JP2013029556A - 感光性組成物 - Google Patents

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Tetsufumi Takamoto
哲文 高本
Takayasu Yasuda
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Abstract

【課題】良好な表面タック性を備え、支持体との剥離性に優れると同時に、パターン形成後の硬化層の反りが生じにくく、しかも耐折性及び難燃性にも優れた感光性組成物の提供。
【解決手段】
(A)酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、(B)エラストマー及び/又は平均粒径が0.1〜5μmのゴム微粒子、(C)光重合開始剤、(D)熱架橋剤、及び(E)ホスフィン酸金属塩を含有する、感光性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブル基板用ソルダーレジスト材料として好適な感光性組成物、感光性ドライフィルム、感光性積層体、フレキシブル配線基板、フレキシブル配線基板の製造方法、及び永久パターン形成方法に関する。
従来より、ソルダーレジスト等の永久パターンを形成するに際して、液状レジストや、支持体上に感光性組成物を塗布し、乾燥することにより感光層を形成させた感光性ドライフィルムが用いられてきている。ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する方法としては、例えば、永久パターンが形成される銅張積層板等の基体上に、液状レジストや感光性ドライフィルムを用いて感光層を積層させて積層体を形成し、感光層に対して露光を行い、該露光後、感光層を現像してパターンを形成させ、その後硬化処理等を行うことにより永久パターンを形成する方法などが知られている。
前記ソルダーレジストに用いる感光性組成物においては、パターン形成の解像性の向上、パターン形成後の硬化層の反りの抑制、当該硬化層の絶縁性、耐衝撃性等の向上が求められており、さらに、フレキシブル基板用ソルダーレジストに用いる場合には、硬化層の耐折性及び難燃性の向上をも要求される。
一般に、上記感光性ドライフィルムを用いると、液状レジストを用いる場合に比べて作業性に優れ、生産性を高めることができる。また、基体上に、膜厚均一性や表面平滑性により優れた硬化膜を形成できることも知られている。
一方、感光性ドライフィルムから基体上に感光層を転写する際には気泡が混入しやすい。気泡の混入を防ぐためには、感光性組成物の流動性を上げて基体への追従性を向上させる必要があるが、通常、流動性の上昇はタック性(べたつき)の上昇を招き、感光層と支持体との剥離性が悪化してしまう。
このような問題を解決する手段として、特許文献1には、エラストマーを含有させた感光性樹脂組成物が報告されており、支持体剥離性やラミネート性及び耐めっき性が改善されたことが記載されている。また、上記エラストマーと同様に弾力性を有する材料を含む感光性樹脂組成物として、特許文献2には、ゴム微粒子を含有する樹脂組成物の発明が記載されており、耐衝撃性に優れることが記載されている。しかし、特許文献1及び2には、耐熱性や耐折性をも向上させた感光性組成物に関する記載はない。
特開2010−169809号公報 特開平9−40751号公報
本発明は、良好な表面タック性を備え、支持体との剥離性に優れると同時に、パターン形成後の硬化層の反りが生じにくく、しかも耐折性及び難燃性にも優れた感光性組成物の提供を課題とする。また、該感光性組成物を用いた感光性ドライフィルム、感光性積層体、フレキシブル配線基板、フレキシブル配線基板の製造方法、及び永久パターン形成方法の提供を課題とする。
本発明の課題は、下記の手段によって達成された。
<1>(A)酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、(B)エラストマー及び/又は平均粒径が0.1〜5μmのゴム微粒子、(C)光重合開始剤、(D)熱架橋剤、及び(E)ホスフィン酸金属塩を含有する、感光性組成物。
<2>(B)成分中のエラストマーが(A)成分と非相溶である、<1>に記載の感光性組成物。
<3>(B)成分中のエラストマーが、(A)成分を光重合及び/又は熱架橋剤で硬化した場合に、該(A)成分と非相溶となる、<1>又は<2>に記載の感光性組成物。
<4>(B)成分のゴム微粒子がシリコーン系の微粒子である、<1>〜<3>のいずれかに記載の感光性組成物。
<5>(A)成分が、下記一般式(UE1)で表される部分構造を有する、<1>〜<4>のいずれかに記載の感光性組成物。
Figure 2013029556

一般式(UE1)において、LUEは下記一般式(1)〜(3)のいずれかの部分構造を有し、かつ主鎖の結合に−NHC(=O)O−もしくは−OC(=O)NH−を含まない2価の連結基を表す。
Figure 2013029556
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
Figure 2013029556
一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
Figure 2013029556
一般式(3)において、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここでR13は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
<6>前記LUEが、前記一般式(1)〜(3)のいずれかの部分構造を1つ有する、<5>に記載の感光性組成物。
<7>(A)成分が、ポリマー主鎖の末端に酸基を有する基を有する、<1>〜<6>のいずれかに記載の感光性組成物。
<8>(A)成分が、下記一般式(U1)で表される部分構造を有する、<1>〜<7>のいずれかに記載の感光性組成物。
Figure 2013029556
一般式(U1)において、LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
<9>(A)成分100質量部に対して(B)成分を2〜50質量部含有することを特徴とする、<1>〜<8>のいずれかに記載の感光性組成物。
<10>感光性組成物中の(A)成分の含有量が、感光性組成物中に存在する酸変性樹脂全体の50質量%以上である、<1>〜<9>のいずれかに記載の感光性組成物。
<11>(E)成分が下記一般式(20)で表される。<1>〜<10>のいずれかに記載の感光性組成物。
Figure 2013029556
一般式(20)において、A及びBは、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、及びKのいずれかを表す。mは、1〜4の整数を表す。
<12>(F)重合性化合物を含有する、<1>〜<11>のいずれかに記載の感光性組成物。
<13><1>〜<12>のいずれかに記載の感光性組成物を含む感光層を有する、感光性ドライフィルム。
<14>基材上に、<1>〜<12>のいずれかに記載の感光性組成物を含む感光層を有する、感光性積層体。
<15>基材上に、<1>〜<12>のいずれかに記載の感光性組成物を含む感光層を光硬化して得られるレジストパターンを有してなる、フレキシブル配線板。
<16><13>に記載の感光性ドライフィルムが有する感光層を基材上に転写し、転写した感光層を露光及び現像処理してレジストパターンを形成することを含む、フレキシブル配線板の製造方法。
<17><1>〜<12>のいずれかに記載の感光性組成物を含む感光層に対して露光することを含む、永久パターン形成方法。
本発明の感光性組成物は、ガラス転移温度を低下させることなくタック性を抑えることができ、支持体との剥離性に優れる。また、パターン形成後の硬化層の反りが生じにくく、しかも耐折性及び難燃性のいずれにも優れる。
また、本発明の感光性ドライフィルム及び感光性積層体は、上記効果を奏する感光性組成組成物を有する。
また、本発明のフレキシブル配線基板は、上記効果を奏する感光性組成物を硬化させて得られるレジストパターンを有する。
また、本発明のフレキシブル配線板の製造方法によれば、反りが少なく、耐折性及び難燃性にも優れた所望のパターンの硬化層を有するフレキシブル配線板を製造することができる。
また、本発明の永久パターン形成方法によれば、パターン形成後に硬化層の反りが生じにくく、しかも耐折性及び難燃性に優れた所望のパターンの硬化層を形成できる。
(感光性組成物)
本発明の感光性組成物は、酸変性エチレン性不飽和基含有ポリポリウレタン樹脂((A)成分)と、エラストマー及び/又は特定粒径のゴム微粒子((B)成分)と、光重合開始剤((C)成分)と、熱架橋剤((D)成分)と、ホスフィン酸金属塩((E)成分)とを少なくとも含有する。また、必要に応じて重合性化合物((F)成分)、硬化促進剤などのその他の成分を含有してもよい。
<酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂>
酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、本発明においては、特に、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ポリウレタン樹脂が好ましい。本発明において、側鎖とは、ポリウレタン樹脂の主鎖を構成する原子の鎖から分岐もしくは主鎖を構成する原子に置換して連結した鎖であり、側鎖にエチレン性不飽和基を有すとは、エチレン性不飽和基をこのような側鎖に含むか、主鎖を構成する原子にエチレン性不飽和基が直接置換している。例えば、HOCHCH=CHCHOHのジオールとOCN(CHNCOとの反応のみで得られるポリウレタン樹脂は主鎖にエチレン性不飽和基を含むものである。
また、エチレン性不飽和基とは、臭素価やヨウ素価の測定で消費されるエチレン結合を有する基であり、ベンゼンのような芳香族を示す基ではない。エチレン性不飽和基は置換基を有してもよいビニル基が好ましい。
本発明で使用する酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の好ましい分子量、酸価およびエチレン性不飽和基当量および感光性組成物の好ましい含有量を以下に説明する。
<<分子量>>
酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5,000〜60,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましく、5,000〜30,000が特に好ましい。質量平均分子量が、5,000未満であると、本発明の感光性組成物を感光性ソルダーレジストに用いた場合には、硬化膜の高温時の十分な低弾性率が得られないことがあり、60,000を超えると、塗布適性及び現像性が悪化することがある。これに加えて、無機充填剤を使用した場合には、無機充填剤の分散性に優れ、クラック耐性と耐熱性にも優れ、アルカリ性現像液による非画像部の現像性に優れる。
ここで、前記質量平均分子量は、高速GPC装置(東洋曹達株式会社製、HLC−802A)を用いて測定することができる。具体的には、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgel HZM−M 1本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器又はUV検出器(検出波長254nm)により測定する。そして、標準ポリスチレンで較正した分子量分布曲線より質量平均分子量を求めることができる。
<<酸価>>
酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mgKOH/g〜120mgKOH/gが好ましく、30mgKOH/g〜110mgKOH/gがより好ましく、35mgKOH/g〜100mgKOH/gが特に好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満であると、現像性が不十分となることがあり、120mgKOH/gを超えると、現像速度が高すぎるため現像のコントロールが難しくなることがある。
ここで、酸価は、例えば、JIS K0070に準拠して測定することができる。なお、サンプルが溶解しない場合は、溶媒としてジオキサン又はテトラヒドロフランなどを使用する。なお、酸価は上記樹脂の固形分酸価である。
<<エチレン性不飽和基当量>>
酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂のエチレン性不飽和基当量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mmol/g〜2.0mmol/gが好ましく、0.5mmol/g〜1.9mmol/gがより好ましく、0.75mmol/g〜1.8mmol/gが特に好ましい。エチレン性不飽和基当量が、0.05mmol/g未満であると、硬化膜の耐熱性が劣ることがあり、2.0mmol/gを超えると、耐折性が悪化することがある。
ここで、エチレン性不飽和基当量は、例えば、臭素価を測定することにより求めることができる。前記臭素価は、例えば、JIS K2605に準拠して測定することができる。
なお、ここで、エチレン性不飽和当量は、代表的にはビニル基当量であり、上記臭素価で得られた測定する樹脂100gに対して付加した臭素(Br)のグラム数(gBr/100g)から、樹脂1g当たりの付加した臭素(Br)のモル数に変換した値である。
以下に、本発明において側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ウレタン樹脂の好ましい態様を説明する。
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その側鎖に、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基のうち少なくとも1つを有するものが挙げられる。
Figure 2013029556
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。ここで、1価の有機基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、ウレイド基、ウレタン基などが挙げられ、これらの基はさらにこれらの置換基で置換されていてもよい。なお、以降の各基や各一般式における1価の有機基もしくは置換基も同様の基が挙げられる。
1は、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。また、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。R12は、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
ここで、上記の各基が有してもよい置換基(置換基を有してもよいアルキル基等における、有してもよい置換基)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記の1価の有機基で挙げた基が挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。
Figure 2013029556
一般式(2)において、R4〜R8は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。R4〜R8としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ここで、1価の有機基としては、前記一般式(1)におけるR〜Rで挙げた基が挙げられる。R4〜R8は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
上記の各基が有してもよい置換基としては、前記一般式(1)と同様のものが挙げられる。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12は、前記一般式(1)のR12と同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 2013029556
一般式(3)において、R9〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。ここで、1価の有機基としては、前記一般式(1)におけるR〜Rで挙げた基が挙げられる。R9は、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。R10及びR11は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
ここで、上記の各基が有してもよい置換基としては、一般式(1)と同様のものが挙げられる。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13は、水素原子、又は1価の有機基を表す。R13は、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
一般式(1)〜(3)で表される基のうち、一般式(1)で表される基が好ましく、架橋硬化膜形成性の点で、一般式(1)におけるRがメチル基でかつRとRが水素原子である基、一般式(1)におけるR〜Rがいずれも水素原子である基、一般式(3)におけるZがフェニレン基であるスチリル基が好ましく、一般式(1)におけるRがメチル基でかつRとRが水素原子である基、一般式(1)におけるR〜Rがいずれも水素原子である基がより好ましく、架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の点で、一般式(1)におけるRがメチル基でかつRとRが水素原子である基が特に好ましい。ここで、一般式(1)におけるXは酸素原子が好ましく、エチレン性不飽和基としては、メタクリロイルオキシ基またはアクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基が最も好ましい。
側鎖にエチレン性不飽和基を導入するには、(i)エチレン性不飽和基をジイソシアネート化合物またはジオール化合物に有する化合物との重合反応で得る方法と、(ii)カルボキシル基含有ポリウレタンと、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得る方法とが挙げられる。
以後、(i)の方法で得られたポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(i)とも称し、(ii)の方法で得られたポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(ii)とも称す。また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂とはポリウレタン樹脂(i)と(ii)の両方を含む概念である。
本発明においては、(i)の方法で得られたポリウレタン樹脂(i)が好ましい。
−ポリウレタン樹脂(i)−
ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とジオール化合物(少なくとも2つの水酸基を有する化合物)との反応で合成される樹脂である。ポリウレタン樹脂(i)は、下記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、下記一般式(5)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
OCN−X−NCO ・・・ 一般式(4)
HO−Y−OH ・・・ 一般式(5)
一般式(4)及び(5)において、X及びYは、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
前記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物、又は、前記一般式(5)で表されるジオール化合物の少なくともどちらか一方が、前記一般式(1)〜(3)で表される基のうち少なくとも1つを有していれば、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、側鎖に前記一般式(1)〜(3)で表される基が導入されたポリウレタン樹脂が生成される。かかる方法によれば、ポリウレタン樹脂の反応生成後に所望の側鎖を置換、導入するよりも、側鎖に前記一般式(1)〜(3)で表される基が導入されたポリウレタン樹脂を容易に製造することができる。
前記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリイソシアネート化合物と、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物、などが挙げられる。
前記トリイソシアネート化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0034〕〜〔0035〕に記載された化合物、などが挙げられる。
前記不飽和基を有する単官能のアルコール又は前記単官能のアミン化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0037〕〜〔0040〕に記載された化合物、などが挙げられる。
側鎖に不飽和基を含有するジイソシアネート化合物を用いる方法におけるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トリイソシアネート化合物と不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させることにより得ることできるジイソシアネート化合物であって、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0042〕〜〔0049〕に記載された側鎖に不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂(i)は、重合性組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、前記エチレン性不飽和基を含有するジイソシアネート化合物以外のジイソシアネート化合物を共重合させることもできる。
前記共重合させるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、下記一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物である。

OCN−L1−NCO ・・・ 一般式(6)

一般式(6)において、L1は、置換基を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。必要に応じ、L1は、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基を有していてもよい。
前記一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;などが挙げられる。
一般式(4)または(6)で表されるジイソシアネート化合物(特に一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物)は異なる種類のものを組み合わせて用いてもよいが、耐折性を向上できる点で、少なくとも1種は芳香族のジイソシアネート化合物であることが好ましい。芳香族のジイソシアネート化合物としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フェナントレン型、又はアントラセン型の骨格を有するジイソシアネート化合物であることが好ましく、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型の骨格を有するジイソシアネート化合物であることがより好ましい。
これらの各型の骨格は、下記一般式で表される。
Figure 2013029556
上記において、R、Rは各々独立に置換基を表し、置換基としては炭素数が2〜5のアルキル基が好ましい。lおよびlは各々独立に0〜4の整数を表す。lおよびlは0または1が好ましい。lは0〜6の整数を表す。lは0〜8の整数を表す。lは0〜2が好ましく、lは0または2が好ましい。l〜lが2以上の時、複数のR、Rは互いに同一でも異なってもよい。上記ナフタレン型、フェナントレン型及びアントラセン型において、Rは縮環を構成するいずれの環の置換基であってもよい。
前記ジイソシアネート化合物は芳香族のジイソシアネート化合物と脂肪族のジイソシアネート化合物を組み合わせることが、硬化後の反りを抑制し耐折性を向上する観点でより好ましい。脂肪族のジイソシアネート化合物としては例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましい。
前記一般式(5)で表されるジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物、などが挙げられる。
ここで、ポリウレタン樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、前述の方法の他にも、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法を好適に用いることができる。前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物等の化合物と、不飽和基を含有する、カルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物等の化合物との反応により製造される化合物であってもよい。
このようなエチレン性不飽和基を有するジオール化合物としては、下記一般式(UE)で表される化合物が好ましく、ポリウレタン樹脂中には、下記一般式(UE1)で表される部分構造を有することになる。
Figure 2013029556
一般式(UE)、(UE1)において、LUEは側鎖にエチレン性不飽和基を1つ有し、主鎖の結合に−NHC(=O)O−もしくは−OC(=O)NH−を含まない2価の連結基であって、かつ側鎖にエチレン性不飽和基を1つ有する2価の連結基を表す。
一般式(UE)で表される化合物は、下記一般式(UE−1)〜(UE−6)で表される化合物が好ましい。なお、下記一般式(UE−7)で表される化合物は、前記一般式(UE)で表される化合物以外に好ましい化合物である。
Figure 2013029556
一般式(UE−1)〜(UE−7)において、Eは単結合または2価の連結基(2価の有機残基)を表し、Eは単結合または−CH−以外の2価の連結基を表す。Aは2価の連結基を表す。Qは前記一般式(1)〜(3)のいずれかの基を表す。E、Eにおける2価の連結基としては、例えば、−O−、−S−、−OCH(CH−Q)CH−、−CO−CH−、−OCHC(CH−Q)CH−、−O−CONHCHCH−、−OC(=O)−、−CONHCHCH−、−CHC(CH−Q)CH−、−CH−、−NHCONHCHCH−、−NHCH(CH−Q)CH−、−NCH(CH−Q)CH−、−NHCHC(CH−Q)CH−、−NH−CH(CH−Q)CH−、−C(=O)−、−CO−CHCH−、−CO−CHCHCH−等が挙げられる。なお、ここで、Qは一般式(1)〜(3)のいずれかの基を表す。
これらの具体的な化合物は特開2005−250438号公報の段落「0057」〜「0060」に記載された化合物が挙げられる。
上記一般式(UE−1)〜(UE−7)で表される化合物のうち、前記一般式(UE−1)〜(UE−6)で表される化合物が好ましく、前記一般式(UE−6)で表される化合物がさらに好ましい。また、一般式(UE−6)で表される化合物のなかでも、下記一般式(G)で表される化合物が特に好ましい。なお、一般式(G)で表される化合物は、ポリウレタン樹脂中では、下記一般式(G1)で表される部分構造を有すことになる。
Figure 2013029556
一般式(G)、(G1)において、R1〜R3は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
なお、前記一般式(G)、(G1)におけるR1〜R3及びXは、前記一般式(1)におけるR1〜R3及びXと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
一般式(G)で表される化合物は、特開2005−250438号公報の段落〔0064〕〜〔0066〕に記載された化合物が挙げられ、本発明に好ましい。
前記一般式(G)で表されるジオール化合物に由来するポリウレタン樹脂を用いることにより、立体障害の大きい2級アルコールに起因するポリマー主鎖の過剰な分子運動を抑制効果により、層の被膜強度の向上が達成できるものと考えられる。
本発明のポリウレタン樹脂(i)は酸変性であり、この酸変性における酸としてはカルボン酸、スルホン酸が挙げられるが、カルボン酸が特に好ましい。ポリウレタン樹脂(i)の合成には、カルボキシル基を有するジオール化合物を使用することで、酸変性することが好ましい。前記カルボキシル基を有するジオール化合物としては、例えば、以下の式(17)〜(19)に示すものが含まれる。
Figure 2013029556
式(17)〜(19)において、R15は、水素原子又は置換基(例えば、シアノ基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子、−CONH2、−COOR16、−OR16、−NHCONHR16、−NHCOOR16、−NHCOR16、−OCONHR16(ここで、R16は、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基が好ましい。前記式(17)〜(19)中、L9、L10、L11は、それぞれ同一でもよいし、相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8個のアルキレン基がより好ましい。また必要に応じ、前記L9〜L11中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、エーテル基を有していてもよい。なお、前記R15、L7、L8、L9のうちの2個又は3個で環を形成してもよい。
前記式(18)中、Arとしては、置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜15個の芳香族基が好ましい。
前記式(17)〜(19)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カルボキシル基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0047〕に記載された化合物、などが挙げられる。
このようなカルボキシル基の存在により、ポリウレタン樹脂に水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。このようにカルボキシル基を導入することにより、酸価を、前述のような、本発明において好ましい範囲に調整することができる。
このようなカルボキシル基の存在により、ポリウレタン樹脂に水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。このようにカルボキシル基を導入することにより、酸価を、前述のような、本発明において好ましい範囲に調整することができる。
また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成には、上述したジオール化合物の他に、テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物を併用することもできる。
前記テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0095〕〜〔0101〕に記載された化合物、などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂(i)は、例えば、重合性組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物やカルボキシル基を含有するジオール化合物以外のジオール化合物を共重合させることができ、本発明においては、このようなジオール化合物を共重合させることが特に好ましい。
このようなジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子のジオール化合物やポリマージオール化合物であるポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物、m−ジヒドロキシベンゼンのポリカーボネート化合物などを挙げることできる。
このようなジオール化合物は、下記一般式(U)として表され、ポリウレタン樹脂として組み込まれると、下記一般式(U1)で表される部分構造で表される。
Figure 2013029556
一般式(U)及び(U1)において、LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
U1は、例えば、アルキレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基が挙げられ、該アルキレン基は、アルキレン基の鎖中に−O−、−OCOO−、フェニレン基、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、−OCO−Z−COO−(Zはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を表す。)を含んでもよい。
一般式(U)で表されるジオール化合物のうち、低分子のジオール化合物としては、質量平均分子量が400未満のものが好ましく、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0048〕に記載された化合物、などが挙げられる。
本発明においては、ポリマージオール化合物が好ましく、以下に詳細に説明する。
−ポリマージオール化合物−
前記ポリマージオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック共重合体又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのブロック共重合体又はランダム共重合体等のポリエーテルジオール類;多価アルコール又はポリエーテルジオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルジオール類;グリコール又はビスフェノールと炭酸エステルとの反応、あるいは、グリコール又はビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを作用させる反応などで得られるポリカーボネートジオール類;カプロラクトン変性ポリテトラメチレンジオール等のカプロラクトン変性ポリマージオール、ポリオレフィン系ポリマージオール、水添ポリブタジエンジオール等のポリブタジエン系ポリマージオール、シリコーン系ポリマージオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において好ましい化合物や部分構造は前記一般式(U)、(U1)におけるLU1が、−(CHCHO)nU1CHCH−、−〔CHCH(CH)O〕nU1−CHCH(CH)−、−(CHCHCHO)nU1−CHCHCH−、−〔(CH)nU2−OC(=O)−(CH)nU3−C(=O)O〕nU4−O(CH)nU2−または−〔(CH)nU5−OC(=O)O〕nU6−(CH)nU7−である。ここで、nU1〜nU7は各々独立に1以上の数を表す。
また、一般式(U)で表される化合物は、後述の一般式(III−1)〜(III−6)で表されるジオール化合物も好ましい。
前記ポリエーテルジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0068〕〜〔0076〕に記載された化合物、などが挙げられる。
前記ポリエステルジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0077〕〜〔0079〕、段落〔0083〕〜〔0085〕におけるNo.1〜No.8及びNo.13〜No.18に記載された化合物、などが挙げられる。
前記ポリカーボネートジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0080〕〜〔0081〕及び段落〔0084〕におけるNo.9〜No.12で記載された化合物、などが挙げられる。
また、上述したジオール化合物の他に、イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物を併用することもできる。
前記イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0087〕〜〔0088〕に記載された化合物、などが挙げられる。
このようなポリマージオール化合物の質量平均分子量は、400〜8,000であることが好ましく、500〜5,000であることがより好ましく、600〜3,000であることがさらに好ましく、800〜2,000であることが特に好ましい。質量平均分子量が、400未満であると、耐折性が十分に得られないことがあり、8,000を超えると、得られるポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が低下しすぎるため、絶縁信頼性が低下してしまうことがある。
ここで、質量平均分子量は、例えば高速GPC装置(東洋曹達株式会社製、HLC−802A)を使用して、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgel HZM−M 1本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器あるいはUV検出器(検出波長254nm)により測定することができる。
酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂中における前記一般式(U1)で表される部分構造の質量比率は、10〜60%が好ましく、20〜60%であることがより好ましく、25〜55%であることがさらに好ましく、30〜50%であることがさらに好ましい。前記質量比率が10%未満であると硬化後の反り抑制が困難になることがあり、60%を超えると光硬化の感度が低下しすぎて解像性が悪化してしまうことがある。
また、本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂としては、ポリマー末端、主鎖に不飽和基を有するものも好適に使用される。ポリマー末端、主鎖に不飽和基を有することにより、更に、感光性組成物と側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂との間、又は側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂間で架橋反応性が向上し、光硬化物強度が増す。ここで、不飽和基としては、架橋反応の起こり易さから、炭素−炭素二重結合を有することが特に好ましい。
ポリマー末端に不飽和基を導入する方法としては、以下に示す方法がある。即ち、上述した側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成の工程での、ポリマー末端の残存イソシアネート基と、アルコール類又はアミン類等で処理する工程において、不飽和基を有するアルコール類又はアミン類等を用いればよい。このような化合物としては、具体的には、先に、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物として挙げられた例示化合物と同様のものを挙げることができる。
なお、不飽和基は、導入量の制御が容易で導入量を増やすことができ、また、架橋反応効率が向上するといった観点から、ポリマー末端よりもポリマー側鎖に導入されることが好ましい。
導入されるエチレン性不飽和結合基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋硬化膜形成性の点で、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基が好ましく、メタクリロイル基、アクリロイル基がより好ましく、架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の点で、メタクリロイル基が特に好ましい。
また、メタクリロイル基の導入量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エチレン性不飽和基当量としては、0.05mmol/g〜2.0mmol/gが好ましく、0.5mmol/g〜1.90mmol/gがより好ましく、0.75mmol/g〜1.80mmol/gが特に好ましい。
主鎖に不飽和基を導入する方法としては、主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物をポリウレタン樹脂の合成に用いる方法がある。前記主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばcis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、ポリブタジエンジオール、などが挙げられる。
本発明においては、本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ポリウレタン樹脂としては、ポリマー主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を有するものも、アルカリ性現像液による非画像部の現像性に優れる点で好適に用いられる。ポリマー主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を有し、2つ以上5つ以下のカルボキシル基を有することが好ましく、2つのカルボキシル基を有することが現像性に優れ、微細パターン形成性の点で特に好ましい。
なお、前記ポリウレタン樹脂における主鎖の末端は、2つあるが、片末端に少なくとも1つのカルボキシル基を有することが好ましく、両末端に少なくとも1つのカルボキシル基を有していてもよい。
前記ポリウレタン樹脂の主鎖の末端に、下記一般式(AD)で表される構造を有することが好ましい。
一般式(AD)
−L100−(COOH)
一般式(AD)において、L100は、(n+1)価の有機連結鎖を表し、nは1以上の整数を示し、1〜5が好ましく、2が特に好ましい。
100で表される有機連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を含んで構成され、具体的には、L100で表される有機連結基の主骨格を構成する原子数は、1〜30が好ましく、1〜25がより好ましく、1〜20が更に好ましく、1〜10が特に好ましい。
なお、前記「有機連結基の主骨格」とは、前記ポリウレタン樹脂の主鎖と末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を意味し、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。
前記ポリウレタン樹脂の主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂製造の原料として、少なくとも1つのカルボキシル基を有するカルボン酸化合物を用いる方法などが挙げられる。
前記カルボン酸化合物としては、カルボキシル基を1つ有するモノカルボン酸化合物、カルボキシル基を2つ有するジカルボン酸化合物、カルボキシル基を3つ有するトリカルボン酸化合物、カルボキシル基を4つ有するテトラカルボン酸化合物、カルボキシル基を5つ有するペンタカルボン酸化合物などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基を2つ有するジカルボン酸化合物が、現像性に優れ、微細パターン形成性の点で特に好ましい。
前記カルボン酸化合物としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(ADH)で表される化合物が好適である。
一般式(ADH)
H−O−L200−Y100−L100−(COOH)n
一般式(ADH)において、L100及びnは、前記一般式(AD)と同じ意味を表す。Y100は2価以上の原子を表す。L200は単結合又は置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
100における2価以上の原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、炭素原子、ケイ素原子、などが挙げられる。これらの中でも、窒素原子、炭素原子が特に好ましい。ここで、Y100で表される原子が2価以上であるとは、少なくともY100が、L100及びL200を介して末端−COOHが結合する2つの結合手を有することを意味するが、Y100は、更に水素原子、又は置換基を有していてもよい。
100に導入可能な置換基としては、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びハロゲン原子から選択される原子を含んで構成される置換基が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜50の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜40の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1〜30の炭化水素基が特に好ましい。
200におけるアルキレン基としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素原子数2〜10のアルキレン基がより好ましい。前記アルキレン基に導入可能な置換基としては、例えばハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、置換基を有していてもよいアルキル基、などが挙げられる。
前記一般式(ADH)で表されるカルボン酸化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳酸、リンゴ酸、ヒドロキシへキサン酸、クエン酸、ジオール化合物と酸無水物の反応物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、リンゴ酸が特に好ましい。
本発明で使用するポリウレタン樹脂(i)の具体例としては、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0293〕〜〔0310〕に示されたP−1〜P−31のポリマー、などが挙げられる。これらの中でも、段落〔0308〕及び〔0309〕に示されたP−27及びP−28のポリマーが好ましい。
本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、前記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を、非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。合成に使用されるジイソシアネート及びジオール化合物のモル比(M:Mb)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1:1〜1.2:1が好ましく、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、分子量あるいは粘度といった所望の物性の生成物が、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、特に、前述のジイソシアネート化合物と、ジオール化合物として、分子内に2つの水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、分子内に2つの水酸基を有するカルボン酸および前述のポリマージオール化合物とを反応させて得ることが好ましく、これに加え、一般式(ADH)で表される、1つの水酸基とカルボキシル基を有する化合物を反応させて得ることが好ましい。
−ポリウレタン樹脂(ii)−
ポリウレタン樹脂(ii)は、カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂である。
ポリウレタン樹脂(ii)は、ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジオールとを必須成分とするカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂である。目的に応じて、ジオール成分として、質量平均分子量300以下の低分子ジオールや質量平均分子量500以上の低分子ジオールを共重合成分として加えてもよい。
ポリウレタン樹脂(ii)は、これを用いることにより、無機充填剤との安定した分散性や耐クラック性や耐衝撃性に優れることから、耐熱性、耐湿熱性、密着性、機械特性、電気特性が向上する。
また、前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、置換基を有していてもよい2価の脂肪族及び芳香族炭化水素のジイソシアネートと、C原子及びN原子のいずれかを介してCOOH基と2つのOH基を有するカルボキシル基含有ジオールとを必須成分とした反応物であって、得られた反応物と、−COO−結合を介して分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるものであってもよい。
また、前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、下記一般式(I)で示されるジイソシアネートと、前述のポリウレタン樹脂(i)において説明した式(17)〜(19)で表されるカルボキシル基含有ジオール化合物から選ばれた少なくとも1種とを必須成分とし、目的に応じて下記一般式(III−1)〜(III−6)で示される質量平均分子量が800〜3,000の範囲にある高分子ジオールから選ばれた少なくとも1種との反応物であって、得られた反応物と、下記一般式(IV−1)〜(IV−16)で示される分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるものであってもよい。
Figure 2013029556
一般式(I)において、Rは、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかが好ましい)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素を表す。必要に応じて、Rは、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基のいずれかを有していてもよい。
Figure 2013029556
一般式(III−1)〜(III−3)において、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ同一でもよいし、相異していてもよく、2価の脂肪族又は芳香族炭化水素を表す。R、R、R10及びR11は、それぞれ炭素数2個〜20個のアルキレン基又は炭素数6個〜15個のアリーレン基が好ましく、炭素数2個〜10個のアルキレン又は炭素数6個〜10個のアリーレン基がより好ましい。Rは、炭素数1個〜20個のアルキレン基又は炭素数6個〜15個のアリーレン基を表し、炭素数1個〜10個のアルキレン又は炭素数6個〜10個のアリーレン基がより好ましい。また、R、R、R、R10及びR11中には、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、又はハロゲン原子などがあってもよい。
一般式(III−4)において、R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。水素原子、炭素数1個〜10個のアルキル基、炭素数6個〜15個のアリール基、炭素数7個〜15個のアラルキル、シアノ基又はハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1個〜6個のアルキル及び炭素数6個〜10個のアリール基がより好ましい。また、R12中には、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、アルコキシ基、カルボニル基、オレフィン基、エステル基又はハロゲン原子などがあってもよい。mは、2〜4の整数を表す。
一般式(III−5)において、R13は、アリール基又はシアノ基を表し、炭素数6個〜10個のアリール基又はシアノ基が好ましい。
なお、前記一般式(III−1)〜(III−6)中、n、n、n、n、n、n、nおよびnは、それぞれ2以上の整数を表し、2〜100の整数が好ましい。前記一般式(III−5)中、nは、0又は2以上の整数を示し、0又は2〜100の整数が好ましい。
Figure 2013029556
Figure 2013029556
一般式(IV−1)〜(IV−16)において、R14は、水素原子又はメチル基を表し、R15は、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R16は、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。pは、0又は1〜10の整数を表す。
なお、カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基又はオキセタン基を有する化合物とを反応した場合、X、YまたはZがポリウレタン主鎖と連結する部分構造に、−CO−(β位またはγ位に水酸基もしくはアシルオキシ基が置換した脂肪族の基)−(*)を有する構造となる。ここで(*)側に一般式(1)〜(3)の部分構造が存在する。
また、前記ポリウレタン樹脂(ii)は、更に第5成分として、カルボキシル基非含有の低分子量ジオールを共重合させてもよく、該低分子量ジオール化合物としては、前記一般式(III−1)〜(III−6)で表され、質量平均分子量が500以下のものである。該カルボキシル基非含有低分子量ジオールは、アルカリ溶解性が低下しない限り、また、硬化膜の弾性率が十分低く保つことができる範囲で添加することができる。
上記の低分子量ジオール化合物としては、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0048〕に記載された化合物、などが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、特に、前記一般式(I)で示されるジイソシアネートと、前述の式(17)〜(19)で示されるカルボキシル基含有ジオールから選ばれた少なくとも1種とを必須成分とし、目的に応じて、一般式(III−1)〜(III−6)で示される質量平均分子量が800〜3,000の範囲にある高分子ジオールから選ばれた少なくとも1種や、一般式(III−1)〜(III−6)で示される質量平均分子量が500以下のカルボキシル基非含有の低分子量ジオールとの反応物に、更に一般式(IV−1)〜(IV−16)のいずれかで示される分子中に1個のエポキシ基と少なくとも1個の(メタ)アクリル基を有する化合物を反応して得られる、酸価が20mgKOH/g〜120mgKOH/gであるアルカリ可溶性光架橋性ポリウレタン樹脂が好適である。
なお、上記ポリウレタン樹脂(ii)においても、前記一般式(III−1)〜(III−6)で表される化合物に替えて、または併用して、前述のポリウレタン樹脂(i)で説明した一般式(U)で表されるジオール化合物を使用することは好ましく、酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂中における前記一般式(U1)で表される部分構造の質量比率は、前述のポリウレタン樹脂(i)の場合と同様である。
これらの高分子化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリウレタン樹脂(ii)においても、ポリマー主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を有するものもが、ポリウレタン樹脂(i)と同様の効果を得るために好ましく、ポリウレタン樹脂(i)で説明したようなポリマー主鎖の末端封止方法や一般式(A)で表される基が好ましく、ポリウレタン樹脂(i)と好ましい範囲も同じである。
前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0314〕〜〔0315〕に示されたU1〜U4、U6〜U11のポリマーにおけるエポキシ基及びビニル基含有化合物としてのグリシジルアクリレートを、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:サイクロマーA400、ダイセル化学株式会社製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(商品名:サイクロマーM400、ダイセル化学株式会社製)に代えたポリマー、などが挙げられる。
−カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂(ii)の合成法−
前記ポリウレタン樹脂(ii)の合成方法としては、前記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知な触媒を添加し、加熱することにより合成される。使用するジイソシアネート及びジオール化合物のモル比は、0.8:1〜1.2:1が好ましく、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
<<酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(i)、(ii)の含有量>>
本発明で使用する酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(i)、(ii)は、該特定ポリウレタン樹脂とは異なる構造を有するポリウレタン樹脂を含むアルカリ可溶性高分子を併用することも可能である。例えば、前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、は、主鎖及び/又は側鎖に芳香族基を含有したポリウレタン樹脂を併用することが可能である。
本発明で使用するポリウレタン樹脂(i)、(ii)の前記感光性組成物固形分中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜80質量%が好ましく、20質量%〜75質量%がより好ましく、30質量%〜70質量%が特に好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂(i)及び(ii)の双方を含有してもよく、その場合にはポリウレタン樹脂(i)及び(ii)の総量を上記濃度範囲内とすることが好ましい。
前記含有量が、5質量%未満であると、耐折性が良好に保つことができないことがあり、80質量%を超えると、耐熱性が破綻をきたすことがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、良好な耐折性と耐熱性の両立の点で有利である。
本発明の感光性組成物は、上記の酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂を含有するものであるが、本発明で使用する酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂は、感光性組成物中に存在する酸変性樹脂全体の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
本発明の感光性組成物は、エラストマー及び/又は平均粒径が0.1〜5μmのゴム微粒子を必須成分として含有する。本発明の感光性組成物は、エラストマーを含有することが好ましい。本発明の感光性組成物におけるエラストマー及び/又は平均粒径が0.1〜5μmのゴム微粒子の含有量は、酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂100質量部に対して2〜50質量部であることが好ましい。
<エラストマー>
本発明に用いるエラストマーに特に制限はないが、本発明の効果を効果的に奏するには、本発明で使用する酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂と非相溶であることが好ましい。エラストマーが酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂と非相溶であるとは、エラストマーが酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂と非相溶であること、及び、酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂を光重合及び/又は熱架橋剤で硬化した場合に、硬化後の酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂と非相溶となることををも含む概念である。
本発明に用いうるエラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー及びシリコーン系エラストマー等が挙げられ、本発明の感光性組成物には、これらの1種又は2種以上が用いられうる。
<<スチレン系エラストマ―>>
上記スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。スチレン系エラストマーを構成する成分としては、スチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業株式会社製)、エラストマーAR(アロン化成株式会社製)、クレイトンG、カリフレックス(以上、シェルジャパン株式会社製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、JSR株式会社製)、デンカSTR(電気化学工業株式会社製)、クインタック(日本ゼオン株式会社製)、TPE−SBシリーズ(住友化学株式会社製)、ラバロン(三菱化学株式会社製)、セプトン,ハイブラ−(以上、クラレ株式会社製)、スミフレックス(住友ベークライト株式会社製)、レオストマー、アクティマ−(以上、理研ビニル工業株式会社製)等が挙げられる。
<<オレフィン系エラストマー>>
上記オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられ、また、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィン共重合体などが挙げられる。また、ブタジエン−アクニロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBRが挙げられる。具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。更に、具体的には、ミラストマ(三井石油化学株式会社製)、EXACT(エクソンケミカル社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン−ブタジエンラバ−“DYNABON
HSBR”(JSR株式会社製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体“NBRシリーズ”(JSR株式会社製)、あるいは架橋点を有する変性ブタジエン−アクニロニトリル共重合体のXER91等の“XERシリーズ”(JSR株式会社製)等が挙げられる。
<<ウレタン系エラストマー>>
上記ウレタン系エラストマーは、低分子のエチレングリコールとジイソシアネートからなるハードセグメントと高分子(長鎖)ジオールとジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位からなり、高分子(長鎖)ジオールとして、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1、4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−へキシレン・ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。
高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましい。エチレングリコールの他に、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができ、短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。具体的には、PANDEX
T−2185、T−2983N、シラクトランE790(大日本インキ化学工業株式会社製)等が挙げられる。
<<ポリエステル系エラストマ―>>
上記ポリエステル系エラストマーは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体を重縮合して得られる。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、又は、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等の芳香族環式ジオールなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。
また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることもできる。ハードセグメントとソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いによりさまざまなグレードのものがある。具体例として、ハイトレル(東レ・デュポン株式会社製)、ペルプレン(東洋紡績株式会社製)、エスペル(日立化成工業株式会社製)等が挙げられる。
<<ポリアミド系エラストマー>>
上記ポリアミド系エラストマーは、ハード相にポリアミドを、ソフト相にポリエーテルやポリエステルを用いたポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別され、ポリアミドとしては、ポリアミド−6、11、12等が用いられ、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が用いられる。具体的には、UBEポリアミドエラストマ(宇部興産株式会社製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス株式会社製)、PEBAX(東レ株式会社製)、グリロンELY(エムスケミー・ジャパン株式会社製)、ノバミッド(三菱化学株式会社製)、グリラックス(大日本インキ化学工業株式会社製)等が挙げられる。
アクリル系エラストマーは、アクリル酸エステルを主成分とし、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等が用いられ、また、架橋点モノマーとして、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が用いられる。さらに、アクリルニトリルやエチレンを共重合することもできる。具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレト−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
<<シリコーン系エラストマー>>
シリコーン系エラストマーとしては、オルガノポリシロキサンを主成分したもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものもある。具体例として、コアシェル型シリコーンゴムSYシリーズ(ワッカー・ケミー社製)KEシリーズ(信越化学工業株式会社製)SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン株式会社製)等が挙げられる。
<<ゴム変性エポキシ化合物>>
また、上記のエラストマー以外に、ゴム変性エポキシ化合物を用いることができる。ゴム変性エポキシ化合物としては、例えば、具体的には、エポキシ化ポリブタジエン(PB3600、PB4700、ダイセル化学工業株式会社製)、エポキシ化ブタジエン−スチレン共重合体(エポキシ化ブタジエン−スチレン エポブレンドAT014等、ダイセル化学工業株式会社製)、あるいはポリジメチルシロキサンのエポキシ化合物 X22−163B,KF100T(信越シリコン株式会社製)等が挙げられる。また、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られるゴム変性エポキシ化合物を用いることもできる。
本発明に用いるエラストマーは、上述したなかでもポリエステル系エラストマー又はゴム変性エポキシ化合物を含むことが好ましく、ゴム変性エポキシ化合物であることがより好ましい。当該ゴム変性エポキシ化合物は、エポキシ化ポリブタジエン及び/又はエポキシ化ブタジエン−スチレン共重合体であることが好ましい。
本発明に用いるエラストマーは、感光性組成物を含む感光層を硬化させた硬化層において均質に分散した分散相(分離層)を形成するものが好ましい。つまり、少なくとも硬化層においては、酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂が連続相を構成するが、この際、エラストマーが酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂と非相溶であると、もしくは硬化によって、エラストマーが非相溶になると、このエラストマーが分散相を構成するため、硬化層はいわば海島構造のようにエラストマーが分散(分離)された構造となる。
上記エラストマーで構成される分散相において、一分散相の粒子径(分離部分の径)に特に制限はないが、パターン形成の解像性を良好に保つ観点から、0.1〜5μmであることが好ましい。分散相の粒子径は、硬化物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に選択した分散相50個の占有面積を、50(分散相の個数)で割った値に相当する円の直径(平均円相当直径)として算出した値である。
<ゴム微粒子>
本発明に用いうるゴム微粒子は、硬化させた絶縁樹脂層中に分散した状態とするために希釈剤(溶剤)や他の成分に溶解しないものであれば特に制限はない。本発明に用いるゴム微粒子の平均粒径は0.1〜5μmである。平均粒径を前記範囲内とすることで、ゴム微粒子が均質に分散した硬化層を得ることができ、感光層の解像性も良好に保つことができる。
ゴム微粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した、ゴム微粒子の直径の平均値である。
また、ゴム微粒子で構成される分散相における一分散相の粒子径は、0.1〜5μmであることが好ましい。当該粒子径は、上記エラストマ―の分散相と同様の方法で測定した値である。
ゴム微粒子は、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ゴム、イソプレンゴム、エチレン系ゴム、プロピレン系ゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ニトリル系ゴム、フッ素ゴム、ノルボルネンゴム、エーテル系ゴム等から構成されていることが好ましい。耐熱性等を考慮した場合、アクリル系やブタジエン系等の架橋ゴム微粒子を用いることが好ましい。
本発明においては、上記のゴム微粒子のなかでも特にシリコーン系の微粒子が好ましい。
ゴム微粒子の架橋性官能基は0.01〜1.4ミリモル/gが好適である。本発明に用いるゴム微粒子の具体例としては、日本合成ゴム社製のXER−91、武田薬品工業社製のスタフィロイドAC−3355等の他、ゴム微粒子分散エポキシ樹脂ワニスである東都化成社製のエポトートYR−528、YR−591、YR−570、YR−516、レジナス化成社製のエポダインRB−2000、RB−2010等が挙げられる。シリコーン系の微粒子としては、三菱レイヨン社製のメタブレンS−2001、S−2006、S−2100、SX−005、SX−006、S−2030等が挙げられる。
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、波長約300nm〜800nmの範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。前記波長は330nm〜500nmがより好ましい。
前記光重合開始剤としては、中性の光重合開始剤が好ましい。また、必要に応じてその他の光重合開始剤を含んでいてもよい。
前記中性の光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物であることがより好ましい。前記中性の光重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物などが挙げられる。これらの中でも、感光層の感度、保存性、及び感光層とプリント配線板形成用基板との密着性等の観点から、オキシム誘導体、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、が好ましい。
前記(ビス)アシルホスフィンオキシド、前記アセトフェノン系化合物、前記ベンゾフェノン系化合物、前記ベンゾインエーテル系化合物、前記ケタール誘導体化合物、前記チオキサントン化合物としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0042〕に記載された(ビス)アシルホスフィンオキシド、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物などが挙げられる。
前記オキシム誘導体としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0043〕〜〔0059〕に記載されたオキシム誘導体などが挙げられる。
前記光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の前記感光性組成物固形分中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜20質量%がより好ましく、0.5質量%〜15質量%が特に好ましい。
<熱架橋剤>
前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、エポキシ化合物(例えば、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物)、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物を用いることができ、特開2007−47729号公報に記載されているようなオキシラン基を有するエポキシ化合物、β位にアルキル基を有するエポキシ化合物、オキセタニル基を有するオキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート又はその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物(ブロック化ポリイソシアネート化合物)などが挙げられる。
また、前記熱架橋剤として、メラミン誘導体を用いることができる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチル等でエーテル化した化合物)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性が良好で、感光層の表面硬度あるいは硬化膜の膜強度自体の向上に有効である点で、アルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
前記熱架橋剤の前記感光性組成物固形分中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜50質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であれば、硬化膜の膜強度が向上され、50質量%以下であれば、現像性、露光感度が良好となる。
前記エポキシ化合物としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0071〕〜〔0073〕に記載されたエポキシ化合物などが挙げられる。
前記オキセタン化合物としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0074〕に記載されたオキセタン化合物などが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0075〕に記載されたポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0076〕に記載されたブロック化ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
前記メラミン誘導体としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0077〕に記載されたメラミン誘導体などが挙げられる。
<ホスフィン酸金属塩>
本発明に用いるホスフィン酸金属塩は、下記一般式(20)で表されるホスフィン酸金属塩であることが好ましい。ホスフィン酸金属塩は、感光層の難燃性を改善するだけでなく、硬化後の感光層の耐折性をも改善する。
Figure 2013029556
一般式(20)において、A及びBは、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、及びKのいずれかを表す。mは、1〜4の整数を表す。
前記A及びBとしては、直鎖状の炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
前記Mとしては、Alが好ましい。
前記mとしては、3が好ましい。
前記一般式(20)で表されるホスフィン酸金属塩としては、市販品を用いることができる。該市販品としては、例えば、ホスフィン酸アルミニウムであるエクソリットOP−935、エクソリットOP−930、エクソリットOP1230、エクソリットOP−1240、エクソリットOP−1312(いずれもクラリアントジャパン社製)などが挙げられる。
前記一般式(20)で表されるホスフィン酸金属塩の平均粒子径に特に制限はないが、2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましく、0.3μm以下であることが特に好ましい。前記平均粒子径が、大きすぎると、耐折性が低下し、耐折性が不十分となる。前記平均粒子径の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上が好ましい。
前記一般式(20)で表されるホスフィン酸金属塩の最大粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2μm以下が特に好ましい。前記最大粒子径の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上が好ましい。
前記平均粒子径及び前記最大粒子径は、例えば、濃厚系粒径アナライザー(商品名FPAR1000、大塚電子社製)を用いて測定することができる。具体的には、測定原理を動的光散乱法とし、サイズ分布解析手法をキュムラント法及び/又はヒストグラム法として測定する。
前記平均粒子径とは、積算(累積)重量百分率で表したときの積算値50%の粒度で定義されるものでd50(D50)などと定義されるものである。
前記最大粒子径とは、積算値100%の粒度で定義されるものでd100(D100)などと定義されるものである。
前記一般式(20)で表されるホスフィン酸金属塩を、前記平均粒子径、及び前記最大粒子径にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等により分散する方法などが挙げられる。
前記一般式(20)で表されるホスフィン酸金属塩の前記感光性組成物固形分中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜40質量%が好ましく、5質量%〜25質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、十分な難燃性が得られないことがあり、40質量%を超えると、耐折性が低下することがある。
<重合性化合物>
本発明の感光性組成物は重合性化合物を含有してもよい。重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エチレン性不飽和基を有する官能基を1つ以上有する化合物が好ましい。
前記エチレン性不飽和基を有する官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルフェニル基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基などが挙げられる。
前記エチレン性不飽和基を有する官能基を1つ以上有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好ましい。
前記(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン、グリセリン、ビスフェノール等の多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記重合性化合物の前記感光性組成物固形分中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%以上であれば、現像性、露光感度が良好となり、50質量%以下であれば、感光層の粘着性が強くなりすぎることを防止できる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする感光性組成物の安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記熱重合禁止剤としては、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0101〕〜〔0102〕に記載の熱重合禁止剤などが挙げられる。
前記熱硬化促進剤としては、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0093〕に記載の熱硬化促進剤などが挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0103〕〜〔0104〕に記載の可塑剤などが挙げられる。
前記着色剤としては、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0105〕〜〔0106〕に記載の着色剤などが挙げられる。
前記密着促進剤としては、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0107〕〜〔0109〕に記載の密着促進剤などが挙げられる。
前記感光性組成物の使用形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液状で使用してもよいし、感光性フィルムとして使用してもよい。
(感光性ドライフィルム)
本発明の感光性ドライフィルムは、少なくとも、キャリアフイルム(支持体)と、該キャリアフイルム上に本発明の感光性組成物を含む感光層とを有し、更に必要に応じて、その他の層を有する。
<キャリアフイルム>
キャリアフイルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
キャリアフイルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0115〕〜〔0117〕に記載の支持体などが挙げられる。
<感光層>
前記感光層は、本発明の前記感光性組成物を含む層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記感光層の積層数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
前記感光層の形成方法としては、例えば、前記支持体の上に、本発明の前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法などが挙げられる。
前記感光性組成物溶液に用いる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いて、前記支持体に直接塗布する方法などが挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜30μmが特に好ましい。
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護フィルム、熱可塑性樹脂層、バリア層、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層等の層が挙げられる。前記感光性ドライフィルムは、これらの層を1種単独で有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
−保護フィルム−
前記感光性ドライフィルムは、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0118〕に記載の保護フィルムなどが挙げられる。
前記保護フィルムと前記支持体との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0118〕に記載の組合せなどが挙げられる。
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3以上であれば、滑り過ぎによって、ロール状にした場合に巻ズレが発生することを防止でき、1.4以下であれば、良好なロール状に巻くことができる。
前記感光性ドライフィルムの長さ、保管方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0120〕に記載の長さ、保管方法などが挙げられる。
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30℃〜150℃で1分間〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。前記乾燥の際の温度は50℃〜120℃が特に好ましい。
(感光性積層体)
本発明の感光性積層体は、少なくとも基材(基体)と、前記基材上に感光層とを有してなり、更に必要に応じて、その他の層を積層してなる。
前記感光層は、本発明の前記感光性組成物を含む層である。
前記感光層は、例えば、上述の製造方法で作製された前記感光性ドライフィルムから転写されたものであり、上述と同様の構成を有する。
<基材>
前記基材は、感光層が形成される被処理基材、又は本発明の感光性フィルムの少なくとも感光層が転写される被転写体となるもので、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できるが、板状の基材、いわゆる基板が好ましい。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられ、本発明においてはポリイミドフイルムが特に好ましい。
<感光性積層体の製造方法>
前記感光性積層体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の感光性ドライフィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法などが挙げられる。
前記感光性積層体の製造方法の一例は、前記基体の表面に本発明の感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する方法である。なお、前記感光性ドライフィルムが前記保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基体に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15℃〜180℃が好ましく、60℃〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1MPa〜1.0MPaが好ましく、0.2MPa〜0.8MPaがより好ましい。
前記加熱の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネータ(例えば、大成ラミネータ株式会社製、VP−II、ニチゴーモートン株式会社製、VP130)などが好適に挙げられる。
本発明の感光性ドライフィルム及び前記感光性積層体は、電子材料分野における高精細な永久パターンの形成用として広く用いることができ、プリント基板、特にフレキシブル配線基板の永久パターン形成用に好適に用いることができる。
(永久パターン形成方法)
本発明の永久パターン形成方法は、露光工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<露光工程>
前記露光工程は、本発明の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行う工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記感光性積層体における感光層に対して露光を行う工程などが挙げられる。
前記露光の対象としては、前記感光層である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材上に感光性ドライフィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層して形成した積層体に対して行われることが好ましい。
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デジタル露光、アナログ露光などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、現像工程、硬化処理工程、ポスト露光工程などが挙げられる。
−現像工程−
前記現像工程は、前記感光層の未露光部分を除去する工程である。
前記露光部分の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0171〕〜〔0173〕に記載の現像液などが挙げられる。
−硬化処理工程−
前記硬化処理工程は、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程である。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
前記全面露光処理、及び前記全面加熱処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0176〕〜〔0177〕に記載の方法などが挙げられる。
前記永久パターンの形成方法が、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する永久パターン形成方法である場合には、プリント基板上、本発明においては好ましくはフレキシブル配線基板上に前記永久パターン形成方法により、永久パターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント基板の表面に金属層が露出される。該プリント配線板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜あるいは絶縁膜(層間絶縁膜)、ソルダーレジスト、特にフレキシブルソルダーレジストとしての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
(プリント基板)
本発明のプリント基板は、好ましくはフレキシブル配線基板である。本発明のプリント基板は、少なくとも基体と、前記永久パターン形成方法により形成された永久パターンと、を有してなり、更に、必要に応じて適宜選択した、その他の部材を有する。
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材と前記永久パターン間に、更に絶縁層が設けられたビルドアップ基板などが挙げられる。
感光性組成物の硬化後のガラス転移温度(Tg)は、0℃〜70℃が好ましく、5℃〜60℃がさらに好ましく、10℃〜50℃が特に好ましい。Tgが高すぎる場合には、熱硬化後の基板の反りが大きくなり、その後の製造工程に使用できなくなる問題がある。またTgが低すぎる場合には、硬化後の表面タックが強くなり、ゴミの付着やハンドリングしにくくなる問題が発生する。
Tgは、動的粘弾性測定装置(SIIナノテクノロジー社製、DMS6100)を用いて、引張モードにてマイナス50℃〜200℃まで昇温速度5℃/分で昇温しながら、周波数1ヘルツにて測定した。測定データのTanδの最も高温側にあるピークトップの温度をTgの値とした。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。
なお、合成例における酸価、質量平均分子量、エチレン性不飽和基当量は、以下の方法により測定した。
(酸価)
前記酸価は、JIS K0070に準拠して測定した。ただし、サンプルが溶解しない場合は、溶媒としてジオキサン又はテトラヒドロフランなどを使用した。
(質量平均分子量)
前記質量平均分子量は、高速GPC装置(東洋曹達工業株式会社製HLC−802A)を使用して、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgel HZM−M 1本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器あるいはUV検出器(検出波長254nm)により測定した。
(エチレン性不飽和基当量)
前記エチレン性不飽和基当量は、臭素価をJIS K2605に準拠して測定することにより求めた。
(調製例1)
<酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂PU1の合成>
コンデンサー、及び撹拌機を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸(DMBA)15.00g(0.101モル)、グリセロールモノメタクリレート(GLM)31.83g(0.199モル)、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)(PTMG1000)75g(0.075モル)及びリンゴ酸6.03g(0.045モル)をシクロヘキサノン300mLに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)23.46g(0.094モル)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)47.30g(0.281モル)、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン0.6g、及び触媒として、商品名:ネオスタンU−600(日東化成社製、無機ビスマス)0.6gを添加し、75℃にて、5時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、シクロヘキサノンで濃度調整して、固形分濃度40質量%の酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(PU1)溶液を得た。
得られた酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(PU1)の質量平均分子量は8,600、固形分酸価は54mgKOH/g、エチレン性不飽和基当量は1.0mmol/gであった。
(調製例2)
<酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂PU2の合成>
調製例1において、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸(DMBA)15.00g(0.101モル)、グリセロールモノメタクリレート(GLM)31.83g(0.199モル)、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)(PTMG1000)75g(0.075モル)及びリンゴ酸6.03g(0.045モル)の組み合わせを、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸(DMBA)15.00g(0.101モル)、グリセロールモノメタクリレート(GLM)31.83g(0.199モル)、ETERNACOL UH−100(宇部興産製、分子量1000)75g(0.075モル)及びリンゴ酸6.03g(0.045モル)との組合せに代えたこと以外は、調製例1と同様にして、固形分濃度40質量%の酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(PU2)溶液を得た。
得られた酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(PU2)の質量平均分子量は8,800、固形分酸価は54mgKOH/g、エチレン性不飽和基当量は1.0mmol/gであった。
(調製例3) ホスフィン酸金属塩分散液の調製
調製例1で合成したポリウレタン樹脂PU1溶液 452質量部と、有機ホスフィン酸金属塩 EXOLIT OP−935(クラリアント社製)78.7質量部と、BYK−W903(ビックケミー社製)3.9質量部と、シクロヘキサノン 65.0質量部 を秤量し、直径0.65mmのジルコニアビーズが充填されたモーターミルM−250(アイガー社製)分散機を用いて分散し、平均粒子径0.6μm、最大粒子径2μmのホスフィン酸金属塩がPU1中に分散したホスフィン酸金属塩分散液を得た。
なお、平均粒子径、及び最大粒子径は以下の方法で測定した。
上記ホスフィン酸金属塩分散液を50倍に希釈したものを、濃厚系粒径アナライザー(商品名FPAR1000、大塚電子社製)を用いて測定した。測定原理は動的光散乱法とし、サイズ分布解析手法をキュムラント法及び/又はヒストグラム法として測定した。
平均粒子径は、積算(累積)重量百分率で表したときの積算値50%の粒度で定義されるものでd50(D50)などと定義されるものであり、最大粒子径は、積算値100%の粒度で定義されるものでd100(D100)などと定義されるものである。
(調製例4)顔料分散液の調製
フタロシアニンブルーを0.75質量部と、アントラキノン系黄色顔料(PY24)0.22質量部と、メラミン23.1質量部と、シクロヘキサノン 156.0質量部を秤量し、直径0.65mmのジルコニアビーズが充填されたモーターミルM−250(アイガー社製)分散機を用いて分散し、顔料分散液を得た。
(実施例1)
<感光性ドライフィルムの製造>
支持体としての厚み16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、16FB50)上に、下記の組成からなる感光性組成物溶液を塗布し、乾燥させて、前記支持体上に厚み30μmの感光層を形成した。前記感光層上に、保護層として、厚み20μmのポリプロピレンフィルム(王子特殊紙社製、アルファンE−200)を積層し、感光性ドライフィルムを製造した。
−感光性組成物溶液の組成−
調製例1で合成した酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(PU1)
・・・8.0質量部
ラジカル重合性化合物:A−DPH(新中村化学工業(株)製)・・・5.5質量部
光重合開始剤:IRG907(チバスペシャリティケミカル(株)製)
・・・0.6質量部
エラストマー : エポキシ化ポリブタジエン エポリードPB3600(ダイセル化学社製) ・・・6.0質量部
増感剤:DETX(日本化薬株式会社製) ・・・0.06質量部
増感剤:EAB−F(保土ヶ谷化学(株)製) ・・・0.18質量部
熱架橋剤:熱架橋剤(エポトートYDF−170、新日鐵化学社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂) ・・・6.0質量部
調製例4で調製した顔料分散液 ・・・5.1質量部
調製例3で調製したホスフィン酸金属塩分散液 ・・・32.5質量部
−基材への積層−
銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に化学研磨処理を施して基材を調製した。この基材上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして前記感光性フィルムにおける保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネータ(ニチゴーモートン株式会社製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された感光性積層体を調製した。
圧着条件は、真空引きの時間40秒間、圧着温度50℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒間とした。
−露光工程−
前記調製した感光性積層体における感光層に対し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、所定のパターンを有するガラスマスクを通して、平行光露光機(超高圧水銀灯)で所定のパターンが得られるようにエネルギー量150mJ/cmで照射し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。
−現像工程−
室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、30℃にて60秒間、0.15MPa(1.8kgf/cm)の圧力でスプレー現像し、未露光の領域を溶解除去した。その後、水洗し、乾燥させ、永久パターンを形成した。
−硬化処理工程−
前記永久パターンが形成された積層体の全面に対して、160℃で1時間加熱処理を施し、永久パターンの表面を硬化し、膜強度を高め、試験板を作製した。
以下のようにして、感光性ドライフィルムにおける感光層の表面タック性、感光層の解像性、硬化層の反り、耐折性、及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
<表面タック性>
−表面タック性−
25μm厚のポリエチレンテレフタレート支持体上に感光液を塗布乾燥し、38μm厚の感光層を形成し、室温下で16μm厚のポリプロピレンカバーフィルムを積層後、一晩放置し、その後カバーフィルムを該感光層から剥離して、該カバーフィルムの剥離性をテストした。得られた結果を下記表1に示す。
〔評価基準〕
○:容易に剥がれる。
△:剥がすのに少し力を要するが、実用上問題なし。
×:剥がすのに力を要し、表面形状にスジやシワが入る。
<解像性>
−解像性の評価−
前記硬化前積層体3を室温(23℃)で55%RHにて10分間静置した。得られた感光性積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、丸穴パターンを用い、丸穴の直径の幅100〜200μmの丸穴が形成できるよう露光を行った。
この際の露光量は、前記感度の評価における前記感光性フィルムの感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。
感光層の全面に、前記現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて未硬化領域を溶解除去した。
このようにして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層版の表面を光学顕微鏡で観察し、パターンの丸穴底部に残渣が無いこと、パターン部の捲くれ・剥がれなどの異常が無く、かつスペース形成可能な最小の丸穴パターン幅を測定し、これを解像度とし、下記基準で評価した。結果を下記表1に示す。
〔評価基準〕
○:直径100μm以下の丸穴が解像可能で、解像性に優れている。
△:直径100μmより大きく、150μm以下の丸穴が解像可能で、解像性がやや劣る。
×:丸穴が解像不可で、解像性が劣る。
<反り>
−熱硬化処理後の反り−
前記硬化前積層体1を50mm角に切り出し、露光、熱硬化処理を施した。処理後の積層体を水平な台に置いたときの四つ角の反り量を測定した。得られた結果を下記表1に示した。
〔評価基準〕
○:反り量が5mm以下。
△:反り量が5mmより大きく、8mm以下。
×:反り量が8mmより大きい。
<耐折性>
ポリイミド基材(ポリイミド厚み25μm)に銅箔(銅箔厚み18μm)を積層したフレキシブルプリント配線板用基板(新日鉄化学社製、商品名「エスパネックス」Mシリーズ)にドライフィルムレジストをラミネートし、18mJ/cmで露光した後、0.15MPa/40sの条件で現像することにより、L/S=100/100μmのラインパターンを作製した。前記ドライフィルムレジストのラインパターンを施したフレキシブルプリント配線板用基板をエッチング処理した後、3質量%水酸化ナトリウム水溶液/0.1MPa/120sでドライフィルムレジストを剥離することで、L/S=100/100μmの銅箔ラインパターンを作成した。
そこで得られた銅箔ラインパターン付きポリイミドに、作製した感光性フィルムの感光層を銅箔ラインパターン側にラミネートし、室温にて10分静置した後、超高圧水銀灯により、エネルギー量150mJ/cmを照射し露光し、前記感光層を硬化させ、160℃で1時間、加熱処理を施して感光層を硬化し、膜強度を高めることにより評価用積層体を得た。
得られた評価用積層体を5mm×10cm角に裁断し、ラインパターン側を外側にして長辺方向180°折り曲げ、折り曲げた部分に所定のおもりを3秒間載せ、下記基準で耐折性を評価した。
〔評価基準〕
○:200gでクラックがないもの
△:200gでクラック長さが折り曲げ辺の長さの10%以下であるもの
×:200gでクラック長さが折り曲げ辺の長さの10%を超えるもの
<難燃性>
ポリイミド基材(ポリイミド厚み12.5μm)に銅箔(銅箔厚み12μm)を積層したフレキシブルプリント配線板用基板(新日鉄化学社製、商品名「エスパネックス」Mシリーズ)をエッチングし銅箔を取り除くことにより、厚み12.5μmのポリイミド基材を得た。
このポリイミド基材の両面に、作製した感光性フィルムの前記感光層(厚み38μm)をラミネートにより接着した。室温にて10分間静置した後、超高圧水銀灯によりエネルギー量150mJ/cmを照射し露光し、前記感光層を硬化させ、160℃で1時間、加熱処理を施し感光層を硬化し、膜強度を高めた。
上記より得られた硬化された前記感光層が形成されたポリイミド基材を20cm×5cmの大きさにカットすることにより、複合体サンプルを得た。得られた複合体サンプルを直径1cm×20cmの円筒状棒に巻きつけ、複合体サンプルの端部から12.5cmの位置を耐熱テープでとめた後、棒を抜くことで長さ20cm、径1cmの難燃性試験用サンプルを得た。
得られた難燃性試験用サンプルを用いて、UL−94 VTM試験の条件に準拠した方法にて難燃性を評価した。
〔評価基準〕
○:第一接炎の燃焼時間と第二接炎の燃焼時間の合計が10秒以下。
△:第一接炎の燃焼時間と第二接炎の燃焼時間の合計が10秒より大きく、20秒以下。
×:第一接炎の燃焼時間と第二接炎の燃焼時間の合計が20秒より大きい。
(実施例2)
実施例1において、PU1にかえてPU2を用いた以外は、実施例1と同様にして感光性組成物、感光性ドライフィルム、及び感光性積層体などを得た。
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、PU1にかえてPU1とUXE-3024(日本化薬社製)の混合物(質量比 8:2)を用いた以外は、実施例1と同様にして感光性組成物、感光性ドライフィルム、及び感光性積層体などを得た。
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、エラストマーに代えてゴム微粒子(メタブレン SX-005、三菱レイヨン社製 平均粒径0.3μm)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性組成物、感光性ドライフィルム、及び感光性積層体などを得た。
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、エラストマーとして、エポフレンドAT501(ダイセル化学社製)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性組成物、感光性ドライフィルム、及び感光性積層体などを得た。
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
エラストマーを配合しない以外は実施例1と同様にして感光性組成物、感光性ドライフィルム、及び感光性積層体などを得た。
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、ホスフィン酸金属塩分散液にかえてPU1を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び感光性積層体などを得た。
実施例3と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、エラストマーとしてエポリードPB3600(ダイセル化学社製)を10.5質量部用いた以外は実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び感光性積層体などを得た。
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
なお、実施例1〜5及び比較例2では、硬化層において、エラストマー又はゴム微粒子で構成される分散相の粒子径は、0.3〜2.5μmであった。また、実施例6では、硬化層において、エラストマーで構成される分散相の粒子径は7.5μmであった。
Figure 2013029556
表1の結果から、感光性組成物にエラストマーやゴム微粒子を配合することで、良好な表面タック性が得られ、反りが改善されることがわかった(比較例1とその他との比較)。
また、ホスフィン酸金属塩を配合することで、難燃性のみならず、耐折性も向上することがわかった(比較例2とその他との比較)。
硬化層において、配合するエラストマーから構成される分散相の粒子径が5μmを越える場合には、解像性と難燃性に若干劣る結果となったが(実施例6)、本発明で規定する構成を具備する実施例1〜6は、いずれの評価項目でも概ね良好な結果となった。特に、実施例1〜5では、すべての項目において非常に良好な結果が得られた。

Claims (17)

  1. (A)酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、(B)エラストマー及び/又は平均粒径が0.1〜5μmのゴム微粒子、(C)光重合開始剤、(D)熱架橋剤、及び(E)ホスフィン酸金属塩を含有する、感光性組成物。
  2. (B)成分中のエラストマーが(A)成分と非相溶である、請求項1に記載の感光性組成物。
  3. (B)成分中のエラストマーが、(A)成分を光重合及び/又は熱架橋剤で硬化した場合に、該(A)成分と非相溶となる、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  4. (B)成分のゴム微粒子が、シリコーン系の微粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  5. (A)成分が、下記一般式(UE1)で表される部分構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
    Figure 2013029556

    一般式(UE1)において、LUEは下記一般式(1)〜(3)のいずれかの部分構造を有し、かつ主鎖の結合に−NHC(=O)O−もしくは−OC(=O)NH−を含まない2価の連結基を表す。
    Figure 2013029556
    一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
    Figure 2013029556
    一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。ここで、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
    Figure 2013029556
    一般式(3)において、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここでR13は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
  6. 前記LUEが、前記一般式(1)〜(3)のいずれかの部分構造を1つ有する、請求項5に記載の感光性組成物。
  7. (A)成分が、ポリマー主鎖の末端に酸基を有する基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. (A)成分が、下記一般式(U1)で表される部分構造を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
    Figure 2013029556

    一般式(U1)において、LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
  9. (A)成分100質量部に対して(B)成分を2〜50質量部含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. 感光性組成物中の(A)成分の含有量が、感光性組成物中に存在する酸変性樹脂全体の50質量%以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  11. (E)成分が下記一般式(20)で表される。請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性組成物。
    Figure 2013029556
    一般式(20)において、A及びBは、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、及びKのいずれかを表す。mは、1〜4の整数を表す。
  12. (F)重合性化合物を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性組成物を含む感光層を有する、感光性ドライフィルム。
  14. 基材上に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性組成物を含む感光層を有する、感光性積層体。
  15. 基材上に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性組成物を含む感光層を光硬化して得られるレジストパターンを有してなる、フレキシブル配線板。
  16. 請求項13に記載の感光性ドライフィルムが有する感光層を基材上に転写し、転写した感光層を露光及び現像処理してレジストパターンを形成することを含む、フレキシブル配線板の製造方法。
  17. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性組成物を含む感光層に対して露光することを含む、永久パターン形成方法。
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