JP2013053526A - ファンカップリング装置の診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ファンカップリング装置を介して駆動力が伝達される冷却ファンに外力が作用しているか否かを精度をよく診断する。
【解決手段】冷却ファン回転数の変化率が所定値Aよりも小さく、かつカップリング入力回転数と冷却ファン回転数との速度比の変化率が所定値Bよりも小さく、ファンカップリング装置1の運転状態が冷却ファン回転数異常運転領域にあり、冷却ファン回転数が予め設定された故障判定回転数よりも高い場合に、冷却ファンの一部が水面下に没し、冷却ファンに外力が作用している状態と判定する。
また、冷却ファン回転数が予め設定された異常判定回転数よりも低く、かつ前記故障判定回転数よりも高い場合にも、冷却ファンの一部が水面下に没し、冷却ファンに外力が作用している状態と判定する。
【選択図】図6
【解決手段】冷却ファン回転数の変化率が所定値Aよりも小さく、かつカップリング入力回転数と冷却ファン回転数との速度比の変化率が所定値Bよりも小さく、ファンカップリング装置1の運転状態が冷却ファン回転数異常運転領域にあり、冷却ファン回転数が予め設定された故障判定回転数よりも高い場合に、冷却ファンの一部が水面下に没し、冷却ファンに外力が作用している状態と判定する。
また、冷却ファン回転数が予め設定された異常判定回転数よりも低く、かつ前記故障判定回転数よりも高い場合にも、冷却ファンの一部が水面下に没し、冷却ファンに外力が作用している状態と判定する。
【選択図】図6
Description
本発明は、内燃機関からの駆動力が入力されるファンカップリング装置の診断装置に関する。
特許文献1には、電動式ラジエータファンにおいてファンモータに通電する電流値が所定値以上である場合に、道路冠水などによりラジエータファンの回転が阻害されていると判定し、ファンモータの回転を停止するようにした技術が開示されている。
この特許文献1においては、ラジエータファンがファンモータで駆動されているので、ファンモータに印加される電圧が一定の場合、ファンモータに流れる電流の大小がファンモータの駆動エネルギーの大小と見なすことができ、ファンモータに通電された電流値を用いてラジエータファンに作用する外力がラジエータファンの回転を阻害する程度に大きいか否かを判定することが可能である。
しかしながら、この特許文献1は、ラジエータファンがファンモータにより駆動される構成を前提しており、ラジエータファン等の冷却ファンがファンカップリング装置を介して内燃機関から伝達される駆動力によって回転するような構成において、冷却ファンに作用する外力が冷却ファンの回転を阻害する程度に大きいか否かの判定をどのようにするかについて示唆するものではない。
本発明は、ファンカップリング装置を介して動力源からの駆動力により冷却ファンを回転させる構成において、冷却ファンに外力が作用しているいるか否かを精度よく判定するファンカップリング装置の診断装置を提供することを目的とする。
本発明のファンカップリング装置の診断装置は、動力源から冷却ファンに伝達される駆動力を作動油量に応じて変化させるファンカップリング装置において、所定の過渡状態ではないときに、前記ファンカップリング装置の運転状態が冷却ファン回転数異常運転領域内にあると、前記冷却ファンに外力が作用していると判定する。
本発明によれば、過渡状態を考慮しつつ、冷却ファンの一部が水面下に没するなどして、冷却ファンに外力が作用した状態であるか否かを精度良く判定することができる。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるファンカップリング装置1の車両への搭載状態を模式的に示した説明図である。
ファンカップリング装置1は、ブラケット2を介して内燃機関3に固定されている。このファンカップリング装置1は、供給される作動油量に応じて駆動力を伝達するものであって、入力軸4と、入力軸4の回転が作動油の粘性を利用して伝達されるハウジング5と、ファンカップリング装置1内の作動油の流れを制御する作動油量調整手段としての電磁バルブ機構6と、から大略構成されている。前記作動油としては、例えばシリコンオイルが用いられる。
ファンカップリング装置1の入力軸4には、同軸状にプーリ7が取り付けられている。プーリ7は、補機ベルト8を介して内燃機関3のクランクシャフト(図示せず)に設けられたクランクプーリ(図示せず)に連係している。ファンカップリング装置1のハウジング5には、冷却ファン9が取り付けられている。
電磁バルブ機構6は、エンジンルーム内に設けられたアンダーフードスイッチングモジュール(USM)10からの電気的な制御指令値であるデューティ信号により制御されている。このUSM10は、CAN通信によってエンジンコントロールモジュール(ECM)11と結ばれている。ECM11には、冷却ファン9の回転数を検出する冷却ファン回転数センサ12、アクセル開度センサ13、車速センサ14、冷却水温センサ15、クランク角センサ16等の各種センサの検出信号が入力されている。
ECM11は、これら各種センサから検出信号に基づいて種々の制御を行うと共に、運転状態に応じて電磁バルブ機構6の目標デューティ比を算出し、CAN通信によりUSM10に送信している。なお、内燃機関3の回転数はクランク角センサ16の検出信号から算出される。
図2は、本発明が適用されるファンカップリング装置1の一例を示す断面図であり、(A)及び(B)は、後述する作動油貯留室22と駆動力伝達室23とが遮断された状態及び連通した状態をそれぞれ示している。
ファンカップリング装置1は、ベアリング21を介して入力軸4に相対回転可能に支持されるハウジング5と、ハウジング5内を作動油貯留室22と駆動力伝達室23とを画成する環状のセパレートプレート24と、作動油貯留室22と駆動力伝達室23とを連通するようにセパレートプレート24に形成された作動油供給孔25と、駆動力伝達室23内に配置されると共に、入力軸4の先端に固定されたディスク26と、ディスク26の回転をハウジング5に伝達するトルク伝達部27と、セパレートプレート24の作動油供給孔25を開閉して作動油貯留室22から駆動力伝達室23に流入する作動油の流量を調整する電磁バルブ機構6と、を有している。
ハウジング5は、ベアリング21を介して入力軸4に回転可能に支持されるケース部28と、ケース部28に前面側(図2における左側)にボルトにより固定されるカバー部29と、によって構成されている。ケース部28は、内周側に作動油貯留室22を形成するための環状の凹部30を有し、この凹部30の外周側に、駆動力伝達室23から作動油貯留室22に作動油を戻すための作動油回収通路(図示せず)が形成されている。また、このハウジング5の外周側に、冷却ファン9が固定されている。
トルク伝達部27は、ディスク26とカバー部29との間に形成されている。具体的には、カバー部29に設けられた同心円状の複数の突出壁31と、ディスク26に設けられた同心円状の複数の突出壁32と、を所定の間隙で交互に位置するよう配置することによってトルク伝達部27が構成されている。
電磁バルブ機構6は、ベアリング33を介して入力軸4に回転可能に支持された電磁コイル34と、電磁コイル34の前面(図2における左側)を覆う環状の鉄芯35と、ケース部28に対して前後方向(図2における左右方向)に摺動可能に支持された環状のアーマチュア36と、アーマチュア36に固定された弁部材37と、を有している。
この電磁バルブ機構6において、電磁コイル34に通電されていない状態では、図示せぬスプリングによってアーマチュア36が前方(図2における左側)に付勢されることになり、図2(A)に示すように、弁部材37がセパレートプレート24に押し付けられて作動油供給孔25が閉じられた状態となる。この状態では、作動油貯留室22から駆動力伝達室23への作動油の供給は停止され、駆動力伝達室23に作動油がある場合には、この作動油は前記作動油回収路を介して作動油貯留室22に回収される。このため入力軸4と一体に回転するディスク26を介したケース部28へのトルク伝達率が減少し、ハウジング5に取り付けられた冷却ファン9の回転数は低下する。
電磁コイル34に通電された状態では、鉄芯35が磁化され、アーマチュア36が前記スプリングの付勢力に抗して後方(図2における右側)に移動することになり、図2(B)に示すように、弁部材37がセパレートプレート24から離れ、作動油供給孔25が開き、作動油貯留室22内の作動油が駆動力伝達室23に供給される。この駆動力伝達室23に供給される作動油が増加すると、入力軸4と一体に回転するディスク26を介したケース部28へのトルク伝達率が増加し、ハウジング5に取り付けられた冷却ファン9の回転数が増加する。
作動油貯留室22から駆動力伝達室23への作動油の供給量は、電磁コイル34へのデューティ信号によって決まる。すなわち、デューティ比が大きくなるほど、作動油供給孔25と弁部材37との間隔が大きくなり、作動油貯留室22から駆動力伝達室23への作動油の供給量が増加するため、冷却ファン9の回転数も増加することになる。なお、デューティ比が0%のときには、弁部材37により作動油供給孔25が閉じられた状態となるので、作動油貯留室22から駆動力伝達室23への作動油の供給量がゼロとなる。デューティ比が100%のときには、作動油供給孔25と弁部材37との間隔が最大となり、作動油貯留室22から駆動力伝達室23への作動油の供給量が最大となって、冷却ファン9の回転数が最大となる。
また、冷却ファン9の回転数は、運転条件に応じて算出される目標冷却ファン回転数に対して、冷却ファン回転数センサ12により検出された冷却ファン9の実際の回転数が一致するようにフィードバック制御されている。
このようなファンカップリング装置1においては、例えば道路冠水のような状況で車両が水たまりを通過する際に冷却ファン9の一部が水面下に没すると、冷却ファン9の回転が水の抵抗によって妨げられることになる。このような場合に、冷却ファン9の回転数を、目標冷却ファン回転数となるようフィードバック制御しようとすれば、冷却ファン9や、駆動力を伝達する補機ベルト8に過大な力が作用することになり、悪影響をおよぼす虞がある。
深い浸水路に車両が一気に進入するような場合には、水の抵抗により冷却ファン9の回転数が急激に低下することになるため、冷却ファン回転数が予め設定された異常判定回転数を下回ることをもって、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していると判定可能である。これによって、冷却ファン9の一部が急激に水面下に没し、冷却ファン9に過大が外力が急激に作用した状態であるか否かを精度良く判定することができる。なお、異常判定回転数は、内燃機関3の運転中であればとり得ないような低い値であり、例えば、100rpm程度の値が用いられる。
一方、深い浸水路に徐々に車両が進入する場合や、浅い浸水路に車両が進入するような場合には、冷却ファン回転数が必ずしも急激に低下せず、冷却ファン回転数と異常判定回転数とを比較する判定のみでは、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用している状態であるか否かを速やかに判定できない虞がある。また、冷却ファン回転数が目標冷却ファン回転数となるようフィードバック制御されているため、冷却ファン回転数が目標冷却ファン回転数となるようにデューティ比が増加し、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用しているにもかかわらず冷却ファン回転数が異常判定回転数まで低下しない可能性もある。
そこで、本発明では、さらにファンカップリング装置1の運転状態が、ファンカップリング装置1の入力軸4の回転数であるカップリング入力回転数と、ファンカップリング装置1のハウジング5の回転数である冷却ファン回転数と、電磁バルブ機構6への制御指令値であるデューティ比とによって予め設定されている冷却ファン回転数異常運転領域内にあると判定された場合に、浸水により冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していると判定する。この冷却ファン回転数異常運転領域は、冷却ファン9に対して外力が作用していない正常時に比べ、カップリング入力回転数とデューティ比に対する冷却ファン回転数が過度に低くなる領域である。
図3は、冷却ファン回転数をX軸、カップリング入力回転数をY軸、デューティ比をZ軸とする直交3軸の3次元直交座標系に、冷却ファン回転数異常運転領域を模式的に示した説明図である。冷却ファン回転数異常運転領域は、図3に1つの3次元的な面として示される浸水判定境界面P1よりもY軸方向で下側の領域である。図3中に複数の破線で示す正常時冷却ファン回転数下限面P2は、冷却ファン9に対して外力が作用していない正常時に、カップリング入力回転数とデューティ比に対して、冷却ファン回転数が取り得る下限値を示したものである。この正常時冷却ファン回転数下限面P2は、浸水判定境界面P1よりもY軸方向で上側に位置している。つまり、正常時冷却ファン回転数下限面P2よりも上側の領域が、ファンカップリング装置1の正常時運転領域であり、カップリング入力回転数、冷却ファン回転数及びデューティ比によって表されるファンカップリング装置1の運転状態がこの正常時運転領域内にある場合には、冷却ファン9は外力を受けずに正常に回転していることになる。
ただし、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していなくても、カップリング入力回転数の変化に対する冷却ファン回転数の応答遅れや、デューティ比の変化に対する冷却ファン回転数の応答遅れにといったファンカップリング装置1の応答遅れにより、ファンカップリング装置1の運転状態が一時的に浸水判定境界面P1から下側の冷却ファン回転数異常運転領域になってしまう場合がある。すなわち、過渡時においては、ファンカップリング装置1の運転状態が冷却ファン回転数異常運転領域にあったとしても、冷却ファン9が水没しておらず、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していない場合があり得る。
内燃機関3の回転数が急激に増加する過渡時においては、ファンカップリング装置1の応答遅れによりカップリング入力回転数に対して冷却ファン回転数が相対的に低くなり、ファンカップリング装置1の運転状態が一時的に冷却ファン回転数異常運転領域内に位置してしまう可能性がある。しかし、この場合にはカップリング入力回転数の上昇に伴い、冷却ファン回転数も基本的には上昇するので、冷却ファン回転数の単位時間当たりの変化率は正の値となる。
そこで、本実施例では、内燃機関3の回転数が急激に増加する過渡時を考慮して、冷却ファン回転数の単位時間当たりの変化率が予め設定された所定値Aよりも小さい場合にのみ、冷却ファン回転数異常運転領域を用いて冷却ファン9に過大な外力が作用した状態であるか否かの判定(浸水判定)を実施する。ここで、所定値Aは、0または負の値である。
図4は、図3に示した浸水判定境界面P1を、ある一定のデューティ比の下でカップリング入力回転数と冷却ファン回転数とをパラメータとした2次元直交座標系上に示したものである。
前述したように、内燃機関3の回転数が急激に増加した場合には、図4中に矢示するように、ファンカップリング装置1の運転状態が、Q1点から浸水判定境界面P1を越えて冷却ファン回転数異常運転領域に移行することになるが、冷却ファン回転数の単位時間当たりの変化率が予め設定された所定値A以上であれば冷却ファン回転数異常運転領域を用いた判定は実施しない。
また、目標冷却ファン回転数が短時間で急激に増加する過渡時においては、ファンカップリング装置1の応答遅れによりデューティ比に対して冷却ファン回転数が相対的に低くなり、ファンカップリング装置1の運転状態が一時的に冷却ファン回転数異常運転領域内に位置してしまう可能性がある。しかし、この場合にはデューティ比が冷却ファン回転数を増加させる側に変化するため、基本的に冷却ファン回転数の単位時間当たりの変化率が正の値となると共に、カップリング入力回転数と冷却ファン回転数との速度比(冷却ファン回転数/カップリング入力回転数)の単位時間当たりの変化率が正の値となる。
そこで、本実施例では、目標冷却ファン回転数が短時間で急激に増加する過渡時を考慮して、冷却ファン回転数の単位時間当たりの変化率が予め設定された所定値Aよりも小さく、かつカップリング入力回転数と冷却ファン回転数との速度比の単位時間当たりの変化率が予め設定された所定値Bよりも小さい場合にのみ、冷却ファン回転数異常運転領域を用いて冷却ファン9に過大な外力が作用した状態であるか否かの判定を実施する。ここで、所定値Bは、0または負の値である。
図5は、図3に示した浸水判定境界面P1を、ある一定のカップリング入力回転数の下でデューティ比と冷却ファン回転数とをパラメータとした2次元直交座標系上に示したものである。
前述したように、目標冷却ファン回転数が短時間で急激に増加した場合には、図5中に矢示するように、ファンカップリング装置1の運転状態が、Q2点から浸水判定境界面P1を越えて冷却ファン回転数異常運転領域に移行することになるが、冷却ファン回転数の単位時間当たりの変化率が予め設定された所定値A以上で、かつカップリング入力回転数と冷却ファン回転数との速度比の単位時間当たりの変化率が予め設定された所定値B以上であれば、冷却ファン回転数異常運転領域を用いた判定は実施しない。
従って、カップリング入力回転数が急激に増加するような過渡状態を考慮しつつ、冷却ファン9の一部が水面下に没する等して、冷却ファン9に過大な外力が作用した状態であるか否かを精度良く判定することができる。
なお、所定値A及びBの値は、実際のファンカップリング装置1の応答遅れを考慮して設定される。
図6は、内燃機関3の運転中にECM11内で実施されるファンカップリング装置1の制御の流れを示すフローチャートである。
本フローチャートで示す制御は、内燃機関3の始動後に冷却ファン回転数が異常判定回転数よりも大きい所定の閾値に一度到達した場合に実行される制御である。これは、内燃機関3の始動時の冷却ファン9の回転の立ち上がり(始動時は冷却ファン回転数がゼロ)によって、後述するS1での誤判定を防止するためである。尚、前記所定の閾値は、例えば、内燃機関3運転中における正常時の冷却ファン回転数の最低値(内燃機関3の回転数がアイドル回転数で、デューティ比が0%における正常時の冷却ファン回転数)としてもよい。また、内燃機関3の始動から所定時間経過後に本フローチャートで示す制御を実施するようにしても、後述するS1での誤判定を防止できる。
S1では、冷却ファン回転数が予め設定された異常判定回転数(例えば100rpm)よりも低いか否かを判定し、低い場合にはS4へ進み、そうでない場合にはS2へ進む。
S2では、冷却ファン回転数の変化率が所定値Aよりも小さく、かつカップリング入力回転数と冷却ファン回転数との速度比(冷却ファン回転数/カップリング入力回転数)の変化率が所定値Bよりも小さい場合にはS3へ進み、そうでない場合には内燃機関3の回転数が急激に増加する過渡時もしくは目標冷却ファン回転数が短時間で急激に増加するような過渡時と判定してS9へ進む。入力軸4の回転数であるカップリング入力回転数は、プーリ7と前記クランクプーリの径の比を用いて内燃機関3の回転数から算出される。
S3では、カップリング入力回転数と冷却ファン回転数とデューティ比とで定まるファンカップリング装置1の運転状態を浸水判定境界面P1と比較して冷却ファン回転数異常運転領域であるか否かを判定し、ファンカップリング装置1の運転状態が冷却ファン回転数異常運転領域内の値であればS4へ進み、そうでない場合には冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していないものと判定してS9へ進む。
S4では、冷却ファン回転数が予め設定されたセンサ故障判定回転数よりも低いか否かを判定する。このS4は、冷却ファン回転数センサ12の断線による故障を判定するステップである。センサ故障判定回転数は、例えば15rpm程度の値に設定されており、異常判定回転数によりも十分に低い値となっている。
S4にて、冷却ファン回転数がセンサ故障判定回転数よりも低い値であればS5へ進み、冷却ファン回転数センサ12が断線により故障し、冷却ファン回転数が検出できない状態であると判定して、S1〜S3の判定結果は妥当なものではないとする。そして、S6へ進んでデューティ比を例えば100%のような高いデューティ比に設定し、今回のルーチンを終了する。
S4にて、冷却ファン回転数がセンサ故障判定回転数以上の値であれば、冷却ファン回転数センサ12は故障しておらず、S1〜S3の判定結果は妥当なものとしてS7へ進む。
S7では、車両が浸水路に進入し、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していると判定し、S8ヘ進む。S8では、デューティ比を予め設定された浸水判定復帰限界値に設定し、S3へ進む。浸水判定復帰限界値の値としては例えば10〜20%程度の小さい値が設定される。つまり、冷却ファン9の少なくとも一部が水面下に没し、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用しているとの判定がされると、入力軸4から冷却ファン9に伝達される駆動力が小さくなるようにデューティ比を小さくする。
これによって、冷却ファン9が、冷却ファン9に作用する外力(水の抵抗)に抗して、正常な回転数を維持しようとすることが回避されるので、補機ベルト8や冷却ファン9に、過大な力が作用することを回避でき、冷却ファン9や補機ベルト8の長寿命化を実現することができる。
そして、外力(水の抵抗)に抗して冷却ファン9が正常な回転数を維持しようとはしないため、ファンカップリング装置1、ブラケット2及び補機ベルト8に要求される強度を相対的に小さくすることが可能となり、ファンカップリング装置1、ブラケット2及び補機ベルト8の軽量化やコスト低減を図ることができる。
また、冷却ファン9の一部が水面下に没し、冷却ファン9に過大な外力が作用するような場合には、デューティ比が小さくなることにより、内燃機関3から冷却ファン9に伝達される駆動力が小さくなるので、部品強度を上げることなく、冷却ファン9や、補機ベルト8、ファンカップリング装置1の信頼性を向上させることができる。
なお、S8で、デューティ比が浸水判定復帰限界値に設定されると、S3でファンカップリング装置1の運転状態が冷却ファン回転数異常運転領域から抜け出したと判定されるまで、デューティ比は浸水判定復帰限界値に固定される。つまり、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していると判定されると、ファンカップリング装置1の運転状態が冷却ファン回転数異常運転領域外の状態となるまで、デューティ比は浸水判定復帰限界値を維持することになる。
一方、冷却ファン9に正常な回転を妨げる外力が作用していないと考えられるS9では、電磁バルブ機構6の固着判定を実施する。ファンカップリング装置1には、電磁コイル34への通電を停止するためデューティ比0%としても、弁部材37が作動油供給孔25を閉じないバルブ固着が生じることがある。このバルブ固着の原因としては、作動油供給孔25への異物の噛み込みや、電磁コイル34への通電が停止されない回路故障が考えられる。このようなバルブ固着が発生すると、必要以上に冷却ファン9が回転することになり、内燃機関3の負荷が増大することになるため、バルブ固着が発生しているか否かを判定することは重要である。
そこで、S9にて、デューティ比0%、かつ冷却ファン回転数が固着判定回転数よりも高い場合にはS10へ進みバルブ固着と判定し、そうでない場合にはS11へ進む。固着判定回転数は、例えばカップリング入力回転数に応じて算出される閾値であり、カップリング入力回転数が高くなるほど高くなるよう設定されるものである。
S11では、冷却ファン回転数が目標冷却ファン回転数よりも低いか否かを判定し、低い場合にはS12へ進んで冷却ファン回転数が目標冷却ファン回転数に近づくようにデューティ比を上げ、そうでない場合にはS13へ進み冷却ファン回転数が目標冷却ファン回転数に近づくようにデューティ比を下げる。
このように、本発明では、冷却ファン9に過大な外力が作用した状態であるか否かの判定、冷却ファン回転数センサ12の故障判定、電磁バルブ機構6の固着判定、及び冷却ファン回転数のフィードバック制御が、同一の制御ルーチンで実施しているので、互いに競合しあうことを回避することができる。
なお、図6において、S6を省略し、S5で冷却ファン回転数センサ12を断線による故障と判定した場合にS11へ進むように変更してもよい。冷却ファン回転数センサ12が断線しているような場合、検出される冷却ファン回転数は故障判定回転数よりも低い値となっているので、S11からはディーティ比を上げるS12へ必ず進むことになり、冷却ファン回転数センサ12が断線している時のデューティ比の制御としては、実質的に同じである。
1…ファンカップリング装置
2…ブラケット
3…内燃機関
4…入力軸
5…ハウジング
6…電磁バルブ機構
7…プーリ
8…補機ベルト
9…冷却ファン
10…USM
11…ECM
12…冷却ファン回転数センサ
2…ブラケット
3…内燃機関
4…入力軸
5…ハウジング
6…電磁バルブ機構
7…プーリ
8…補機ベルト
9…冷却ファン
10…USM
11…ECM
12…冷却ファン回転数センサ
Claims (8)
- 動力源から冷却ファンに伝達される駆動力を作動油量に応じて変化させるファンカップリング装置において、
前記冷却ファンの回転数を検出する冷却ファン回転数検出手段と、
前記ファンカップリング装置に入力されるカップリング入力回転数を検出するカップリング入力回転数検出手段と、
前記冷却ファンの回転数が目標冷却ファン回転数となるように前記作動油量を電気的な制御指令値に応じて調整する作動油量調整手段と、
所定の過渡状態であるか否かを判定する過渡判定手段と、
前記カップリング入力回転数と前記冷却ファン回転数と前記制御指令値とによって定まる前記ファンカップリング装置の運転状態が、予め設定されている冷却ファン回転数異常運転領域内にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、を有し、
前記所定の過渡状態ではないときに、前記ファンカップリング装置の運転状態が前記冷却ファン回転数異常運転領域内にあると、前記冷却ファンに外力が作用していると判定することを特徴とするファンカップリング装置の診断装置。 - 冷却ファン回転数が所定の異常判定回転数よりも低い場合に、前記冷却ファンに外力が作用していると判定することを特徴とする請求項1に記載のファンカップリング装置の診断装置。
- 前記過渡判定手段は、前記冷却ファン回転数の変化率が0または負の値のときに前記所定の過渡状態ではないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載のファンカップリング装置の診断装置。
- 前記過渡判定手段は、前記カップリング入力回転数と前記冷却ファン回転数との速度比の変化率が0または負の値のときに前記所定の過渡状態ではないと判定することを特徴とする請求項3に記載のファンカップリング装置の診断装置。
- 前記冷却ファン回転数異常運転領域は、前記冷却ファンに外力が作用していない状態に比べ、前記カップリング入力回転数と前記制御指令値とに対する前記冷却ファン回転数が相対的に低い領域として設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のファンカップリング装置の診断装置。
- 前記冷却ファンに外力が作用していると判定したときに、前記作動油量調整手段は、前記動力源から前記冷却ファンに伝達される駆動力が小さくなるよう前記制御指令値を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のファンカップリング装置の診断装置。
- 前記冷却ファン回転数は、前記異常判定回転数よりも低い値に予め設定されたセンサ故障判定回転数よりも低い場合、前記冷却ファンに外力が作用しているか否かの判定は行わず、前記冷却ファン回転数検出手段が故障したと判定することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のファンカップリング装置の診断装置。
- 前記ファンカップリング装置は、前記内燃機関によって回転駆動される入力軸と、前記入力軸に相対回転可能に支持されるハウジングと、前記ハウジング内に画成され、前記作動油の供給量に応じて前記入力軸から前記ハウジングへ伝達される駆動力が変更される駆動力伝達室と、該駆動力伝達室に供給される作動油を貯留する作動油貯留室と、前記駆動力伝達室と前記作動油貯留室とを連通する作動油供給通路と、を有し、
前記作動油量調整手段は、前記制御指令値に応じて前記作動油供給通路を開閉する電磁バルブ機構であって、
前記ファンカップリング装置の運転状態が前記冷却ファン回転数異常運転領域外にあるときに、
前記電磁バルブ機構が、前記制御指令値により前記駆動力伝達室への作動油の供給を停止するように指示された状態で、前記冷却ファン回転数が予め設定された固着判定回転数よりも高い場合には、前記電磁バルブ機構が固着したものと判定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のファンカップリング装置の診断装置。
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Country | Link |
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JP (1) | JP2013053526A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113829878A (zh) * | 2020-06-08 | 2021-12-24 | 长城汽车股份有限公司 | 控制车辆的方法、装置及车辆 |
CN114439595A (zh) * | 2022-03-09 | 2022-05-06 | 广西玉柴机器股份有限公司 | 一种发动机风扇控制方法 |
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2011
- 2011-09-01 JP JP2011190243A patent/JP2013053526A/ja not_active Withdrawn
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CN113829878A (zh) * | 2020-06-08 | 2021-12-24 | 长城汽车股份有限公司 | 控制车辆的方法、装置及车辆 |
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