JP2013039306A - X線コンピュータ断層撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パイルアップ現象の再構成画像に対する影響を排除乃至は軽減し、良好な再構成画像を得ること。
【解決手段】一実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線発生部と、X線を検出し、検出したX線に応じた信号を出力するX検出器と、X線検出器から出力される信号の高周波成分を抽出する第1抽出部と、同信号の低周波成分を抽出する第2抽出部と、X線検出器によって検出されたX線のフォトンに対応する高周波成分の波高値及び低周波成分の波高値を計測する計測部と、計測された高周波成分の波高値及び低周波成分の波高値に基づき、フォトンのエネルギー値を求める補正部と、補正部によって求められたエネルギー値が所定の条件を満たすフォトンをカウントするカウント部と、このカウント部によるカウント結果に基づいて画像を再構成する再構成部と、を備えている。
【選択図】 図5

Description

本発明の実施形態は、フォトンカウンティング方式を採用したX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
X線コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography:以下X線CT装置と呼ぶ)は、X線源を被検体の体軸を中心として回転させるとともに、X線源に被検体に向けてX線を照射させ、被検体を透過したX線をX線検出器で検出して得られる投影データに基づき断層像を再構成するものであり、疾病の診断、治療や手術計画の立案等を始めとする多くの医療行為において重要な役割を果たしている。
従来、X線検出器にて検出されるX線のフォトン数をカウントし、そのカウント数と各フォトンのエネルギー値に基づいて、被検体に関する画像を再構成する、いわゆるフォトンカウンティング方式を採用したX線CT装置が知られている。
この種のX線CT装置において、X線検出器に入射するX線のフォトン数が多くなると、各フォトンに対応する電荷パルス同士が時間的に重なり合うパイルアップ現象が生じる場合がある。パイルアップ現象が生じると、各フォトンのエネルギー値が正確に計測できなくなるので、再構成画像におけるアーチファクトの発生原因となる。また、各電荷パルスの弁別が困難となるので、フォトン数の数え漏れを生ずる場合もある。
一方で、パイルアップ現象を生じさせないように被検体への照射線量を減少させると、再構成画像にフォトンノイズが現れる。したがって、十分なS/N比(Signal to Noise ratio:信号対雑音比)を確保するためには、撮影時間を長くする必要があり、被検体及び操作者への負担となる。
特開2006−101926号公報
本発明が解決しようとする課題は、パイルアップ現象の再構成画像に対する影響を排除乃至は軽減し、良好な再構成画像を得ることができるX線CT装置を提供することである。
一実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線発生部と、前記X線発生部にて発生して被検体を透過したX線を検出し、検出したX線に応じた信号を出力するX線検出器と、前記X線検出器から出力される信号の高周波成分を抽出する第1抽出部と、前記X線検出器から出力される信号の低周波成分を抽出する第2抽出部と、前記X線検出器によって検出されたX線のフォトンに対応する前記高周波成分の波高値及び前記低周波成分の波高値を計測する計測部と、前記計測部によって計測された前記高周波成分の波高値及び前記低周波成分の波高値に基づき、前記フォトンのエネルギー値を求める補正部と、前記補正部によって求められたエネルギー値が所定の条件を満たす前記フォトンをカウントするカウント部と、このカウント部によるカウント結果に基づいて画像を再構成する再構成部と、を備えている。
一実施形態に係るX線CT装置の全体構成を示すブロック図。 従来のX線CT装置にて使用される電荷読出し回路の一例を示す図。 パイルアップ非発生時における図2中のA点又はB点の信号の波形図。 パイルアップ発生時における図2中のA点又はB点の信号の波形図。 一実施形態に係る電荷読出し回路等を示す図。 パイルアップ発生時における図5中のC点の信号の波形図。 パイルアップ発生時における図5中のD点の信号の波形図。 図5に示した電荷読出し回路の後段に続く回路を示す図。 図5に示した回路における低周波成分及び高周波成分の感度とパイルアップの強度分布との関係を示す図。
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、X線CTシステムの撮影系には、X線管球と検出器システムとが一体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプや、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管球のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプのX線CT装置を例として説明する。
また、画像を再構成するには被検体の周囲一周、360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ファン角度分の投影データが必要とされが、いずれの再構成方式に対しても本実施形態へ適用可能である。
また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
[X線CT装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係るX線CT装置1の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、X線CT装置1は、架台装置Aと、コンソール装置Bとを含んで構成されている。
架台装置Aは、被検体にX線を曝射し当該被検体を透過したX線を検出して投影データを取得する。
図1に示すように、架台装置Aは、固定部10、回転部11、寝台12、X線管球13(X線発生部)、X線検出器14、データ収集部15、データ伝送部16、架台寝台駆動部17、給電部18、高電圧発生部19等を有している。
X線管球13は、X線を発生する真空管であり、回転部11に設けられている。X線検出器14は、被検体Pを透過したX線を検出する検出器システムであり、X線管球13に対向する向きで回転部11に取り付けられている。
回転部11には開口部110が設けられており、この開口部110内に寝台12が配置されている。寝台12のスライド天板には被検体Pが載置される。架台寝台駆動部17は、開口部110に挿入された被検体Pの体軸方向に平行な中心軸のまわりで回転部11を高速回転させつつ、寝台12を上記体軸方向に移動させる。このようにして被検体Pが広範囲にスキャンされる。
データ収集部15は、後述の電荷読出し回路等(図5,図8参照)を備えており、X線検出器14から出力される信号に基づいて、被検体Pを透過してX線検出器14に入射したフォトンをカウントするとともに、カウントしたフォトンのエネルギー値を計測(算出)し、これらカウント結果及びエネルギー値の計測結果を光通信を応用したデータ伝送部16を介して固定部10側に伝送する。
固定部10には、商用交流電源等の外部電源から動作電力が供給される。固定部10に供給された動作電力は、例えばスリップリングである給電部18を介して回転部11の各部に伝達される。
高電圧発生部19は、高電圧変圧器、フィラメント加熱変換器、整流器、高電圧切替器等で構成されており、給電部18から供給される動作電力を高電圧変換してX線管球13に供給する。
次に、コンソール装置Bについて説明する。コンソール装置Bは、コントローラ21、データ記憶部22、画像再構成部23、画像処理部24、画像表示部25、操作部26、及びデータ/制御バス27等を備えている。
コントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成され、撮影処理、データ処理、画像処理等の各種処理に関する統括的な制御を行う。
データ記憶部22は、データ伝送部16から送られるデータ(投影データ)や、再構成画像データ等の各種データを記憶する。
画像再構成部23は、所定の再構成パラメータ、例えば再構成領域サイズ、再構成マトリクスサイズ、関心部位を抽出するための閾値等に基づいて投影データを再構成処理することで、再構成画像データを生成する。
画像処理部24は、画像再構成部23により生成された再構成画像データに対して、ウィンドウ変換、RGB処理等の表示のための画像処理を行い、画像表示部25に出力する。また、画像処理部24は、オペレータの指示に基づき、任意断面の断層像、任意方向からの投影像、3次元表面画像等のいわゆる疑似3次元画像の生成を行い、画像表示部25に出力する。出力された画像データは、画像表示部25においてX線CT画像として表示される。
操作部26は、キーボードや各種スイッチ、マウス等を備え、スライス厚やスライス数等の各種スキャン条件の入力等に用いられる。
データ/制御バス27は、各ユニット間を接続し、各種データ、制御信号、アドレス情報等を送受信するための信号線である。
[パイルアップ現象]
ここで、パイルアップ現象について説明する。
図2に従来のX線CT装置にて使用される電荷読出し回路の一例を示す。電荷読出し回路は、例えばX線検出器の各検出素子100に接続された増幅器(AMP)101と、この増幅器101に接続されたADコンバータ(ADC)102とを含む。
検出素子100が入射したフォトンの電荷に応じて信号を出力し、この信号が増幅器101にて所定レベルに増幅され、増幅後の信号がADコンバータ102にて時系列の信号振幅を示すデジタル信号に変換される。ADコンバータ102にて変換された信号は、図示せぬカウンタに送られる。このカウンタは、予め指定された振幅を超える信号が入力されたときに特定の出力パルスを出力する波高弁別器を有し、この波高弁別器から出力されるパルスの数をカウントすることで、X線検出器に入射したフォトン数を得る。さらに、このカウンタでカウントされた各フォトンのエネルギー値(波高値)がADコンバータ102から出力された信号に基づいて計測され、上記カウント数とともにデータ記憶部に記憶される。
検出素子100から出力される信号(図中のA点の信号)あるいは増幅器101から出力される信号(図中のB点の信号)の波形は、例えば図3,図4のような時間変化を示す。
図3に示した波形は、パイルアップ現象が生じていないときのものであり、被検体を透過してX線検出器に入射したフォトンの電荷に対応する出力が重複せずに時系列で現れている。これに対し、図4に示した波形は、パイルアップ現象が生じているときのものであり、フォトンの電荷に対応する出力がそれぞれ重複し、各出力が本来よりも高い信号値(エネルギー値)を示している。特に重畳の中心付近において、本来のエネルギー値と実測値との剥離が顕著となる。
このようなパイルアップ現象が生じると、フォトンのエネルギー値が正確に計測できなくなり、また、フォトンの数え漏れが生じる虞があるため、再構成画像におけるアーチファクト発生の原因となる。
[本実施形態に係る電荷読出し回路]
本実施形態に係るX線CT装置1が備える電荷読出し回路について説明する。
図5は、X線検出素子と本実施形態に係る電荷読出し回路とを示す回路図である。この電荷読出し回路は、例えばデータ収集部15に実装される。
X線検出器14が備える複数の検出素子30にそれぞれ増幅器31が接続され、この増幅器31の出力線が2経路に分離し、一方が微分回路32に、他方が積分回路33に接続されている。
微分回路32は、本実施形態に係る第1抽出部として機能するものであり、その出力線は増幅器34aに接続され、この増幅器34aの出力線がADコンバータ35aに接続されている。他方、積分回路33は、本実施形態に係る第2抽出部として機能するものであり、その出力線は増幅器34bに接続され、この増幅器34bの出力線がADコンバータ35bに接続されている。
微分回路32は、増幅器31と増幅器34aとを結ぶ信号線上に設けられたコンデンサ321と、同信号線上におけるコンデンサ321と増幅器34aとの間に一端が接続され、他端が接地された抵抗322とを含む。この微分回路32を介在させると、増幅器31から出力される信号から高周波成分が抽出される。抽出された高周波成分を示す信号は、増幅器34aにて増幅され、ADコンバータ35aにて時系列の振幅を示すデジタル信号に変換される。
一方、積分回路33は、増幅器31と増幅器34bとを結ぶ信号線上に設けられた抵抗331と、同信号線上における抵抗331と増幅器34bとの間に一端が接続され、他端が接地されたコンデンサ332とを含む。この積分回路33を介在させると、増幅器31から出力される信号から低周波成分が抽出さる。抽出された低周波成分を示す信号は、増幅器34bにて増幅され、ADコンバータ35bにて時系列の振幅を示すデジタル信号に変換される。
検出素子30からパイルアップした信号が出力されたとき、増幅器34aから出力される信号(図中のC点の信号)の波形は、例えば図6のような時間変化を示し、増幅器34bから出力される信号(図中のD点の信号)の波形は、例えば図7のような時間変化を示す。
すなわち、増幅器34aから出力される信号には、検出素子30に入射した各フォトンの電荷に対応する出力が、微分回路32の作用により互いに重畳しないパルスとして現れる。
一方、増幅器34bから出力される信号は、検出素子30に入射した各フォトンの本来のエネルギー値を概ね平均化した値をとり、パイルアップの程度を反映する。すなわち、検出素子30から出力される信号において、パイルアップによる重畳が顕著であるほど波高値が高くなる。
[フォトンの計数及びエネルギー値の算出]
図5に示した回路の後段に続く回路及び同回路で行われる処理につき、図8を用いて説明する。
ADコンバータ35aからの出力(以下、信号Xと称す)及びADコンバータ35bからの出力(以下、信号Yと称す)は、例えばプロセッサやメモリにて構成される演算部40に入力される。演算部40は、上記プロセッサによって上記メモリ等に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、計測部41、計数率算出部42、補正部43等の機能を実現する。
計測部41は、検出素子30に入射したフォトンの電荷に対応する信号Xの波高値を計測する。具体的には、例えば図6の波形図に含まれる各パルスについて、そのピークの波高値を計測する。計測部41は、信号Xに基づいてフォトンの電荷に対応する波高値を計測する都度、計測した波高値を補正部43に出力するとともに、計数率算出部42に検出信号を出力する。
さらに、計測部41は、検出素子30に入射したフォトンの電荷に対応する信号Yの波高値を計測する。具体的には、信号Xに関し、上記各パルスについてそのピークの波高値を計測したタイミングで、信号Yの波高値を計測する。計測部41は、信号Yに基づいてフォトンの電荷に対応する波高値を計測する都度、計測した波高値を補正部43に出力する。
計数率算出部42は、直前の単位時間当たりに計測部41から入力される検出信号数(フォトンの計数率)を算出し、算出した計数率を補正部43に出力する。
補正部43は、計測部41によって計測された信号Xの波高値、信号Yの波高値、及び計数率に基づき、検出素子30に入射したフォトンのエネルギー値を算出し、算出したエネルギー値をカウント部44に出力する。具体的には、補正部43は、信号Xの波高値、信号Yの波高値、及び計数率をパラメータとして補正値(フォトンの本来のエネルギー値)を算出するための計算式や、テーブルを予め記憶しており、これら計算式やテーブルを用いて本来のエネルギー値を算出する。上記計算式やテーブルは、事前の実験により、あるいは理論的に、信号X,Yの波高値及び計数率に基づいて補正値が一意に定まるようその具体的な内容を定めればよい。
カウント部44は、例えば補正部43からの信号が入力される複数のコンパレータと、各コンパレータに接続されたカウンタとを備えている。各コンパレータには、それぞれのコンパレータで重複しないエネルギー域が設定されている。各コンパレータは、自身に設定されたエネルギー域の信号が補正部43から入力されると、自身に接続されたカウンタにパルスを出力する。各カウンタは、自身に入力されたパルスをカウントする。各カウンタのカウント結果は、後段のカウント数読み出し回路(不図示)によって読み出され、X線検出器14が備える他の検出素子30に関するカウント結果とともに、データ記憶部22に送られる。
かくして、被検体Pを透過したフォトンの数と、各フォトンのエネルギー値とを加味した投影データが得られる。画像再構成部23は、この投影データに基づいて、被検体Pの断層像を再構成する。再構成にあたっては、例えば特定のエネルギー域の透過フォトン数を用いることで、特定の物質(例えば骨等)を強調した画像を得ることができる。また、各エネルギー域の透過フォトン数を用いて再構成した画像をそれぞれ彩色を分けて組み合せたカラー合成像を得ることもできる。
[補正部による演算の具体例]
上記補正部43による演算の具体例について説明する。
検出素子30から出力される信号の高周波成分は、検出素子30から出力される本来の信号の波高値(X線フォトンのエネルギー)に比例した値となる。特に本実施形態では、微分回路32にて高周波成分が抽出されているため、信号Xは、上記本来の信号の波形の微分値となる。この微分値は、上記本来の信号の波高値が大きい場合には大きく、小さい場合には小さくなる。
この関係は、以下の数式(1)のように表される。
Figure 2013039306
ここに、「a」は係数であり、「h」は高周波成分の波形に現れるn番目のフォトンの電荷に対応する信号Xの波高値である。
また、検出素子30から出力される信号の低周波成分は、上記本来の信号が計測された時刻tの直前までの信号の波高値と、その信号の入力時刻の関数と考えることができ、以下の数式(2)のように表される。
Figure 2013039306
ここに、「b」は係数であり、残りの部分が信号Yの波高値である。なお、「τ」は、検出素子30からの出力波形の減衰に関する時定数であり、微分回路32や積分回路33のフィードバック系の抵抗値やコンデンサ容量等に基づき、決定される。
以上の関係を元に、上記本来の信号のエネルギー値Enは、以下の数式(3)のように表される。
Figure 2013039306
このようにエネルギー値Enが表されるのは、高周波成分といえども完全にパイルアップの影響を除去することが困難であるため、主にパイルアップの程度を測定可能な低周波成分を用いた高周波成分の補正が必要であることに基づく。この関係を、図9に模式的に示している。実際のグラフの形状は、例えば検出素子30の性能、積分回路33,34a,34bの応答性、増幅器31及び微分回路32を構成するコンデンサ321,332の容量や抵抗322,331の値に依存して異なる。
係数a,bは、例えば単一エネルギーのRI(Radio Isotope)を用いて算出することができる。すなわち、上記RIをX線検出器14との距離が一定となるように開口部110内に配置すると、計数率が一定に保たれ、さらにエネルギー値En及び信号X,Yの波高値が既知となる。そこで、X線検出器14と上記RIとの距離を変化させることで、計数率を変化させて、各計数率における係数a,bの関係(例えば計数aを1とした場合の係数bの値)を得ることができる。
そして、実際に被検体Pの断層像を撮影する際、補正部43は、例えば計測部41にて計測された信号Xの波高値及び信号Yの波高値と、計数率算出部42にて算出された計数率に応じた係数a,bとを数式(3)に代入してフォトンの本来のエネルギー値を算出すればよい。あるいは、数式(3)に基づき、計数率毎に信号X,Yの波高値とフォトンの本来のエネルギー値とを対応付けたテーブルを作成して予め補正部43のメモリに記憶しておき、計測部41にて計測された信号X,Yの波高値と、計数率算出部42にて算出された計数率とを用いて上記テーブルからフォトンの本来のエネルギー値を求めるようにしてもよい。
一方で、X線管球を使用するX線CT装置においては、X線のフォトンのエネルギーが単一ではなく、管電圧によって決定される連続的なエネルギー分布を持っている。したがって、エネルギーが異なる何種類かのRIを使用し、それぞれのエネルギーのフォトンに対して上記のように係数a,bを求め、求めた係数を各エネルギー間で補間することにより、連続的なエネルギー分布を模擬する補正テーブルあるいは数式を作成してもよい。なお、エネルギー分布の形状は、補正対象である時点の信号に時間的に近い高周波成分の大まかな分布によって想定することにより、透過フォトンの本来のエネルギー値の算出精度の向上が図れる。
また、X線管球13を用いて係数a,bを求めることも可能である。X線管球13から放射されるX線のエネルギー分布は、管電圧を固定することで一定に保つことができる。そこで、管電圧を固定した状態で管電流を変化させ、エネルギー分布を一定に保ったまま計数率を変化させることにより、上記RIの場合と同様に計数率に応じた係数a,bを求めることができる。さらに、このようにして係数a,bを求める際に、例えば水ファントムを開口部110に配置しておくことで、実際の被検体の撮影時に近いエネルギー分布での補正データの収集が可能となり、補正精度の向上が図れる。
以上説明した本実施形態に係る構成によれば、X線検出器14に入射したX線のフォトンの本来のエネルギー値を、パイルアップ現象の発生時であっても正確に把握できる。また、このようにフォトンの本来のエネルギー値が正確に把握できるので、フォトンの数え漏れも防止できる。したがって、パイルアップ現象が発生した場合であっても、再構成画像に対する悪影響が排除乃至は軽減され、良好な再構成画像を得ることができるようになる。
また、パイルアップ現象を生じさせないように被検体への照射線量を減少させる必要がないので、十分なS/N比を確保しつつも短時間での撮影が可能となり、被検体及び操作者への負担が軽減される。
また、より具体的には、検出素子30からの出力から抽出した高周波成分及び低周波成の波高値に加え、フォトンの計数率をも考慮してフォトンの本来のエネルギー値を求めている。このように計数率を考慮することで、より正確にフォトンの本来のエネルギー値を求めることができるようになる。
[変形例]
上記実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。
例えば、上記実施形態では、検出素子30から出力された信号から微分回路32によって高周波成分を抽出し、積分回路33によって低周波成分を抽出するとした。しかしながら、微分回路や積分回路に限らず、他の手法を用いて高周波成分及び低周波成分を抽出してもよい。
また、上記実施形態で開示した回路構成は、適宜修正して実施してもよい。例えば、微分回路32から出力される信号や積分回路33から出力される信号を増幅する必要がないならば、増幅器34a,34bを設けなくてもよい。さらに、複数の検出素子30に対してスイッチング回路を介して1つの読出し回路(微分回路32及び積分回路33等)を接続し、電荷を読み出す対象の検出素子30を上記スイッチング回路によって適宜変更しながら、各検出素子30を対象として演算部40にエネルギー値の算出等の処理を実行させてもよい。
また、上記実施形態では、計測部41及び補正部43が演算部40のプロセッサによって実現されるとした。しかしながら、計測部41、計数率算出部42、及び補正部43の全てあるいは一部を、種々の電子部品を用いて回路的に実現してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…X線CT装置、13…X線管球、14…X線検出器、15…データ収集部、22…データ記憶部、23…画像再構成部、25…画像表示部、30…検出素子、32…微分回路、33…積分回路、31,34a,34b…増幅器、35a,35b…ADコンバータ、40…演算部、41…計測部、42…計数率算出部、43…補正部、44…カウント部

Claims (5)

  1. X線を発生するX線発生部と、
    前記X線発生部にて発生して被検体を透過したX線を検出し、検出したX線に応じた信号を出力するX線検出器と、
    前記X線検出器から出力される信号の高周波成分を抽出する第1抽出部と、
    前記X線検出器から出力される信号の低周波成分を抽出する第2抽出部と、
    前記X線検出器によって検出されたX線のフォトンに対応する前記高周波成分の波高値及び前記低周波成分の波高値を計測する計測部と、
    前記計測部によって計測された前記高周波成分の波高値及び前記低周波成分の波高値に基づき、前記フォトンのエネルギー値を求める補正部と、
    前記補正部によって求められたエネルギー値が所定の条件を満たす前記フォトンをカウントするカウント部と、
    このカウント部によるカウント結果に基づいて画像を再構成する再構成部と、
    を備えていることを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
  2. 前記第1抽出部は、前記X線検出器に接続された微分回路であり、前記第2抽出部は、前記X線検出器に接続された積分回路であることを特徴とする請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  3. 単位時間当たりに前記X線検出器によって検出されるフォトン数を示す計数率を算出する計数率算出部をさらに備え、
    前記補正部は、前記計測部によって計測された前記高周波成分の波高値及び前記低周波成分の波高値と、前記計数率算出部によって算出された計数率とに基づいて前記フォトンのエネルギー値を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  4. 前記補正部は、前記高周波成分の波高値に対して前記計数率に応じた第1係数を乗じた値と、前記低周波成分の波高値に対して前記計数率に応じた第2係数を乗じた値とを加算することで、前記エネルギー値を算出することを特徴とする請求項3に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  5. 前記補正部は、前記計数率毎に前記高周波成分の波高値及び前記低周波成分の波高値の組み合わせに対するフォトンのエネルギー値を規定したテーブルを用いて、前記フォトンのエネルギー値を求めることを特徴とする請求項3に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
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