JP2005229038A - 液冷システム及びそれを備えた電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】その構成から小型化が容易で静音特性にも優れた循環ポンプを含む冷却システムを備えたノート型パーソナルコンピュータを含む電子機器を提供する。
【解決手段】筐体内に、冷却を必要とするCPUを搭載し、このCPUを冷却する液冷システムは、冷却ジャケットと、ラジエータと、循環ポンプとを備えており、この循環ポンプは、シリンダ室715内に一体に組み込まれた、磁石からなる可動子716、又は、圧電素子からなるダイアフラムによりポンプ作用を行なう構造である。
【選択図】図1
【解決手段】筐体内に、冷却を必要とするCPUを搭載し、このCPUを冷却する液冷システムは、冷却ジャケットと、ラジエータと、循環ポンプとを備えており、この循環ポンプは、シリンダ室715内に一体に組み込まれた、磁石からなる可動子716、又は、圧電素子からなるダイアフラムによりポンプ作用を行なう構造である。
【選択図】図1
Description
本発明は、デスクトップ型やノート型と呼ばれるパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器であって、特に、その内部に搭載した発熱素子である半導体集積回路素子を液体冷媒により効率的に冷却することが可能な液冷システムを備えた電子機器に関する。
デスクトップ型やノート型と呼ばれるパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器における発熱体である半導体集積回路素子、特に、CPU(Central Processing Unit)に代表される発熱素子の冷却は、通常、その正常な動作を確保するために冷却を必要とする。そのため、従来、一般的には、ヒートシンクと呼ばれるフィンを一体に形成した伝熱体と、それに冷却風を送るファンとを用いることによってその冷却を実現されていた。しかしながら、近年、上記発熱素子である半導体集積回路素子の小型化及び高集積化は、発熱素子における発熱部位の局所化などを生じており、そのためにも、従来の空冷式の冷却システムに代えて、例えば水等の冷媒を用いた冷却効率の高い液冷式の冷却システムが注目されてきている。
すなわち、上記デスクトップ型やノート型と呼ばれるパーソナルコンピュータやサーバ等において用いられる冷却効率の高い液冷式の冷却システムは、例えば、以下の特許文献等によっても知られるように、一般に、発熱体であるCPUの表面に、所謂、受熱(冷却)ジャケットと呼ばれる部材を直接に搭載し、一方、この受熱ジャケットの内部に形成された流路内に液状の冷媒を通流させ、CPUからの発熱を上記ジャケット内を流れる冷媒に伝達し、もって、発熱体を高効率で冷却するものである。なお、かかる液冷式の冷却システムでは、通常、上記冷却ジャケットを受熱部とするヒートサイクルが形成されており、具体的には、上記液体冷媒をサイクル内に循環させるための循環ポンプ、上記液体冷媒の熱を外部に放熱するための放熱部である、所謂、ラジエータ、さらには、必要に応じてサイクルの一部に設けられた冷媒タンクを備えており、そして、これらを金属製のチューブや、例えば、ゴムなどの弾性体からなるチューブを介して接続して構成されている。
ところで、上記従来技術になる冷却システムでは、一般的に、その熱サイクルの一部に設けられて液体冷媒を駆動するための循環ポンプとしては、通常、比較的多量の流量が得られ、接触による騒音が少ない等の理由により、所謂、遠心ポンプが広く利用されている。なお、かかる遠心ポンプを利用した循環ポンプでは、その他の形式のポンプを利用した場合においても同様であるが、かかるポンプを回転駆動するための電動機を、別途、設ける必要があり、そのため、循環ポンプ全体の大きさが比較的大きなものとなってしまっていた。
また、その一方において、近年では、デスクトップ型と呼ばれるパーソナルコンピュータやサーバ等を含めた電子機器は勿論のこと、その可搬性を向上するため、特に、ノート型パーソナルコンピュータでは、益々、その小型化に対する要求が高まっており、そのため、上述した従来技術になる循環ポンプでは、必ずしもかかる要求に対応することは困難な情況となって来ている。加えて、更には、かかる電子機器の動作時における低騒音化に対する要求も高まっている。
そこで、本発明では、上述した従来技術における問題点に鑑み、その小型化が可能であり、機器の動作時における低騒音化にも有効な、新たな形式の循環ポンプを備え、上記デスクトップ型やノート型と呼ばれるパーソナルコンピュータやサーバ等において用いられるに適した冷却システム、更には、かかるシステムを備えた電子機器を提供することを目的とする。
本発明によれば、上述した目的を達成するため、まず、筐体内に、発熱する半導体素子であって、その正常な動作を確保するために冷却を必要とする素子を搭載した電子機器であって、当該筐体内又はその一部に、少なくとも以下のものを備えた液冷システムを備えており:半導体素子に熱的に接続され、その発熱を内部に通流する液体冷媒に伝達するための冷却ジャケットと;前記冷却ジャケットにおいて液体冷媒に伝達された熱を機器の外部へ放出するラジエータと;そして、前記冷却ジャケットと前記ラジエータとを含むループに前記液体冷媒を循環するための循環ポンプ、そして、かかる構成において、前記循環ポンプを、供給される駆動電力に応じて移動する可動部の往復運動によって前記液体冷媒を吸入・圧縮して循環駆動するダイアフラム式ポンプにより構成した液冷システムを備えた電子機器が提供されている。
また、本発明によれば、前記に記載した電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプは、前記可動部の一方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えており、更には、前記可動部の他方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えてもよい。そして、上記の電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプの吸込口及び吐出口を、それぞれ、前記可動部の両表面からその流路長がほぼ等しくなる位置に配置することが好ましい。
そして、本発明によれば、上記の何れかに記載した電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプの前記可動部を、交互に極性を変化する固定子の内部に摺動可能に取り付けて構成し、又は、圧電素子から構成してもよい。
加えて、本発明によれば、やはり上述した目的を達成するため、発熱する半導体素子を冷却を必要とするための液冷システムであって:半導体素子に熱的に接続され、その発熱を内部に通流する液体冷媒に伝達するための冷却ジャケットと;前記冷却ジャケットにおいて液体冷媒に伝達された熱を機器の外部へ放出するラジエータと;そして、前記冷却ジャケットと前記ラジエータとを含むループに前記液体冷媒を循環するための循環ポンプ、そして、かかる構成において、前記循環ポンプを、供給される駆動電力に応じて移動する可動部の往復運動によって前記液体冷媒を吸入・圧縮して循環駆動するダイアフラム式ポンプにより構成した液冷システムを備えた液冷システムが提供されている。
また、本発明によれば、前記に記載した液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプは、前記可動部の一方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えており、更には、前記可動部の他方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えてもよい。そして、上記の液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプの吸込口及び吐出口を、それぞれ、前記可動部の両表面からその流路長がほぼ等しくなる位置に配置することが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記の何れかに記載した液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプの前記可動部を、交互に極性を変化する固定子の内部に摺動可能に取り付けて構成し、又は、圧電素子から構成してもよい。
すなわち、上述の本発明によれば、特に、その構成から小型化が容易であり、ノート型やデスクトップ型と呼ばれるパーソナルコンピュータやサーバ等において用いられるに適した、かつ、静音特性にも優れた液冷システムを提供し、更には、かかる冷却システムを備えた電子機器を提供することが可能となるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を用いて詳細に説明する。
まず、添付の図2は、本発明の一実施の形態になる、液冷システムを備えた電子機器の全体構成の一例が示されている。なお、本例では、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータの本体部分に本発明を適用した場合について示している。
まず、デスクトップ型のパーソナルコンピュータの本体部分は、図示のように、例えば、金属板を立方形状に形成してなる筐体100を備えており、その前面パネル部101には、電源スイッチを含む各種のスイッチや接続端子やインジケータランプなどが設けられており、また、その内部には、フロッピー(登録商標)ディスクやCD、DVD等の各種の外部情報記録媒体を駆動するドライバ装置102が、上記前面パネル部101に開口するように配置されている。また、図中の符号103は、上記筐体100内に設けられた、例えば、ハードディスク装置からなる記憶部を示している。またう、図中の参照符号104は、上記筐体100の上に被せられる蓋を示している。
一方、上記筐体100の背面側には、本発明になる液冷システムを備えた電子回路部105が配置されており、また、図中の符号106は、商用電源から上記ドライバ装置102、記憶部103、電子回路部105を含む各部に所望の電源を供給するための電源部を示している。
次に、添付の図3には、上記にその概略構成を説明した電子装置、すなわち、デスクトップ型のパーソナルコンピュータにおける電子回路部105が、特に、その主要な構成部である発熱素子、即ち、CPUを搭載する受熱ジャケット50を中心として示されている。なお、本例では、上記発熱素子であるCPUのチップ200は、上記受熱ジャケット50の下面側に直接接触されて搭載されており、そのため、ここでは図示されていない。
そして、この電子回路部105は、図からも明らかなように、上記CPUを搭載する受熱(冷却)ジャケット50と、上記CPUからの発熱を装置の外部へ放熱するラジエータ部60と、循環ポンプ70とを備えており、さらに、これらにより熱サイクルを構成する各部に液体冷媒(例えば、水、又は、プロピレングリコール等、所謂、不凍液を所定の割合で混合した水など)を通流するための流路が、例えば、金属から形成され、又は、ゴム等の弾性体から形成され、かつ、その表面に金属被膜等を施してなる、内部の液体冷媒が外部へ漏洩し難いチューブ(配管)81、82、84を接続することによって形成されている。また、上記ラジエータ部60の一部には、その構成要素である多数のフィン61に送風し、もって、上記受熱ジャケット50から搬送された熱を強制的に放熱するための平板状のファン62、62…(本例では、複数、例えば3個)が、装置の外部に向かって取り付けられている。なお、この受熱(冷却)ジャケット50とは、例えば、銅等の伝熱性の高い金属からなる板状部材の内部に冷却通路を形成し、その通路内に上記の液体冷媒を通流し、もって、CPUからの発熱を外部へ取り除く(移動)させるものである。
続いて、添付の図1には、上記した循環ポンプ70の内部構成の詳細が、その断面により示されている。なお、この循環ポンプ70は、所謂、ダイアフラム式ポンプであり、特に、その中でもシリンダ式と呼ばれる形式のものである。すなわち、このダイアフラム式の循環ポンプ70は、本体部を構成する部材710の上下の面に、上面板と下面板711と、712とが取り付けられており、これら上面板と下面板との間の中央部には、コイル713、713をその内部に巻装して略円筒形に形成した固定子(ボビン)714をその内部に組み込んでなるシリンダ室715が、表面から離れた状態で配置されている。また、このシリンダ室715の内部には、上記固定子14のコイル713に対向し、その内周面上を摺動可能な状態で、可動子716が取り付けられている。なお、この可動子716は、例えば、磁石(マグネット)により、その外形を円板状に形成されたものである。また、上記の固定子714は、図にも明らかなように、その回転軸方向(図の上下方向)に2つに分割されて、それぞれにコイル713、713を巻き回して形成されている。すなわち、これら2つに分割されたコイル713、713は、供給される励磁電力(例えば、交流電力)に従って、交互に上下に変化する磁界を発生し、もって、上記可動子716を図の矢印に示す方向に移動する。なお、駆動励磁電力の周波数としては、数十から100Hz程度が好ましい。
さらに、上記固定子714の上下の壁面には、ポンプ室(上記シリンダ室715の内壁面と上記可動子716の表面とにより形成される)に対して液体冷媒を導入又は排出するための一対の、外形が略円錐状のバルブ717−1と717−2、718−1と718−2が、それぞれ、設けられている。また、上記本体部材710の外周部には、上記循環ポンプの吸入口719と、その吐出口720とがそれぞれ形成されており、その内部においては、前記シリンダ室715の外周面との間に、それぞれ、バッファ室721、722を形成している。
そして、以上にも説明したように、上記にその内部構成を説明した循環ポンプ70によれば、ポンプ作用を行なう部品:即ち、その駆動部を構成する部品であり、内周にコイル713、713を巻装した固定子714と共に、これにより駆動されて上下に移動する可動部を構成する部品である、即ち、上記可動子716とは、一体に形成されている。すなわち、例えば、上記の従来技術になるように、それぞれ別個に構成されたポンプ部とこれを回転駆動する電動機とを、その回転軸を介して一体にした構成に比較しても、上記の循環ポンプ70では、ポンプ作用を行なうポンプ部とその駆動部とがその一方の内部に一体的に形成されることから、その小型化を実現し易い構造となっていることが分かる。また、その動作においては、可動子716が上下に短い距離を移動するだけであることから、その静音特性にも優れている。
続いて、上記にその内部構成を説明した循環ポンプ70の動作について、添付の図4(a)及び(b)を参照しながら、以下に詳細に説明する。図4(a)には、上記固定子コイル713の励磁によって可動子716が上方に移動した状態が示されており、また、この可動子716の周囲にはリングシール723が嵌入されており、これにより、上記可動子716の上下に形成されたポンプ室P1とP2とがシールされている。この状態では、上記可動子716の両側に形成された一対のポンプ室のうち、上方のポンプ室P1が正圧となり、他方、下方のポンプ室P2が負圧となる。これにより、上方のポンプ室P1に設けられた一方のバルブ717−1は開放し、他方のバルブ717−2は閉止する。すなわち、図中に矢印で示すように、上方のポンプ室内に導入された液体冷媒は、この上方のポンプ室P1で圧縮され、上記バルブ717−1を介してポンプ室の外部へ排出され、バッファ室722を介して循環ポンプ70の吐出口720から、例えば、上記受熱(冷却)ジャケット50へ向かって送出される。なお、この時、負圧となった下方のポンプ室P2には、図にも示すように、開放した他方のバルブ718−2を介して、例えば、上記ラジエータ60からの液体冷媒が吸入口719を介して導入される。
一方、上記とは逆に、図4(b)には、上記固定子コイル713の励磁によって可動子716が下方に移動した状態が示されている。この状態では、上記可動子716の両側に形成された一対のポンプ室のうち、下方のポンプ室P2が正圧となり、他方、上方のポンプ室P1が負圧となる。これにより、下方のポンプ室に設けられた一方のバルブ718−1は開放し、他方のバルブ718−2は閉止する。すなわち、図中に矢印で示すように、下方のポンプ室P2内に導入された液体冷媒は、この下方のポンプ室で圧縮され、上記バルブ718−1を介してポンプ室の外部へ排出され、バッファ室722を介して循環ポンプ70の吐出口720から、例えば、上記受熱(冷却)ジャケット50へ向かって送出される。なお、同時に、負圧となった上方のポンプ室P1には、図にも示すように、開放した他方のバルブ717−2を介して、例えば、上記ラジエータ60からの液体冷媒が導入されることとなる。
続いて、添付の図5〜図7を参照しながら、本発明の他の実施例として、その小型化が強く要望される電子機器に適用する場合に好適な液冷システムについて、特に、ノート型のパーソナルコンピュータに適用した一例について、以下に詳細に説明する。
まず、図5には、パーソナルコンピュータ本体300と共に、例えば、ヒンジ機構によって当該本体300に対して自在に開閉可能に取り付けられた蓋体350とから構成される、一般的なノート型と呼ばれるパーソナルコンピュータの構成が示されている。なお、この図においては、本体側は、その内部を示すため、通常はその表面に取り付けられているキーボード部を取り外した状態で示されている。また、小型・軽量で可搬であることが要求される、かかるノート型のパーソナルコンピュータでは、上記に示したデスクトップ型のパーソナルコンピュータとは異なり、通常、蓋体350の内側面に取り付けられた液晶ディスプレイ351の裏側に、金属板352を配置し、その表面に金属製の配管353を蛇行して這い回してラジエータ部60’が形成されている。なお、上記のラジエータ部60’を含めて、上記受熱(冷却)ジャケット50や循環ポンプ70’と共に熱サイクルを構成して冷却システムを形成し、かつ、その熱サイクルを構成する各部に液体冷媒(例えば、水、又は、プロピレングリコール等の、所謂、不凍液を所定の割合で混合した水など)を通流するための流路が形成されることは、上記と同様である。
この図5に示す例でも、上記本体300の底部に配置された配線基板210上には、発熱素子であるCPU200が搭載されており、その上面には受熱ジャケット50’が互いに面接触した状態で取り付けられている(例えば、ネジ等により固定する)。また、これら熱サイクルを構成する各部の間の流路としては、やはり上記と同様に、金属から形成され、内部の液体冷媒が外部へ漏洩し難いチューブ(配管)81によって接続されている。なお、図中の符号84は、上記本体300と蓋体350との間を連結するためのヒンジパイプを示している。
次に、図6には、上記循環ポンプ70’の外観が、そして、図7には、その断面構造が示されている。なお、これの図においても、上記図1に示したと同じ参照符号は、やはり、同様の構成部材を示している。なお、上記の図6において、参照符号730は、上記循環ポンプ70’を上記パーソナルコンピュータ本体300の一部に固定するための固定部を示しており、例えば、ネジ等を利用して所定の位置に設置されることとなる。
また、上記の図7からも明らかなように、この循環ポンプ70’も、上記図1にその内部構造を示した循環ポンプ70と同様に、本体部を構成する部材710の上下の面に、上面板と下面板711と、712とが取り付けられており、これら上面板と下面板との間の中央部には、略円筒形に形成されたシリンダ室715が、表面から離れた状態で配置されている。
一方、本実施例では、上記のシリンダ室715の内部には、上述した磁石(マグネット)により円板状に形成された可動子716に代えて、例えば、円板状のピエゾ素子等、圧電(電歪)素子を、例えば、プラスチックやゴム等の弾性体によりその周囲を被覆して構成されたダイアフラム716’が、その上下に一対のポンプ室P1、P2を形成するように配置されている。なお、図中の符号741は、上記ダイアフラム716’を上下に液密にシリンダ室715内に固定するためのオーリングを示している。更に、上記上面板711と下面板712の一部には凹部742、742…が形成されると共に、上記本体部を構成する部材710との間には、それぞれ、やはり、プラスチックやゴム等の弾性体からなる柔軟シート743、743を挟み込み、もって、上記シリンダ715の外周部にバッファ室744、744を形成している。すなわち、上記した循環ポンプ70’の構造によれば、励磁電力を供給することにより、上記圧電(電歪)素子からなるダイアフラム716’に変形を生起させてその円板面を上下に移動させ、もって、ポンプ作用を達成するものである。なお、この場合には、その駆動励磁電力の周波数としては、100Hz程度又はそれ以上の、比較的高速の周波数によってダイアフラム716’を駆動することが可能である。
そして、以上からも明らかなように、上記にその内部構成を説明した循環ポンプ70’においても、そのポンプ作用を行なう可動部品である、上記圧電(電歪)素子からなるダイアフラム716’が上記シリンダ室715内に一体に構成されていることから、その小型化を実現し易い構造となっており、特に、小型・軽量で可搬であることが要求されるノート型のパーソナルコンピュータに採用するに適している。また、その動作においては、ダイアフラム716’が上下方向に変形するだけであり、摺動部分もないことから、特に、その静音特性において優れている。
なお、上記にその内部構成を説明した循環ポンプ70’のポンプ動作について、添付の図8(a)及び(b)に示すが、しかしながら、上記図4(a)及び(b)により示したと同様であり、ここでは、その詳細な説明は省略する。要するに、駆動電力の印加により上記ダイアフラム716’が上下に移動することにより、その上下に形成された両側に形成された一対のポンプ室P1、P2を交互に圧縮・拡張を繰り返し、そして、それぞれのポンプ室に設けられたバルブ717−1と717−2、718−1と718−2の働きによって、上記ラジエータ60からの液体冷媒が吸入口719を介して導入し、その後、その吐出口720から上記受熱(冷却)ジャケット50へ向かって送出される。
なお、上記に述べた実施例になる循環ポンプ70、70’においては、特に、上記吸入口719からバルブ717−2、718−2を介して上下に形成された上記一対のポンプ室P1、P2へ到り、その後、バルブ717−1、718−1を介して上記吐出口720への流路は、互いにほぼ等しくなるように設計されることが望ましい。なお、上記の実施例においては、その内部に上下に形成される液体冷媒の流路を考慮して、上記吸入口719と吐出口720とを、循環ポンプ70、70’を構成する部材710の上下方向の略中央部に配置しているが、しかしながら、本発明は、これに限られず、その他の方法によってもよい。
このように、循環ポンプ70、70’における液体冷媒の流路を上下において互いにほぼ等しくなるようにすることによれば、添付の図9(a)にも示すように、上記シリンダ室715内におけるダイアフラム716’の上下の移動に伴って吸入して吐出される液体圧力は、その上下一対のポンプ室P1、P2から交互に連続的に排出されることとなり、特に、その吐出口720において得られる液体圧力が平滑化され、脈動のない好適な出力特性が得られる。他方、添付の図9(b)には、流路を上下において異なるように形成した場合の出力特性が示されており、この場合には、脈動が大きくなる。
最後に、添付の図10には、上記図7にその断面構造を示した循環ポンプ70’において、更にその小型化(特に、厚さ方向の寸法の低減)を図った場合の構造が示されている。即ち、上記ダイアフラム716’によりその内部に一対のポンプ室P1、P2を形成する上記シリンダ室715の一方だけ(例えば、本例では、その上部だけ)を利用したものであり、具体的には、上記シリンダ室715の上面にだけ、液体冷媒を導入又は排出するための一対のバルブ717−1、717−2を設けたものである。かかる構成によれば、その高さ(厚さ)Hをよ低減することが可能となり、上述したように、特に、小型・軽量で可搬であることが要求されるノート型のパーソナルコンピュータに採用するに適している。また、この図中の符号744’は、上記循環ポンプ70、70’を構成する部材710の一部に形成されたバッファ室を示している。
50 受熱(冷却)ジャケット
200 CPUチップ
60、60’ ラジエータ部
62、62… ファン
70、70’ 循環ポンプ
713 コイル
715 シリンダ室
716 可動子
717−1、717−2、718−1、718−2 バルブ
716’ (圧電素子)ダイアフラム。
200 CPUチップ
60、60’ ラジエータ部
62、62… ファン
70、70’ 循環ポンプ
713 コイル
715 シリンダ室
716 可動子
717−1、717−2、718−1、718−2 バルブ
716’ (圧電素子)ダイアフラム。
Claims (12)
- 筐体内に、発熱する半導体素子であって、その正常な動作を確保するために冷却を必要とする素子を搭載した電子機器であって、当該筐体内又はその一部に、少なくとも以下のものを備えた液冷システムを備えており、
半導体素子に熱的に接続され、その発熱を内部に通流する液体冷媒に伝達するための冷却ジャケットと、
前記冷却ジャケットにおいて液体冷媒に伝達された熱を機器の外部へ放出するラジエータと、そして、
前記冷却ジャケットと前記ラジエータとを含むループに前記液体冷媒を循環するための循環ポンプと、
かかる構成において、
前記循環ポンプを、供給される駆動電力に応じて移動する可動部の往復運動によって前記液体冷媒を吸入・圧縮して循環駆動するダイアフラム式ポンプにより構成したことを特徴とする液冷システムを備えた電子機器。 - 前記請求項1に記載した電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプは、前記可動部の一方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えていることを特徴とする液冷システムを備えた電子機器。
- 前記請求項2に記載した電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプは、更に、前記可動部の他方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えていることを特徴とする液冷システムを備えた電子機器。
- 前記請求項3に記載した電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプの吸込口及び吐出口を、それぞれ、前記可動部の両表面からその流路長がほぼ等しくなる位置に配置したことを特徴とする液冷システムを備えた電子機器。
- 前記請求項1〜4の何れかに記載した電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプの前記可動部を、交互に極性を変化する固定子の内部に摺動可能に取り付けて構成したことを特徴とする液冷システムを備えた電子機器。
- 前記請求項1〜4の何れかに記載した電子機器において、前記ダイアフラム式ポンプの前記可動部を、圧電素子から構成したことを特徴とする液冷システムを備えた電子機器。
- 発熱する半導体素子を冷却するための液冷システムであって:
半導体素子に熱的に接続され、その発熱を内部に通流する液体冷媒に伝達するための冷却ジャケットと、
前記冷却ジャケットにおいて液体冷媒に伝達された熱を機器の外部へ放出するラジエータと、そして、
前記冷却ジャケットと前記ラジエータとを含むループに前記液体冷媒を循環するための循環ポンプとを備えており、前記循環ポンプを、供給される駆動電力に応じて移動する可動部の往復運動によって前記液体冷媒を吸入・圧縮して循環駆動するダイアフラム式ポンプにより構成したことを特徴とする液冷システム。 - 前記請求項7に記載した液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプは、前記可動部の一方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えていることを特徴とする液冷システム。
- 前記請求項8に記載した液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプは、更に、前記可動部の他方の表面に対向する壁面に、前記液体冷媒をポンプ室内に導入・排出するためのバルブを備えていることを特徴とする液冷システム。
- 前記請求項9に記載した液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプの吸込口及び吐出口を、それぞれ、前記可動部の両表面からその流路長がほぼ等しくなる位置に配置したことを特徴とする液冷システム。
- 前記請求項7〜10の何れかに記載した液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプの前記可動部を、交互に極性を変化する固定子の内部に摺動可能に取り付けて構成したことを特徴とする液冷システム。
- 前記請求項7〜10の何れかに記載した液冷システムにおいて、前記ダイアフラム式ポンプの前記可動部を、圧電素子から構成したことを特徴とする液冷システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004038193A JP2005229038A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | 液冷システム及びそれを備えた電子機器 |
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