JP2013036407A - オイルポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルポンプの構造を複雑化させることなく、正方向と逆方向に回転されるオイルポンプから被供給部にオイルを供給する。
【解決手段】この発明は、オイル溜め18と一側ポート7および他側ポート8との間を夫々第1油路22と第2油路23とによって連絡し、被供給部21と他側ポート8および一側ポート7との間を夫々第3油路24と第4油路25とによって連絡し、ロータが正方向に回転する場合、オイル溜め18のオイルを第1油路22と第3油路24を通して被供給部21へ供給する第1状態とし、ロータが逆方向に回転する場合、オイル溜め18のオイルを第2油路23と第4油路25を通して被供給部21へ供給する第2状態に切り替えるオイルポンプ1において、第1油路〜第4油路の各端部をポンプ室の軸方向一側に連通し、各油路のポンプ室への連通状態を第1状態または第2状態に切り替える回転式バルブ27をポンプ室の軸方向一側に配置した。
【選択図】図1

Description

この発明はオイルポンプに係り、特に、二輪、四輪、産業機器や等の歯車、軸受等の潤滑用のオイルや、電動車両、ハイブリッド車両のモータ等の冷却用のオイルの供給に使用されるオイルポンプに関する。
機器の潤滑や冷却に使用されるオイルを供給するオイルポンプには、特開2001−233070号公報に、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド用変速機について、変速機の内部機構(ギア、モータ、軸受など)の潤滑・冷却のためのオイルを供給するオイルポンプを駆動するための機構が示されている。
前記公報に開示されるオイルポンプの駆動装置は、エンジン、モータの動力を合成する機構(動力分割機構)において、動力を出力する軸以外に常に正転する軸を設け、この軸にオイルポンプを接続することで、逆回転時に機能しないというオイルポンプの短所を克服している。前記公報に開示されるオイルポンプの駆動装置は、これを2組の遊星ギア、1組のクラッチ、1組のワンウェイクラッチを用いて実現している。
特開2001−233070号公報
しかし、前記公報に開示される構造では、常に正転するオイルポンプ駆動軸を設定する必要があるため、レイアウトの自由度が低く、部品点数が多いためコストが高く、重量が重いという欠点がある。また、油圧でクラッチを制御するため、油圧回路およびコントロールシステムが必要であり、構造が複雑になる欠点がある
この発明は、オイルポンプの構造を複雑化させることなく、正方向と逆方向に回転される駆動源で駆動されるオイルポンプから被供給部にオイルを供給できる構造とすることを目的とする。
この発明は、円筒状のポンプ室と、ポンプ室内で回転するロータと、ポンプ室に連通する一側ポートおよび他側ポートとを備え、オイル溜めと前記一側ポートの間および前記オイル溜めと前記他側ポートの間を夫々第1油路と第2油路とによって連絡し、被供給部と前記他側ポートの間および前記被供給部と前記一側ポートの間を夫々第3油路と第4油路とによって連絡し、駆動源によって前記ロータが正方向に回転する場合、前記オイル溜めのオイルを前記第1油路と前記第3油路を通して前記被供給部へ供給する第1状態とする一方、前記駆動源によって前記ロータが逆方向に回転する場合、前記オイル溜めのオイルを前記第2油路と前記第4油路を通して前記被供給部へ供給する第2状態に切り替えるオイルポンプにおいて、前記第1油路と前記第2油路と前記第3油路と前記第4油路との各端部を前記ポンプ室の軸方向一側に連通し、前記各油路の前記ポンプ室への連通状態を前記第1状態または前記第2状態に切り替える回転式バルブを前記ポンプ室の軸方向一側に配置したことを特徴とする。
この発明のオイルポンプは、単一の回転バルブにより4つの油路の連通状態を切り替えできるため、オイルポンプの構造を複雑化させることなく、駆動源で正方向と逆方向に回転されるロータを備えたオイルポンプから被供給部にオイルを供給できる。
図1はオイルポンプのオイルの流れを示す図である。(実施例1) 図2はロータの回転方向と各油路の開閉状態を示す図である。(実施例1) 図3はオイルポンプの正面図である。(実施例1) 図4は図3のA−A線によるオイルポンプの断面図である。(実施例1) 図5は図3のB−B線による第2状態にしたオイルポンプの断面図である。(実施例1) 図6は図3のC−C線による第2状態にしたオイルポンプの断面図である。(実施例1) 図7(A)は第1状態とした回転式バルブの正面図、図7(B)は第2状態とした回転式バルブの正面図である。(実施例1) 図8は回転式バルブのアクチュエータの変形例1を示す正面図である。(変形例1) 図9(A)は回転式バルブのアクチュエータの変形例2を示す正面図、図9(B)は回転式バルブのアクチュエータの変形例2を示す側面図である。(変形例2) 図10(A)は回転式バルブのアクチュエータの変形例3を示す背面図、図10(B)は回転式バルブのアクチュエータの変形例2を示す図10(A)のD−D線による断面図である。(変形例3) 図11はオイルポンプのオイルの流れを示す図である。(実施例2) 図12はオイルポンプの正面図である。(実施例2) 図13は図12のE−E線によるオイルポンプの断面図である。(実施例2) 図14は図12のF−F線による第1状態にしたオイルポンプの断面図である。(実施例2) 図15は図12のG−G線による第1状態にしたオイルポンプの断面図である。(実施例2)
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
図1〜図7は、この発明の実施例1を示すものである。図3〜図6において、1はオイルポンプである。オイルポンプ1は、ポンプケース2と、このポンプケース2に取り付けられるポンプカバー3とを有している。ポンプケース2には、円筒状のポンプ室4を備えている。ポンプ室4内には、ロータを回転可能に配置している。ロータは、後述するモータ9により回転されるインナロータ5と、ポンプ室4内周に外接するとともにインナロータ5の外周に偏心して内接して共回りするアウタロータ6とからなる。ポンプカバー3は、ポンプケース2のポンプ室4の軸方向他側に取り付けられて、ポンプ室4を閉鎖する。ポンプケース2およびポンプカバー3には、ポンプ室4に連通する一側ポート7および他側ポート8を備えている。
前記オイルポンプ1は、駆動源であるモータ9により駆動される。モータ9は、ポンプカバー3の外周からポンプ室4の軸方向他側に筒状に延設したモータケース10と、モータケース10内周に固定されたステータ11と、ステータ11内側に配置した正方向と逆方向に回転するロータ12と、ロータ12により正方向と逆方向に回転される駆動軸13とを備えている。駆動軸13は、ポンプカバー3を貫通してポンプ室4内のインナロータ5に連結され、インナロータ5を正方向と逆方向に回転する。
モータ9は、図4に示すように、駆動軸13の回転方向、回転角度を検出するレゾルバ(回転センサ)14を備えている。レゾルバ14は、回転部であるセンサロータ15を駆動軸13に取り付け、検出部であるセンサステータ16をポンプカバー3に取り付けている。レゾルバ14は、検出信号を制御部17に入力する。制御部17は、レゾルバ14の検出信号に基づいて、モータ9を予め定められた回転方向、回転角度で駆動するように制御する。
オイルポンプ1は、モータ9の駆動軸13によりポンプ室4内のインナロータ5およびアウタロータ6を回転され、インナロータ5及びアウタロータ6の間に回転方向に向かって拡縮しながら移動する空間Sを形成する。オイルポンプ1は、オイル溜め18のオイルをオイル溜め油路19により一側ポート7あるいは他側ポート8の一方から拡張しつつ移動する空間Sに吸入し、縮小しつつ移動する空間Sからオイルをもう一方の他側ポート8あるいは一側ポート7に吐出する。他側ポート8あるいは一側ポート7に吐出されたオイルは、被供給油路20により機器の被潤滑部位や冷却部位などの被供給部21に供給される。
前記オイルポンプ1は、図1に示すように、オイル溜め18のオイル溜め油路19と一側ポート7の間を第1油路22によって連絡し、オイル溜め18のオイル溜め油路19と他側ポート8の間を第2油路23によって連絡している。また、オイルポンプ1は、被供給部21の被供給油路20と他側ポート8の間を第3油路24によって連絡し、被供給部21の被供給油路20と一側ポート7の間を第4油路25によって連絡している。
オイルポンプ1は、図4〜図6に示すように、ポンプケース2のポンプ室4の軸方向一側にバルブハウジング26を取り付けている。バルブハウジング26には、前記第1油路22と前記第2油路23と前記第3油路24と前記第4油路25とを形成している。第1・第2油路22・23は、各端部をポンプ室4の軸方向一側において一側ポート7・他側ポート8にそれぞれ連通している。第3・第4油路24・25は、各端部をポンプ室4の軸方向一側において他側ポート8・一側ポート7にそれぞれ連通している。
オイルポンプ1は、各油路22〜25のポンプ室4への連通状態を第1状態または第2状態に切り替える。前記第1状態は、モータ9の駆動軸13によってインナロータ5及びアウタロータ6が正方向(図1の実線矢印方向)に回転する場合、オイル溜め18のオイルを第1油路22と第3油路24を通して被供給部21へ供給する状態である。前記第2状態は、モータ9の駆動軸13によってインナロータ5及びアウタロータ6が逆方向(図1の破線矢印方向)に回転する場合、オイル溜め18のオイルを第2油路23と第4油路25を通して被供給部21へ供給する状態である。
オイルポンプ1は、各油路22〜25のポンプ室4への連通状態を第1状態または第2状態に切り替えるために、回転式バルブ27を備えている。回転式バルブ27は、図4〜図6に示すように、ポンプケース2のポンプ室4の軸方向一側のバルブ室28内に回転可能に配置され、バルブハウジング26との間に軸心Cを中心に回転可能に配置している。回転式バルブ27は、図7に示すように、各油路22〜25の通路を横切るプレート29とし、このプレート29に各油路22〜25の連通状態を切り替える貫通孔を少なくとも2個以上形成している。この実施例の回転式バルブ27は、プレート29に第1貫通孔30と第2貫通孔31の2個を形成している。
回転式バルブ27は、アクチュエータにより回転される。回転式バルブ27は、図7(A)、(B)に示すように、プレート29の外周に電動アクチュエータ32を配置している。電動アクチュエータ32は、回転軸33にアクチュエータ側ギア34を備えている。回転式バルブ27は、プレート29の外周の一部にアクチュエータ側ギア34と噛み合うバルブ側ギア35を備えている。電動アクチュエータ32は、アクチュエータ側ギア34とバルブ側ギア35の噛み合いにより回転力をプレート29に伝達し、軸心Cを回転中心として回転式バルブ27を正方向と逆方向に回転させ、第1状態の位置(図7(A))と第2状態の位置(図7(B))に回転させる。
電動アクチュエータ32は、前記制御部17により回転を制御される。制御部17は、モータ9の回転方向、回転角度を監視するレゾルバ14の信号から、オイルポンプ1の駆動軸13の回転方向を計算し、電動アクチュエータ32に回転方向の指令を送ることで回転式バルブ27のプレート29の位置を制御する。回転式バルブ27を第1位置と第2位置に回転させる電動アクチュエータ32の回転量(回転角度)は、各油路22〜25を切り換える第1貫通孔30と第2貫通孔31の位置に応じて、予め制御部17に設定しておく。
回転式バルブ27は、図2に示すように、インナロータ5及びアウタロータ6が正方向に回転する場合、第1油路22・第3油路24を開放し、第2油路23・第4油路25を閉鎖して第1状態にする。第1状態において、回転式バルブ27は、図7(A)に示すように、第1貫通孔30により第1油路22を開放してオイル溜め18のオイル溜め油路19を一側ポート7に連通し、第2貫通孔31により第3油路24を開放して他側ポート8を被供給油路20により被供給部21に連通する(図1の実線矢印参照)。
一方、回転式バルブ27は、図2に示すように、インナロータ5及びアウタロータ6が逆方向に回転する場合、第2油路23・第4油路25を開放し、第1油路22・第3油路24を閉鎖して第2状態にする。第2状態において、回転式バルブ27は、図7(B)に示すように、第2貫通孔31により第2油路23を開放してオイル溜め18のオイル溜め油路19を他側ポート8に連通し、第1貫通孔30により第4油路25を開放して一側ポート7を被供給油路20により被供給部21に連通する(図1の破線矢印参照)。
次に作用を説明する。
オイルポンプ1は、モータ3によりインナロータ5及びアウタロータ6が正方向に回転する場合、電動アクチュエータ32により回転式バルブ27を第1状態の位置に回転し、図1の実線矢印で示すように、第1油路22を開放してオイル溜め18を一側ポート7に連通するとともに、第3油路24を開放して他側ポート8を被供給部21に連通する。
オイルポンプ1は、オイル溜め18のオイルを一側ポート7から拡張しつつ移動する空間Sに吸入し、縮小しつつ移動する空間Sからオイルを他側ポート8に吐出する。他側ポート8に吐出されたオイルは、被供給油路20により機器の被潤滑部位や冷却部位などの被供給部21に供給される。
一方、オイルポンプ1は、モータ3によりインナロータ5及びアウタロータ6が逆方向に回転する場合、電動アクチュエータ32により回転式バルブ27を第2状態の位置に回転し、図1の破線矢印で示すように、第2油路23を開放してオイル溜め18を他側ポート8に連通するとともに、第4油路25を開放して一側ポート7を被供給部21に連通する。
オイルポンプ1は、オイル溜め18のオイルを他側ポート8から拡張しつつ移動する空間Sに吸入し、縮小しつつ移動する空間Sからオイルを一側ポート7に吐出する。一側ポート7に吐出されたオイルは、被供給油路20により機器の被潤滑部位や冷却部位などの被供給部21に供給される。
このように、オイルポンプ1は、インナロータ5及びアウタロータ6が正方向に回転する場合、ポンプ室4の軸方向一側に配置した回転式バルブ27によりオイル溜め18のオイルを第1油路22と第3油路24を通して被供給部21へ供給する第1状態とし、インナロータ5及びアウタロータ6が逆方向に回転する場合、回転式バルブ27によりオイル溜め18のオイルを第2油路23と第4油路25を通して被供給部21へ供給する第2状態に切り替えている。
このため、このオイルポンプ1は、単一の回転式バルブ27により4つの油路22〜25の連通状態を切り替えて一側ポート7と他側ポート8の連通先を夫々オイル溜め18または被供給部21に変更できるため、オイルポンプ1の構造を複雑化させることなく、駆動源のモータ9で正方向と逆方向に回転されるインナロータ5及びアウタロータ6を備えたオイルポンプ1から被供給部21にオイルを供給できる。
また、このオイルポンプ1は、回転式バルブ27を各油路22〜25の通路を横切るプレート29とし、このプレート29に各油路22〜25の連通状態を切り替える少なくとも2個の第1貫通孔30、第2貫通孔31を形成している。
これにより、このオイルポンプ1は、回転式バルブ27をプレート29により形成することで、オイルポンプ1の構造が複雑化することが防止できる。また、オイルポンプ1は、この実施例では2個の貫通孔30、31を形成したが、後述変形例に示すように貫通孔の数を3個形成することもできる。回転式バルブ27は、貫通孔の数を3個形成した場合、ポンプ室4に対して各油路22〜25の端部を自由な位置に配置しつつ、第1状態から第2状態への切り替えを行う際にプレート29の回転角度を減少させることができる。
さらに、このオイルポンプ1は、回転式バルブ27を電動アクチュエータ32によって回転させるようにしているので、回転式バルブ27を回転させるための油路が不要になり、オイルポンプ1の構造を簡素化できる。
なお、上述実施例1では、回転式バルブ27を回転させるアクチュエータとして、回転式バルブ27の外周に電動アクチュエータ32を配置し、アクチュエータ側ギア34とバルブ側ギア35を介して回転式バルブ27を正方向と逆方向に回転させたが、これに限定されるものではない。
図8は、回転式バルブ27のアクチュエータの変形例1を示すものである。
図8においては、回転式バルブ27のプレート29に前記第1貫通孔30、第2貫通孔31に加えて第3貫通孔36を形成し、プレート29の軸心Cに対して接線方向に電動アクチュエータ37を配置し、この電動アクチュエータ37により直線方向に進退動作されるアーム部38の先端をプレート29に形成した穴部39に回転可能に結合している。
回転式バルブ27は、電動アクチュエータ37にてアーム部38を進退動作させることで、回転式バルブ27を第1状態と第2状態の位置に回転させることができる。
なお、この変形例1の回転式バルブ27は、プレート29に3個の第1貫通孔30、第2貫通孔31、第3貫通孔36を形成しているので、ポンプ室4に対して各油路22〜25の端部を自由な位置に配置しつつ、第1状態から第2状態への切り替えを行う際にプレート29の回転角度を減少させることができる。
図9は、回転式バルブ27のアクチュエータの変形例2を示すものである。
図9(A)、(B)においては、回転式バルブ27のプレート29に前記第1貫通孔30、第2貫通孔31、第3貫通孔36を形成し、プレート29のポンプ室4の軸方向一側であって軸心Cと同軸上に電動アクチュエータ40を配置し、この電動アクチュエータ40の回転動作する駆動軸41先端に磁化されたプレート状の駆動部42を形成し、駆動部42をプレート29に近接配置している。プレート29には、駆動部42と対向する側に磁化された被駆動部43を形成している。
回転式バルブ27は、電動アクチュエータ40にて駆動部42を回転動作させることで、磁力の作用により被駆動部43を吸着して回転式バルブ27を第1状態と第2状態の位置に回転させることができる。
このように、電動アクチュエータ40には磁化された駆動部41を形成し、回転式バルブ27には磁化された被駆動部43を形成し、駆動部42を被駆動部43に近接配置することで、磁力により回転式バルブ27を回転させるようにしているので、回転式バルブ27を簡素な構造で回転させることができる。
図10は、回転式バルブ27のアクチュエータの変形例3を示すものである。
図10(A)、(B)においては、回転式バルブ27のプレート29に前記第1貫通孔30、第2貫通孔31、第3貫通孔36を形成し、オイルポンプ1を駆動するモータ9をアクチュエータとしている。モータ9は、駆動軸13をプレート27が配置されたポンプケース2のバルブ室28まで延長し、プレート29に駆動軸13の先端外周に沿う円筒部44を形成している。駆動軸13と円筒部44との間には、摩擦力または粘性抵抗を有する動力伝達部材45を配置して回転式バルブ27を回転させるようにしている。動力伝達部材45は、摩擦力または粘性抵抗により駆動軸13の回転力を円筒部44に伝達し、回転抵抗が一定値を越えると滑り、回転力の伝達を遮断する。
回転式バルブ27のプレート29外周には、窪部46を形成している。窪部46は、プレート29の第1状態の位置を決定する第1位置決め壁47と、プレート29の第2状態の位置を決定する第2位置決め壁48とを備えている。プレート27を配置したポンプケース2のバルブ室28には、プレート29の窪部48内に配置される突部49を形成している。突部49は、プレート29が正方向に回転する場合、凹部46の第1位置決め壁47が当接してプレート29を第1状態の位置に停止させる第1停止壁50と、プレート29が逆方向に回転する場合、凹部46の第2位置決め壁48が当接してプレート29を第2状態の位置に停止させる第2停止壁51とを備えている。
駆動軸13により動力伝達部材45を介して回転される回転式バルブ27は、プレート29に形成した窪部46の第1位置決め壁47あるいは第2位置決め壁48が、ポンプケース2に形成した突部49の第1停止壁50あるいは第2停止壁51に当接することで、第1状態の位置あるいは第2状態の位置に停止され、必要以上に回転しない構造となっている。また、駆動軸13からの回転力は、窪部46と突部49が当接してプレート29の回転が停止されると、駆動軸13と円筒部44との間の動力伝達部材45が滑ることで、プレート29に伝わらなくなる。
このように、モータ9の駆動軸13と回転式バルブ27の円筒部44の間に動力伝達部材45を配置し、駆動軸13の回転力を動力伝達部材45を介して回転式バルブ27に伝達して回転式バルブ27を回転させるようにしているので、回転式バルブ27を回転させるための専用のアクチュエータを必要としないため、オイルポンプ1の構造を簡素化できる。
図11〜図14は、この発明の実施例2を示すものである。図12〜図15において、101はオイルポンプである。オイルポンプ101は、ポンプケース102と、このポンプケース102に取り付けられるポンプカバー103とを有している。ポンプケース102には、円筒状のポンプ室104を備えている。ポンプ室104内には、ロータを回転可能に配置している。ロータは、後述するモータ109により回転されるインナロータ105と、ポンプ室104内周に外接するとともにインナロータ105の外周に偏心して内接して共回りするアウタロータ106とからなる。ポンプカバー103は、ポンプケース102のポンプ室104の軸方向他側に取り付けられて、ポンプ室104を閉鎖する。ポンプケース102およびポンプカバー103には、ポンプ室104に連通する一側ポート107および他側ポート108を備えている。
前記オイルポンプ101は、駆動源であるモータ109により駆動される。モータ109は、ポンプカバー103の外周からポンプ室104の軸方向他側に筒状に延設したモータケース110と、モータケース110内周に固定されたステータ111と、ステータ111内側に配置した正方向と逆方向に回転するロータ112と、ロータ112により正方向と逆方向に回転される駆動軸113とを備えている。駆動軸113は、ポンプカバー103を貫通してポンプ室104内のインナロータ105に連結され、インナロータ105を正方向と逆方向に回転する。
モータ109は、図13に示すように、駆動軸113の回転方向、回転角度を検出するレゾルバ(回転センサ)114を備えている。レゾルバ114は、回転部であるセンサロータ115を駆動軸113に取り付け、検出部であるセンサステータ116をポンプカバー103に取り付けている。レゾルバ114は、検出信号を制御部117に入力する。制御部117は、レゾルバ114の検出信号に基づいて、モータ109を予め定められた回転方向、回転角度で駆動するように制御する。
オイルポンプ101は、モータ109の駆動軸113によりポンプ室104内のインナロータ105およびアウタロータ106を回転され、インナロータ105及びアウタロータ106の間に回転方向に向かって拡縮しながら移動する空間Sを形成する。オイルポンプ101は、オイル溜め118のオイルをオイル溜め油路119により一側ポート107あるいは他側ポート108の一方から拡張しつつ移動する空間Sに吸入し、縮小しつつ移動する空間Sからオイルをもう一方の他側ポート108あるいは一側ポート107に吐出する。他側ポート108あるいは一側ポート107に吐出されたオイルは、被供給油路120により機器の被潤滑部位や冷却部位などの被供給部121に供給される。
前記オイルポンプ101は、図11に示すように、オイル溜め118のオイル溜め油路119と一側ポート107の間を第1油路122によって連絡し、オイル溜め118のオイル溜め油路119と他側ポート108の間を第2油路123によって連絡している。また、オイルポンプ101は、被供給部121の被供給油路120と他側ポート108の間を第3油路124によって連絡し、被供給部121の被供給油路120と一側ポート107の間を第4油路125によって連絡している。
オイルポンプ101は、図12〜図15に示すように、ポンプケース102のポンプ室104の軸方向一側にバルブハウジング126を取り付けている。バルブハウジング126には、前記第1油路122と前記第2油路123と前記第3油路124と前記第4油路125とを形成している。第1・第2油路122・123は、各端部をポンプ室104の軸方向一側において一側ポート107・他側ポート108にそれぞれ連通している。第3・第4油路124・125は、各端部をポンプ室104の軸方向一側において他側ポート108・一側ポート107にそれぞれ連通している。
オイルポンプ101は、各油路122〜125のポンプ室104への連通状態を第1状態または第2状態に切り替える。前記第1状態は、モータ109の駆動軸113によってインナロータ105及びアウタロータ106が正方向(図11の実線矢印方向)に回転する場合、オイル溜め118のオイルを第1油路122と第3油路124を通して被供給部121へ供給する状態である。前記第2状態は、モータ109の駆動軸113によってインナロータ105及びアウタロータ106が逆方向(図11の破線矢印方向)に回転する場合、オイル溜め118のオイルを第2油路123と第4油路125を通して被供給部121へ供給する状態である。
オイルポンプ101は、各油路122〜125のポンプ室104への連通状態を第1状態または第2状態に切り替えるために、回転式バルブ127を備えている。回転式バルブ127は、図12〜図15に示すように、軸状の回転体128の軸方向一側外周から接線方向一側に平行に延びる板状の第1プレート129及び第2プレート130を備え、軸状の回転体128の軸方向他側外周から接線方向他側に平行に延びる板状の第3プレート131及び第4プレート132を備えている。第1プレート129及び第2プレート130は、それぞれ第1油路122及び第2油路123を相対的に開閉する。第3プレート131及び第4プレート132は、それぞれ第3油路124及び第4油路125を相対的に開閉する。
前記バルブハウジング126には、回転式バルブ127の回転体128の軸方向一側と第1プレート129及び第2プレート130とを回転可能に収納するハウジング側バルブ室133を形成している。また、前記ポンプケース102には、回転式バルブ127の回転体128の軸方向他側と第3プレート131及び第4プレート132とを回動可能に収納するケース側バルブ室134を形成している。回転式バルブ127は、ハウジング側バルブ室133及びケース側バルブ室134内に、軸心Cを中心に回転体128を回転可能に配置している。
前記ハウジング側バルブ室133には、前記オイル溜め油路119が連通されるとともに、前記第1油路122及び第2油路123が連通されている。回転式バルブ127は、図12・図14に示すように、第1プレート129及び第2プレート130によりハウジング側バルブ室133内において第1油路122及び第2油路123を相対的に開閉する。また、前記ケース側バルブ室134には、前記被供給油路120が連通されるとともに、前記第3油路124及び第4油路125が連通されている。回転式バルブ127は、図12・図15に示すように、第3プレート131及び第4プレート132によりケース側バルブ室134に連通する第3油路124及び第4油路125を相対的に開閉する。
前記回転式バルブ127は、アクチュエータにより回転される。回転式バルブ127は、図13に示すように、バルブハウジング126の外側であって軸心Cと同軸上に電動アクチュエータ135を配置している。電動アクチュエータ135は、回転動作する駆動軸136を回転式バルブ127の回転部128の軸方向一端に接続している。電動アクチュエータ135は、駆動軸136により軸心Cを回転中心として回転式バルブ127を正方向と逆方向に回転させ、第1状態の位置(図11の実線矢印方向へオイルを流す状態)と第2状態の位置(図11の破線矢印方向へオイルを流す状態)に回転させる。
電動アクチュエータ135は、前記制御部117により回転を制御される。制御部117は、モータ109の回転方向、回転角度を監視するレゾルバ114の信号から、オイルポンプ101の駆動軸113の回転方向を計算し、電動アクチュエータ135に回転方向の指令を送ることで回転式バルブ127の各プレート129〜132の位置を制御する。回転式バルブ127を第1位置と第2位置に回転させる電動アクチュエータ135の回転量(回転角度)は、各油路122〜125を切り換える各プレート129〜132の位置に応じて、予め制御部117に設定しておく。
回転式バルブ127は、インナロータ105及びアウタロータ106が正方向に回転する場合、第1油路122・第3油路124を開放し、第2油路123・第4油路125を閉鎖して第1状態にする。第1状態において、回転式バルブ127は、オイル溜め油路119が開口する第1プレート129と第2プレート130の間の空間に第1油路122を開放してオイル溜め118のオイル溜め油路119を一側ポート107に連通し、被供給油路120が開口する第3プレート131と第4プレート132との間の空間に第3油路124を開放して他側ポート108を被供給油路120により被供給部121に連通する(図11の実線矢印方向へオイルを流す状態)。
一方、回転式バルブ127は、インナロータ105及びアウタロータ106が逆方向に回転する場合、第2油路123・第4油路125を開放し、第1油路122・第3油路124を閉鎖して第2状態にする。第2状態において、回転式バルブ127は、オイル溜め油路119が開口する第1プレート129と第2プレート130の間の空間に第2油路123を開放してオイル溜め118のオイル溜め油路119を他側ポート108に連通し、被供給油路120が開口する第3プレート131と第4プレート132の間の空間に第4油路125を開放して一側ポート107を被供給油路120により被供給部121に連通する(図11の破線矢印方向へオイルを流す状態)。
次に作用を説明する。
オイルポンプ101は、モータ109によりインナロータ105及びアウタロータ106が正方向に回転する場合、電動アクチュエータ135により回転式バルブ127を第1状態の位置に回転し、図11の実線矢印で示すように、第1油路122を開放してオイル溜め118を一側ポート107に連通するとともに、第3油路124を開放して他側ポート108を被供給部121に連通する。
オイルポンプ101は、オイル溜め118のオイルを一側ポート107から拡張しつつ移動する空間Sに吸入し、縮小しつつ移動する空間Sからオイルを他側ポート108に吐出する。他側ポート108に吐出されたオイルは、被供給油路120により機器の被潤滑部位や冷却部位などの被供給部121に供給される。
一方、オイルポンプ101は、モータ109によりインナロータ105及びアウタロータ106が逆方向に回転する場合、電動アクチュエータ135により回転式バルブ127を第2状態の位置に回転し、図11の破線矢印で示すように、第2油路123を開放してオイル溜め118を他側ポート108に連通するとともに、第4油路125を開放して一側ポート107を被供給部121に連通する。
オイルポンプ101は、オイル溜め118のオイルを他側ポート108から拡張しつつ移動する空間Sに吸入し、縮小しつつ移動する空間Sからオイルを一側ポート107に吐出する。一側ポート107に吐出されたオイルは、被供給油路120により機器の被潤滑部位や冷却部位などの被供給部121に供給される。
このように、オイルポンプ101は、インナロータ105及びアウタロータ106が正方向に回転する場合、ポンプ室104の軸方向一側に配置した回転式バルブ127によりオイル溜め118のオイルを第1油路122と第3油路124を通して被供給部121へ供給する第1状態とし、インナロータ105及びアウタロータ106が逆方向に回転する場合、回転式バルブ127によりオイル溜め118のオイルを第2油路123と第4油路125を通して被供給部121へ供給する第2状態に切り替えている。
このため、このオイルポンプ101は、単一の回転式バルブ127により4つの油路122〜125の連通状態を切り替えて一側ポート107と他側ポート108の連通先を夫々オイル溜め118または被供給部121に変更できるため、オイルポンプ101の構造を複雑化させることなく、駆動源のモータ109で正方向と逆方向に回転されるインナロータ105及びアウタロータ106を備えたオイルポンプ101から被供給部121にオイルを供給できる。
また、このオイルポンプ101は、回転式バルブ127を電動アクチュエータ132によって回転させるようにしているので、回転式バルブ127を回転させるための油路が不要になり、オイルポンプ101の構造を簡素化できる。
この発明は、オイルポンプの構造を複雑化させることなく、正方向と逆方向に回転される駆動源で駆動されるオイルポンプから被供給部にオイルを供給できるものであり、車両にかぎらず、駆動源を備えた産業機器に応用することができる。
1 オイルポンプ
2 ポンプケース
3 ポンプカバー
4 ポンプ室
5 インナロータ
6 アウタロータ
7 一側ポート
8 他側ポート
9 モータ
13 駆動軸
14 レゾルバ
17 制御部
18 オイル溜め
19 オイル溜め油路
20 被供給油路
21 被供給部
22 第1油路
23 第2油路
24 第3油路
25 第4油路
26 バルブハウジング
27 回転式バルブ
29 プレート
30 第1貫通孔
31 第2貫通孔
32 電動アクチュエータ
34 アクチュエータ側ギア
35 バルブ側ギア

Claims (5)

  1. 円筒状のポンプ室と、ポンプ室内で回転するロータと、ポンプ室に連通する一側ポートおよび他側ポートとを備え、オイル溜めと前記一側ポートの間および前記オイル溜めと前記他側ポートの間を夫々第1油路と第2油路とによって連絡し、被供給部と前記他側ポートの間および前記被供給部と前記一側ポートの間を夫々第3油路と第4油路とによって連絡し、駆動源によって前記ロータが正方向に回転する場合、前記オイル溜めのオイルを前記第1油路と前記第3油路を通して前記被供給部へ供給する第1状態とする一方、前記駆動源によって前記ロータが逆方向に回転する場合、前記オイル溜めのオイルを前記第2油路と前記第4油路を通して前記被供給部へ供給する第2状態に切り替えるオイルポンプにおいて、前記第1油路と前記第2油路と前記第3油路と前記第4油路との各端部を前記ポンプ室の軸方向一側に連通し、前記各油路の前記ポンプ室への連通状態を前記第1状態または前記第2状態に切り替える回転式バルブを前記ポンプ室の軸方向一側に配置したことを特徴とするオイルポンプ。
  2. 前記回転式バルブを前記各油路の通路を横切るプレートとし、このプレートに各油路の連通状態を切り替える貫通孔を少なくとも2個以上形成したことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
  3. 前記回転式バルブを電動アクチュエータによって回転させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
  4. 前記回転式バルブおよび電動アクチュエータに夫々磁化された駆動部と被駆動部を形成し、磁力により前記回転式バルブを回転させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載のオイルポンプ。
  5. 前記回転式バルブに前記オイルポンプの駆動軸の外周に沿う円筒部を形成し、前記円筒部と前記オイルポンプの駆動軸間に摩擦力または粘性抵抗を有する動力伝達部材を配置して前記回転式バルブを回転させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
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