JP2013035811A - 筋萎縮抑制剤、及びその使用方法 - Google Patents
筋萎縮抑制剤、及びその使用方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】筋萎縮抑制剤は、プレニル化フラバノンを有効成分として含有する。プレニル化フラバノンは、プレニル化ナリンゲニン、及びプレニル化エリオディクティオールの少なくとも一方を含むことが好ましい。筋萎縮抑制剤の使用方法は、筋萎縮抑制剤を飲食品に配合して摂取させる。
【選択図】図1
Description
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の筋萎縮抑制剤において、前記オオバギ抽出物が、果実より抽出して得られたことを特徴とする。
本実施形態の筋萎縮抑制剤は、プレニル化フラバノンを有効成分として含有することで、廃用性筋萎縮を抑制する。筋萎縮は、進行性筋萎縮と、廃用性筋萎縮とに分類される。進行性筋萎縮は、四肢等の骨格筋が進行的に萎縮する疾患群である一方、廃用性筋萎縮は、筋肉を使わないことによって生じる筋萎縮である。
オオバギに含まれるプレニル化エリオディクティオールとしては、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B、イソニムフェオール−B及びニムフェオール−Cが挙げられる。ニムフェオール−A(nymphaeol−A)は、5,7,3´,4´-テトラヒドロキシ-6-ゲラニルフラバノン(5,7,3´,4´-tetrahydroxy-6-geranylflavanone)である。ニムフェオール−B(nymphaeol−B)は、5,7,3´,4´-テトラヒドロキシ-2´-ゲラニルフラバノン(5,7,3´,4´-tetrahydroxy-2´-geranylflavanone)である。イソニムフェオール−B(isonymphaeol−B)は、5,7,3´,4´-テトラヒドロキシ-5´-ゲラニルフラバノン(5,7,3´,4´-tetrahydroxy-5´-geranylflavanone)である。ニムフェオール−C(nymphaeol−C)は、5,7,3´,4´-テトラヒドロキシ-6-(3´´´,3´´´-ジメチルアリル)-2´-ゲラニルフラバノン(5,7,3´,4´-tetrahydroxy-6-(3´´´,3´´´-dimethylallyl)-2´-geranylflavanone)である。
抽出操作としては、抽出溶媒中に上記原料を所定時間浸漬させる。こうした抽出操作においては、抽出効率を高めるべく、必要に応じて攪拌操作、加温等を行ってもよい。また、原料から抽出される夾雑物を削減すべく、抽出操作に先だって、別途水抽出操作又は熱水抽出操作を行ってもよい。プレニル化ナリンゲニン、及びプレニル化エリオディクティオールは、水に対して不溶の成分であるため、オオバギを例えば熱湯で煮沸することで、不必要な侠雑物を効率的に除去することができる。
筋萎縮抑制剤の使用方法は、上述した筋萎縮抑制剤を飲食品に配合して摂取させる。
飲食品の具体例は、通常の飲食品に加えて、医薬部外品、健康食品、特定保健用食品、健康飲料、栄養補助食品等を含む。飲食品の形態としては、例えば、ガム、粉末、錠剤、顆粒、液状(ドリンク剤等)、カプセル状、シロップ、キャンディー等が挙げられる。飲食品としては、より具体的には、スポーツドリンク、茶葉やハーブなどから抽出した茶類飲料、牛乳やヨーグルト等の乳製品、ペクチンやカラギーナン等のゲル化剤含有食品、グルコース、ショ糖、果糖、乳糖やデキストリン等の糖類、香料、ステビア、アスパルテーム、糖アルコール等の甘味料、植物性油脂及び動物性油脂等の油脂等を含有する飲料品や食料品が挙げられる。
代表的なフラバノンであるナリンゲニンは抗酸化活性を有するものの、ナリンゲニンを摂取させた場合には廃用性筋萎縮を抑制する効果が確認されない。このことから、廃用性萎縮を抑制するのは、必ずしも上述した非特許文献1に記載される抗酸化能により酸化ストレスを低減させることに基づくものではないと推察される。また、ナリンゲニンにプレニル基を導入しても、抗酸化活性が著しく高まることはない。このため、プレニル化フラバノンによる廃用性筋萎縮を抑制する効果は、抗酸化能に基づくものではなく、他の作用機序によると推測される。この点、プレニル化フラバノンでは、例えばプレニル基により親油性が高まることで、フラバノンでは得られない新たな作用機序に基づき廃用性筋萎縮の抑制効果が発揮されると推測される。
(1)プレニル化フラバノンを有効成分として含有させることで、廃用性筋萎縮を抑制する筋萎縮抑制剤が提供される。
(4)オオバギ抽出物として、果実より抽出して得られたものを用いることで、プレニル化エリオディクティオールの濃度を高めることが容易となる。
・筋萎縮抑制剤、及びその使用方法は、ヒトへの適用に限定されず、例えば、馬、牛、犬、猫等の動物に適用してもよい。
・前記筋萎縮抑制剤、及びその使用方法は、廃用性筋萎縮の予防に適用する他に、発症した廃用性筋萎縮の進行の阻止に適用してもよい。
(実施例1)
プレニル化フラバノンを添加した飼料をマウスに与える試験を行った。プレニル化フラバノンとしては、8−プレニルナリンゲニン(以下、プレニル化ナリンゲニンという)を用いた。プレニル化ナリンゲニンは、国立大学法人徳島大学大学院、ヘルスバイオサイエンス研究部、機能分子合成薬学分野において人工的に化学合成した純度95%以上のものである。
手術から4日間、マウスに上記と同様に飼料を与えるとともに水道水を自由摂取させた。手術から4日後、マウスの左右後肢の腓腹筋を摘出し、その腓腹筋の重量を測定した。
プレニル化ナリンゲニンの代わりに、ナリンゲニン(東京化成工業株式会社製、純度90%)を用いて、実施例1と同様に飼料をマウスに与える試験を行った。標準精製飼料AIN−93Mにナリンゲニンを添加することで、飼料を調製した。ナリンゲニンの添加量は、100gの標準精製飼料中にナリンゲニン(分子量270.5)がフラバノン当量で5.6mmol含まれる量とした。すなわち、標準精製飼料100g中に0.17gのナリンゲニン(純度90%)が含有されるように添加した。なお、ナリンゲニンを添加する標準精製飼料は、予めセルロースの量を減じることで、対照の飼料と組成を合わせた。
対照群における筋萎縮の割合は、90.3%であった。これに対して、ナリンゲニン食群における筋萎縮の割合は、92.9%であり、プレニル化ナリンゲニン食群は102.1%であった。これらの結果を図1に示している。そして、各群の結果について、Tukey法を用いて統計処理を行った結果、プレニル化ナリンゲニン食群と、その他の群との間に有意な差があった。従って、プレニル化ナリンゲニンに廃用性筋萎縮の抑制効果が認められた。また、ナリンゲニンでは、廃用性筋萎縮の抑制効果が認められないことから、前記抑制効果は、プレニル化に基づいて得られることが分かった。
沖縄県国頭郡において、2009年6月に採取し、冷凍保存していたオオバギ(Macaranga tanarius)の果実を原料として用いた。このオオバギの果実1kgを3Lのエタノールに24時間浸漬した。その浸漬物を濾材として珪藻土を用いてろ過することでろ液を得た後、そのろ液をエバポレーターで濃縮することで濃縮液を得た。次に、分取用ODSカラムを用いて濃縮液を分画することで、プレニル化フラバノンを多く含む分画液を得た。得られた分画液をエバポレーターにて濃縮し、エタノール及び水を除去することで、粘性を有する油状の抽出物を得た。
手術から4日間、マウスに上記と同様に飼料を与えるとともに水道水を自由摂取させた。手術から4日後、マウスの左右後肢の腓腹筋を摘出し、その腓腹筋の重量を測定した。
表3及び図3には、各群における正常筋に対する萎縮筋の重量割合(%)についての結果を示している。
Claims (5)
- 廃用性筋萎縮を抑制する筋萎縮抑制剤であって、プレニル化フラバノンを有効成分として含有することを特徴とする筋萎縮抑制剤。
- 前記プレニル化フラバノンが、プレニル化ナリンゲニン、及びプレニル化エリオディクティオールの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の筋萎縮抑制剤。
- 前記プレニル化フラバノンが、オオバギ抽出物由来であることを特徴とする請求項2に記載の筋萎縮抑制剤。
- 前記オオバギ抽出物が、果実より抽出して得られたことを特徴とする請求項3に記載の筋萎縮抑制剤。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の筋萎縮抑制剤を飲食品に配合して摂取させることを特徴とする筋萎縮抑制剤の使用方法。
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