JP2013026023A - 高周波加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はマグネトロンを駆動する高周波加熱装置に関するものであり、空焼きや経年劣化にて発生する、マグネトロン真空度劣化・カソード傾斜による暗電流大という異常が発生した場合の検出方式を提案するものである。
【解決手段】高周波加熱装置の入力電流波形情報としてシャント抵抗20を整流器2の整流後に配置して制御回路部14にて取り込み、正常か否かを判定することで空焼きや経年劣化で発生するマグネトロン真空度劣化・カソード傾斜による暗電流大を識別することが可能となる。上記方式によりマグネトロン8単独の不具合であることも判別できるため、部品交換などの処置もスムーズに行える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子レンジのようにマグネトロンを駆動して誘電加熱を行う高周波加熱装置において、空焼きや経年劣化によるマグネトロンの真空度劣化・カソード傾斜によって、暗電流が、マグネトロン生産時に調整した値より増加したことを検出するものである。
一般家庭で使用される電子レンジ等の高周波加熱装置に用いられる電源は、その性質上、持ち運びが容易で且つ高周波加熱装置の調理室を大きくするため、電源を収納する機械室スペースは、小さいものが求められる。そこで、小型で軽い電源が、望まれてきた。
そのため、電源のスイッチング化による小型軽量化、低コスト化が進められ、省エネ・高効率という観点からも、インバータ電源が主流になりつつある。また、調理器具という面では、電気ヒーターを用いたオーブン調理を可能としたオーブン電子レンジも普及しており、利用範囲は広がっている。
近年問題となっているのが、お客様の誤使用による、高周波加熱装置のマグネトロンの暗電流増加である。
暗電流とは、マグネトロンの発振に寄与しない微小陽極電流である。この暗電流は、マグネトロン生産時に、所定の値以下になるよう調整されている。しかしながら、調理室内に食品を入れずに高周波加熱を行う空焼きや、高周波加熱における金属容器の使用といったお客様の誤使用により、暗電流が増加してしまう。
これは、マグネトロンから出力されるマイクロ波が、調理室に吸収されるべき負荷がなかったり、金属容器によって反射されたりして、出力したマグネトロンへ戻り、マグネトロンのカソード部(フィラメント部)が異常発熱して陽極の中心軸に対し傾いたり、真空度劣化等のダメージを受けたりして発生するものであり、その結果、マグネトロンの効率が低下し特性が悪化する。
これらの不測の事態に対してメーカー側は、あらゆるセンサーを駆使して、異常事態を未然に防ぐ方式を提案している(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらを継続的に長期間に亘り繰り返し使用された場合には、どうしても暗電流が増加してしまう。この状態を放置すれば、マグネトロンの発振効率の低下による加熱不足やモーディング・管内放電の発生を誘発して、インバータ電源の破壊を招く。
インバータ電源の一例を図9に示す回路ブロック図を用いて説明する。
商用電源1は、整流器2で整流され直流電圧に変換されて、商用電源1から電力が供給される。直流電圧は、チョークコイル9とコンデンサ10とよりなるフィルタ回路11を介して、コンデンサ4とインダクタ13、半導体スイッチング素子3のインバータ共振回路5に印加される。インバータ共振回路5では、半導体スイッチング素子3が、20〜45キロヘルツの周波数でスイッチングし、高周波交流を作り出す。インダクタ13は高圧トランス6の一次巻線を兼ねているので、インダクタ13に発生した高周波交流は、高圧トランス6で高電圧に昇圧される。
また、高圧トランス6で昇圧された高電圧は、高圧整流回路7で直流高電圧に整流される。制御回路部14は、カレントトランス12より得た入力電流情報を反映して、半導体
スイッチング素子3に、所望の高周波出力を得るための信号を与え、これを駆動する。所望の出力を決定する指令信号は、外部からマイコン19にてフォトカプラなどの絶縁インターフェイス(図示せず)にて制御回路部14に与えられ、1000W、800W、600W等の高周波出力を得ている。これらの電気要素部品が、インバータ電源18を構成する。
高圧整流回路7で整流された直流高電圧は、マグネトロン8のアノード部17とカソード部(フィラメント部)16間に印加される。高圧トランス6には、もう一つの補助二次巻線が設けられており、この補助二次巻線は、マグネトロン8のカソード部(フィラメント部)16に、加熱電流として電力供給を行う加熱電流供給線路15を構成している。
マグネトロン8は、カソード部(フィラメント部)16に電流供給を受け、カソード温度が上昇し、かつアノード部17とカソード部(フィラメント部)16間に高電圧が印加されると、発振しマイクロ波を発生する。マグネトロン8で発生されたマイクロ波は、加熱室に入れられた食品などの被加熱物に照射され、誘電加熱調理を行う。
実開平5−54905号公報
しかしながら、上記のような構成では、下記の課題があった。
すなわち、空焼きや金属容器使用での高周波加熱を、継続的に長期間に亘り繰り返し使用された際に発生するマグネトロンの真空度劣化・カソード傾斜による暗電流大という現象を放置すると、マグネトロン発振効率低下による加熱不足やモーディング・管内放電にて、インバータ電源破壊を誘発するという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、マグネトロンの暗電流が増加するという現象が発生した場合には、速やかに異常を検出して、使用者へ知らせマグネトロン交換を促すことを可能とする高周波加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、マグネトロンの暗電流が増加するという異常発生を、インバータ電源の入力電流波形が正常か否かを判定する制御回路部を設け、暗電流が増加するという異常が発生した場合には、使用者に知らせることを可能としている。
本発明は、マグネトロンの暗電流が増加するという異常が発生した場合に、インバータ電源の入力電流波形をモニタリングすることで、異常発生か正常かを判定できるため、使用者に異常を知らせることを可能とした。
本発明の実施の形態における高周波加熱装置の回路ブロック図 マグネトロン暗電流が増加した装置と正常な装置のアノード、カソード間電圧と入力電流波形とを示す特性図 本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の制御フローチャート 本発明の実施の形態2における高周波加熱装置の制御フローチャート 本発明の実施の形態3における高周波加熱装置の制御フローチャート 本発明の実施の形態4における高周波加熱装置の制御フローチャート 本発明の実施の形態5における高周波加熱装置の制御フローチャート 本発明の実施の形態6における高周波加熱装置の制御フローチャート 従来の高周波加熱装置の回路ブロック図
第1の発明は、マイクロ波を発生するマグネトロンと、インバータ電源と、前記インバータ電源の入力電流波形形状を取り込む制御回路部とを備えた高周波加熱装置であって、前記制御回路部は、前記マグネトロンの真空度劣化、カソード傾斜等により暗電流が増加するという異常を検出することを特徴とする。
第2の発明は、特に第1の発明において、前記暗電流が増加するという異常を検出するため、マグネトロンを駆動するインバータ電源の入力電流波形から検出することを特徴とする。
第3の発明は、特に第1の発明において、前記暗電流が増加するという異常検出レベルは高周波加熱出力の強弱(例えば300W〜1200W)で可変とすることを特徴とする。
第4の発明は、特に第1の発明において、前記暗電流が増加するという異常を検出した場合に前記インバータ電源の駆動を停止することを特徴とする。
第5の発明は、特に第1の発明において、前記暗電流が増加するという異常を検出した場合に前記インバータ電源と通信(動作指示や状態把握)を行っている制御マイコンへ信号を返信することを特徴とする。
第6の発明は、特に第5の発明において、前記制御マイコンへの前記暗電流が増加するという検出返信を行った際の処理としてインバータ電源の停止を指示することを特徴とする。
第7の発明は、特に第6の発明において、前記制御マイコンへの前記暗電流が増加するという検出返信を行った際の処理としてインバータ電源の出力を最低出力(例えば300W)に下げることを特徴とする。
第8の発明は、特に第6の発明において、異常検出時、使用者に異常発生をブザーにて知らせる機能を備えたことを特徴とする。
第9の発明は、特に第6の発明において、異常検出時に音声ガイダンスにて使用者に異常理由を説明して知らせる機能を備えたことを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態は、本発明を具現化した単なる例示に過ぎず、本発明は特許請求の範囲に記載した構成の範囲で変更を加えた種々の態様を含むものである。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の回路構成を示す回路ブロック図である。基本的なインバータ回路部分は、図9で示した一般的な回路と同じである。特徴としては、擬似入力電流波形を電圧に変換したものを制御回路部14へ取り込むために、カレントトランスではなく、シャント抵抗20を整流器2の整流後に用いている点であ
る。シャント抵抗20の微小電圧を増幅して制御回路部14へ取り込んでいる。マグネトロン8のカソード部(フィラメント部)16の真空度劣化・カソード傾斜等による暗電流大という現象が発生した場合には、入力電流波形の谷間部の形状が、正常時に比べて図2に示すように変化する。
図2(a)は、正常時のマグネトロンのアノード、カソード間電圧(A−K電圧、Vak)の波形を示す特性図、図2(c)は、正常時の入力電流波形を示す特性図である。また、図2(b)は、暗電流大の異常発生時のA−K電圧Vak、図2(d)は、異常時の入力電流波形である。これらの差異は谷間部の非発振部の電圧落ち込みによる現象が顕著に反映された結果であり、この状態で継続使用すれば効率低下による加熱不足やモーディング・管内放電の発生でインバータ破壊を誘発してしまう。
すなわち、本発明の高周波加熱装置においては入力電流波形をモニタできる構成であるから、上記暗電流大の異常発生時の異常入力電流波形を検出することが可能となる。制御回路部14での実際の信号処理としてはコンパレータにて入力電流波形情報と閾値電圧TANITHにて、擬似電流波形と閾値電圧とを比較(Hi、Loが確定)の後、積分回路でDC変換することで電圧比較できる(TANIDCとして算出)。すなわち異常時の入力電流波形ではDC変換後のTANIDC値が高くなるため、異常検出閾値を設定して閾値より高いか低いか(正常か否か)を判定することで不具合を解消できる。今回の設定値としては暗電流20mA以上を異常と判断して検出するような定数とした。
図3に上述の制御フローチャートである。
まず、「S1」にて動作スタートし、「S2」にてDC変換されたTANIDC値を算出する。続いて「S3」ではTANIDC値が異常検出閾値以下か否かで正常か否かを判定している。「No」ならば異常と判断して「S6」にて異常検出・動作停止となる。「Yes」ならば正常と判断して「S4」へ進み、調理終了か否かを判定する。「No」ならば「S2」へ戻り、調理終了まで繰り返す。「Yes」ならば調理終了なので「S5」にて停止となる。すなわち動作中も常に監視しているため、不具合が発生すれば即対応できる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における制御フローチャートを示している。まず、「S1」にて動作スタートし、「S2−1」にて高周波出力に応じた異常検出閾値を算出する。ここでのポイントは入力電力波形情報を活用するため、高周波出力の強弱(例えば300W〜1200W)により当然入力電流波形も大小の変化が生ずる。すなわち、各々の高周波出力に応じて正常時と異常時を判断する閾値が異なることを意味しており、「S2−1」では最適値を設定しているのである。
続けて、「S2−2」にてDC変換されたTANIDC値を算出する。続いて「S3」ではTANIDC値が異常検出閾値以下か否かで正常か否かを判定している。「No」ならば異常と判断して「S6」にて異常検出・動作停止となる。「Yes」ならば正常と判断して「S4」へ進み、調理終了か否かを判定する。「No」ならば「S2」へ戻り、調理終了まで繰り返す。「Yes」ならば調理終了なので「S5」にて停止となる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における制御フローチャートを示している。「S1」にて動作スタートし、「S2」にてDC変換されたTANIDC値を算出する。続いて「S3」ではTANIDC値が異常検出閾値以下か否かで正常か否かを判定している。「No」ならば異常と判断して「S6」にて異常検出してマイコンへの返信を行い、不具合を知
らせる。この返信を受けてマイコン側では「S7」にて動作停止指令を発動、動作停止となる。すなわち、マイコンとの通信を挟むことで動作停止の誤作動という不具合を回避する狙いがある。「Yes」ならば正常と判断して「S4」へ進み、調理終了か否かを判定する。「No」ならば「S2」へ戻り、調理終了まで繰り返す。「Yes」ならば調理終了なので「S5」にて停止となる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態3における制御フローチャートを示している。「S1」にて動作スタートし、「S2」にてDC変換されたTANIDC値を算出する。続いて「S3」ではTANIDC値が異常検出閾値以下か否かで正常か否かを判定している。「No」ならば異常と判断して「S6」にて異常検出してマイコンへの返信を行い、不具合を知らせる。この返信を受けてマイコン側では「S7」にて低出力指令を発動、例えば300W出力へ強制変更を行う(すなわち真空度劣化による暗電流大の悪化を防ぐ)。「Yes」ならば正常と判断して「S4」へ進み、調理終了か否かを判定する。「No」ならば「S2」へ戻り、調理終了まで繰り返す。「Yes」ならば調理終了なので「S5」にて停止となる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5における制御フローチャートを示している。まず「S1」にて動作スタートし、「S2」にてDC変換されたTANIDC値を算出する。続いて「S3」ではTANIDC値が異常検出閾値以下か否かで正常か否かを判定している。「No」ならば異常と判断して「S6」にて異常検出してマイコンへの返信を行い、不具合を知らせる。この返信を受けてマイコン側では「S7」にて動作停止指令を発動、動作停止となり、続けて「S8」にてブザーを作動させ、使用者に不具合発生を知らせる。「Yes」ならば正常と判断して「S4」へ進み、調理終了か否かを判定する。「No」ならば「S2」へ戻り、調理終了まで繰り返す。「Yes」ならば調理終了なので「S5」にて停止となる。
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6における制御フローチャートを示している。まず「S1」にて動作スタートし、「S2」にてDC変換されたTANIDC値を算出する。続いて「S3」ではTANIDC値が異常検出閾値以下か否かで正常か否かを判定している。「No」ならば異常と判断して「S6」にて異常検出してマイコンへの返信を行い、不具合を知らせる。この返信を受けてマイコン側では「S7」にて動作停止指令を発動、動作停止となり、続けて「S8」にて音声ガイダンスを作動させ、使用者にマグネトロンの故障である旨を丁寧に知らせる。「Yes」ならば正常と判断して「S4」へ進み、調理終了か否かを判定する。「No」ならば「S2」へ戻り、調理終了まで繰り返す。「Yes」ならば調理終了なので「S5」にて停止となる。
以上のように、本発明の高周波加熱装置によれば空焼き等の誤使用や経年劣化が原因のマグネトロン真空度劣化・カソード傾斜による暗電流大という異常が発生した場合に、すみやかに異常検出して動作の停止を行い使用者に知らせることで部品交換を促すことが可能となる高周波加熱装置を提供できる。
1 商用電源
2 整流器
8 マグネトロン
14 制御回路部
16 カソード部(フィラメント部)
17 アノード部
18 インバータ電源
19 マイコン
20 シャント抵抗

Claims (9)

  1. マイクロ波を発生するマグネトロンと、インバータ電源と、前記インバータ電源の入力電流波形形状を取り込む制御回路部とを備えた高周波加熱装置であって、前記制御回路部は、前記マグネトロンの真空度劣化、カソード傾斜等により暗電流が増加するという異常を検出することを特徴とする高周波加熱装置。
  2. 前記暗電流が増加するという異常を検出する方式としてマグネトロンを駆動するインバータ電源の入力電流波形から検出することを特徴とする請求項1記載の高周波加熱装置。
  3. 前記暗電流が増加するという異常検出レベルは高周波加熱出力の強弱に応じて可変とすることを特徴とする請求項2記載の高周波加熱装置。
  4. 前記暗電流が増加するという異常を検出した場合に前記インバータ電源の駆動を停止することを特徴とする請求項1記載の高周波加熱装置。
  5. 前記暗電流が増加するという異常を検出した場合に前記インバータ電源と通信を行っている制御マイコンへ信号を返信することを特徴とする請求項1記載の高周波加熱装置。
  6. 前記制御マイコンへの前記暗電流が増加するという検出返信を行った際の処理としてインバータ電源の停止を指示することを特徴とする請求項5記載の高周波加熱装置。
  7. 前記制御マイコンへの前記暗電流が増加するという検出返信を行った際の処理としてインバータ電源の出力を最低出力(例えば300W)に下げることを特徴とする請求項5記載の高周波加熱装置。
  8. 異常検出時にブザーにて使用者に知らせる機能を備えたことを特徴とする請求項6記載の高周波加熱装置。
  9. 異常検出時に音声ガイダンスにて使用者に異常理由を説明して知らせる機能を備えたことを特徴とする請求項6記載の高周波加熱装置。
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