塩化第一銅の針状微粒子を得る。
〈5〉延伸されたガラスを水素雰囲気中で還元することにより、針状の金属銅微粒子を得る。
〈1〉塩化第1銅を含むガラス材料を所望の組成になるように調合し、それ等を約1450℃で溶融した後室温まで除冷する。
〈2〉その後、熱処理を施すことにより、塩化第一銅の微粒子をガラス中に析出させる。
〈3〉塩化第一銅の微粒子を析出させた後、機械加工により適当な形状を有するプリフォームを作製する。
〈4〉プリフォームを所定の条件で延伸し、塩化第一銅の針状微粒子を得る。
〈5〉延伸されたガラスを水素雰囲気中で還元することにより、針状の金属銅微粒子を得る。
上述のような偏光ガラスは、光アイソレータを構成する偏光子としても用いられる。この光アイソレータは、ガーネット等からなるファラデーローテータの両側に偏光軸が互いに45°なす偏光ガラスを接合し、さらに、ファラデーローテータに磁界をかける磁石を設けたものである(特許文献1参照)。
ここで、上述の偏光ガラスを用いて光アイソレータを製造する際には、例えば、偏光軸が0°の偏光ガラスと45°の偏光ガラスとの2種類の偏光ガラスを11mm角の大きさにしたものを用意し、0°の偏光ガラスをやはり11mm角のファラデーローテータの決められた一方の側に接合し、45°の偏光ガラスを前記ファラデーローテータの決められた他方の側に接合する。しかる後、これら接合済みのものを1mm角未満のサイズに切断し、次いで、これら1mm角未満のサイズのものそれぞれを磁石内に組み込んで光アイソレータを製造している。
この場合、ファラデーローテータの両面に偏光ガラスが接合された1mm角未満のサイズのものを磁石内に組み込む際、いずれの面が0°の偏光軸の面で、いずれの面が45°の面なのかを確認し、各々を決められた光の入射面、出射面に配置した上で組み込む必要がある。
光の入射面、出射面の区別をするために、従来は、入射面用の偏光ガラスか又は出射面用の偏光ガラスのいずれか一方の適当な場所、例えば、使用に支障のない端部等に微小なカットを入れること等が行われていた。
しかしながら、偏光ガラスにカットを入れるという方法は、カットを入れるためのスペースをあらかじめ確保しておく必要があり、材料のロスにつながっていた。さらに、カットした箇所からチッピングが生じ、歩留まりを低下させる原因の1つと成っていた。
偏光ガラスにカットを入れる方法は、材料のロス、歩留まりの悪化から、偏光ガラスのコストをアップさせる問題を有していた。
偏光ガラスにカットを入れる方法は、材料のロス、歩留まりの悪化から、偏光ガラスのコストをアップさせる問題を有していた。
本発明は、上述の背景のもとでなされたものであり、材料のロスやチッピングを生じさせる虞なしに、入射面、出射面の区別を目視で簡単にできるようにした偏光ガラス、偏光ガラス構造体、偏光ガラス組立体およびこれらを使用した光アイソレータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1)第1の手段に係る偏光ガラスは、組合せて偏光ガラス組立体に使用され、入射される光を直線偏光にする、異なる固有の偏光軸方向を有する複数の偏光ガラスのうちの1つの偏光ガラスであって、前記1つの偏光ガラスの少なくとも一部の表面は、前記固有の偏光軸方向に応じて、固有の可視光領域における分光反射率曲線を有する。この構成により、表面を反射光の色で認識できるようになる。
(2)第2の手段に係る偏光ガラスの分光反射率曲線は、他の前記複数の偏光ガラスの少なくとも一部の表面が有する分光反射率曲線との相違が、色差ΔEab*で10以上である。この構成により、表面からの反射光の色を目視で認識できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である(納谷嘉信著『産業色彩学』(朝倉書店))。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
本発明における、色差ΔEab*は、以下、
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2」
で、定義される値である、とともに
L1*、L2*、a1*、a2*、b1*、b2*は、既知の2つの色1,2をそれぞれ表色系L*、a*、b*の値として表したものである。ここで、表色系L*、a*、b*は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した表色系であって、
L*、=116(Y/Yn)1/3−16
a*、=500[(X/Xn)1/3−(Y/Yn)1/3]
b*=200[(Y/Yn)1/3−(Z/Zn)1/3]
なお、X/Xn、Y/Yn、Z/Znはいずれも>0.008856
(ここで、X=Y(x/y)、Y=Y、Z=Y(1−x−y)/yであって、x,yはいわゆる色度座標のx,yであり、Yは明るさを表す。)
で表されるものであり、既知の2つの色1,2では、上記式のx,y、Yがそれぞれ既知であって、X1、Y1、Z1、X2、Y2、Z2の値が既知のものである。
(3)第3の手段に係る偏光ガラスの表面は、光の入射面、出射面のうち少なくとも何れかである。この構成により、表面を反射光の色で認識できる。
(4)第4の手段に係る偏光ガラスに入射される光は、赤外領域の光である。この構成により、光通信などで使用される赤外半導体レーザーが発信する赤外光を制御できる様になる。
(5)第5の手段に係る偏光ガラスは、表面に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されている。この構成により、目的とする波長域の光の反射を抑制し、偏光ガラスの光の入射効率、出射効率を高めることができる。なお、この反射防止膜としては、反射率0.6%以下が透過光を確保する上で必要であり、より好ましくは、0.4%以下が望ましい。
(6)第6の手段に係る偏光ガラスの反射防止膜の反射率は、波長1250nm〜1650nmにおいて0.6%以下である。この構成により、波長1250〜1650nmの光の反射を抑制し、偏光ガラスの光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(7)第7の手段に係る偏光ガラスの多層構造を有する反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする分光反射率曲線を得るようにしたものである。この構成により、反射防止膜の反射率を低くすることができ、反射防止膜が設けられた偏光ガラスの光の入射効率、出射効率をより高めることができる。
(8)第8の手段に係る偏光ガラスは、組合せて偏光ガラス構造体に使用される複数の偏光ガラスのうちの入出射面のいずれかを構成する1つの偏光ガラスであって、前記入出射面いずれかの表面は、入射面、出射面のいずれかを識別可能とするよう、固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、前記分光反射率曲線は、他の前記複数の偏光ガラスの少なくとも一部の表面が有する分光反射率曲線との相違が、色差ΔEab*で10以上である。この構成により、偏光軸方向が同じ偏光ガラスを用いた場合においても、反射光の色を目視で容易に識別できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。また、各変数は、本発明の第2の側面で説明した変数と同じである。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
(9)第9の手段に係る偏光ガラス構造体は、入出射面を備え、複数の光学材料が光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成される偏光ガラス構造体であって、入出射面の表面は、入射面、出射面のそれぞれを識別可能とするよう、それぞれ固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、これら分光反射率曲線の示す相違は、色差ΔEab*で、10以上である。この構成により、反射光の色を目視で容易に識別できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。また、各変数は、本発明の第2の側面で説明した変数と同じである。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
ここで、本発明に係る偏光ガラス構造体は、前述したとおり、入出射面を備え、複数の光学材料が光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成され、より具体的には、少なくとも入出射面にそれぞれ偏光軸方向を有する偏光ガラスが配され、これらの偏光ガラスは、相互に必ずしも偏光軸方向が異ならない場合においても、前述した固有の反射率曲線を有し、相互に前述した色差ΔEab*を有するものである。
さらに偏光ガラス構造体は、入出射面に配される2片の偏光ガラスに限定されることなく、例えば、さらに1片、2片を加えて、ガーネット膜や液晶エンジンなどの光学材料を挟み込むようにして、光学的に積層して構成することができる。なお、光学的に積層するとは、偏光ガラスや光学材料を接着剤等を用いて固着したり、光学接着や熱融着により接合したり、枠体などを用いて機械的に固定することにより構成することを示す。
(10)第10の手段に係る偏光ガラス構造体の入出射面の少なくとも一方が、1mm角未満の断面を有し、前記分光反射率曲線のそれぞれが示す相違は、色差ΔEab*で15以上。この構成により、偏光ガラス構造体の入出射面が小さくとも、入射面、出射面を、目視で容易に識別できるようになる。
(11)第11の手段に係る偏光ガラス構造体は、入出射面の少なくとも一方に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されている。この構成により、偏光ガラス構造体の入射面、出射面での反射を抑制し、光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(12)第12の手段に係る偏光ガラス構造体の多層構造を有する反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする分光反射率曲線を得るようにしたものである。この構成により、反射防止膜の反射率を低くすることができ、反射防止膜が設けられた光デバイスの光の入射効率、出射効率をより高めることができる。
(13)第13の手段に係る偏光ガラス構造体を構成する複数の光学材料は、偏光軸方向の異なる複数の偏光ガラスを含む。
(14)第14の手段に係る偏光ガラス組立体は、異なる偏光軸方向をそれぞれ有し、入射される光を直線偏光にする複数の偏光ガラスと光学材料とが光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成される偏光ガラス組立体であって、それぞれの偏光ガラスの少なくとも一部の表面は、異なる偏光軸方向に応じて固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、これら分光反射率曲線のそれぞれが示す相違は、色差ΔEab*で10以上である。この構成により、偏光ガラス組立体の入射面、出射面を、目視で容易に識別できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。また、各変数は、本発明の第2の側面で説明した変数と同じである。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
ここで、本発明に係る偏光ガラス組立体は、前述したとおり、異なる偏光軸方向をそれぞれ有し、入射される光を直線偏光にする複数の偏光ガラスと光学材料とが光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成され、より具体的には、少なくとも2片の偏光ガラスは、この組立体の最表面に配され、それら一部の表面は、異なる偏光軸方向に応じて固有の可視光領域における分光反射率曲線を有する。これらの偏光ガラスは、相互に偏光軸方向が異なる場合、前述したそれぞれ固有の反射率曲線を有し、相互に前述した色差ΔEab*を有するものである。
さらに偏光ガラス組立体は、最表面に配される2片の偏光ガラスに限定されることなく、例えば、さらに1片、2片を加えて、ガーネット膜や液晶エンジンなどの光学材料を挟み込むようにして、光学的に積層して構成することができる。なお、光学的に積層するとは、偏光ガラスや光学材料を接着剤等を用いて固着したり、光学接着や熱融着により接合したり、枠体などを用いて機械的に固定することにより構成することを示す。
(15)第15の手段に係る偏光ガラス組立体は、複数の偏光ガラスが、それぞれ1mm角未満のサイズを有し、分光反射率曲線のそれぞれの示す相違は、色差ΔEab*で15以上である。この構成により、偏光ガラス組立体の入出射面が小さくとも、入射面、出射面を、目視で容易に識別できるようになる。
(16)第16の手段に係る偏光ガラス組立体の表面は、光の入射面、出射面のうち少なくとも何れかである。この構成により、表面を反射光の色で認識できる。
(17)第17の手段に係る偏光ガラス組立体に入射される光は、赤外領域の光である。この構成により、偏光ガラス組立体によって、光通信などで使用される赤外半導体レーザーが発信する赤外光を制御することができる様になる。
(18)第18の手段に係る偏光ガラス組立体のそれぞれの表面に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されている。この構成により、目的とする波長域の光の反射を抑制し、偏光ガラス組立体の光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(19)第19の手段に係る偏光ガラス組立体の前記反射防止膜の反射率が、波長1250nm〜1650nmにおいて0.6%以下である。この構成により、波長1250〜1650nmの光の反射を抑制し、偏光ガラス組立体の光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(20)第20の手段に係る偏光ガラス組立体の多層構造を有する反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする前記分光反射率曲線を得るようにしたものである。この構成により、反射防止膜の反射率を低くすることができ、反射防止膜が設けられた偏光ガラス組立体の光の入射効率、出射効率をより高めることができる。
(21)第21の手段に係る光アイソレータは、複数の偏光ガラスを搭載する。
(1)第1の手段に係る偏光ガラスは、組合せて偏光ガラス組立体に使用され、入射される光を直線偏光にする、異なる固有の偏光軸方向を有する複数の偏光ガラスのうちの1つの偏光ガラスであって、前記1つの偏光ガラスの少なくとも一部の表面は、前記固有の偏光軸方向に応じて、固有の可視光領域における分光反射率曲線を有する。この構成により、表面を反射光の色で認識できるようになる。
(2)第2の手段に係る偏光ガラスの分光反射率曲線は、他の前記複数の偏光ガラスの少なくとも一部の表面が有する分光反射率曲線との相違が、色差ΔEab*で10以上である。この構成により、表面からの反射光の色を目視で認識できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である(納谷嘉信著『産業色彩学』(朝倉書店))。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
本発明における、色差ΔEab*は、以下、
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2」
で、定義される値である、とともに
L1*、L2*、a1*、a2*、b1*、b2*は、既知の2つの色1,2をそれぞれ表色系L*、a*、b*の値として表したものである。ここで、表色系L*、a*、b*は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した表色系であって、
L*、=116(Y/Yn)1/3−16
a*、=500[(X/Xn)1/3−(Y/Yn)1/3]
b*=200[(Y/Yn)1/3−(Z/Zn)1/3]
なお、X/Xn、Y/Yn、Z/Znはいずれも>0.008856
(ここで、X=Y(x/y)、Y=Y、Z=Y(1−x−y)/yであって、x,yはいわゆる色度座標のx,yであり、Yは明るさを表す。)
で表されるものであり、既知の2つの色1,2では、上記式のx,y、Yがそれぞれ既知であって、X1、Y1、Z1、X2、Y2、Z2の値が既知のものである。
(3)第3の手段に係る偏光ガラスの表面は、光の入射面、出射面のうち少なくとも何れかである。この構成により、表面を反射光の色で認識できる。
(4)第4の手段に係る偏光ガラスに入射される光は、赤外領域の光である。この構成により、光通信などで使用される赤外半導体レーザーが発信する赤外光を制御できる様になる。
(5)第5の手段に係る偏光ガラスは、表面に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されている。この構成により、目的とする波長域の光の反射を抑制し、偏光ガラスの光の入射効率、出射効率を高めることができる。なお、この反射防止膜としては、反射率0.6%以下が透過光を確保する上で必要であり、より好ましくは、0.4%以下が望ましい。
(6)第6の手段に係る偏光ガラスの反射防止膜の反射率は、波長1250nm〜1650nmにおいて0.6%以下である。この構成により、波長1250〜1650nmの光の反射を抑制し、偏光ガラスの光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(7)第7の手段に係る偏光ガラスの多層構造を有する反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする分光反射率曲線を得るようにしたものである。この構成により、反射防止膜の反射率を低くすることができ、反射防止膜が設けられた偏光ガラスの光の入射効率、出射効率をより高めることができる。
(8)第8の手段に係る偏光ガラスは、組合せて偏光ガラス構造体に使用される複数の偏光ガラスのうちの入出射面のいずれかを構成する1つの偏光ガラスであって、前記入出射面いずれかの表面は、入射面、出射面のいずれかを識別可能とするよう、固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、前記分光反射率曲線は、他の前記複数の偏光ガラスの少なくとも一部の表面が有する分光反射率曲線との相違が、色差ΔEab*で10以上である。この構成により、偏光軸方向が同じ偏光ガラスを用いた場合においても、反射光の色を目視で容易に識別できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。また、各変数は、本発明の第2の側面で説明した変数と同じである。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
(9)第9の手段に係る偏光ガラス構造体は、入出射面を備え、複数の光学材料が光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成される偏光ガラス構造体であって、入出射面の表面は、入射面、出射面のそれぞれを識別可能とするよう、それぞれ固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、これら分光反射率曲線の示す相違は、色差ΔEab*で、10以上である。この構成により、反射光の色を目視で容易に識別できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。また、各変数は、本発明の第2の側面で説明した変数と同じである。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
ここで、本発明に係る偏光ガラス構造体は、前述したとおり、入出射面を備え、複数の光学材料が光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成され、より具体的には、少なくとも入出射面にそれぞれ偏光軸方向を有する偏光ガラスが配され、これらの偏光ガラスは、相互に必ずしも偏光軸方向が異ならない場合においても、前述した固有の反射率曲線を有し、相互に前述した色差ΔEab*を有するものである。
さらに偏光ガラス構造体は、入出射面に配される2片の偏光ガラスに限定されることなく、例えば、さらに1片、2片を加えて、ガーネット膜や液晶エンジンなどの光学材料を挟み込むようにして、光学的に積層して構成することができる。なお、光学的に積層するとは、偏光ガラスや光学材料を接着剤等を用いて固着したり、光学接着や熱融着により接合したり、枠体などを用いて機械的に固定することにより構成することを示す。
(10)第10の手段に係る偏光ガラス構造体の入出射面の少なくとも一方が、1mm角未満の断面を有し、前記分光反射率曲線のそれぞれが示す相違は、色差ΔEab*で15以上。この構成により、偏光ガラス構造体の入出射面が小さくとも、入射面、出射面を、目視で容易に識別できるようになる。
(11)第11の手段に係る偏光ガラス構造体は、入出射面の少なくとも一方に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されている。この構成により、偏光ガラス構造体の入射面、出射面での反射を抑制し、光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(12)第12の手段に係る偏光ガラス構造体の多層構造を有する反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする分光反射率曲線を得るようにしたものである。この構成により、反射防止膜の反射率を低くすることができ、反射防止膜が設けられた光デバイスの光の入射効率、出射効率をより高めることができる。
(13)第13の手段に係る偏光ガラス構造体を構成する複数の光学材料は、偏光軸方向の異なる複数の偏光ガラスを含む。
(14)第14の手段に係る偏光ガラス組立体は、異なる偏光軸方向をそれぞれ有し、入射される光を直線偏光にする複数の偏光ガラスと光学材料とが光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成される偏光ガラス組立体であって、それぞれの偏光ガラスの少なくとも一部の表面は、異なる偏光軸方向に応じて固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、これら分光反射率曲線のそれぞれが示す相違は、色差ΔEab*で10以上である。この構成により、偏光ガラス組立体の入射面、出射面を、目視で容易に識別できるようになる。
なお、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。また、各変数は、本発明の第2の側面で説明した変数と同じである。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2
ここで、本発明に係る偏光ガラス組立体は、前述したとおり、異なる偏光軸方向をそれぞれ有し、入射される光を直線偏光にする複数の偏光ガラスと光学材料とが光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成され、より具体的には、少なくとも2片の偏光ガラスは、この組立体の最表面に配され、それら一部の表面は、異なる偏光軸方向に応じて固有の可視光領域における分光反射率曲線を有する。これらの偏光ガラスは、相互に偏光軸方向が異なる場合、前述したそれぞれ固有の反射率曲線を有し、相互に前述した色差ΔEab*を有するものである。
さらに偏光ガラス組立体は、最表面に配される2片の偏光ガラスに限定されることなく、例えば、さらに1片、2片を加えて、ガーネット膜や液晶エンジンなどの光学材料を挟み込むようにして、光学的に積層して構成することができる。なお、光学的に積層するとは、偏光ガラスや光学材料を接着剤等を用いて固着したり、光学接着や熱融着により接合したり、枠体などを用いて機械的に固定することにより構成することを示す。
(15)第15の手段に係る偏光ガラス組立体は、複数の偏光ガラスが、それぞれ1mm角未満のサイズを有し、分光反射率曲線のそれぞれの示す相違は、色差ΔEab*で15以上である。この構成により、偏光ガラス組立体の入出射面が小さくとも、入射面、出射面を、目視で容易に識別できるようになる。
(16)第16の手段に係る偏光ガラス組立体の表面は、光の入射面、出射面のうち少なくとも何れかである。この構成により、表面を反射光の色で認識できる。
(17)第17の手段に係る偏光ガラス組立体に入射される光は、赤外領域の光である。この構成により、偏光ガラス組立体によって、光通信などで使用される赤外半導体レーザーが発信する赤外光を制御することができる様になる。
(18)第18の手段に係る偏光ガラス組立体のそれぞれの表面に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されている。この構成により、目的とする波長域の光の反射を抑制し、偏光ガラス組立体の光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(19)第19の手段に係る偏光ガラス組立体の前記反射防止膜の反射率が、波長1250nm〜1650nmにおいて0.6%以下である。この構成により、波長1250〜1650nmの光の反射を抑制し、偏光ガラス組立体の光の入射効率、出射効率を高めることができる。
(20)第20の手段に係る偏光ガラス組立体の多層構造を有する反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする前記分光反射率曲線を得るようにしたものである。この構成により、反射防止膜の反射率を低くすることができ、反射防止膜が設けられた偏光ガラス組立体の光の入射効率、出射効率をより高めることができる。
(21)第21の手段に係る光アイソレータは、複数の偏光ガラスを搭載する。
上述の手段によれば、可視光領域における分光反射率曲線が、この偏光ガラスの偏光軸の方向に応じてそれぞれ異なるように構成したことにより、この偏光ガラスに光を当てて目視したときに、偏光軸に対応して互いにその色あいが異なるようにみえる偏光ガラスを得ることが可能になる。これにより、色合いごとに偏光軸の方向を割り当てて簡単に区別できるようにすることが可能になり、従来のカットを入れての区別する手段に比較して、スペースの有効活用やチッピングの虞等を防ぐことが可能となる。
以下、本発明の「偏光ガラス」、「偏光ガラス構造体」、「偏光ガラス組立体」及び「光アイソレータ」の実施の形態例について、図1〜図11を参照して説明する。なお、各図において共通の部材は、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
説明は、以下の順序で行う。
説明は、以下の順序で行う。
本発明に係る光アイソレータの一態様を示す図1おいて、この光アイソレータ1は、近赤外領域の光に用いるもので、ガーネット等からなるファラデーローテータ2の両側に第1の偏光ガラス3と組合せて使用される第2の偏光ガラス4とをこれらの光軸が共通になるようにして接合したものである。この場合、第1の偏光ガラス3の偏光軸と第2の偏光ガラス4の偏光軸とが互いに45°なすものである。次いで、前記ファラデーローテータ2に磁界をかける磁石91(N極)及び92(S極)を前記ファラデーローテータ2の光軸に対してほぼ直交する方向に磁界が生ずるようにして不図示の固定部材によって固定される。
ここで、第1の偏光ガラス3は、偏光軸が特定の第1の方向(例えば、この第1の方向を0°の方向と称することもできる)の偏光ガラスであり、第2の偏光ガラス4は、その偏光軸が前記第1の偏光ガラス3の偏光軸に対して45°をなす第2の方向(前記第1の偏光ガラス3の偏光軸の方向である第1の方向を0°の方向と称した場合には、45°の方向と称することもできる)の偏光軸を有する偏光ガラスである。
また、第1の偏光ガラス3及び第2の偏光ガラス4は、それぞれの表面に反射防止膜として、反射防止膜31、41を設けることができる。その一態様を図2に示す。図2に示されるように、反射防止膜31は、第1の屈折率を有する低屈折率層31Aと、前記第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層31Bとが交互に多層に重ねて構成されたものであり、前記低屈折率層31A及び高屈折率層31Bの各層の厚さを選定することによって、目的とする反射率の分布曲線を得るようにしたものである。反射防止膜41も前記反射防止膜31と同様の構成を有する。
図2においては、防止膜の層数を偶数の6層構造として示しているが、多層構造を有する反射防止膜の1例であり、6層より少なくとも良く、6層より多くても良く、層数は奇数であっても良い。
図2においては、防止膜の層数を偶数の6層構造として示しているが、多層構造を有する反射防止膜の1例であり、6層より少なくとも良く、6層より多くても良く、層数は奇数であっても良い。
ここで、本発明に係る偏光ガラスの具体的な態様を説明する。
この偏光ガラスは、前述したとおり、入射される光を直線偏光にする作用効果を備える1つの偏光ガラスを指すが、後述する偏光ガラス構造体、偏光ガラス組立体および光アイソレータに使用される場合、組合せて使用される複数の偏光ガラスのうちの1つの偏光ガラスを指すものである。
そして、この1つの偏光ガラスは、少なくとも一部の表面が、その偏光軸方向に応じて、固有の分光反射率曲線を有するものであり、以下にその具体的な態様を、第1の実施態様ないし第3の実施態様により説明を行う。
この偏光ガラスは、前述したとおり、入射される光を直線偏光にする作用効果を備える1つの偏光ガラスを指すが、後述する偏光ガラス構造体、偏光ガラス組立体および光アイソレータに使用される場合、組合せて使用される複数の偏光ガラスのうちの1つの偏光ガラスを指すものである。
そして、この1つの偏光ガラスは、少なくとも一部の表面が、その偏光軸方向に応じて、固有の分光反射率曲線を有するものであり、以下にその具体的な態様を、第1の実施態様ないし第3の実施態様により説明を行う。
[第1の実施態様]
□11mm×0.2mm厚の銅金属微粒子を含む第1の偏光ガラス2(CUPO(登録商標)、HOYA CANDEO OPTRONICS製)の偏光方向0°品の片面に、Ta2O5とSiO2の交互の層からなる合計8層の反射防止膜をイオンビームアシスト蒸着(以下、IAD)により成膜した。成膜した反射防止膜の総厚は、約650nmであった。
この反射防止膜は、光通信で使用される1250〜1650nm波長帯の光に対する反射率が0.3%以下となるワイドバンドに対応した設計である。反射防止膜の分光反射率曲線を、図3(a)、(b)(図6(a)、(b))の一点破線で示す。得られた膜の反射光の色は、クリーンルーム内の蛍光灯下、黄金色を呈していた。
このようにして得られた第1の偏光ガラス3は、上述したとおりその偏光軸方向に応じた固有の分光反射率曲線を有し、偏光ガラス組立体に使用される際に組合せて使用される偏光ガラスである後述する第2の実施態様における偏光ガラスを第2の偏光ガラス4として対比すると、その少なくとも一部の表面が有する、図3(a)、(b)に実線で示す分光反射率曲線との相違は、色差ΔEab*で21.69と測定された(図4)。
□11mm×0.2mm厚の銅金属微粒子を含む第1の偏光ガラス2(CUPO(登録商標)、HOYA CANDEO OPTRONICS製)の偏光方向0°品の片面に、Ta2O5とSiO2の交互の層からなる合計8層の反射防止膜をイオンビームアシスト蒸着(以下、IAD)により成膜した。成膜した反射防止膜の総厚は、約650nmであった。
この反射防止膜は、光通信で使用される1250〜1650nm波長帯の光に対する反射率が0.3%以下となるワイドバンドに対応した設計である。反射防止膜の分光反射率曲線を、図3(a)、(b)(図6(a)、(b))の一点破線で示す。得られた膜の反射光の色は、クリーンルーム内の蛍光灯下、黄金色を呈していた。
このようにして得られた第1の偏光ガラス3は、上述したとおりその偏光軸方向に応じた固有の分光反射率曲線を有し、偏光ガラス組立体に使用される際に組合せて使用される偏光ガラスである後述する第2の実施態様における偏光ガラスを第2の偏光ガラス4として対比すると、その少なくとも一部の表面が有する、図3(a)、(b)に実線で示す分光反射率曲線との相違は、色差ΔEab*で21.69と測定された(図4)。
[第2の実施態様]
本発明の偏光ガラスとして、
第1の実施態様と同じ□11mm×0.2mm厚の偏光ガラスを用いるが、その偏光軸方向は45°である。この45°品の片面に、Nb2O5層とSiO2層を交互に積層させた計6層からなる反射防止膜をIADを用いて成膜した。膜設計には、市販の膜設計ソフト「マックロード」を使用し、可視域の460nm付近の反射率が60%程度と高くなるように、また光通信の使用波長帯である1250〜1650nmで反射率が0.6%以下になるように設計した。
Nb2O5とSiO2の合計の膜厚は、約600nmであった(図5)。この反射防止膜の分光反射率曲線を図3(a)、(b)の実線で示す。
得られた膜の反射光の色は、クリーンルーム内の蛍光灯下、青白い色を呈していた。
このようにして得られた第1の偏光ガラス3は、上述したとおりその偏光軸方向に応じた固有の分光反射率曲線を有し、「偏光ガラス組立体」等に使用される際に、組合せて使用される偏光ガラスである前述した第1の実施態様における偏光ガラスを第2の偏光ガラス4として対比すると、その少なくとも一部の表面が有する、図3(a)、(b)の一点破線で示す分光反射率曲線と対比した場合、その相違は、色差ΔEab*で21.69と測定された(図4)。
本発明の偏光ガラスとして、
第1の実施態様と同じ□11mm×0.2mm厚の偏光ガラスを用いるが、その偏光軸方向は45°である。この45°品の片面に、Nb2O5層とSiO2層を交互に積層させた計6層からなる反射防止膜をIADを用いて成膜した。膜設計には、市販の膜設計ソフト「マックロード」を使用し、可視域の460nm付近の反射率が60%程度と高くなるように、また光通信の使用波長帯である1250〜1650nmで反射率が0.6%以下になるように設計した。
Nb2O5とSiO2の合計の膜厚は、約600nmであった(図5)。この反射防止膜の分光反射率曲線を図3(a)、(b)の実線で示す。
得られた膜の反射光の色は、クリーンルーム内の蛍光灯下、青白い色を呈していた。
このようにして得られた第1の偏光ガラス3は、上述したとおりその偏光軸方向に応じた固有の分光反射率曲線を有し、「偏光ガラス組立体」等に使用される際に、組合せて使用される偏光ガラスである前述した第1の実施態様における偏光ガラスを第2の偏光ガラス4として対比すると、その少なくとも一部の表面が有する、図3(a)、(b)の一点破線で示す分光反射率曲線と対比した場合、その相違は、色差ΔEab*で21.69と測定された(図4)。
[第3の実施態様]
次に、偏光ガラスの□11mm×0.2mm厚の45°品の片面に、Ta2O5とSiO2の交互の層からなる合計6層の反射防止膜をIADで、成膜した。用いた偏光ガラスは、第1および第2の実施態様と同様である。
膜設計には、第2の実施態様に用いたソフト「マックロード」を用い、同様に460nm付近の反射率が60%程度と高くなるように、1250〜1650nmでの反射率が0.6%以下になるように設計した。
Ta2O5とSiO2の合計の膜厚は、約600nmであった。この反射防止膜の分光反射率曲線を図6(a)、(b)の破線で示す。可視域の分光反射率曲線は、第2の実施態様における第1偏光ガラス3と同様な曲線を示し、クリーンルーム内の蛍光灯の反射光で見て、青白い色を呈していた。また近赤外域の分光反射率曲線は、第1の実施形態と比較して、遜色のない程度に反射率の低減された膜が得られた。
このようにして得られた偏光ガラスは、上述したとおり、その偏光軸方向に応じた固有の分光反射率曲線を有し、偏光ガラス組立体に使用される際に、組合せて使用される偏光ガラスである前述した第1の実施態様における偏光ガラスを第2の偏光ガラス4として対比すると、その少なくとも一部の表面が有する、図6(a)、(b)の一点破線で示す分光反射率曲線と対比した場合、その相違は、色差ΔEab*で21.21と測定された。
次に、偏光ガラスの□11mm×0.2mm厚の45°品の片面に、Ta2O5とSiO2の交互の層からなる合計6層の反射防止膜をIADで、成膜した。用いた偏光ガラスは、第1および第2の実施態様と同様である。
膜設計には、第2の実施態様に用いたソフト「マックロード」を用い、同様に460nm付近の反射率が60%程度と高くなるように、1250〜1650nmでの反射率が0.6%以下になるように設計した。
Ta2O5とSiO2の合計の膜厚は、約600nmであった。この反射防止膜の分光反射率曲線を図6(a)、(b)の破線で示す。可視域の分光反射率曲線は、第2の実施態様における第1偏光ガラス3と同様な曲線を示し、クリーンルーム内の蛍光灯の反射光で見て、青白い色を呈していた。また近赤外域の分光反射率曲線は、第1の実施形態と比較して、遜色のない程度に反射率の低減された膜が得られた。
このようにして得られた偏光ガラスは、上述したとおり、その偏光軸方向に応じた固有の分光反射率曲線を有し、偏光ガラス組立体に使用される際に、組合せて使用される偏光ガラスである前述した第1の実施態様における偏光ガラスを第2の偏光ガラス4として対比すると、その少なくとも一部の表面が有する、図6(a)、(b)の一点破線で示す分光反射率曲線と対比した場合、その相違は、色差ΔEab*で21.21と測定された。
[第4の実施態様]
次に、偏光ガラス構造体に使用される場合、組合せて使用される複数の偏光ガラスのうちの1つの偏光ガラスである第1の偏光ガラス3として、入射面に第1の実施態様において作製した偏光ガラスを用い、出射面には組合せて使用される第2の偏光ガラス4として、第2の実施形態において作製した偏光ガラスを採用した。このようにして得られた第1の偏光ガラス3は、第2の偏光ガラス4と、それぞれが有する分光反射率曲線の相違が、色差ΔEab*で21.69と測定され、この相違により、第1の偏光ガラス2が、入射面用であることが色差により識別可能であった。
第1の実施態様から第3の実施態様の偏光ガラスおよび第4の実施態様の偏光ガラス構造体に成膜した反射防止膜は、低屈折率物質としてSiO2、高屈折率物質としてNb2O5あるいはTa2O5を使用したが、これに限定されるものではなく、他の低屈折率物質(例えば、MgF2)や他の高屈折率物質(例えば、TiO2、LaTiO3、ZrO2、HfO2、WO3)を使用しても良い。
次に、偏光ガラス構造体に使用される場合、組合せて使用される複数の偏光ガラスのうちの1つの偏光ガラスである第1の偏光ガラス3として、入射面に第1の実施態様において作製した偏光ガラスを用い、出射面には組合せて使用される第2の偏光ガラス4として、第2の実施形態において作製した偏光ガラスを採用した。このようにして得られた第1の偏光ガラス3は、第2の偏光ガラス4と、それぞれが有する分光反射率曲線の相違が、色差ΔEab*で21.69と測定され、この相違により、第1の偏光ガラス2が、入射面用であることが色差により識別可能であった。
第1の実施態様から第3の実施態様の偏光ガラスおよび第4の実施態様の偏光ガラス構造体に成膜した反射防止膜は、低屈折率物質としてSiO2、高屈折率物質としてNb2O5あるいはTa2O5を使用したが、これに限定されるものではなく、他の低屈折率物質(例えば、MgF2)や他の高屈折率物質(例えば、TiO2、LaTiO3、ZrO2、HfO2、WO3)を使用しても良い。
[第5の実施態様]
本発明の偏光ガラス構造体の実施態様を、第5の実施態様として、以下に説明する。
光アイソレータの高性能品として、図7に示す1.5段型光アイソレータもしくは、セミダブル型光アイソレータと呼ばれる光アイソレータが知られている。1.5段型光アイソレータ11は、3枚の偏光ガラス30、40、50と2枚のファラデーローテータ20、21からなる偏光ガラス構造体65が組み込まれており、光アイソレータとしての消光性能を示すアイソレーションは、50dB程度であって、2枚の偏光ガラスと1枚のファラデーローテータで構成される通常品(図1)のアイソレーション30〜35dBに比べて高い特性を有している。
通常、この1.5段型光アイソレータ11では、両端の偏光ガラス30、50として偏光ガラス0°品が使用され、中央の偏光ガラス40として偏光ガラス45°品が使用される。1.5段型偏光アイソレータ11に内蔵される偏光ガラス構造体65に逆向きに磁場をかけると、中央の偏光ガラス40で入射光が消光し光が透過しないため、入射面と出射面の識別が必要となる。
1.5段型光アイソレータ11に内蔵される偏光ガラス構造体65では、中央の偏光ガラス45°品40には反射防止膜を成膜せず、両端の0°品30、50の最表面、すなわち入射面、出射面に各々反射防止膜301、501を成膜している。
偏光ガラス構造体65の反射膜をコートした面の大きさと識別可能なΔEab*の関係を官能試験によって調査した。官能試験は、反射膜をコートした面の大きさを□100、□10、□1、□0.5mm、ΔEab*の値を10、12.5、15、20と振った作製した偏光ガラスを、クリーンルーム内の蛍光灯下観察し、入射面と出射面を識別可能かを調べることによって行った。官能試験の結果を図8に示す。図8の各欄の分数の分母は試験者の人数を表し、分子は入射面と出射面を識別した試験者の人数を表している。
1.5段型光アイソレータ11に内蔵される偏光ガラス構造体65の入射面、出射面の大きさは0.5mmであり、この結果から、ΔEab*は15以上必要であることが判る。
第1の実施態様の偏光ガラスの反射防止膜と第2の実施態様の偏光ガラスの反射防止膜のΔEab*は、21.69あることから、入射面となる□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品30の片面に成膜する反射防止膜301として第1の実施態様で示した反射防止膜を成膜し、出射面となる□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品50の片面に成膜する反射防止膜501として第2の実施態様で示した反射防止膜を成膜した。
上述した偏光ガラス30、40、50と、□11mm×0.5mm厚のファラデーローテータ20、21を、図7で示す順番で配置し、各々の面を接着剤を用いて貼り合わせ、□11mm×約1.6mm厚の偏光ガラス積層体を作成した。
得られた偏光ガラス積層体は、切断時の切りしろの0.10mmを考慮して、0.55mm間隔で切断し、□0.45mm×約1.6mm厚の偏光ガラス構造体60とした。
クリーンルーム内の蛍光灯下、この偏光ガラス構造体65の入射面、出射面を目視で観察した結果、入射面からの反射光は黄金色を呈していたのに対し、出射面からの反射光は青白い色を呈し、表面の反射光の色を比較することによって、入射面と出射面を目視で識別することが可能であった。
本発明の偏光ガラス構造体の実施態様を、第5の実施態様として、以下に説明する。
光アイソレータの高性能品として、図7に示す1.5段型光アイソレータもしくは、セミダブル型光アイソレータと呼ばれる光アイソレータが知られている。1.5段型光アイソレータ11は、3枚の偏光ガラス30、40、50と2枚のファラデーローテータ20、21からなる偏光ガラス構造体65が組み込まれており、光アイソレータとしての消光性能を示すアイソレーションは、50dB程度であって、2枚の偏光ガラスと1枚のファラデーローテータで構成される通常品(図1)のアイソレーション30〜35dBに比べて高い特性を有している。
通常、この1.5段型光アイソレータ11では、両端の偏光ガラス30、50として偏光ガラス0°品が使用され、中央の偏光ガラス40として偏光ガラス45°品が使用される。1.5段型偏光アイソレータ11に内蔵される偏光ガラス構造体65に逆向きに磁場をかけると、中央の偏光ガラス40で入射光が消光し光が透過しないため、入射面と出射面の識別が必要となる。
1.5段型光アイソレータ11に内蔵される偏光ガラス構造体65では、中央の偏光ガラス45°品40には反射防止膜を成膜せず、両端の0°品30、50の最表面、すなわち入射面、出射面に各々反射防止膜301、501を成膜している。
偏光ガラス構造体65の反射膜をコートした面の大きさと識別可能なΔEab*の関係を官能試験によって調査した。官能試験は、反射膜をコートした面の大きさを□100、□10、□1、□0.5mm、ΔEab*の値を10、12.5、15、20と振った作製した偏光ガラスを、クリーンルーム内の蛍光灯下観察し、入射面と出射面を識別可能かを調べることによって行った。官能試験の結果を図8に示す。図8の各欄の分数の分母は試験者の人数を表し、分子は入射面と出射面を識別した試験者の人数を表している。
1.5段型光アイソレータ11に内蔵される偏光ガラス構造体65の入射面、出射面の大きさは0.5mmであり、この結果から、ΔEab*は15以上必要であることが判る。
第1の実施態様の偏光ガラスの反射防止膜と第2の実施態様の偏光ガラスの反射防止膜のΔEab*は、21.69あることから、入射面となる□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品30の片面に成膜する反射防止膜301として第1の実施態様で示した反射防止膜を成膜し、出射面となる□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品50の片面に成膜する反射防止膜501として第2の実施態様で示した反射防止膜を成膜した。
上述した偏光ガラス30、40、50と、□11mm×0.5mm厚のファラデーローテータ20、21を、図7で示す順番で配置し、各々の面を接着剤を用いて貼り合わせ、□11mm×約1.6mm厚の偏光ガラス積層体を作成した。
得られた偏光ガラス積層体は、切断時の切りしろの0.10mmを考慮して、0.55mm間隔で切断し、□0.45mm×約1.6mm厚の偏光ガラス構造体60とした。
クリーンルーム内の蛍光灯下、この偏光ガラス構造体65の入射面、出射面を目視で観察した結果、入射面からの反射光は黄金色を呈していたのに対し、出射面からの反射光は青白い色を呈し、表面の反射光の色を比較することによって、入射面と出射面を目視で識別することが可能であった。
[比較例(従来例)]
比較例では、表面にケガキ線を描き入れる従来の方法で作製された、2枚の偏光ガラス3、4と1枚のファラデーローテータ2から成る偏光ガラス組立体60(図1)について説明する。
□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品3及び□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス45°品4の各々片面に成膜する反射防止膜31、41として、第1の実施態様の反射防止膜を成膜した。
市販の□11mm×0.5mm厚のファラデーローテータ4の□11mmの一方の面に、偏光ガラス0°品3の反射防止膜31を成膜をしていない面が相対するように配置し、他方の面に、偏光ガラス45°品4の反射防止膜41を成膜をしていない面が相対するように配置した後、接着剤を用いて各々を貼り合わせ、□11mm×約0.9mm厚の偏光ガラス積層体80を作製した。
次に、図9(a),(b)で示すように、□0.50mmの切断後、偏光方向が0°であることが識別できるように、反射防止膜を施した偏光ガラス0°品31側の面に、切断時の切りしろ0.10mmを考慮して、切断線70(切断時の切断刃の厚さの中心位置)の0.10mm内側にケガキ線75を薄く入れた(切断後、ケガキ線75の位置は、外辺の一辺から0.05mm内側の位置と成る。)。
その後、偏光ガラス積層体80を0.6mm間隔で切断し、□0.50mm×約0.90mm厚の偏光ガラス組立体60とした。
□11mmの偏光ガラス積層体80を0.60mm間隔で切断した場合、18×18=324個のケガキ線75の入った□0.50mm×約0.9mm厚の偏光ガラス組立体60が得られる。
得られた偏光ガラス組立体60の偏光ガラス0°品面と偏光ガラス45°品面の反射光は、クリーンルーム内の蛍光灯下、共に黄金色を呈しており、0°品面に入れたケガキ線75がなければ、各々の面を目視で識別することはできなかった。
また、324個の偏光ガラス組立体60の内、2個の0°品面には、ケガキ線75を描いた際に発生したチッピングが認められ、良品は322個であった。
比較例では、表面にケガキ線を描き入れる従来の方法で作製された、2枚の偏光ガラス3、4と1枚のファラデーローテータ2から成る偏光ガラス組立体60(図1)について説明する。
□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品3及び□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス45°品4の各々片面に成膜する反射防止膜31、41として、第1の実施態様の反射防止膜を成膜した。
市販の□11mm×0.5mm厚のファラデーローテータ4の□11mmの一方の面に、偏光ガラス0°品3の反射防止膜31を成膜をしていない面が相対するように配置し、他方の面に、偏光ガラス45°品4の反射防止膜41を成膜をしていない面が相対するように配置した後、接着剤を用いて各々を貼り合わせ、□11mm×約0.9mm厚の偏光ガラス積層体80を作製した。
次に、図9(a),(b)で示すように、□0.50mmの切断後、偏光方向が0°であることが識別できるように、反射防止膜を施した偏光ガラス0°品31側の面に、切断時の切りしろ0.10mmを考慮して、切断線70(切断時の切断刃の厚さの中心位置)の0.10mm内側にケガキ線75を薄く入れた(切断後、ケガキ線75の位置は、外辺の一辺から0.05mm内側の位置と成る。)。
その後、偏光ガラス積層体80を0.6mm間隔で切断し、□0.50mm×約0.90mm厚の偏光ガラス組立体60とした。
□11mmの偏光ガラス積層体80を0.60mm間隔で切断した場合、18×18=324個のケガキ線75の入った□0.50mm×約0.9mm厚の偏光ガラス組立体60が得られる。
得られた偏光ガラス組立体60の偏光ガラス0°品面と偏光ガラス45°品面の反射光は、クリーンルーム内の蛍光灯下、共に黄金色を呈しており、0°品面に入れたケガキ線75がなければ、各々の面を目視で識別することはできなかった。
また、324個の偏光ガラス組立体60の内、2個の0°品面には、ケガキ線75を描いた際に発生したチッピングが認められ、良品は322個であった。
[第6の実施態様]
本発明の偏光ガラス組立体の実施態様を、第6の実施態様として、以下に説明する。
偏光ガラスとして、比較例と同じ□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品3、45°品4を使用した。
偏光ガラス組立体の反射防止膜をコートした偏光ガラス0°品面及び偏光ガラス45°品面の大きさと識別可能なΔEab*の関係を、第5に実施態様と同様の官能試験によって調査した結果、識別の結果は偏光ガラスの偏光軸方向の影響を受けず、第5の実施態様と同様の結果であった。
この官能試験の結果から、偏光ガラス0°品3の□11mmの片面に、第1の実施態様と同じ反射防止膜31を成膜し、偏光ガラス45°品4の□11mmの片面に、第2の実施態様と同じ反射防止膜42を成膜した(図10参照)。
偏光ガラス45°品4に成膜した反射防止膜42の青色領域の反射率を、偏光ガラス0°品3に成膜した反射防止膜31に比べて高めることで、反射光の色を目視で比較することによって、偏光ガラス0°品面と45°品面を識別することを意図している。
このようにして反射防止膜31、42を、各々片面に成膜した偏光ガラス0°品3および偏光ガラス45°品4を、□11mm×0.5mm厚のファラデーローテータ2と、比較例と同様にして貼り合わせ、□11mm×約0.9mm厚の偏光ガラス積層体81を作製した。
偏光ガラス0°品面と偏光ガラス45°品面の反射光の色を目視で識別可能なような構成にしたことにより、面を識別するためのケガキ線が不要となる。ケガキ線が不要に成ったことから、偏光ガラス積層体81の切断は、従来の□0.50mmの偏光ガラス組立体60が得られる0.60mm間隔の切断(図9)ではなく、図11で示したように□0.45mmの偏光ガラス組立体61が得られる0.55mm間隔で切断することができる。
切断時の切りしろの0.10mmを考慮して、偏光ガラス積層体81を0.55mm間隔で切断し、□0.45mm×約0.9mm厚の偏光ガラス組立体61とした。
偏光ガラス組立体61の偏光ガラス0°品面と偏光ガラス45°品面のΔEab*を、第5の実施態様と同様に評価したところ、ΔEab*=21.52であった。
クリーンルーム内の蛍光灯下、この偏光ガラス組立体61を目視で観察した結果、偏光ガラス0°品面からの反射光は黄金色を呈し、一方、偏光ガラス45°品面からの反射光は、青白い色を呈しており、目視で表面の反射光の色を比較することによって、入射面と出射面を識別することが可能であった。
□11mmの偏光ガラス積層体81を0.55mm間隔で切断した場合、20×20=400個の□0.45mm×約0.9mm厚の偏光ガラス組立体61が得られた。
ケガキ線を描く工程を省略したことから、ケガキ線を描くことによって発生するチッピングが認められず、良品は400個であった。
このように、偏光ガラス0°品3、偏光ガラス45°品の片面に、反射光の色のが異なる反射防止膜31、42を、成膜することにより、同じ材料から400/324=1.24倍の個数の偏光ガラス組立体61が得られ、材料コストが19%軽減した。
また、ケガキ線を描く手間を省け、ケガキ線を描くことによって発生するチッピングの問題が解消され、歩留まりが向上した。
本発明の偏光ガラス組立体の実施態様を、第6の実施態様として、以下に説明する。
偏光ガラスとして、比較例と同じ□11mm×0.2mm厚の偏光ガラス0°品3、45°品4を使用した。
偏光ガラス組立体の反射防止膜をコートした偏光ガラス0°品面及び偏光ガラス45°品面の大きさと識別可能なΔEab*の関係を、第5に実施態様と同様の官能試験によって調査した結果、識別の結果は偏光ガラスの偏光軸方向の影響を受けず、第5の実施態様と同様の結果であった。
この官能試験の結果から、偏光ガラス0°品3の□11mmの片面に、第1の実施態様と同じ反射防止膜31を成膜し、偏光ガラス45°品4の□11mmの片面に、第2の実施態様と同じ反射防止膜42を成膜した(図10参照)。
偏光ガラス45°品4に成膜した反射防止膜42の青色領域の反射率を、偏光ガラス0°品3に成膜した反射防止膜31に比べて高めることで、反射光の色を目視で比較することによって、偏光ガラス0°品面と45°品面を識別することを意図している。
このようにして反射防止膜31、42を、各々片面に成膜した偏光ガラス0°品3および偏光ガラス45°品4を、□11mm×0.5mm厚のファラデーローテータ2と、比較例と同様にして貼り合わせ、□11mm×約0.9mm厚の偏光ガラス積層体81を作製した。
偏光ガラス0°品面と偏光ガラス45°品面の反射光の色を目視で識別可能なような構成にしたことにより、面を識別するためのケガキ線が不要となる。ケガキ線が不要に成ったことから、偏光ガラス積層体81の切断は、従来の□0.50mmの偏光ガラス組立体60が得られる0.60mm間隔の切断(図9)ではなく、図11で示したように□0.45mmの偏光ガラス組立体61が得られる0.55mm間隔で切断することができる。
切断時の切りしろの0.10mmを考慮して、偏光ガラス積層体81を0.55mm間隔で切断し、□0.45mm×約0.9mm厚の偏光ガラス組立体61とした。
偏光ガラス組立体61の偏光ガラス0°品面と偏光ガラス45°品面のΔEab*を、第5の実施態様と同様に評価したところ、ΔEab*=21.52であった。
クリーンルーム内の蛍光灯下、この偏光ガラス組立体61を目視で観察した結果、偏光ガラス0°品面からの反射光は黄金色を呈し、一方、偏光ガラス45°品面からの反射光は、青白い色を呈しており、目視で表面の反射光の色を比較することによって、入射面と出射面を識別することが可能であった。
□11mmの偏光ガラス積層体81を0.55mm間隔で切断した場合、20×20=400個の□0.45mm×約0.9mm厚の偏光ガラス組立体61が得られた。
ケガキ線を描く工程を省略したことから、ケガキ線を描くことによって発生するチッピングが認められず、良品は400個であった。
このように、偏光ガラス0°品3、偏光ガラス45°品の片面に、反射光の色のが異なる反射防止膜31、42を、成膜することにより、同じ材料から400/324=1.24倍の個数の偏光ガラス組立体61が得られ、材料コストが19%軽減した。
また、ケガキ線を描く手間を省け、ケガキ線を描くことによって発生するチッピングの問題が解消され、歩留まりが向上した。
[第7の実施態様]
本発明の偏光ガラス組立体の実施態様を、第7の実施態様として、以下に説明する。
図12に示す、液晶技術を利用し、光ファイバー中の任意に選択した波長のパス、ブロック、イコライズを制御する波長ブロッカーという光通信デバイスが知られている。
波長ブロッカー13は、液晶エンジン25の両側に、両面に反射防止膜が成膜された偏光ガラス35と、反射防止膜が成膜された偏光ガラス35とは偏光方向が異なる偏光ガラス45が離して配置され、不図示の筐体で挟み固定した構造をしている。
入出射側の偏光ガラス35から離れて不図示のレンズが配置され、さらに不図示の複数の光ファイバーがレンズと離れて一列に配置される。光ファイバーからの入射光が第一の偏光ガラス35を通して、一方向に偏光された光に変換され、液晶エンジン25の液晶部分に入射する。液晶エンジン25は、局所的に電気的な制御を行うことによって、液晶部分の入射光の偏光角度を任意に変えることができ、光信号をブロックしたり、パスしたり、イコライズする機能を有している。液晶エンジン25を内蔵する波長ブロッカー12を使用することで、光ファイバを伝播する光を制御することができる。
2枚の偏光ガラスの両面に成膜される反射防止膜は、通常同一の反射防止膜が成膜されるため、波長ブロッカーに内蔵された偏光ガラスの偏光方向を目視で識別することは困難である。
3.5mm×23mm×20mm厚の液晶エンジン25の両側に、偏光方向が異なる3mm×21mm×0.2mm厚の偏光ガラス35、45を離して配置し、不図示の筐体で挟み固定した。偏光ガラス35の入射面、出射面には第1の実施態様と同じ反射光が黄金色を呈する反射防止膜351が成膜され、偏光ガラス45の入射面、出射面には反射光が青白い色を呈する第2の実施態様と同じ反射防止膜451が成膜されている。
このように反射防止膜の反射光が呈する色を、偏光方向で変えることによって、偏光ガラスの偏光方向を目視で識別することができた。
本発明の偏光ガラス組立体の実施態様を、第7の実施態様として、以下に説明する。
図12に示す、液晶技術を利用し、光ファイバー中の任意に選択した波長のパス、ブロック、イコライズを制御する波長ブロッカーという光通信デバイスが知られている。
波長ブロッカー13は、液晶エンジン25の両側に、両面に反射防止膜が成膜された偏光ガラス35と、反射防止膜が成膜された偏光ガラス35とは偏光方向が異なる偏光ガラス45が離して配置され、不図示の筐体で挟み固定した構造をしている。
入出射側の偏光ガラス35から離れて不図示のレンズが配置され、さらに不図示の複数の光ファイバーがレンズと離れて一列に配置される。光ファイバーからの入射光が第一の偏光ガラス35を通して、一方向に偏光された光に変換され、液晶エンジン25の液晶部分に入射する。液晶エンジン25は、局所的に電気的な制御を行うことによって、液晶部分の入射光の偏光角度を任意に変えることができ、光信号をブロックしたり、パスしたり、イコライズする機能を有している。液晶エンジン25を内蔵する波長ブロッカー12を使用することで、光ファイバを伝播する光を制御することができる。
2枚の偏光ガラスの両面に成膜される反射防止膜は、通常同一の反射防止膜が成膜されるため、波長ブロッカーに内蔵された偏光ガラスの偏光方向を目視で識別することは困難である。
3.5mm×23mm×20mm厚の液晶エンジン25の両側に、偏光方向が異なる3mm×21mm×0.2mm厚の偏光ガラス35、45を離して配置し、不図示の筐体で挟み固定した。偏光ガラス35の入射面、出射面には第1の実施態様と同じ反射光が黄金色を呈する反射防止膜351が成膜され、偏光ガラス45の入射面、出射面には反射光が青白い色を呈する第2の実施態様と同じ反射防止膜451が成膜されている。
このように反射防止膜の反射光が呈する色を、偏光方向で変えることによって、偏光ガラスの偏光方向を目視で識別することができた。
[第8の実施態様]
本発明の光アイソレータの実施態様を、第8の実施態様として、以下に説明する。
第5の実施の態様で示した偏光ガラス構造体65と永久磁石91、92を使用して、光アイソレータ11を作製した(図7)。
得られた光アイソレータ11のアイソレーションは、50dBであり、入射面、出射面は、偏光ガラスに成膜した反射防止膜の反射光が呈する色を目視で識別することで可能であった。
本発明の光アイソレータの実施態様を、第8の実施態様として、以下に説明する。
第5の実施の態様で示した偏光ガラス構造体65と永久磁石91、92を使用して、光アイソレータ11を作製した(図7)。
得られた光アイソレータ11のアイソレーションは、50dBであり、入射面、出射面は、偏光ガラスに成膜した反射防止膜の反射光が呈する色を目視で識別することで可能であった。
[第9の実施態様]
本発明の光アイソレータの実施態様を、第9の実施態様として、以下に説明する。
第6の実施の態様で示した偏光ガラス組立体61と永久磁石91、92を使用して、光アイソレータ12を作製した(図10)。
得られた光アイソレータ12のアイソレーションは、35dBであり、偏光面の偏光方向は、偏光ガラスに成膜した反射防止膜の反射光が呈する色を目視で識別することにより可能であった。
本発明の光アイソレータの実施態様を、第9の実施態様として、以下に説明する。
第6の実施の態様で示した偏光ガラス組立体61と永久磁石91、92を使用して、光アイソレータ12を作製した(図10)。
得られた光アイソレータ12のアイソレーションは、35dBであり、偏光面の偏光方向は、偏光ガラスに成膜した反射防止膜の反射光が呈する色を目視で識別することにより可能であった。
1、11 光アイソレータ
13、波長ブロッカー
2、20、21 ファラデーローテータ(ガーネット膜)
25 液晶エンジン
3、30、35 第1の偏光ガラス
31、301、351 第1の偏光ガラス1の反射防止膜
31A1、31A2、31A3 反射防止膜31の低屈折率層
31B1、31B2、31B3 反射防止膜31の高屈折率層
4、40、45 第2の偏光ガラス
41、42、451 第2の偏光ガラス2の反射防止膜
50 第3の偏光ガラス
501 第3の偏光ガラス50の反射防止膜
60、61 偏光ガラス組立体
65 偏光ガラス構造体
70、71 切断線
75 ケガキ線
80、81 偏光ガラス積層体
91、92 磁石
13、波長ブロッカー
2、20、21 ファラデーローテータ(ガーネット膜)
25 液晶エンジン
3、30、35 第1の偏光ガラス
31、301、351 第1の偏光ガラス1の反射防止膜
31A1、31A2、31A3 反射防止膜31の低屈折率層
31B1、31B2、31B3 反射防止膜31の高屈折率層
4、40、45 第2の偏光ガラス
41、42、451 第2の偏光ガラス2の反射防止膜
50 第3の偏光ガラス
501 第3の偏光ガラス50の反射防止膜
60、61 偏光ガラス組立体
65 偏光ガラス構造体
70、71 切断線
75 ケガキ線
80、81 偏光ガラス積層体
91、92 磁石
Claims (21)
- 組合せて偏光ガラス組立体に使用され、入射される光を直線偏光にする、異なる固有の偏光軸方向を有する複数の偏光ガラスのうちの1つの偏光ガラスであって、
前記1つの偏光ガラスの少なくとも一部の表面は、前記固有の偏光軸方向に応じて、固有の可視光領域における分光反射率曲線を有することを特徴とする偏光ガラス。 - 前記分光反射率曲線は、他の前記複数の偏光ガラスの少なくとも一部の表面が有する分光反射率曲線との相違が、
色差ΔEab*で10以上となることを特徴とする請求項1に記載の偏光ガラス。
但し、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2 - 前記表面は、光の入射面、出射面のうち少なくとも何れかである請求項1または請求項2に記載の偏光ガラス。
- 前記入射される光は、赤外領域の光であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偏光ガラス。
- 前記表面に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の偏光ガラス。
- 前記反射防止膜の反射率が、波長1250nm〜1650nmにおいて0.6%以下であることを特徴とする請求項5に記載の偏光ガラス。
- 前記反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、前記第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、前記低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする前記分光反射率曲線を得るようにしたものであることを特徴とする請求項5または6に記載の偏光ガラス。
- 組合せて偏光ガラス構造体に使用される複数の偏光ガラスのうちの入出射面のいずれかを構成する1つの偏光ガラスであって、
前記入出射面いずれかの表面は、入射面、出射面のいずれかを識別可能とするよう、固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、
前記分光反射率曲線は、他の前記複数の偏光ガラスの少なくとも一部の表面が有する分光反射率曲線との相違が、
色差ΔEab*で10以上となることを特徴とする偏光ガラス。
但し、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2 - 入出射面を備え、複数の光学材料が光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成される偏光ガラス構造体であって、
前記入出射面の表面は、入射面、出射面のそれぞれを識別可能とするよう、それぞれ固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、これら分光反射率曲線の示す相違は、
色差ΔEab*で、10以上となることを特徴とする偏光ガラス構造体。
但し、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2 - 前記入出射面の少なくとも一方が、1mm角未満の断面を有し、前記分光反射率曲線のそれぞれが示す相違は、色差ΔEab*で15以上となることを特徴とする請求項9に記載の偏光ガラス構造体。
- 前記入出射面の少なくとも一方に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の偏光ガラス構造体。
- 前記反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、前記第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、前記低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することによって、目的とする前記分光反射率曲線を得るようにしたものであることを特徴とする請求項11に記載の偏光ガラス構造体。
- 前記複数の光学材料は、偏光軸方向の異なる複数の偏光ガラスを含むことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の偏光ガラス構造体。
- 異なる偏光軸方向をそれぞれ有し、入射される光を直線偏光にする複数の偏光ガラスと光学材料とが光軸に交わる方向に光学的に積層されて構成される偏光ガラス組立体であって、
それぞれの偏光ガラスの少なくとも一部の表面は、前記異なる偏光軸方向に応じて固有の可視光領域における分光反射率曲線を有し、これら分光反射率曲線のそれぞれが示す相違は、
色差ΔEab*で10以上となることを特徴とする偏光ガラス組立体。
但し、色差ΔEab*は、以下で定義される値である。
ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
=[(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2]1/2 - 前記複数の偏光ガラスが、それぞれ1mm角未満のサイズを有し、前記分光反射率曲線のそれぞれの示す相違は、色差ΔEab*で15以上となることを特徴とする請求項14に記載の偏光ガラス組立体。
- 前記表面は、光の入射面、出射面のうち少なくとも何れかである請求項13または15に記載の偏光ガラス組立体。
- 前記入射される光は、赤外領域の光であることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の偏光ガラス組立体。
- 前記それぞれの表面に多層膜構造を有する反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の偏光ガラス組立体。
- 前記反射防止膜の反射率が、波長1250nm〜1650nmにおいて0.6%以下であることを特徴とする請求項18に記載の偏光ガラス組立体。
- 前記反射防止膜は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、前記第1の屈折率より大きい屈折率である第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に多層に重ねて構成されたものであり、前記低屈折率層及び高屈折率層の各層の厚さを選定することに目的とする前記分光反射率曲線を得るようにしたものであることを特徴とする請求項18または19に記載の偏光ガラス組立体。
- 請求項9〜請求項20のいずれか一項に記載の偏光ガラス構造体または偏光ガラス組立体を搭載したことを特徴とする光アイソレータ。
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JP2000066137A (ja) * | 1998-08-19 | 2000-03-03 | Fujitsu Ltd | 光アイソレータとして使用可能な光デバイス並びに該光デバイスを含む光増幅器及びシステム |
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