JP2013040389A - たわみ係数が低く、曲げ加工性に優れる銅合金板材 - Google Patents

たわみ係数が低く、曲げ加工性に優れる銅合金板材 Download PDF

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Abstract

【課題】圧延方向に対して垂直方向のたわみ係数が低く、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した銅合金板材を提供する。
【解決手段】NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金であって、EBSD法による測定における結晶方位解析において、
Cube方位{100}<001>の面積率が5%以上、かつNDRDW方位{012}<221>の面積率が10%以下
であることを特徴とする銅合金板材。
【選択図】なし

Description

本発明は銅合金板材およびその製造方法に関し、詳しくは車載部品用や電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどに適用される銅合金板材およびその製造方法に関する。
車載部品用や電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどの用途に使用される銅合金板材に要求される特性項目としては、例えば、導電率、耐力(降伏応力)、引張強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性などがある。近年、電気・電子機器の小型化、軽量化、高機能化、高密度実装化や、使用環境の高温化に伴って、これらの要求特性のレベルが高まっている。
近年の銅合金板材が使用される状況には、以下の様な変化が挙げられる。
一つ目に、自動車や電機・電子機器の高機能化とともに、コネクタの多極化が進行しているため、端子や接点部品の一つ一つの小型化が進行している。例えば、タブ幅が約1.0mmの端子を0.64mmへダウンサイズする動きが進んでいる。
二つ目に、鉱物資源の低減や、部品の軽量化を背景に、基体材料の薄肉化が進行しており、なおかつバネ接圧を保つために、従来よりも高強度な基体材料が使用されている。
そして、上記の変化に伴い、銅合金板材には下記の様な問題が生じている。
第一に、端子の小型化に伴い、接点部分やバネ部分に施される曲げ加工の曲げ半径は小さくなり、材料には従来よりも厳しい曲げ加工が施される。そのため、材料にクラックが発生する問題が生じている。
第二に、材料の高強度化に伴い、材料にクラックが発生する問題が生じている。これは、材料の曲げ加工性が、一般的に強度とトレードオフの関係にあるためである。
第三に、接点部分やバネ部分に施される曲げ加工部にクラックが発生すると、接点部分の接圧が低下することにより、接点部分の接触抵抗が上昇し、電気的接続が絶縁され、コネクタとしての機能が失われるため、重大な問題となる。
この曲げ加工性向上の要求に対して、結晶方位の制御によって解決する提案がいくつかなされている。特許文献1では、Cu−Ni−Si系銅合金において、結晶粒径と、{311}、{220}、{200}面からのX線回折強度がある条件を満たす様な結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献2では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{200}面および{220}面からのX線回折強度がある条件を満足する結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献3では、Cu−Ni−Si系銅合金において、Cube方位{100}<001>の割合の制御によって曲げ加工性が優れることが見出されている。その他、特許文献4〜8においても、種々の原子面についてのX線回折強度で規定された曲げ加工性に優れる材料が提案されている。特許文献4では、Cu−Ni−Co−Si系銅合金において、{200}面からのX線回折強度が、{111}面、{200}面、{220}面及び{311}面からのX線回折強度に対してある条件を満足する結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。特許文献5では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{420}面および{220}面からのX線回折強度がある条件を満足する結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。特許文献6では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{123}<412>方位に関してある条件を満足する結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。特許文献7では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{111}面、{311}面及び{220}面からのX線回折強度がある条件を満足する結晶方位の場合に、Bad Way(後述)の曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献8では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{200}面、{311}面及び{220}面からのX線回折強度がある条件を満足する結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。
特許文献1、2、4、5、7、8におけるX線回折強度による規定は、板面方向(圧延法線方向、ND)への特定の結晶面の集積について規定したものである。
また、コネクタの小型化によって、プレス加工や組み立てなどのコネクタの製造工程における、わずかな寸法バラツキが、接圧のバラツキに大きく影響するため、製造の歩留まりが大きく低下する問題が発生している。よって、接点材である銅合金板材のたわみ係数を小さくすることが求められている。たわみ係数は接点材の変位量とそれによって発生する応力の関係を表し、低いほど、寸法ばらつきによって発生する接圧バラツキの量を吸収することができる。接点材は主に、圧延方向に対して垂直方向に材料取りされるため、圧延方向に対して垂直方向のたわみ係数を下げることが、銅合金板材に求められている。
また、コネクタの小型化に伴い、導体の断面積が減少しているため、コネクタに使用される銅合金には、高い導電率が求められている。
特開2006−009137号公報 特開2008−013836号公報 特開2006−283059号公報 特開2009−007666号公報 特開2008−223136号公報 特開2007−092135号公報 特開2006−016629号公報 特開平11−335756号公報
ところで、特許文献1または特許文献2に記載された発明は、特定の結晶面からのX線回折による結晶方位の測定に基づくものであって、ある広がりを持った結晶方位の分布の中のごく一部の特定の面にのみ関するものである。しかも、板面方向(ND)の結晶面のみを測定しているに過ぎず、圧延方向(RD)や板幅方向(TD)にどの結晶面が向いているかについては制御できない。よって、曲げ加工性を完全に制御するには、なお不十分な方法であった。また、特許文献3に記載された発明においては、Cube方位の有効性が指摘されているが、その他の結晶方位成分については制御されておらず、曲げ加工性の改善が不十分な場合があった。また、特許文献4〜8では、それぞれ上記特定の結晶面または方位について測定、制御する検討しかなされておらず、特許文献1〜3と同様に、曲げ加工性の改善が不十分な場合があった。
また、圧延方向に対して垂直方向のたわみ係数を下げることは、いずれの先行技術文献においても検討されていない。
上記のような課題に鑑み、本発明の目的は、圧延方向に対して垂直方向のたわみ係数が低く、曲げ加工性に優れ、優れた強度と導電性を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した銅合金板材およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、種々検討を重ね、電気・電子部品用途に適した銅合金について研究を行い、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)法によって特徴付けられる、Cube方位を増加させ、なおかつ、NDRDW方位を低減することにより、曲げ加工時のクラックが抑制されるとともに、圧延垂直方向のたわみ係数を低減できることを見出し、さらに、それらの各方位の集合組織方位成分の面積率を所定の比率とすることで曲げ加工性を著しく向上させることができることを見出した。また、それに加えて、本合金系において特定の添加元素を用いることにより、導電率や曲げ加工性を損なうことなく、強度向上させ、たわみ係数を低減しうることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきなされるに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の解決手段を提供する。
(1)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる合金組成を有し、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、
Cube方位{100}<001>の面積率が5%以上、かつNDRDW方位{012}<221>の面積率が10%以下であることを特徴とする銅合金板材。
(2)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%含有し、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる合金組成を有し、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、
Cube方位{100}<001>の面積率が5%以上、かつNDRDW方位{012}<221>の面積率が10%以下であることを特徴とする銅合金板材。
(3)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金鋳塊に対し、少なくとも下記の工程I及びIIを施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
[工程I:銅合金鋳塊に対して合計加工率10〜70%で行う冷間加工]
[工程II:熱間圧延工程と溶体化熱処理との間に行う300〜700℃の温度で10秒〜5時間の中間熱処理工程]
(4)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%含有し、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金鋳塊に対し、少なくとも下記の工程I及びIIを施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
[工程I:銅合金鋳塊に対して合計加工率10〜70%で行う冷間加工]
[工程II:熱間圧延工程と溶体化熱処理との間に行う300〜700℃の温度で10秒〜5時間の中間熱処理工程]
(5)(1)または(2)に記載の銅合金板材を用いたコネクタ。
本発明の銅合金板材は、圧延方向に対して垂直方向のたわみ係数が低く、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに好適である。たわみ係数が低いことにより、製造工程における接圧のバラツキが抑えられ、歩留りが向上するという優れた効果を奏する。
また、本発明の銅合金板材の製造方法は、上記のたわみ係数が低く、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに好適な銅合金板材を製造する方法として好適なものである。
Cube方位とNDRDW方位の結晶配向を模式的に示す説明図である。 標点長さ(L)、荷重(W)、たわみ量(f)の関係を模式的に示す説明図である。
本発明の銅合金板材の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。ここで、「銅合金材料」とは、銅合金素材が所定の形状(例えば、板、条、箔、棒、線など)に加工されたものを意味する。そのなかで板材とは、特定の厚みを有し形状的に安定しており面方向に広がりをもつものを指し、広義には条材や、板を管状とした管状材を含む意味である。ここで、板材において、「材料表層」とは、「板表層」を意味し、「材料の深さ位置」とは、「板厚方向の位置」を意味する。板材の厚さは特に限定されないが、本発明の効果が一層よく顕れ実際的なアプリケーションに適合することを考慮すると、8〜800μmが好ましく、50〜70μmがより好ましい。
銅合金板材の曲げ加工時のクラックが発生する原因を明らかにするために、本発明者らは、曲げ変形した後の材料の金属組織を詳細に調査した。その結果、基体材料は均一に変形しているのではなく、特定の結晶方位の領域のみに変形が集中し、不均一な変形が進行することが観察された。そして、その不均一変形により、曲げ加工した後の基体材料表面には、数μmの深さのシワや、微細なクラックが発生することが解った。そして、Cube方位が多い場合に、不均一な変形が抑制され、基体材料の表面に発生するシワが低減され、クラックが抑制されることが解った。
また、Cube方位を高めると同時に、NDRDW方位を低減させることにより圧延垂直方向のたわみ係数を下げる効果があることを見出した。NDRDW方位は圧延垂直方向に(524)面を配向し、比較的高密な結晶面であることが、たわみ係数に顕著に寄与する原因と考えられる。
Cube方位とNDRDW方位の関係を図1に示す。丸で示したのが金属原子であり、四角が結晶格子である。図1の横方向が板材の幅方向であり、縦方向が圧延方向を示す。
たわみ係数は下記式(1)で表わされる。
E=4W/b・(L/t)・1/f ・・・(1)
(E:たわみ係数、b:試料幅、t:試料板厚、W:荷重、L:標点長さ、f:たわみ量)
標点長さLの試料1にWの荷重をかけたときのたわみ量fとの関係を図2に模式的に示した。
(EBSD測定による規定)
EBSD法で規定される、Cube方位{1 0 0}<0 0 1>の面積率が5%以上でかつ、NDRDW方位{0 1 2}<2 2 1>の面積率が10%以下のときに、上記の効果が得られる。Cube方位は更に好ましくは10%以上、最も好ましくは15%以上である。上限は特に設けないが、50%以上の場合には強度が低下する場合や、プレス打ち抜き性が低下する場合があり、必要な強度や用途に応じて、好ましくは47%未満にすることが必要である。
NDRDW方位は更に好ましくは8%以下、最も好ましくは6%以下である。従来、これらの方位を有する原子面の面積率を同時に制御したものは知られていない。
本明細書における結晶方位の表示方法は、材料の圧延方向(RD)をX軸、板幅方向(TD)をY軸、圧延法線方向(ND)をZ軸の直角座標系を取り、材料中の各領域がZ軸に垂直な(圧延面に平行な)結晶面の指数(h k l)と、X軸に平行な結晶方向の指数[u v w]とを用いて、(h k l)[u v w]の形で示す。また、(1 3 2)[6 −4 3]と(2 3 1)[3 −4 6]などのように、銅合金の立方晶の対称性のもとで等価な方位については、ファミリーを表すカッコ記号を使用し、{h k l}<u v w>と示す。本発明における6種類の方位は、上記の様な指数でそれぞれ示される。
本発明における上記結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。EBSDとは、Electron Back Scatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。本発明においては、結晶粒を200個以上含む、500μm四方の試料面積に対し、0.5μmのステップでスキャンし、方位を解析した。
本発明においては、前記Cube方位、NDRDW方位の各集合組織方位成分をもつ結晶粒とその原子面の面積を、以下に述べる所定のずれ角度の範囲内にあるかどうかで規定する。
上記指数で示される理想方位からのずれ角度については、(i)各測定点の結晶方位と、(ii)対象となる理想方位としてのCube、NDRDWのいずれかの方位とについて、(i)と(ii)に共通の回転軸を中心に回転角を計算し、そのずれ角度とした。例えば、S方位(2 3 1)[6 −4 3]に対して、(1 2 1)[1 −1 1]は(20 10 17)方向を回転軸にして、19.4°回転した関係になっており、この角度をずれ角度とした。前記共通の回転軸は40以下の3つの整数であるが、その内で最も小さいずれ角度で表現できるものを採用した。全ての測定点に対してこのずれ角度を計算して小数第一位までを有効数字とし、Cube方位、NDRDW方位のそれぞれ前記ずれ角から10°以下の方位を持つ結晶粒の面積を全測定面積で除し、それぞれの方位の原子面の面積率とした。
EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として記載した。
結晶方位の解析にEBSD測定を用いることにより、従来のX線回折法による板面方向(ND)に対する特定原子面の集積の測定とは大きく異なり、三次元方向のより完全に近い結晶方位情報がより高い分解能で得られるため、曲げ加工性を支配する結晶方位について全く新しい知見を獲得することができる。
なお、EBSD測定にあたっては、鮮明な菊地線回折像を得るために、機械研磨の後に、コロイダルシリカの砥粒を使用して、基体表面を鏡面研磨した後に、測定を行うことが好ましい。また、測定は板表面から行った。
(合金組成等)
・Ni,Co、Si
本発明のコネクタ用材料としては、銅合金が用いられる。コネクタに要求される導電性、機械的強度および耐熱性を有し、本発明の特定の結晶方位集積関係を満たす面積率を得るうえで、コルソン系合金を含む析出型合金を用いる。
これは、りん青銅や黄銅などの固溶型合金では、熱処理中の結晶粒成長においてCube方位粒成長の核となる、冷間圧延材中のCube方位をもつ微少領域が減少するためである。これは、りん青銅や黄銅などの積層欠陥エネルギーが低い系では、冷間圧延中に剪断帯が発達し易いためである。
本発明において、銅(Cu)に添加する第1の添加元素群であるニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びケイ素(Si)について、それぞれの添加量を制御することにより、Ni−Si、Co−Si、Ni−Co−Siの化合物を析出させて銅合金の強度を向上させることができる。NiとCoの添加量の総和は、0.5〜5.0mass%、好ましくは0.6〜4.5mass%、より好ましくは0.8〜4.0mass%である。用途に応じて導電性を高めたい場合、Coを必須とすることが好ましい。また、Siの含有量は0.2〜1.5mass%、好ましくは0.3〜1.2mass%である。これらの元素の合計の添加量が多すぎると導電率を低下させ、また、少なすぎると強度が不足する。
・その他の元素
Crは結晶粒を微細にして、曲げ性を向上させる効果がある。Crの含有量は0.03〜1.0mass%が好ましく、より好ましくは0.16〜0.24mass%である。少なすぎるとその効果が不十分であり、多すぎると粗大な晶出物が多数発生してしまうため、むしろ曲げ性を悪化させてしまう。
Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Fe、Ti、Zr及びHfは、強度を向上させたり結晶粒の粗大化を抑制したりして、曲げ加工性を改善する。
その他の元素を含有する場合は、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%、好ましくは0.08〜0.95mass%含有する。
これらの添加元素が多すぎると導電率を低下させる弊害を生じる。なお、これらの添加元素が総量で少なすぎると、これらの元素を添加した効果がほとんど発揮されない。
合金組成中の不可避不純物は、通常のものがあり、例えばO、H、S、Pb、As、Cd、Sbなどがあげられる。
(製造方法等)
次に、Cube方位及びNDRDW方位の面積率を制御する方法について説明する。ここでは、析出型銅合金の板材(条材)を例に挙げて説明するが、固溶型合金材料、希薄系合金材料、純銅系材料に展開することが可能である。
一般に、析出型銅合金の製造方法は、銅合金素材を鋳造[工程1]して鋳塊を得て、これを均質化熱処理[工程3]し、熱間圧延等の熱間加工[工程4]、水冷[工程5]、面削[工程6]、冷間圧延2[工程7]をこの順に行い薄板化し、700〜1020℃の温度範囲で溶体化熱処理[工程10]を行って溶質原子を再固溶させた後に、時効析出熱処理[工程11]と仕上げ冷間圧延[工程12]によって必要な強度を満足させるものである。この一連の工程の中で、材料の集合組織は、中間溶体化熱処理中[工程10]に起きる再結晶によっておおよそが決定し、仕上げ圧延[工程12]中に起きる方位の回転により、最終的に決定される。
この一般的な工程で形成されるCube方位面積率は通常3%以下であり、曲げ加工性及びたわみ係数が劣る。
本発明の銅合金材は、冷間圧延2[工程7]と溶体化熱処理[工程10]の間に、300〜800℃で5秒〜2時間の中間焼鈍[工程8]と、続いて、圧延率が3〜80%の冷間圧延3[工程9]を加えることを特徴とする。中間焼鈍では、溶体化熱処理に対して低い温度により、完全に再結晶しておらず、部分的に再結晶している亜焼鈍組織を得ることが目的である。冷間圧延3では、比較的低い加工率の圧延によって、微視的に不均一な歪みを導入することができる。この2つの工程の効果によって、溶体化熱処理での再結晶集合組織において、Cube方位を高めることができる。中間焼鈍[工程8]のより好ましい範囲は400〜700℃で10秒〜1分間、更に好ましい範囲は500〜650℃で15秒〜45秒間である。冷間圧延3[工程9]の加工率のより好ましい範囲は5〜65%、更に好ましい範囲は7〜50%である。
従来、上記中間焼鈍[工程8]のような熱処理は、次工程の圧延での荷重を低減するために材料を再結晶させて強度を落とすために行われている。また、圧延は板厚を薄くすることが目的であり、通常の圧延機の能力であれば80%を超える加工率を採用するのが一般的である。本発明におけるこれら2つの工程の目的は、これら一般的な内容とは異なり、再結晶後の結晶方位に優先性を持たせるためである。
この工程において、副方位としてNDRDW方位が発生する場合があり、これを低減させるためには、鋳塊を冷間圧延1[工程2]することが有効である。NDRDW方位は、熱間圧延[工程4]にて結晶粒径が粗大な場合に発達し易く、熱間圧延での結晶粒を小さくすることが重要である。本発明では、鋳塊への冷間圧延1[工程2]を導入することによって、均質化熱処理[工程3]において鋳造組織が再結晶し、積極的に結晶粒を小さくすることができることを見出した。その結果、副方位のNDRDW方位を減少させることができる。
冷間圧延1[工程2]の好ましい範囲は10〜70%である。この範囲より低い場合は効果が不十分であり、高い場合は圧延割れを起こし易い。更に好ましい範囲は20〜50%である。
上記内容を満たすことで、たとえばコネクタ用銅合金板材に要求される特性を満足することができる。本発明の銅合金板材の一つの好ましい実施態様では、圧延垂直方向のたわみ係数が120GPa以下、かつ0.2%耐力が600MPa以上、かつ導電率が30%IACS以上、かつ曲げ加工性については試験片幅が1mmの180°密着曲げ試験においてクラックなく曲げ加工が可能である。それぞれの特性のより好ましい実施態様は、圧延垂直方向のたわみ係数については110GPa以下、0.2%耐力については650MPa以上、導電率については50%IACS以上の少なくともいずれかを満たし、更に好ましくは、0.2%耐力については700MPa以上の良好な特性を有する銅合金板材であり、このような特性を実現可能なことが、本発明の一つの利点である。
なお、本発明において、0.2%耐力はJIS Z2241に基づく値である。また、上記の%IACSとは、万国標準軟銅(International Annealed Cupper Standard)の抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%IACSとした場合の導電率を表したものである。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
表1の合金成分の欄の元素を含有し、残部がCuと不可避不純物から成る合金を高周波溶解炉により溶解し、これを鋳造して鋳塊を得た。この状態を提供材とし、下記A〜Jのいずれかの製法にて、本発明例1〜16および比較例1〜12の銅合金板材の供試材を製造した。なお、表1にA〜Jのいずれの製法を用いたのかを示した。最終的な合金板材の厚さは特に断らない限り150μmとした。
(製法A)
20〜50%の冷間圧延1を行い、900〜1050℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理を行い、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その後に50〜99%の加工率の冷間圧延2を行い、400〜700℃の温度で10秒〜1分間の中間焼鈍を行い、5〜65%の加工率の冷間圧延3を行った。その後に、800〜950℃の温度に5秒〜50秒間保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜50%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
(製法B)
10〜70%の冷間圧延1を行い、900〜1050℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理を行い、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その後に50〜99%の加工率の冷間圧延2を行い、300〜800℃の温度で5秒〜2時間の中間焼鈍を行い、3〜80%の加工率の冷間圧延3を行った。その後に、800〜950℃の温度に5秒〜50秒間保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜50%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
(製法C)
10〜70%の冷間圧延1を行い、900〜1050℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理を行い、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その後に50〜99%の加工率の冷間圧延2を行い、300〜800℃の温度で5秒〜2時間の中間焼鈍を行い、3〜80%の加工率の冷間圧延3を行った。その後に、800〜950℃の温度に5秒〜50秒間保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行った。
(製法D)
冷間圧延1、中間焼鈍、冷間圧延3は行わず、その他は工程Bと同様に作製した。
(製法E)
冷間圧延3は行わず、その他は工程Bと同様に作製した。
(製法F)
中間焼鈍は行わず、その他は工程Bと同様に作製した。
(製法G)
冷間圧延1は行わず、その他は工程Bと同様に作製した。
(製法H)
中間焼鈍及び、冷間圧延3は行わず、その他は工程Bと同様に作製した。
(製法I)
特許文献3の特開2006−283059号公報の製造方法に従って下記のように製造した。
電気炉により大気中にて木炭被覆下で溶解し、鋳造可否を判断した。溶製した鋳塊を熱間圧延し、厚さ15mmに仕上げ、ここで熱間圧延時に割れが発生していないか目視にて判定した。続いて、熱間圧延材に対し、冷間圧延及び熱処理(冷間圧延1→溶体化連続焼鈍→冷間圧延2→時効処理→冷間圧延3→短時間焼鈍)を施し、厚さ0.25mmの銅合金薄板を製造した。ここで冷間圧延1の加工率は95%以上、冷間圧延2の加工率は20%以下、冷間圧延3の加工率は1〜20%とした。溶体化連続焼鈍は実体温度800〜950℃で30秒以下保持し、保持後は冷却速度10℃/秒以上での冷却を行った。時効処理は、バッチ炉を用いて、実体温度400〜600℃で1〜8時間保持し、保持後は冷却速度10℃/秒未満で炉冷した。短時間焼鈍は、連続焼鈍炉により、実体温度400〜550℃で30秒以下保持し、保持後は冷却速度10℃/秒以上で冷却した。
(製法J)
特許文献5の特開2008−223136号公報の製造方法に従って、「溶解・鋳造→熱間圧延→冷間圧延→溶体化処理→中間冷間圧延→時効処理→仕上げ冷間圧延→低温焼鈍」の工程で製造し、各条件は下記のように行った。
溶解・鋳造した鋳塊を用いて、熱間圧延は、950℃〜700℃の温度域で最初の圧延パスを実施し、かつ700℃未満〜400℃の温度域で圧延率40%以上の圧延を行った。冷間圧延は冷間圧延率が90%以上で行った。溶体化処理は、100℃から700℃までの昇温時間を20秒以下とし、再結晶粒の平均粒径が10〜60μmとなるように、700〜850℃の温度に10秒〜10分保持した。中間冷間圧延は、冷間圧延率が50%以下の範囲で行った。時効処理は、400〜500℃となる温度で処理時間は1〜10時間で行った。仕上げ冷間圧延は、冷間圧延率が50%を超えない範囲で行った。低温焼鈍は材温が150〜550℃になるようにし、5秒以上で1時間以内の保持時間で行った。
工程A、B、Cにおいて冷間圧延1の加工率が70%を超える場合は、圧延割れしたため、製造を中止した。
なお、各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
この供試材について下記のようにして各特性を測定、評価した。ここで、供試材の厚さは0.15mmとした。結果を表1に示す。
a.Cube方位、NDRDW方位の面積率:
EBSD法により、約500μm四方の測定領域で、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行った。測定面積は結晶粒を200個以上含むことを基準として調整した。上述したように、理想方位からのずれ角度については、共通の回転軸を中心に回転角を計算し、ずれ角度とした。あらゆる回転軸に関して各方位との回転角度を計算した。回転軸は最も小さいずれ角度で表現できるものを採用した。全ての測定点に対してこのずれ角度を計算して小数第一位までを有効数字とし、各方位から10°以内の方位を持つ結晶粒の面積を全測定面積で除し、面積率を算出した。
b.たわみ係数:
日本伸銅協会の技術標準(JCBA T312(2002))に基づき、圧延方向に対して垂直方向のたわみ係数を測定した。120GPa以下であればたわみ係数が十分低いと判定した。
c.180°密着曲げ加工性 [曲げ加工性]:
圧延方向に垂直に幅1mm、長さ25mmにプレスで打ち抜き、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とした。JIS Z 2248に準じて曲げ加工を行った。0.4mmRの90°曲げ金型を使用して予備曲げを行った後に、圧縮試験機によって密着曲げを行った。曲げ部外側における割れの有無を50倍の光学顕微鏡で目視観察によりその曲げ加工部位を観察し、割れの有無を調査した。曲げ加工部にクラックがないものを○、クラックのあるものを×と判定した。
e.0.2%耐力 [YS]:
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。ここでは、YSの値が600MPa以上であるものを、強度に優れているものとした。
f.導電率 [EC]:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。ここでは、ECの値が30%IACS以上であるものを、導電性に優れているものとした。
g.平均結晶粒径
JISH0501(切断法)に基づき、測定した。
Figure 2013040389
表1に示すように、本発明例1〜16は、いずれの特性も良好であった。ただし、本発明例16はcube方位面積率が高いために、同じ成分の本発明と比べて強度がやや低かった。
これに対し、表1に示すように、比較例の試料では、いずれかの特性が劣る結果となった。
すなわち、比較例1は、NiとSiの総量が少ないために、析出硬化に寄与する析出物の密度が低下し強度が劣った。比較例2及び3は、NiとSiの総量が多いために、導電率が劣った。比較例4は、その他の元素の添加量が多いために導電率が劣った。
比較例5、6、7、10はCube方位面積率が低く、曲げ加工性及びたわみ係数が劣った。比較例8、9はCube方位面積率は本発明の範囲内であるものの、NDRDW方位の面積率が高いために、たわみ係数が劣った。比較例11、12はCube方位面積率が低く、またNDRDW方位面積率が高く、曲げ加工性とたわみ係数が劣った。
この様に、冷間圧延1、中間焼鈍及び、冷間圧延3の3つの工程の組合せが、曲げ加工性とたわみ係数の両立に対して相乗的な効果を有した。
1 試料
(1)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.2〜1.5mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる合金組成を有し、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、
Cube方位{100}<001>の面積率が5%以上、かつNDRDW方位{012}<221>の面積率が10%以下であることを特徴とする銅合金板材。
(2)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.2〜1.5mass%含有し、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる合金組成を有し、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、
Cube方位{100}<001>の面積率が5%以上、かつNDRDW方位{012}<221>の面積率が10%以下であることを特徴とする銅合金板材。
(3)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.2〜1.5mass%を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金鋳塊に対し、下記の工程2〜工程12をこの順で施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
[工程2:加工率10〜70%冷間圧延
[工程3:900〜1050℃の温度で2分〜10時間の均質化熱処理]
[工程4:熱間加工]
[工程5:水冷]
[工程6:面削]
[工程7:加工率50〜99%の冷間圧延2]
[工程8:300〜800℃で5秒〜2時間の中間焼鈍]
[工程9:加工率3〜80%の冷間圧延3]
[工程10:700〜1020℃の温度範囲での溶体化熱処理]
[工程11:350〜600℃で5分〜20時間の時効析出熱処理]
[工程12:加工率5〜50%の仕上げ圧延]
(4)NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.2〜1.5mass%含有し、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金鋳塊に対し、下記の工程2〜工程12をこの順で施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
[工程2:加工率10〜70%冷間圧延
[工程3:900〜1050℃の温度で2分〜10時間の均質化熱処理]
[工程4:熱間加工]
[工程5:水冷]
[工程6:面削]
[工程7:加工率50〜99%の冷間圧延2]
[工程8:300〜800℃で5秒〜2時間の中間焼鈍]
[工程9:加工率3〜80%の冷間圧延3]
[工程10:700〜1020℃の温度範囲での溶体化熱処理]
[工程11:350〜600℃で5分〜20時間の時効析出熱処理]
[工程12:加工率5〜50%の仕上げ圧延]
(5)前記(1)または(2)に記載の銅合金板材を用いたことを特徴とするコネクタ。
Figure 2013040389
表1に示すように、本発明例1〜15は、いずれの特性も良好であった。ただし、本発明例15はcube方位面積率が高いために、同じ成分の本発明と比べて強度がやや低かった。

Claims (5)

  1. NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる合金組成を有し、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、
    Cube方位{100}<001>の面積率が5%以上、かつNDRDW方位{012}<221>の面積率が10%以下であることを特徴とする銅合金板材。
  2. NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%含有し、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる合金組成を有し、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、
    Cube方位{100}<001>の面積率が5%以上、かつNDRDW方位{012}<221>の面積率が10%以下であることを特徴とする銅合金板材。
  3. NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金鋳塊に対し、少なくとも下記の工程I及びIIを施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
    [工程I:銅合金鋳塊に対して合計加工率10〜70%で行う冷間加工]
    [工程II:熱間圧延工程と溶体化熱処理との間に行う300〜700℃の温度で10秒〜5時間の中間熱処理工程]
  4. NiとCoのいずれか1種または2種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.5mass%含有し、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金鋳塊に対し、少なくとも下記の工程I及びIIを施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
    [工程I:銅合金鋳塊に対して合計加工率10〜70%で行う冷間加工]
    [工程II:熱間圧延工程と溶体化熱処理との間に行う300〜700℃の温度で10秒〜5時間の中間熱処理工程]
  5. 請求項1または2に記載の銅合金板材を用いたコネクタ。
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