JP2013043359A - 製版装置、版胴、印刷装置、製版方法、印刷方法、および、基板 - Google Patents

製版装置、版胴、印刷装置、製版方法、印刷方法、および、基板 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な印刷性能を担保できる版胴を簡易に形成できる技術を提供する。
【解決手段】グラビア印刷に用いられる版胴1を製造する製版装置2は、円周側面に被削層12が形成された版胴材10の円周側面に回転する工具31の刃先を当接させて被削層12を切削あるいは研削して、被削層12に凹部(例えばセル13)を形成するセル形成部21と、当該凹部の上から被削層12を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層14を形成する被覆層形成部22とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、グラビア印刷に用いられる版胴に関する。
従来から知られている印刷手法の一つにグラビア印刷がある。グラビア印刷は、例えば円筒形状の版胴の円周側面に形成された凹状のセルに貯留されたインク等の塗布液を、印刷用紙等の印刷対象物に転写する印刷手法である。グラビア印刷は、画像の再現性が高く、凹部の深さに応じて厚みのある塗布膜の形成も容易であるという利点があり、近年においてはグラビア印刷法を用いて基板に回路パターンを印刷塗布する手法も提案されている。
グラビア印刷に用いられる版胴を製造する技術として、例えば特許文献1には、円筒状の支持体に、有機珪素化合物、あるいは、有機フッ素加工物等の添加剤を含有する感光性樹脂硬化物層を形成し、当該感光性樹脂硬化物層にレーザ彫刻によりセルを形成する技術が開示されている。
また例えば特許文献2には、ゴムあるいは樹脂からなるクッション層にネガ型感光性組成物層を積層して形成し、当該ネガ型感光性組成物層に対して露光、現像、エッチングの一連の工程を施すことによって、セルを形成する技術が開示されている。これと類似する技術として、例えば特許文献3には、銅メッキ層にネガ型感光性組成物層を積層して形成し、当該ネガ型感光性組成物層に対して露光、現像、エッチングの一連の工程を施すことによって、セルを形成する構成が開示されている。
特許第4475505号公報 特開2009−93171号公報 特開2009−90661号公報
グラビア印刷に用いられる版胴には、良好な印刷性能を担保するために様々な性質が求められる。例えば、印刷の際、版胴の円周側面には塗布液が供給されるところ、版胴が塗布液を吸収して膨張してしまうとセルサイズが変化して印刷性能が悪化してしまう。このような事態を回避すべく、版胴には耐膨潤性が必要とされる。また、近年においては幅広い種類の化学物質を含む溶剤が塗布液として用いられる可能性があるため、版胴には溶剤に対して変化しにくい性質(耐溶剤性)が必要とされる。また、塗布液をはじかないようにある程度のぬれ性も必要とされる。また例えば、印刷の際、版胴の円周側面には、ここに供給された不要な塗布液(セル等の凹部内に貯留された塗布液以外の塗布液)を掻き出すためのドクターブレードが当接されるところ、これによって版胴が摩耗すると、パーティクルが発生し、印刷物を汚染するおそれがある。このような事態を防止すべく、版胴には耐摩耗性も必要とされる。また、不要な塗布液が掻き出されずに版胴に残存してしまうことを防止するためには、ドクターブレードがぶれることなく円周側面にスムースに接触する必要があり、このためには版胴とドクターブレードとの間に発生する摩擦力が小さいこと、すなわち、版胴の摩擦抵抗が小さいことも必要である。また、版胴は、その円周側面に対してセル加工が施されるところ、例えばレーザ彫刻によりセルを形成する場合であれば、版胴は、レーザ光を吸収しやすく、カス除去性が高く、レーザ光の吸収により変形しにくい(具体的には、線膨張係数が小さい)ものでなければならない。
このように、版胴を良好な印刷性能を担保できるものとするためには、上記のような様々な性質が必要とされる。このため、これら必要とされる各性質を併せ持った実用に足る版胴は、例えば特許文献1〜3に開示の各技術のように、様々な添加剤を用いつつ、複雑な製造工程を経て製造しなければならず、その結果、版胴は非常に高価なものとなっていた。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、良好な印刷性能を担保できる版胴を簡易に形成可能とする技術の提供を目的とする。
第1の態様は、グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版装置であって、円周側面に被削層が形成された版胴材の前記被削層に回転する工具の刃先を当接させて前記被削層を切削あるいは研削して、前記被削層に凹部を形成する凹部形成部と、前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層を形成する被覆層形成部と、を備える。
第2の態様は、第1の態様に係る製版装置であって、前記工具の刃先の回転軌跡の最大直径が、100μm以下である。
第3の態様は、第1または第2の態様に係る製版装置であって、前記被削層が樹脂により形成される。
第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様に係る製版装置であって、前記被覆層が、プラズマイオン注入法により形成される。
第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様に係る製版装置であって、前記被削層の厚みが30μm以上かつ100μm以下であり、前記被削層が表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有し、前記被削層の円周側面の円筒度が50μm以下である。
第6の態様は、グラビア印刷に用いられる版胴であって、円周側面に被削層が形成された版胴材と、前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層と、を備える。
第7の態様は、グラビア印刷法により印刷対象物に対する印刷を行う印刷装置であって、円周側面に凹部が形成された版胴と、前記版胴の円周側面に塗布液を供給する塗布液供給部と、前記版胴の円周側面に当接して前記円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取るドクターブレードと、前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる駆動手段と、を備え、前記版胴が、円周側面に被削層が形成された版胴材と、前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層と、を備える。
第8の態様は、第7の態様に係る印刷装置であって、前記印刷対象物が基板であり、前記塗布液が前記基板に形成すべき回路パターンの材料溶液であり、前記凹部が前記回路パターンを表現したものである。
第9の態様は、グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版方法であって、a)円周側面に被削層が形成された版胴材の前記被削層に回転する工具を当接させて前記被削層を切削あるいは研削して、前記被削層に凹部を形成する工程と、b)前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層を形成する工程と、を備える。
第10の態様は、グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷方法であって、a)円周側面に凹部が形成された版胴の前記円周側面に塗布液を供給する工程と、b)前記版胴の円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取る工程と、c)前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる工程と、を備え、前記版胴が、円周側面に被削層が形成された版胴材と、前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層と、を備える。
第11の態様は、第10の態様に係る印刷方法であって、前記印刷対象物が基板であり、前記塗布液が前記基板に形成すべき回路パターンの材料溶液であり、前記凹部が前記回路パターンを表現したものである。
第12の態様は、第11の態様に係る印刷方法により、前記回路パターンが形成された基板である。
第1、第9の態様によると、被削層を切削あるいは研削することによって凹部が形成され、さらに、当該凹部の上から被削層を覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層が形成されて版胴が製造される。この構成によると、良好な印刷性能を担保できる版胴を簡易に形成できる。
第2の態様によると、被削層に微細な凹部を形成することができる。
第3の態様によると、被削層が樹脂で形成されるので、切削あるいは研削による加工が容易となる。
第4の態様によると、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層をプラズマイオン注入法により形成するので、凹部が形成された非平坦な被削層の表面に対して簡易に均一な膜厚の被覆層を形成することができ、各凹部の内部にも隈無く均一な被覆層を形成することができる。
第5の態様によると、被削層の厚みが30μm以上かつ100μm以下であるので、実用に足る十分な深さの凹部を形成することが可能である。また、被削層が表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有するとともに、被削層の円周側面の円筒度が50μm以下であるので、良好な印刷性能を担保できる。
第6の態様に係る版胴は、被削層を切削あるいは研削することによって形成された凹部と、当該凹部の上から被削層を覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層とを備える。この構成によると、簡易な構成で良好な印刷性能を担保することができる。
第7〜第11の態様によると、印刷に用いられる版胴が、被削層を切削あるいは研削することによって形成された凹部と、当該凹部の上から被削層を覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層とを備えるので、良好な印刷性能が担保され、微細な線画を印刷対象物に印刷塗布することが可能となる。
第12の態様によると、被削層を切削あるいは研削することによって形成された凹部と、当該凹部の上から被削層を覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層とを備える版胴を用いたグラビア印刷法により回路パターンが形成されるので、微細な回路パターンが正確に形成された基板を得ることができる。
版胴の構成例を模式的に示す断面図である。 製版装置が備える各機能部を説明するための図である。 セル形成部の構成を模式的に示す図である。 制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。 版胴を製造する処理の流れを示す図である。 パターン形成装置の構成を示す図である。 版胴の表面を拡大して模式的に示す断面図である。 レーザ彫刻により形成されたセルの形状を説明するための模式図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<1.印刷版>
版胴1について、図1を参照しながら説明する。図1は、版胴1の構成例を模式的に示す断面図である。
版胴1は、グラビア印刷の印刷版として用いられる部材であって、長尺円筒状の外形を有する。版胴1は、芯部11と、被削層12と、無数のセル13と、被覆層14とを備える。
芯部11は、中空の軸部を備える長尺円筒状の部材であり、例えば、鉄等の金属、樹脂、セラミック等により形成される。
被削層12は、芯部11の円周側面の全域に形成された層であり、その厚みは、少なくとも後述するセル13の深さよりも厚いものとされる。例えば、被削層12を、30μm(マイクロメートル)以上かつ100μm以下の厚みに形成しておけば、実用に足る十分な深さのセルを形成することが可能である。
また、被削層12は、その表面ができるだけ平滑に形成されることが好ましく、表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有する滑らかな面となっていることが特に好ましい。さらに、被削層12の円周側面は、できるだけ真円筒に近い形状となっていることが好ましく、円筒度が50μm以下に形成されることが特に好ましい。
また、被削層12には切削あるいは研削により無数のセル13等の凹部が形成されることになるため、被削層12は快削性に優れた材料(例えば、樹脂、金属等)で形成されることが好ましい。特に、版胴1が、比較的硬い印刷対象物(例えば基板)に対する印刷に用いられる場合、被削層12は、快削性だけでなく柔軟性にも優れた材料で形成されることが好ましい。この場合の被削層12の形成材料としては、例えば、樹脂が好適であり、シリコンゴム、エンジニアリングプラスチック、エポキシ樹脂等が特に好適な材料として挙げられる。樹脂により形成される被削層12の場合、その厚みを分厚くすることによって版胴1の弾力性を高めることも可能である。
セル13は、グラビア印刷において塗布液を溜めるための凹部であり、後に明らかになるように、被削層12の円周側面に回転する工具31の刃先が当接されて被削層12が切削あるいは研削されることによって形成される。このセル13は、印刷対象物に転写するべき線画等を表現したものである。すなわち、各セル13の形成位置は印刷対象物に転写するべき線画の形状に応じて規定されており、各セル13の容積(例えばセル13の平面視サイズ(被削層12の法線方向に沿って見た平面視におけるサイズ)、セル13の深さ等)は印刷対象物に転写するべき線画の濃度(トーン値)に応じて規定されている。なお、セル13の最大サイズは、セル13間の配置ピッチよりも微少量だけ小さいものとされる。このように規定しておけば、最大サイズのセル13間同士が一体化せず、これらの間に仕切りとなる土手が形成される。このような土手が形成されていると、印刷時に、ドクターブレード(後述する)がこの土手に当接し、セル13内にはまり込まないように位置規制される。
本発明の「凹部」には、このセル13が含まれる。ただし、「凹部」にはセル13以外(例えば、溝など)が含まれてもよい。
被覆層14は、被削層12に形成されたセル13等の凹部の上から被削層12の全域を覆うように形成された被覆であり、ダイヤモンドライクカーボン(DiamondLike Carbon:DLC)により形成される。被覆層14の膜厚は、例えば約1μm〜3μmとされることが好ましい。ダイヤモンドライクカーボンは、ダイヤモンド結合とグラファイト結合とが混在した緻密な非晶質(アモルファス)構造を有するため、耐膨潤性、耐溶剤性、耐摩耗性、表面平滑性が高く表面摩擦抵抗が小さい、耐薬品性、耐熱性、硬質性、耐腐食性、化学物質に対する不活性、等の優れた特徴を有している。
<2.製版装置2>
次に、版胴1の製造に用いられる製版装置2について説明する。
<2−1.構成>
製版装置2の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、製版装置2が備える各機能部を説明するための図である。
製版装置2は、版胴材10の円周側面にセル13等の凹部を形成するセル形成部21と、版胴材10の円周側面に被覆層14を形成する被覆層形成部22と、これら各部を制御する制御部23とを備える。
ただし、「版胴材10」とは、円筒状の芯部11と、その円周側面に形成された被削層12とを備える部材である。版胴材10は、例えば、必要な厚みをもったシート状の形成材料(例えばシリコンゴム)であって一方の主面に例えば接着剤が塗布されたものを、当該接着剤が塗布された側を円筒状の芯部11の円周側面に対向させるようにして芯部11の円周側面に巻き付けてこれに固定し、必要な場合は、さらに当該シリコンゴム層の円周側面の平滑度が所定値(例えば0.01μm)以下となるように、また、当該円周側面の円筒度が所定値(例えば50μm)以下となるように、シリコンゴム層の円周側面に研磨等を施して被削層12を形成したものである。ただし、上述したとおり、被削層12はシリコンゴム以外の材料で形成されてもよい。
<セル形成部21>
セル形成部21の構成例について、図2に加え、図3を参照しながら具体的に説明する。図3は、セル形成部21の構成例を模式的に示す図である。
セル形成部21は、版胴材10の被削層12に回転する工具31の刃先を当接させて被削層12を切削あるいは研削して、被削層12にセル13等の凹部を形成する機能部であり、本発明の「凹部形成部」に相当する。セル形成部21は、工具31と、これを駆動する加工装置32とを備える。
工具31は、軸線A31の延在方向に沿う一端に形成された硬質な刃先を備える部材であり、刃先を加工対象面(ここでは、被削層12)に当接させた状態で軸線A31を中心に回転されることによって、加工対象面を切削、研削、あるいは研磨する。工具31は、例えば、マイクロエンドミル、マイクロエンド砥石等のマイクロツールにより構成することができる。なお、工具31の刃先の形状はどのようなものであってもよく、例えばスクエアエンドミル、特に一枚刃の直刃タイプのエンドミルを用いることができる。
工具31は、その刃先の回転軌跡(軸線A31を中心に回転された際の回転軌跡)の最大直径が小さいほど微細な加工を行うことができる。例えば、基板Wに形成される回路パターンのような微細な線画を表現したセル13を形成する場合、工具31として、その刃先の回転軌跡の最大直径が100μm以下のものが用いられることが好ましい。
加工装置32は、工具31を駆動して例えば、数値制御(NC)による機械加工を実行する装置であり、加工対象面(ここでは、被削層12)に、回転する工具31の刃先を当接させるとともにこれを加工対象面に対して相対移動させながら、工具31に加工対象面を切削あるいは研削(以下「切削等」という)させて、被削層12にセル13等の凹部を形成する。加工装置32は、例えば、加工対象物である版胴材10を、回転(軸線A1を中心とした回転)可能に支持する支持部(図示省略)と、支持部に支持された版胴材10を回転させる回転駆動部321と、当該版胴材10の軸線A1の延在方向に沿って工具31を移動させる直動駆動部322と、工具31を駆動して当該版胴材10の円周側面を切削等させる工具駆動部323と、これら各部を制御する切削制御部324とを備える。
回転駆動部321は、支持部に支持された版胴材10を、軸線A1を中心として所定の回転方向に回転させる機能部であり、例えばモータとモータの駆動力を版胴材10に伝達する伝達機構とを含む構成とすることができる。
直動駆動部322は、例えば、工具31および工具駆動部323が配設されたベース部3221と、支持部に支持された版胴材10の軸線A1の延在方向に沿って延在する一対のガイドレール3222と、ベース部3221と連結されたボールネジ3223と、ボールネジ3223を駆動するモータ3224とを含む構成とすればよい。この場合、ボールネジ3223がモータ3224によって回動されると、ベース部3221がガイドレール3222に沿って移動することになる。
工具駆動部323は、工具31をその軸線A31を中心に回転させるとともに、その軸線A31の延在方向に一つの軸を有する3次元直交座標系内における定められた位置に、回転する工具31を移動させる。工具駆動部323の駆動を受けて、回転する工具31が、支持部に支持される版胴材10の円周側面に沿って微小距離だけ移動されつつ、版胴材10の径方向に沿って進退移動されることによって、版胴材10の円周側面に形成された被削層12が切削等され、セル13等の凹部が形成されることになる。
切削制御部324は、セルデータ生成部3241と、駆動制御部3242とを備える。なお、切削制御部324は、例えば、製版装置2が備える制御部23において、例えばCPU231がプログラムPに従って所定の演算処理を行うことによって、あるいは、専用の論理回路等でハードウエア的に実現される(図4)。
セルデータ生成部3241は、例えば外部記憶装置234(図4)に格納された画像データ(印刷対象物に転写するべき線画を表現した二次元の濃度データ)90を、その濃度(トーン値)がセルの容積(具体的には、セル13の深さ、セル13の平面視サイズ、あるいは、セル13の深さと平面視サイズとの両方)で表現された3次元のCADデータ(以下「セルデータ」という)901に変換する。ただし、被削層12に彫刻されたセル13は後に被覆層14でコーティングされるため、セル13の平面視サイズは、最終的には、被削層12に彫り込まれた時点のサイズよりも被覆層14の膜厚分だけ一回り小さいものとなる。そこで、セルデータ生成部3241は、セルデータ901において、被削層12に形成するべき各セル13の平面視サイズを、必要な平面視サイズよりも被覆層14の膜厚分だけ一回り大きいものとする。なお、セルデータ生成部3241は、画像データ90からセルデータ901を生成する際に、印刷に必要な各種の情報(例えば、位置合わせに用いられるトンボ等)の付加も行う。
駆動制御部3242は、セルデータ生成部3241が生成したセルデータ901を各駆動部(回転駆動部321、直動駆動部322、および、工具駆動部323)の駆動信号に変換してこれら各部321,322,323を駆動制御する。すなわち、回転駆動部321および直動駆動部322を駆動制御して、工具31および工具駆動部323が配置されたベース部3221を版胴材10の円周側面に対して相対移動させつつ、工具駆動部323を駆動制御して工具31に当該円周側面に形成された被削層12を切削等させる。これによって、被削層12に、画像データ90に記述される線画を表現した無数のセル13が形成されることになる。
<被覆層形成部22>
再び図2を参照する。被覆層形成部22は、セル13等の凹部の上から被削層12を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層14を、被削層12の全域に形成する。被覆層形成部22は、ダイヤモンドライクカーボンの被覆を、プラズマイオン注入法(Plasma-based ion implantation and deposition:PBIID)により形成する。
プラズマイオン注入法は、プラズマに浸した基材(ここでは、セル形成部21によりセル13等の凹部が形成された後の版胴材10)にマイナスの高電圧パルスを印加して、基材表面に形成されるシース電場でイオン(ここでは、炭素イオン)を加速して注入するものである。具体的には、例えば、セル形成部21によりセル13等の凹部が形成された後の版胴材10をチャンバー内に配置し、このチャンバー内に、原料となるガス(メタン、エタン、プロパン、ベンゼン、トルエン、ベンジルアルコール等)を導入して、高周波やマイクロ波、直流放電等によってプラズマを発生させる。続いて、プラズマ中に配置された版胴材10に、マイナスの高電圧パルスを印加することによって、炭素イオンを連続的に加速させて、これを版胴材10の表面に堆積・製膜させる。これによって、版胴材10の円周側面にダイヤモンドライクカーボンの被覆層(DLC層)14が形成されることになる。
このプラズマイオン注入法は、イオン注入法とプラズマCVD法とを融合させた手法であり、複雑な形状に均一な膜厚で被覆できるという利点がある。したがって、微小なセル13が無数に形成された非平坦な被削層12の表面に対して簡易に均一な膜厚の被覆層14を形成することができる。また、各セル13の内部(各セル13の内壁および底面)も、均一な膜厚の被覆層14で隈無くコーティングすることができる。また、加速電圧はパルス的に印加されるため、プラズマ発生と加速電圧とのデューティー比を制御することにより、版胴材10の温度上昇を抑制して常温で製膜することが可能となる(すなわち、成膜中の温度上昇を抑えられる)という利点がある。したがって、被覆層14の成膜中に、熱的影響を受けてセル13等に変形が生じる、といった事態も生じにくい。
なお、ダイヤモンドライクカーボンは、その原材料を選択することによってある程度ぬれ性をコントロール可能である。上記の処理工程においては、印刷に用いられる予定の塗布液の種類を考慮して、これをはじかないような適切なぬれ性を有する被覆層14を形成できるよう、チャンバー内に封入される原材料等が適切に選択されるものとする。
<制御部23>
制御部23は、製版装置2が備える各部21,22と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ製版装置2の各部21,22の動作を制御する。
図4は、制御部23のハードウエア構成を示すブロック図である。制御部23は、例えば、CPU231、ROM232、RAM233、外部記憶装置234等がバスライン235を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ROM232は基本プログラム等を格納しており、RAM233はCPU231が所定の処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置234は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。外部記憶装置234にはプログラムPが格納されており、このプログラムPに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU231が演算処理を行うことにより、各種機能が実現されるように構成されている。プログラムPは、通常、予め外部記憶装置234等のメモリに格納されて使用されるものであるが、CD−ROMあるいはDVD−ROM、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態(プログラムプロダクト)で提供され(あるいは、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより提供され)、追加的または交換的に外部記憶装置234等のメモリに格納されるものであってもよい。なお、制御部23において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
なお、外部記憶装置234には、上述したとおり、印刷対象物に転写するべき線画を表現した画像データ90が格納される(図3)。制御部23は、版胴1を製造する一連の処理に先立って画像データ90を取得して外部記憶装置234に格納する。なお、画像データ90の取得は、例えばネットワーク等を介して接続された外部端末装置から受信することにより行われてもよいし、記録媒体から読み取ることにより行われてもよい。
また、制御部23では、入力部236、表示部237、通信部238もバスライン235に接続されている。入力部236は、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、オペレータから各種の入力設定指示を受け付ける。表示部237は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU231による制御の下、各種の情報を表示する。通信部238は、LAN等を介したデータ通信機能を有する。
<2−2.動作>
製版装置2を用いて版胴1を製造する処理の流れについて、図5を参照しながら説明する。図5は、当該処理の流れを示す図である。
はじめに、版胴材10が準備される(ステップS1)。版胴材10は、上述したとおり、円筒状の芯部11と、その円周側面に形成された被削層12とを備える部材であり、例えば、円筒状の芯部11の円周側面にシート状のシリコンゴム等を巻き付け固定し、必要な場合はシリコンゴム層の円周側面にさらに研磨等を施して被削層12を形成したものである。版胴材10を準備する工程の全てあるいは一部は、製版装置2において機械的に行われてもよいし、作業者により行われてもよい。
続いて、セル形成部21が、版胴材10の被削層12に回転する工具31を当接させて被削層12を切削等して、被削層12にセル13等の凹部を形成する(ステップS2)。具体的には、まず、セルデータ生成部3241が、外部記憶装置234に格納された画像データ90をセルデータ901に変換する。続いて、駆動制御部3242が当該生成されたセルデータ901に基づいて、回転駆動部321、直動駆動部322、および、工具駆動部323を駆動制御する。この制御に応じて、回転駆動部321および直動駆動部322が工具31および工具駆動部323が配置されたベース部3221を版胴材10の円周側面に対して相対移動させるとともに、工具駆動部323が工具31に当該円周側面に形成された被削層12を切削等させることによって、被削層12に画像データ90に記述される線画を表現した無数のセル13が形成される。
上述したとおり、被削層12は快削性に優れた材料により形成されているので、切削等の加工が容易である。したがって、微細なセル13であってもこれを難なく形成できる。また、版胴材10においては、比較的硬質の芯部11に被削層12が積層して形成されるので、工具31により被削層が切削等される間も被削層12の円筒度が良好に維持される。したがって、セル13の形成位置にずれが生じにくく、目標位置に目標形状のセル13を確実に形成することができる。
続いて、被覆層形成部22が、ステップS2で形成されたセル13等の凹部の上から被削層12を覆う被覆層14を形成する(ステップS3)。具体的には、被覆層形成部22において、まず、セル13が形成された後の版胴材10がチャンバー内に配置された状態とされる。続いてチャンバー内に原料となるガスが導入され、高周波等によってプラズマが発生される。続いて、プラズマ中に配置された版胴材10にマイナスの高電圧パルスが印加される。これによって、チャンバー内の炭素イオンが連続的に加速されて版胴材10の表面(すなわち、セル13等の凹部が形成された被削層12の表面)に堆積して被覆層14が形成される。以上の一連の処理によって、版胴1が得られる。
<3.パターン形成装置4>
次に、版胴1を用いてグラビア印刷を行う態様について説明する。ここでは、グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷装置の一態様である「パターン形成装置4」において、版胴1を用いてグラビア印刷を行う態様を説明する。
<3−1.構成>
パターン形成装置4の構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、パターン形成装置4の構成を示す図である。
パターン形成装置4は、版胴1を用いて、グラビア印刷法によって、基板W(例えば、液晶表示装置等に用いられるガラスの基板)上に、パターン形成用の材料溶液(例えば、ITO(酸化インジウムスズ)等の微粒子を含む溶液)を印刷塗布することによって、基板W上に回路パターンを形成する装置であり、版胴1と、版胴支持部41と、回動機構42と、塗布液供給部43と、ドクターブレード44と、ステージ45と、ステージ移動機構46と、制御部47とを主として備える。
版胴支持部41は、版胴1を、回転(軸線A1を中心とした回転)可能に支持する。
回動機構42は、版胴支持部41に支持された版胴1を、軸線A1を中心として所定の回転方向に回転させる機能部であり、例えばモータとモータの駆動力を版胴1に伝達する伝達機構とを含む構成とすることができる。
塗布液供給部43は、版胴支持部41に支持された版胴1の円周側面に、塗布液であるパターン形成用の材料溶液を供給する。塗布液供給部43は、例えば、長尺長さが版胴1の長尺長さと略同一の長尺状のスリットノズル431と、これに塗布液を供給する塗布液供給源432とを含む構成とすることができる。この構成の場合、スリットノズル431は、その長尺方向を版胴1の軸線A1の延在方向(X方向)に沿わせるとともに、スリット部分を版胴1の円周側面に近接対向させた状態で配置される。この状態で、塗布液供給源432がスリットノズル431に塗布液を供給すると、スリットノズル431から版胴1の円周側面に一定量の塗布液が供給されることになる。
ドクターブレード44は、版胴支持部41に支持された版胴1の回転方向に沿って塗布液供給部43の下流側に設けられ、版胴1の円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取る。ドクターブレード44は、具体的には、長尺長さが版胴1の長尺長さと略同一の長尺状の薄板状部材であり、その長尺方向を版胴1の軸線A1の延在方向(X方向)に沿わせるとともに、その長尺方向に沿う端辺を版胴1の円周側面に当接させた状態で配置される。この構成において、版胴1が回転されると、ドクターブレード44の主面によって版胴1の円周側面から余分な塗布液が掻き取られ、セル13等の凹部内にのみ塗布液が充填された状態とされる。なお、ドクターブレード44の表面には、ダイヤモンドライクカーボンの被覆が形成されていてもよい。
ステージ45は、平板状の外形を有し、その上面に、印刷対象物である基板Wを水平姿勢に載置して保持する。ステージ45の上面には、例えば複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、基板Wを固定保持できるようになっている。
ステージ移動機構46は、版胴支持部41に支持された版胴1の下方空間において、印刷対象物である基板Wを載置したステージ45を、版胴1の軸線A1の延在方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿って水平移動させる。ステージ移動機構46は、例えば、ステージ45の下面に取り付けられた移動子と基台40上に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ(図示省略)と、基台40に敷設されたY方向に延びる一対のガイド部材461と、各ガイド部材461とステージ45との間に設けられたベアリング462等を含む構成とすることができる。この構成の場合、リニアモータを動作させると、ステージ45はガイド部材461に案内された状態でY方向に沿って移動する。
制御部47は、上述した製版装置2が備える制御部23と同様、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、入力部、表示部、通信部等がバスラインを介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている(図4参照)。ここでも、外部記憶装置に格納されたプログラムに記述された手順に従って、主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、各種機能が実現されるように構成されている。
<3−2.動作>
パターン形成装置4の動作について、引き続き図6を参照しながら説明する。以下の動作は、制御部47の制御下で各部が動作することにより実行される。
まず、版胴1が版胴支持部41に支持された状態とされる。ただし、この版胴1の円周側面に形成されているセル13は、基板Wに転写するべき回路パターンを表現したものとなっている。
続いて、ステージ45の上面に、基板Wが保持された状態とされる。
続いて、ステージ45に保持された基板Wに対するグラビア印刷が実行される。具体的には、塗布液供給部43が版胴1に塗布液であるパターン形成用の材料溶液を供給する一方で、回動機構42が版胴1を回転させるとともに、版胴1の回転速度に応じて互いに速度差が生じないように、ステージ移動機構46が基板Wを保持したステージ45をY方向に沿って移動させる。回転される版胴1の円周側面の任意の領域部分に着目すると、当該領域部分は、版胴1の回転方向の上流側において、まず塗布液供給部43から塗布液の供給を受ける。版胴1がさらに回転されると、当該領域部分にドクターブレード44が当接されて不要な塗布液(セル13等の凹部内以外の塗布液)が掻き取られる。版胴1がさらに回転されると、当該領域部分は基板Wと当接され、ここで、セル13等の凹部に貯留された塗布液が基板W上に転写される。これによって、版胴1の円周側面に形成されたセル13に応じたパターンが基板W上に印刷塗布され(すなわち、グラビア印刷が行われ)、基板W上に回路パターンが形成される。
<4.効果>
上記の実施形態に係る版胴1においては、良好な印刷性能を担保することができる。すなわち、版胴1の円周側面を覆う被覆層14は、ダイヤモンドライクカーボンにより形成されるため、耐膨潤性に優れる。したがって、塗布液として供給されたパターン形成材料を版胴1が吸収して膨潤してセル13が変形するといった事態が生じにくい。また、ダイヤモンドライクカーボンにより形成される被覆層14は、耐溶剤性にも優れる。したがって、塗布液により版胴1が変化するといった事態も生じにくい。また、ダイヤモンドライクカーボンにより形成される被覆層14は、耐摩耗性にも優れるため、ドクターブレード44が当接されても摩耗しにくい。したがって、版胴1がドクターブレード44によって削られて、印刷物の汚染の原因となるパーティクルが発生する、といった事態も生じにくい。また、ダイヤモンドライクカーボンにより形成される被覆層14は、摩擦抵抗も小さいため、ドクターブレード44が版胴1の円周側面にスムースに接触することができる。したがって、不要な塗布液がドクターブレード44に掻き取られずに残存するといった事態も生じにくい。なお、ドクターブレード44にもダイヤモンドライクカーボンの被覆を形成しておけば、被覆層14とドクターブレード44との間の摩擦抵抗をさらに低減することができる。
また、版胴1に形成されるセル13等の凹部は、工具31を用いた切削等により形成されるため、図7に模式的に示されるように、凹部の側壁が凹部の底面に対して約90度をなすように立設した形状となる。このようにエッジ角度が急峻なセル13によると、各セル13から印刷対象物に転写されるドットDが、その全域にわたって均一な膜厚となるため、印刷対象物(例えば基板W)に形成される塗布膜がはっきりとしたプロファイルとなる。したがって、印刷対象物上に微細な形状および濃淡を忠実に再現することができる。また、例えば、フラットパネルディスプレイの発光体や電極を印刷する場合において、ムラを抑えることができる。例えばレーザ彫刻によりセルを形成する場合、レーザ光はビームプロファイル(レーザ光を断面からみたときの強度分布)がガウシアン形状となるため、これで形成されるセルは、図8に模式的に示されるように、エッジのダレた形状のセル913となってしまう。このようなセル913では、印刷対象物上に微細な形状および濃淡を忠実に再現することができない。
また、版胴1に形成されるセル13等の凹部は、工具31を用いた切削等により形成されるため、工具31の刃先の回転軌跡の最大直径と同径の微細な凹部を形成することができる。すなわち、回転軌跡の最大直径が小さな工具31を用いれば、いくらでも微細なセル13を形成することが可能であり、印刷対象物に微細な線画を印刷塗布することが可能となる。例えばレーザ彫刻によりセルを形成する場合、形成されるセル直径は、必ずレーザ光のスポットサイズより大きくなり、これ以下のセル13を形成することはできないが、工具31を用いた切削等による形成態様にはこのような制限はない。
以上のように、版胴1においては良好な印刷性能を担保することができる。ここで版胴1は、簡易な構成であるため、その製造も簡易である。すなわち、製版装置2においては、版胴材10の円周側面に形成された被削層12を切削あるいは研削することによってセル13等の凹部を形成し、当該凹部の上から被削層12を覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層14を形成する、という簡易な工程によって、上述した通りの良好な印刷性能を実現可能な版胴1を形成することができる。
特に、被削層12にはこれを覆う被覆層14が形成されるため、被削層12の材質の選定においては、耐摩耗性、耐膨潤性、耐溶剤性等を考慮する必要がなく、材料選択の自由度が高い。このため、被削層12を、快削性(必要な場合は、快削性および柔軟性)に優れた材料(例えば、樹脂)を用いて形成することも可能となり、これによって、セル加工を極めて簡易に行うことが可能となる。
また、図7に示されるようなエッジの角度が急峻なセル13は、印刷性能という面では有利であるものの、その内壁全体を隈無く覆う被覆を形成しづらいという難点がある。しかしながら、ダイヤモンドライクカーボンは複雑な形状の被覆対象物であってもこれを確実に被膜できるとともに、高い密着性も有するため、エッジが急峻なセル13の内壁にも確実に被覆層14が形成される。
<5.変形例>
上記の実施形態に係る版胴1は、芯部11と被削層12と被覆層14との3層構造を備えていたが、被削層12と被覆層14との2層構造としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、被覆層形成部22は、プラズマイオン注入法で被覆層14を形成する構成としたが、被覆層14は、これ以外の方法(例えば、熱CVD法などの化学蒸着、イオンプレーティング法などの物理蒸着等の各種の薄膜形成方法)によって形成してもよい。
また、上記の実施形態においては、シート状のシリコンゴム等を芯部11の円周側面に巻き付け固定してさらに必要な場合は研磨等を施すことによって被削層12を形成していたが、被削層12を形成する態様はこれに限らない。例えば、液状の樹脂を芯部11の円周側面に塗布することにより被削層12を形成してもよい。
また、上記の実施形態においては、芯部11の軸部は中空(空芯)状としたが、芯部11は軸部が中実に形成されてもよい。ただし、版胴1の軽量化のためには、芯部11の軸部は中空とされることが好ましい。
また、上記の実施形態に係るパターン形成装置4において、塗布対象とされる基板Wは、半導体基板、プリント基板、カラーフィルタ用基板、プラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板(セラミック基板)、光ディスク用ガラス基板(セラミック基板)、太陽電池用パネルなどの各種基板であってもよい。また、パターン形成装置4において、塗布液として用いられる溶剤は、ITO(酸化インジウムスズ)等の微粒子を含む溶液に限られるものではなく、各種の金属粒子等を含む溶液を塗布液として用いることができる。
また、上記の実施の形態に係るパターン形成装置4においては、回転される版胴1に対して基板Wを載置したステージ45を水平移動させることによって、回転される版胴1と基板Wとを相対移動させる構成としたが、当該相対移動させる構成はこれに限らない。例えば、ステージ45を固定するとともに、回転される版胴1を水平移動させる構成であってもよいし、ステージ45と回転される版胴1とをともに水平移動させながら両者を相対移動させる構成であってもよい。
また、上記の実施形態においては、版胴1を用いて、グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷装置の一態様としてパターン形成装置4を例示したが、版胴1を用いて印刷対象物に印刷を行う態様はこれに限られるものではない。例えば、上述したパターン形成装置4において、印刷対象物は基板Wであり、塗布液はパターン形成材料であったが、印刷対象物が印刷用紙であり、塗布液がインクであってもよい。すなわち、版胴1は、印刷用紙にインクで塗布印刷を行うグラビア印刷装置の版胴として用いられてもよい。
1 版胴
2 製版装置
4 パターン形成装置
10 版胴材
11 芯部
12 被削層
13 セル
14 DLC層
31 工具
32 加工装置
21 セル形成部
22 被覆層形成部
23 制御部

Claims (12)

  1. グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版装置であって、
    円周側面に被削層が形成された版胴材の前記被削層に回転する工具の刃先を当接させて前記被削層を切削あるいは研削して、前記被削層に凹部を形成する凹部形成部と、
    前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層を形成する被覆層形成部と、
    を備える製版装置。
  2. 請求項1に記載の製版装置であって、
    前記工具の刃先の回転軌跡の最大直径が、100μm以下である、製版装置。
  3. 請求項1または2に記載の製版装置であって、
    前記被削層が樹脂により形成される、製版装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の製版装置であって、
    前記被覆層が、プラズマイオン注入法により形成される、製版装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の製版装置であって、
    前記被削層の厚みが30μm以上かつ100μm以下であり、
    前記被削層が表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有し、
    前記被削層の円周側面の円筒度が50μm以下である、
    製版装置。
  6. グラビア印刷に用いられる版胴であって、
    円周側面に被削層が形成された版胴材と、
    前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、
    前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層と、
    を備える版胴。
  7. グラビア印刷法により印刷対象物に対する印刷を行う印刷装置であって、
    円周側面に凹部が形成された版胴と、
    前記版胴の円周側面に塗布液を供給する塗布液供給部と、
    前記版胴の円周側面に当接して前記円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取るドクターブレードと、
    前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる駆動手段と、
    を備え、
    前記版胴が、
    円周側面に被削層が形成された版胴材と、
    前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、
    前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層と、
    を備える印刷装置。
  8. 請求項7に記載の印刷装置であって、
    前記印刷対象物が基板であり、
    前記塗布液が前記基板に形成すべき回路パターンの材料溶液であり、
    前記凹部が前記回路パターンを表現したものである、印刷装置。
  9. グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版方法であって、
    a)円周側面に被削層が形成された版胴材の前記被削層に回転する工具を当接させて前記被削層を切削あるいは研削して、前記被削層に凹部を形成する工程と、
    b)前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層を形成する工程と、
    を備える製版方法。
  10. グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷方法であって、
    a)円周側面に凹部が形成された版胴の前記円周側面に塗布液を供給する工程と、
    b)前記版胴の円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取る工程と、
    c)前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる工程と、
    を備え、
    前記版胴が、
    円周側面に被削層が形成された版胴材と、
    前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、
    前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層と、
    を備える印刷方法。
  11. 請求項10に記載の印刷方法であって、
    前記印刷対象物が基板であり、
    前記塗布液が前記基板に形成すべき回路パターンの材料溶液であり、
    前記凹部が前記回路パターンを表現したものである、印刷方法。
  12. 請求項11に記載の印刷方法により、前記回路パターンが形成された基板。
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