JP2013023459A - 精神疾患治療剤 - Google Patents

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Abstract


【課題】統合失調症の認知機能障害、統合失調症に関連する精神疾患、および注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療剤の提供。
【解決手段】ブロナンセリンまたはその薬理学的に許容される塩とタンドスピロンまたはその薬理学的に許容される塩とを組み合わせてなる実行機能に係わる精神疾患の治療剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ブロナンセリンとタンドスピロンとを組み合わせてなる精神疾患治療剤に関する。詳しくは、実行機能(注意機能・衝動性)に係わる精神疾患(例えば、統合失調症における認知機能障害、注意欠陥・多動性障害など)の治療剤として有用なブロナンセリンとタンドスピロンとを組み合わせてなる医薬に関する。
精神神経科領域における主要な疾患の一つとして統合失調症があり、その治療法としては、定型抗精神病薬や非定型抗精神病薬による薬物療法が最も有用である。しかし、抗精神病薬は副作用の発現率が比較的高いため、治療効果と副作用の回避を両立した薬物療法が探求し続けられている。また、統合失調症における認知機能障害に対して十分な効果を発揮する薬剤もほとんど見出されていない。
注意欠陥・多動性障害(ADHD:attention deficit/hyperactivity disorder)は、不注意、多動性、衝動性を特徴とする発達障害の1つである。症状としては、集中困難、過活動、不注意が挙げられ、通常7歳まで確認され、また過活動が顕著でない不注意優勢型であるケースも含まれる。ADHDの治療剤としては、覚醒水準を引き上げる中枢性興奮薬(例えば、塩酸メチルフェニデート、メチルフェニデートなど)が用いられている。日本では、小児期におけるADHD治療薬として、メチルフェニデートの徐放剤とノルアドレナリン再取り込み阻害剤であるアトモキセチン塩酸塩が認可されている。しかし、日本では成人に適用されるADHD治療剤が存在しないこと、さらに、メチルフェニデートは覚せい剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、コカインなど)と同じ副作用を有することが課題とされている。
ブロナンセリン[化学名:2−(4−エチル−1−ピペラジニル)−4−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[b]ピリジン]は、非定型抗精神病薬として統合失調症の治療に用いられている(例えば、非特許文献1、特許文献1を参照)。
タンドスピロン[化学名:(1R,2S,3R,4S)−N−[4−{4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル}ブチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド]は、セロトニン作動性抗不安薬として治療に用いられている(例えば、非特許文献2、特許文献2を参照)。
タンドスピロンについては、慢性統合失調症の記憶力に有益な効果を有し、特にハロペリドール等の定型抗精神病薬による維持療法を継続しながら、タンドスピロンまたはその薬理学的に許容される塩を投与して認知機能障害を改善し得ることが知られている(特許文献3を参照)。しかし、特許文献3には、ハロペリドールに関する実施例の記載があるのみであり、非定型抗精神病薬に関する実施例の記載はない。また、ハロペリドールとタンドスピロンの併用投与で陽性症状・陰性症状、ならびに副作用評価のスコアでは有意な改善がなかったことも開示されている。
特開平3−7257号公報 特開昭58−126865号公報 特開2002−20291号公報
ロナセン添付文書 2009年10月改訂 第5版 大日本住友製薬株式会社 セディール添付文書 2009年12月改訂 第12版 大日本住友製薬株式会社
統合失調症の薬物療法において、認知機能障害の改善並びに副作用の回避を両立させた治療方法が求められている。また、新しいADHD治療薬が望まれている。
本発明者は、抗精神病薬として使用されているブロナンセリンと抗不安薬として使用されているタンドスピロンの併用投与が、他の抗精神病薬とタンドスピロンの併用投与よりもADHDの注意機能・衝動性の改善ならびに統合失調症における認知機能障害、およびうつ・不安症状の改善に有効であり、さらに副作用の懸念が少ないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の治療剤に関する。
〔項1〕 ブロナンセリンまたはその薬理学的に許容される塩とタンドスピロンまたはその薬理学的に許容される塩とを組み合わせてなる、実行機能に係わる精神疾患の治療剤。
〔項2〕 実行機能に係わる精神疾患が統合失調症における認知機能障害である項1に記載の治療剤。
〔項3〕 実行機能に係わる精神疾患が注意欠陥・多動性障害である項1に記載の治療剤。
本発明の実行機能に係わる精神疾患の治療剤(以下、「精神疾患治療剤」と記すこともある。)は、統合失調症の認知機能障害の治療において、ハロペリドールなどの定型抗精神病薬とタンドスピロンの組み合わせ、またはブロナンセリン以外の非定型抗精神病薬とタンドスピロンの組み合わせよりも優れた改善作用を発揮する。さらに、本発明の精神疾患治療剤は、他の組み合わせでは実現しない十分な統合失調症のうつ・不安症状改善作用を発揮し、加えて副作用の懸念が極めて少ない。
また、本発明の精神疾患治療剤はADHDの治療、特に注意機能改善に効果がある。さらに、本発明の精神疾患治療剤は、ADHDにおける攻撃性抑制といった行動障害にも効果があり、具体的には自己および他者への攻撃性(aggression against self and/or others)、敵意(hostility)、多動性(hyperactivity)、重度の衝動性(severe impulsiveness)などに対しても効果がある。
図1は実施例1におけるORD試験のマーモセット、バームクーヘンが入ったアクリル箱、檻および試験のパターンを表した図である。 図2はORD試験におけるブロナンセリン単独投与の効果を示した図である。図中の棒グラフは各処置群の正答数変化率の平均値を示した。 図3はマーモセットORD試験におけるタンドスピロン単独投与ならびにブロナンセリンとタンドスピロン併用投与の効果を示した図である。図中の棒グラフは各処置群の正答数変化率の平均値を示した。 図4はマーモセットORD試験におけるリスペリドン単独投与の効果を示した図である。図中の棒グラフは各処置群の正答数変化率の平均値を示した。 図5はマーモセットORD試験におけるハロペリドール単独投与の効果を示した図である。図中の棒グラフは各処置群の正答数変化率の平均値を示した。 図6はマーモセットORD試験におけるハロペリドールとタンドスピロンの効果を示した図である。図中の棒グラフは各処置群の正答数変化率の平均値を示した。 図7はラット恐怖条件付けすくみ行動評価におけるブロナンセリン、タンドスピロンの単独投与ならびにブロナンセリンとタンドスピロン併用投与の効果を示した図である。図中の棒グラフは各処置群のすくみ行動出現率の平均値を示した。 図8はラット恐怖条件付けすくみ行動評価におけるリスペリドンの単独投与ならびにリスペリドンとタンドスピロン併用投与の効果を示した図である。図中の棒グラフは各処置群のすくみ行動出現率の平均値を示した。 図9はラットカタレプシー試験におけるブロナンセリンとタンドスピロン併用投与の効果を示した図である。図中にあるドットは各個体のカタレプシー時間を表し、棒グラフは各処置群のカタレプシー時間平均値を示した。
ブロナンセリンの薬理学的に許容される塩としては、塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨウ化水素酸塩,硫酸塩,リン酸塩等の無機酸塩、及びマレイン酸塩,フマル酸塩,シュウ酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩,乳酸塩,安息香酸塩,メタンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。タンドスピロンの薬理学的に許容される塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの無機酸との塩、酢酸塩、酪酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイ酸塩、フマル酸塩などの有機酸との塩が含まれ、中でもクエン酸塩が好ましい。
本発明の精神疾患治療剤は、ブロナンセリンまたはその薬理学的に許容される塩を含有する治療剤とタンドスピロンまたはその薬理学的に許容される塩を含有する治療剤とを併用投与することで実施可能である。それぞれの製剤を組み合わせたキット等であってもよい。また、ブロナンセリンまたはその薬理学的に許容される塩とタンドスピロンまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する単一医薬組成物として投与してもよく、それ故両方の薬剤を含有する合剤は本発明の重要な実施態様である。そのような組成物は、製薬に適したいかなる物理的形態もとりうる。
本発明の精神疾患治療剤の投与経路は、経口投与あるいは非経口投与のいずれでもよいが、経口投与が好ましい。通常用いられる投与形態は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、舌下錠、シロップ剤、懸濁液などである。あるいは、液剤の形にしたものを注射剤として非経口的に投与できる。また、坐剤の形で直腸投与することや、テープ剤として経皮投与することもできる。上記投与剤形は許容される通常の担体、賦形剤、結合剤、安定剤などにブロナンセリンもしくはその薬理学的に許容される塩および/またはタンドスピロンもしくはその薬理学的に許容される塩を配合することにより製造することができる。また、注射剤として用いる場合には、許容される緩衝剤、溶解補助剤、等張剤などを添加することもできる。
本発明の精神疾患治療剤の有効成分の投与量は、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。ブロナンセリンまたはその薬理学的に許容される塩の通常の投与量は、成人に対し、ブロナンセリンとして1日あたり1〜24mg、好ましくは2〜16mgである。タンドスピロンまたはその薬理学的に許容される塩の通常の投与量は、成人に対し、タンドスピロンクエン酸塩として1日あたり1〜120mg、好ましくは5〜60mgである。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、具体的には、不注意、多動性、衝動性を特徴とする発達障害の1つである。症状としては、集中困難、過活動、不注意が挙げられる。また、注意欠陥・多動性障害の改善には攻撃性の抑制が含まれる。攻撃性に関する行動障害には、具体的には、自己および他者への攻撃性(aggression against self and/or others)、敵意(hostility)、多動性(hyperactivity)、重度の衝動性(severe impulsiveness)などがある。
本発明のADHDの注意機能改善である持続的集中の低下の改善、迅速な反応の低下改善、活動低下の改善は、視覚的および知覚的探索および/または系統的および持続的傾聴を指標として評価できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
実施例1:実行機能(注意機能・衝動性)の評価
統合失調症の認知機能障害およびADHDのモデルとして、Psychopharmacology (2008) 196:643-648に記載の手法を一部改変したORD(オブジェクト・リトリーバル・ディテュア試験:retrieval with detour test)を行った(図1参照)。同方法は、霊長類の実行機能(注意機能・衝動性)を評価する方法である。
体重200〜450g・雌雄のコモン・マーモセットを使用した。ハロペリドール、リスペリドン、さらにブロナンセリン、タンドスピロンをそれぞれ0.5% メチルセルロース(MC)にて懸濁し、5mL/kgとして経口投与に供した。
(ORD試験トレーニング)
1面のみ開口(図1の太枠部)された4cm×4cm×4cmの透明アクリル製の立方体に、0.3〜0.5gのバームクーヘン(図1の三角形の物体)を報酬として、図1で示された場所に置く。マーモセットは、檻(点線部分)から手を伸ばし、アクリル箱に入った報酬の獲得行動を起こす。図1は、真上から見た図であり、5つのパターン(視線 line of sight, 左外側 left outside, 左内側 left inside, 右外側 right outside, 右内側 right inside)を易(easy task)と定義、残り2つのパターン(left deep, right deep)を難(difficult task)と定義する。被検動物が手を伸ばし、1回で報酬を取得できた場合を正解、2回目以降での取得を不正解とする。
各施行の間で時間をおくことなく下表に示された順序で試験を行い、これを1クールとして1日1回の訓練をする。
Figure 2013023459
上記訓練を、最低10回ORD試験を行ったマーモセットを訓練終了として、本試験に用いた。
ORD本試験は以下の要領で行った。
(1)薬剤投与前にORD試験を行う(前値)。以下ORD試験とは、上記された訓練と同じ17回の施行を1クールして試験することである。
(2)薬剤投与2時間後に再び同じ課題を行う(後値)。なお併用投与の場合は、1つ目の薬剤(ブロナンセリン)を投与してその30分後に2剤目の薬剤(タンドスピロン)を投与し、その1.5時間後にORD試験を行う。
(3)下記の式よりDifficult taskの正答率の変化を求め、薬剤の効果を評価する。 例えば、投与前に正答数(前値)が3回であり、薬剤投与によって正答数(後値)が5回となれば、各試験でのdifficult taskの施行回数は8回であることから、(5-3)÷8×100=25%の正答率の上昇となる。
正答率(%)の変化=
{正答したdifficult taskの数の差(後値−前値)}÷8×100
(4)バームクーヘンは1セットあたり0.5g×17=8.5g、1日に最大で2セット、すなわち最大17gを摂取することになるが、全ての個体で17gのバームクーヘンでは食欲が満たされないことを確認している。
(5)薬剤を投与後、休薬期間を2週間設け、さらに次の試験前にORD試験を行い、前回の投薬による影響がないことを確認している。
(6)1群あたり、4〜8頭のマーモセットを使用した。薬剤の影響によって、嘔吐あるいはカタレプシー様症状で無動となり、ORD試験不可能であった個体はデータから除いた。また1つの薬剤評価試験において、実験日が2日間に及んだ場合、各実験日にて溶媒投与(対照群)を行うことから、対照群が6頭×2回分=最大12頭のデータを示す場合がある。
図2から明らかなように、ブロナンセリン単独投与では注意・実行機能にまったく影響を及ぼさなかったのに対して、図3に示すとおりタンドスピロンは単独でも用量依存的に注意・実行機能を増強する作用を示した。さらに、単独で全く効果のないブロナンセリンの用量(0.1mg/kg)をタンドスピロンと併用投与した結果、タンドスピロン単独投与での効果よりも強い増強作用を示した。特に、単独で全く効果のないブロナンセリンの用量(0.1mg/kg)と単独で全く効果のないタンドスピロンの用量(10mg/kg)を併用投与すると顕著な相乗効果を示した。一方、ハロペリドール、リスペリドンをそれぞれ単独投与した場合は注意・実行機能が悪化した(図4、5を参照)。さらに、図6から明らかなように、ハロペリドールとタンドスピロンの併用投与においても注意実行機能の増強作用は認められなかった。すなわち、ブロナンセリンとタンドスピロンの併用投与は、ADHDの注意機能改善および衝動性の抑制ならびに統合失調症の認知機能障害改善作用を示す可能性が示された。
実施例2:統合失調症のうつ・不安症状の評価
統合失調症では、不安やうつ症状の合併による症状の難治化・慢性化が治療を困難にする大きな要因となっている。ラット恐怖条件付けすくみ行動評価は、うつ・不安状態への影響を評価するための予測的妥当性(predictive validity)を有する動物モデルである。統合失調症のうつ・不安症状への作用を評価する情動モデルとして本モデルを用いて、ブロナンセリンおよびタンドスピロンの単独投与ならびにブロナンセリンとタンドスピロンの併用投与の効果について評価した。また、比較のため非定型抗精神病薬リスペリドン、ならびにリスペリドンとタンドスピロンの併用投与の効果についても評価した。
(方法)
8週齢のWister系雄性ラットを使用した。試験化合物(ブロナンセリン、タンドスピロン、リスペリドン)は0.5% methyl cellulose(MC)にて懸濁して使用した。
恐怖条件付けすくみ行動評価は、実験装置として防音箱およびショックジェネレーターから構成されるcontextual fear freezing装置(小原医科産業株式会社製、機器名:ImageJ FZ4)を利用し、以下のように実施した。すなわち、実験初日において防音箱に被験動物をいれ、3分間の探索時間を与えた後に0.5mA、10秒間の電気ショックを不規則な間隔で3分間に5回与えて、恐怖条件付けの訓練とした。実験2日目、訓練から24時間後に再度被験動物を防音箱にいれ、5分間のすくみ行動を測定して試験とした。試験の1時間前に試験化合物を経口投与した。
それらの結果を図7、8に示す。
図7から明らかなように、ブロナンセリンおよびタンドスピロンは単独投与で抗うつ・抗不安作用を示し、さらに併用投与では単独投与での薬効が顕著に増強された。ブロナンセリンについては、非定型抗精神病薬であることから、双極性障害の治療剤としての有用性があることも示唆している。
一方、リスペリドンを単独投与した場合は本評価試験において効果が観察されなかったが、タンドスピロンとの併用投与においては抗うつ・抗不安作用傾向を示した(図8を参照)。この効果は有意な効果ではなく、かつリスペリドン高用量(1mg/kg)との併用投与では薬効傾向が消失した。
実施例3:錐体外路系副作用の評価
標準的な抗精神病薬は、投薬に伴ってドパミンD2受容体遮断作用に起因する錐体外路系副作用(EPS)が高頻度に生じる。ラットカタレプシー試験は薬剤投与によるEPS誘発リスクを評価するための予測的妥当性(predictive validity)を有する動物モデルである。本発明者らは、本モデルにおけるブロナンセリンおよびタンドスピロン併用投与の効果を評価した。
(方法)
7週齢のSD系雄性ラット40匹を使用した。試験化合物(ブロナンセリン、タンドスピロン)は0.5% メチルセルロース(methyl cellulose;MC)にて懸濁して使用した。全てのラットに、ブロナンセリン40mg/kgを試験4時間前に経口投与した。タンドスピロン(20、40、80mg/kg)および溶媒(0.5% MC)は試験1時間前に経口投与した。各群例数は10例とした。カタレプシー試験は以下のように行った。カタレプシー用バー(高さ9cm)にラット前肢を置いて立位状態にし、姿勢保持時間を最大180秒まで3回測定した。3回測定したうち、最高値をその個体のカタレプシー時間として定義した。なお、3回測定中に180秒まで到達した個体はその時点で試験を終了し、カタレプシー時間を180秒とした。各群のカタレプシー時間の平均値と標準誤差を算出した。
その結果を図9に示す。
約8割の動物でカタレプシー症状を呈するブロナンセリンの用量(40mg/kg)にタンドスピロンを併用投与すると、用量依存的にブロナンセリン誘発カタレプシーが減弱された(図9を参照)。
これらの結果から、ブロナンセリンとタンドスピロンの併用投与は優れた注意実行機能増強および統合失調症におけるうつ・不安症状改善作用を発揮することが示された。さらに、ブロナンセリンとタンドスピロンとの併用により、抗精神病薬投与に伴うEPS発現リスクが低減されることが示された。よって、ブロナンセリンとタンドスピロンの併用投与は統合失調症およびADHD治療のアンメットニーズを満たす理想的な治療薬の組み合わせである。また、ブロナンセリンとタンドスピロンの併用投与は、代表的な非定型薬であるリスペリドンとタンドスピロンの併用投与に比べて、統合失調症における認知機能障害およびうつ・不安症状の改善においてより有効性が高い。ブロナンセリンは認知機能障害誘発作用を持たないのに対してハロペリドールやリスペリドンは認知機能を悪化させることからも、認知機能障害やADHD治療用のためのタンドスピロンとの組み合わせにはブロナンセリンが最も適していることが示された。
製剤例:ブロナンセリン2g、タンドスピロンクエン酸塩5g、乳糖80g、トウモロコシデンプン28g、結晶セルロース25g及びヒドロキシプロピルセルロース3gを常法により混和造粒乾燥後、軽質無水ケイ酸(0.7g)及びステアリン酸マグネシウム(1.3g)を加えた後、1錠あたり145mgで打錠し、錠剤(1000錠)を製造する。
本発明の精神疾患治療剤は、統合失調症の認知機能障害の治療剤、ADHDの治療剤、および統合失調症に関連する精神疾患(例えば、双極性障害)の治療剤として有用である。

Claims (3)

  1. ブロナンセリンまたはその薬理学的に許容される塩とタンドスピロンまたはその薬理学的に許容される塩とを組み合わせてなる実行機能に係わる精神疾患の治療剤。
  2. 実行機能に係わる精神疾患が統合失調症における認知機能障害である請求項1に記載の治療剤。
  3. 実行機能に係わる精神疾患が注意欠陥・多動性障害である請求項1に記載の治療剤。
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WO2021129340A1 (zh) * 2019-12-25 2021-07-01 四川科瑞德制药股份有限公司 一种坦度螺酮药物组合物及其制备方法和用途

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