JP2013044803A - 光半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁層のクラックの発生を防止することが可能な光半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】光半導体素子の製造方法は、半導体メサ16を埋め込む埋め込み樹脂領域18aを形成する工程(S6)と、第2絶縁層19a及びレジストマスク21を形成する工程(S8)と、レジストマスク21を用いてエッチングして開口25を形成する工程(S9)と、レジストマスク21を除去した後に、半導体メサ16の上面16s及び第2絶縁層19aの上に導電層26を形成する工程(S12)と、第2絶縁層19aを除去することにより第2絶縁層19aの上の導電層26bをリフトオフして半導体メサ16の上面16sに電極27を形成する工程(S13)と、電極27を熱処理する工程(S14)と、埋め込み樹脂領域18aの上に第3絶縁層28を形成する工程(S15)とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】光半導体素子の製造方法は、半導体メサ16を埋め込む埋め込み樹脂領域18aを形成する工程(S6)と、第2絶縁層19a及びレジストマスク21を形成する工程(S8)と、レジストマスク21を用いてエッチングして開口25を形成する工程(S9)と、レジストマスク21を除去した後に、半導体メサ16の上面16s及び第2絶縁層19aの上に導電層26を形成する工程(S12)と、第2絶縁層19aを除去することにより第2絶縁層19aの上の導電層26bをリフトオフして半導体メサ16の上面16sに電極27を形成する工程(S13)と、電極27を熱処理する工程(S14)と、埋め込み樹脂領域18aの上に第3絶縁層28を形成する工程(S15)とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、光半導体素子の製造方法に関する。
リッジ形状やハイメサ形状の半導体層をベンゾシクロブテン(BCB)などの樹脂により埋め込んだ、例えばマッハツェンダ変調器のような光半導体素子が知られている。
特許文献1には、リッジ形状に加工された半導体層を有するリッジ型半導体レーザの製造方法が記載されている。この製造方法では、リッジを埋め込んだ樹脂層をエッチングしてリッジの上面を露出させた後に、リッジの上面及び樹脂層の主面の上に絶縁層を形成する。この絶縁層の上には、フォトレジスト膜を形成する。フォトレジスト膜を用いて絶縁層及び樹脂層をエッチングして、絶縁層及び樹脂層に開口を形成する。開口からは、リッジの上面及び樹脂層が露出している。開口から露出するリッジの上面及び樹脂層の上に加えてフォトレジスト膜の上に導電層を形成する。フォトレジスト膜を除去してフォトレジスト膜の上の導電層をリフトオフする。これらの工程により、開口に電極が形成される。この電極を形成した後に、リッジと電極との接触における電気抵抗を低減させるための熱処理を行う。熱処理の後に、電極の上及び絶縁層の上にパッド電極を形成する。
特許文献1に記載された製造方法では、フォトレジスト膜を用いたリフトオフにより電極を形成する。樹脂層の上には絶縁層が形成されているので、リフトオフの際に樹脂層にダメージを与えることなくフォトレジスト層が除去される。リフトオフにより電極を形成した後、樹脂層の上には絶縁層が残されている。これ故、熱処理は電極やリッジだけではなく、樹脂層上の絶縁層にも加えられる。
特許文献1に記載された製造方法では、樹脂層はBCB樹脂からなり、絶縁層は窒化シリコンからなるので、樹脂層の熱膨張係数は絶縁層の熱膨張係数と大きく異なる。互いに異なる熱膨張係数の樹脂層及び絶縁層が熱処理に晒されると、絶縁層及び樹脂層に内部応力が発生する。熱処理後に、熱膨張係数差に起因する内部応力により絶縁層にクラックが生じるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、絶縁層のクラックの発生を防止することが可能な光半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る光半導体素子の製造方法では、基板の主面の上に成長された複数の半導体層の上にマスクを形成する工程と、前記マスクを用いて前記半導体層をエッチングして、半導体メサを形成する工程と、前記半導体メサを形成した後に、前記マスクを除去する工程と、前記基板の主面、前記半導体メサの側面及び前記半導体メサの上面を覆うように第1絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層を形成した後に、前記半導体メサの前記側面及び前記半導体メサの前記上面を埋め込む埋め込み樹脂領域を形成する工程と、前記埋め込み樹脂領域の上に第2絶縁層を形成する工程と、前記第2絶縁層の上にレジストマスクを形成する工程と、前記レジストマスクを用いて前記第2絶縁層、前記埋め込み樹脂領域及び前記第1絶縁層をエッチングして、前記第2絶縁層、前記埋め込み樹脂領域及び前記第1絶縁層に設けられる開口を形成する工程と、前記開口を形成した後に、前記レジストマスクを除去する工程と、前記レジストマスクを除去した後に、前記半導体メサの前記上面及び前記第2絶縁層の上に導電層を形成する工程と、前記第2絶縁層を除去することにより前記第2絶縁層の上の前記導電層をリフトオフして前記半導体メサの前記上面に電極を形成する工程と、前記電極を熱処理する工程と、前記電極を熱処理した後に、前記埋め込み樹脂領域の上に第3絶縁層を形成する工程と、を備える。
この製造方法では、第2絶縁層を除去するリフトオフにより、導電層から電極を形成する。第2絶縁層を除去した後に、半導体メサの上面に接する電極の合金化のための熱処理をする。この熱処理の後に、電極の上及び埋め込み樹脂領域の上に第3絶縁層を形成するので、第3絶縁層が熱処理に晒されない。このため、埋め込み樹脂領域の熱膨張係数と第3絶縁層の熱膨張係数との差に起因する内部熱応力は生じない。この製造方法によれば、上記の熱膨張係数差に起因したクラックが第3絶縁層に発生されることを防止できる。
本発明に係る光半導体素子の製造方法では、前記開口は、第1開口、第2開口及び第3開口を含み、前記第1開口は前記第2絶縁層に形成され、前記第2開口は前記埋め込み樹脂領域に形成され、前記第3開口は前記第1絶縁層に形成されており、前記導電層を形成する前に、前記第2開口の幅が前記第1開口の幅よりも大きくなるように、前記第2開口の幅を拡大する工程を更に備えてもよい。
この製造方法によれば、埋め込み樹脂領域の第2開口の側壁面を後退させることができるので、第2絶縁層及び埋め込み樹脂領域により、いわゆる庇形状を形成できる。これによれば埋め込み樹脂領域の第2開口の側壁面に導電層が形成されない。半導体メサ上の導電層は第2絶縁層上の導電層と繋がっていないので、第2絶縁層と埋め込み樹脂領域との間に第2絶縁層を除去するための剥離液を浸透させることができる。従って、第2絶縁層上の導電層をリフトオフすることができる。また、半導体メサ上の導電層にバリを生じさせることなく電極を形成できる。
本発明に係る光半導体素子の製造方法では、前記開口を形成する工程において、前記開口の幅は前記半導体メサの幅よりも小さくてもよい。開口の幅は、半導体メサの幅よりも小さいので、開口は半導体メサの上面に到達する。半導体メサの側面上の埋め込み樹脂領域がエッチングされることはない。これ故、開口から半導体メサの上面が露出されるけれども、開口から半導体メサの側面は露出されない。従って、半導体メサの側面上への電極の形成を防止できる。
本発明に係る光半導体素子の製造方法では、前記第3絶縁層を形成した後に、前記電極の上及び前記第3絶縁層の上に電極パッドを形成する工程を更に備えてもよい。熱処理に晒されていない第3絶縁層の上に電極パッドを形成できる。
本発明に係る光半導体素子の製造方法では、前記樹脂はベンゾシクロブテンからなり、前記第1絶縁層は窒化シリコンからなり、前記第2絶縁層は窒化シリコンからなり、前記第3絶縁層は窒化酸化シリコンからなっていてもよい。窒化シリコンからなる第2絶縁層は、第2の開口の幅を拡大するときの保護膜として用いることができる。また、第2絶縁層はリフトオフ層として用いる。
本発明によれば、絶縁層のクラックの発生を防止することが可能な光半導体素子の製造方法が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明による光半導体素子の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1〜図5を参照しながら、本実施形態に係る光半導体素子の製造方法を説明する。
図1は、光半導体素子の製造方法における主要なステップを示す図である。図2の(a)部を参照すると、工程S1では、基板11の主面11sの上に複数の半導体層を形成する。基板11は、III−V族化合物半導体からなる。この基板11として例えばシリコンをドープしたn型InP基板等を用いることができる。複数の半導体層の成長には、例えば有機金属気相成長法(OMVPE:Organo Metallic Vapor Phase Epitaxy)を用いることができる。
基板11上には、上記半導体層を含む半導体積層が形成される。この半導体積層は、光導波路層12、クラッド層13及びコンタクト層14を含む。主面11sの上に光導波路層12を成長する。この光導波路層12上にクラッド層13を成長する。このクラッド層13上にコンタクト層14を成長する。光導波路層12は、GaInAsP、AlGaInAs、AlInAs及びGaInAs等によって構成される。クラッド層13は、例えばp型InP等のIII−V族化合物半導体からなる。コンタクト層14は、例えばp型InGaAs等のIII−V族化合物半導体からなる。この実施例では、基板11はクラッド層として機能する。
工程S2では、プラズマCVD法を用いてコンタクト層14の主面14sの上に絶縁膜として窒化シリコン(SiN)膜を形成する。窒化シリコン膜の上にレジスト層を形成する。フォトリソグラフィにより、半導体メサを形成するためのパターンをレジスト層に形成する。パターンが形成されたレジスト層を用いて窒化シリコン膜をエッチングする。図2の(b)部を参照すると、窒化シリコン膜のエッチングにより、マスク層15が形成される。このエッチングには、例えばCF4、CHF3等によるプラズマエッチングを用いることができる。
図2の(c)部を参照すると、工程S3では、マスク層15を用いて光導波路層12、クラッド層13及びコンタクト層14をエッチングする。このエッチングにより半導体メサ16が形成される。半導体メサ16は、エッチングされた光導波路層12a、エッチングされたクラッド層13a及びエッチングされたコンタクト層14aを含む。このエッチングには、例えばSiCl4,HIなどによるプラズマエッチングを用いることができる。なお、半導体メサ16を形成するエッチングにおいて、基板11がオーバーエッチングされてもよい。オーバーエッチングにより、基板11には新たな主面11tが形成される。
図3の(a)部を参照すると、工程S4では、マスク層15を除去する。工程S5では、第1絶縁層17を形成する。第1絶縁層17は、半導体メサ16の側面16f及び半導体メサ16の上面16sを覆うように形成される。第1絶縁層17は、例えば窒化シリコンからなる。第1絶縁層17の形成には、例えばプラズマCVD法を用いることができる。
工程S6では、埋め込み樹脂領域18を形成する。埋め込み樹脂領域18は、半導体メサ16の側面16f及び半導体メサ16の上面16sを埋め込む。この埋め込み樹脂領域18は、埋め込み樹脂層18の主面18sが平坦になるように形成される。埋め込み樹脂領域18の高さh1は、半導体メサ16の高さh2よりも高い。埋め込み樹脂領域18の高さh1は、基板11の主面11tから埋め込み樹脂領域18の主面18sまでの距離により規定される。半導体メサ16の高さh2は、基板11の主面11tから半導体メサ16の上面16sまでの距離により規定される。埋め込み樹脂領域18は、例えばベンゾシクロブテン(BCB:Benzocyclobutene)等の誘電体樹脂からなる。埋め込み樹脂領域18の形成には、スピンコートを用いることができる。スピンコートにより形成された埋め込み樹脂領域18は、熱硬化処理により硬化される。
工程S7では、埋め込み樹脂領域18の上に第2絶縁層19を形成する。第2絶縁層19は、例えば窒化シリコンからなり、プラズマCVD法を用いて形成される。なお、第2絶縁層19は窒化シリコンの他に、酸化シリコン(SiO2)又は窒化酸化シリコン(SiON)であってもよい。
図3の(b)部を参照すると、工程S8では、第2絶縁層19の上にレジストマスク21を形成する。レジストマスク21の形成には、フォトリソグラフィを用いることができる。レジストマスク21は開口21aを有している。この開口21aは、半導体メサ16の上面16sの上方に設けられている。この開口21aの幅w2は、半導体メサ16の幅w1よりも小さい。半導体メサ16の幅w1は、半導体メサ16の一の側面16fから、一の側面16fの反対側にある別の側面16fまでの距離により規定される。
なお、埋め込み樹脂領域18の主面18sは平坦な面であるので、主面18s上の第2絶縁層19の主面19sは平坦に形成される。レジストマスク21は、平坦な面である主面19s上に形成されるので、レジストマスク21の開口21aを精度良く形成することができる。従って、第3開口22の幅のばらつきを抑制できる。
図3の(c)部を参照すると、工程S9では、レジストマスク21を用いて、第2絶縁層19、埋め込み樹脂領域18及び第1絶縁層17をエッチングすることにより開口25を形成する。開口25は、第2絶縁層19、埋め込み樹脂領域18及び第1絶縁層17に形成される。第2絶縁層19のエッチングには、CF4,CHF3などによるプラズマエッチングを用いることができる。埋め込み樹脂領域18のエッチングには、CF4,O2などによるプラズマエッチングを用いることができる。第1絶縁層17のエッチングには、CF4,CHF3などによるプラズマエッチングを用いることができる。
開口25は、第1開口24、第2開口23、及び第3開口22を含む。第1開口24は第2絶縁層19aに形成されている。第2開口23は埋め込み樹脂領域18aに形成されている。第3開口22は第1絶縁層17aに形成されている。上記レジストマスク21を用いたエッチングにより、第1開口24を有する第2絶縁層19a、第2開口23を有する埋め込み樹脂領域18a、及び第3開口22を有する第1絶縁層17aが形成される。開口25からは、半導体メサ16の上面16sが露出している。上面16sは、コンタクト層14aの上面からなる。半導体メサ16の上面16sは、開口25から露出された面と、第1絶縁層17aで覆われた面とを含む。
図4の(a)部を参照すると、工程S10では、有機洗浄によりレジストマスク21を除去する。
続いて、必要な場合には工程S11では、エッチングを用いて第2開口23の幅w4を拡大する。幅w4は、第2開口23の一の側壁面23fから、一の側壁面23fと向かい合う側壁面23fとの間の距離により規定される。幅w4を拡大することにより、側壁面24fよりも側壁面23fを後退させている。第2の開口23aは、いわゆるテーパ状の形状を有する。埋め込み樹脂領域18bの主面18sから基板11aの主面11tに向かう方向Aに沿って第2の開口23aの幅w4は小さくなる。第2開口23aの幅w4は、第2絶縁層19aの第1開口24の幅w3よりも大きい。第1開口24の幅w3は、第1の開口24の一の側壁面24fと、一の側壁面24fと向かい合う別の側壁面24fとの間の距離により規定される。第2開口23aを規定する側壁面23fは、第1開口22を規定する側壁面24fよりも後退しているので、第2絶縁層19a及び埋め込み樹脂領域18aにより、いわゆる庇形状が形成される。側壁面23fを後退させる工程には、酸素ガスによるドライエッチングを用いることができる。
図4の(b)部を参照すると、工程S12では、第2絶縁層19a上及び半導体メサ16の上面16s上に導電層26を形成する。導電層26は、導電層26a及び導電層26bを含む。導電層26aは、第2絶縁層19a上に形成されている。導電層26bは、半導体メサ16の上面16sの上に形成されている。導電層26は、例えば金(Au)、亜鉛(Zn)及び金(Au)をこの順で積層させた構造を有する。導電層26の形成には、蒸着法を用いることができる。側壁面23fが側壁面24fよりも後退しているので、第2絶縁層19a及び埋め込み樹脂領域18bにより庇形状が形成されている。これ故、導電層26aと導電層26bとは繋がっていない。
図4の(c)部を参照すると、工程S13では、第2絶縁層19aを除去して、第2絶縁層19aの上の導電層26aをリフトオフする。これにより、半導体メサ16の上面16s上の導電層26bからなる電極27が形成される。第2絶縁層19aは、例えば、フッ酸(HF)を用いたエッチングにより除去される。
工程S14では電極27を熱処理する。この熱処理により、半導体メサ16の上面16sに接する電極27aが合金化されるので、コンタクト層14と電極27aとの間の接触における電気抵抗が低減される。合金化のための熱処理では、350〜400℃の温度雰囲気の環境に20〜60秒間、電極27を晒す。本実施例では、370℃の温度雰囲気の環境に30秒間電極27を晒す。この熱処理により、熱処理された電極27aが形成される。熱処理時には、埋め込み樹脂領域18bの主面18sが露出している。
工程S15では、埋め込み樹脂領域18bの主面18sの上に第3絶縁層28aを形成する。図5の(a)部を参照すると、埋め込み樹脂領域18bの主面18sの上、電極27aの上、及び第2開口23の側壁面23fの上に第3絶縁層28を形成する。埋め込み樹脂層18b上には第3絶縁層28aが形成され、電極27a上には第3絶縁層28bが形成され、側壁面23f上には第3絶縁層28cが形成される。第3絶縁層28は、例えば窒化酸化シリコン(SiON)からなる。第3絶縁層28の形成には、プラズマCVD法を用いることができる。
図5の(b)部を参照すると、ドライエッチングを用いて第3絶縁層28a、28bを除去することにより、開口28dを形成する。この開口28dの幅w5は、埋め込み樹脂領域18bの第2開口23aの幅w4よりも大きい。開口28dの幅w5は、開口28dの一の側壁面28fと、一の側壁面28fと向かい合う別の側壁面28fとの間の距離により規定される。
図5の(c)部を参照すると、工程S16では、電極27aの上及び第3絶縁層28aの上に電極パッド29を形成する。電極パッド29は、例えば金(Au)からなる。電極パッド29の形成には、例えばメッキを用いることができる。
次に、上述した工程により得られる光半導体素子の一例としてマッハツェンダ変調器について説明する。なお、本発明の製造方法は、例えばリッジ形状やハイメサ形状の半導体層を備える半導体レーザ素子といった他の光半導体素子に対して適用可能である。
図6を参照すると、マッハツェンダ変調器50は、第1光導波路34、第2光導波路35、第1合分波器36、第2合分波器37、第3光導波路38、及び第4光導波路39を備える。第1光導波路34の一端及び第2光導波路35の一端は、第1合分波器36に接続されている。第3光導波路38の一端及び第4光導波路39の一端は、第2合分波器37に接続されている。
第1合分波器36と第2合分波器37との間には、位相制御部41が設けられている。位相制御部41は、第5光導波路42、第6光導波路43、第1電極44、第2電極45を備える。第5光導波路42の一端は第1合分波器36に接続され、他端は第2合分波器37に接続されている。第6光導波路43の一端は第1合分波器36に接続され、他端は第2合分波器37に接続されている。位相制御部41を通過する第5光導波路42の上には、第1電極44が設けられている。位相制御部41を通過する第6光導波路43の上には、第2電極45が設けられている。位相制御部41では、第5光導波路42及び第6光導波路43の少なくとも何れか一方の屈折率を変化させることにより、第5光導波路42及び第6光導波路43を通過する光の位相を制御する。
図7は、図6のVII―VII線に沿った断面を示す図である。図7を参照すると、第5光導波路42は、半導体メサ16を含んでいる。半導体メサ16は、基板11aの上に形成されている。半導体メサ16は、光導波路層12a、クラッド層13a及びコンタクト層14aを含む。基板11aの主面11tの上に光導波路層12aが形成されている。光導波路層12aの上にクラッド層13aが形成されている。クラッド層13aの上にコンタクト層14aが形成されている。コンタクト層14aの上には電極27aが設けられている。電極27aの上には第1電極パッド29が設けられている。
半導体メサ16の側面16f及び上面16sは、第1絶縁層17aに覆われている。また、基板11aの主面11tは第1絶縁層17aに覆われている。第1絶縁層17aには、開口22が設けられている。開口22は、半導体メサ16の上面16sに到達している。埋め込み樹脂領域18bにより半導体メサ16は埋め込まれている。埋め込み樹脂領域18bの主面18sの上には、第3絶縁層28aが設けられている。基板11aの主面11tの反対側にある裏面11rの上には、電極51が設けられている。
本実施形態の光半導体素子の製造方法が奏する効果について説明する。まず、比較例に係る光半導体素子の製造方法について説明する。
第1比較例に係る光半導体素子の製造方法では、基板81の上に、光導波路層82、クラッド層83及びコンタクト層84を形成する。このコンタクト層84の上にマスク層を形成する。このマスク層を用いて光導波路層82、クラッド層83及びコンタクト層84をエッチングすることにより、半導体メサ85を形成する。マスク層を除去した後に、半導体メサ85及び基板81の主面81sを覆うように第1絶縁層86を形成する。埋め込み樹脂領域87により第1絶縁層86及び半導体メサ85を埋め込む。
図8の(a)部を参照すると、埋め込み樹脂領域87を形成した後に、埋め込み樹脂領域87の上にレジストマスク88を形成する。レジストマスク88の開口88aの幅w7は、半導体メサ85の幅w6よりも大きい。このレジストマスク88を用いて、埋め込み樹脂領域87及び第1絶縁層86をエッチングすることにより、埋め込み樹脂領域87及び第1絶縁層86に開口89が形成される。開口89からは、コンタクト層84、第1絶縁層86及び埋め込み樹脂領域87が露出している。
図8の(b)部を参照すると、レジストマスク88を除去した後に、埋め込み樹脂領域87の主面87s、開口89の側壁面89s及び開口89の底部89bに第2絶縁層91を形成する。この第2絶縁層91の上にレジストマスク92を形成する。レジストマスク92は開口93を有する。開口93の幅w9は、合計幅w8と略等しい。合計幅w8は、半導体メサ85の側面85fに形成された第1絶縁層86の厚さに、半導体メサ85の幅w6を加えた値である。レジストマスク92を用いて第2絶縁層91をエッチングして、コンタクト層84を露出させる。
半導体メサ85の幅w6の寸法は、例えば1.5μmである。コンタクト層84を露出させるためには、レジストマスク92の開口93を精度良く形成する必要がある。しかし、埋め込み樹脂領域87には開口89が形成されている。これ故、埋め込み樹脂領域87の主面87sは平坦な面ではないので、レジストマスク92の開口93を精度良く形成することは困難である。従って、複数のマッハツェンダ変調器が形成される半導体ウエハの面内において、コンタクト層84の露出される面積がばらつくおそれがある。また、互いに異なるウエハの間において、コンタクト層84の露出される面積がばらつくおそれがある。
図8の(c)部を参照すると、レジストマスク92の上、及びコンタクト層84の上に導電層を蒸着する。レジストマスク92を除去して、レジストマスク92上の導電層をリフトオフする。これにより、半導体メサ85の上に電極95が形成される。電極95及び第2絶縁層91を形成した後に、例えば電極95及び第2絶縁層91を350℃以上に加熱する熱処理を実施する。電極95及び第2絶縁層91の上に電極パッド96を形成する。
電極95の熱処理の際には、埋め込み樹脂領域87の上に第2絶縁層91が残されているので、第2絶縁層91は熱処理に晒される。第2絶縁層91及び埋め込み樹脂領域87の熱膨張係数の差は大きいので、熱膨張係数の差に起因する内部熱応力が第2絶縁層91に生じ、この内部熱応力は第2絶縁層91に残留する。この残留した内部熱応力により、熱処理後、第2絶縁層91にクラックが発生するおそれがある。
第2絶縁層91にクラックが生じると、クラックを介して埋め込み樹脂領域87に大気中の水分が吸収されるので、埋め込み樹脂領域87が膨張するおそれがある。また、半導体メサ85近傍の第2絶縁層91にクラックが生じると、光導波路層82の例えば屈折率といった偏光特性が変化するおそれがある。マッハツェンダ変調器50において、第5光導波路42の偏光特性が第6光導波路43の偏光特性と異なると、光変調特性の偏波依存性が大きくなる。
また、図9を参照すると、第2比較例に係る光半導体素子の製造方法では、半導体メサ101の上に、第1絶縁層102、埋め込み樹脂領域103、及び第2絶縁層104を形成する。第2絶縁層104の上にレジストマスク105を形成し、レジストマスク105を用いて第1絶縁層102、埋め込み樹脂領域103、及び第2絶縁層104をエッチングする。埋め込み樹脂領域103の開口107の幅w10を、第2絶縁層104の開口108の幅w11よりも大きくすることなく、レジストマスク105の上及び半導体メサ101の上に導電層106を形成する。
この製造方法では、第2絶縁層104の開口108の側壁面108fから開口107の側壁面107fが後退していない。これ故、導電層106は、レジストマスク105の上、半導体メサ101の上、及び開口107の側壁面107fの上に形成される。従って、第2絶縁層104とレジストマスク105との間への剥離液の浸透が抑制されるので、レジストマスク105を除去することが困難になる。また、レジストマスク105上の導電層106をリフトオフしたときに、電極にバリが生じるおそれがある。
本実施形態の光半導体素子の製造方法によれば、第2絶縁層19aを用いたリフトオフにより、半導体メサ16上に電極27を形成する。この第2絶縁層19aは、埋め込み樹脂領域18bの第2開口18aの側壁面18fを後退させる工程にも用いられる。これ故、絶縁膜を形成する工程を1回省略することができる。そして、半導体メサ16上に電極27を形成した後に電極27の熱処理をする。熱処理により半導体メサ16の上面16sに接する電極27aが合金化されるので、コンタクト層14aと電極27aとの間の接触における電気抵抗を低減できる。この熱処理の後に、電極27aの上及び埋め込み樹脂領域18bの上に第3絶縁層28aを形成するので、第3絶縁層28aは熱処理に晒されない。これ故、第3絶縁層28aの熱膨張係数と埋め込み樹脂領域18bの熱膨張係数との差に起因する内部熱応力は生じない。従って、上記の熱処理による絶縁層の熱応力に起因したクラックが第3絶縁層28aに発生されることを防止できる。
また、本実施形態の光半導体素子の製造方法によれば、埋め込み樹脂領域18bの第2開口23aの側壁面23fを後退させることができるので、第2絶縁層19a及び埋め込み樹脂領域18aにより、いわゆる庇形状を形成できる。これによれば第2開口23aの側壁面23fには導電層26a、26bがほとんど形成されない。半導体メサ16上の導電層26bは第2絶縁層19a上の導電層26aと繋がっていない。これ故、第2絶縁層19aを除去するためのフッ酸を第2絶縁層と埋め込み樹脂領域との間に浸透させることができる。従って、第2絶縁層19a上の導電層26aをリフトオフすることができる。また、導電層26bに、側壁面23fに沿って成長した導電体からなるバリを生じさせることなく電極27aを形成できる。
また、本実施形態の光半導体素子の製造方法によれば、第2絶縁層19aの第1開口24の幅w3は、半導体メサ16の幅w1よりも狭いので、開口25は半導体メサ16の上面16sに到達し、半導体メサ16の側面16f上の第1絶縁層17aはエッチングされない。また、半導体メサ16の側面16fに接している埋め込み樹脂領域18bがエッチングされることはない。これ故、開口25からは半導体メサ16の上面16sが露出されるけれども、半導体メサ16の側面16fは露出されない。従って、半導体メサ16の側面16fに電極27aが形成されることを防止できる。
また、本実施形態の光半導体素子の製造方法によれば、電極27a上及び熱処理に晒されていない第3絶縁層28aの上に電極パッド29を形成することができる。第3絶縁層28aは、熱処理に晒されていないので、クラック等を生ぜず、平坦な表面を有するので、容易に第3絶縁層28a上に電極パッド29を形成することができる。また、電極パッド29と埋め込み樹脂領域18bとの間に、電極パッド及び埋め込み樹脂との密着性が良好な第3絶縁層28aを形成することで、電極パッド及び埋め込み樹脂との密着性が向上し、電極パッド29のはがれ等の不具合を低減することができる。
また、本実施形態の光半導体素子の製造方法によれば、窒化シリコンからなる第2絶縁層19aは、第2開口23の幅w4を拡大するときの埋め込み樹脂領域18bに対する保護膜として用いることができる。また、第2絶縁層19aはリフトオフ層として用いる。
11…基板、12…光導波路層、13…クラッド層、14…コンタクト層、15…マスク層、16…半導体メサ、17…第1絶縁層、18…埋め込み樹脂領域、19…第2絶縁層、21…レジストマスク、26…導電層、27、51…電極、28…第3絶縁層、29、44、45…電極パッド、34、35、38、39、42,43…光導波路、36、37…合分波器、41…位相制御部、50…マッハツェンダ変調器。
Claims (5)
- 基板の主面の上に成長された複数の半導体層の上にマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記半導体層をエッチングして、半導体メサを形成する工程と、
前記半導体メサを形成した後に、前記マスクを除去する工程と、
前記基板の前記主面、前記半導体メサの側面及び前記半導体メサの上面を覆うように第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層を形成した後に、前記半導体メサの前記側面及び前記半導体メサの前記上面を埋め込む埋め込み樹脂領域を形成する工程と、
前記埋め込み樹脂領域の上に第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層の上にレジストマスクを形成する工程と、
前記レジストマスクを用いて前記第2絶縁層、前記埋め込み樹脂領域及び前記第1絶縁層をエッチングして、前記第2絶縁層、前記埋め込み樹脂領域及び前記第1絶縁層に設けられる開口を形成する工程と、
前記開口を形成した後に、前記レジストマスクを除去する工程と、
前記レジストマスクを除去した後に、前記半導体メサの前記上面及び前記第2絶縁層の上に導電層を形成する工程と、
前記第2絶縁層を除去することにより前記第2絶縁層の上の前記導電層をリフトオフして前記半導体メサの前記上面に電極を形成する工程と、
前記電極を熱処理する工程と、
前記電極を熱処理した後に、前記埋め込み樹脂領域の上に第3絶縁層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする光半導体素子の製造方法。 - 前記開口は、第1開口、第2開口及び第3開口を含み、前記第1開口は前記第2絶縁層に形成され、前記第2開口は前記埋め込み樹脂領域に形成され、前記第3開口は前記第1絶縁層に形成されており、
前記導電層を形成する前に、前記第2開口の幅が前記第1開口の幅よりも大きくなるように、前記第2開口の幅を拡大する工程を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の光半導体素子の製造方法。 - 前記開口を形成する工程において、前記開口の幅は、前記半導体メサの幅よりも小さいことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光半導体素子の製造方法。
- 前記第3絶縁層を形成した後に、前記電極の上及び前記第3絶縁層の上に電極パッドを形成する工程を更に備えることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の光半導体素子の製造方法。
- 前記樹脂はベンゾシクロブテンからなり、
前記第1絶縁層は窒化シリコンからなり、
前記第2絶縁層は窒化シリコンからなり、
前記第3絶縁層は窒化酸化シリコンからなることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の光半導体素子の製造方法。
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2011
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