JP2013030560A - 多層配線基板及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多層配線基板、複数の繊維が予め決められた繰り返しパターンで織られ、樹脂が含浸されて板状に形成された第1の絶縁層21と、複数の繊維が予め決められた繰り返しパターンで織られ、樹脂が含浸されて板状に形成された第2の絶縁層22と、第1の絶縁層21と第2の絶縁層22とを接着する樹脂層23とを備え、第1の絶縁層21の繰り返しパターン及び第2の絶縁層22の繰り返しパターンは、向きが揃うように配置され、且つ、第1の絶縁層21の繰り返しパターンの位置が、第2の絶縁層22の繰り返しパターンの位置に対して、予め決められた距離ずれている。
【選択図】図2
Description
その結果、多層配線基板の導電体層の間を電気接続するために形成されるビア導体は、そのひずみにより疲労破壊して接合不良が生じる場合がある。
しかしながら、本願発明者らは、多層配線基板のいずれの場所においても均一なひずみが発生するものではない、と考えた。
本発明は、多層配線基板の各絶縁層を構成する繊維の層間に生ずるひずみが低減された領域を形成することが可能な多層配線基板及び電子機器を提供することを目的とする。
複数の繊維が前記予め決められた繰り返しパターンで織られ、樹脂が含浸されて板状に形成された第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とを接着する樹脂層とを備え、
前記第1の絶縁層の繰り返しパターン及び前記第2の絶縁層の繰り返しパターンは、向きが揃うように配置され、且つ、前記第1の絶縁層の繰り返しパターンの位置が、前記第2の絶縁層の繰り返しパターンの位置に対して、予め決められた距離ずれている多層配線基板が適用される。
多層配線基板10は、図2に示すように、少なくともy軸方向に積層される第1の絶縁層21、第2の絶縁層22及び樹脂層23を有している。第1の絶縁層21の上側には、樹脂層25が積層されている。第2の絶縁層22の下側には、樹脂層27が積層されている。
多層配線基板10は、例えば、FR−4である。
第2の絶縁層22のガラス繊維は、第1の絶縁層21のガラス繊維が延びる方向に延びている。つまり、第1の絶縁層21のガラス繊維及び第2の絶縁層22のガラス繊維は、それぞれ同方向に延びるように配置されている。ここで、「同方向」とは、厳密な意味ではない。即ち、「同方向」とは、設計上、製造上の誤差が許容され、「略同方向」という意味である。具体的には、第1の絶縁層21及び第2の絶縁層22を平面視して、それぞれのガラス繊維が、例えば±5度の範囲内で互いに立体的に交差(以下、単に「交差」という。)していてもよい。なお、互いに5度の角度で交差したとしても、ずれの誤差への影響は、1回分の繰り返しパターンに対応する長さλの1%以下であり、製造誤差に含まれるので特に問題はない。
即ち、第1の絶縁層21及び第2の絶縁層22の繰り返しパターンは、そのパターンの向きが揃うように配置され、且つ、第1の絶縁層21の繰り返しパターンの位置が、第2の絶縁層22の繰り返しパターンの位置に対して、予め決められた距離δずれている。
樹脂層23は、第1の絶縁層21と第2の絶縁層22とを接着することができる。樹脂層23の厚みtは、製造時に生じるばらつきを考慮すると、例えば、10〜30μmとすることができる。
そこで、上記ビア導体、多層配線基板の各絶縁層を構成するガラス繊維、及びガラス繊維の層間に介在し、各ガラス繊維を接着する樹脂を含むモデルを作成し、このモデルに対する解析を行った。
具体的には、多層配線基板10の解析モデルに繰り返しの温度負荷を加え、前述の繰り返しパターンのずれ量(距離)δと多層配線基板10に形成されたビア導体に生じるひずみとの関係について、有限要素法によるシミュレーションを行い解析した。
このシミュレーションに用いたソフトウェアは、「ANSYS mechanical Ver.12.1」(ANSYS社)である。
解析条件は、以下の通りである。
要素タイプは、4面体要素である。
要素寸法は、図3Aに示すように、上方(y軸の正方向)からみて、略円形のビア導体の中央を中心とする一辺の長さが1.4〜1.5mmの四角形の範囲を、図3Cに示すコア材厚み400μmの厚さまで、約30μmのピッチで分割したものである。
解析モデルは、多層配線基板(FR−4)10のガラス繊維の経糸fx及び緯糸fzの形状をモデル化し、任意の位置に非貫通ビアIVHを形成したモデルである。ここで、非貫通ビア(以下、単に「ビア」という。)IVHは、第1の絶縁層21の表面から第2の絶縁層22まで貫通したビアである(図6参照)。
詳細には、解析モデルは、図3Aに示すように、ガラス繊維が平織りされたガラスクロスに樹脂を含浸させた板状の第1及び第2の絶縁層21、22が、樹脂層23を介して積層されたモデルである。多層配線基板10に形成されたビアIVHは銅めっきにより形成されている。
なお、ガラス繊維は、繊維一本の直径が9μmであり、経糸及び緯糸ともに、この繊維を400本束ねたものとした。また、ビアIVHの穴の外径は500μm、長さ(高さ)は400μmとした。銅めっきの厚さは20μmとした。
図3Aの○印で示す点P1〜P3をそれぞれ拘束した。点P1、P2は、多層配線基板10の底面の2つの角点である。点P3は、点P1、P2により固定された辺と対向する辺の中点である。各点P1〜P3の拘束方向は、同図3Aの△印で示している。
材料定数は、図3Dに示す値である。
解析モデルに対し、図4に示す繰り返しの温度負荷(−60℃〜120℃)を均一に与えた。
なお、1回分の繰り返しパターンに対応する長さλの1/2の距離までずらして解析することにより、第1の絶縁層21と第2の絶縁層22の相対的な位置関係を全て網羅することができる。例えば、x軸方向に+1/4λずらしたときと−1/4λずらしたときの第1の絶縁層21及び第2の絶縁層22の相対的な位置関係は、互いに逆方向からみれば同様とみなすことができる。
同グラフから分かるように、第1の絶縁層21の繰り返しパターンの位置を、第2の絶縁層22の繰り返しパターンの位置に対して、任意の距離ずらすことによって、ビアIVHに生ずるひずみの程度をコントロールすることができる。
以下、明示しない限り、「ひずみの程度」は最低ひずみに関するひずみの程度を示すものとして説明する。
領域Aは、経糸fxと緯糸fzが交差する部分におけるガラス繊維の端部(同図6に示した○印)が含まれる領域である。ただし、領域Aは、経糸fx及び緯糸fzの頂点(同図6に示した△印)が含まれない領域である。
領域Bは、経糸fxと緯糸fzが交差する部分において少なくともいずれかの頂点が含まれる領域である。
一方、領域Bは、第1の絶縁層21及び第2の絶縁層22の各ガラス繊維の層がともに厚くなり、各ガラス繊維間に介在する樹脂の層が薄くなる。この領域では、領域Aと異なり、ビアIVHに加わる応力を分散する効果が小さくなり、ひずみが増大する。
従って、従来のように第1の絶縁層21及び第2の絶縁層22のずれ量を管理しない場合の多層配線基板に対し、上記のように、互いの絶縁層を予め決められた距離ずらして、上記の領域Aにビア(非貫通ビア以外のビアを含む)を形成すると、多層配線基板の信頼性が向上する。
基礎となる解析モデルは実施例1で用いたモデルである。
同図7Aに示すように、少なくとも樹脂層23の厚みが30μm以下の範囲では、樹脂層23の厚みtとひずみの程度の比sとの相関が高い。
なお、得られたデータについて最小二乗法により直線近似すると、次式の関係が得られる。
同図7Bから、樹脂層23の厚みが30μm以下であって、0≦x≦0.15又は0.37≦x≦0.50の範囲(○印と△印と□印を含む範囲)について、ビアIVHのひずみの程度の比は、前述の式1により求まるひずみの程度の比の±3%の範囲に収まることが分かる。なお、±3%の範囲であれば、解析誤差と同等であり、実用に影響しない。
そこで、樹脂層23の厚みtのばらつきの最大値(27μm:1σ)以下の範囲において、ひずみの程度を、ずれ量δを考慮しない場合の平均値以下に抑えられる比率x(ずれの程度)の範囲を解析した。
解析モデルは実施例1のモデルを用い、図3Cに示す樹脂層23の厚みを変更して解析した結果である。
同図9に示すように、樹脂層23の厚みtが20μmの場合における、第1及び第2の絶縁層21、22の繊維の繰り返しパターンのずれによって生ずるひずみの程度の平均値の大きさをMとすると、樹脂層23の厚みtが27μm以下の範囲において、ひずみの程度をこの平均値M以下とすることができる比率x(ずれの程度)の範囲は、ハッチングにて示した0.03≦x≦0.10又は0.43≦x≦0.46となる。
また、前述の実施の形態において、経糸と緯糸の織り方は平織りに限定されるものではなく、例えば、綾織であっても良い。
Claims (5)
- 複数の繊維が予め決められた繰り返しパターンで織られ、樹脂が含浸されて板状に形成された第1の絶縁層と、
複数の繊維が前記予め決められた繰り返しパターンで織られ、樹脂が含浸されて板状に形成された第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とを接着する樹脂層とを備え、
前記第1の絶縁層の繰り返しパターン及び前記第2の絶縁層の繰り返しパターンは、向きが揃うように配置され、且つ、前記第1の絶縁層の繰り返しパターンの位置が、前記第2の絶縁層の繰り返しパターンの位置に対して、予め決められた距離ずれている多層配線基板。 - 請求項1記載の多層配線基板において、1回分の前記繰り返しパターンに対応する長さに対する前記予め決められた距離の比率をxとしたとき、0≦x≦0.15又は0.37≦x≦0.50となるように設定されている多層配線基板。
- 請求項2記載の多層配線基板において、前記樹脂層の厚さが30μm以下である多層配線基板。
- 請求項2又は3記載の多層配線基板において、前記複数の繊維は、経糸及び緯糸により構成され、
ビア導体が、平面視して前記経糸と前記緯糸が交差する部分にて、前記経糸及び前記緯糸のそれぞれの頂点を含まない領域に形成されている多層配線基板。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層配線基板を用いた電子機器。
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JP2011164652A JP2013030560A (ja) | 2011-07-27 | 2011-07-27 | 多層配線基板及び電子機器 |
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