JP2013045749A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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礼子 泉
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Abstract

【課題】 輝度が高い有機EL素子であって、有機EL素子の発光時の熱と光による導電性反射膜の劣化を抑え、基材や発光層からの導電性反射膜の剥離による発光強度の低下を抑制し、耐久性が向上した有機EL素子を得ることを目的とする。
【解決手段】 基材と、導電性反射膜と、発光層と、透明電極層と、をこの順に備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、導電性反射膜が、金属ナノ粒子焼結体と添加物とを含有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【選択図】 なし

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)およびその製造方法に関する。より詳しくは、基材上に形成され、有機EL発光層からの光を効率的に取り出すことができる導電性反射膜を備える有機EL素子およびその製造方法に関する。
近年、有機EL素子は、発光効率や耐久性の向上などに伴い、様々な分野に利用され始めており、特に、照明器具やディスプレイの用途への応用展開が急速に進んでいる。
図1に、有機EL素子の断面構造の一例を示す。図1のように、有機EL素子1は、基材20上に、有機物からなる発光層30を、一対の導電性反射膜10(陰極)と透明電極層40(陽極)の間にサンドイッチした多層構造で構成される。このように、有機EL素子は、光を取り出す方の電極層には透明電極層が用いられ、光を取り出す方ではない電極層には反射の機能も兼ね備えた電極層としての導電性反射膜が設けられ、発光層からの光を効率的に反射させて発光強度を増加させる構造が用いられている。
導電性反射膜は、一般に、スパッタや真空蒸着等の真空成膜法により成膜されるが、真空成膜法は、大型の真空成膜装置を維持・運転するため、多大なコストを必要とする。この真空成膜法を湿式塗工法に置き換えることで、ランニングコストの大幅な改善が期待されている。
この湿式塗工法として、平均粒子径が1〜20nmである金属粒子が分散された分散液を塗布して、有機EL素子の陰極を形成する方法が開示されている(特許文献1)。
特開2010−198935号公報
しかしながら、上記分散液を塗布する方法で導電性反射膜を形成すると、有機EL素子の発光時の熱と光により、導電性反射膜が劣化して基材や発光層から剥離し、有機EL素子の発光強度が低下するという耐久性の問題がある。詳細に説明すると、導電性反射膜は、金属粒子を含む導電性反射膜用組成物を塗布した後、焼成して形成され、この焼成を低温で行うために、金属粒子として金属ナノ粒子を用いる。ここで、上記方法では、保存時における金属ナノ粒子間の焼結を避けるため、金属ナノ粒子を200℃近傍で蒸発または分解する一級アミンまたはその誘導体で被覆している。しかし、この一級アミン等を添加すると、焼結時に金属ナノ粒子が粒成長しすぎることで、多孔質になるため、導電性反射膜の密着性が低下し、導電性反射膜が基材や発光層から剥離したり、反射特性が下がり、有機EL素子の輝度も低下するという問題がある。また、金属ナノ粒子の粒成長を抑制するために、一級アミン等を過剰に添加すると、金属ナノ粒子の分散安定性が低下するかもしくは得られた膜の反射特性や導電性が悪くなる、という問題がある。なお、有機EL素子は、LED等の発光体と比較して、単位体積当たりに流れる電流が多いため、有機EL素子の導電性反射膜には、他の発光体での導電性反射膜より高導電性であること、すわなち、導電性反射膜に厚さが求められるため、他の層との熱膨張係数の差から剥離し易くなる、という特徴がある。
本発明は、上記問題を解決することを課題とする。すなわち、輝度が高い有機EL素子であって、有機EL素子の発光時の熱と光による導電性反射膜の劣化を抑え、基材や発光層からの導電性反射膜の剥離による発光強度の低下を抑制し、耐久性が向上した有機EL素子を得ることを目的とする。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した有機EL素子、およびその製造方法に関する。
(1)基材と、導電性反射膜と、発光層と、透明電極層と、をこの順に備える有機EL素子であって、導電性反射膜が、金属ナノ粒子焼結体と添加物とを含有することを特徴とする、有機EL素子。
(2)基材上に、金属ナノ粒子と添加物とを含有する導電性反射膜用組成物を、湿式塗工法により塗布した後、焼成することにより導電性反射膜を形成し、導電性反射膜上に、発光層、および透明電極層を形成することを特徴とする、有機EL素子の製造方法。
本発明(1)によれば、導電性反射膜に含有される添加物が、焼結時の金属ナノ粒子の粒成長を抑制するため、導電性反射膜の反射特性が向上し、有機EL素子の輝度が高くなる。また、導電性反射膜に添加物が存在することにより、有機EL素子の発光時の熱と光による導電性反射膜の劣化を抑え、かつ導電性反射膜の密着性が向上するため、基材や発光層からの導電性反射膜の剥離による発光強度の低下を抑制し、耐久性が向上した有機EL素子を得ることができる。本発明(2)によれば、有機EL素子の輝度が高く、耐久性が向上した有機EL素子を簡便に製造することができる。
有機EL素子の断面構造の一例である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量%である。
〔有機EL素子〕
本発明の有機EL素子は、基材と、導電性反射膜と、発光層と、透明電極層と、をこの順に備える有機EL素子であって、導電性反射膜が、金属ナノ粒子焼結体と添加物とを含有することを特徴とする。図1に、基材20と、導電性反射膜10と、発光層30と、透明電極層40と、をこの順に備える有機EL素子1の断面構造の一例を示す。
従来、陰極には有機発光層への電子注入を容易にするため、Mg、Ca、Sn、Pb、Li、Mn、Alといった仕事関数の低い金属やそれらの合金が用いられている。本発明において、金属ナノ粒子焼結体は、導電性反射膜に、発光層から放出された光の反射性と、導電性とを付与する。金属ナノ粒子焼結体に使用される金属ナノ粒子としては、銀、金、白金、銅、パラジウム、ルテニウム、マグネシウム、ニッケル、スズ、インジウム、ガリウムおよび銅からなる群より選ばれる1種、または2種以上の混合組成又は合金組成が挙げられ、銀が、反射性、導電性の観点から好ましく、さらに仕事関数の低いマグネシウム、スズを併用することが好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径は、10〜50nmであると好ましい。ここで、平均粒径は、堀場製作所製LB−550による動的光散乱法を用いて測定する。金属ナノ粒子の形状は、球状、板状であると、分散性、反射性の観点から好ましい。
添加物は、焼結後にも導電性反射膜に存在し、金属ナノ粒子間に添加物が存在することにより、焼結時の金属ナノ粒子の粒成長を抑制することができ、また、金属ナノ粒子焼結体の空孔に添加物が存在することにより、導電性反射膜の反射特性が向上し、有機EL素子の輝度が高くなり、導電性反射膜の耐熱性、耐光性や耐食性も向上させる。さらに、添加剤により、導電性反射膜の密着性が向上する。したがって、有機EL素子の耐久性が高くなる。
添加物としては、有機高分子、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物、およびシリコーンオイルが挙げられ、有機高分子が好ましく、有機高分子と、金属水酸化物または有機金属化合物と、を併用すると、より好ましい。
添加物として使用する有機高分子としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンの共重合体、および水溶性セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種であると、導電性反射膜の反射特性および導電性の観点から好ましい。ポリビニルピロリドンの共重合体としては、PVP−メタクリレート共重合体、PVP−スチレン共重合体、PVP−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また水溶性セルロースとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等のセルロースエーテルが挙げられる。PVPが、導電性反射膜の反射特性、導電性および密着性の点から、より好ましい。
添加物として使用する金属酸化物としては、錫、インジウム、亜鉛、およびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む酸化物または複合酸化物が挙げられ、スズドープ酸化インジウムや酸化亜鉛が好ましい。
添加物として使用する金属水酸化物としては、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル等の水酸化物が挙げられ、水酸化マグネシウム、水酸化リチウムが好ましい。
添加物として使用する有機金属化合物としては、シリコン、チタン、ジルコニウム、亜鉛、錫等の金属石鹸、金属錯体、金属アルコキシドまたは金属アルコキシドの加水分解物が挙げられる。例えば、金属石鹸としては、酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酢酸錫等が挙げられ、金属錯体としては、アセチルアセトン亜鉛錯体等が挙げられ、金属アルコキシドとしては、チタニウムイソプロポキシド、メチルシリケート等が挙げられる。導電性反射膜の密着性の観点から、酢酸亜鉛、チタニウムイソプロポキシドが好ましい。
添加物として使用するシリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルや変性シリコーンオイルが挙げられ、変性シリコーンオイルが好ましい。
導電性反射膜の厚さは、反射性、導電性の観点から、0.1〜3.0μmであると好ましい。
また、導電性反射膜の発光層側の面に存在する気孔が、平均直径が100nm以下で、平均深さが100nm以下で、数密度が30個/μmであると、波長:380〜780nmの範囲において、理論反射率の80%以上の高い拡散反射率を達成でき、好ましい。
有機EL素子を構成する基材、発光層、および透明電極層は、当業者に公知のものでよく、特に限定されない。例えば、基材としてはガラス基板が、発光層としては、ルブレン5重量%をドープしたトリス(8−キノリノラト)アルミニウムが、透明電極層としてはITOが挙げられる。
〔有機EL素子の製造方法〕
本発明の有機EL素子の製造方法は、基材上に、金属ナノ粒子と添加物とを含有する導電性反射膜用組成物を、湿式塗工法により塗布した後、焼成することにより導電性反射膜を形成し、導電性反射膜上に、発光層、および透明電極層を形成することを特徴とする。
《導電性反射膜用組成物》
導電性反射膜用組成物に含有される金属ナノ粒子および添加物は、上述のとおりである。
また、導電性反射膜用組成物は、分散媒を含み、分散媒は、全ての分散媒100質量%に対して、1質量%以上の水と、2質量%以上の水と相溶する溶剤、例えば、アルコール類とを含有することが好適である。例えば、分散媒が水およびアルコール類のみからなる場合、水を2質量%含有するときはアルコール類を98質量%含有し、アルコール類を2質量%含有するときは水を98質量%含有する。水の含有量が1質量%未満、またはアルコール類の含有量が2質量%未満では、導電性反射膜用組成物を湿式塗工法により塗工して得られた膜を低温で焼結し難くなり、また、焼成後の導電性反射膜の導電性と反射率が低下してしまうからである。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、エリトリトール等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。
さらに、分散媒は、金属ナノ粒子表面を化学修飾する水酸基(−OH)又はカルボニル基(−C=O)のいずれか一方又は双方を含有する保護剤を含むと、導電性反射膜用組成物の分散安定性に優れ、塗膜の低温焼結にも効果的な作用があるため、好適である。保護剤としては、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム等が挙げられる。
導電性反射膜用組成物は、本発明の本発明の目的を損なわない範囲で、さらに必要に応じ、低抵抗化剤、水溶性セルロース誘導体、酸化防止剤、レベリング剤、揺変剤、フィラー、応力緩和剤、その他の添加剤等を配合することができる。
金属ナノ粒子は、分散媒を除く導電性反射膜用組成物:100質量部に対して、75質量部以上であると、反射性、導電性の観点から好ましい。また、99.9質量部以下であると、導電性反射膜の密着性の観点から好ましい。
添加物の含有割合は、分散媒を除く導電性反射膜用組成物:100質量部に対して、0.1〜25質量部であると好ましい。0.1質量部以上であれば、基材と接着力が良好であり、25質量部以下であると成膜時の膜ムラが生じにくい。
分散媒は、金属反射膜用組成物:100質量部に対して、50〜99質量部であると、塗工性の観点から好ましい。
導電性反射膜用組成物は、所望の成分を、常法により、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、セントリミル、三本ロール等によって混合し、透光性バインダー、場合により透明導電性粒子等を分散させ、作製することができる。無論、通常の攪拌操作によって作製することもできる。なお、金属ナノ粒子を除く成分を混合した後、別途予め分散させた金属ナノ粒子を含む分散媒と混合すると、均質な導電性反射膜用組成物を得やすい観点から好ましい。
《導電性反射膜の形成》
まず、基材上に、導電性反射膜用組成物を、湿式塗工法により塗布する。ここでの塗布は、焼成後の導電性反射膜の厚さが、好ましくは0.1〜3.0μmとなるようにする。続いて、この導電性反射塗膜を、好ましくは、120〜350℃の温度で、5〜60分間、乾燥する。このようにして塗膜を形成する。
湿式塗工法は、スプレーコーティング法、ディスペンサーコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、またはダイコーティング法のいずれかであることが好ましいが、これに限られるものではなく、あらゆる方法を利用できる。
次に、導電性反射塗膜を有する基材を、大気中または窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、好ましくは、130〜250℃の温度で、5〜60分間保持して焼成する。
塗膜を有する基材の焼成温度を130〜250℃の範囲が好ましいのは、130℃未満では、導電性反射膜において、硬化不足の不具合が生じるからである。また、250℃を越えると、低温プロセスという生産上のメリットを生かせない、すなわち、製造コストが増大し、生産性が低下してしまう。さらに、樹脂フィルムのようなフレキシブル基板を用いる場合は、200℃未満の焼成温度が好ましい。すなわち、湿式塗工後の焼成温度が低ければ、有機EL素子の基材として、ガラス基板以外にも樹脂フィルムのようなフレキシブル基板も用いることが可能となるため、応用範囲が広がる。
塗膜を有する基材の焼成時間を5〜60分間の範囲が好ましいのは、焼成時間が5分未満では、導電性反射膜において、焼成が十分でない不具合が生じるからである。焼成時間が60分を越えると、必要以上に製造コストが増大して生産性が低下してしまう不具合を生じるためである。
《発光層および透明電極層の形成》
形成した導電性反射膜上に、発光層および透明電極層を形成する方法は、特に限定されず、真空成膜法等の当業者に公知の方法でよいが、透明電極層は、例えば、透光性バインダーと透明導電材料を含む組成物を用いて、湿式塗工法により成膜を行う方がより好ましい。
以上により、本発明の製造方法は、湿式塗工法を使用することにより、スパッタや真空蒸着等の真空成膜法を可能な限り排除できるため、より安価に導電性反射膜を製造でき、本発明の耐久性が向上した有機EL素子を、簡便に低コストで製造することができる。
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
《導電性反射膜用組成物の作製》
まず、導電性反射膜用組成物を作製した。以下に、作製手順を示す。
硝酸銀を脱イオン水に溶解して、金属塩水溶液を調製した。また、クエン酸ナトリウムを脱イオン水に溶解して、濃度が26質量%のクエン酸ナトリウム水溶液を調製した。このクエン酸ナトリウム水溶液に、35℃に保持された窒素ガス気流中で、粒状の硫酸第1鉄を直接加えて溶解させ、クエン酸イオンと第1鉄イオンを3:2のモル比で含有する還元剤水溶液を調製した。
次に、上記窒素ガス気流を35℃に保持しながら、還元剤水溶液中に、マグネチックスターラーの攪拌子を入れ、攪拌子の回転速度:100rpmで攪拌しながら、この還元剤水溶液に、上記金属塩水溶液を滴下して、混合した。ここで、還元剤水溶液への金属塩水溶液の添加量は、還元剤水溶液の量の1/10以下になるように、各溶液の濃度を調整して、室温の金属塩水溶液を滴下しても反応温度が40℃に保持されるようにした。また、還元剤水溶液と金属塩水溶液との混合比は、金属塩水溶液中の金属イオンの総原子価数に対する、還元剤水溶液のクエン酸イオンと第1鉄イオンとのモル比が、いずれも3倍モルとなるようにした。還元剤水溶液への金属塩水溶液の滴下が終了した後、さらに、混合液の攪拌を15分間続けることにより、混合液内部に銀ナノ粒子を生じさせ、銀ナノ粒子が分散した銀ナノ粒子分散液を得た。銀ナノ粒子分散液のpHは5.5であり、分散液中の銀ナノ粒子の化学量論的生成量は5g/リットルであった。
得られた銀ナノ粒子分散液を、室温で放置することにより、分散液中の銀ナノ粒子を沈降させ、沈降した銀ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。分離した銀ナノ粒子凝集物に、脱イオン水を加えて分散体とし、限外濾過により脱塩処理した後、さらにメタノールで置換洗浄して、金属(銀)の含有量を50質量%にした。その後、遠心分離機を用い、この遠心分離機の遠心力を調整して、粒径が100nmを越える比較的大きな銀粒子を分離し、銀ナノ粒子分散液を得た。銀ナノ粒子の平均粒径を、堀場製作所製LB−550による動的光散乱法を用いて測定した結果、平均粒径は、35nmであった。得られた銀ナノ粒子は、クエン酸ナトリウムの保護剤が化学修飾されていた。
次に、得られた金属ナノ粒子:10質量部を水、エタノール及びメタノールを含む混合溶液90質量部に添加混合することにより分散させ、この分散液に、ポリビニルピロリドン(PVP、分子量:360,000)、を金属ナノ粒子:96質量部、PVP:4質量部の割合となるように加えて、導電性反射膜用組成物を作製した。
ガラス基板に、導電性反射膜用組成物を、スピンコートにより1000rpm×60秒で数回成膜を行い、その後、200℃にて30分焼成を行うことで、膜厚が約300nmの導電性反射膜(陰極)を形成した。ここで、膜厚の測定は、日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡(SEM、装置名:S−4300、SU−8000)による断面観察により測定した。他の実施例、比較例においても、膜厚を同様に測定した。
その上に電子輸送層(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、厚さ:30nm)、発光層(ルブレン5重量%をドープしたトリス(8−キノリノラト)アルミニウム、厚さ:30nm)、正孔輸送層(N,N’−ジフェニルーN,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン、厚さ:30nm)を順次形成した後、さらにITOインクを塗布し、175℃で30分焼成して透明電極層(陽極、厚さ:150nm)を形成し、有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子の輝度、密着性、耐久性について評価を行った。輝度は、輝度計(トプコン社製、型番:BM−9)で測定した。密着性は、テープ剥離試験(JIS K−5600−5−6)に準ずる方法により行い、剥がれがない場合を「○」、剥がれがある場合を「×」にした。耐久性は、輝度が500cd/cm以下になるまでの時間を測定した。
〔実施例2〜7〕
表1に記載した組成になるようにしたこと以外は、導電性反射膜を実施例1と同様にして形成し、有機EL素子を得た。
〔比較例1〕
添加物を添加しない銀ナノ粒子分散液を用いて導電性反射膜用組成物を作製し、導電性反射膜を形成したこと以外は、実施例1と同様に有機EL素子を得た。
〔比較例2〕
導電性反射膜として、スパッタで銀電極を形成させたこと以外は、実施例1と同様に有機EL素子を得た。
表1から明らかなように、実施例1〜7は、導電性反射膜にスパッタ成膜を用いた比較例2と同様に、導電性反射膜の反射特性が高いため、有機EL素子の輝度が高く、導電性反射膜の密着性が良好であり、かつ有機EL素子の耐久性については比較例2を上回るものであった。実施例7は、仕事関数が低いMgを金属材料に一部用いているために有機EL素子の輝度が高くなり、また添加剤として密着性が良好な酢酸系金属錯体を用いているため、有機EL素子の耐久性が高くなった。これに対して、添加物なしの金属ナノ粒子分散液を塗布して導電性反射膜を作製した比較例1は、導電性反射膜の反射特性が悪いため、有機EL素子の初期の輝度が低く、導電性反射膜の密着性が悪く、また有機EL素子の耐久性も非常に低いという結果であった。
本発明の有機EL素子は、金属ナノ粒子焼結体と添加物とを含む導電性反射膜を備えることにより、耐久性を高くすることができ、有機EL素子から発生する熱や環境による導電性反射膜の劣化が抑制することができ、非常に有用である。この導電性反射膜は、湿式塗工法で作製可能であるので、製造工程を簡便にし、低コストにすることができる。
1 有機EL素子
10 導電性反射膜
20 基材
30 発光層
40 透明電極層
50 封止材
従来、陰極には有機発光層への電子注入を容易にするため、Mg、Ca、Sn、Pb、Li、Mn、Alといった仕事関数の低い金属やそれらの合金が用いられている。本発明において、金属ナノ粒子焼結体は、導電性反射膜に、発光層から放出された光の反射性と、導電性とを付与する。金属ナノ粒子焼結体に使用される金属ナノ粒子としては、銀、金、白金、パラジウム、ルテニウム、マグネシウム、ニッケル、スズ、インジウム、ガリウムおよび銅からなる群より選ばれる1種、または2種以上の混合組成又は合金組成が挙げられ、銀が、反射性、導電性の観点から好ましく、さらに仕事関数の低いマグネシウム、スズを併用することが好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径は、10〜50nmであると好ましい。ここで、平均粒径は、堀場製作所製LB−550による動的光散乱法を用いて測定する。金属ナノ粒子の形状は、球状、板状であると、分散性、反射性の観点から好ましい。
添加物は、焼結後にも導電性反射膜に存在し、金属ナノ粒子間に添加物が存在することにより、焼結時の金属ナノ粒子の粒成長を抑制することができ、また、金属ナノ粒子焼結体の空孔に添加物が存在することにより、導電性反射膜の反射特性が向上し、有機EL素子の輝度が高くなり、導電性反射膜の耐熱性、耐光性や耐食性も向上させる。さらに、添加により、導電性反射膜の密着性が向上する。したがって、有機EL素子の耐久性が高くなる。
導電性反射膜用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに必要に応じ、低抵抗化剤、水溶性セルロース誘導体、酸化防止剤、レベリング剤、揺変剤、フィラー、応力緩和剤、その他の添加剤等を配合することができる。
分散媒は、導電性反射膜用組成物:100質量部に対して、50〜99質量部であると、塗工性の観点から好ましい。
塗膜を有する基材の焼成温度130〜250℃の範囲好ましいのは、130℃未満では、導電性反射膜において、硬化不足の不具合が生じるからである。また、250℃を越えると、低温プロセスという生産上のメリットを生かせない、すなわち、製造コストが増大し、生産性が低下してしまう。さらに、樹脂フィルムのようなフレキシブル基板を用いる場合は、200℃未満の焼成温度が好ましい。すなわち、湿式塗工後の焼成温度が低ければ、有機EL素子の基材として、ガラス基板以外にも樹脂フィルムのようなフレキシブル基板も用いることが可能となるため、応用範囲が広がる。
塗膜を有する基材の焼成時間5〜60分間の範囲好ましいのは、焼成時間が5分未満では、導電性反射膜において、焼成が十分でない不具合が生じるからである。焼成時間が60分を越えると、必要以上に製造コストが増大して生産性が低下してしまう不具合を生じるためである。
表1から明らかなように、実施例1〜7は、導電性反射膜にスパッタ成膜を用いた比較例2と同様に、導電性反射膜の反射特性が高いため、有機EL素子の輝度が高く、導電性反射膜の密着性が良好であり、かつ有機EL素子の耐久性については比較例2を上回るものであった。実施例7は、仕事関数が低いMgを金属材料に一部用いているために有機EL素子の輝度が高くなり、また添加として密着性が良好な酢酸系金属錯体を用いているため、有機EL素子の耐久性が高くなった。これに対して、添加物なしの金属ナノ粒子分散液を塗布して導電性反射膜を作製した比較例1は、導電性反射膜の反射特性が悪いため、有機EL素子の初期の輝度が低く、導電性反射膜の密着性が悪く、また有機EL素子の耐久性も非常に低いという結果であった。

Claims (2)

  1. 基材と、導電性反射膜と、発光層と、透明電極層と、をこの順に備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、導電性反射膜が、金属ナノ粒子焼結体と添加物とを含有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 基材上に、金属ナノ粒子と添加物とを含有する導電性反射膜用組成物を、湿式塗工法により塗布した後、焼成することにより導電性反射膜を形成し、導電性反射膜上に、発光層、および透明電極層を形成することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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