JP2013023457A - (2s,4s)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの製造方法 - Google Patents

(2s,4s)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの工業的な製造方法を提供する。
【解決手段】(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン又は該酸塩を塩基の存在下にアルキルカルボニルオキシアセチルハライドと反応させることにより(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し、次に脱ヒドロキシフッ素化剤と反応させることにより(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し、最後にアンモニアと反応させることにより(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを得る。本発明は、従来の製造方法の反応工程数を格段に短縮することができ、高い生産性で安価に表題化合物を供給できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖尿病治療薬の中間体として重要な(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの製造方法に関する。
(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンは、糖尿病治療薬の中間体として重要である(特許文献1)。本化合物は、既にフッ素原子が導入された(2S,4S)−4−フルオロプロリン類[例えば、式[A]で示されるカルボキシル基保護体(塩酸やトリフルオロ酢酸等との酸塩も含む)や、式[B]で示されるアミノ基保護体]を出発原料に用いて製造されている(特許文献1)。該フルオロプロリン類は、(2S,4R)−4−ヒドロキシプロリン類から製造されており(非特許文献1、非特許文献2)、これらも合わせると全体の製造方法はスキーム1の様になる。本製造方法の脱ヒドロキシフッ素化において好適な保護基として、カルボキシル基はメチル保護体、アミノ基はtert−ブトキシカルボニル保護体が採用されている。
Figure 2013023457
Figure 2013023457
本出願人は、スルフリルフルオリド(SO)と有機塩基の組み合わせ(必要に応じて「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に行う)によるアルコール類の脱ヒドロキシフッ素化反応を開示している(特許文献2)。
国際公開2007/102286号パンフレット 特開2006−290870号公報
Tetrahedron Letters(英国)、1998年、第39巻、p.1169−1172 Tetrahedron(英国)、2002年、第58巻、p.6713−6722
本発明の目的は、(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの工業的な製造方法を提供することにある。そのためには、従来技術の問題点を解決する必要がある。
スキーム1で示される様な従来の製造方法で本発明の目的化合物を製造するには、最低でも5工程(さらにアミノ基保護体をカルボキシル基保護体に変換する場合は6工程)の反応を必要とした。よって、工程数の長さに伴う操作の煩雑さや廃棄物の増加により、工業的な観点から高い生産性で安価に目的化合物を製造することができなかった。
工程数を短縮するには、本発明の製造方法の様に(スキーム2を参照)、目的化合物の窒素置換基の導入に必要なN−アルキルカルボニルオキシアセチル化が、脱ヒドロキシフッ素化のアミノ基保護の役割も兼ね合わせることができるならば、工程短縮の極めて効果的な手法に成り得る。しかしながら、脱ヒドロキシフッ素化のアミノ基保護として、N−アルキルカルボニルオキシアセチル体、好ましくはN−アセトキシアセチル体が好適に利用できるかは全く不明であった。さらに、脱ヒドロキシフッ素化の原料基質の製造において、(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの4位ヒドロキシル基に優先して、1位窒素原子上で選択的にアルキルカルボニルオキシアセチル化が進行するかも全く不明であった。
Figure 2013023457
上記の様な観点から反応工程数を短縮する検討は一切報告されておらず、高い生産性で安価に(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを供給できる工業的な製造方法が強く望まれていた。
本発明者らは、上記の課題を踏まえて鋭意検討した結果、(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンまたは該酸塩を塩基の存在下にアルキルカルボニルオキシアセチルハライドと反応させることにより(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し、次に脱ヒドロキシフッ素化剤と反応させることにより(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し、最後にアンモニア(NH)と反応させることにより(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンが製造できることを見出した。
原料基質としては、2位アルコキシカルボニル部位のアルキル基の炭素数が1から4の塩酸との塩が好ましく、大量規模での入手が容易である。N−アルキルカルボニルオキシアセチル化剤としては、アセトキシアセチルクロリドが好ましく、大量規模での入手が安価である。塩基としては、有機塩基が好ましく、所望の反応が良好に進行する。脱ヒドロキシフッ素化剤としては、有機塩基の存在下にスルフリルフルオリドと反応させる方法が好ましく、大量規模での実施が可能である。該方法においては、さらに「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に行うことが特に好ましく、高い選択性で反応が進行する。
また、(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンは新規化合物であり、反応工程数短縮のための鍵中間体として重要である。その中でも(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンが大量規模での製造において特に重要である。
この様に、(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの製造方法に関する極めて有用な方法と鍵中間体を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は[発明1]から[発明5]を含み、(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの工業的な製造方法を提供する。
[発明1]
一般式[1]
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンまたは該酸塩を塩基の存在下に、一般式[2]
Figure 2013023457
で示されるアルキルカルボニルオキシアセチルハライドと反応させることにより、一般式[3]
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し、次に脱ヒドロキシフッ素化剤と反応させることにより、一般式[4]
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し、最後にアンモニア(NH)と反応させることにより、式[5]
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを製造する方法。
[式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは塩素原子または臭素原子を表す]
[発明2]
一般式[6]
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩を有機塩基の存在下に、式[7]
Figure 2013023457
で示されるアセトキシアセチルクロリドと反応させることにより、一般式[8]
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し、次に有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[9]
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し、最後にアンモニア(NH)と反応させることにより、式[5]
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを製造する方法。
[式中、Rは炭素数が1から4のアルキル基を表し、Meはメチル基を表す]
[発明3]
発明2において、さらに「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に脱ヒドロキシフッ素化を行うことを特徴とする、発明2に記載の(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの製造方法。
[発明4]
一般式[3]
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン。
[式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表す]
[発明5]
一般式[8]
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン。
[式中、Rは炭素数が1から4のアルキル基を表し、Meはメチル基を表す]
本発明が従来技術に比べて有利な点を以下に述べる。
(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのアルキルカルボニルオキシアセチル化が1位窒素原子上で位置選択的に進行し、さらに得られたN−アルキルカルボニルオキシアセチル体の脱ヒドロキシフッ素化も良好に進行することを明らかにした。特に、有機塩基の存在下にスルフリルフルオリドと反応させる脱ヒドロキシフッ素化(必要に応じて「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に行う)においては、脱アシル化や隣接基関与等に起因する副反応(ジフルオロ化、4位フッ素化の反転率低下、フッ素化以外の置換等)が殆ど認められず、好適なアミノ保護基であるtert−ブトキシカルボニル基を用いた時と同等の効果を得ることができた。
本発明の製造方法を採用すれば、入手容易な(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンまたは該酸塩から3工程で所望の目的化合物を製造することができる(従来は5または6工程が必要であった)。反応工程数が短縮できることにより、従来技術の問題点が全て解決でき、高い生産性で安価に(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを供給することができる。
また、3工程の反応が全て収率良く進行し、さらに、好適な脱ヒドロキシフッ素化で用いるスルフリルフルオリドが燻蒸剤として安価に入手できるため、工業的な観点からも優れた製造方法である。
本発明の(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの製造方法について詳細に説明する。
本発明は、一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンまたは該酸塩を塩基の存在下に、一般式[2]で示されるアルキルカルボニルオキシアセチルハライドと反応させることにより、一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し(第1工程;アミノ基保護且つN−アルキルカルボニルオキシアセチル化)、次に脱ヒドロキシフッ素化剤と反応させることにより、一般式[4]で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し(第2工程;脱ヒドロキシフッ素化)、最後にアンモニアと反応させることにより(第3工程;アミド&脱アシル化)、式[5]で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを製造する方法である。
先ず、第1工程のアミノ基保護且つN−アルキルカルボニルオキシアセチル化について詳細に説明する。
一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのRは、アルキル基を表す。その中でも炭素数が1から4のアルキル基が好ましく、後述の塩素アニオン(Cl)の除去を考慮すると、エチル基およびプロピル基が特に好ましく、プロピル基が極めて好ましい。Rがプロピル基の様に立体的に嵩高くなっても第3工程のアミド化が良好に進行することも本発明において新たに見出した。アルキル基は、炭素数が1から18の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を採ることができる。
一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのエナンチオマー過剰率(ee)およびジアステレオマー過剰率(de)は、それぞれ90%以上を用いれば良く、95%以上が好ましく、97%以上が特に好ましい。
一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンは、酸との塩を用いることもでき、係る酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。その中でも塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンまたは該酸塩は、第4版 実験化学講座22 有機合成IV 酸・アミノ酸・ペプチド(丸善、1992年、p.193−309)を参考にして、市販の(2S,4R)−4−ヒドロキシプロリンから同様に製造することができる(参考例1を参照)。Rの炭素数が増加するに従い反応速度が遅くなるが、それぞれに好適な反応条件を採用することにより所望の反応を良好に行うことができる。
一般式[2]で示されるアルキルカルボニルオキシアセチルハライドのRは、アルキル基を表す。その中でも炭素数が1から6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。アルキル基は、炭素数が1から18の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を採ることができる。
一般式[2]で示されるアルキルカルボニルオキシアセチルハライドのXは、塩素原子または臭素原子を表す。その中でも塩素原子が好ましい。
一般式[2]で示されるアルキルカルボニルオキシアセチルハライドの使用量は、一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から10モルが好ましく、0.9から5モルが特に好ましい。実施例の様に丁度1当量用いることにより4位ヒドロキシル基上でのO−アルキルカルボニルオキシアセチル化を完全に制御することができる(N,O−ビスアルキルカルボニルオキシアセチル体の副生量が1%以下)。この知見も本発明において新たに見出した。
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。その中でも有機塩基が好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、4−ジメチルアミノピリジンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンが特に好ましい。これらの塩基は単独または組み合わせて用いることができる。
塩基の使用量は、一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から10モルが好ましく、0.9から5モルが特に好ましい。原料基質として該酸塩を用いる場合は、酸の中和に必要な塩基を余分に加えて行えば良い。
反応溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。その中でもn−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、イソプロパノール、ジメチルスルホキシドおよび水が好ましく、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルおよびイソプロパノールが特に好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて用いることができる。
反応溶媒の使用量は、一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対して0.1L以上を用いれば良く、0.3から10Lが好ましく、0.5から5Lが特に好ましい。
反応温度は、−40から+120℃の範囲で行えば良く、−30から+110℃が好ましく、−20から+100℃が特に好ましい。
反応時間は、24時間以内の範囲で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、生成物である一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのRとRの脂溶性の違いにより、有機溶媒に対する溶解度が大きく異なるため、好適な態様が異なる。Rが好適なメチル基の場合に、Rがメチル基では水溶性が高いため、この様な場合には、反応終了液に貧溶媒を加えて結晶性の生成物を濾過で回収する操作が効果的である。また、Rがメチル基の場合でも、Rの炭素数が増加するに従い脂溶性が向上するため、この様な場合には、反応終了液を有機溶媒で希釈し、水、無機酸の水溶液または無機塩基の水溶液で洗浄し、有機層を濃縮して回収する操作が効果的である。得られた粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。
原料基質である一般式[1]で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの4位の立体化学は、反応を通して保持される。
次に、第2工程の脱ヒドロキシフッ素化について詳細に説明する。
脱ヒドロキシフッ素化剤としては、スルフリルフルオリド/有機塩基(有機塩基の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることを意味する;特許文献2)以外に、RfSOF/有機塩基[式中、Rfはトリフルオロメチル基(CF)またはn−ノナフルオロブチル基(n−C)を表す。有機塩基の存在下にRfSOFと反応させることを意味する;特開2005−336151号公報]、3フッ化ジエチルアミノイオウ(DAST;A)、3フッ化ビス(2−メトキシエチル)アミノイオウ(B)、ヤロベンコ試薬(CTT;C)、石川試薬(PPDA;D)、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(E)等が挙げられる(AからEは図1を参照)。その中でもスルフリルフルオリド/有機塩基、C、DおよびEが好ましく、スルフリルフルオリド/有機塩基が特に好ましい。CおよびDは、トリフルオロクロロエチレンまたはヘキサフルオロプロペンとジエチルアミンの付加物であるが、これら以外の類似する組み合わせ(例えば、テトラフルオロエチレン等のフルオロオレフィン、ジメチルアミン等の炭素数の異なるジアルキルアミン)から成る付加物も同様の脱ヒドロキシフッ素化能を期待することができるため、本発明における脱ヒドロキシフッ素化剤として扱う。上記の全ての脱ヒドロキシフッ素化剤は、フッ化水素または「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に用いることもでき、この様な態様も本発明における脱ヒドロキシフッ素化剤として扱う。その中でも好適なスルフリルフルオリド/有機塩基において、さらに「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に脱ヒドロキシフッ素化を行う態様が特に好ましい。
Figure 2013023457
好適なスルフリルフルオリド/有機塩基におけるスルフリルフルオリドの使用量は、一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から10モルが好ましく、0.9から5モルが特に好ましい。
好適なスルフリルフルオリド/有機塩基における有機塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン等が挙げられる。その中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジンおよび2,4,6−コリジンが好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミンおよびピリジンが特に好ましい。これらの有機塩基は単独または組み合わせて用いることができる。
好適なスルフリルフルオリド/有機塩基における有機塩基の使用量は、一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から20モルが好ましく、0.9から10モルが特に好ましい。
「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の有機塩基は、「好適なスルフリルフルオリド/有機塩基」に記載した有機塩基と同じである。
「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の有機塩基とフッ化水素のモル比は、100:1から1:100の範囲で用いれば良く、50:1から1:50が好ましく、25:1から1:25が特に好ましい。アルドリッチ(Aldrich、2007−2008総合カタログ)から市販されている「トリエチルアミン1モルとフッ化水素3モルからなる錯体」または「ピリジン〜30%(〜10モル%)とフッ化水素〜70%(〜90モル%)からなる錯体」を用いるのが便利である。
「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の使用量は、一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対してフッ素アニオン(F)として0.1モル以上を用いれば良く、0.3から30モルが好ましく、0.5から20モルが特に好ましい。
RfSOF/有機塩基におけるRfSOFの使用量、有機塩基および該使用量は、好適なスルフリルフルオリド/有機塩基において記したスルフリルフルオリドの使用量、有機塩基および該使用量と同様である。
AからE等(類似付加物も対象)の使用量は、一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から10モルが好ましく、0.9から5モルが特に好ましい。
反応溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その中でもn−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルおよびジメチルスルホキシドが好ましく、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルが特に好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて用いることができる。
反応溶媒の使用量は、一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン1モルに対して0.1L以上を用いれば良く、0.2から10Lが好ましく、0.3から5Lが特に好ましい。
反応温度は、−60から+100℃の範囲で行えば良く、−50から+90℃が好ましく、−40から+80℃が特に好ましい。
反応時間は、24時間以内の範囲で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、反応終了液を有機溶媒で希釈し、水、無機酸の水溶液または無機塩基の水溶液で洗浄し、回収した有機層を濃縮することにより、一般式[4]で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。
また、一般式[4]で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンを含む反応終了液を直接、アンモニアと反応させることにより、式[5]で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを得ることもできる。この様な第2工程と第3工程のワンポット反応は、工業的な観点から好ましい態様である。
原料基質である一般式[3]で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの4位の立体化学は、反応を通して反転する。
最後に、第3工程のアミドおよび脱アシル化について詳細に説明する。
本工程は、一般式[4]で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンをアンモニアと反応させることにより、1位置換基上での脱アシル化と2位置換基上でのアミド化を1工程で行うものである。
アンモニアは、化合物自体であるガス状のNH以外に、該水溶液、アルコール溶液、エーテル溶液等を用いることができる。係るアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等、係るエーテルとしては、ジオキサン等が挙げられる。種々の濃度調整溶液(例えば、0.2から7Mの各種アルコール溶液、25から28%の水溶液)が市販されており、これらを用いるのが便利である。
アンモニアの使用量は、一般式[4]で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジン1モルに対して1.4モル以上を用いれば良く、1.6から20モルが好ましく、1.8から10モルが特に好ましい。
反応溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。その中でもn−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシドおよび水が好ましく、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよび水が特に好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて用いることができる。
反応溶媒の使用量は、一般式[4]で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジン1モルに対して0.05L以上を用いれば良く、0.1から20Lが好ましく、0.15から10Lが特に好ましい。
反応温度は、−40から+120℃の範囲で行えば良く、−30から+110℃が好ましく、−20から+100℃が特に好ましい。
反応時間は、24時間以内の範囲で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、特に制限はないが、生成物である式[5]で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンが有機溶媒に難溶解性の、水溶性の結晶であるため、反応終了液中に析出した結晶性の生成物を濾過で回収する操作が効果的である。得られた粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。
本発明においては、(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンまたは該酸塩を塩基の存在下にアルキルカルボニルオキシアセチルハライドと反応させることにより(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し、次に脱ヒドロキシフッ素化剤と反応させることにより(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し、最後にアンモニアと反応させることにより(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを製造することができる(態様1)。
態様1の中でも、原料基質としては2位アルコキシカルボニル部位のアルキル基の炭素数が1から4の塩酸との塩、N−アルキルカルボニルオキシアセチル化剤としてはアセトキシアセチルクロリド、塩基としては有機塩基、脱ヒドロキシフッ素化剤としては有機塩基の存在下にスルフリルフルオリドと反応させる方法、これらを組み合わせることにより、工業的に実施可能な製造方法になる(態様2)。
態様2の中でも、さらに「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に脱ヒドロキシフッ素化を行うことにより、工業的に実施容易な製造方法になる(態様3)。
また、態様1の(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンは新規化合物であり、反応工程数短縮のための鍵中間体として重要である(態様4)。
態様4の中でも、(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンが大量規模での製造において特に重要である(態様5)。
本発明者らは、本発明の製造方法について、さらに新たな知見を見出した。
第1工程の後処理において、脱ヒドロキシフッ素化の好適な原料基質として得られる(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン中の塩素アニオン含量を低減しておくことにより、本発明の目的化合物である(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの精製の負荷を格段に軽減できることが判明した。実施例1で示される様に、塩素アニオンとしてトリエチルアミン塩酸塩が相当量含まれる原料基質を用いて脱ヒドロキシフッ素化を行うと、対応する塩素化物である(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−クロロピロリジンを副生する(スキーム3を参照)。本不純物は、アミド&脱アシル化を経て、最終目的化合物の粗生成物を再結晶することにより、医薬品中間体として十分な純度に精製することは可能であるが、工業的な観点からすると、脱ヒドロキシフッ素化の原料基質に含まれる塩素アニオンを予め低減しておくことが効果的である。
Figure 2013023457
(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのRがメチル基の場合は、該化合物の水溶性が高いため、実施例2で示される様に、イソプロパノール等の極性の高い有機溶媒で塩素アニオン(トリエチルアミン塩酸塩)を加熱洗浄または再結晶除去する方法が好ましい態様である(態様A)。
また、Rがエチル基、プロピル基またはブチル基の場合は、該化合物の脂溶性が向上するため、酢酸エチルやトルエン等の有機溶媒で希釈し、塩素アニオンを水洗除去する方法(実施例4と5を参照)や、シリカゲル等のショートカラムで原点除去する方法(脂溶性が向上することで吸着ロスが殆どなくなる)も好ましい態様である(態様B)。この様な2位アルコキシカルボニル部位のアルキル基の炭素数が2から4の場合は、(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩の大量規模での入手容易性と、第3工程のアミド&脱アシル化に対する反応性および選択性を考慮すると、その中でもエチル基およびプロピル基が特に好ましく、プロピル基が極めて好ましい。
さらに、N−アセトキシアセチル化は炭酸カリウム等の無機塩基でも良好に進行するため、生成物である(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンとの物性が大きく異なるアルカリ金属塩(塩化カリウム等)として塩素アニオンを固定化し(トリエチルアミン等の有機塩基で反応を行った後に、水酸化ナトリウム等の無機塩基で中和する方法も同様の結果を与える)、濾過等の簡便な操作で分離除去する方法も好ましい態様である(態様C)。
当然、これらの態様を組み合わせることにより、塩素アニオンをさらに効果的に除去することができる。例えば、実施例3は態様BとCを組み合わせたものである。また、塩素アニオンの除去方法は、これらの好適な態様に制限されるものではない。
[実施例]
実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。Meはメチル基を表し、n−Prはn−プロピル基を表し、n−Buはn−ブチル基を表す。
[参考例1]
メタノール300mLに、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−4−ヒドロキシプロリン59.5g(454mmol、1.00eq)を加え、塩化チオニル(SOCl)56.0g(471mmol、1.04eq)を氷冷下で滴下し、室温で終夜攪拌した。反応混合液のH−NMR分析より変換率は100%であった。反応終了液を減圧濃縮し、トルエン100mLを加え、再び減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩を82.1g得た。収率は100%であった。
(2S,4R)−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩のH−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;2.04−2.26(m、2H)、3.08(m、1H)、3.33(m、1H)、3.76(s、3H)、4.42(m、1H)、4.48(m、1H)、5.60(br、1H)/NHとHClのプロトンは帰属できず。
アセトニトリル400mLに、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩50.0g(275mmol、1.00eq)とトリエチルアミン55.7g(550mmol、2.00eq)を加え、下記式
Figure 2013023457
で示されるアセトキシアセチルクロリド37.6g(275mmol、1.00eq)を氷冷下で滴下し、同温度で30分間攪拌した。反応混合液の液体クロマトグラフィー分析より変換率は100%であった。反応終了液にトルエン100mLを加え、氷冷下で1時間熟成した。析出した結晶を濾過し、少量のトルエンで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの粗生成物を53.6g得た。粗生成物には相当量のトリエチルアミン塩酸塩が含まれており、H−NMR分析より(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンとトリエチルアミン塩酸塩のモル比は68:32(重量比は79:21)であった。収率は63%であった。
(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのH−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;1.89(m、1H)、2.07(s、3H)、2.11(m、1H)、3.43(m、1H)、3.60(m、1H)、3.61(s、3H)、4.31(t、8.0Hz、1H)、4.37(m、1H)、4.64(d、15.4Hz、1H)、4.77(d、15.4Hz、1H)、5.25(br、1H)。
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、上記式で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの粗生成物49.1g(158mmolとする、1.00eq)、アセトニトリル100mL、トルエン100mLとトリエチルアミン111g(1.10mol、6.96eq)を加え、トリエチルアミン・3フッ化水素64.5g(400mmol、2.53eq)を氷冷下で加え、スルフリルフルオリド30.6g(300mmol、1.90eq)を−15℃でボンベより吹き込み、−10から0℃で2時間攪拌した。反応混合液の液体クロマトグラフィー分析より変換率は100%であった。反応終了液をトルエン10mLとアセトニトリル100mLで希釈し、炭酸カリウムの食塩水溶液262g[炭酸カリウム41.5g(300mmol、1.90eq)、食塩20gと水200gより調製]で洗浄し、飽和食塩水100mLで洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物を70.9g得た。粗生成物を19F−NMR分析(内部標準法)で定量したところ(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンが31.9g(129mmol)含まれていた(重量百分率は45.0%)。収率は82%であった。粗生成物の液体クロマトグラフィー分析より(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−フルオロピロリジン(フッ素化物)の面積百分率は88.7%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−クロロピロリジン(塩素化物)の面積百分率は6.2%であった。
(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンのHおよび19F−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;2.08(s、3H)、2.38(m、2H)、3.62(s、3Hの一部)、3.69(s、3Hの一部)、3.70(m、2H)、4.73(m、3H)、5.35(m、1H)。19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;−9.35(m、1Fの一部)、−10.17(m、1Fの一部)。
上記式で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物全量70.9g(129mmolとする、1.00eq)に、7Mアンモニアメタノール溶液73.7mL(516mmol、4.00eq)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合液の液体クロマトグラフィー分析より変換率は97%であった。析出した結晶を濾過し、少量のイソプロパノールで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗結晶を21.0g得た。収率は86%であった。粗結晶の液体クロマトグラフィー純度は92.1%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−クロロピロリジンが3.2%含まれていた。
粗結晶20.0gに、イソプロパノール60mLと水60mLを加え、65℃で加熱溶解し、室温まで降温し、氷冷下で1時間熟成した。析出した結晶を濾過し、少量のイソプロパノールで洗浄し、真空乾燥することにより、上記式で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの再結晶品を16.2g得た。回収率は81%であった。再結晶品の液体クロマトグラフィー純度は98.3%であり、上記式で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−クロロピロリジンが1.0%まで低減できていた。該クロロピロリジンは
再結晶を繰り返すことにより完全に除去することができた(0.3%未満)。
(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンのHおよび19F−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;CDOD]、δ ppm;2.45(m、2H)、3.78(m、2H)、4.16(m、2H)、4.57(m、1H)、5.28(m、1H)/NHとOHのプロトンは帰属できず。19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;−8.86(m、1F)。
イソプロパノール5mLに、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの粗生成物1.00g[実施例1製造品;トリエチルアミン塩酸塩を32モル%(21重量%)含む]を加え、加熱溶解し、室温まで降温した。析出した結晶を濾過し、真空乾燥することにより、上記式で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの再結晶品を0.75g得た。回収率は75%であった。再結晶品のH−NMR分析よりトリエチルアミン塩酸塩の含量は4モル%(2重量%)であった。
参考例1を参考にして、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩を同様に製造した。反応条件は60℃で8時間攪拌し、収率は定量的であった。
アセトニトリル48mLに、上記式で示される(2S,4R)−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩6.00g(28.6mmol、1.00eq)とトリエチルアミン5.79g(57.2mmol、2.00eq)を加え、下記式
Figure 2013023457
で示されるアセトキシアセチルクロリド3.91g(28.6mmol、1.00eq)を氷冷下で滴下し、同温度で30分間攪拌した。反応混合液の液体クロマトグラフィー分析より変換率は100%であった。反応終了液に水酸化ナトリウム水溶液[水酸化ナトリウム2.29g(57.3mmol、2.00eq)と水24gより調製]を氷冷下で加え、減圧濃縮し、真空乾燥し、残渣を酢酸エチル18mLで希釈し、ショートカラム(シリカゲル6g/酢酸エチル)を通し、酢酸エチル42mLで洗浄し、原点除去液と洗浄液を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの粗生成物を7.74g得た。粗生成物のH−NMR分析よりトリエチルアミン塩酸塩は全く含まれていなかった。収率は99%であった。
(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのH−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;0.86(t、7.4Hz、3H)、1.55(m、2H)、1.87(m、1H)、2.05(s、3Hの一部)、2.06(s、3Hの一部)、2.10(m、1H)、3.35(m、1H)、3.60(m、1H)、3.96(m、2H)、4.29(t、8.0Hz、1H)、4.45(m、1H)、4.62(d、15.0Hz、1H)、4.74(d、15.0Hz、1H)、5.13(d、4.0Hz、1Hの一部)、5.22(d、4.0Hz、1Hの一部)。
実施例1を参考にして、上記式で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの粗生成物全量7.74g(28.3mmol)をトリエチルアミンとトリエチルアミン・3フッ化水素の存在下にスルフリルフルオリドと同様に反応させることにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物を9.26g得た。粗生成物を19F−NMR分析(内部標準法)で定量したところ(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンが7.03g(25.5mmol)含まれていた(重量百分率は75.9%)。収率は90%であった。粗生成物の液体クロマトグラフィー分析より(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジン(フッ素化物)の面積百分率は91.1%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−クロロピロリジン(塩素化物)は全く検出されなかった。
(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンのHおよび19F−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;0.86(m、3H)、1.56(m、2H)、2.06(s、3Hの一部)、2.07(s、3Hの一部)、2.38(m、2H)、3.68(m、2H)、4.02(m、2H)、4.73(m、3H)、5.35(m、1H)。19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;−9.07(m、1Fの一部)、−10.02(m、1Fの一部)。
実施例1を参考にして、上記式で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物4.63g(12.8mmolとする)をアンモニアと同様に反応させることにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗結晶を2.15g得た。反応条件は30℃で終夜攪拌し、変換率は99%であった。収率は88%であった。粗結晶の液体クロマトグラフィー純度は99.0%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−クロロピロリジンは全く検出されなかった。
参考例1および実施例1を参考にして、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンを同様に製造した。n−ブチルエステル化は、イソプロパノールを溶解補助剤に用いて終夜還流条件下で実施した。N−アセトキシアセチル化の後処理は、反応終了液をトルエンで希釈し、トリエチルアミン塩酸塩を水洗除去する方法を採用した。粗生成物のH−NMR分析よりトリエチルアミン塩酸塩の含量は4モル%(2重量%)であった。2工程の収率は82%であった。
(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのH−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;0.88(t、7.4Hz、3H)、1.31(m、2H)、1.54(m、2H)、1.88(m、1H)、2.06(s、3Hの一部)、2.07(s、3Hの一部)、2.10(m、1H)、3.43(m、1H)、3.60(m、1H)、4.07(m、2H)、4.30(t、7.8Hz、1H)、4.37(m、1H)、4.64(d、15.2Hz、1H)、4.75(d、15.2Hz、1H)、5.16(d、4.0Hz、1Hの一部)、5.25(d、4.0Hz、1Hの一部)。
実施例1を参考にして、上記式で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン23.6g(82.1mmol)をトリエチルアミンとトリエチルアミン・3フッ化水素の存在下にスルフリルフルオリドと同様に反応させることにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物を20.8g得た。粗生成物を19F−NMR分析(内部標準法)で定量したところ(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンが18.3g(63.3mmol)含まれていた(重量百分率は88.0%)。収率は77%であった。粗生成物の液体クロマトグラフィー分析より(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−フルオロピロリジン(フッ素化物)の面積百分率は94.7%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−クロロピロリジン(塩素化物)は全く検出されなかった。
(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンのHおよび19F−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;0.86(t、7.4Hz、3H)、1.31(m、2H)、1.53(m、2H)、2.06(s、3Hの一部)、2.07(s、3Hの一部)、2.38(m、2H)、3.65(m、2H)、4.05(m、2H)、4.70(m、3H)、5.35(m、1H)。
19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;(CDSO]、δ ppm;−9.09(m、1Fの一部)、−10.05(m、1Fの一部)。
実施例1を参考にして、上記式で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−ブトキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物全量20.8g(63.3mmolとする)をアンモニアと同様に反応させることにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗結晶を11.2g得た。反応条件は30℃で終夜攪拌し、変換率は95%であった。収率は93%であった。粗結晶の液体クロマトグラフィー純度は84.6%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−クロロピロリジンは全く検出されなかった。
n−プロパノール300mLとトルエン500mLに、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−4−ヒドロキシプロリン100g(763mmol、1.00eq)を加え、塩化チオニル(SOCl)93.5g(786mmol、1.03eq)を氷冷下で滴下し、75℃で3時間攪拌した。反応混合液のH−NMR分析または液体クロマトグラフィー分析より変換率は95%以上であった。反応終了液(均一溶液)を室温まで降温し、さらに氷冷し、析出した結晶を濾過し、少量のトルエンで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩を143g得た。収率は89%であった。
(2S,4R)−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩のH−NMRを下に示す。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;CDOD]、δ ppm;0.98(t、3H)、1.73(m、2H)、2.18(m、1H)、2.42(m、1H)、3.30(m、1H)、3.42(m、1H)、4.22(m、2H)、4.59(m、2H)/OH、NHとHClのプロトンは帰属できず。
酢酸エチル576mLに、上記式で示される(2S,4R)−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩72.0g(343mmol、1.00eq)とトリエチルアミン69.4g(686mmol、2.00eq)を加え、下記式
Figure 2013023457
で示されるアセトキシアセチルクロリド46.8g(343mmol、1.00eq)を氷冷下で滴下し、室温で終夜攪拌した。反応混合液の液体クロマトグラフィー分析より変換率は98%であった。反応終了液中に析出した固形物(トリエチルアミン塩酸塩)を濾過し、少量の酢酸エチルで洗浄し、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液144mLで洗浄し、さらに飽和硫酸ナトリウム水溶液144mLで洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの粗生成物を84.0g得た。粗生成物のH−NMR分析よりトリエチルアミン塩酸塩は殆ど含まれていなかった。収率は90%であった。
(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンのH−NMRは実施例3と同様であった。
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、上記式で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンの粗生成物82.0g(300mmolとする、1.00eq)、アセトニトリル150mLとトリエチルアミン103g(1.02mol、3.40eq)を加え、トリエチルアミン・3フッ化水素48.3g(300mmol、1.00eq)を氷冷下で加え、スルフリルフルオリド61.2g(600mmol、2.00eq)を−38から−36℃でボンベより吹き込み、−10から0℃で2時間攪拌した。反応混合液の液体クロマトグラフィー分析より変換率は100%であった。反応終了液をトルエン300mLで希釈し、炭酸カリウム水溶液354g[炭酸カリウム53.9g(390mmol、1.30eq)と水300gより調製]で洗浄し、さらに飽和食塩水300mLで洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物を84.2g得た。粗生成物を19F−NMR分析(内部標準法)で定量したところ(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンが76.3g(277mmol)含まれていた(重量百分率は90.6%)。収率は92%であった。粗生成物の液体クロマトグラフィー分析より(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジン(フッ素化物)の面積百分率は81.6%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−クロロピロリジン(塩素化物)は殆ど検出されなかった。
(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンのHおよび19F−NMRは実施例3と同様であった。
上記式で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−プロポキシカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗生成物83.6g(275mmolとする、1.00eq)に、メタノール120mLと7Mアンモニアメタノール溶液157mL(1.10mol、4.00eq)を加え、30℃で終夜攪拌した。反応混合液の液体クロマトグラフィー分析より変換率は100%であった。反応終了液(懸濁溶液)を室温まで降温し、さらに氷冷し、析出した結晶を濾過し、イソプロパノール20mLで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの粗結晶を44.6g得た。収率は85%であった。粗結晶の液体クロマトグラフィー純度は89.4%であり、下記式
Figure 2013023457
で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−クロロピロリジンは全く検出されなかった。
50℃に加熱した水175mLに、粗結晶43.7gを加え(均一溶解を確認)、イソプロパノール700mLを徐々に加え(50から36℃に降温し、結晶の析出を確認)、室温まで降温し、さらに1時間30分氷冷し、析出した結晶を濾過し、少量のイソプロパノールで洗浄し、上記式で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの1回目再結晶品(未乾燥)を42.3g得た。1回目再結晶品の液体クロマトグラフィー純度は99.3%であり、当然、上記式で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−クロロピロリジンは全く検出されなかった。
50℃に加熱した水175mLに、1回目再結晶品全量42.3gを加え(均一溶解を確認)、イソプロパノール700mLを徐々に加え(結晶の析出を確認)、室温まで降温し、さらに30分間氷冷し、析出した結晶を濾過し、少量のイソプロパノールで洗浄し、真空乾燥することにより、上記式で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの2回目再結晶品を37.3g得た。再結晶2回のトータル回収率は85%であった。2回目再結晶品の液体クロマトグラフィー純度は99.8%であり、当然、上記式で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−クロロピロリジンは全く検出されなかった。
(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンのHおよび19F−NMRは実施例1と同様であった。

Claims (5)

  1. 一般式[1]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンまたは該酸塩を塩基の存在下に、一般式[2]
    Figure 2013023457
    で示されるアルキルカルボニルオキシアセチルハライドと反応させることにより、一般式[3]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し、次に脱ヒドロキシフッ素化剤と反応させることにより、一般式[4]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4S)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し、最後にアンモニア(NH)と反応させることにより、式[5]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを製造する方法。
    [式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは塩素原子または臭素原子を表す]
  2. 一般式[6]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4R)−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン塩酸塩を有機塩基の存在下に、式[7]
    Figure 2013023457
    で示されるアセトキシアセチルクロリドと反応させることにより、一般式[8]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジンに変換し、次に有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[9]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4S)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−フルオロピロリジンに変換し、最後にアンモニア(NH)と反応させることにより、式[5]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンを製造する方法。
    [式中、Rは炭素数が1から4のアルキル基を表し、Meはメチル基を表す]
  3. 請求項2において、さらに「有機塩基とフッ化水素からなる塩または錯体」の存在下に脱ヒドロキシフッ素化を行うことを特徴とする、請求項2に記載の(2S,4S)−1−ヒドロキシアセチル−2−アミノカルボニル−4−フルオロピロリジンの製造方法。
  4. 一般式[3]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4R)−1−アルキルカルボニルオキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン。
    [式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表す]
  5. 一般式[8]
    Figure 2013023457
    で示される(2S,4R)−1−アセトキシアセチル−2−アルコキシカルボニル−4−ヒドロキシピロリジン。
    [式中、Rは炭素数が1から4のアルキル基を表し、Meはメチル基を表す]
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