JP2013024295A - クラッチ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消する。
【解決手段】クラッチ駆動装置700は、作動油を貯留するリザーバタンク74と、リザーバタンク74から作動油が供給され、クラッチペダル7の踏み込み操作に応じてクラッチ作動油圧を出力するマスターシリンダ73と、クラッチ作動油圧に応じて摩擦クラッチ2を切断作動させるスレーブシリンダ75とを備える。また、クラッチ駆動装置700において、リザーバタンク74が、スレーブシリンダ75より上方に配設され、且つ、車両の前後方向についてマスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間に配設される。
【選択図】図2

Description

本発明は、作動油を貯留するリザーバタンクと、当該リザーバタンクから作動油が供給され、クラッチペダルの踏み込み操作に応じてクラッチ作動油圧を出力するマスターシリンダと、前記クラッチ作動油圧に応じて摩擦クラッチを切断作動させるスレーブシリンダとを備えるクラッチ駆動装置に関する。
従来、作動油を貯留するリザーバタンクと、当該リザーバタンクから作動油が供給され、クラッチペダルの踏み込み操作に応じてクラッチ作動油圧を出力するマスターシリンダと、前記クラッチ作動油圧に応じて摩擦クラッチを切断作動させるスレーブシリンダとを備えるクラッチ駆動装置が知られている。
上記スレーブシリンダでは、例えば、エンジン等の振動がオイルシールに伝達して、当該オイルシールの損傷が進行することを抑制するために、当該オイルシールとピストンとは離間可能に構成されている。このように構成されている場合に、例えば、クラッチペダルの戻し操作が急であるときには、スレーブシリンダの圧力室で負圧が発生して、上記オイルシールとピストンとの間隙が大きくなる。そして、その後にクラッチペダルの踏込操作が行われるときには、上記オイルシールとピストンとの間の間隙が無くなるまでの間は上記ピストンの移動が開始されない無効ストロークとなるため、操作性が低下する場合があった。
上記課題を解消するために、種々の方法、装置等が提案されている。例えば、クラッチペダルの操作に関連して発生するマスターシリンダの圧力室からリザーバタンクへ向かう作動油の流通を抑制する一方向絞り弁を備えるクラッチ装置が開示されている(特許文献1参照)。このクラッチ装置によれば、クラッチペダルの戻し操作時にマスターシリンダの圧力室から連通孔を通じてリザーバタンクへ向かう作動油の流量が減少するので、スレーブシリンダからマスターシリンダの圧力室へ向かう作動油の流動慣性が小さくなってスレーブシリンダの圧力室における負圧の発生が抑制されて、上記オイルシールとピストンとの間隙の発生を抑制することができる。
特開2010−139066号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のクラッチ装置では、低温時には作動油の粘度が大きくなるので、低温時のクラッチペダルの戻り性能を確保するために、上記一方向絞り弁における絞り径を所定値以上に確保する必要があり、上記オイルシールとピストンとの間隙の発生を抑制する効果には限界があった。
また、急加速又は急減速の際に、マスターシリンダとスレーブシリンダとの間の油圧配管内の作動油に、スレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう慣性力が作用する場合には、スレーブシリンダの圧力室で負圧が発生するため、上記オイルシールとピストンとの間隙が発生することになる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することの可能なクラッチ駆動装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るクラッチ駆動装置は、以下のように構成されている。
すなわち、本発明に係るクラッチ駆動装置は、作動油を貯留するリザーバタンクと、当該リザーバタンクから作動油が供給され、クラッチペダルの踏み込み操作に応じてクラッチ作動油圧を出力するマスターシリンダと、前記クラッチ作動油圧に応じて摩擦クラッチを切断作動させるスレーブシリンダとを備えるクラッチ駆動装置であって、前記リザーバタンクが、前記スレーブシリンダより上方に配設され、且つ、車両の前後方向について前記マスターシリンダと前記スレーブシリンダとの間に配設されることを特徴としている。
かかる構成を備えるクラッチ駆動装置によれば、前記リザーバタンクが車両の前後方向について前記マスターシリンダと前記スレーブシリンダとの間に配設されるため、急加速又は急減速の際に、マスターシリンダとスレーブシリンダとの間の油圧配管内の作動油に作用するスレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力を低減することができるので、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間における間隙の発生を抑制することができる。
すなわち、スレーブシリンダがマスターシリンダの車両前方側に配設されている場合には、急加速時に、マスターシリンダとスレーブシリンダとの間の油圧配管内の作動油に作用するスレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力が発生する。また、スレーブシリンダがマスターシリンダの車両後方側に配設されている場合には、急減速時に、マスターシリンダとスレーブシリンダとの間の油圧配管内の作動油に作用するスレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力が発生する。また、リザーバタンクのスレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、スレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力は大きい。そこで、リザーバタンクを車両の前後方向についてマスターシリンダとスレーブシリンダとの間に配設することによって、リザーバタンクのスレーブシリンダからの前後方向の距離Lを小さくすることができるので、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力を低減することができるのである。
また、前記リザーバタンクが、前記スレーブシリンダより上方に配設されているため、リザーバタンクからスレーブシリンダまで間の作動油に、リザーバタンクからスレーブシリンダへ向かう向きの重力が作用する。したがって、リザーバタンクのスレーブシリンダからの高さHを適正な値とするべくリザーバタンクを配設することによって、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができる。
また、本発明に係るクラッチ駆動装置は、前記リザーバタンクが、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが大きい位置に配設されることが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ駆動装置によれば、前記リザーバタンクが、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが大きい位置に配設されるため、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができる。
すなわち、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力が増大する。そこで、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが大きい位置に配設することによって、リザーバタンクからスレーブシリンダまで間の作動油に作用する、リザーバタンクからスレーブシリンダへ向かう向きの重力を大きくすることができるため、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができるのである。
また、本発明に係るクラッチ駆動装置は、前記リザーバタンクが、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離L、及び、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが、次の(A)式を満たすべく配設されることが好ましい。
F/A≧ρ×(L×G1−H×G0) (A)
ここで、上記(A)式において、記号Fは、前記スレーブシリンダ内のオイルシールの摺動抵抗、記号Aは、前記スレーブシリンダの加圧面積、記号ρは、クラッチ作動油の密度、前記スレーブシリンダが前記マスターシリンダの車両前方側に配設されている場合には、記号G1は車両の前後方向の加速度、前記スレーブシリンダが前記マスターシリンダの車両後方側に配設されている場合には、記号G1は車両の前後方向の減速度、記号G0は、重力加速度である。
かかる構成を備えるクラッチ駆動装置によれば、スレーブシリンダがマスターシリンダの車両前方側に配設されている場合には、車両が加速度G1で加速したときに、(ρ×L×G1)のスレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力が作用する。一方、リザーバタンクからスレーブシリンダまで間の作動油に作用する、リザーバタンクからスレーブシリンダへ向かう向きの重力は、(ρ×H×G0)である。よって、上記(A)式を満たす場合には、オイルシールに作用する外力(上記(A)式の右辺)の値が、オイルシールの単位面積当りの摺動抵抗(上記(A)式の左辺)の値より小さいため、車両が加速度G1で加速したときに、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙の発生を回避することができる。
また、スレーブシリンダがマスターシリンダの車両後方側に配設されている場合には、車両が減速度G1で減速したときに、(ρ×L×G1)のスレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力が作用する。一方、リザーバタンクからスレーブシリンダまで間の作動油に作用する、リザーバタンクからスレーブシリンダへ向かう向きの重力は、(ρ×H×G0)である。よって、上記(A)式を満たす場合には、車両が減速度G1で減速したときに、オイルシールに作用する外力(上記(A)式の右辺)の値が、オイルシールの単位面積当りの摺動抵抗(上記(A)式の左辺)の値より小さいため、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙の発生を回避することができる。
また、本発明に係るクラッチ駆動装置は、前記リザーバタンク内の空気圧力を、大気圧より大きく予め設定された設定圧力に調整する圧力調整手段を備えることが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ駆動装置によれば、前記リザーバタンク内の空気圧力が、大気圧より大きく予め設定された設定圧力に調整されるため、前記設定圧力を適正な値に設定することによって、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができる。
すなわち、オイルシールとピストンとの間隙が発生した場合に、前記リザーバタンク内の空気圧力によって、前記リザーバタンクから作動油が前記マスターシリンダへ供給され、供給された作動油によって、前記マスターシリンダから前記スレーブシリンダのオイルシールまでの間に溜まっている作動油が押圧されて、前記オイルシールが前記ピストンに当接する位置まで移動するため、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができるのである。
また、本発明に係るクラッチ駆動装置は、前記圧力調整手段が、前記リザーバタンク内に空気を供給する空気供給手段と、前記リザーバタンク内の空気を前記設定圧力に調圧する調圧弁と、を備えることが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ駆動装置によれば、前記リザーバタンク内に空気が供給されて、前記リザーバタンク内の空気が前記設定圧力に調圧されるため、簡素な構造で、前記リザーバタンク内の空気圧力を、大気圧より大きく予め設定された設定圧力に調整することができる。
すなわち、前記リザーバタンク内に空気が供給されることによって、前記リザーバタンク内の空気の圧力が上昇する。そして、前記リザーバタンク内の空気が前記設定圧力に到達すると、不要な空気を逃がすことによって調圧されるため、簡素な構造で、前記リザーバタンク内の空気圧力を、大気圧より大きく予め設定された設定圧力に調整することができるのである。
また、本発明に係るクラッチ駆動装置は、前記調圧弁が、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、また、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが小さい程、高い設定圧力に調圧することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ駆動装置によれば、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、また、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが小さい程、前記調圧弁が、高い設定圧力に調圧されるため、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができる。
すなわち、前記リザーバタンクのスレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力が増大する。また、リザーバタンクのスレーブシリンダからの高さHが小さい程、リザーバタンクからスレーブシリンダまで間の作動油に作用する、リザーバタンクからスレーブシリンダへ向かう向きの重力が小さくなる。したがって、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、また、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが小さい程、前記調圧弁に、高い設定圧力で調圧させることによって、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができるのである。
本発明に係るクラッチ駆動装置によれば、前記リザーバタンクが車両の前後方向について前記マスターシリンダと前記スレーブシリンダとの間に配設されるため、急加速又は急減速の際に、マスターシリンダとスレーブシリンダとの間の油圧配管内の作動油に作用するスレーブシリンダからマスターシリンダへ向かう向きの慣性力を低減することができるので、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間における間隙の発生を抑制することができる。また、前記リザーバタンクが、前記スレーブシリンダより上方に配設されているため、リザーバタンクからスレーブシリンダまで間の作動油に、リザーバタンクからスレーブシリンダへ向かう向きの重力が作用する。したがって、リザーバタンクのスレーブシリンダからの高さHを適正な値とするべくリザーバタンクを配設することによって、スレーブシリンダにおけるオイルシールとピストンとの間隙を解消することができる。
本発明に係るクラッチ駆動装置が搭載される車両のパワートレーン及びその制御系の一例を示す構成図である。 本発明に係るクラッチ駆動装置の全体構成の一例(第一実施形態)を示す図である。 図2に示すマスターシリンダ等の配設状態の一例を示す側面図である。 図2に示すマスターシリンダの構造の一例を示す側面断面図である。 図2に示すマスターシリンダ、スレーブシリンダ及びクラッチ機構の接続状態の一例を示す図である。 図5に示すスレーブシリンダの詳細構造の一例を示す側面断面図(継合状態の場合)である。 図5に示すスレーブシリンダの詳細構造の一例を示す側面断面図(切断状態の場合)である。 図7に示すスレーブシリンダにおいてオイルシールとピストンとの間隙が発生している状態の一例を示す側面断面図である。 図2に示すクラッチ駆動装置の車両における配設位置の一例を示す平面図及び側面図である。 本発明に係るクラッチ駆動装置の全体構成の他の一例(第二実施形態)を示す図である。 図10に示す空気シリンダ及びマスターシリンダ等の配設状態の一例を示す側面図である。 図10に示す空気シリンダ及びマスターシリンダの構造の一例を示す側面断面図である。 図10に示すクラッチ駆動装置の動作の一例を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るクラッチ駆動装置700、700A(図2、図10参照)が搭載される車両のパワートレーン及びその制御系の一例を示す構成図である。本実施形態に係る車両は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型の車両であって、エンジン1、摩擦クラッチ2、手動変速機(マニュアルトランスミッション)3、シフト装置5、アクセルペダル6、クラッチペダル7、及び、ECU(Electronic Control Unit)8等を備えている。
図1に示すように、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11は、摩擦クラッチ2に連結されている。また、摩擦クラッチ2が継合状態になると、エンジン1の駆動力(駆動トルク)が、クランクシャフト11、摩擦クラッチ2、入力軸31、手動変速機3、ドライブシャフト41、差動歯車装置42、及び、車軸43を介して、駆動輪44へ伝達される。
また、クランクシャフト11の近傍には、クランクシャフト11の回転数をエンジン回転数Neとして検出するエンジン回転数センサ12が配設されている。エンジン回転数センサ12によって検出されたエンジン回転数Neは、ECU8へ出力される。
シフト装置5には、シフトレバー51、及び、シフトポジションセンサ52が配設されている。シフトレバー51は、運転者によって把持され、シフトポジションを変更する操作が行われるレバーである。シフトポジションセンサ52は、シフト位置を検出するセンサである。アクセルペダル6には、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ61が配設されている。更に、クラッチペダル7には、クラッチストロークを検出するクラッチストロークセンサ71が配設されている。シフトポジションセンサ52によって検出されたシフト位置、アクセル開度センサ61によって検出されたアクセル開度、及び、クラッチストロークセンサ71によって検出されたクラッチストロークは、ECU8へ出力される。
<第一実施形態>
−クラッチ駆動装置700の全体構成−
次に、図2を参照して、クラッチ駆動装置700の全体構成について説明する。図2は、本発明に係るクラッチ駆動装置700の全体構成の一例を示す図である。図2に示すように、クラッチ駆動装置700は、クラッチペダル7、マスターシリンダ73、リザーバタンク74、及び、スレーブシリンダ75を備えている。
クラッチペダル7は、運転者によって踏み込まれる(又は、踏み込みが解除される)ことによって、摩擦クラッチ2(図1参照)の継合・切断を切り換えるものである。クラッチペダル7が踏み込まれると、ロッド713(図3参照)を介して、マスターシリンダ73のピストン733(図4参照)が駆動される(図2では、右側に移動される)。
マスターシリンダ73は、リザーバタンク74から作動油が供給され、クラッチペダル7の踏み込み操作に応じてクラッチ作動油圧を、油圧配管761を介して、スレーブシリンダ75へ出力するものである。
スレーブシリンダ75は、マスターシリンダ73から油圧配管761を経由して供給されるクラッチ作動油圧に応じて摩擦クラッチ2(図1参照)を切断作動させるものである。具体的には、図6、図7を参照して後述するように、マスターシリンダ73から油圧配管761を経由して供給されるクラッチ作動油圧によって、ピストン216がフライホイール21側へ駆動されて移動し、レリーズベアリング220がダイアフラムスプリング24を反転させて、摩擦クラッチ2が切断作動される。なお、スレーブシリンダ75は、図5〜図7を参照して後述する油圧式クラッチレリーズ機構210の一部として構成されている。
リザーバタンク74は、作動油を貯留するタンクであって、貯留された作動油を、油配管762を経由して、マスターシリンダ73へ供給するものである。ここで、リザーバタンク74は、スレーブシリンダ75より上方に配設され、且つ、車両の前後方向についてマスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間に配設される。具体的には、リザーバタンク74は、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの前後方向の距離Lが大きい程、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの高さHが大きい位置に配設される(図9参照)。なお、高さHは、正確には、リザーバタンク74の作動油液面の、スレーブシリンダ75からの高さである。
−マスターシリンダ73−
次に、図3、図4を参照して、マスターシリンダ73の構造について説明する。図3は、図2に示すマスターシリンダ73等の配設状態の一例を示す側面図である。図4は、図2に示すマスターシリンダ73の構造の一例を示す側面断面図である。
図3に示すように、クラッチペダル7は、ペダルレバー712と、ペダルパッド711とを備えている。ペダルレバー712は、クラッチペダルブラケット714に回動自在に配設され、先端にペダルパッド711が配設されている。ペダルパッド711は、運転者が踏み込み操作を行うものであって、運転者がペダルパッド711の踏込操作を行うことで摩擦クラッチ2(図1参照)が解放状態とされる。また、運転者がペダルパッド711の踏込操作を解除することで摩擦クラッチ2が継合状態とされる。
ペダルパッド711が運転者によって踏込操作されると、マスターシリンダ73(ピストン733)に連結されたロッド713(図4参照)が押圧される。また、ペダルパッド711の運転者による踏込操作が解除されると、マスターシリンダ73(ピストン733)に連結されたロッド713(図4参照)の押圧が解除される。
−マスターシリンダ73−
次に、マスターシリンダ73の構造について説明する。マスターシリンダ73は、クラッチペダル7に作用する踏込力を油圧に変換するものであって、シリンダハウジング731、圧力室732、ピストン733、リターンスプリング734、第1シール735、及び、第2シール736を備えている。第1シール735及び第2シール736は、シリンダハウジング731内において、軸心方向に離間して嵌着された一対の円環状のシール部材である。ピストン733は、第1シール735及び第2シール736の内周面と摺動可能にシリンダハウジング731内に嵌入され、シリンダハウジング731の内周面731aとともに作動油圧を発生する圧力室732を形成するものである。
シリンダハウジング731の先端部(図4では、右端部)には、シリンダハウジング731内部の圧力室732と連通した開口を有する管状部材であって、先端部にマスターシリンダ73をスレーブシリンダ75に接続する油圧配管761の一方側端部が嵌め着けられる連結管739が突設されている。また、シリンダハウジング731の外周上部には、貯留室を有するチャンバーハウジング738が嵌着されている。
チャンバーハウジング738内の貯留室は、シリンダハウジング731の軸心方向(図4では左右方向)における第1シール735と第2シール736との間の位置にシリンダハウジング731を貫通して設けられた作動油供給孔737を通じて、シリンダハウジング731内の圧力室732と連通されている。そして、チャンバーハウジング738には、当該チャンバーハウジング738の外周部から突出して先端にチャンバーハウジング738内の貯留室と連通された開口を有する管状部材であって、先端部の外周面にマスターシリンダ73をリザーバタンク74に接続する油配管762の一方側端部が嵌着される連結管738aが突設されている。
このようにして、作動油供給孔737、チャンバーハウジング738内の貯留室、連結管738a、及び、油配管762によって、マスターシリンダ73の圧力室732とリザーバタンク74とを連通させる油路が形成されている。また、連結管739、油圧配管761、及び、油通路215(図6参照)によって、マスターシリンダ73の圧力室732とスレーブシリンダ75とを連通させる油路が形成されている。
また、ピストン733は、当該ピストン733の圧力室732とは反対側の一方側端面(図4では左側端面)において、ペダルレバー712に作用する踏込力をピストン733に伝達するロッド713に接続されている。ピストン733は、クラッチペダル7の踏込量に応じて、圧力室732の一方端の位置(図4の左端位置、すなわち、圧力室732の容積が最も大きくなる位置)から、圧力室732の他方端の位置(図4の右端位置、すなわち圧力室732の容積が最も小さくなる位置)までのストロークで摺動可能に構成されている。
更に、ピストン733には、当該ピストン733が一方端の位置(図4の左端位置)に移動させられたときに圧力室732と作動油供給孔737とを連通させる連通孔721aが設けられている。この連通孔721aは、油逃し孔として機能するものである。すなわち、クラッチペダル7が踏み込まれていない状態、又は、踏み込み量が少ない状態であって、ピストン733が一方端の位置(図4の左端位置)から他方端側(図4の右側)に移動して第1シール735によって連通孔721aが塞がれるまでの間は、圧力室732とリザーバタンク74との間において作動油を連通状態とするものである。
マスターシリンダ73の圧力室732内には、ピストン733を圧力室732とは反対側へ付勢するリターンスプリング734が設けられており、ペダルレバー712の踏込操作が解除された場合には、図5に示すダイアフラムスプリング24、及び、リターンスプリング734の付勢力等によってピストン733が一方端の位置(図4の左端位置)へ復帰させられる。
このように構成されたマスターシリンダ73においては、クラッチペダル7の踏込操作に応じてピストン733が移動してそのピストン733の連通孔721aが第1シール735によって塞がれて、圧力室732内が密閉状態とされる。そして、更にピストン733が他方端の位置(図4の右端位置)に向けて移動されると、圧力室732内の作動油が圧縮されてクラッチ作動油圧が昇圧され、連結管739、油圧配管761、及び、油通路215(図6参照)を順次経由して、スレーブシリンダ75(油圧室221)(図6参照)に作動油が供給される。
−摩擦クラッチ2−
次に、図5、図6及び図7を参照して摩擦クラッチ2の構成について説明する。図5は、図2に示すマスターシリンダ73、スレーブシリンダ75及びクラッチ機構20の接続状態の一例を示す図である。図6は、図5に示すスレーブシリンダ75の詳細構造の一例を示す側面断面図(継合状態の場合)である。図7は、図5に示すスレーブシリンダ75の詳細構造の一例を示す側面断面図(切断状態の場合)である。
まず、図5を参照して、摩擦クラッチ2の構成の概略について説明する。摩擦クラッチ2は、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31との間に介設されており、必要に応じてクランクシャフト11と入力軸31とを動力伝達可能な状態である継合状態(図6参照)、動力伝達不可能な状態である切断状態(図7参照)あるいは、滑りを伴う状態である半継合状態(いわゆる半クラッチ)にするものである。また、摩擦クラッチ2は、ここでは、図5に示すように、公知の単板乾式構造のクラッチ機構20を備えている。なお、クラッチ機構20の構成は、第一実施形態に係るクラッチ駆動装置700、及び、後述する第二実施形態に係るクラッチ駆動装置700Aについて共通である。
−クラッチ機構20−
更に、クラッチ機構20は、フライホイール21、クラッチディスク22、プレッシャープレート23、及び、ダイアフラムスプリング24を備えている。フライホイール21は、クランクシャフト11の後端(図5では右端)に連結されている。クラッチディスク22は、変速機3の入力軸31の先端(図5では左端)に、一体して回転可能で、且つ、軸方向に変位可能にスプライン嵌合されることによって、フライホイール21に対向して配置されている。プレッシャープレート23は、クラッチディスク22に対向して配置される環状板からなり、ダイアフラムスプリング24の外周部分に取り付けられている。
ダイアフラムスプリング24は、自然状態(外力が作用していない状態)において、プレッシャープレート23をフライホイール21側に近付ける向き(図5では左向き)に押圧して、プレッシャープレート23でクラッチディスク22をフライホイール21に圧接させ、摩擦クラッチ2を継合状態とするものである。また、後述するレリーズベアリング220によって、ダイアフラムスプリング24の内径側が軸方向に押圧されることによって反転されたとき(図7参照)には、ダイアフラムスプリング24は、プレッシャープレート23をフライホイール21から離間させる向き(図5では右向き)に引き離して、クラッチディスク22をフライホイール21から引き離し、摩擦クラッチ2を切断状態とする。
マスターシリンダ73(図3、図4参照)からのクラッチ作動油圧は、油圧配管761を介して、油圧式クラッチレリーズ機構210へ伝達される。図5に示すように、油圧式クラッチレリーズ機構210は、クラッチ機構20のダイアフラムスプリング24の内径部分に当接されるレリーズベアリング220を、変速機3の入力軸31の外径側において軸方向に変位させるものである。
油圧式クラッチレリーズ機構210は、外形が略円筒形状とされており、変速機3の入力軸31の外周側に同心状に配設されるもので、図6、図7に示すように、インナースリーブ211と、アウタースリーブ239と、ピストン216と、予圧スプリング217と、レリーズベアリング220とを有している。以下、図6、図7を参照して、油圧式クラッチレリーズ機構210の構成について説明する。なお、油圧式クラッチレリーズ機構210の構成は、第一実施形態に係るクラッチ駆動装置700、及び、後述する第二実施形態に係るクラッチ駆動装置700Aについて共通である。
インナースリーブ211は、変速機3の入力軸31の外周側に非接触状態で、変速機3の入力軸31を包囲して配設されるものであって、その軸方向基端側(図6、図7では右端側)には、変速機ケース(図示省略)に対する取付片として、径方向外向きに延びる円板部212が設けられている。
アウタースリーブ239は、インナースリーブ211の外周側に環状空間を形成するべくインナースリーブ211を包囲して配置されるものであって、その軸方向基端側(図6、図7では右端側)には、図示省略の変速機ケースに固定される厚肉大径部213が設けられており、また、その軸方向先端側(図6、図7では左端側)には、径方向内向きの屈曲片214が設けられている。厚肉大径部213には、マスターシリンダ73(図5参照)との間で作動油を送受するための油通路215が設けられている。
ピストン216は、インナースリーブ211とアウタースリーブ239とが対向して形成されている環状空間内に、軸方向に変位可能に嵌入されている。このピストン216の軸方向先端側(図6、図7では左端側)の外径側に形成された薄肉の小径部には、レリーズベアリング220の内輪の内径側が外嵌されている。レリーズベアリング220は、板ばね219によって抜け止めされている。
予圧スプリング217は、アウタースリーブ239の厚肉大径部213の壁面と、レリーズベアリング220の内輪の端面と、の間に圧縮状態で介設されており、予圧スプリング217の弾性復元力によって、レリーズベアリング220の端面(図6、図7では左端側端面)をダイアフラムスプリング24の内径側に当接させるべく常時付勢して「がた」を無くすものである。また、予圧スプリング217とレリーズベアリング220の内輪の端面と、の間には、ばね座218が介設されている。
また、インナースリーブ211、アウタースリーブ239、及び、ピストン216で囲まれた環状の油圧室221は、オイルシール223で外部から密封されている。オイルシール223は、ピストン216の軸方向後端側(図6、図7では右端側)に取り付けられている。また、オイルシール223とピストン216との間には、シールキャリア223aが介設されている。シールキャリア223aは、オイルシール223と一体となって、油圧室221内を摺動するものである。また、シールキャリア223aは、エンジン1の振動がオイルシール223に伝達して、当該オイルシール223の損傷が進行することを抑制するものである。
なお、図1に示すスレーブシリンダ75、及び、図10に示すスレーブシリンダ75Aは、インナースリーブ211とアウタースリーブ239とが対向して形成されている環状空間、油圧室221、ピストン216、オイルシール223、及び、シールキャリア223a等から構成されている。
−継合状態と切断状態との切り換え動作−
継合状態(図6参照)から切断状態(図7参照)へのクラッチ2の動作について、以下に、図5〜図7を参照して説明する。まず、図3、図4を参照して上述したように、クラッチペダル7の踏込操作に応じてマスターシリンダ73のピストン733が移動されると、マスターシリンダ73の圧力室732内の作動油が圧縮されてクラッチ作動油圧が昇圧される。また、ピストン733の押圧によって、マスターシリンダ73内の作動油圧が油圧配管761及び油通路215(図3、図4参照)を通じて、油圧式クラッチレリーズ機構210の油圧室221へ印加される。
そして、図6に示すように、油圧式クラッチレリーズ機構210のピストン216がフライホイール21側(図6の左側)へ駆動されて移動し、レリーズベアリング220がダイアフラムスプリング24を反転させる。そして、図5に示すプレッシャープレート23がフライホイール21から引き離されることになり、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31との間のトルクの伝達が不可能な状態となって、摩擦クラッチ2が切断状態(図7参照)となる。
切断状態(図7参照)から継合状態(図6参照)への摩擦クラッチ2の切り換え動作について、以下に、図5〜図7を参照して説明する。まず、図3、図4を参照して上述したように、クラッチペダル7の踏込解除操作に応じてマスターシリンダ73のピストン733が移動されると、マスターシリンダ73の圧力室732内における作動油の圧縮が解除されてクラッチ作動油圧が降圧される。また、マスターシリンダ73内の作動油圧が降圧されると、油圧配管761及び油通路215(図3、図4参照)を通じて、油圧式クラッチレリーズ機構210の油圧室221へ印加された油圧が解除される。
マスターシリンダ73内で発生させていた油圧が解除されるため、図7に示すように、ダイアフラムスプリング24の弾性復元力によってレリーズベアリング220が押し戻されると共に、油圧式クラッチレリーズ機構210のピストン216がフライホイール21と離間する側(図7の右側)に戻されることになる。そこで、油圧室221内の作動油が油通路215及び油圧配管761を経て、マスターシリンダ73及びリザーバタンク74に戻される。そして、図5に示すダイアフラムスプリング24の弾性復元力によってプレッシャープレート23がフライホイール21側(図5の左側)へ押圧され移動されるので、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31との間のトルクの伝達が可能な状態となって、摩擦クラッチ2が継合状態(図6参照)となる。
このようにして、マスターシリンダ73によって、油圧式クラッチレリーズ機構210に印加する作動油圧が制御され、油圧式クラッチレリーズ機構210によって、変速機3の入力軸31の外径側に同心状に配設され、ダイアフラムスプリング24の内径部分に当接されるレリーズベアリング220が入力軸31の軸方向に往復変位される。
−間隙Q−
次に、図1、図8等を参照して、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間に発生する間隙Qについて説明する。図8は、図7に示すスレーブシリンダ75においてオイルシール223とピストン216との間隙Qが発生している状態の一例を示す側面断面図である。間隙Qが発生する要因としては、クラッチペダル7の踏み込み力を急激に解除することによる油圧配管761内の負圧、及び、車両の急加速(又は、急減速)に伴う油圧配管761内の負圧がある。
まず、クラッチペダル7の踏み込み力を急激に解除することによる油圧配管761内の負圧によって、間隙Qが発生することについて説明する。クラッチペダル7の踏み込み力が急激に解除されると、図5に示すダイアフラムスプリング24、及び、図4に示すリターンスプリング734等によって、マスターシリンダ73のピストン733が一方側の位置(図4の左端位置)へ急激に復帰させられる。
その結果、油圧配管761内の作動油が、スレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ急激に移動する。そして、図5に示すダイアフラムスプリング24の復元力のスレーブシリンダ75への印加が終了した時点で、スレーブシリンダ75のピストン216の図8において右側への移動は停止する。しかしながら、スレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ移動する作動油の慣性によって、マスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間の油圧配管761内の作動油は、マスターシリンダ73側へ戻り続けるため、油圧配管761内の作動油に負圧が発生する。そこで、この負圧によってオイルシール223が図8では右側へ移動するため、スレーブシリンダ75においてオイルシール223とピストン216との間隙Qが発生する(図8参照)ことになる。
次に、車両の急加速(又は、急減速)に伴う油圧配管761内の負圧によって、間隙Qが発生することについて説明する。車両が急激に減速すると、図2に示す油圧配管761内の作動油にスレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう(図2では、右向きの)慣性力が作用する。
同様に、スレーブシリンダ75のピストン216に対しても右向きの慣性力が作用するが、ピストン216の摺動抵抗が、慣性力よりも大きいため、ピストン216が右側へ移動することはない。これに対して、油圧配管761内の作動油に作用するスレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう(図2では、右向きの)慣性力によって、油圧配管761内の作動油に負圧が発生する。そこで、この負圧によってオイルシール223が図8では右側へ移動するため、スレーブシリンダ75においてオイルシール223とピストン216との間隙Qが発生する(図8参照)ことになる。
‐距離Lと高さH‐
図9は、図2に示すクラッチ駆動装置700の車両における配設位置の一例を示す平面図及び側面図である。図9(a)は、車両の透視平面図であり、図9(b)は、車両の透視側面図である。図2を参照して上述のように、クラッチ駆動装置700は、クラッチペダル7、マスターシリンダ73、リザーバタンク74、及び、スレーブシリンダ75を備えている。
クラッチペダル7は、運転席の下方前方(図9の右側)に配設されている。マスターシリンダ73は、クラッチペダル7の更に前方側(図9の右側)に配設されている。リザーバタンク74は、進行方向(図9の右側)に向かってマスターシリンダ73の右側上方位置に配設されている。スレーブシリンダ75は、進行方向(図9の右側)に向かってマスターシリンダ73の左側後方位置に配設されている。
ここでは、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの前後方向の距離Lは、例えば、1300mmであり、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの高さHは、例えば、300mmである。なお、高さHは、正確には、リザーバタンク74の作動油液面の、スレーブシリンダ75からの高さである。
図9に示すように、リザーバタンク74は、スレーブシリンダ75より上方に配設され、且つ、車両の前後方向についてマスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間に配設される。具体的には、リザーバタンク74は、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの前後方向の距離Lが大きい程、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの高さHが大きい位置に配設される。
このようにして、リザーバタンク74が車両の前後方向についてマスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間に配設されるため、急加速又は急減速の際(図2に示す実施例では、急減速の際)に、マスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間の油圧配管761内の作動油に作用するスレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう向きの慣性力を低減することができるので、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間における間隙Q(図8参照)の発生を抑制することができる。
すなわち、スレーブシリンダ75がマスターシリンダ73の車両前方側に配設されている場合には、急加速時に、マスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間の油圧配管761内の作動油に作用するスレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう向きの慣性力が発生する。また、第一実施形態のように、スレーブシリンダ75がマスターシリンダ73の車両後方側に配設されている場合には、急減速時に、マスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間の油圧配管761内の作動油に作用するスレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう向きの慣性力が発生する。また、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの前後方向の距離Lが大きい程、スレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう向きの慣性力は大きい。そこで、リザーバタンク74を車両の前後方向についてマスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間に配設することによって、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの前後方向の距離Lを小さくすることができるので、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう向きの慣性力を低減することができるのである。
また、リザーバタンク74が、スレーブシリンダ75より上方に配設されているため、リザーバタンク74からスレーブシリンダ75まで間の作動油に、リザーバタンク74からスレーブシリンダ75へ向かう向きの重力G0が作用する。したがって、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの高さHを適正な値とするべくリザーバタンク74を配設することによって、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間における間隙Q(図8参照)を解消することができる。
本実施形態では、リザーバタンク74が、スレーブシリンダ75より上方に配設され、且つ、車両の前後方向についてマスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間に配設される場合について説明するが、リザーバタンク74が、スレーブシリンダ75より上方に配設されているか、又は、リザーバタンク74が車両の前後方向についてマスターシリンダ73とスレーブシリンダ75との間に配設される形態でもよい。この場合には、車両におけるリザーバタンク74の配設位置の自由度が大きくなる。
また、リザーバタンク74が、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの前後方向の距離Lが大きい程、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの高さHが大きい位置に配設されるため、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間における間隙Q(図8参照)を解消することができる。
すなわち、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの前後方向の距離Lが大きい程、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう向きの慣性力が増大する。そこで、リザーバタンク74のスレーブシリンダ75からの高さHが大きい位置に配設することによって、リザーバタンク74からスレーブシリンダ75まで間の作動油に作用する、リザーバタンク74からスレーブシリンダ75へ向かう向きの重力G0を大きくすることができるため、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間における間隙Q(図8参照)を解消することができるのである。
更に具体的には、次の(A)式を満たす場合に、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間における間隙Qの発生を防止することができる。
F/A≧ρ×(L×G1−H×G0) (A)
ここで、上記(A)式において、記号Fは、スレーブシリンダ75内のオイルシール223の摺動抵抗、記号Aは、スレーブシリンダ75の加圧面積、記号ρは、クラッチ作動油の密度、スレーブシリンダ75がマスターシリンダ73の車両前方側に配設されている場合には、記号G1は車両の前後方向の加速度、スレーブシリンダ75がマスターシリンダ73の車両後方側に配設されている場合には、記号G1は車両の前後方向の減速度、記号G0は、重力加速度である。
図9に示すように、スレーブシリンダ75がマスターシリンダ73の車両後方側に配設されている場合には、車両が減速度G1で減速したときに、(ρ×L×G1)のスレーブシリンダ75からマスターシリンダ73へ向かう向きの慣性力が作用する。一方、リザーバタンク74からスレーブシリンダ75まで間の作動油に作用する、リザーバタンク74からスレーブシリンダ75へ向かう向きの重力は、(ρ×H×G0)である。よって、上記(A)式を満たす場合には、オイルシール223に作用する外力(上記(A)式の右辺)の値が、オイルシール223の単位面積当りの摺動抵抗(上記(A)式の左辺)の値より小さいため、車両が減速度G1で減速したときに、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間隙Qの発生を回避することができる。
例えば、摺動抵抗Fは、20Nである。また、加圧面積Aは、例えば、1000mm2である。これらの値を(A)式の左辺に代入すると、単位面積当りの摺動抵抗(F/A)は、20kPaとなる。また、クラッチ作動油の密度ρは、例えば、1g/cm3であり、車両の前後方向の加速度G1は、例えば、1G(約10m/sec2)であり、重力加速度G0は、1G(約10m/sec2)であるとする。この場合には、(A)式の右辺の値は、10kPaとなり、(A)式が成立する。すなわち、スレーブシリンダ75におけるオイルシール223とピストン216との間における間隙Qの発生を防止することができる。
<第二実施形態>
−クラッチ駆動装置700Aの全体構成−
次に、図10を参照して、第二実施形態に係るクラッチ駆動装置700Aの全体構成について説明する。図10は、本発明に係るクラッチ駆動装置700Aの全体構成の他の一例(第二実施形態)を示す図である。図10に示すように、クラッチ駆動装置700Aは、クラッチペダル7A、空気シリンダ72A、マスターシリンダ73A、リザーバタンク74A、及び、スレーブシリンダ75Aを備えている。
第二実施形態に係るクラッチ駆動装置700Aは、第一実施形態に係るクラッチ駆動装置700と比較して、空気シリンダ72A、調圧弁741A、逆止弁77A、78A、及び、空気配管763A〜766Aを備える点において相違している。以下、主にクラッチ駆動装置700との相違点について説明する。
クラッチペダル7Aが踏み込まれると、ロッド713A(図11参照)を介して、空気シリンダ72A、及び、マスターシリンダ73Aのピストン722A、733A(図12参照)が駆動される(図10では、右側に移動される)。
空気シリンダ72Aは、リザーバタンク74A内に空気を供給するものである。具体的には、クラッチペダル7Aの踏み込みが解除された際に、ダイアフラムスプリング24(図5参照)によって摩擦クラッチ2が継合状態とされると共に、空気シリンダ72Aのピストン722A(図12参照)が駆動され(図10では、左側に移動される)、空気配管765A、764A、逆止弁77A、及び、空気配管763Aを順次経由して、リザーバタンク74A内に空気が供給されるのである。また、空気シリンダ72Aは、特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」の一部に相当する。
逆止弁77Aは、空気シリンダ72Aとリザーバタンク74Aとを接続する空気配管763A、764Aに介設され、リザーバタンク74Aから空気シリンダ72Aへの空気の流出を阻止すると共に、空気シリンダ72Aからリザーバタンク74Aへの空気の流出を可能とするものである。また、逆止弁77Aは、特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」の一部に相当する。
空気配管765Aは、空気配管764Aと空気配管766Aとに分岐されており、空気配管766Aの端部には、逆止弁78Aが配設されている。逆止弁78Aは、空気シリンダ72Aから大気への空気の流出を阻止すると共に、大気から空気シリンダ72Aへの空気の流入を可能とするものである。また、逆止弁78Aは、特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」の一部に相当する。
リザーバタンク74Aには、空気配管765A、764A、逆止弁77A、及び、空気配管763Aを順次経由して、空気シリンダ72Aから空気が供給される。更に、リザーバタンク74Aには、例えば、タンク上部に調圧弁741Aが配設されている。
調圧弁741Aは、リザーバタンク74A内の空気を、大気圧PA(略1気圧)より大きく予め設定された設定圧力P0に調圧するものである。また、調圧弁741Aは、特許請求の範囲に記載の「圧力調整手段」の一部に相当する。
このようにして、逆止弁78Aによって空気シリンダ72Aから大気への空気の流出が阻止された状態で、クラッチペダル7Aに連動して空気シリンダ72Aが押圧動作され、空気シリンダ72Aの押圧動作に応じて、当該空気シリンダ72Aからリザーバタンク74A内へ空気が供給されるため、簡素な構造で、リザーバタンク74A内へ空気を供給する手段(特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」)を実現することができる。また、空気シリンダ72A内が負圧になった場合には、逆止弁78Aを介して大気が流入するため、空気シリンダ72A内を大気圧に戻すことができる。
また、空気配管763A、764Aに介設された逆止弁77Aによって、リザーバタンク74A内から空気シリンダ72Aへの空気の流出が阻止されるため、リザーバタンク74A内から空気シリンダ72Aへの空気の流出によるリザーバタンク74A内の空気圧力P1の低下を防止することができる。
−空気シリンダ72A及びマスターシリンダ73A−
次に、図11、図12を参照して、空気シリンダ72A及びマスターシリンダ73Aの構造について説明する。図11は、図10に示す空気シリンダ72A及びマスターシリンダ73A等の配設状態の一例を示す側面図である。図12は、図10に示す空気シリンダ72A及びマスターシリンダ73Aの構造を示す側面断面図である。
図11に示すように、ペダルパッド711Aが運転者によって踏込操作されると、空気シリンダ72A及びマスターシリンダ73Aに挿通されたロッド713A(図12参照)が押圧される。また、ペダルパッド711Aの運転者による踏込操作が解除されると、空気シリンダ72A及びマスターシリンダ73Aに挿通されたロッド713A(図12参照)の押圧が解除される。
−空気シリンダ72A−
ここで、図12を参照して、空気シリンダ72Aの構造について説明する。空気シリンダ72Aは、リザーバタンク74A内に空気を供給するものであって、支軸721A、ピストン722A、第1空気室723A、第2空気室724A、及び、シリンダハウジング725Aを備えている。
支軸721Aは、ピストン722Aを、シリンダハウジング725Aの内周面725Aaに沿って摺動可能に支持する軸であって、一方端(ここでは、左端)がロッド713Aに連結され、他方端(ここでは、右端)が、マスターシリンダ73Aのピストン733Aと一体に形成されている。
ピストン722Aは、支軸721Aに支持され、シリンダハウジング725Aの内周面725Aaに沿って摺動し、クラッチペダル7Aの踏み込みが解除されたときに、第1空気室723A内の空気を圧縮するものである。第1空気室723Aは、密閉構造の空気室であって、空気配管763Aのみを介して空気が流入、又は、流出する。一方、第2空気室724Aは、開放構造の空気室であって、ピストン722Aの移動に伴って、大気が流入、流出する。
クラッチペダル7Aが踏み込まれたときに、ピストン722Aは、第2空気室724A側(図12では右側)に摺動し、第1空気室723Aの容積が増大し、第2空気室724Aの容積が減少する。第1空気室723Aの容積が増大するため、第1空気室723A内の空気が負圧となり、逆止弁78A(図10、図11参照)が開放されて、逆止弁78A、空気配管765Aを経由して、大気が第1空気室723A内へ流入する。その結果、第1空気室723A内の空気は大気圧に維持される。一方、第2空気室724Aの容積は減少するが、第2空気室724Aは開放構造であるため、第2空気室724Aから大気へ空気が流出し、第2空気室724A内の空気は大気圧に維持される。
逆に、クラッチペダル7Aの踏み込みが解除されたときには、ピストン722Aは、第1空気室723A側(図12では左側)に摺動し、第1空気室723Aの容積が減少し、第2空気室724Aの容積が増大する。第1空気室723Aの容積が減少するため、第1空気室723A内の空気の圧力が増大し、逆止弁77A(図10、図11参照)が開放されて、空気配管765A、764A、逆止弁77A、及び、空気配管763Aを順次経由して、空気が第1空気室723Aからリザーバタンク74A内へ流入する。その結果、リザーバタンク74A内の空気の圧力は増大される。一方、第2空気室724Aの容積は増大するが、第2空気室724Aは開放構造であるため、第2空気室724Aへ大気が流入し、第2空気室724A内の空気は大気圧に維持される。
このようにして、クラッチペダル7Aの解放操作に応じて摩擦クラッチ2が接続作動される際に、空気シリンダ72Aの第1空気室723Aの押圧動作が行われるため、操作性の低下をきたすことなく、リザーバタンク74A内へ空気を供給することができる。
すなわち、例えば、クラッチ機構20が単板乾式構造である場合には、クラッチペダル7Aの解放操作に応じて、図5に示すダイアフラムスプリング24等によって、摩擦クラッチ2が継合状態とされるため、操作性に影響を与えることなくリザーバタンク74A内へ空気を供給することができるのである。
また、空気シリンダ72Aのピストン722Aが、マスターシリンダ73Aのピストン733Aと空気シリンダ72Aの支軸721Aを介して一体に形成されているため、簡素な構成で空気シリンダ72Aを実現することができる。
−クラッチ駆動装置700Aの動作−
次に、図13を参照して、クラッチ駆動装置700Aの動作の一例について説明する。図13は、図10に示すクラッチ駆動装置700Aの動作の一例を示すグラフである。ここでは、クラッチペダル7Aの踏み込み力を急激に解除することによる油圧配管761A内の負圧に起因して、スレーブシリンダ75Aにおけるオイルシール223とピストン216との間に間隙Qが発生する場合について説明する。
グラフの横軸は全て時間tであって、縦軸は、上側から順に、クラッチペダル7AのストロークであるペダルストロークSt、リザーバタンク74Aのタンク内の空気圧力P1、スレーブシリンダ75Aのピストン216の位置であるピストン位置PP、及び、スレーブシリンダ75Aのオイルシール223の位置であるシール位置PSである。なお、ここでは、便宜上、ピストン位置PPとシール位置PSとは1つのグラフに表記している。
時点T0において、クラッチペダル7Aの踏み込みが解除され、図5に示すダイアフラムスプリング24、及び、図4に示すリターンスプリング734等によってクラッチペダル7Aが付勢されて、グラフG1に示すように、ペダルストロークStが踏込位置St0から解除位置St1への移動を開始する。また、ピストン位置PP及びシール位置PSは、それぞれ、グラフG3、グラフG4に示すように、切断位置PFから継合位置PNに向けて移動を開始する。これに伴って、スレーブシリンダ75Aからマスターシリンダ73Aへ作動油が移動すると共に、空気シリンダ72Aのピストン722A(図12参照)が駆動され(図12では、左側に移動される)、空気配管765A、764A、逆止弁77A、及び、空気配管763Aを順次経由して、リザーバタンク74A内に空気が供給されて、グラフG2に示すように、空気圧力P1が上昇する。
そして、時点T1において、グラフG2に示すように、空気圧力P1が調圧弁741Aの設定圧力P0に到達し、空気圧力P1の上昇が停止し、空気圧力P1が設定圧力P0に固定される。次に、時点T2において、グラフG1に示すように、ペダルストロークStが解除位置St1に到達すると共に、グラフG3、グラフG4に示すように、ピストン位置PP及びシール位置PSが継合位置PNに到達する。
時点T2においては、スレーブシリンダ75Aからマスターシリンダ73Aへ移動する作動油の慣性によって、マスターシリンダ73Aとスレーブシリンダ75Aとの間の油圧配管761A内の作動油は、マスターシリンダ73A側へ戻り続ける。そこで、油圧配管761A内の作動油に負圧が発生するので、この負圧によってオイルシール223が移動(図8では右側へ)し続けるため、時点T3においては、スレーブシリンダ75Aにおいてオイルシール223とピストン216との間隙Qが発生することになる。
そして、時点T3から時点T4までの期間においては、空気圧力P1が設定圧力P0であるため、この圧力がマスターシリンダ73内の作動油に作用し、油圧配管761A内の作動油を押圧するため、グラフG4に示すように、スレーブシリンダ75Aにおいてオイルシール223がピストン216と当接する位置(継合位置PN)まで移動される。その結果、オイルシール223とピストン216との間隙Qが解消される。なお、時点T3から時点T4までの期間においては、油圧配管761A内の作動油が、マスターシリンダ73Aからスレーブシリンダ75Aへ移動するため、グラフG2に示すように、空気圧力P1が設定圧力P0から徐々に低下することになる。また、設定圧力P0が大気圧に設定されている場合(または、従来のクラッチ駆動装置である場合)には、グラフG5に示すように、間隙Qが解消されないままであった。
このようにして、リザーバタンク74A内の空気圧力P1が、大気圧より大きく予め設定された設定圧力P0に調整されるため、設定圧力P0を適正な値に設定することによって、スレーブシリンダ75Aにおけるオイルシール223とピストン216との間隙Q(図8参照)を解消することができる。
すなわち、オイルシール223とピストン216との間隙Qが発生した場合に、リザーバタンク74A内の空気圧力によって、リザーバタンク74Aから作動油がマスターシリンダ73Aへ供給され、供給された作動油によって、マスターシリンダ73Aからスレーブシリンダ75Aのオイルシール223までの間に溜まっている作動油が押圧されて、オイルシール223がピストン216に当接する位置(図13に示す継合位置PN)まで移動するため、スレーブシリンダ75Aにおけるオイルシール223とピストン216との間隙Qを解消することができるのである。
また、空気シリンダ72Aからリザーバタンク74A内に空気が供給されて、リザーバタンク74A内の空気が設定圧力P0に調圧されるため、簡素な構造で、リザーバタンク74A内の空気圧力P1を、大気圧より大きく予め設定された設定圧力P0に調整することができる。
すなわち、空気シリンダ72Aからリザーバタンク74A内に空気が供給されることによって、リザーバタンク74A内の空気の圧力P1が上昇する。そして、リザーバタンク74A内の空気が設定圧力P0に到達すると、調圧弁741Aを介して不要な空気を逃がすことによって調圧されるため、簡素な構造で、リザーバタンク74A内の空気圧力P1を、大気圧より大きく予め設定された設定圧力P0に調整することができるのである。
本実施形態では、空気シリンダ72Aからリザーバタンク74A内に空気が供給され、調圧弁741Aによってリザーバタンク74A内の空気の圧力P1が設定圧力P0に調圧される場合について説明するが、その他の構成でリザーバタンク74A内の空気の圧力P1を設定圧力P0に調圧する形態でもよい。例えば、圧縮空気をリザーバタンク74Aに供給するコンプレッサと、リザーバタンク74A内の空気の圧力を検出する圧力センサとを備え、当該圧力センサによって検出された圧力に基づいて、リザーバタンク74A内の空気の圧力を設定圧力P0とするべくコンプレッサ等から供給する圧縮空気の圧力及び流量の少なくとも一方を制御する形態でもよい。
また、リザーバタンク74Aのスレーブシリンダ75Aからの前後方向の距離Lが大きい程、また、リザーバタンク74Aのスレーブシリンダ75Aからの高さHが小さい程、調圧弁741Aが、高い設定圧力P0に調圧されるため、スレーブシリンダ75Aにおけるオイルシール223とピストン216との間隙Qを解消することができる。
すなわち、リザーバタンク74Aのスレーブシリンダ75Aからの前後方向の距離Lが大きい程、急加速又は急減速の際に発生する、スレーブシリンダ75Aからマスターシリンダ73Aへ向かう向きの慣性力が増大する。また、リザーバタンク74Aのスレーブシリンダ75Aからの高さHが小さい程、リザーバタンク74Aからスレーブシリンダ75Aまで間の作動油に作用する、リザーバタンク74Aからスレーブシリンダ75Aへ向かう向きの重力が小さくなる。したがって、リザーバタンク74Aのスレーブシリンダ75Aからの前後方向の距離Lが大きい程、また、リザーバタンク74Aのスレーブシリンダ75Aからの高さHが小さい程、調圧弁741Aに、高い設定圧力P0で調圧させることによって、スレーブシリンダ75Aにおけるオイルシール223とピストン216との間隙Qを解消することができるのである。
−設定圧力P0−
次に、オイルシール223とピストン216との間隙Q(例えば、10mm)が発生している場合に、リザーバタンク74のタンク内の空気の圧力である設定圧力P0を設定する方法の一例について説明する。設定圧力P0は、大気圧に対して次の(1)式及び(2)式を満たすべく設定する。
P0=PA+ΔP0 (1)
ΔP0>(F/A)×(V+A×Q)/V (2)
ここで、上記(1)式、及び(2)式の各変数及び定数は、大気圧PA(kPa)、差圧ΔP0(kPa)、オイルシール223の摺動抵抗F(N)、ピストン216の作動油による加圧面積A(mm2)、リザーバタンク74A内の空気の容積V(mm3)である。
なお、上記(2)式は、間隙Qに対応する容積の作動油をリザーバタンク74Aから送出した時点(オイルシール223がピストン216に当接するまで移動された時点)で、リザーバタンク74A内に残留している空気圧力によって、オイルシール223の摺動抵抗より大きい圧力で、オイルシール223が付勢されることを意味している。
以下に、設定圧力P0の一例を、上記(1)式、及び、(2)式に基づいて算出する。例えば、大気圧PAは、1気圧=101.325kPaであり、摺動抵抗Fは、例えば、20Nである。また、加圧面積Aは、例えば、1000mm2である。間隙Qを10mmとして、これらの値を(2)式に代入すると、差圧ΔP0は、22kPaとなる。これを、(1)式に代入すると、設定圧力P0は、123.325kPaとなり、約1.22気圧となる。
−他の実施形態−
上記第一実施形態及び第二実施形態では、摩擦クラッチ2のクラッチ機構20が単板乾式構造である場合について説明したが、摩擦クラッチ2のクラッチ機構が、その他の構造である形態でもよい。例えば、摩擦クラッチ2のクラッチ機構が、乾式DCT(Dual Clutch Transmission)である形態でもよい。
上記第一実施形態及び第二実施形態では、摩擦クラッチ2が、運転者からのクラッチペダル7、7Aに対する操作に基づいてクラッチ機構20を動作させる手動クラッチである場合について説明したが、摩擦クラッチ2が、ECU(Electronic Control Unit)からの指示に基づいてクラッチ機構20を動作させる自動クラッチである形態でもよい。
本実施形態では、
本発明は、作動油を貯留するリザーバタンクと、当該リザーバタンクから作動油が供給され、クラッチペダルの踏み込み操作に応じてクラッチ作動油圧を出力するマスターシリンダと、前記クラッチ作動油圧に応じて摩擦クラッチを切断作動させるスレーブシリンダとを備えるクラッチ駆動装置に利用することができる。
1 エンジン
2 摩擦クラッチ
20 クラッチ機構
210 油圧式クラッチレリーズ機構
3 変速機
5 シフト装置
700 クラッチ駆動装置(第一実施形態)
7 クラッチペダル
713 ロッド
73 マスターシリンダ
731 シリンダハウジング
732 圧力室
733 ピストン
74 リザーバタンク
75 スレーブシリンダ(油圧式クラッチレリーズ機構の一部)
216 ピストン
221 油圧室
223 オイルシール
223a シールキャリア
700A クラッチ駆動装置(第二実施形態)
7A クラッチペダル
713A ロッド
72A 空気シリンダ(空気供給手段の一部、圧力調整手段の一部)
721A 支軸
722A ピストン
723A 第1空気室
724A 第2空気室
725A シリンダハウジング
73A マスターシリンダ
731A シリンダハウジング
732A 圧力室
733A ピストン
74A リザーバタンク
741A 調圧弁(圧力調整手段の一部)
75A スレーブシリンダ(油圧式クラッチレリーズ機構の一部)
77A 逆止弁(空気供給手段の一部、圧力調整手段の一部)
78A 逆止弁(空気供給手段の一部、圧力調整手段の一部)
761A 油圧配管
762A 油配管
763A、764A、765A 空気配管(空気供給手段の一部、圧力調整手段の一部)
766A 空気配管

Claims (6)

  1. 作動油を貯留するリザーバタンクと、当該リザーバタンクから作動油が供給され、クラッチペダルの踏み込み操作に応じてクラッチ作動油圧を出力するマスターシリンダと、前記クラッチ作動油圧に応じて摩擦クラッチを切断作動させるスレーブシリンダとを備えるクラッチ駆動装置であって、
    前記リザーバタンクは、前記スレーブシリンダより上方に配設され、且つ、車両の前後方向について前記マスターシリンダと前記スレーブシリンダとの間に配設されることを特徴とするクラッチ駆動装置。
  2. 請求項1に記載のクラッチ駆動装置において、
    前記リザーバタンクは、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが大きい位置に配設されることを特徴とするクラッチ駆動装置。
  3. 請求項2に記載のクラッチ駆動装置において、
    前記リザーバタンクは、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離L、及び、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが、次の(A)式を満たすべく配設されることを特徴とするクラッチ駆動装置。
    F/A≧ρ×(L×G1−H×G0) (A)
    ここで、上記(A)式において、記号Fは、前記スレーブシリンダ内のオイルシールの摺動抵抗、記号Aは、前記スレーブシリンダの加圧面積、記号ρは、クラッチ作動油の密度、前記スレーブシリンダが前記マスターシリンダの車両前方側に配設されている場合には、記号G1は車両の前後方向の加速度、前記スレーブシリンダが前記マスターシリンダの車両後方側に配設されている場合には、記号G1は車両の前後方向の減速度、記号G0は、重力加速度である。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のクラッチ駆動装置において、
    前記リザーバタンク内の空気圧を、大気圧より大きく予め設定された設定圧力に調整する圧力調整手段を備えることを特徴とするクラッチ駆動装置。
  5. 請求項4に記載のクラッチ駆動装置において、
    前記圧力調整手段は、
    前記リザーバタンク内に空気を供給する空気供給手段と、
    前記リザーバタンク内の空気を前記設定圧力に調圧する調圧弁と、を備えることを特徴とするクラッチ駆動装置。
  6. 請求項5に記載のクラッチ駆動装置において、
    前記調圧弁は、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの前後方向の距離Lが大きい程、また、前記リザーバタンクの前記スレーブシリンダからの高さHが小さい程、高い設定圧力に調圧することを特徴とするクラッチ駆動装置。
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