JP2013038242A - 冷却装置、およびプロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却媒体の送液ポンプの大型化や高速化をすることなく冷却能力を向上させる。
【解決手段】送液ポンプの出口流路に出口側バッファ室を設け、少なくとも送液ポンプから出口側バッファ室までは液体で満たしておく。こうすれば、送液ポンプと出口側バッファ室とによって共振系が構成されるので、共振周波数に相当する周期(あるいは整数倍の周期)で送液ポンプを駆動することで、共振を利用して高い圧力を発生させて、その圧力を用いて液体を圧送することができる。このため、出口流路側に出口側バッファ室を設けるだけで、送液ポンプの大型化や高速化を行うことなく、液体の流量を増加させて、冷却能力を向上させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体の冷却媒体を液体通路に循環させる冷却装置、および冷却装置を搭載したプロジェクターに関する。
動作中に加熱され、あるいは発熱して温度が上昇するデバイスを冷却するために、冷却通路に冷却媒体を循環させてデバイスを冷却する冷却装置が知られている。例えば、プロジェクターに搭載される固体発光光源は、電流の供給量を増やすにつれて発光量が増加するが、同時に発熱量も増加するので、大きな電流を供給した場合には冷却が必要となる。そこで、ポンプを用いて液体通路に、液体の冷却媒体(液体)を循環させることによって固体発光光源を冷却する冷却装置が提案されている(特許文献1)。
また、大きな光量を得ようとすると固体発光光源に供給する電流量が多くなり、それに伴って発熱量も大きくなるので、液体の流量を増やして冷却能力を向上させる必要が生じる。加えて、液体通路は細く(断面積が小さく)かつ長く(通路長が大きく)形成されるので、液体の流量を増やすと大きな通路抵抗が生じる。そこで、液体を循環させるためのポンプとして、振動や騒音の少ない遠心型ポンプに替えて、容積型ポンプを採用することも提案されている(特許文献2)。遠心型ポンプは、ポンプ室内で羽根を回転させた時に生じる動圧を用いて流体を加圧している関係上、出口側の圧力が高くなると流量の確保が困難となる。これに対して容積型ポンプは、ポンプ室の容積変化を用いて流体を加圧するので、出口側の圧力が高くなっても流量の確保が容易である。このため、容積型ポンプを用いた方が、液体通路を循環する液体の流量を容易に増加させることができる。
特開平8−242463号公報 特開2007−103820号公報
しかし今日では、必要とされる冷却能力が増加する傾向にあるため、より一層の液体の流量増加が望まれている。もちろん、容積型ポンプを採用した上でポンプを大型化したり、ポンプの運転速度を高くしたりすれば液体の流量を増加することができるが、ポンプの大型化は冷却装置の大型化を招くおそれがあり、また、ポンプの運転速度を高くすると振動や騒音の増加を招くおそれがあるので、何れも好ましいことではない。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、液体を循環させるポンプを大型化することなく、液体の流量を効率よく増加させることが可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の冷却装置は次の構成を採用した。すなわち、
冷却媒体である液体が流れる液体流路と、該液体流路の入口に向けて該液体を吐出させる送液ポンプとを備えた冷却装置であって、
前記送液ポンプは、
容積が変更可能なポンプ室と、
前記ポンプ室に前記液体が流入する入口流路と、
前記ポンプ室から前記液体が流出する出口流路と、
前記入口流路と前記ポンプ室との間に設けられた逆止弁と
を備えており、
前記出口流路と前記液体流路との間には、前記ポンプ室よりも大きなコンプライアンスを有する出口側バッファ室が設けられ、
前記出口流路の流路抵抗もしくはイナータンスの少なくとも一方が、前記液体流路の流路抵抗もしくはイナータンスよりも低いことを要旨とする。
こうした構成を有する本発明の冷却装置においては、液体が流れる液体流路の入口が送液ポンプの出口流路に接続され、液体流路の出口が送液ポンプの入口流路に接続されており、送液ポンプを用いて液体を循環させることによって対象物を冷却する。また、送液ポンプの出口流路と液体流路との間には、送液ポンプのポンプ室よりも大きなコンプライアンスを有する出口側バッファ室が設けられており、少なくとも、ポンプ室は、液体によって満たされた状態となっている。尚、出口側バッファ室は、送液ポンプの出口流路に直接取り付けられていても良いし、液体流路を介して出口流路に取り付けられていても構わない。
このようにすれば、ポンプ室と出口側バッファ室とは互いに連通するとともに、ポンプ室が液体で満たされた状態となるため、共振系を構成する。従って共振系の共振周波数に同期させて(すなわち、共振周波数に相当する周期あるいはその周期の整数倍の周期で)、ポンプ室の容積を増減させれば、ポンプ室内に大きな圧力振動を生じさせることができる。そして、ポンプ室の入口流路側には逆止弁が設けられているので、ポンプ室の圧力が高くなっても入口流路に液体が逆流することはなく、また、ポンプ室の圧力が低くなると入口流路から液体が供給される。その結果、圧力振動によって高くなった圧力でポンプ室から出口側バッファ室へと液体を圧送することができ、出口側バッファ室から液体通路へと流れる液体の流量も増加させることができる。このように本願発明の冷却装置では、送液ポンプの出口流路側に出口側バッファ室を設けるだけで、送液ポンプを大型化することなく、液体の流量を効率よく増加させることができ、冷却能力を向上させることが可能となる。尚、出口側バッファ室のコンプライアンスは、少なくともポンプ室のコンプライアンスよりは大きくないと十分な効果は得られず、少なくともポンプ室の数倍以上(たとえば10倍)、可能であれば100倍程度のコンプライアンスに設定することが望ましい。
また、上述した本発明の冷却装置においては、ポンプ室の容積の容積を減少させてから、ポンプ室と出口流路と出口バッファ室と液体によって決定される共振周期Tの整数倍の時点と、その時点に対して−T/2との間で、送液ポンプ室の容積を増加させるようにしてもよい。
あるいは、上述した本発明の冷却装置においては、ポンプ室内の圧力が上昇するタイミングで、ポンプ室の容積を減少させることとしてもよい。
更には、上述した本発明の冷却装置においては、ポンプ室の容積の増減の繰返し周期が、ポンプ室と出口流路と出口バッファ室と液体によって決定される共振周期Tの整数倍の時点に対して±T/4の間となるようにしてもよい。
これらのようにすれば、送液ポンプの運転によってポンプ室内に生じた圧力振動圧力振動を利用して液体を圧送することができるので、液体の流量を増加させることが可能となる。
また上述した本発明の冷却装置においては、圧電素子を用いてポンプ室の容積を変更するようにしてもよい。
圧電素子は、正電圧を印加することによって伸張し、大きな力でポンプ室を圧縮することができる。このため、出口側バッファ室内の液体が圧縮性流体として振る舞うようになり、ポンプ室と出口側バッファ室との間に共振系が形成される。その結果、ポンプ室に発生する圧力振動を利用して液体を圧送することができるので、液体の流量を増加させることが可能となる。
また、上述した本発明の冷却装置をプロジェクターに搭載しても良い。
プロジェクターの光源は大きな熱を発生するので冷却が必要となる。また、大きな光量を得ようとすると発生する熱も大きくなるので、冷却能力を向上させる必要が生じる。ここで、上述した本発明の冷却装置は小型でありながら高い冷却能力を有しているので、本発明の冷却装置を搭載すれば、小型で、光量の大きなプロジェクターを構成することが可能となる。
本実施例のプロジェクターの大まかな構成を示した説明図である。 本実施例の冷却装置の構成を示した説明図である。 本実施例の冷却装置に搭載されている送液ポンプの構造を示した説明図である。 出口側バッファ室の有無による液体の流量の違いを示す計測結果である。 出口側バッファ室の有無によるポンプ室の内部圧力の違いを示す計測結果である。 圧電素子に印加する駆動電圧の立ち上がり時間が流量に与える影響を調べた計測結果である。 圧電素子に印加する駆動電圧の駆動周期が流量に与える影響を調べた計測結果である。 圧電素子に印加した駆動電圧を立ち下げるタイミングが流量に与える影響を調べた計測結果である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.プロジェクターの構成:
B.冷却装置の構成:
C.送液ポンプの構成:
D.送液ポンプの動作:
E.出口側バッファ室の働き:
A.プロジェクターの構成 :
図1は、本実施例のプロジェクター1のおおまかな構成を示した説明図である。図示されるように、本実施例のプロジェクター1は、複数の光学部品から構成される光学系と、光学部品を冷却する冷却装置10と、図示しない電源ユニットと、図示しない制御ユニットなどが、外装筺体20の内部に収納されることによって構成されている。光学系は、光束を射出する光源22と、画像情報に応じて光変調を行う液晶ライトバルブ24と、ダイクロイックプリズム26と、投射レンズ28などから構成されている。
光源22としては、R色光を射出するR光源22Rと、G色光を射出するG光源22Gと、B色光を射出するB光源22Bの、3つの光源22R〜22Bが搭載されている。これら各色の光源22R〜22Bには、LED素子や、レーザーダイオード、有機EL素子、シリコン発光素子などの各種の固体発光素子を用いることができる。また、各色の光源22R〜22Bは、それぞれに設けられた液晶ライトバルブ24に向けて光束を射出する。
液晶ライトバルブ24は透過型の液晶パネルであり、図示しない制御装置からの駆動信号に基づいて、液晶セル内の液晶分子の配列を変化させて光を透過あるいは遮断することによって、画像情報に応じた光学像を形成する。尚、液晶セルで光を透過させたり、遮断したりする動作を「光変調」と呼ぶことがある。液晶ライトバルブ24で光変調を行う結果、光源22Rからの光束を受ける液晶ライトバルブ24RではR光学像が形成され、光源22Gからの光束を受ける液晶ライトバルブ24GではG光学像が形成され、光源22Bからの光束を受ける液晶ライトバルブ24BではB光学像が形成される。こうして得られた各色の光学像は、ダイクロイックプリズム26に向けて射出される。
ダイクロイックプリズム26は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成されたほぼ立方体形状の光学素子である。直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。誘電体多層膜は、膜厚の設定によって特定の波長の光のみを反射し、その他の光を透過する性質がある。この性質を利用して、ダイクロイックプリズム26では、液晶ライトバルブ24から射出された色光を投射レンズ28の方向に向けて反射する。それぞれの液晶ライトバルブ24R〜24Bからの色光が投射レンズ28に向けて反射される結果、各色光による光学像が合成されて、カラー画像として投射レンズ28に向けて射出される。そして投射レンズ28は、図示しないスクリーン上にカラー画像を投影することによって拡大表示する。
ここで、光源22は光を射出すると同時に発熱する。そこで、各色の光源22R〜22Bを、冷却装置10によって冷却する。尚、本実施例では、冷却装置10を用いて光源22を冷却しているが、他の部品(例えば液晶ライトバルブ24や、電源ユニットなど)を冷却してもよい。
B.冷却装置の構成 :
図2は、本実施例の冷却装置10の構成を示した説明図である。尚、図1を用いて前述したように、冷却装置10は、各色の光源22R〜22Bのそれぞれに(合計で3つ)設けられているが、何れの構成も同様であるため、以下では、1つの冷却装置10について説明する。
図示されるように本実施例の冷却装置10は、液体の冷却媒体である液体が流れる流路チューブ150や、流路チューブ150に液体を循環させる送液ポンプ100などを備えている。流路チューブ150の途中には、出口側バッファ室152や、光源22からの熱を液体に吸収させる受熱部154や、液体の熱を放熱させる放熱部156が設けられており、流路チューブ150と、出口側バッファ室152と、受熱部154と、放熱部156とによって、送液ポンプ100に液体を循環させる液体流路が構成されている。尚、図2では、冷却が流れる方向が、破線の矢印によって示されている。
受熱部154では、金属などの熱伝導率の高い材質で形成された図示しない伝熱部材に液体が接触して流れるようになっており、伝熱部材は、光源22の熱を持つ部分に接触している。このため、光源22の熱が伝熱部材を介して液体に伝達されて光源22が冷却される。放熱部156は、いわゆるラジエーターであり、内部を流れる液体の温度を、表面に形成された複数の放熱フィンから空気中に放熱する。その結果、放熱部156を通過した液体は冷やされた状態で、送液ポンプ100に還流される。
また、本実施例の冷却装置10には、放熱部156での放熱を促進するための冷却促進ユニットも搭載されている。この冷却促進ユニットは、冷却ファン160と、冷却ファン160を回転させるファンモーター162と、ファンモーター162の動作を制御するモーター制御部164と、温度センサー166などから構成されている。温度センサー166は光源22の近傍に配置されており、光源22の温度を検出して、検出した温度をモーター制御部164に出力する。モーター制御部164は、検出された温度に基づいてファンモーター162の動作を制御する。例えば、温度センサー166で検出した温度が高い場合には、ファンモーター162の回転速度を増加させることによって放熱部156での放熱を促進させる。すると、放熱部156から流出する液体の温度が低下し、より温度の低い液体が受熱部154に供給される結果、光源22の温度を下げることが可能となる。
C.送液ポンプの構成 :
図3は、本実施例の冷却装置10に搭載されている送液ポンプ100の構造を示した説明図である。図3(a)には送液ポンプ100の断面図が示されており、図3(b)には、送液ポンプ100の上面図が示されている。図3(a)に示されるように、本実施例の送液ポンプ100は、おおまかには、圧電素子ケース110と、ポンプ室ブロック120と、入口側ブロック130の3つの部分から構成されている。
このうち、圧電素子ケース110は、積層型の圧電素子114が内部に収納されており、圧電素子ケース110の底部には、ケース底板112が堅固に固定されている。圧電素子114の底部はケース底板112に接着されており、圧電素子114の上面には端板116が接着されている。また、圧電素子114は正電圧が印加されると電圧値に応じて伸張する性質を有している。そして、端板116および圧電素子ケース110は、端板116の上面と圧電素子ケース110の上面とが面位置となるように研磨加工されている。従って、圧電素子114に所定の電圧を印加して圧電素子114を伸張させた状態では、端板116の上面が圧電素子ケース110の端面に対して押し出た状態となる。
更に、端板116および圧電素子ケース110の上面には、ステンレス鋼薄板で形成された円板形状のダイアフラム118が、それぞれ端板116および圧電素子ケース110に接着される。また、ダイアフラム118の上面側(圧電素子114および圧電素子ケース110に接着されていない側)には、樹脂被膜が設けられている。
ポンプ室ブロック120は、底面側(圧電素子ケース110に向いた側)に開口する円形の浅い凹部が形成されており、凹部の中心部分は円柱状に貫通した形状となっている。底面側の凹部の内径はダイアフラム118の外径よりも小さくなっており、このため、圧電素子ケース110の上にポンプ室ブロック120を載せると、ダイアフラム118は、ポンプ室ブロック120の凹部の外側の部分と、圧電素子ケース110との間で挟まれた状態となる。この状態で、ポンプ室ブロック120は、ネジ止めなどによって圧電素子ケース110に堅固に取り付けられる。
また、ポンプ室ブロック120を圧電素子ケース110に取り付けると、ポンプ室ブロック120の底面側に形成された凹部および凹部の中央の貫通部分と、ダイアフラム118との間には、ポンプ室122が形成される。圧電素子114が伸張あるいは収縮してダイアフラム118が変形すると、ポンプ室122の容積が変化する。また、ポンプ室ブロック120の側面には出口ニップル126が立設しており、出口ニップル126の内部には出口流路128が形成されている。そして、ポンプ室122は、細管通路124を介して出口流路128に連通している。出口ニップル126には、図2に示した流路チューブ150を介して出口側バッファ室152が取り付けられる。もちろん、出口ニップル126に出口側バッファ室152を直接取り付けても良い。
入口側ブロック130は、上面側(ポンプ室ブロック120とは反対側)に開口させて円形の凹部が形成されており、凹部の中心部分には底面側(ポンプ室ブロック120と向いた側)に貫通した通路が形成されている。上面側に開口した凹部は、柔軟で且つガスバリア性の高いカバー132で覆われており、入口側ブロック130の凹部との間に入口側バッファ室134が形成されている。カバー132の材質としては、柔軟性とガスバリア性とを両立させるために、金属(例えばステンレス、アルミニウムなど)の薄膜と樹脂との複合材料や、金属膜などが望ましい。また、入口側バッファ室134からポンプ室122に連通する通路とポンプ室122との境界部分には、ステンレス鋼薄板で形成された逆止弁139が設けられている。このため、ポンプ室122の圧力が入口側バッファ室134の圧力よりも高い場合には、逆止弁139が閉じてポンプ室122から入口側バッファ室134への液体の逆流が防止され、逆に、ポンプ室122の圧力が入口側バッファ室134の圧力よりも低くなると、逆止弁139が開いて入口側バッファ室134からポンプ室122へと液体が流れ込む。また、入口側ブロック130の側面には、入口ニップル136が立設しており、入口ニップル136の内部には入口流路138が形成されており、この入口流路138は入口側バッファ室134に開口している。この入口ニップル136には、図2に示した流路チューブ150が取り付けられる。また、図3(b)には、逆止弁139の形状や、端板116の形状などが示されている。
D.送液ポンプの動作 :
図3に示した本実施例の送液ポンプ100は、次のように動作する。先ず、ポンプ室122や、入口側バッファ室134、入口流路138、細管通路124、出口流路128は全て液体で満たしておく。また、圧電素子114に電圧が印加されていない状態では、端板116は圧電素子ケース110の端面と面位置に並んだ状態となっている。そして、圧電素子114に正電圧を印加すると、圧電素子114が伸張してポンプ室122の容積が小さくなり、ポンプ室122の液体が加圧される。ここで、ポンプ室122と入口側バッファ室134との間には逆止弁139が設けられているので、ポンプ室122内の液体が入口側バッファ室134に逆流することはない。その結果、ポンプ室122の容積が減少した分の液体が、出口流路128から圧送される。
次に、圧電素子114に印加した電圧を取り除くと、圧電素子114が収縮してポンプ室122の容積が大きくなり、ポンプ室122が負圧となる。この負圧は、入口側バッファ室134にある液体(入口側の液体)をポンプ室122に吸い込む方向に作用すると同時に、出口流路128内にある液体(出口側の液体)を吸い込む方向にも作用する。しかし実際には、出口側の液体が吸い込まれることはほとんど無く、もっぱら入口側の液体が吸い込まれる。これは、出口側の流路(細管通路124および出口流路128)のイナータンスに比べて、入口側の流路(入口側バッファ室134および逆止弁139が設けられた通路部分)のイナータンスが大幅に小さいことに因る。
ここでイナータンスとは、流路の特性値であり、流路の一端に圧力が加わったことによって流路内の流体が流れようとする時の、流体の流れ易さを示している。たとえば、最も単純な場合として、断面積がSで長さがLの流路に密度ρの流体(ここでは液体とする)が満たされており、流路の一端に圧力P(正確には、両端での圧力差P)が加わったものとする。流路内の流体には圧力P×断面積Sの力が作用し、その結果、流路内の流体が流れ出す。その時の流体の加速度をaとすると、流路内の流体の質量は密度ρ×断面積S×長さLだから、運動方程式を立てて変形すると、
P=ρ×L×a ・・・(1)
が得られる。更に、流路を流れる体積流量をQ、流路を流れる流体の流速をvとすると、
Q=v×S だから、
dQ/dt=a×S ・・・(2)
が成り立つ。(2)式を(1)式に代入すると、
P=(ρ×L/S)×(dQ/dt) ・・・(3)
となる。この式は、流路内の流体についての運動方程式を、流路の一端に加わる圧力P(正確には両端での圧力差)と、dQ/dtとを用いて表した式である。(3)式は、同じ圧力Pが加わるのであれば、(ρ×L/S)が小さくなるほど、dQ/dtが大きくなる(すなわち、流速が大きく変化する)ことを表している。この(ρ×L/S)が、イナータンスと呼ばれる値である。
また、実際の流路は断面積Sが変化する。たとえば、図3に示した本実施例の送液ポンプ100では、ポンプ室122から液体が流れ出す側の流路は、細管通路124および出口流路128という内径の異なる2つの部分から構成されている。流路の内径が途中で変化している場合は、内径が一定の複数の流路に分割して、それぞれの流路のイナータンスが合成されたものとして取り扱えばよい。合成されたイナータンス(合成イナータンス)は、電気回路に設けられたコイルのインダクタンスを合成する場合と同様にして求めることができる。
図3に示した本実施例の送液ポンプ100では、ポンプ室122の出口側の流路の合成イナータンスは、細管通路124のイナータンスと出口流路128のイナータンスとを合成したイナータンスとなる。細管通路124も出口流路128も、内径が小さく且つ通路長が長いのでイナータンスが大きく、これらを合成した合成イナータンスも大きな値となる。これに対してポンプ室122の入口側の流路の合成イナータンスは、入口側バッファ室134のイナータンスと、逆止弁139が設けられた通路部分のイナータンスとを合成したイナータンスとなる。
入口側バッファ室134は内径が大きく且つ通路長が短いのでイナータンスはたいへんに小さく、逆止弁139が設けられた通路部分のイナータンスと合成した合成イナータンスも小さな値となる。このため、ポンプ室122が負圧となったときに、合成イナータンスの大きな出口側の液体はほとんど吸い込まれず、もっぱら合成イナータンスの小さな入口側の液体がポンプ室122に吸い込まれるのである。
以上の理由から、本実施例の送液ポンプ100は、圧電素子114に正電圧を印加すると、ポンプ室122の容積が小さくなってポンプ室122内の液体が出口流路128から流出し、圧電素子114に印加した正電圧を除去すると、ポンプ室122の容積が大きくなって入口側バッファ室134内の液体がポンプ室122に流入する。このことから明らかなように、送液ポンプ100が圧送する液体の流量は、圧電素子114に正電圧を印加した回数と、圧電素子114に印加した電圧値とによって決定される。ところが、図2に示したように、送液ポンプ100の出口側に、出口側バッファ室152を設けることによって、送液ポンプ100の能力が大幅に向上することが見いだされた。
E.出口側バッファ室の働き :
図4は、ある条件で圧電素子114を駆動したときに送液ポンプ100が吐出した液体の流量を計測した結果を示した説明図である。ここで、図4(a)は、圧電素子114に印加した電圧振幅に対する流量の計測結果であり、図4(b)は、出口側バッファ室とポンプ室との容積比に対する流量の計測結果である。図示した例では、出口側バッファ室152を設けることによって、液体の吐出流量が2倍以上に増加している。そこで、出口側バッファ室152がある場合と無い場合とで、ポンプ室122の内部圧力を計測した。
図5は、出口側バッファ室152がある場合と無い場合とで、ポンプ室122の内部圧力を計測した結果を示した説明図である。図5(a)には、計測に際して圧電素子114に印加した駆動電圧の波形が示されている。図示するように、ステップ状に電圧が増加してその電圧を維持するような波形の駆動電圧を圧電素子114に印加した。図5(b)には、出口側バッファ室152が無い場合に得られたポンプ室122の内部圧力の計測結果が示されており、図5(c)には、出口側バッファ室152がある場合に得られた計測結果が示されている。
図5(b)に示されるように、出口側バッファ室152が無い場合のポンプ室122の内部圧力は、駆動電圧の立ち上がりと同時に急激に増加する。そして、ポンプ室122内の液体が出口流路128から流出するに伴って低下する。ここで、出口流路128に接続された流路チューブ150は長く、内径も小さいので、出口側の流路(細管通路124および出口流路128)に対して大きな流路抵抗を有している。このため、ポンプ室122内の液体は一度に流出することができず徐々に流出するので、ポンプ室122の内部圧力も徐々に低下する。これにより、圧電素子114に正電圧を印加することによってポンプ室122の容積が減少した分の液体が、出口流路128を流れきるまでに時間がかかり、この間は、圧電素子114に印加した正電圧を除去しない限り、入口側バッファ室134内の液体がポンプ室122に流入しない。流量を増加させるために駆動周波数(駆動サイクル)を高くする場合、ポンプ室122の内部圧力が残った状態で圧電素子114に印加した正電圧を除去することで強制的に入口側バッファ室134内の液体をポンプ室122に流入させているが、非常に効率が悪い。
一方、図5(c)に示されるように、出口側バッファ室152がある場合のポンプ室122の内部圧力には、明確な圧力振動が生じている。出口側バッファ室152を設けたことでこのような圧力振動が生じる原因として、当初は、ポンプ室122と出口側バッファ室152との間で音速の圧力波が往復しているためではないかと考えられた。しかし実際に検討してみると、図5(c)に示すように圧力振動の周期は約0.4msecであり、圧力波が往復する周期よりも十分に長いので、これが原因であるとは考えにくい。
また、ポンプ室122の内部圧力が急激に増加した後に圧力が低下する速さに注目すると、図5(c)では、図5(b)に比べて圧力の低下が明らかに速くなっている。これは、出口側バッファ室152を設けたことでポンプ室122内の液体が流出し易くなったことを意味している。そして、このことは、ポンプ室122内の液体が、通路抵抗の大きな流路チューブ150内を流れる前に一旦、出口側バッファ室152で蓄えられたことを示唆している。液体が非圧縮性流体であれば、流路チューブ150から流れ出る前に出口側バッファ室152に一旦蓄えられることは起こり得ないから、液体が、あたかも気体のような圧縮性流体として振る舞っていることになる。そして、液体が圧縮性流体として振る舞うのであれば、ポンプ室122と出口側バッファ室152との間の流路とポンプ室122とが共振系を形成し、あるいはその流路と出口側バッファ室152(更には、ポンプ室122および出口側バッファ室152)とが共振系を形成すると考えられ、この共振系の共振周期は、図5(c)に示した圧力振動の周期と同じオーダーまで長くなる。更に、本実施例では、液体を圧電素子114で圧縮しており、しかも、ポンプ室122は液体で満たされているので、圧電素子114で圧縮されるとポンプ室122の内部圧力はたいへんに高くなる。このようにたいへんに高い圧力下では、液体であっても圧縮性流体として振る舞うことは起こり得る。従って、図4に示したように送液ポンプ100の流量が増加した理由は、以下のように説明することができる。
送液ポンプ100の下流側に出口側バッファ室152を設けたことで、ポンプ室122との間に共振系が形成される。ポンプ室122から見ると、この共振系の共振周波数付近では出口側バッファ室152より下流の流路抵抗は殆ど無視されるため、ポンプ室122の内部圧力が急激に増加した直後にもかかわらず、ポンプ室122の内部圧力が急激に低下し、ポンプ室122内の液体が出口側バッファ室152で蓄えられる。このため、圧電素子114に印加した正電圧を除去しなくても、ポンプ室122の内部圧力を負圧となり、入口側バッファ室134内の液体をポンプ室122に流入させることが可能となる。また、その後も圧力振動が残るので、一度の駆動サイクルでポンプ室122を何回も負圧にすることも可能である。
また、図4(b)が示すように、出口側バッファ室の容積が大きいほど、液体の流量が増加している。この理由については次のように説明することができる。ポンプ室122と出口側バッファ室152と、それらの間の流路とで形成される共振系の共振周期Tは、以下の式で表すことができる。
T=2π(MC)1/2 ・・・(4)
C=1/{(1/C1)+(1/C2)} ・・・(5)
ここで、C1はポンプ室122のコンプライアンス、C2は出口側バッファ室152のコンプライアンス(Cはポンプ室122と出口側バッファ室152との合成コンプライアンス)、Mはポンプ室122と出口側バッファ室152との間の流路のイナータンスである。ここでコンプライアンスとは、流路内に圧力が加わったことによる流体の圧縮もしくは流路の膨張のし易さを示しており、たとえば流路が金属などの剛体である場合は、流路の容積と流体の圧縮率との積で表され、そうでない場合は、流路の容積と流路の膨張率との積で表される。
図5(c)に示す圧力振動は、ポンプ室122と出口側バッファ室152との間の流路の流路抵抗によって減衰するため、ポンプ室122の内部圧力が負圧となる回数に限りがある。つまり、ポンプ室122が負圧となる期間、つまり、入口側バッファ室134からポンプ室122に液体が供給される期間(特に最初の負圧期間)が長いほど流量が多くなるので、共振周期を長く設定するほうが良い。このためには、(4)式に示す合成コンプライアンスをなるべく大きく設定すればよく、(5)式に示すポンプ室122か出口側バッファ室152の少なくとも一方の容積(コンプライアンス)が大きくなるように設定すれば良い。しかし、ポンプ室122の容積を大きく設定すると、そのポンプ室122の容積に対して、圧電素子114に正電圧を印加することによってポンプ室122の容積が減少した分の液体の体積の割合が小さくなるので、ポンプ室122の内部圧力の増加幅が小さくなってしまう。よって、出口側バッファ室152の容積(コンプライアンス)は、ポンプ室122の容積(コンプライアンス)の数倍以上(たとえば10倍)、可能であれば100倍程度のコンプライアンスとなるように設定することで、送液ポンプ100の能力を向上させることが可能となる。尚、出口側バッファ室152としてポンプ室122の100倍以上のコンプライアンスを構成するために、たとえば、伸縮性のある材料(樹脂など)や形状(ベローズ、薄膜など)を用いる他、出口側バッファ室152内に圧縮率の高い空気を混在させてもよく、こうすれば、比較的小型に出口側バッファ室152を実現することができる。
次に、圧電素子114に印加する駆動電圧について調べてみた。図6は、駆動電圧の立ち上がり(ポンプ室122の容積が減少する)時間に対して、送液ポンプ100が吐出した液体の流量を計測した結果を示した説明図である。図示するように、駆動電圧の立ち上がり時間は、0.4msecよりも短くなると急激に流量が増加し、0.2msecを下回るようになると次第に流量の増加率が低下する。そして、0.1msec程度まで短くなると、流量がほぼ飽和する。よって、駆動電圧の立ち上がり時間は、0.2msec以下の時間に設定すると良く、最良には0.1msec以下に設定することが望ましい。ここで、本実施例における送液ポンプ100の共振周期は凡そ0.4msecであるので、言い換えれば、駆動電圧の立ち上がり時間は共振周期の2分の1以下の時間に設定すると良く、最良には共振周期の4分の1以下に設定することが望ましい。
図7は、圧電素子114にパルス状の駆動電圧を印加して、駆動周期が流量に与える影響を調べた計測結果である。図7(a)に示されるように、パルス幅が約0.2msecの駆動電圧を1回だけ圧電素子114に印加すると、ポンプ室122の内部圧力には、図7(b)に示したような圧力振動が発生する。そこで、次に駆動電圧を印加するまでの経過時間を種々に変更して、その時に送液ポンプ100が吐出する液体の流量を計測した。たとえば、図7(c)中にAと表示した駆動電圧は、1回目の駆動電圧の印加後から約0.8msecが経過した時点で印加した場合の駆動電圧である。図7(b)と比較すると、この駆動電圧は、ポンプ室122の圧力振動が上昇するタイミングで印加されていることが分かる。また、図7(c)中にBと表示した駆動電圧は、ポンプ室122の圧力振動が下降するタイミングで印加されていることになる。このようにポンプ室122の圧力振動を基準として、圧電素子114に駆動電圧を印加するタイミングを変更したときの流量を計測したところ、図7(d)に示す結果が得られた。
すなわち、図7(c)中にAと表示したタイミングのように、ポンプ室122の圧力振動が上昇するタイミングで駆動電圧を印加すると流量が増加し、逆に、図7(c)中のBのように圧力振動が下降するタイミングで駆動電圧を印加すると流量が減少する。また、たとえば経過時間が約0.4msecの場合と、約0.8msecの場合とを比較すれば明らかなように、圧力振動が同じように上昇するタイミングでも(図7(b)を参照)、圧力振動が減衰したタイミングでは流量の増加も小さくなる。
前述したように圧電素子114は、正電圧の駆動電圧が印加されると伸張してポンプ室122を圧縮する。従って、図7(d)に示した計測結果は、駆動信号を印加したタイミングが、ポンプ室122内の圧力振動を強めるタイミングであれば流量が増加し、圧力振動を弱めるタイミングであれば流量が減少することを示していると考えられる。具体的には、図7(d)の斜線部に示すように、駆動信号の駆動周期を、本実施例における送液ポンプ100の共振周期Tの整数倍の時点に対して±T/8の間となるように設定すると良い。
また、圧電素子114に印加した駆動電圧を取り除くと、圧縮されていたポンプ室122が元に戻るので、ポンプ室122に負圧が発生する。従って、ポンプ室122の圧力振動を強めるタイミングで駆動電圧を立ち下げることによっても、送液ポンプ100が圧送する流量を増加させることが可能と考えられる。そこで、圧電素子114に印加する駆動電圧を立ち下げるタイミングの影響も調べてみた。
図8は、圧電素子114に印加した駆動電圧を立ち下げるタイミングが流量に与える影響を調べた計測結果である。図8(a)に示したようにステップ状の駆動電圧を圧電素子114に印加すると、ポンプ室122の内部圧力には図8(b)に示した圧力振動が発生する。そこで、駆動電圧を立ち下げるまでの経過時間を種々に変更して、その時に送液ポンプ100が圧送する液体の流量を計測した。たとえば、図8(c)中にAと表示した駆動電圧は、印加後から約0.3msecが経過した時点で立ち下げた場合の駆動電圧である。また、図8(c)中にBと表示した駆動電圧は、約0.5msecが経過した時点で立ち下げた場合の駆動電圧である。このように、駆動電圧を立ち下げるタイミングが異なる種々の駆動電圧で流量を計測したところ、図8(d)に示す結果が得られた。
図8(c)中のAの駆動電圧のように、ポンプ室122の圧力振動が「山」になるタイミングで電圧が立ち下がるような駆動電圧を印加すると流量が減少する。また、図8(c)中のBの駆動電圧のように、圧力振動が「谷」になるタイミングで電圧が立ち下がるような駆動電圧を印加すると流量が増加する。このことから、駆動電圧を立ち下げるタイミングについても、ポンプ室122内の圧力振動を強めるタイミングで駆動電圧を立ち下げると流量が増加し、圧力振動を弱めるタイミングで駆動電圧を立ち下げると流量が減少することが分かる。最良には、図8(d)の斜線部に示すように、駆動電圧を立ち上げてから、本実施例における送液ポンプ100の共振周期Tに対してT/4からTまでの間で立ち下げるように設定すると良い。
尚、圧電素子114に印加する駆動電圧としてパルス状の波形で説明してきたが、これに限られることは無く、たとえば正弦波のような駆動電圧の波形を用いてもよい。この場合、これまでの結果から、正弦波の波形周期成分は本実施例における送液ポンプ100の共振周期Tに対してT/2からTまでの間に設定すると良い。
以上に説明したように、送液ポンプ100の出口側に、出口側バッファ室152を設けると送液ポンプ100のポンプ室122との間で共振系が形成されて、ポンプ室122内に圧力振動が発生する。この圧力振動の周期は、流路内で圧力波が往復する周期に比べて、十分に長い周期となる。そして、この圧力振動を強めるような周期で駆動電圧を印加したり、あるいはこの圧力振動を強めるようなタイミングで駆動電圧を立ち下げたりすると、送液ポンプ100の流量を増加させることができる。また、駆動周期や駆動電圧の立ち下がりタイミングなどの条件を調整してやれば、出口側バッファ室152を設けない場合に比べて、流量が2倍以上に増加するという顕著な効果が得られることが確認されている。
また、常識的には圧縮性を有しないと考えられる液体を吐出させているにも拘わらず、このように圧縮性に基づく共振系が形成されるのは、ポンプ室122が液体で満たされており、且つ、ポンプ室122を圧電素子114で圧縮しているために、非常に高い圧力が液体に加わるためと考えられる。そして、アクチュエーターとして圧電素子114を用いているため、共振系の共振周波数に相当する高い周波数で駆動することが可能であり、このため送液ポンプ100の流量を大幅に増加させることが可能になったものと考えられる。
尚、送液ポンプ100のアクチュエーターは圧電素子114を用いたものに限らず、圧電素子114と同じ程度に高い圧力を発生させることが可能であり、且つ、圧電素子114と同じ程度に高い周波数で駆動することが可能であれば、どのようなアクチュエーターを用いた場合でも同様な効果を得ることが可能である。もっとも、圧電素子114を用いれば、アクチュエーターを構造が単純で且つ小さなアクチュエーターとすることができるので好ましい。
以上、出口側バッファ室152を備えた本実施例の冷却装置10、および冷却装置10を搭載したプロジェクター1について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。たとえば、本実施例の冷却装置10を用いて冷却する対象は、プロジェクター1の光源22に限らず、動作中に熱を持つ種々の電子部品(たとえばCPU)などとすることができる。また、本実施例のように送液ポンプ100の出口流路側に出力側バッファ室152を設けるだけで良く、必ずしも液体を循環させる必要は無い。
1…プロジェクター、 10…冷却装置、 20…外装筺体、
22…光源、 24…液晶ライトバルブ、 26…ダイクロイックプリズム、
28…投射レンズ、 100…送液ポンプ、 110…圧電素子ケース、
112…ケース底板、 114…圧電素子、 116…端板、
118…ダイアフラム、 120…ポンプ室ブロック、 122…ポンプ室、
124…細管通路、 126…出口ニップル、 128…出口流路、
130…入口側ブロック、 132…カバー、 134…入口側バッファ室、
136…入口ニップル、 138…入口流路、 139…逆止弁、
150…流路チューブ、 152…出口側バッファ室、 154…受熱部、
156…放熱部、 160…冷却ファン、 162…ファンモーター、
164…モーター制御部、 166…温度センサー

Claims (6)

  1. 冷却媒体である液体が流れる液体流路と、該液体流路の入口に向けて該液体を吐出させる送液ポンプとを備えた冷却装置であって、
    前記送液ポンプは、
    容積が変更可能なポンプ室と、
    前記ポンプ室に前記液体が流入する入口流路と、
    前記ポンプ室から前記液体が流出する出口流路と、
    前記入口流路と前記ポンプ室との間に設けられた逆止弁と
    を備えており、
    前記出口流路と前記液体流路との間には、前記ポンプ室よりも大きなコンプライアンスを有する出口バッファ室が設けられ、
    前記出口流路の流路抵抗もしくはイナータンスの少なくとも一方が、前記液体流路のそれよりも低いことを特徴とする冷却装置。
  2. 前記送液ポンプは、前記ポンプ室の容積の容積を減少させてから、前記ポンプ室と前記出口流路と前記出口バッファ室と前記液体によって決定される共振周期Tの整数倍の時点とその時点に対して−T/2との間で該送液ポンプ室の容積を増加させることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記送液ポンプは、前記ポンプ室内の圧力が上昇するタイミングで該ポンプ室の容積を減少させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
  4. 前記送液ポンプは、前記ポンプ室の容積の増減の繰返し周期が、前記ポンプ室と前記出口流路と前記出口バッファ室と前記液体によって決定される共振周期Tの整数倍の時点に対して±T/4の間であることを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
  5. 請求項1ないし請求項4に記載の冷却装置であって、
    前記送液ポンプは、圧電素子を用いて前記ポンプ室の容積を変更するポンプであることを特徴とする冷却装置。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか一項の冷却装置を備えるプロジェクター。
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