JP2013045063A - 表示デバイス、および表示デバイスの製造方法 - Google Patents

表示デバイス、および表示デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発色性の低下を抑制しつつ、着消色の応答速度を向上させることができるエレクトロクロミック素子を有する表示デバイスを提供する。
【解決手段】基材10の基材12と対向する面上に設けられた透明導電膜20と、透明導電膜20と対向するよう、基材12上に設けられた透明導電膜22と、透明導電膜20と透明導電膜22との間に位置し、かつ透明導電膜20と接続する透明導電膜24と、透明導電膜20上に設けられた、エレクトロクロミック材料からなる着色層30と、透明導電膜24上に設けられ、着色層30と同一の材料からなり、かつ平面視で着色層30と重なる着色層34と、透明導電膜20と透明導電膜22との間、および着色層30と透明導電膜24との間の空間を充填し、かつ着色層30および着色層34を覆う電解質層と、を有し、基材10と基材12のうち少なくとも一方が透明である。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子を有する表示デバイス、および表示デバイスの製造方法に関する。
表示デバイスの一つとして、エレクトロクロミック素子を用いた反射型不揮発性表示デバイスがある。エレクトロクロミック素子を用いた表示デバイスは、表示面と平行な2枚の導電膜と、当該導電膜に挟まれた着色層および電解質層により構成される。当該着色層は、エレクトロクロミック材料からなる。2つの導電膜間に電圧をかけることにより、電解質を介して着色層に電荷が注入されて着色層が着色し、または着色層から電荷が引き抜かれて着色層が消色する。
エレクトロクロミック素子に関する技術としては、例えば特許文献1〜4に記載のものが挙げられる。
特許文献1に記載の技術は、エレクトロクロミック層を有する通電表示テープに関するものである。特許文献2には、固体電解質層の両面にエレクトロクロミック層および電極を設けてなるエレクトロクロミック表示媒体が記載されている。
特許文献3には、導電膜間に位置する電解質膜およびエレクトロクロミック膜を電子リーク性とすることで、太陽光照射によるエレクトロクロミック膜の着色を防止することができると記載されている。特許文献4に記載の技術は、第1電極と、ライン状電極部および透明表示電極部からなる第2電極と、が立体交差する領域により画素を形成するというものである。
特開平8−211835号公報 特開2000−214494号公報 特開2007−101947号公報 特開2008−32911号公報
エレクトロクロミック素子を有する表示デバイスでは、二つの導電膜間に電圧をかけることで、導電膜間に電流が流れ、導電膜上に設けられた着色層が着色または消色する。着色層を構成するエレクトロクロミック材料は、一般的に絶縁性の材料からなる。このため、着色層の層厚が薄い程、導電膜間に流れる電流は流れやすくなる。従って、着色層の層厚を薄くすることで、着消色の応答速度は向上させることができる。
一方で、着色層の層厚を薄くすると、光が着色層を透過する長さが短くなる。このため、表示デバイスの発色性は低下してしまう。
本発明の目的は、発色性の低下を抑制しつつ、着消色の応答速度を向上させることができるエレクトロクロミック素子を有する表示デバイスを提供することにある。
本発明によれば、エレクトロクロミック素子により構成されるセルを備え、
前記エレクトロクロミック素子は、
第1基材と、
前記第1基材と対向するように設けられた第2基材と、
前記第1基材の前記第2基材と対向する面上に設けられた第1透明導電膜と、
前記第1透明導電膜と対向するよう、前記第2基材上に設けられた第2透明導電膜と、
前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間に位置し、かつ前記第1透明導電膜と接続する第3透明導電膜と、
前記第1透明導電膜上に設けられた、エレクトロクロミック材料からなる第1着色層と、
前記第3透明導電膜上に設けられ、前記第1着色層と同一の材料からなり、かつ平面視で前記第1着色層と重なる第2着色層と、
前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間、および前記第1着色層と前記第3透明導電膜との間の空間を充填し、かつ前記第1着色層および前記第2着色層を覆う電解質層と、
を有し、
前記第1基材と前記第2基材のうち少なくとも一方が透明である表示デバイスが提供される。
本発明によれば、発色性の低下を抑制しつつ、着消色の応答速度を向上させることができるエレクトロクロミック素子を有する表示デバイスを提供することができる。
本実施形態に係る表示デバイスを示す断面図である。 図1に示す表示デバイスを示す平面図である。 図1に示すエレクトロクロミック素子を積層してなる、複数色の表示が可能な表示デバイスを示す断面図である。 図1に示すエレクトロクロミック素子を積層してなる、複数色の表示が可能な表示デバイスを示す断面図である。 図2に示す表示デバイスの変形例を示す平面図である。 図2に示す表示デバイスの変形例を示す平面図である。 図2に示す表示デバイスの変形例を示す平面図である。 図1に示す表示デバイスの製造方法を示す断面図である。 図1に示す表示デバイスの製造方法を示す断面図である。 エレクトロクロミック素子に流れる電流と、着色層の層厚との関係を示すグラフである。 図1に示す表示デバイスの変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る表示デバイス100を示す断面図である。本実施形態に係る表示デバイス100は、反射型不揮発性表示デバイスである。
表示デバイス100は、エレクトロクロミック素子60により構成されるセル50を備えている。エレクトロクロミック素子60は、基材10と、基材12と、透明導電膜20と、透明導電膜22と、透明導電膜24と、着色層30と、着色層34と、電解質層40と、固体電解質層42と、を有している。
基材12は、基材10と対向するように設けられている。透明導電膜20は、基材10の基材12と対向する面上に設けられている。透明導電膜22は、透明導電膜20と対向するよう、基材12上に設けられている。透明導電膜24は、透明導電膜20と透明導電膜22との間に位置し、かつ透明導電膜20と接続している。着色層30は、透明導電膜20上に設けられている。また、着色層30は、エレクトロクロミック材料からなる。着色層34は、透明導電膜24上に設けられている。また、着色層34は、着色層30と同一の材料からなる。さらに、着色層34は、平面視で着色層30と重なっている。電解質層40は、透明導電膜20と透明導電膜22との間の空間を充填する。また、電解質層40は、着色層34を覆っている。固体電解質層42は、着色層30と透明導電膜24との間の空間を充填する。また、固体電解質層42は、着色層30を覆っている。なお、電解質層40と固体電解質層42は、互いに接触している。基材10と基材12のうち少なくとも一方は、透明である。
以下、本実施形態に係る表示デバイス100の構成について詳細に説明する。
図2は、図1に示す表示デバイスを示す平面図である。なお、図1は、図2におけるA−A'断面を示す断面図である。
図2に示すように、表示デバイス100は、複数のセル50を備えている。複数のセル50は、マトリクス状に配列されている。
図1に示すように、エレクトロクロミック素子60は、基材10および基材12を備えている。基材10および基材12は、互いに対向している。
基材10および基材12のうち、表示デバイス100の表示面側に位置する一方は、透明基材である。透明基材は、可視光に対して透明な材料により構成される。透明基材は、例えばポリイミド、PET、もしくはPEN等の樹脂フィルム、またはガラス等により構成することができる。なお、透明導電膜20、22、24、または着色層30、34を形成する際に熱硬化性の材料を用いる場合、透明基材を構成する材料としては、当該熱硬化性の材料の熱硬化条件に対する耐熱性を有する材料を選択することができる。
基材10および基材12のうち、表示デバイス100の非表示面側に位置する一方は、ベース基材である。ベース基材は、例えばガラスエポキシ、もしくは紙フェノール等の基板材料、ポリイミド、PET、もしくはPEN等の樹脂フィルム、ガラス、または紙等により構成される。なお、透明導電膜20、22、24、または着色層30、34を形成する際に熱硬化性の材料を用いる場合、ベース基材を構成する材料としては、当該熱硬化性の材料の熱硬化条件に対する耐熱性を有する材料を選択することができる。
なお、後述するように、セル50は、平面視で互いに重なる複数のエレクトロクロミック素子60を有することができる。この場合、セル50が有する複数の基材10および複数の基材12のうち、最も非表示面側に位置する基材10または基材12をベース基材とし、他の基材10および基材12を透明基材とすることができる。
図1に示すように、エレクトロクロミック素子60は、透明導電膜20および透明導電膜22を備えている。
透明導電膜20は、基材10の基材12と対向する面上に設けられている。図1に示すように、透明導電膜20は、例えば表示デバイス100が有するセルごとに互いに分離するように設けられている。また、図2に示すように、透明導電膜20は、例えば平面視で矩形となるように設けられる。
透明導電膜22は、透明導電膜20と対向するように、基材12上に設けられている。図1に示すように、表示デバイス100を構成する複数のセル50がそれぞれ有する透明導電膜22は、例えば互いに一体として設けられる。
エレクトロクロミック素子60は、透明導電膜24を備えている。透明導電膜24は、透明導電膜20と透明導電膜22との間に位置している。また、透明導電膜24は、透明導電膜20と接続している。さらに、図2に示すように、透明導電膜24は、平面視で矩形となるように設けられる。
透明導電膜20と透明導電膜24との間には、後述するように、固体電解質層42が設けられている。そして、図2に示すように、透明導電膜24は、固体電解質層42の側面に沿って下方に伸び、透明導電膜20と接続する。なお、図2に示すように、透明導電膜24は、例えば矩形の一辺の一部が透明導電膜20と接続するように設けられる。
このとき、固体電解質層42は、透明導電膜20と透明導電膜22との間を充填する電解質層40に対して露出する。これにより、固体電解質層42と電解質層40は、互いに接触する。
図5〜図7は、図2に示す表示デバイスの変形例を示す平面図である。透明導電膜24と透明導電膜20との接続構造は、図2に示す構造に限られず、例えば図5〜図7に示す構造とすることもできる。
図5に示すように、透明導電膜24は、例えば矩形の一辺の全体が透明導電膜20と接続するように設けられてもよい。
また、図6に示すように、透明導電膜24は、例えば矩形の四辺それぞれにおいて、一部が透明導電膜20と接続するように設けられてもよい。
さらに、図7に示すように、透明導電膜24は、例えば矩形の四辺それぞれにおいて、互いに離間した複数の箇所が透明導電膜20と接続するように設けられてもよい。
透明導電膜20、透明導電膜22および透明導電膜24は、可視光に対して透明な材料により構成される。透明導電膜20、透明導電膜22および透明導電膜24は、例えばITO、FTO、ATO、IGZO、ZO、IZO、AZO、もしくはGZO等の金属酸化物、ネットワーク状に焼結させた金属ナノ粒子、もしくは金属ナノワイヤ、またはネットワーク状に分散配置したカーボンナノチューブ、もしくはグラフェン等により構成することができる。
図1に示すように、透明導電膜20上には、着色層30が設けられている。着色層30と透明導電膜24との間には、後述するように、固体電解質層42が設けられている。着色層30の表面は、固体電解質層42により覆われている。着色層30は、電荷を注入することにより着色されるエレクトロクロミック材料からなる。エレクトロクロミック材料としては、例えば、WO型、もしくはプルシアンブルー型化合物等の無機系材料、またはビオロゲン等の有機系材料により構成される。
また、透明導電膜24上には、着色層34が設けられている。着色層34は、着色層30と同一の材料からなる。また、着色層34は、平面視で着色層30と重なっている。着色層34の表面は、固体電解質層42と接触する電解質層40により覆われている。
着色層30および着色層34は、表示デバイス100の画素として機能する。
エレクトロクロミック素子60による発色は、平面視で重なる着色層30および着色層34により行われる。このため、エレクトロクロミック素子60の発色性を向上することができる。従って、高反射率、高コントラストが可能な表示デバイスを実現できる。これにより、例えば表面に透明導電膜を用いるタッチパネル等の入力素子を取り付けた場合においても、明るい画面を維持することができる。
図10は、エレクトロクロミック素子に流れる電流と、着色層の層厚との関係を示すグラフである。図10は、エレクトロクロミック素子に1Vの電圧を印加した際に、エレクトロクロミック素子に流れる電流の値を示す。
また、図10に示す電流値は、プルシアンブルーからなる着色層の抵抗率から、プルシアンブルーからなる着色層を有する1mm角のエレクトロクロミック素子を形成して駆動した場合を仮定して計算されたものである。
エレクトロクロミック素子の駆動に必要な電荷量を2mC/cmとすると、1mm角のエレクトロクロミック素子1つを1回書き換えるのに必要な電荷量は0.02mC/回となる。このため、簡易的な動画表示に必要な1秒間30回の書換えを行う場合には、0.6mAの電流を流す必要がある。この値を図10のグラフに当てはめると、着色層の層厚をおよそ92nm以下とする必要があることが分かる。したがって、簡易的な動画表示を行う場合には、着色層の層厚を90nm以下の厚みとすることが好ましい。
また、電子ペーパ等による静止画を中心とした表示に必要な1秒間5回の書換えを行う場合には、0.1mAの電流を流す必要がある。この値を図10のグラフに当てはめると、着色層の層厚をおよそ550nm以下とする必要があることが分かる。従って、電子ペーパ等により静止画を中心とした表示を行う場合には、着色層の層厚を500nm以下の厚みとすることが好ましい。
すなわち、図10の結果から、着色層30および着色層34の層厚は、それぞれ500nm以下とすることが好ましく、またそれぞれ90nm以下とすることがさらに好ましいことがわかる。
また、本実施形態によれば、上記のように着色層30および着色層34の層厚を薄くしても、平面視で着色層30と着色層34が重なっているため、表示デバイス100の発色性を良好に維持することができる。
図1に示すように、エレクトロクロミック素子60は、固体電解質層42を備える。固体電解質層42は、透明導電膜20上に設けられている。また、固体電解質層42は、透明導電膜20上に設けられた着色層30の表面を覆うように設けられている。
また、図2に示すように、固体電解質層42は、透明導電膜20と透明導電膜24との間に設けられる。このとき、固体電解質層42は、着色層30と透明導電膜24との間の空間を充填する。
固体電解質層42は、例えばナフィオン等により構成される。
図1に示すように、透明導電膜20と透明導電膜22との間には、電解質層40が充填されている。電解質層40は、着色層34を覆うように設けられる。また、電解質層40は、固体電解質層42と接触している。
電解質層40を構成する材料は、可視光に対して透明であり、かつ電解質として機能するものであれば特に限定されない。電解質層40は、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、もしくは塩化水素等の水溶液、またはナフィオン等の固体電解質等により構成される。
図11は、図1に示す表示デバイス100の変形例を示す断面図である。
図11に示すように、エレクトロクロミック素子60は、複数の透明導電膜24と、複数の着色層34と、を有していてもよい。この場合、複数の透明導電膜24は、平面視で互いに重なるように設けられる。また、複数の透明導電膜24は互いに接続される。そして、複数の着色層34は、それぞれ異なる透明導電膜24上に設けられ、かつ平面視で互いに重なるように設けられる。
また、隣接する透明導電膜24の間には、例えば固体電解質層42が設けられる。このとき、隣接する透明導電膜24の間に設けられた固体電解質層42は、一方の透明導電膜24上に設けられた着色層34の表面を覆うこととなる。
透明導電膜24および着色層34の層数は、任意に決定することができる。これにより、表示デバイス100の発色性の低下を抑制しつつ、着消色の応答速度を向上させるために最適な着色層30および着色層34の層厚を選択することができる。
図3および図4は、図1に示すエレクトロクロミック素子60を積層してなる、複数色の表示が可能な表示デバイス100を示す断面図である。
図3および図4に示すように、表示デバイス100において、セル50は、平面視で互いに重なる複数のエレクトロクロミック素子60を有していてもよい。
この場合、図4に示すように、例えば一のエレクトロクロミック素子60が有する基材12と、当該一のエレクトロクロミック素子60と基材12側において隣接する他のエレクトロクロミック素子60が有する基材10とは、一体として設けられる。
また、図3に示すように、一のエレクトロクロミック素子60が有する基材12と、当該一のエレクトロクロミック素子60と基材12側において隣接する他のエレクトロクロミック素子60が有する基材10とは、一体として設けられていなくともよい。
セル50が有する複数のエレクトロクロミック素子60それぞれが有する着色層30は、互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる。すなわち、セル50が有する複数のエレクトロクロミック素子60それぞれが有する着色層34も、互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる。これにより、平面視で互いに重なる複数のエレクトロクロミック素子60は、互いに異なる色を表示することとなる。
セル50が複数のエレクトロクロミック素子60を有する場合、セル50が有する基材10および基材12のうち、最も非表示面側に位置する基材10または基材12を不透明とし、他の基材10および基材12を透明とすることができる。
この場合、表示デバイス100の表示面側からのみ、表示デバイス100の発色を観察することができることとなる。
セル50が有する複数のエレクトロクロミック素子60は、例えば互いに異なるRGBカラーを表示する3つのエレクトロクロミック素子60である。
複数のエレクトロクロミック素子60がRGBカラーを表示する場合、セル50の非表示面側には、消色状態において光を吸収する黒色層を設けることができる。黒色層は、例えば最も非表示面側に位置する基材10または基材12の少なくとも内側の面を黒くすることにより設けられる。また、黒色層は、最も非表示面側に位置する基材10または基材12の内側の面に接するように、基材10および基材12とは別個に設けられてもよい。
セル50が有する複数のエレクトロクロミック素子60は、例えば互いに異なるCMYカラーを表示する3つのエレクトロクロミック素子60である。
複数のエレクトロクロミック素子60がCMYカラーを表示する場合、セル50の非表示面側には、消色状態において光を反射する白色層を設けることができる。白色層は、例えば最も非表示面側に位置する基材10または基材12の少なくとも内側の面を白くすることにより設けられる。また、白色層は、最も非表示面側に位置する基材10または基材12の内側の面に接するように、基材10および基材12とは別個に設けられてもよい。
白色層は、例えば酸化チタンのナノ粒子を焼成させた多孔質材料により構成される。
また、白色層は、例えば着色層を担持していてもよい。これは、例えば多孔質材料により構成される白色層に、上述した着色層30、34を構成する材料を含浸させることによって実現することができる。また、この場合、多孔質材料内部に電解質を含浸させ、白色層に担持された着色層に効率的に電流を流すことができる。従って、当該着色層の層厚を大きくしても、着消色の応答速度を良好に保つことができる。
図2に示すように、マトリクス状に配列された複数のセル50は、薄膜トランジスタ80を介してマトリクス配線と接続している。マトリクス配線は、複数のX座標配線70および複数のY座標配線72からなる。なお、X座標配線70とY座標配線72との交点において、X座標配線70とY座標配線72は絶縁層により互いに絶縁されている(図示せず)。
選択したセル50と接続するX座標配線70およびY座標配線72に電圧を印加することで、当該選択したセル50と接続する薄膜トランジスタ80がON状態となる。これにより、Y座標配線72の電圧が、薄膜トランジスタ80を介して透明導電膜20および透明導電膜22へ印加される。このとき、選択されたセル50において、透明導電膜22と透明導電膜20との間、および透明導電膜22と透明導電膜24との間に、電場がかかる。これにより、選択されたセル50が有する着色層30および着色層34に電荷が注入される。このようにして、選択されたセル50が発色することとなる。
一方で、透明導電膜22と透明導電膜20との間、および透明導電膜22と透明導電膜24との間にセル50を発色させる場合と逆の電場がかかるよう、X座標配線70とY座標配線72に電圧を印加することで、選択されたセル50を消色することができる。
X座標配線70およびY座標配線72は、例えばスパッタリングや蒸着によって形成される金属箔膜、またはめっき法によって形成される金属膜等により構成することができる。
また、X座標配線70およびY座標配線72は、少なくとも樹脂と導電性フィラーを含む、印刷により形成可能な導電性ペーストにより構成されてもよい。この場合、導電性ペーストに用いる樹脂としては、例えばエポキシ、フェノール、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、またはシリコーン等を用いることができる。また、導電性フィラーは、銀、金、銅、ニッケル、パラジウムおよび白金から選択される単一金属もしくは合金、銅、銅合金、ニッケルもしくはニッケル合金等を銀で被覆したもの、またはこれらから選択される複数の組合せにより構成される。また、導電性フィラーは、例えば球状、燐片状もしくは針状等の形状を有し、またはこれらから選択される複数の形状を有する。また、導電性フィラーを構成する金属粒子の粒子径は、5μm以下であることが好ましい。導電性フィラーを構成する金属粒子の粒子径を5μm以下とすることで、導電性ペーストの印刷性を良好とすることができる。また、導電性フィラーの粒度分布のピークは1つである必要は無く、例えばミクロンオーダの金属粒子と100nm以下の金属微粒子をともに含有しても良い。ナノサイズの金属は低温で融着する性質があるため、ナノサイズの金属微粒子を含むことで、導電性フィラー間の接触を金属結合とすることができる。これにより、X座標配線70およびY座標配線72の低抵抗化を実現することができる。なお、導電性フィラーは、例えば導電性カーボン粒子、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等を含んでいてもよい。
X座標配線70およびY座標配線72を導電性ペーストにより構成する場合、X座標配線70およびY座標配線72は、例えば孔版を用いたスクリーン印刷により形成することができる。これにより、厚膜かつ微細な配線の印刷が可能となる。また、凸版印刷、凹版印刷、これらのオフセット印刷やインクジェット法により形成することもできる。
薄膜トランジスタ80は、例えばシリコン、金属酸化物、もしくは有機半導体をスパッタリングによって成膜する方法、または有機半導体、もしくは半導体の性質を持つカーボンナノチューブを分散させたインクを印刷塗布する方法等により形成することができる。
表示デバイス100においては、エレクトロクロミック素子60へ注入した電場量により着消色の応答速度が決定する。このため、大きな電流を流すことが可能な薄膜トランジスタ80が求められる。薄膜トランジスタ80を印刷塗布する方法により形成する場合には、カーボンナノチューブを分散させたインクを用いることで、大きな電流を流すことが可能な薄膜トランジスタ80を実現することができる。
次に、本実施形態に係る表示デバイス100の製造方法を説明する。
図8および図9は、図1に示す表示デバイス100の製造方法を示す断面図である。本実施形態に係る表示デバイス100の製造方法は、エレクトロクロミック素子60を形成する工程を備える。
エレクトロクロミック素子60を形成する工程は次のように行われる。
まず、基材10上に、透明導電膜20を形成する。次いで、図8(a)に示すように、透明導電膜20上に、エレクトロクロミック材料からなる着色層30を形成する。
次に、図8(b)に示すように、着色層30を覆うように、透明導電膜20上に固体電解質層42を形成する。次に、図8(c)に示すように、固体電解質層42上に、透明導電膜20と接続する透明導電膜24を形成する。
次に、図9(a)に示すように、透明導電膜24上に着色層34を形成する。着色層34は、平面視で着色層30と重なるように設けられる。また、着色層34は、着色層30と同一の材料により設けられる。次に、図9(b)に示すように、透明導電膜22が設けられた基材12を、透明導電膜22が透明導電膜20と対向するように、基材10に対向させる。そして、透明導電膜20と透明導電膜22との間に、電解質を充填し、電解質層40を形成する。このとき、電解質層40は、固体電解質層42と接触するように設けられる。これにより、図1に示すエレクトロクロミック素子60が得られる。
本実施形態に係る表示デバイス100の製造方法は、例えば上述のエレクトロクロミック素子60を形成する工程により形成された複数のエレクトロクロミック素子60を重ねる工程を備える。これにより、図3に示す表示デバイス100が得られることとなる。
この場合、複数のエレクトロクロミック素子60それぞれが有する着色層30は、互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる。すなわち、エレクトロクロミック素子60それぞれが有する着色層34も、互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる。
また、本実施形態に係る表示デバイス100の製造方法では、上述の工程により形成されたエレクトロクロミック素子60の基材12上に、透明導電膜20、着色層30、透明導電膜22、着色層34、透明導電膜22および基材12をさらに形成してもよい。これを繰り返すことにより、図4に示す表示デバイス100が得られることとなる。
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、エレクトロクロミック材料からなる着色層30と、着色層30と同一の材料からなり、かつ平面視で着色層30と重なる着色層34と、を有するエレクトロクロミック素子60を備えている。
エレクトロクロミック素子60においては、着色層30および着色層34の層厚を薄くすることで、透明導電膜間に流れる電流を流れやすくすることができる。これにより着消色の応答速度を向上させることができる。
また、エレクトロクロミック素子60の発色は、平面視で重なる着色層30および着色層34により行われる。このため、着色層30および着色層34の層厚を薄くしても、エレクトロクロミック素子60の発色性を維持することができる。
従って、発色性の低下を抑制しつつ、着消色の応答速度を向上させることができるエレクトロクロミック素子を有する表示デバイスを提供することができる。
なお、上記実施形態によれば、以下の発明が開示されている。
(付記1)
エレクトロクロミック素子により構成されるセルを備え、
前記エレクトロクロミック素子は、
第1基材と、
前記第1基材と対向するように設けられた第2基材と、
前記第1基材の前記第2基材と対向する面上に設けられた第1透明導電膜と、
前記第1透明導電膜と対向するよう、前記第2基材上に設けられた第2透明導電膜と、
前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間に位置し、かつ前記第1透明導電膜と接続する第3透明導電膜と、
前記第1透明導電膜上に設けられた、エレクトロクロミック材料からなる第1着色層と、
前記第3透明導電膜上に設けられ、前記第1着色層と同一の材料からなり、かつ平面視で前記第1着色層と重なる第2着色層と、
前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間、および前記第1着色層と前記第3透明導電膜との間の空間を充填し、かつ前記第1着色層および前記第2着色層を覆う電解質層と、
を有し、
前記第1基材と前記第2基材のうち少なくとも一方が透明である表示デバイス。
(付記2)
請求項1に記載の表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック素子は、平面視で互いに重なる複数の前記第3透明導電膜と、それぞれ異なる前記第3透明導電膜上に設けられた複数の前記第2着色層と、を有する表示デバイス。
(付記3)
請求項1または2に記載の表示デバイスにおいて、
前記第1着色層および前記第2着色層の層厚は、それぞれ500nm以下である表示デバイス。
(付記4)
請求項1または2に記載の表示デバイスにおいて、
前記セルは、平面視で互いに重なる複数の前記エレクトロクロミック素子を有し、
前記複数のエレクトロクロミック素子それぞれが有する前記第1着色層は、互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる表示デバイス。
(付記5)
請求項4に記載の表示デバイスにおいて、
前記セルが有する前記第1基材および前記第2基材のうち、最も非表示面側に位置する前記第1基材または前記第2基材以外の、前記第1基材および前記第2基材は透明である表示デバイス。
(付記6)
請求項4または5に記載の表示デバイスにおいて、
前記複数のエレクトロクロミック素子は、互いに異なるRGBカラーを表示する3つの前記エレクトロクロミック素子である表示デバイス。
(付記7)
請求項4または5に記載の表示デバイスにおいて、
前記複数のエレクトロクロミック素子は、互いに異なるCMYカラーを表示する3つの前記エレクトロクロミック素子である表示デバイス。
(付記8)
請求項1ないし7いずれか1項に記載の表示デバイスにおいて、
マトリクス状に配列された複数の前記セルを備え、
前記複数のセルは、薄膜トランジスタを介してマトリクス配線と接続する表示デバイス。
(付記9)
エレクトロクロミック素子を形成する工程を備え、
前記エレクトロクロミック素子を形成する工程は、
第1基材上に設けられた第1透明導電膜上に、エレクトロクロミック材料からなる第1着色層を形成する工程と、
前記第1着色層を覆うように、固体電解質層を形成する工程と、
前記固体電解質層上に、前記第1透明導電膜と接続する第3透明導電膜を形成する工程と、
前記第3透明導電膜上に、平面視で前記第1着色層と重なるように、前記第1着色層と同一の材料からなる第2着色層を形成する工程と、
第2透明導電膜が設けられた第2基材を、前記第2透明導電膜が前記第1透明導電膜と対向するように、前記第1基材と対向させる工程と、
前記固体電解質層と接触するように、前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間に電解質を充填する工程と、
を有し、
前記第1基材と前記第2基材のうち少なくとも一方が透明である表示デバイスの製造方法。
(付記10)
請求項9に記載の表示デバイスの製造方法において、
前記エレクトロクロミック素子を形成する工程の後において、複数の前記エレクトロクロミック素子を重ねる工程を備え、
前記複数のエレクトロクロミック素子は、それぞれが有する前記第1着色層が互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる表示デバイスの製造方法。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
10 基材
12 基材
20 透明導電膜
22 透明導電膜
24 透明導電膜
30 着色層
34 着色層
40 電解質層
42 固体電解質層
50 セル
60 エレクトロクロミック素子
70 X座標配線
72 Y座標配線
80 薄膜トランジスタ
100 表示デバイス

Claims (10)

  1. エレクトロクロミック素子により構成されるセルを備え、
    前記エレクトロクロミック素子は、
    第1基材と、
    前記第1基材と対向するように設けられた第2基材と、
    前記第1基材の前記第2基材と対向する面上に設けられた第1透明導電膜と、
    前記第1透明導電膜と対向するよう、前記第2基材上に設けられた第2透明導電膜と、
    前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間に位置し、かつ前記第1透明導電膜と接続する第3透明導電膜と、
    前記第1透明導電膜上に設けられた、エレクトロクロミック材料からなる第1着色層と、
    前記第3透明導電膜上に設けられ、前記第1着色層と同一の材料からなり、かつ平面視で前記第1着色層と重なる第2着色層と、
    前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間、および前記第1着色層と前記第3透明導電膜との間の空間を充填し、かつ前記第1着色層および前記第2着色層を覆う電解質層と、
    を有し、
    前記第1基材と前記第2基材のうち少なくとも一方が透明である表示デバイス。
  2. 請求項1に記載の表示デバイスにおいて、
    前記エレクトロクロミック素子は、平面視で互いに重なる複数の前記第3透明導電膜と、それぞれ異なる前記第3透明導電膜上に設けられた複数の前記第2着色層と、を有する表示デバイス。
  3. 請求項1または2に記載の表示デバイスにおいて、
    前記第1着色層および前記第2着色層の層厚は、それぞれ500nm以下である表示デバイス。
  4. 請求項1または2に記載の表示デバイスにおいて、
    前記セルは、平面視で互いに重なる複数の前記エレクトロクロミック素子を有し、
    前記複数のエレクトロクロミック素子それぞれが有する前記第1着色層は、互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる表示デバイス。
  5. 請求項4に記載の表示デバイスにおいて、
    前記セルが有する前記第1基材および前記第2基材のうち、最も非表示面側に位置する前記第1基材または前記第2基材以外の、前記第1基材および前記第2基材は透明である表示デバイス。
  6. 請求項4または5に記載の表示デバイスにおいて、
    前記複数のエレクトロクロミック素子は、互いに異なるRGBカラーを表示する3つの前記エレクトロクロミック素子である表示デバイス。
  7. 請求項4または5に記載の表示デバイスにおいて、
    前記複数のエレクトロクロミック素子は、互いに異なるCMYカラーを表示する3つの前記エレクトロクロミック素子である表示デバイス。
  8. 請求項1ないし7いずれか1項に記載の表示デバイスにおいて、
    マトリクス状に配列された複数の前記セルを備え、
    前記複数のセルは、薄膜トランジスタを介してマトリクス配線と接続する表示デバイス。
  9. エレクトロクロミック素子を形成する工程を備え、
    前記エレクトロクロミック素子を形成する工程は、
    第1基材上に設けられた第1透明導電膜上に、エレクトロクロミック材料からなる第1着色層を形成する工程と、
    前記第1着色層を覆うように、固体電解質層を形成する工程と、
    前記固体電解質層上に、前記第1透明導電膜と接続する第3透明導電膜を形成する工程と、
    前記第3透明導電膜上に、平面視で前記第1着色層と重なるように、前記第1着色層と同一の材料からなる第2着色層を形成する工程と、
    第2透明導電膜が設けられた第2基材を、前記第2透明導電膜が前記第1透明導電膜と対向するように、前記第1基材と対向させる工程と、
    前記固体電解質層と接触するように、前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜との間に電解質を充填する工程と、
    を有し、
    前記第1基材と前記第2基材のうち少なくとも一方が透明である表示デバイスの製造方法。
  10. 請求項9に記載の表示デバイスの製造方法において、
    前記エレクトロクロミック素子を形成する工程の後において、複数の前記エレクトロクロミック素子を重ねる工程を備え、
    前記複数のエレクトロクロミック素子は、それぞれが有する前記第1着色層が互いに異なるエレクトロクロミック材料からなる表示デバイスの製造方法。
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