JP2013030816A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低駆動電圧で高発光効率の半導体発光素子を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、窒化物半導体からなるn型層と、窒化物半導体からなるp型層と、n型層とp型層との間に設けられ、窒化物半導体からなる複数の障壁層と、複数の障壁層のそれぞれの間に設けられ、障壁層におけるバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有し、窒化物半導体からなる井戸層と、を含み、少なくとも一部が発光する積層体と、を備え、複数の障壁層の少なくともいずれかは、n型層の側に設けられた第1層と、p型層の側に設けられ、第1層よりも高い濃度でn型不純物を含む第2層と、を含み、井戸層の少なくともいずれかは、n型層の側に設けられ第3層と、p型層の側に設けられ、第3層よりも高い濃度でn型不純物を含む第4層と、を含む半導体発光素子が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、半導体発光素子に関する。
窒化物半導体を用いた量子井戸構造を有する発光素子において、窒化物結晶の結晶構造の対称性や結晶歪みにより、量子井戸構造内部に分極電界が発生し、量子井戸内のキャリアが空間分離し、発光効率の低下や駆動電圧の上昇を招く。
これに対し、特許文献1には、ピエゾ電界の影響を抑制するために、障壁層に、n型不純物のドープされたn型領域とアンドープ領域とを設ける構成が提案されている。しかしながら、本技術を用いても発光効率は不十分であり、改良の余地がある。
特開2003−229645号公報
本発明は、低駆動電圧で高発光効率の半導体発光素子を提供する。
本発明の一態様によれば、窒化物半導体からなるn型層と、窒化物半導体からなるp型層と、前記n型層と前記p型層との間に設けられ、窒化物半導体からなる複数の障壁層と、前記複数の障壁層のそれぞれの間に設けられ、前記障壁層におけるバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有し、窒化物半導体からなる井戸層と、を含み、少なくとも一部が発光する積層体と、を備え、前記複数の障壁層の少なくともいずれかは、前記n型層の側に設けられn型不純物の濃度が低い第1層と、前記p型層の側に設けられ、前記第1層よりも高い濃度でn型不純物を含む第2層と、を含み、前記井戸層の少なくともいずれかは、前記n型層の側に設けられn型不純物の濃度が低い第3層と、前記p型層の側に設けられ、前記第3層よりも高い濃度でn型不純物を含む第4層と、を含むことを特徴とする半導体発光素子が提供される。
本発明によれば、低駆動電圧で高発光効率の半導体発光素子及びその製造方法が提供される。
半導体発光素子を示す模式的断面図である。 実施形態に係る半導体発光素子及び比較例の半導体発光素子を示す模式図である。 比較例の半導体発光素子を示す模式図である。 実施形態に係る半導体発光素子及び比較例の半導体発光素子の特性を示すグラフ図である。 半導体発光素子を示す模式的断面図である。 半導体発光素子を示す模式的断面図である。 半導体発光素子を示す模式的断面図である。 半導体発光素子を示す模式的断面図である。 半導体発光素子を示す模式的断面図である。 半導体発光素子の製造方法を示すフローチャート図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図(b)は、半導体発光素子の全体の構成を例示し、同図(a)は、半導体発光素子のうちの発光部の構成を例示している。
図1(b)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、n型層20と、p型層50と、n型層20とp型層50との間に設けられた発光部40と、を備える。
n型層20及びp型層50は、窒化物半導体からなる。
図1(a)に表したように、発光部40は、複数の障壁層BLと、前記複数の障壁層のそれぞれの間に設けられた井戸層WLと、を有する。
障壁層BL及び井戸層WLは、窒化物半導体からなる。井戸層WLには、少なくともインジウム(In)を含む窒化物半導体を用いるのが良い。障壁層BLのバンドギャップエネルギーは、井戸層WLよりも大きい。
すなわち、障壁層BLがInを含む場合、障壁層BLにおけるInの濃度は、井戸層WLにおけるInの濃度よりも低い。これにより、井戸層WLにおけるバンドギャップエネルギーは、障壁層BLにおけるバンドギャップエネルギーよりも小さくなる。
このように、障壁層BLと井戸層WLとは互いに交互に積層される。ここで、井戸層WLの数を「n」とすると、井戸層WLは、第1井戸層WL〜第n井戸層WLを有する。一方、障壁層BLは、第1障壁層BL〜第(n+1)障壁層BLn+1を有する。ここで、最もp型層50に近い障壁層BL(第(n+1)障壁層BLn+1)を適宜、「最終障壁層BLZ」と言う。
そして、図1(a)に表したように、障壁層BLのそれぞれは、n型層20の側に設けられ、n型不純物の濃度が低い第1層BLLと、p型層50の側に設けられ、第1層BLLよりも高い濃度でn型不純物を含む第2層BLHと、を含む。そして、井戸層WLのそれぞれは、n型層20の側に設けられ、n型不純物の濃度が低い第3層WLLと、p型層50の側に設けられ、第3層WLLよりも高い濃度でn型不純物を含む第4層WLHと、を含む。
例えば、第1層BLLは、障壁層BLと井戸層WLとの界面のうちのn型層20の側の界面に接して設けられ、第2層BLHは、障壁層BLと井戸層WLとの界面のうちのp型層50の側の界面に接して設けられる。そして、例えば、第3層WLLは、障壁層BLと井戸層WLとの界面のうちのn型層20の側の界面に接して設けられ、第4層WLHは、障壁層BLと井戸層WLとの界面のうちのp型層50の側の界面に接して設けられる。
ただし、後述するように、障壁層BLの少なくともいずれかが、上記の第1層BLLと第2層BLHとを含み、井戸層WLの少なくともいずれかが、上記の第3層WLLと第4層WLHとを含めば良い。
このように、半導体発光素子110においては、障壁層BLが第1層BLLと第2層BLHとを含み、井戸層WLが第3層WLLと第4層WLHとを含む構成を有することで、発光部40内のキャリアの空間分離を抑制し、また、不純物の制御性が良いことから結晶性が高く、発光効率の高い半導体発光素子が得られる。
以下、半導体発光素子110の具体的な構成について説明する。なお、本具体例の半導体発光素子110は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。
図1(b)に表したように、半導体発光素子110においては、サファイアからなる基板10の主面に、バッファ層11が設けられ、その上に、n型GaN層21と、n型GaNガイド層22と、が設けられる。n型GaN層21及びn型GaNガイド層22は、n型層20に含まれる。
そして、n型GaNガイド層22の上に、活性層(発光部40)が設けられ、その上に、p型GaN第1ガイド層51、p型AlGaN層52(電子オーバーフロー防止層)、p型GaN第2ガイド層53及びp型GaNコンタクト層54が、この順で設けられている。p型GaN第1ガイド層51、p型AlGaN層52、p型GaN第2ガイド層53及びp型GaNコンタクト層54は、p型層50に含まれる。
そして、n型層20であるn型GaN層21の一部、並びに、その一部に対応する発光部40及びp型層50が除去され、n型GaN層21の上にn側電極70が設けられる。一方、p型GaNコンタクト層54の上にp側電極80が設けられる。
半導体発光素子110の製造方法の例について説明する。
まず、サファイアからなる基板10の主面上に、バッファ層11を形成した後、n型GaN層21を結晶成長させる。結晶成長には、例えば有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)が用いられる。この他、分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)により結晶成長を行っても良い。n型GaN層21にドープするn型不純物としてSiが用いられる。ただし、この他、Ge及びSnなど種々の元素を用いることが可能である。n型GaN層21におけるSiのドーピング量は、例えば、2×1018cm−3程度とされ、n側GaN層21の厚さは、例えば4μm(マイクロメートル)とされる。
なお、基板10には、サファイア以外に、GaN、SiC、Si及びGaAsなどの各種の材料を用いることができる。
次に、n型GaN層21の上に、n型GaNガイド層22を結晶成長させる。n型GaNガイド層22におけるn型不純物濃度は、例えば1×1018cm−3程度とされ、n型GaNガイド層22の厚さは、例えば0.1μmとされる。
なお、n型GaN層21及びn型GaNガイド層22を成長させる際の成長温度は、いずれも1000〜1100℃である。
また、n型GaNガイド層22として、GaN層ではなく、厚さが0.1μm程度のIn0.01Ga0.99Nを用いても良い。In0.01Ga0.99Nを用いる場合の成長温度は、700〜800℃である。
次に、n型GaNガイド層22の上に、発光部40を形成する。
例えば、まず、1層目の第1障壁層BLを形成する。このとき、まず、n型不純物の濃度が低い、すなわち、例えばアンドープの第1層BLLを形成する。この第1層BLLには、例えばアンドープのIn0.02Ga0.98Nが用いられ、厚さは例えば10.5nm(ナノメートル)とされる。なお、アンドープのIn0.02Ga0.98Nにおいても、わずかなn型不純物を含有しているので、アンドープのIn0.02Ga0.98Nの第1層BLLにおけるn型不純物濃度は、1×1016cm−3〜1×1017cm−3である。
その後、第1層BLLの上に、第1層BLLよりもn型不純物の濃度が高い第2層BLHを形成する。第2層BLHには、例えば、SiをドープしたIn0.02Ga0.98Nが用いられ、厚さは例えば2nmとされる。そして、第2層BLHにおけるSi濃度は、例えば5×1017cm−3〜1×1019cm−3とされる。
これにより、障壁層BLの厚さは、12.5nmとなる。このように、第2層BLHの厚さ(この例では2nm)は、第1層BLLの厚さ(この例では10.5nm)に対して薄く設定される。
なお、障壁層BLは、井戸層WLよりも大きい複数のバンドギャップエネルギーを有することができる。例えば、第1層BLLと第2層BLHとが、互いに異なるバンドギャップエネルギーを有していても良く、また、第1層BLL及び第2層BLHにおけるバンドギャップエネルギーが傾斜状または階段状に変化していても良い。
その後、第2層BLHの上に、1層目の第1井戸層WLを形成する。このとき、まず、n型不純物の濃度が低い、すなわち、例えばアンドープの第3層WLLを形成する。この第3層WLLには、例えばアンドープのIn0.2Ga0.8Nが用いられ、厚さは例えば1.5nmとされる。なお、アンドープのIn0.2Ga0.8Nにおいても、わずかなn型不純物を含有しているので、アンドープのIn0.2Ga0.8Nの第3層WLLにおけるn型不純物濃度は、1×1016cm−3〜1×1017cm−3である。
その後、第3層WLLの上に、第3層WLLよりもn型不純物の濃度が高い第4層WLHを形成する。第4層WLHには、例えば、SiをドープしたIn0.2Ga0.8Nが用いられ、厚さは例えば1nmとされる。そして、第4層WLHにおけるSi濃度は、例えば5×1017cm−3〜1×1019cm−3とされる。
なお、これにより、井戸層WLの厚さは、2.5nmとなる。このように、第4層WLHの厚さ(この例では1nm)は、第3層WLLの厚さ(この例では1.5nm)に対して薄く設定される。
その後、同様にして、障壁層BL(第2障壁層BL〜第(n+1)障壁層BLn+1)と、井戸層WL(第2井戸層WL〜第n井戸層WL)と、を交互に繰り返して形成する。これにより、障壁層BLと井戸層WLとが交互に積層された多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造の発光部40が形成される。
なお、上記の障壁層BL及び井戸層WL(第1層BLL、第2層BLH、第3層WLL及び第4層WLH)の形成の際の成長温度は、例えば700〜800℃である。また、室温における発光部40のフォトルミネッセンスの波長が450nmとなるように、上記の障壁層BL及び井戸層WLは設計されている。
次に、発光部40の上に、GaNからなるp型GaN第1ガイド層51を成長させる。p型GaN第1ガイド層51の厚さは、例えば30nm程度である。このp型GaN第1ガイド層51となるGaN層を成長する温度は、例えば1000〜1100℃である。この時に用いるp型不純物としては、Mgが用いられる。ただし、この他、Zn及びCなど種々の元素を用いることが可能である。Mgのドーピング濃度は、例えば4×1018cm−3程度とされる。なお、p型GaN第1ガイド層51として、厚さが30nm程度のIn0.01Ga0.99Nを用いても良い。In0.01Ga0.99Nを用いる場合の成長温度は、例えば700〜800℃である。
次に、p型GaN第1ガイド層51の上に、p型AlGaN層52を形成する。p型AlGaN層52には、p型不純物がドープされたAl0.2Ga0.8Nを用いることができる。p型AlGaN層52は、電子オーバーフロー防止層の機能を有する。p型不純物としてはMgを用い、Mgの濃度は、例えば1×1019cm−3程度とされる。なお、p型AlGaN層52となるAl0.2Ga0.8Nの成長温度は、例えば1000〜1100℃である。
次に、p型AlGaN層52の上に、p型GaN第2ガイド層53を形成する。p型GaN第2ガイド層53には、Mgがドープされたp型GaN層を用いることができる。p型GaN第2ガイド層53の厚さは、例えば50nm程度である。p型不純物としてMgを用いることができ、Mgの濃度は例えば1×1019cm−3程度とされる。p型GaN第2ガイド層53となるGaNの成長温度は、例えば1000〜1100℃である。
そして、p型GaN第2ガイド層53の上に、p型GaNコンタクト層54を形成する。p型GaNコンタクト層54において、p型不純物としてMgを用いることができ、Mgの濃度は、例えば1×1020cm−3程度であり、p型GaNコンタクト層54の厚さは、例えば60nm程度である。
このような各層の結晶成長を行った積層構造体に対して、以下のデバイスプロセスを行う。
すなわち、p型GaNコンタクト層54の上にp側電極80を形成する。p側電極80には、例えば、パラジウム−白金−金(Pd/Pt/Au)の複合膜を用いる。例えば、Pd膜の厚さは0.05μmであり、Pt膜の厚さは0.05μmであり、Au膜の厚さは0.05μmである。ただし、この他、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明性電極や反射性の高い金属を用いることが可能である。
この後、上記の積層構造体の一部にドライエッチングを施し、n型GaN層21を露出させ、n側電極70を形成する。n側電極70としては、例えば、チタン−白金−金(Ti/Pt/Au)の複合膜を用いる。例えば、Ti膜の厚さは0.05μm程度であり、Pt膜の厚さは0.05μm程度であり、Au膜の厚さは1.0μm程度である。
これにより、図1に例示した半導体発光素子110が作製される。
以下、半導体発光素子110の特性について、比較例を参照しながら説明する。
図2及び図3は、本発明の実施形態に係る半導体発光素子及び比較例の半導体発光素子の構成を例示する模式図である。
すなわち、これらの図は、半導体発光素子の発光部における伝導帯のエネルギーバンド及び高濃度不純物層の配置をモデル的に示しており、図2(a)は本実施形態に係る半導体発光素子110に対応し、図2(b)〜(f)及び図3(a)〜(e)は、第1〜第10比較例の半導体発光素子191〜200に対応する。
図2(a)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110においては、各障壁層BLのp型層50の側に、高濃度でn型不純物を含む第2層BLHが配置されると共に、各井戸層WLのp型層50の側に、高濃度でn型不純物を含む第4層WLHが配置される。これにより、発光部40の内部の電界の影響を抑制し、効率を向上できる。すなわち、駆動電圧を低減し、発光効率が向上する。
さらに、この構造においては、障壁層BLとして、不純物の濃度が低い(例えばアンドープの)第1層BLLの形成の後に、高濃度の第2層BLHが形成され、その後に、井戸層WLとして、不純物の濃度が低い(例えばアンドープの)第3層WLLが形成され、その後に、高濃度の第4層WLHが形成される。
このとき、障壁層BLから井戸層WLへの切り替えの後には、井戸層WLとして、まず、低濃度である第3層WLLの結晶成長から開始し、その後、高濃度の第4層WLHの結晶成長を行うことで、反応炉内の残留不純物の影響を抑制できるため、不純物濃度の制御性が高まり、結晶性が向上する。すなわち、第3層WLLと第4層WLHとの界面において不純物濃度の制御の急峻性が向上する。
そして、井戸層WLから障壁層BLへの切り替えの後には、障壁層BLとして、まず、低濃度である第1層BLLの結晶成長から開始し、その後、高濃度の第2層BLHの結晶成長を行うことで、不純物濃度の制御性が高まり、結晶性が向上する。すなわち、第1層BLLと第2層BLHとの界面において不純物濃度の制御の急峻性が向上する。
また、半導体発光素子110の製造においては、良好な結晶を得るために、n型層20を形成し、その後、発光部40を形成し、その後、p型層50を形成する。このような発光部40の形成において、障壁層BLから井戸層WLへの切り替え、及び、井戸層WLから障壁層BLへの切り替えの際に、後述するように、障壁層BLまたは井戸層WLとなる原料ガスの一部の供給を中断し、例えば窒素原料ガスのみを供給する方法を採用でき、不純物濃度及び組成の制御性を高めて、結晶性の良好な結晶が得られる。
このように、障壁層BLから井戸層WLへの切り替え、及び、井戸層WLから障壁層BLへの切り替えの際に、低濃度の第3層WLL、または、低濃度の第1層BLLから結晶成長を開始することにより、井戸層WL及び障壁層BLの結晶性が向上し、また、井戸層WLと障壁層BLとの間の不純物濃度及び組成の変化の急峻性も向上できる。
すなわち、この構成においては、高濃度の不純物領域である第2層BLH及び第4層WLHが、それぞれ、例えばアンドープの第1層BLL及び第3層WLLの後に形成されるので、良好な結晶性を維持しつつ、高キャリア濃度かつ高移動度の障壁層及び井戸層を得ることができる。
そして、高濃度の不純物領域である第2層BLH及び第4層WLH中の不純物から生じるキャリアによって、障壁層BL及び井戸層WLに生じる内部電界を効率的に抑制できる。これにより、発光効率を向上でき、光出力を向上できる。
上記のように、本実施形態に係る半導体発光素子110においては、障壁層BLと井戸層WLとが、高濃度で不純物を含む第2層BLH及び第4層WLHをそれぞれ含むことで、電界を抑制し、さらに、第2層BLH及び第4層WLHが、それぞれ不純物の低濃度が低い第1層BLL及び第3層WLLの後に形成される構成によって、高い結晶性を維持する。これにより、駆動電圧を低減しつつ発光効率を向上できる。
半導体発光素子110において、第2層BLHにおけるn型不純物の濃度は、5×1017cm−3〜1×1019cm−3が好ましく、1×1018cm−3〜5×1018cm−3がさらに好ましい。すなわち、n型不純物の濃度を、5×1017cm−3〜1×1019cm−3とすることで、発光効率が向上し、駆動電圧が低減できる。n型不純物の濃度が、5×1017cm−3よりも低い、または、1×1019cm−3よりも高い場合は、発光効率の向上が不十分であるか、または、駆動電圧の低減が不十分となる。
そして、第4層WLHにおけるn型不純物の濃度は、5×1017cm−3〜1×1019cm−3が好ましく、1×1018cm−3〜5×1018cm−3がさらに好ましい。第4層WLHにおけるn型不純物の濃度を、5×1017cm−3〜1×1019cm−3とすることで、発光効率が向上し、駆動電圧が低減できる。特に、第4層WLHにおけるn型不純物の濃度を、1×1018cm−3〜5×1018cm−3にすることで、発光効率が最も向上し、駆動電圧が最も低減できる。n型不純物の濃度が、5×1017cm−3よりも低い、または、1×1019cm−3よりも高い場合は、発光効率の向上が不十分であるか、または、駆動電圧の低減が不十分となる。
また、第2層BLHの厚さは、単原子層の厚さ以上であり、第1層BLLの厚さ以下とすることが望ましい。なお、単原子層の厚さは、約0.25nmである。第2層BLHの厚さが、単原子層の厚さよりも薄い場合は、不純物の導入の効果が低く、例えば駆動電圧の低下や発光効率の向上の効果が小さい。一方、第2層BLHの厚さが第1層BLLの厚さを超えると、結晶性が低くなり、例えば発光効率が低下する。
また、第4層WLHの厚さは、単原子層の厚さ以上であり、第3層WLLの厚さ以下であることが望ましい。第4層WLHの厚さが、単原子層の厚さよりも薄い場合は、不純物の導入の効果が低く、例えば駆動電圧の低下や発光効率の向上の効果が小さい。一方、第4層WLHの厚さが第3層WLLの厚さを超えると、結晶性が低くなり、例えば発光効率が低下する。
また、第2層BLH及び第4層WLHに含まれるn型不純物は、Si、Ge、Sn及びTeよりなる群から選択された少なくともいずれかであることが望ましい。これらの材料を用いることで、良好な結晶性を維持しつつ、特性の向上のためのキャリアを効率的に生成でき、駆動電圧の低減と発光効率の向上とが効果的に行われる。
以下、比較例について説明する。
図2(b)に表したように、第1比較例の半導体発光素子191においては、障壁層BL及び井戸層WLには、高濃度で不純物を含む層が設けられていない。
図2(c)に表したように、第2比較例の半導体発光素子192においては、障壁層BLが、不純物の濃度が高い高濃度障壁層XLHと、不純物の濃度が低い低濃度障壁層XLLと、を有している。そして、高濃度障壁層XLHがp型層50の側に配置され、低濃度障壁層XLLがn型層20の側に配置されている。すなわち、本構成における障壁層BLの構成は、本実施形態に係る半導体発光素子110における障壁層BLに類似している。しかし、半導体発光素子192においては、井戸層WLは高い濃度で不純物を含む層を含んでいない。
図2(d)に表したように、第3比較例の半導体発光素子193においては、井戸層WLが、不純物の濃度が高い高濃度井戸層YLHと、不純物の濃度が低い低濃度井戸層YLLと、を有している。そして、高濃度井戸層YLHがp型層50の側に配置され、低濃度井戸層YLLがn型層20の側に配置されている。すなわち、本構成における井戸層WLの構成は、本実施形態に係る半導体発光素子110における井戸層WLに類似している。しかし、半導体発光素子193においては、障壁層BLは高い濃度で不純物を含む層を含んでいない。
図2(e)に表したように、第4比較例の半導体発光素子194においては、障壁層BLが、不純物の濃度が高い高濃度障壁層XLHと、不純物の濃度が低い低濃度障壁層XLLと、を有している。そして、高濃度障壁層XLHがn型層20の側に配置され、低濃度障壁層XLLがp型層50の側に配置されている。この構成においては、高濃度障壁層XLHと低濃度障壁層XLLとの配置が、本実施形態に係る半導体発光素子110における障壁層BLの場合とは逆である。
図2(f)に表したように、第5比較例の半導体発光素子195においては、障壁層BLは、第2比較例における障壁層BLの構成と同じであり、井戸層WLが、高濃度井戸層YLHと低濃度井戸層YLLと、を有している。そして、高濃度井戸層YLHがn型層20の側に配置され、低濃度井戸層YLLがp型層50の側に配置されている。この構成においては、高濃度井戸層YLHと低濃度井戸層YLLとの配置が、本実施形態に係る半導体発光素子110における井戸層WLの場合とは逆である。
図3(a)に表したように、第6比較例の半導体発光素子196においては、障壁層BLが、2つの高濃度障壁層XLHと、低濃度障壁層XLLと、を有している。そして、高濃度障壁層XLHがn型層20の側とp型層50の側とに配置され、その間に低濃度障壁層XLLが配置されている。
図3(b)に表したように、第7比較例の半導体発光素子197においては、障壁層BLが、高濃度障壁層XLHと低濃度障壁層XLLとを有し、高濃度障壁層XLHがn型層20の側に配置され、低濃度障壁層XLLがp型層50の側に配置されている。そして、井戸層WLが、高濃度井戸層YLHと低濃度井戸層YLLとを有し、高濃度井戸層YLHがn型層20の側に配置され、低濃度井戸層YLLがp型層50の側に配置されている。すなわち、障壁層BL及び井戸層WLにおける高濃度の不純物層の配置が、本実施形態に係る半導体発光素子110とは逆である。
次に、半導体発光素子110、及び、第1〜第7比較例の半導体発光素子191〜197を実際に作製し、特性を評価した結果について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る半導体発光素子及び比較例の半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。
すなわち、図4(a)は、20mAの電流を通電した際の発光効率を示している。縦軸は、第1比較例の半導体発光素子191の発光効率を1とした規格化発光効率Irである。発光効率の測定においては、各半導体発光素子に、20mAの電流を通電し、その時の発光出力を測定し、その結果から発光効率を求めた。また、図4(b)は、20mAの電流が流れるときの駆動電圧を示している。縦軸は、第1比較例の半導体発光素子191の駆動電圧を1としたときの規格化駆動電圧Vrである。
図4(a)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110における発光効率(規格化発光効率Ir)は、比較例のいずれよりも高い。
また、図4(b)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110における駆動電圧(規格化駆動電圧Vr)は、比較例のいずれよりも低い。
このように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、発光効率及び駆動電圧の両方の特性を大幅に改善する。
一方、第1比較例の半導体発光素子191においては、発光効率が低く、駆動電圧が高い。これは、障壁層BL及び井戸層WLに高濃度の不純物層が設けられていないため、障壁層BL及び井戸層WLにおける結晶構造の対称性や結晶歪みにより分極電界が発生し、これにより障壁層BL及び井戸層WLのエネルギーバンドが傾斜し、これにより、発光部40内のキャリアが空間的に分離することが原因である。
一方、障壁層BLが本実施形態と類似の構成である第2比較例の半導体発光素子192においては、発光効率は、第1比較例の半導体発光素子191よりも向上しているが、その程度は低い。また、駆動電圧はほとんど変化していない。
また、井戸層WLが本実施形態と類似の構成である第3比較例の半導体発光素子193においては、駆動電圧は、第1比較例の半導体発光素子191よりも向上しているが、その程度は低い。また、発光効率はほとんど変化していない。
このように、障壁層BL及び井戸層WLの一方にのみ、高濃度の不純物層を設ける方法では、発光効率と駆動電圧の両方の特性を改善することが難しい。
第4比較例の半導体発光素子194においても、第1比較例よりは特性が改善するが、本実施形態と比較すると、発光効率が低く、駆動電圧が高い。これは、半導体発光素子194においては、高濃度障壁層XLHと低濃度障壁層XLLとの配置が半導体発光素子110とは逆であり、不純物濃度の制御性が低く、結晶性が悪いことに起因する。すなわち、反応炉内に残留した残留不純物によって、低濃度障壁層XLLにも不純物が過剰に含まれやすく、高濃度障壁層XLHと低濃度障壁層XLLとの界面の不純物濃度の急峻性が低下、つまり、障壁層BLの結晶性が劣化し易い。このため、本実施形態に比べ、結晶性が悪く、電界の抑制効果が小さいため、出力が低く、駆動電圧が高くなったものと考えられる。
第5比較例の半導体発光素子195においても、第1比較例よりは特性が改善するが、本実施形態と比較すると、発光効率が低く、駆動電圧が高い。これは、半導体発光素子195においては、井戸層WLの高濃度井戸層YLHと低濃度井戸層YLLの配置が、半導体発光素子110の場合と逆であることが原因している。すなわち、第5比較例の構成においては、井戸層WLの形成における、高濃度井戸層YLHから低濃度井戸層YLLへの切り替えの際に、不純物濃度を急峻に変化させることが実際上困難であり、不純物が低濃度井戸層YLLにも含まれ易く、このため、結晶性が劣化し易い。このため、半導体発光素子110に比べて、結晶性が悪いため、発光効率が低く、駆動電圧が高くなったものと考えられる。
第6比較例の半導体発光素子196においては、第1比較例に対して発光効率が若干向上したが駆動電圧はほとんど変化しない。これは、半導体発光素子196においては、2つの高濃度障壁層XLHの間に低濃度障壁層XLLが配置されており、第4比較例と同様に、本実施形態に比べて結晶性が悪く、電界の抑制効果が小さいことが原因と考えられる。
第7比較例の半導体発光素子197においては、第1比較例に対して駆動電圧が若干低下するが、発光効率はほとんど変化しない。これは、半導体発光素子197においては、障壁層BLの高濃度障壁層XLHと低濃度障壁層XLLの配置、並びに、井戸層WLの高濃度井戸層YLHと低濃度井戸層YLLの配置、が、半導体発光素子110の場合と逆であり、本実施形態に比べて結晶性が悪いことが原因と考えられる。
このように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、上記の比較例のいずれよりも、発光効率及び駆動電圧の両方において高い特性を発揮する。
なお、図3(c)に表したように、第8比較例の半導体発光素子198においては、障壁層BLの全ての部分が、高濃度で不純物を含む高濃度障壁層XLHである。高濃度障壁層XLHにおけるSi濃度は、例えば5×1017cm−3〜1×1019cm−3である。この構成の場合には、第1比較例の半導体発光素子191よりも駆動電圧は低減できるが、結晶性が悪化し、効率が低い。
また、図3(d)に表したように、第9比較例の半導体発光素子199においては、井戸層WLの全ての部分が、高濃度で不純物を含む高濃度井戸層YLHである。高濃度井戸層YLHにおけるSi濃度は、例えば5×1017cm−3〜1×1019cm−3である。この構成の場合にも、第1比較例の半導体発光素子191よりも駆動電圧は低減できるが、結晶性が著しく悪化し、効率が低い。
なお、図3(e)に表したように、第10比較例の半導体発光素子200においては、第3及び第4比較例の両方の構成が適用されている。この場合にも、高濃度障壁層XLHと低濃度障壁層XLLとの配置が、本実施形態に係る半導体発光素子110における障壁層BLの場合とは逆であるため、不純物濃度の制御性が悪く、結晶性が低下するため、やはり効率が低い。
このように、本実施形態に係る半導体発光素子110においては、高濃度で不純物を含む第2層BLHと第4層WLHとを、p型層50の側に配置することで、比較例のいずれよりも駆動電圧を低減でき、比較例のいずれよりも発光効率を向上することができる。
図5〜図9は、本発明の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図5に表したように本実施形態に係る別の半導体発光素子111においては、p型層50に最も近い最終障壁層BLZには、第1層BLLと第2層BLHとの積層構造が設けられておらず、最終障壁層BLZの全体は、不純物濃度が低い層(例えばアンドープ層)である。それ以外は、半導体発光素子110と同様である。
このように、第1層BLLと第2層BLHとの組み合わせは、障壁層BLの全てに設けられなくても良く、一部の障壁層BLに設けるだけでも、上記で説明した駆動電圧の低下と効率の向上の効果がある。
図6に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子112においては、n型層20に近い障壁層BLと井戸層WLとは、それぞれ、第1層BLLと第2層BLHとの組み合わせ、及び、第3層WLLと第4層WLHとの組み合わせ、を有しているが、p型層50に近い障壁層BLと井戸層WLとには、高濃度で不純物を含有する層が設けられていない。
図7に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子113においては、p型層50に近い障壁層BLと井戸層WLとは、それぞれ、第1層BLLと第2層BLHとの組み合わせ、及び、第3層WLLと第4層WLHとの組み合わせ、を有しているが、n型層20に近い障壁層BLと井戸層WLとには、高濃度で不純物を含有する層が設けられていない。
図8に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子114においては、n型層20及びp型層50に近い障壁層BLと井戸層WLとは、それぞれ、第1層BLLと第2層BLHとの組み合わせ、及び、第3層WLLと第4層WLHとの組み合わせ、を有しているが、n型層20とp型層50との間の中間部においては、障壁層BLと井戸層WLとには、高濃度で不純物を含有する層が設けられていない。
図9に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子115においては、n型層20とp型層50との間の中間部においては、障壁層BLと井戸層WLとは、それぞれ、第1層BLLと第2層BLHとの組み合わせ、及び、第3層WLLと第4層WLHとの組み合わせ、を有しているが、n型層20及びp型層50に近い障壁層BLと井戸層WLとには、高濃度で不純物を含有する層が設けられていない。
このように、障壁層BLの少なくともいずれかが、n型層20の側に設けられ、n型不純物の濃度が低い第1層BLLと、p型層50の側に設けられ、第1層BLLよりも高い濃度でn型不純物を含む第2層BLHと、を含み、井戸層WLの少なくともいずれかが、n型層20の側に設けられ、n型不純物の低濃度が低い第3層WLLと、p型層50の側に設けられ、第3層WLLよりも高い濃度でn型不純物を含む第4層WLHと、を含めば良い。
なお、複数の障壁層BLのうちの一部が第1層BLLと第2層BLHとを有し、複数の井戸層WLのうちの一部が第3層WLLと第4層WLHとを有する場合において、第1層BLLと第2層BLHとを有する障壁層BLと、第3層WLLと第4層WLHとを有する井戸層WLとは、互いに隣接していることが望ましい。これにより、高濃度の不純物領域である第2層BLH及び第4層WLH中の不純物から生じるキャリアによって、より効率的に障壁層BLおよび井戸層WLに生じる内部電界を抑制できる。
以下、本発明の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法について説明する。
本製造方法は、窒化物半導体からなるn型層20と、窒化物半導体からなるp型層50と、n型層20とp型層50との間に設けられ、窒化物半導体からなる複数の障壁層BLと、複数の障壁層BLのそれぞれの間に設けられ、障壁層BLにおけるバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有し、窒化物半導体からなる井戸層WLと、を有する発光部40と、を有し、障壁層BLの少なくともいずれかは、n型層20の側に設けられ、n型不純物の濃度が低い第1層BLLと、p型層50の側に設けられ、第1層BLLよりも高い濃度でn型不純物を含む第2層BLHと、を含み、井戸層WLの少なくともいずれかは、n型層20の側に設けられ、n型不純物の濃度が低い第3層WLLと、p型層50の側に設けられ、第3層WLLよりも高い濃度でn型不純物を含む第4層WLHと、を含む半導体発光素子の製造方法である。
図10は、本発明の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示するフローチャート図である。
図10に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子の製造方法においては、n型層20が形成された基板が配置された処理室内に、III族原料ガスとV族原料ガスとを導入して、n型層20の上に、第1層BLLを形成した後、n型不純物となる不純物原料ガスをさらに導入して第2層BLHを形成する(ステップS110)。
V族原料ガスには、例えばNHガスを用いることができる。
一方、III族原料ガスには、例えば、Ga(CHやGa(C等の有機金属Ga化合物ガス、並びに、In(CHやIn(C等の有機金属In化合物ガスを用いることができる。また、障壁層BL及び井戸層WLがAlを含む場合には、III族原料として、例えば、Al(CHやAl(C等の有機金属Al化合物ガスを用いることができる。
また、n型不純物としてSiを用いる場合には、不純物原料ガスとして、SiH等のSi水素化物ガスやSi(CH等の有機Si化合物ガスを用いることができる。
そして、III族原料ガス及び不純物原料ガスの供給を停止する(ステップS120)。すなわち、例えば、V族原料ガスだけが導入される期間を設ける。この期間の間に、処理室内に残留した不純物ガスが十分に排気されて除去される。これにより、処理室内には実質的に不純物ガスが残留しない状態が形成される。なお、障壁層BL及び井戸層WLの成長条件(例えば成長温度など)が異なる場合には、このステップS120中に成長条件の変更を行うことが可能である。
この後、III族原料ガスとV族原料ガスとを導入して、障壁層BLの上に、第3層WLLを形成した後、n型不純物となる不純物ガスをさらに導入して第4層WLHを形成する(ステップS130)。
なお、ステップS130においては、ステップS110よりも、例えばInの比率を高める。これにより、井戸層WL(第3層WLL及び第4層WLH)におけるバンドギャップエネルギーを、障壁層BLよりも小さくできる。
その後、III族原料ガス及び不純物原料ガスの供給を停止する(ステップS140)。
井戸層WLと障壁層BLの成長条件(例えば成長温度など)が異なる場合には、このステップS140中に成長条件の変更を行うことが可能である。
以下、上記のステップS110〜ステップS140を繰り返す。
ただし、2回目以降のステップS110においては、第1層BLLの形成は、第4層WLHの上に行われる。
この繰り返しにおいては、例えば、最初に整数jを「0」に設定し(ステップS101)、その後、整数jを、前の整数jに1加算したものとし(ステップS102)、上記のステップS110〜ステップS140を実施する。その後、整数jと、予め定めた積層数nと、の比較を行い(ステップS150)、整数jが積層数nに満たない場合は、ステップS110(この場合はステップ102)に戻り、上記の処理を繰り返す。
そして、整数jが積層数nに達したら、障壁層BL(最終障壁層BLZ)を形成する(ステップS110a)。すなわち、III族原料ガスとV族原料ガスとを導入して、第4層WLHの上に、第1層BLLを形成した後、n型不純物となる不純物原料ガスをさらに導入して第2層BLHを形成する。
なお、ステップS110aにおいて、III族原料ガスとV族原料ガスとを導入して、第4層WLHの上に第1層BLLを形成し、n型不純物となる不純物原料ガスを導入しなければ、最終障壁層BLZは、不純物濃度が低い層だけを有する構成となり、図5に例示した半導体発光素子111が作成できる。
また、図10に例示したフローチャートにおいて、ステップS110〜ステップS140の繰り返しの一部において、第2層BLH及び第4層WLHの形成のいずれかを省略することができる。これにより、例えば、図6〜図9に例示した半導体発光素子112〜115及びそれらの変形の半導体発光素子が作製できる。
この後、既に説明したp型層50及び各種の電極の形成、並びに、素子の分断を行い、本実施形態に係る半導体発光素子が製造される。p型不純物原料としてMgを用いる場合には、不純物原料ガスとして、(CMgや(CMg等の有機Mg化合物ガスを用いることができる。
このように、本実施形態に係る半導体発光素子の製造方法は、n型層20が形成された基板10が配置された処理室内に、III族原料ガスとV族原料ガスとを導入して第1層BLLを形成した後、n型不純物となる不純物原料ガスをさらに導入して第2層BLHを形成する第1処理と、III族原料ガス及び不純物原料ガスの供給を停止する第2処理と、III族原料ガスとV族原料ガスとを導入して第3層WLLを形成した後、不純物ガスをさらに導入して第4層WLHを形成する第3処理と、III族原料ガス及び不純物原料ガスの供給を停止する第4処理と、を含む。そして、上記の第1処理〜第4処理を繰り返して行うことをさらに含むことができる。
これにより、上記の第2処理(ステップS120)及び第4処理(ステップS140)において、処理室内に実質的に不純物ガスが残留しない状態が形成され、第1層BLL及び第3層WLL中の不純物濃度を十分に低下させることができ、結果として障壁層BL及び井戸層WLの結晶性を高めることができ、駆動電圧が低く、かつ、発光効率の高い半導体発光素子を製造できる。
なお、本実施形態に係る半導体発光素子及びその製造方法は、紫外〜青紫色〜青色〜緑色のLEDの他、紫外〜青紫色〜青色〜緑色のレーザダイオード(LD:Laser Diode)などに応用できる。
なお、本願明細書において、「窒化物半導体」は、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x,y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むものや、導電型などを制御するために添加される各種のドーパントのいずれかをさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子を構成するn型層、p型層、発光部、井戸層、障壁層、第1層〜第4層、電極、基板等、各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明によれば、低駆動電圧で高発光効率の半導体発光素子及びその製造方法が提供される。
10…基板、 11…バッファ層、 20…n型層、 21…n型GaN層、 22…n型GaNガイド層、 40…発光部、 50…p型層、 51…p型GaN第1ガイド層、 52…p型AlGaN層(電子オーバーフロー防止層)、 53…p型GaN第2ガイド層、 54…p型GaNコンタクト層、 70…n側電極、 80…p側電極、 110〜115、191〜200…半導体発光素子、 BL…障壁層、 BL〜BLn+1…第1障壁層〜第(n+1)障壁層、 BLH…第2層、 BLL…第1層、 BLZ…最終障壁層、 Ir…規格化発光効率、 Vr…規格化駆動電圧、 WL…井戸層、 WL〜WL…第1井戸層〜第n井戸層、 WLH…第4層、 WLL…第3層、 XLH…高濃度障壁層、 XLL…低濃度障壁層、 YLH…高濃度井戸層、 YLL…低濃度井戸層

Claims (10)

  1. 窒化物半導体からなるn型層と、
    窒化物半導体からなるp型層と、
    前記n型層と前記p型層との間に設けられ、
    窒化物半導体からなる複数の障壁層と、
    前記複数の障壁層のそれぞれの間に設けられ、前記障壁層におけるバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有し、窒化物半導体からなる井戸層と、
    を含み、少なくとも一部が発光する積層体と、
    を備え、
    前記複数の障壁層の少なくともいずれかは、
    前記n型層の側に設けられn型不純物の濃度が低い第1層と、
    前記p型層の側に設けられ、前記第1層よりも高い濃度でn型不純物を含む第2層と、を含み、
    前記井戸層の少なくともいずれかは、
    前記n型層の側に設けられn型不純物の濃度が低い第3層と、
    前記p型層の側に設けられ、前記第3層よりも高い濃度でn型不純物を含む第4層と、を含むことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記第1層及び前記第2層は、互いに異なるバンドギャップエネルギーを有していることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 前記第1層及び前記第2層の少なくともいずれかのバンドギャップエネルギーは、傾斜状または階段状に変化していることを特徴とする請求項2記載の半導体発光素子。
  4. 前記第2層及び前記第4層における前記n型不純物濃度は、5×1017cm−3以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
  5. 前記第2層及び前記第4層における前記n型不純物濃度は、1×1019cm−3以下であることを特徴とする請求項4記載の半導体発光素子。
  6. 前記第1層及び前記第3層における前記n型不純物濃度は、1×1017cm−3以下であることを特徴とする請求項5記載の半導体発光素子。
  7. 前記第1層及び前記第3層における前記n型不純物濃度は、1×1016cm−3以上であることを特徴とする請求項6記載の半導体発光素子。
  8. 前記第2層の厚さは、前記第1層の厚さ以下であることを特徴とする請求項7記載の半導体発光素子。
  9. 前記第4層の厚さは、前記第3層の厚さ以下であることを特徴とする請求項8記載の半導体発光素子。
  10. 前記n型不純物は、Si、Ge、Sn及びTeよりなる群から選択された少なくともいずれかであることを特徴とする請求項9記載の半導体発光素子。
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