JP2013048118A - 閉じ込められた層を製造するための方法、及び同方法によって製造されたデバイス - Google Patents

閉じ込められた層を製造するための方法、及び同方法によって製造されたデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 電子デバイスを形成するための改善された方法の必要性が存在する。
【解決手段】 第1の層の上に、閉じ込められた第2の層を形成する方法であって、第1の表面エネルギーを有する第1の層を形成する工程と、第1の層を反応性界面活性組成物で処理して、第1の表面エネルギーよりも低い第2の表面エネルギーを有する処理された第1の層を形成する工程と、処理された第1の層を放射線に曝露する工程と、第2の層を形成する工程とを含む方法が提供される。また、該方法によって製造される有機電子デバイスも提供される。
【選択図】 図1

Description

本開示は、一般に、電子デバイスを製造するための方法に関する。それは、さらに、該方法によって製造されたデバイスに関する。
この出願は、特願2008−557249号の分割出願である。
有機活性材料を利用する電子デバイスは、多くの異なる種類の電子機器に存在する。そのようなデバイスでは、有機活性層が2つの電極の間に挟まれている。
電子デバイスの1つのタイプは、有機発光ダイオード(OLED)である。OLEDは、それらの高い電力変換効率及び低い加工費により、ディスプレイ用途に有望である。そのようなディスプレイは、携帯電話、携帯情報端末、ハンドヘルドパーソナルコンピュータ、及びDVDプレイヤーを含む、電池式の可搬型電子デバイスに特に有望である。これらの用途は、低消費電力に加えて、高い情報量、フルカラー、及び高速のビデオレート応答時間をもつディスプレイを必要とする。
フルカラーOLEDの生産における現在の研究は、カラーピクセルを生産するための、費用効果の高い高スループット法の開発に向けられている。液体処理によるモノクロディスプレイの製造では、スピンコーティング法が広く採用されてきた(例えば、非特許文献1参照)。しかし、フルカラーディスプレイの製造は、モノクロディスプレイの製造で使用される手順に特定の修正を必要とする。例えば、フルカラー画像のディスプレイを作るためには、各ディスプレイピクセルが、3つのディスプレイ原色、すなわち、赤、緑、及び青のうちの1つをそれぞれが発する、3つのサブピクセルへと分割される。3つのサブピクセルへのフルカラーピクセルのこの分割は、色付きの液体材料(すなわち、インク)の拡散及び色の混合を防ぐために、現行の方法を修正する必要性をもたらした。
インクの閉じ込め(containment)をもたらすいくつかの方法が、文献に記載されている。これらは、閉じ込め構造体、表面張力の不連続性、及び両者の組合せに基づく。閉じ込め構造体は、拡散に対する幾何学的障害物、すなわち、ピクセルウェル、バンクなどである。効果的であるためには、これらの構造体は、堆積された材料の湿潤厚さに匹敵する、大きなものでなければならない。発光インクがこれらの構造体内に印刷される場合、該インクが構造体表面上を濡らし、このため、厚さの均一性は、構造体の近くで低下する。したがって、操作の際に不均一性が見えないように、構造体は発光「ピクセル」領域の外に移動させられていなければならない。ディスプレイ(特に高解像度ディスプレイ)上のスペースが限られているので、これは、ピクセルの利用可能な発光範囲を減少させる。実際的な閉じ込め構造は、一般に、電荷注入層及び輸送層の連続層を堆積させるときの品質に悪影響を与える。その結果として、すべての層が印刷されなければならない。
さらに、表面張力の不連続性は、低表面張力材料の印刷された領域又は蒸着された領域のいずれかが存在するときに得られる。これらの低表面張力材料は、一般に、ピクセルエリア内に第1の有機活性層を印刷又はコーティングする前に適用されなければならない。一般に、これらの処理の使用は、連続的な非発光層をコーティングするときに品質に影響を与え、そのためすべての層が印刷されなければならない。
2つのインク閉じ込め技術の組合せの一例が、フォトレジストバンク構造体(ピクセルウェル、チャネル)のCF4−プラズマ処理である。一般に、すべての活性層がピクセルエリア内に印刷されなければならない。
米国特許出願第2004−0094768号 米国特許出願第2004−0102577号 米国特許出願第2004−0127637号 米国特許第6,670,645号 PCT国際公開出願WO03/063555 PCT国際公開出願WO2004/016710 PCT国際公開出願WO03/008424 PCT国際公開出願WO03/091688 PCT国際公開出願WO03/040257 米国特許第6,303,238号 PCT国際公開出願WO00/70655 PCT国際公開出願WO01/41512
デビッド・ブラウン(David Braun)及びアラン・J・ヒーガー(Alan J. Heeger)、応用物理レター(Appl. Phys. Letters)58、1982(1991)参照) 化学及び物理学のCRCハンドブック(CRC Handbook of Chemistry and Physics)、第81版(2000〜2001) Y・ワン(Y. Wang)によるカーク・オスマーの工業化学百科事典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、第18巻、837〜860ページ、1996
すべてのこれらの閉じ込め方法は、連続コーティングを妨げるという欠点を有する。1以上の層の連続コーティングは、より高い生産率及びより低い機器コストをもたらすことができるので望ましい。したがって、電子デバイスを形成するための改善された方法の必要性が存在する。
第1の層の上に、閉じ込められた第2の層を形成する方法が提供され、この方法は、
第1の表面エネルギーを有する第1の層を形成する工程と、
第1の層を反応性界面活性組成物で処理して、第1の表面エネルギーよりも低い第2の表面エネルギーを有する処理された第1の層を形成する工程と、
処理された第1の層を放射線に曝露する工程と、
第2の層を形成する工程と
を含む。
電極の上に位置決めされた第1の有機活性層と第2の有機活性層とを含む有機電子デバイスを製造する方法が提供され、前記方法は、
電極の上に第1の表面エネルギーを有する第1の有機活性層を形成する工程と、
第1の有機活性層を反応性界面活性組成物で処理して、第1の表面エネルギーよりも低い第2の表面エネルギーを有する処理された第1の有機活性層を形成する工程と、
処理された第1の有機活性層を放射線に曝露する工程と、
第2の有機活性層を形成する工程と
を含む。
電極の上に位置決めされた第1の有機活性層と第2の有機活性層とを含む有機電子デバイスであって、第1の有機活性層と第2の有機活性層との間に反応性界面活性組成物をさらに含む有機電子デバイスもまた提供される。
以上の概説及び以下の「詳細な説明」は、単なる例示及び説明にすぎず、添付の特許請求の範囲で定義される本発明を制限するものではない。
諸実施形態は、本明細書で提示される概念の理解を高めるために添付図に示されている。
諸図の物体が、単純且つ明瞭にするために示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが、当業者には理解される。例えば、図中の物体のうちのいくつかの寸法は、諸実施形態の理解の向上を助けるために、他の物体と比較して誇張されていることがある。
接触角を示す図である。 有機電子デバイスの図である。 アノードラインを有する基材の図である。 バッファ材料でコーティングされた図3の基材の図である。 反応性界面活性組成物でさらにコーティングされた図4の基材の図である。 曝露及び現像後の図5の基材の図である。
(詳細な説明)
第1の層の上に、閉じ込められた第2の層を形成する方法が提供され、この方法は、
第1の表面エネルギーを有する第1の層を形成する工程と、
第1の層を反応性界面活性組成物で処理して、第1の表面エネルギーよりも低い第2の表面エネルギーを有する処理された第1の層を形成する工程と、
処理された第1の層を放射線に曝露する工程と、
処理されて曝露された第1の層の上に第2の層を適用する工程と
を含む。
多くの態様及び実施形態が以上で記載されたが、単なる例示にすぎず、制限するものではない。本明細書を読んだ後、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様及び実施形態が可能であることを理解する。
諸実施形態のうちのいずれか1つ又はそれ以上の他の特徴及び利益は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。詳細な説明は、初めに用語の定義及び明確化に取り組み、反応性界面活性組成物、方法、有機電子デバイス、及び最後に実施例が続く。
1.用語の定義及び明確化
後述する諸実施形態の詳細を扱う前に、いくつかの用語を定義し、明確化する。
層又は材料に言及するときの用語「活性」は、電子特性又は電子放射(electro-radiative)特性を示す層又は材料を意味することが意図される。電子デバイスでは、活性材料は、デバイスの動作を電子的に促進する。活性材料の例には、電荷(電荷は、電子又は正孔のいずれであってもよい)を伝導、注入、輸送、又は遮断する材料、並びに、放射線を受けるときに放射線を発するか、又は電子−正孔対の濃度の変化を呈する材料が含まれるが、これらに限定されない。不活性材料の例には、平坦化材料(planarization materials)、絶縁材料、及び環境障壁材料(environmental barrier materials)が含まれるが、これらに限定されない。
層に言及するときの用語「閉じ込められた(contained)」は、層が、それが堆積された範囲を大きく越えて広がらないことを意味することが意図される。層は、表面エネルギーの影響、又は表面エネルギーの影響と物理的障壁構造体との組合せによって閉じ込めることができる。
用語「電極」は、電子的な構成要素内でキャリアを輸送するように構成された部材又は構造体を意味することが意図される。例えば、電極は、アノード、カソード、キャパシタ電極、ゲート電極などであってよい。電極は、トランジスタの一部、キャパシタの一部、レジスタの一部、インダクタの一部、ダイオードの一部、電子的な構成要素の一部、電源の一部、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
用語「有機電子デバイス」は、1以上の有機半導体層又は材料を含むデバイスを意味することが意図される。有機電子デバイスには、(1)電気エネルギーを放射線へと変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザ、又は照明パネル)、(2)電子的プロセスを使用して信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、赤外線(「IR」)検出器、又はバイオセンサ)、(3)放射線を電気エネルギーへと変換するデバイス(例えば、光起電デバイス又は太陽電池)、(4)1以上の有機半導体層を含む1以上の電子的な構成要素を含むデバイス(例えば、トランジスタ又はダイオード)、又は項目(1)〜(4)のデバイスの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。
有機化合物に言及するときの用語「フッ素化」は、該化合物中の水素原子の1以上がフッ素によって置き換えられていることを意味することが意図される。その用語は、部分フッ素化材料及び完全フッ素化材料を包含する。
用語「放射(radiating)/放射線(radiation)」は、そのような放射線が光線の形態であるか、波動の形態であるか、粒子の形態であるかにかかわらず、任意の形態の熱、電磁スペクトル全体、又は亜原子粒子(subatomic particles)を含めたいずれかの形態でエネルギーを加えることを意味する。
用語「反応性界面活性組成物」は、放射線感受性である少なくとも1つの材料を含む組成物を意味することが意図され、該組成物が層に適用された場合、その層の表面エネルギーが低下する。反応性界面活性組成物を放射線に曝露すると、組成物の少なくとも1つの物理的特性が変化することになる。この用語は「RSA」と略され、放射線への曝露前及び曝露後の両方の組成物を指す。
材料に言及するときの用語「放射線感受性」は、放射線への曝露が材料の少なくとも1つの化学的、物理的、又は電気的特性をもたらすことを意味することが意図される。
用語「表面エネルギー」は、材料から単位面積の表面を作り出すのに必要なエネルギーである。表面エネルギーの特徴は、所与の表面エネルギーをもつ液体材料が、より低い表面エネルギーをもつ表面を濡らさないことである。
用語「層」は、用語「被膜」と交換可能に使用されており、所望の範囲を覆うコーティングを指す。その用語は、サイズによって制限されない。その範囲は、デバイス全体ほどに大きなもの、若しくは実際のビジュアルディスプレイのような特定の機能区域ほどに小さなものとすることができ、又は単一のサブピクセルほどに小さなものとすることができる。層及び被膜は、蒸着、液体堆積(連続法及び不連続法)、並びに熱転写を含めた、いかなる従来の堆積法によっても形成することができる。
用語「液体組成物」は、材料がそれに溶解されて溶液を形成する液体媒体、材料がそれに分散されて分散液を形成する液体媒体、又は材料がそれに懸濁されて懸濁液若しくはエマルションを形成する液体媒体を意味することが意図される。「液体媒体(liquid medium)」は、溶媒又はキャリア流体の添加なしに液体である材料、すなわち、その凝固温度を上回る温度にある材料を意味することが意図される。
用語「液体閉じ込め構造体」は、被加工物内又は被加工物上の構造物であって、そのような1以上の構造体が、単独で又は集合的に、液体が被加工物の上を流れるときに該液体をある範囲又は領域内で拘束又は誘導する主要な機能を果たすものを意味することが意図される。液体閉じ込め構造体は、カソードセパレータ又はウェル構造体を含むことができる。
用語「液体媒体」は、純粋な液体、液体の組合せ、溶液、分散液、懸濁液、及びエマルションを含めた、液体材料を意味することが意図される。液体媒体は、1又はそれ以上の溶媒が存在するかどうかにかかわらず使用される。
本明細書で使用するとき、用語「上(over)」は、層、部材、又は構造体が、別の層、部材、又は構造体のすぐ隣にあるか、又は接触していることを必ずしも意味するわけではない。介在する追加の層、部材、又は構造体が存在する場合がある。
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprises)」「含んでいる(comprising)」「含む(includes)」「含んでいる(including)」「有する(has)」「有している(having)」、又はそれらの他の任意の変形形態は、非排他的な包含に及ぶことが意図される。例えば、要素のリストを含む方法(process、プロセス)、方法(method)、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されるわけではなく、明確に列挙されていない、又はかかるプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有ではない他の要素を含み得る。さらに、そうでない旨が明記されない限り、「又は/若しくは(or)」は、包含的な「又は/若しくは」を指し、排他的な「又は/若しくは」ではない。例えば、条件A又はBは、次のいずれか1つによって満たされる:Aは真である(又は存在する)及びBは偽である(又は存在しない)、Aは偽である(又は存在しない)及びBは真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)。
また、「不定冠詞(a又はan)」の使用は、本明細書に記載の諸要素及び諸構成要素を記述するために用いられる。これは、単に便宜上、及び、本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この記述は、1つ又は少なくとも1つを含むものと読まれるべきであり、単数形はまた、そうではないことを意味することが自明でない限り、複数形も含む。
元素周期表内の縦列に対応する族番号は、非特許文献2に見られる「新表記法(New Notation)」変換を使用する。
特に定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似又は相当する方法及び材料を、本発明の諸実施形態を実施又は試験する際に使用できるが、以下に好適な方法及び材料を記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、特定の節が引用されるのでない限り、それらの全体が参照することにより組み込まれる。抵触する場合、定義を含め本明細書が支配することになる。さらに、材料、方法、及び実施例は、単なる例示にすぎず、制限を意図するものではない。
本明細書に記載されていない範囲では、特定の材料、加工処理活動、及び回路に関する多くの詳細は、従来のものであり、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電、及び半導体部材の技術分野内の教科書並びに他の情報源に見ることができる。
2.反応性界面活性組成物
反応性界面活性組成物(「RSA」)は、放射線感受性組成物である。放射線に曝露されると、RSAの少なくとも1つの物理的特性及び/又は化学的特性が変化し、その結果、曝露区域と非曝露区域とを物理的に区別することができる。RSAによる処理は、処理される材料の表面エネルギーを低下させる。
一実施形態では、RSAは、放射線硬化型組成物である。この場合、放射線に曝露されると、RSAは、液体媒体中での溶解性又は分散性がより増大し、粘着性、軟らかさ、流動性、リフト可能性(liftable)、又は吸収性がより低下し得る。また、他の物理的特性も影響を受け得る。
一実施形態では、RSAは、放射線軟化型組成物である。この場合、放射線に曝露されると、RSAは、液体媒体中での溶解性又は分散性がより低下し、粘着性、軟らかさ、流動性、リフト可能性(liftable)、又は吸収性がより増大し得る。また、他の物理的特性も影響を受け得る。
放射線は、RSAの物理的変化をもたらす、いかなるタイプの放射線であることもできる。一実施形態では、放射線は、赤外線、可視光線、紫外線、及びそれらの組合せから選択される。
放射線に曝露されたRSAの区域と放射線に曝露されていない区域との物理的区別化は、以下「現像(development)」と呼ぶが、任意の既知の技術によって達成することができる。そのような技術は、フォトレジストの技術分野で広範に使用されてきた。現像技術の例には、液体媒体による処理、吸収性材料による処理、粘着性材料による処理などが含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、RSAは、1以上の放射線感受性材料から本質的に成る。一実施形態では、RSAは、放射線に曝露されると、硬化するか、又は液体媒体中での溶解性、膨潤性、若しくは分散性がより低下するか、又は粘着性若しくは吸収性がより低下する材料から本質的に成る。一実施形態では、RSAは、放射線重合性基を有する材料から本質的に成る。そのような基の例には、オレフィン、アクリレート、メタクリレート、及びビニルエーテルが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、RSA材料は、架橋をもたらすことのできる2つ以上の重合性基を有する。一実施形態では、RSAは、放射線に曝露されると、より軟化するか、又は液体媒体中での溶解性、膨潤性、若しくは分散性がより増大するか、又は粘着性若しくは吸収性がより増大する材料から本質的に成る。一実施形態では、RSAは、200〜300nmの範囲の波長を有する遠紫外線(deep UV radiation)に曝露された場合に、主鎖の分解を起こす少なくとも1つのポリマーから本質的に成る。そのような分解を起こすポリマーの例には、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリケトン、ポリスルホン、それらのコポリマー、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、RSAは、少なくとも1つの反応性材料と、少なくとも1つの放射線感受性材料とから本質的に成る。放射線感受性材料は、放射線に曝露されると、反応性材料の反応を開始する活性種を生成する。放射線感受性材料の例には、フリーラジカル、酸、又はそれらの組合せを生成するものが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、反応性材料は、重合可能又は架橋可能である。材料の重合又は架橋反応は、活性種によって開始又は触媒される。放射線感受性材料は、一般に、RSAの総重量を基準にして0.001%〜10.0%の量で存在する。
一実施形態では、RSAは、放射線に曝露されると、硬化するか、又は液体媒体中での溶解性、膨潤性、若しくは分散性がより低下するか、又は粘着性若しくは吸収性がより低下する材料から本質的に成る。一実施形態では、反応性材料は、エチレン性不飽和化合物であり、放射線感受性材料は、フリーラジカルを生成する。エチレン性不飽和化合物には、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。フリーラジカルを生成する放射線感受性材料の既知の部類のいずれも使用することができる。フリーラジカルを生成する放射線感受性材料の例には、キノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、アリールケトン、ペルオキシド、ビイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシルアルキルフェニルアセトフォン(hydroxyl alkyl phenyl acetophone)、ジアルコキシアクトフェノン(dialkoxy actophenone)、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体、アミノケトン、ベンゾイルシクロヘキサノール、メチルチオフェニルモルホリノケトン、モルホリノフェニルアミノケトン、アルファハロゲノアセトフェノン(alpha halogennoacetophenones)、オキシスルホニルケトン、スルホニルケトン、オキシスルホニルケトン、スルホニルケトン、ベンゾイルオキシムエステル、チオキサントロン、カンファーキノン、ケトクマリン、及びミヒラーのケトンが含まれるが、これらに限定されない。或いは、放射線感受性材料は、それらのうちの1つが放射線によって活性化される増感剤によってフリーラジカルの提供を引き起こされたときにフリーラジカルを提供する、化合物の混合物であってもよい。一実施形態では、放射線感受性材料は、可視光線又は紫外線に感受性である。
一実施形態では、反応性材料は、酸によって開始される重合を起こすことができ、放射線感受性材料は、酸を生成する。そのような反応性材料の例には、エポキシが含まれるが、これに限定されない。酸を生成する放射線感受性材料の例には、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートのようなスルホニウム及びヨードニウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、RSAは、放射線に曝露されると、軟化するか、又は液体媒体中での溶解性、膨潤性、若しくは分散性がより増大するか、又は粘着性若しくは吸収性がより増大する材料から本質的に成る。一実施形態では、反応性材料は、フェノール樹脂であり、放射線感受性材料は、ジアゾナフトキノンである。
当該技術分野において既知の他の放射線感受性系も、同様に使用することができる。
一実施形態では、RSAは、フッ素化材料を含む。一実施形態では、RSAは、1以上のフルオロアルキル基を有する不飽和材料を含む。一実施形態では、フルオロアルキル基は、2〜20個の炭素原子を有する。一実施形態では、RSAは、フッ素化アクリレート、フッ素化エステル、又はフッ素化オレフィンモノマーである。RSA材料として使用できる市販材料の例には、E.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. du Pont de Nemours and Company)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から入手可能なフッ素化不飽和エステルモノマーであるゾニール(Zonyl)(登録商標)8857A、及びシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Co.)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))から入手可能な3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−エンエイコサフルオロドデシルアクリレート(eneicosafluorododecyl acrylate)(H2C=CHCO2CH2CH2(CF29CF3)が含まれるが、これらに限定されない。
3.方法(process)
本明細書で提供されるプロセスでは、第1の層が形成され、第1の層は、反応性界面活性組成物(「RSA」)で処理され、処理された第1の層は、放射線に曝露され、処理されて曝露された第1の層の上に第2の層が形成される。
一実施形態では、第1の層は、基材である。基材は、無機であっても有機であってもよい。基材の例には、ガラス、セラミックス、並びにポリエステル及びポリイミド被膜などのポリマー被膜が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、第1の層は、基材上に堆積される。第1の層は、パターン化されていてもパターン化されていなくてもよい。一実施形態では、第1の層は、電子デバイスにおける有機活性層である。
第1の層は、蒸着技法、液体堆積技法、及び熱転写技法を含めた、任意の堆積技術によって形成することができる。一実施形態では、第1の層は、液体堆積技法によって堆積され、その後乾燥が行われる。この場合、第1の材料は、液体媒体に溶解又は分散される。液体堆積方法は、連続的であっても不連続であってもよい。連続液体堆積技法には、スピンコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、及び連続ノズルコーティングが含まれるが、これらに限定されない。不連続液体堆積技法には、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、及びスクリーン印刷が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、第1の層は、連続液体堆積技法によって堆積される。乾燥工程は、第1の材料及びその下に存在する材料が損傷されない限り、室温で行うことも高温で行うこともできる。
第1の層は、RSAで処理される。処理は、第1の層の形成と同時であっても、第1の層の形成後であってもよい。
一実施形態では、RSA処理は、第1の有機活性層の形成と同時である。一実施形態では、RSAは、第1の層を形成するために使用される液体組成物に添加される。堆積された組成物が乾燥されて被膜を形成するとき、RSAは、系の表面エネルギーを低減するように、第1の層の空気界面、すなわち最上面に移動する。
一実施形態では、RSA処理は、第1の層の形成の後である。一実施形態では、RSAは、第1の層の上にある、第1の層と直接接触している別個の層として適用される。
一実施形態では、RSAは、それを溶媒に添加することなく適用される。一実施形態では、RSAは、蒸着によって適用される。一実施形態では、RSAは、室温で液体であり、液体堆積によって第1の層の上に適用される。液体RSAは、被膜形成性であってもよく、又は第1の層の表面上に吸収若しくは吸着されてもよい。一実施形態では、液体RSAは、第1の層の上に第2の層を形成するために、その融点を下回る温度まで冷却される。一実施形態では、RSAは、室温で液体ではなく、その融点を上回る温度まで加熱され、第1の層上に堆積され、室温まで冷却されて第1の層の上に第2の層を形成する。液体堆積については、前述の方法のいずれが使用されてもよい。
一実施形態では、RSAは、第2の液体組成物から堆積される。液体堆積方法は、前述のように、連続的であっても不連続であってもよい。一実施形態では、RSA液体組成物は、連続液体堆積方法を使用して堆積される。RSAを堆積させるための液体媒体の選択は、RSA材料自体の厳密な性質に依存する。一実施形態では、RSAは、フッ素化材料であり、液体媒体は、フッ素化液体である。フッ素化液体の例には、ペルフルオロオクタン、トリフルオロトルエン、及びヘキサフルオロキシレンが含まれるが、これらに限定されない。
RSA処理後、処理された第1の層は、放射線に曝露される。使用される放射線のタイプは、前述のRSAの感度に依存する。曝露は、全体的なブランケット曝露でもよく、又はパターン状(patternwise)でもよい。本明細書で使用するとき、用語「パターン状(patternwise)」は、材料又は層の選択された部分だけが曝露されることを示す。パターン状曝露は、任意の既知の画像化技術を使用して達成することができる。一実施形態では、パターンは、マスクを通して曝露することによって達成される。一実施形態では、パターンは、選択された部分だけをレーザで曝露することによって達成される。曝露時間は、使用されるRSAの具体的な化学的性質に応じて、数秒から数分にわたることができる。レーザが使用されるときには、レーザの出力に応じて、はるかに短い曝露時間が個々の区域に使用される。曝露工程は、材料の感度に応じて、空気中又は不活性雰囲気中で実施することができる。
一実施形態では、放射線は、同時処理及び順次処理を含めて、紫外線(10〜390nm)、可視光線(390〜770nm)、赤外線(770〜106nm)、及びそれらの組合せから成る群から選択される。一実施形態では、放射線は、熱放射である。一実施形態では、放射線への曝露は、加熱によって実施される。加熱工程の温度及び持続時間は、下に存在するいずれの層も損傷することなくRSAの少なくとも1つの物理的特性が変化するようなものである。一実施形態では、加熱温度は、250℃未満である。一実施形態では、加熱温度は、150℃未満である。
一実施形態では、放射線は、紫外線又は可視光線である。一実施形態では、放射線は、パターン状に適用されて、RSAの曝露領域と、RSAの非曝露領域とをもたらす。
一実施形態では、放射線へのパターン状の曝露後、第1の層は、RSAの曝露領域又は非曝露領域のいずれかを除去するように処理される。放射線へのパターン状の曝露、並びに曝露領域又は非曝露領域を除去するための処理は、フォトレジストの技術分野では周知である。
一実施形態では、放射線へのRSAの曝露は、溶媒中でのRSAの溶解性又は分散性に変化をもたらす。曝露がパターン状に実施される場合は、この後、湿式現像処理を実施することができる。処理は、通常、あるタイプの区域を溶解させるか、分散させるか、又は離れさせる(lift off)溶媒で洗浄することを伴う。一実施形態では、放射線へのパターン状の曝露は、RSAの曝露区域の不溶化をもたらし、溶媒による処理により、RSAの非曝露区域が除去される。
一実施形態では、可視光線又は紫外線へのRSAの曝露は、曝露区域におけるRSAの揮発性を低減する反応をもたらす。曝露がパターン状に実施される場合は、この後、熱現像処理を実施することができる。処理は、非曝露材料の揮発又は昇華温度を上回り、且つ材料が熱的に反応性となる温度を下回る温度までの加熱を伴う。例えば、重合性モノマーでは、材料は、昇華温度を上回り、且つ熱重合温度を下回る温度で加熱される。揮発温度に近いか又は揮発温度未満の熱反応性温度を有するRSA材料が、この方式で現像できない場合があることが理解されるであろう。
一実施形態では、放射線へのRSAの曝露は、材料が融解、軟化、又は流動する温度に変化をもたらす。曝露がパターン状に実施される場合は、この後、乾式現像処理を実施することができる。乾式現像処理は、より軟質の部分を吸収するか又は吸い取るために要素の最も外側の表面を吸収表面と接触させることを含み得る。この乾式現像は、もともと曝露していない区域の特性にそれ以上の影響を与えない限り、高温で実施することができる。
RSAによる処理及び放射線への曝露後、第1の層は、処理前よりも低い表面エネルギーを有する。放射線への曝露後にRSAの一部が除去される場合、RSAによって覆われた第1の層の区域は、RSAによって覆われていない区域よりも低い表面エネルギーを有する。
相対表面エネルギーを決定する一方法は、RSAによる処理の前後の第1の有機活性層上の所与の液体の接触角を比較することである。本明細書で使用するとき、用語「接触角」は、図1に示される角度Φを意味することが意図される。液体媒体の液滴の場合、角度Φは、表面の平面と、液滴の外縁部から表面への線との交点によって定義される。さらに、角度Φは、適用された後に液滴が表面上で平衡位置に達した後で測定される、すなわち、「静的接触角」である。様々な製造業者が、接触角を測定できる機器を作製している。
次いで、第2の層が、RSA処理された第1の層の上に適用される。第2の層は、任意の堆積技術によって適用することができる。一実施形態では、第2の層は、液体堆積技法によって適用される。この場合、第2の材料は、液体媒体中に溶解又は分散され、RSA処理された第1の層の上に適用され、乾燥されて第2の層を形成する。
一実施形態では、RSAはパターン化されており、第2の層は、連続液体堆積技法を使用して適用される。一実施形態では、第2の層は、不連続液体堆積技法を使用して適用される。
一実施形態では、RSAはパターン化されておらず、第2の層は、不連続液体堆積技法を使用して適用される。
一実施形態では、第1の層は、液体閉じ込め構造体の上に適用される。完全な閉じ込めには不十分であるが、印刷された層の厚さ均一性の調整を可能にする構造体を使用することが望ましい場合がある。この場合、厚さを調整する構造体上への濡れを制御して、閉じ込めと均一性との両方をもたらすことが望ましいことがある。その場合、発光インクの接触角を調節できることが望ましい。閉じ込めに使用されるほとんどの表面処理(例えば、CF4プラズマ)は、このレベルの制御をもたらさない。
一実施形態では、第1の層は、いわゆるバンク構造体の上に適用される。バンク構造体は、通常、フォトレジスト、有機材料(例えば、ポリイミド)、又は無機材料(酸化物や窒化物など)から形成される。バンク構造体は、第1の層をその液体形態で閉じ込めて、色の混合を防ぐため、及び/又は第1の層がその液体形態から乾燥されるときの該第1の層の厚さ均一性を改善するため、及び/又はその下に存在する機構(feature)を液体との接触から保護するために使用され得る。そのような、下に存在する機構には、導電性トレース、導電性トレース間の隙間、薄膜トランジスタ、電極などが含まれ得る。2つ以上の目的(例えば、色の混合を防ぐこと、及び厚さ均一性をも改善する)を達成するために、バンク構造体上に異なる表面エネルギーを有する領域を形成することが望ましいことが多い。一手法は、バンク構造体に、各層が異なる表面エネルギーを有する複数の層を提供することである。表面エネルギーのこの調節を達成するためのより費用効果の高い方法は、RSAを硬化させるために使用される放射線の調節によって表面エネルギーを制御することである。硬化放射線のこの調節は、エネルギー線量(出力×曝露時間)の形態とすることができ、又は異なる表面エネルギーをシミュレートするフォトマスクパターンを通してRSAを曝露する(例えば、ハーフトーン密度マスクを通して曝露する)ことによるものとすることができる。
本明細書で提供される方法の一実施形態では、第1及び第2の層は、有機活性層である。第1の有機活性層は、第1の電極の上に形成され、第1の有機活性層は、層の表面エネルギーを低減するために反応性界面活性組成物で処理され、第2の有機活性層は、処理された第1の有機活性層の上に形成される。
一実施形態では、第1の有機活性層は、第1の有機活性材料と液体媒体とを含む液体組成物の液体堆積によって形成される。液体組成物は、第1の電極の上に堆積され、次いで乾燥されて層を形成する。一実施形態では、第1の有機活性層は、連続液体堆積方法によって形成される。そのような方法は、より高い生産率及びより低い機器コストをもたらすことができる。
一実施形態では、RSA処理は、第1の有機活性層の形成の後である。一実施形態では、RSAは、第1の有機活性層の上にある、第1の有機活性層と直接接触している別個の層として適用される。一実施形態では、RSAは、第2の液体組成物から堆積される。液体堆積方法は、前述のように、連続的であっても不連続であってもよい。一実施形態では、RSA液体組成物は、連続液体堆積方法を使用して堆積される。
RSA処理後、処理された第1の有機活性層は、放射線に曝露される。使用される放射線のタイプは、前述のRSAの感度に依存する。曝露は、全体的なブランケット曝露でもよく、又はパターン状でもよい。
一実施形態では、放射線へのRSAの曝露は、液体媒体中でのRSAの溶解度又は分散度に変化をもたらす。一実施形態では、曝露は、パターン状に実施される。この後、液体媒体によりRSAを処理して、RSAの曝露部分又は非曝露部分のいずれかを除去することができる。一実施形態では、RSAは放射線硬化型であり、非曝露部分は、液体媒体によって除去される。
4.有機電子デバイス
本方法を、電子デバイスにおけるその用途の点からさらに説明するが、本方法はそのような用途だけに限定されない。
図2は、代表的な電子デバイスである、2つの電気的接触層の間に位置決めされた少なくとも2つの有機活性層を含む有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイである。電子デバイス100は、アノード層110から光活性層140への正孔の注入を促進するために、1以上の層120及び130を含む。一般に、2つの層が存在するとき、アノードに隣接した層120は、正孔注入層又はバッファ層と呼ばれる。光活性層に隣接した層130は、正孔輸送層と呼ばれる。任意の電子輸送層150が、光活性層140とカソード層160との間に設置される。デバイス100の用途に応じて、光活性層140は、印加電圧によって活性化される発光層(発光ダイオード又は発光電気化学セルにおけるものなど)、放射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧の有無にかかわらず信号を生成する材料層(光検出器におけるものなど)とすることができる。デバイスは、システム、駆動方法、及び利用方式に関して限定されない。
多色デバイスの場合、光活性層140は、少なくとも3つの異なる色の異なる区域から構成される。異なる色の区域は、別個の色付き区域を印刷することによって形成することができる。或いは、それは、全体的な層を形成し、層の異なる区域を異なる色の発光材料でドープすることによって達成することもできる。そのようなプロセスは、例えば、公開された特許文献1に記載されている。
本明細書に記載の新規方法は、デバイスにおける有機層の任意の連続した対に使用することができ、その場合、第2の層は、特定区域に閉じ込められることになる。新規方法の一実施形態では、第2の有機活性層は、光活性層140であり、第1の有機活性層は、層140の直前に適用されるデバイス層である。多くの場合、デバイスは、アノード層から始めて構築される。正孔輸送層130が存在する場合は、RSA処理は、光活性層140を適用する前に層130に適用される。層130が存在しない場合は、RSA処理は、層120に適用される。デバイスがカソードから始めて構築された場合、RSA処理は、光活性層140を適用する前に電子輸送層150に適用される。
一実施形態では、アノード110は、平行ストライプのパターンで形成される。バッファ層120、及び所望により正孔輸送層130は、アノード110の上に連続層として形成される。RSAは、層130(存在するとき)又は層120(層130が存在しないとき)のすぐ上に別個の層として適用される。RSAは、アノードストライプとアノードストライプの外縁部との間の区域が曝露されるようなパターンで曝露される。
デバイス内の層は、かかる層において有用であることが知られているいかなる材料で作製することもできる。デバイスは、アノード層110又はカソード層150に隣接できる支持体若しくは基材(図示せず)を含んでよい。最も頻繁には、支持体は、アノード層110に隣接する。支持体は、可撓性であっても剛性であってもよく、有機であっても無機であってもよい。一般に、ガラス又は可撓性有機被膜が、支持体として使用される。アノード層110は、カソード層160と比較して、正孔を注入するのにより効率的な電極である。アノードには、金属、混合金属、合金、金属酸化物、又は混合酸化物を含有する材料が含まれる。好適な材料には、2族元素(すなわち、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、11族元素、4族、5族、及び6族の元素、並びに8〜10族の遷移元素の混合酸化物が含まれる。アノード層110が光透過性となるべき場合、酸化インジウムスズなど、12族、13族、及び14族元素の混合酸化物が使用できる。本明細書で使用するとき、語句「混合酸化物」は、2族元素、又は12族、13族、若しくは14族元素から選択される2つ以上の異なるカチオンを有する酸化物を指す。アノード層110のための材料のいくつかの非限定的な具体例には、酸化インジウムスズ(「ITO」)、酸化アルミニウムスズ、金、銀、銅、及びニッケルが含まれるが、これらに限定されない。アノードは、また、ポリアニリン、ポリチオフェン、又はポリピロールのような有機材料を含むことができる。
アノード層110は、化学若しくは物理蒸着方法又はスピンキャスト方法によって形成されてよい。化学蒸着は、プラズマ化学蒸着(plasma-enhanced chemical vapor deposition)(「PECVD」)又は有機金属化学蒸着(metal organic chemical vapor deposition)(「MOCVD」)として実施されてよい。物理蒸着は、イオンビームスパッタリングを含むスパッタリングのすべての形態、並びに電子ビーム蒸発及び抵抗蒸発を含むことができる。物理蒸着の具体的な形態には、rfマグネトロンスパッタリング、及び誘導結合プラズマ物理蒸着(inductively-coupled plasma physical vapor deposition)(「IMP−PVD」)が含まれる。これらの堆積技法は、半導体製作技術分野では周知である。
通常、アノード層110は、リソグラフィー操作中にパターン化される。パターンは、希望通りに変化させることができる。層は、例えば、第1の電気的接触層材料を適用する前に、第1の可撓性複合障壁構造体上にパターン化されたマスク又はレジストを位置決めすることによってパターンに形成することができる。或いは、層は、全体的な層(ブランケット堆積とも呼ばれる)として適用し、続いて、例えばパターン化されたレジスト層と湿式化学的又は乾式エッチング技術とを使用してパターン化することもできる。また、当該技術分野において周知の他のパターン化方法も使用することができる。電子デバイスがアレイ内に設置されるとき、アノード層110は、通常、ほぼ同じ方向に延びる長さを有する実質的に平行なストリップへと形成される。
バッファ層120は、光活性層への正孔の注入を促進し、デバイスにおけるショートを防ぐためにアノード表面を平滑化する働きをする。バッファ層は、多くの場合プロトニック酸(protonic acid)でドープされた、ポリアニリン(PANI)又はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの高分子材料で通常形成される。プロトニック酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであることができる。バッファ層120は、銅フタロシアニン及びテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)のような電荷移動化合物などを含むことができる。一実施形態では、バッファ層120は、導電性ポリマー及びコロイド形成性ポリマー酸(polymeric acid)の分散液から作製される。そのような材料は、例えば、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
バッファ層120は、任意の堆積技法によって適用することができる。一実施形態では、バッファ層は、前述の溶液堆積方法によって適用される。一実施形態では、バッファ層は、連続溶液堆積方法によって適用される。
任意の層130のための正孔輸送材料の例は、例えば、非特許文献3に要約されている。正孔輸送分子及びポリマーの両方を使用することができる。一般的に使用される正孔輸送分子としては、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP);1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);及び銅フタロシアニンなどのポルフィリン化合物(porphyrinic compounds)が含まれるが、これらに限定されない。一般的に使用される正孔輸送ポリマーには、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、及びポリピロールが含まれるが、これらに限定されない。また、前述したもののような正孔輸送分子をポリスチレン及びポリカーボネートなどのポリマーへとドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
正孔輸送層130は、任意の堆積技法によって適用することができる。一実施形態では、正孔輸送層は、前述の溶液堆積方法によって適用される。一実施形態では、正孔輸送層は、連続溶液堆積方法によって適用される。
いかなる有機エレクトロルミネセント(「EL」)材料も、光活性層140で使用することができ、これらには、小分子有機蛍光化合物、蛍光及びリン光性金属錯体、共役高分子、並びにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。蛍光化合物の例には、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、それらの誘導体、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。金属錯体の例には、トリス(8−ヒドロキシキノラート)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ペトロフ(Petrov)らの特許文献4及び特許文献5及び特許文献6に開示されている、イリジウムとフェニルピリジン、フェニルキノリン、又はフェニルピリミジンリガンドとの錯体などの、シクロメタル化イリジウム及び白金エレクトロルミネセント化合物、並びに、例えば、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9に記載されている有機金属錯体、並びにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。電荷を帯びているホスト材料と金属錯体とを含むエレクトロルミネセント発光層については、トンプソン(Thompson)らによって特許文献10に、またバローズ(Burrows)及びトンプソンによって特許文献11及び特許文献12に記載されている。共役高分子の例には、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
光活性層140は、任意の堆積技法によって適用することができる。一実施形態では、光活性層は、前述の溶液堆積方法によって適用される。一実施形態では、光活性層は、連続溶液堆積方法によって適用される。
任意の層150は、電子注入/輸送を促進する働きをすることができ、さらに、層界面でのクエンチング反応を妨げるための拘束層(confinement layer)としての機能を果たすこともできる。より具体的には、層150は、電子移動度を促進し、層140及び160が他の形で直接接触している場合のクエンチング反応の可能性を低減することができる。任意の層150のための材料の例には、金属キレート化オキシノイド化合物(例えば、Alq3など);フェナントロリン系化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DPA」)など);アゾール化合物(例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」など)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」など);他の同様の化合物;又はそれらのいずれか1つ若しくはそれ以上の組合せが含まれるが、これらに限定されない。或いは、任意の層150は、無機であり、BaO、LiF、Li2Oなどを含むことができる。
カソード160は、電子又は負電荷キャリアを注入するのに特に効率的な電極である。カソード層160は、第1の電気的接触層(この場合、アノード層110)よりも低い仕事関数を有するいかなる金属又は非金属とすることもできる。一実施形態では、用語「より低い仕事関数」は、約4.4eV以下の仕事関数を有する材料を意味することが意図される。一実施形態では、「より高い仕事関数」は、少なくとも約4.4eVの仕事関数を有する材料を意味することが意図される。
カソード層のための材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs)、2族金属(例えば、Mg、Ca、Baなど)、12族金属、ランタニド(例えば、Ce、Sm、Euなど)、及びアクチニド(例えば、Th、Uなど)から選択することができる。アルミニウム、インジウム、イットリウム、及びそれらの組合せなどの材料も使用されてよい。カソード層160のための材料の非限定的な具体例には、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユーロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム、サマリウム、並びにそれらの合金及び組合せが含まれるが、これらに限定されない。
カソード層160は、通常、化学又は物理蒸着方法によって形成される。
他の諸実施形態では、追加の(1つ又は複数の)層が有機電子デバイス内に存在してよい。
異なる層は、任意の好適な厚さを有してよい。無機アノード層110は、通常約500nm以下、例えば約10〜200nmであり、バッファ層120及び正孔輸送層130は、それぞれ、通常約250nm以下、例えば約50〜200nmであり、光活性層140は、通常約1000nm以下、例えば約50〜80nmであり、任意の層150は、通常約100nm以下、例えば約20〜80nmであり、カソード層160は、通常約100nm以下、例えば約1〜50nmである。アノード層110又はカソード層160が少なくともいくらかの光を透過させる必要がある場合、かかる層の厚さは、約100nmを超えない場合がある。
本明細書に記載の概念を、以下の諸実施例でさらに説明するが、諸実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1
実施例1は、第1の層の形成と同時のRSA処理を示す。第1の層は、有機活性層である。
コーティング1:材料A(スミトモ(Sumitomo)からの架橋性正孔輸送材料)の第1の有機活性層を、p−キシレンからガラススライド上にスピンコーティングした。
コーティング2:95%の材料Aと、RSAとして5%のフッ素化不飽和エステルモノマー(ゾニール(Zonyl)(登録商標)8857A、E.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. du Pont de Nemours and Company)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から)とを含有する溶液から、ガラススライド上にスピンコーティングすることによって、第1の有機活性層を作製した。
両方のコーティングを、空気中のホットプレート上で130℃にて乾燥させた。スピンコーティング条件は、乾燥後に同様の厚さをもつ被膜を提供するように調節した。コーティングされた材料を、窒素雰囲気を有する対流式オーブン内で200℃にて30分間にわたって熱硬化させた。全固形分1.5%でアニソール中での比が8:92のBH052及びBH140(イデミツ(Idemitsu))で製造された発光インクを、ステージ温度50℃でマイクロファブ(MicroFab)印刷機を使用して各コーティング上に印刷した。2つの表面上のインクの拡散を、印刷された滴の乾燥後の直径を測定することによって比較した。インクは、RSAのないコーティング1に対して、RSAを含有するコーティング2では拡散が7%少なかった。アニソールの接触角は、コーティング1上では約9度で、ゾニール(Zonyl)(登録商標)8857Aを含有するコーティング2の表面上では約15度であった。
実施例2
実施例2は、第1の層の形成後に行われるRSA処理を示す。第1の層は、有機活性層である。
材料Aのコーティングを、ガラススライド上で調製し、窒素雰囲気を有する対流式オーブン内で200℃にて30分間にわたって硬化させた。RSAとしてフッ素化アクリレートモノマー(ゾニール(Zonyl)(登録商標)TA−N、E.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. du Pont de Nemours and Company)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から)の溶液を、硬化した材料A表面上にスピンコーティングした。RSA溶液は、ヘキサフルオロプロポキシベンゼン中で固形分約20%であった。RSAを、空気中のホットプレート上で130℃にて加熱することによって硬化させた。15分間にわたってペトリ皿内でトリフルオロトルエンに浸すことによって未硬化のRSAをすすぎ落とし、空気中で室温にて乾燥させた。硬化したコーティングされていない材料Aの接触角が、アニソールを使用して約9度と測定された。硬化したコーティングされていない材料Aの接触角は、表面が単純にトリフルオロトルエン(RSAコーティングなし)ですすがれた場合、実験誤差内で同一であった。接触角は、RSAが材料A上にコーティングされ、オーブン内でRSAを反応させることなくトリフルオロトルエンによって洗い落とされた場合、実験誤差内で同一であった。オーブン硬化されたRSA表面の接触角は、27度であった。これは、その下に存在する表面エネルギーに影響を与えることなくRSAを適用及び除去でき、硬化した被膜に対する差を容易に測定できることを示す。
実施例3
実施例3は、第1の層の形成後に行われるRSA処理を示す。第1の層は、有機活性層である。
ガラススライドを材料Aでコーティングし、前述のように熱硬化させた。いくつかのスライド上で、材料Aを、前述のRSA(ゾニール(Zonyl)(登録商標)TA−N)の溶液でオーバーコーティングし、RSAを周囲条件で乾燥させた。RSAコーティングの厚さは、VEECO NT3300干渉計測式プロフィルメータ(inteferometric profilometer)を使用して、約100オングストローム(A)と測定された。RSAを空気中で化学線(365〜405nm、2.7ジュール/cm2)に曝露した;このガラススライドの半分を、曝露を防ぐためにマスクオフした。曝露後、トリフルオロトルエンに3分間浸すことによって未硬化のRSAを洗い落とした。RSAが化学線に曝露された領域上のアニソールの接触角は、40度であった。非曝露領域における接触角は、実験誤差内で材料Aと同一であり、非曝露RSAが完全に可溶性で、材料A表面からきれいにすすぐことができたことを示した。RSAなしの材料Aのコーティングを化学線に曝露したが、接触角は無変化であった。これは、化学線への曝露によってRSA内にパターンを作り出すことを示しており、表面エネルギーの変化は、RSAに起因するものであって、処理工程に起因するものではない。
実施例4
実施例4は、第1の層の形成後に行われるRSA処理を示す。この実施例は、また、発光インクの印刷中に実施される際の閉じ込めを示す。この実施例は、図3〜図6に示されている。
図3に200として示される、厚さ約1100Åの酸化インジウムスズ(ITO)のコーティングを有するガラス基材を、フォトリソグラフィーによってパターン化して、210として示される、幅約90ミクロン、ライン間の間隔10ミクロンのITOのラインのアレイを作り出した。図4に示されるように、材料Aの層220を、該ラインのアレイの上にコーティングして、窒素雰囲気を有する対流式オーブン内で200℃にて30分間にわたって硬化させた。材料AでコーティングされたITOラインが、211として示されている。図5に示されるように、ゾニール(Zonyl)(登録商標)TA−Nのコーティング230を、ヘキサフルオロプロポキシベンゼンからスピンコーティングによって1つの基材上の材料Aの上に適用し、空気中で乾燥させた。このコーティングを、曝露領域がITOライン間の間隙と、ITOラインの縁部2〜3ミクロンとを覆うように、ネガティブフォトマスクを使用して、その発光の大部分が365〜404nmの範囲にある光源からの放射線に曝露した。曝露は、約3.8J/cm2であった。プレートをトリフルオロトルエン中で洗浄して、非曝露のRSAを除去した。図6は、RSAで覆われた区域230と、ITO上の材料Aで覆われた区域211と、ガラス上の材料Aで覆われた区域220とを有する、現像後の試験片を示す。アニソール中で全固形分が1.5%であってBH119とBH215(いずれもイデミツ(Idemitsu)から)を8:92の比率で含む発光インクを、周囲条件でマイクロファブ(MicroFab)印刷機を使用してITOライン上に印刷した。滴の体積は約40〜45ピコリットルであり、滴の間隔は0.08mmで、連続印刷ラインを作り出した。RSAなしのパネル上では、印刷されたラインは、約200〜300ミクロン拡散した;すなわち、インクは、3つのITOのラインをまたいで拡散した。これは、実際の印刷プロセスでは容認できない色の混合をまねくであろう。パターン化されたRSAを有するパネル上では、インクは、RSAで処理された領域内に完全に閉じ込められており、印刷された高品質のデバイスをもたらすであろう。
実施例5
実施例5は、第1の層の形成後に行われるRSA処理を示す。
材料Aのコーティングを調製し、前述のように熱硬化させた。次いで、これらを、前述のゾニール(Zonyl)(登録商標)TA−NのRSAコーティングでオーバーコーティングした。RSAコーティングは、最大約4J/cm2までのブランケット曝露を受けた。曝露後にコーティングをトリフルオロトルエン中で洗浄し、アニソールで接触角を測定した。アニソール接触角は、約9度(材料A表面)から40〜45度に変化した。曝露が空気中又は不活性雰囲気中で実施された場合、有意差は、観察されなかった。
実施例6
実施例6は、非曝露領域の除去が昇華によって達成される、第1の層の形成後に行われるRSA処理を示す。
材料Aのコーティングを調製し、前述のように熱硬化させた。次いで、これらを、3重量/体積%(3% wt/vol)ペルフルオロオクタン(perfluorooctance)溶液からヘネイコサフルオロドデシルアクリレートのRSAコーティングで、スピンコーティングによってオーバーコーティングした。RSAコーティングの1つは、約1.5J/cm2のブランケットUV曝露を受け、他方のコーティングは、UV曝露を受けなかった。2つのコーティングを空気中のホットプレート上で195℃にて20分間焼き、接触角をアニソールで測定した。アニソール接触角は、紫外線に曝露されたRSAコーティング上では約55度であった。アニソール接触角は、紫外線に曝露されなかったコーティング上では10度であった。このことは、紫外線に曝露されなかったRSAを加熱によって除去できることを示す。RSAコーティングがパターンで紫外線に曝露され、次いで加熱された場合、RSAは、接触角約55度で曝露区域内に残り、非曝露区域は、約10度の接触角を有するであろう。
概説又は実施例で前述した作業すべてが必要なわけではなく、特定の作業の一部分が不要である場合もあり、また、前述の作業に加えて1以上の更なる作業を実施してもよいことに留意されたい。さらに、作業が列挙された順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
以上の明細書では、概念を、特定の諸実施形態について説明した。しかし、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることが、当業者には理解される。それゆえに、明細書及び諸図は、制限的な意味ではなく一例と見なされるべきであり、かかる修正すべてが本発明の範囲内に含まれるものとする。
利益、他の利点、及び問題の解決法を、特定の諸実施形態に関して上で説明した。しかし、利益、利点、問題の解決法、並びにいずれかの利益、利点、若しくは解決法を生じさせるか、又はより顕著にすることのできるいかなる特徴も、請求項のいずれか又はすべての、重要な、必要な、又は必須の特徴と解釈されるべきではない。
特定の特徴は、明確にするために本明細書では別個の実施形態の状況で記載されるが、単一の実施形態において組合せで提供されてもよいことを理解すべきである。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の状況で記載される様々な特徴は、別々に、又はサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲で述べられる値への言及には、その範囲内のありとあらゆる値が含まれる。

Claims (10)

  1. 第1の層の上に、閉じ込められた第2の層を形成する方法であって、
    第1の表面エネルギーを有する前記第1の層を形成する工程と、
    前記第1の層を、フッ素化アクリレート、フッ素化エステル、またはフッ素化オレフィンモノマーよりなる群から選択される反応性界面活性組成物でコーティングすることにより処理して、前記第1の表面エネルギーよりも低い第2の表面エネルギーを有する処理された第1の層を形成する工程と、
    前記処理された第1の層を放射線に曝露する工程と、
    前記第2の層を形成する工程であって、前記放射線がパターンで適用され、前記反応性界面活性組成物の暴露領域および非暴露領域を形成し、次いで反応性界面活性組成物の暴露領域または非暴露領域のいずれかを除去する工程と
    を含む、方法。
  2. 前記反応性界面活性組成物は、放射線硬化型材料である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記反応性界面活性組成物は、架橋性のフッ素化界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  4. 第1の層の上に、閉じ込められた第2の層を形成する方法であり、
    前記第1の層を形成する工程であって、前記第1の層は有機活性層であり、前記有機活性層は、フッ素化アクリレート、フッ素化エステル、またはフッ素化オレフィンモノマーよりなる群から選択される反応性界面活性組成物と、前記有機活性層を形成するための材料を含み、前記反応性界面活性組成物が有機活性増を形成する材料と混合される工程と、
    前記第1の層を乾燥する工程であって、前記反応性界面活性組成物が第1の層の上面に移動する工程と、
    前記第1の層を放射線に暴露する工程と、
    第2の層形成する工程であって、前記放射線がパターンで適用され、前記反応性界面活性組成物の暴露領域および非暴露領域を形成し、次いで反応性界面活性組成物の暴露領域または非暴露領域のいずれかを除去する工程と
    を含む、方法。
  5. 前記反応性界面活性組成物は、前記第1の層の上に別個の層として適用される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記領域は、液体で処理することによって除去される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記領域は、加熱によって除去される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記領域は、最も外側の表面を吸収表面と接触させ、より軟質の領域を吸収又は吸い取ることによって除去される、請求項1に記載の方法。
  9. 電極の上に位置決めされた第1の有機活性層と第2の有機活性層とを含む有機電子デバイスを製造する方法であって、
    前記電極の上に第1の表面エネルギーを有する前記第1の有機活性層を形成する工程と、
    前記第1の有機活性層を反応性界面活性組成物で処理して、処理された第1の有機活性層を形成する工程であって、前記反応性界面活性組成物がフッ素化アクリレート、フッ素化エステル、またはフッ素化オレフィンモノマーよりなる群から選択される工程と、
    前記処理された第1の有機活性層を放射線に曝露し、それによって前記第1の表面エネルギーを低減する工程であって、前記放射線がパターンで適用され、前記反応性界面活性組成物の暴露領域および非暴露領域を形成し、次いで反応性界面活性組成物の暴露領域または非暴露領域のいずれかを除去する工程と、
    前記第2の有機活性層を形成する工程と
    を含む、方法。
  10. 電極の上に位置決めされた、第1の有機活性層、反応性界面活性組成物を含むパターン化された層及び第2の有機活性層を含む有機電子デバイスであって、前記反応性界面活性組成物を含むパターン化された層は、第1の有機活性層上にあり、且つ、第1の有機活性層と異なる表面エネルギーを有し、第2の有機活性層は、反応性界面活性組成物を含むパターン化された層が形成されている領域内に閉じ込められている有機電子デバイス。
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