JP2013022947A - 発泡体の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】極めて複雑な形状を呈する発泡体の作製に際して、発泡体の充填不良と密度ばらつきを抑制することができ、所望の密度分布を備えた高品質の発泡体を得ることのできる発泡体の成形方法を提供する。
【解決手段】それぞれが固有の発泡倍率を備えた複数の1次発泡体11〜21を成形型K内に配置する第1の工程と、成形型K内を1次発泡体11〜21の発泡開始温度以上に昇温させて成形型K内の複数の1次発泡体11〜21を発泡させ、複数の1次発泡体11〜21を一体として2次発泡体100を成形する第2の工程と、からなる。
【選択図】図1
【解決手段】それぞれが固有の発泡倍率を備えた複数の1次発泡体11〜21を成形型K内に配置する第1の工程と、成形型K内を1次発泡体11〜21の発泡開始温度以上に昇温させて成形型K内の複数の1次発泡体11〜21を発泡させ、複数の1次発泡体11〜21を一体として2次発泡体100を成形する第2の工程と、からなる。
【選択図】図1
Description
本発明は発泡体の成形方法に関するものである。
従来、たとえば一般産業機械、輸送機器等の構成部品には、発泡体からなる成形品が採用されている。
上記する発泡体はその内部に空隙(気泡)を有していることから、内部に空隙を有していない合成樹脂成形品(ソリッド)と比較して柔軟かつ軽量であり、さらに高い断熱効果を備えている。一方で、たとえば発泡体自体の体格が大型である場合やその形状が複雑である場合には、成形の際に発泡体の内部に形成される空隙が不均一となり、発泡体全体において密度や硬度にばらつきが生じるといった問題がある。また、成形型のキャビティが複雑な形状を呈する場合には、成形の際にキャビティ全体に発泡体の形成素材を均一に充填させることが困難であり、充填不良(ショート)が生じてしまうといった問題もある。
このような問題に対処し得る従来の発泡体の成形方法として、予め発泡体を構成する形成素材の配合を調整して成形型内に注入する方法や、予め発泡させたバルク材(原反)から所望の形状の発泡体を裁断加工する方法などが知られている。
上記する形成素材の配合を調整して成形型内に注入する方法によれば、発泡体内部の密度分布をある程度まで抑制することができるものの、発泡体が複雑な形状を呈する場合には、成形型内に注入した形成素材を成形型のキャビティ内で円滑に流動させ難く、依然として充填不良や密度ばらつきが発生する可能性が高い。また、このような問題に対処するために形成素材の注入位置や注入条件を精緻に設定する必要があり、複雑且つ大規模な注入設備が必要となるといった問題もある。
また、予め発泡させたバルク材を裁断加工する方法によれば、専用の加工用冶具を用いることによって複雑な形状を呈する発泡体を作製することができるものの、バルク材から不要箇所を除去して所望形状の発泡体を作製するため、歩留まりが低下して製造コストが高騰するといった問題がある。
このような問題に対して、発泡体の密度ばらつきを抑制しながら高い歩留まりを維持することができる成形方法として、発泡体の形成素材を二段階に分けて徐々に発泡させる方法(二段発泡成形方法)が提案されており、その有効な方法が特許文献1〜4に開示されている。
これらの二段発泡成形方法によれば、不要箇所の発生を抑止して高い製品歩留まりを達成することができるとともに、密度ばらつきの少ない発泡体を形成することができる。
しかしながら、このような従来の二段発泡成形方法では、たとえば発泡体が部位毎に厚みや表面積が大きく変化する極めて複雑な形状を呈する場合に、発泡体の部位毎に伝熱速度や伝熱量が変化するため、発泡体内部の密度ばらつきや硬度ばらつきといった課題を完全に解消することはできない。また、複雑形状の発泡体を成形するために成形型内のキャビティが複雑化している場合には、成形型のキャビティの隅角部まで発泡体の形成素材を均一に充填させることができず、発泡体の充填不良を確実に解消することはできない。
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、極めて複雑な形状を呈する発泡体の作製に際し、発泡体の充填不良と密度ばらつきを抑制することができ、所望の密度分布を備えた高品質の発泡体を得ることができる発泡体の成形方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による発泡体の成形方法は、それぞれが固有の発泡倍率を備えた複数の1次発泡体を成形型内に配置する第1の工程と、前記成形型内を1次発泡体の発泡開始温度以上に昇温させて該成形型内の複数の1次発泡体を発泡させ、該複数の1次発泡体を一体として2次発泡体を成形する第2の工程と、からなるものである。
ここで、上記する発泡体の形成素材(合成樹脂)としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(PF)、シリコーン(Si)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)、ポリメタクリイミド(PMI)などを適用することができる。また、発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系発泡剤、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系発泡剤を適用することができる。
上記する成形方法によれば、成形型のキャビティを複数の区画に分割し、たとえば発泡体の形成素材が充填し難い区画に予め発泡させた1次発泡体を配置した後、成形型内を1次発泡体の発泡開始温度以上に昇温させ、複数の1次発泡体を発泡させてこれら複数の1次発泡体を一体とすることで、2次発泡後の発泡体(2次発泡体)における充填不良を確実に抑止することができる。また、成形型内の所望の位置に任意の発泡倍率(もしくは任意の密度、硬度)を備えた1次発泡体を配置して発泡させることで、所望の密度分布や硬度分布を備えた2次発泡体を簡便に成形することができる。なお、上記発泡開始温度とは、たとえば有機系発泡剤を使用する場合にはその発泡温度であって、さらに発泡体を構成する合成樹脂が流動し得るその軟化温度である。
ここで、成形型内に配置される複数の1次発泡体は、全てが同じ発泡倍率を備えていてもよいし、それぞれが異なる発泡倍率を備えていてもよい。また、複数の1次発泡体のうちの一部が同じ発泡倍率を備え、その他の1次発泡体が異なる発泡倍率を備えていてもよい。
たとえば、予め略均一な発泡倍率を備えた複数の1次発泡体を成形型内に配置して発泡させることで、略均一な密度分布や硬度分布を備えた2次発泡体を容易に成形することができる。また、たとえば表面積が大きく伝熱速度や伝熱量の高い区画に予め発泡倍率の低い1次発泡体を配置する等、2次発泡時の伝熱速度等を考慮してそれぞれ固有の発泡倍率を備えた複数の1次発泡体を配置して発泡させることで、2次発泡体の密度や硬度を一層均一にすることができ、より高品質な2次発泡体を成形することができる。さらに、成形後の2次発泡体のうち、高い密度や硬度が要求される箇所には予め発泡倍率の低い(高密度かつ高剛性の)1次発泡体を配置して発泡させることで、成形後の2次発泡体において所望の密度分布や硬度分布を形成することもできる。
また、前記複数の1次発泡体はそれぞれ、前記成形型のキャビティを構成する複数の区画のうちのいずれか一つと相補的な形状を呈しているものである。したがって、成形型内に配置された複数の1次発泡体は成形型のキャビティのほぼ全体に均一に配置されることとなり、第2の工程における2次発泡の際に成形型内に配置された複数の1次発泡体を略均一に発泡させることができ、より高品質な2次発泡体を簡便に成形することができる。
また、前記1次発泡体は、予め発泡させた予備発泡体から前記成形型のキャビティを構成する複数の区画のうちのいずれか一つと相補的な形状を呈するように切り出されたものであってもよいし、前記1次発泡体と相補的な形状を呈するキャビティを備えた別途の成形型内で該1次発泡体の形成素材を発泡させたものであってもよい。ここで、予備発泡体とは、1次発泡体の形成素材を予め発泡させて成形した相対的に大きな発泡体である。
1次発泡体を予め発泡させた予備発泡体から切り出して製造する場合には、予め発泡させた予備発泡体から複数の1次発泡体を切り出した後、これらを成形型内に配置して発泡させることができ、予備発泡体から直接最終形状の発泡体を裁断加工する上記従来の方法と比較して、予備発泡体の不要箇所を大幅に削減することができ、発泡体の製品歩留まりを格段に向上させることができる。また、たとえば予め略均一な発泡倍率を備えた相対的に大きな予備発泡体を作製しておき、この予備発泡体から成形型の形状に適合する所定形状の1次発泡体を切り出して使用することで、略均一な密度分布や硬度分布を備えた2次発泡体を容易に成形することができる。また、たとえば異なる発泡倍率を備えた複数の予備発泡体を作製しておき、これら複数の予備発泡体から所定形状の1次発泡体を切り出し、異なる発泡倍率を備えた複数の1次発泡体を成形型内に配置することで、所望の密度分布や硬度分布を備えた2次発泡体を容易に成形することもできる。
また、1次発泡体と相補的な形状を呈するキャビティを備えた別途の成形型内で1次発泡体の形成素材を発泡させて1次発泡体を製造する場合には、別途の成形型毎に発泡条件を調整することができるため、所望の発泡倍率を備えた1次発泡体を確実に成形することができる。たとえば、別途の成形型のキャビティの体積や表面積などに応じて別途の成形型毎に発泡条件を調整することで、略一定の発泡倍率(もしくは密度、硬度)を備えた複数の1次発泡体、あるいは配置される箇所に応じて発泡倍率の異なる複数の1次発泡体を確実かつ容易に製造することができる。そして、このような成形方法によって成形された複数の1次発泡体を用いることで、所望の密度分布や硬度分布を備えた高品質な2次発泡体を確実に成形することができる。
ところで、上記する発泡体には、独立気泡を有するものと連続気泡を有するものが存在している。独立気泡とは発泡体内部に形成される気泡同士が連通していない構成の気泡であり、吸水性や通気性が極めて低く、衝撃吸収性や加工性、浮揚性に優れた発泡体である。また、連続気泡とは発泡体内部に形成される気泡同士が連通している構成の気泡であり、吸水性や通気性、吸音性に優れた発泡体である。したがって、成形型内に配置された1次発泡体を均一かつ効果的に2次発泡させるためには、気泡同士が連通していない独立気泡を有する発泡体を用いることが好ましい。
ここで、独立気泡を有する発泡体の形成素材としては、上記する発泡体の形成素材のうち、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリメタクリイミド(PMI)などを使用することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の発泡体の成形方法によれば、それぞれが固有の発泡倍率を備えた複数の1次発泡体を成形型内に配置した後にこれらを2次発泡させることで、発泡体が極めて複雑な形状を呈する場合であっても、充填不良が抑制された高品質な2次発泡体を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の発泡体の成形方法の実施の形態1,2を説明する。
[実施の形態1]
まず、図1〜5を参照して発泡体の成形方法の実施の形態1を説明する。
まず、図1〜5を参照して発泡体の成形方法の実施の形態1を説明する。
図1は、発泡体の成形方法の実施の形態1のフロー図を示したものである。図2は、図1で示す実施の形態1の発泡体の成形方法において、予備発泡体から1次発泡体を切り出す工程を示した斜視図であり、図3は、図2で示す工程に続いて、成形型内に複数の1次発泡体を配置する工程を示した斜視図であり、図4は、図3で示す工程に続いて、成形型内で1次発泡体を発泡させて一体とした後、脱型した2次発泡体を示した図であり、図4(a)は脱型後の全体斜視図、図4(b)はその上面図である。また、図5は、実施の形態1の発泡体の成形方法で用いられる発泡体の内部構造を示した模式図であり、図5(a)は隣接する1次発泡体の内部構造を示した縦断面図であり、図5(b)は2次発泡体の内部構造を示した縦断面図である。
図1で示すように、2次発泡体を成形するに当たり、まず、予め1次発泡させた硬質の予備発泡体(発泡体シートや発泡体原反ともいう。)50を用意し(S11)、この予備発泡体50から所定形状の1次発泡体11〜21を切り出す(S12)。ここで、1次発泡体11〜21はそれぞれ、成形型KのキャビティCを複数の区画D11〜D21に分割した際の区画と相補的な形状となっている。具体的には、たとえばCADなどを用いて成形型KのキャビティCを複数の区画D11〜D21に分割し、その区画に近似した多角形形状を算出して、その形状を呈する1次発泡体11〜21を予備発泡体50から切り出す。その際、図2に示すように、CADなどを用いて予備発泡体50の歩留まりが良くなるように1次発泡体11〜21を予備発泡体50の適宜の位置から切り出す。
ここで、予備発泡体50、すなわち1次発泡体11〜21の形成素材としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(PF)、シリコーン(Si)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)、ポリメタクリイミド(PMI)などを適用することができるものの、上記形成素材のうち、特に独立気泡を有する形成素材として、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリメタクリイミド(PMI)などを使用する。なお、1次発泡体11〜21は同じ発泡倍率であってもよいし、予備発泡体50が密度分布を有していれば異なる発泡倍率であってもよい。また、1次発泡体11〜21は、それぞれが均一な発泡倍率(もしくは密度)であってもよいし、それぞれが密度分布を有していてもよい。
次いで、これら複数の1次発泡体11〜21を成形型Kの下型K1の所定の区画D11〜D21に略均一に配置する(S13)。ここで、図3で示すように、成形型KのキャビティCのうち、1次発泡体13〜16、および1次発泡体13と1次発泡体18〜20で囲まれた領域には挿入型K3,K4が配置されており、後述する2次発泡の際に当該領域に発泡体を構成する樹脂が含浸しないようになっている。
次に、成形型Kの上型K2を用いてボルト締めもしくはプレスにて成形型Kを型閉めし(S14)、成形型K内を1次発泡体11〜21の発泡開始温度以上に昇温させて1次発泡体11〜21を再発泡(2次発泡)させる(S15)。これにより、隣接する1次発泡体同士が一体となり、成形型K内に2次発泡体100が成形される(S16)。成形型K内で2次発泡体100を成形した後、成形型K内を発泡開始温度よりも低温まで降温させて2次発泡体100を脱型する(S17)。このようにして、図4で示すような内部に2つの貫通孔Sを有する2次発泡体100が成形されることとなる。
ここで、成形型K内の1次発泡体を2次発泡させて隣接する1次発泡体同士を一体とする際の発泡体の内部構造について、図5を参照してより詳細に説明する。なお、図5では、隣接する1次発泡体として、成形型K内の前方側に配置された1次発泡体11,12について説明する。
図5(a)で示すように、成形型K内で隣接する1次発泡体11,12は、その1次発泡体11,12の再発泡(2次発泡)の際、1次発泡体11,12を構成する樹脂が双方へ含浸していき、図5(b)で示すように1次発泡体11,12同士が一体となる。その際、1次発泡体11,21は独立気泡を有する発泡体から構成されているため、再発泡(2次発泡)させた際にもそれぞれの1次発泡体11,12の内部の気泡は独立して大きくなる。すなわち、1次発泡体11,12の内部の気泡11A,12Aは、再発泡の際1次発泡体11,12の他の気泡と連通することなくそれぞれ別個に発泡していき、2次発泡体100の内部には、それぞれの気泡11A,12Aが大きくなった気泡100Aが形成される。
したがって、1次発泡体11〜21が独立気泡を有し、2次発泡の際、気泡同士が連通することなく別個独立して発泡していくことで、発泡体内部の各気泡が略均一に大きくなり、均質な2次発泡体100を形成することができる。なお、2次発泡後の発泡体100においては、2次発泡前の1次発泡体11〜21と比較して相対的に発泡倍率は大きくなっている。
このように、上記する実施の形態1の発泡体の成形方法によれば、たとえば内部に挿入型などが存在し、成形型内のキャビティが極めて複雑な形状を呈する場合においても、充填不良や密度ばらつきが抑制された高品質な2次発泡体を容易に作製することができる。
[実施の形態2]
実施の形態2の発泡体の成形方法は、実施の形態1の発泡体の成形方法に対して、1次発泡体を製造する工程を変更したものである。
実施の形態2の発泡体の成形方法は、実施の形態1の発泡体の成形方法に対して、1次発泡体を製造する工程を変更したものである。
図6は、本発明の発泡体の成形方法の実施の形態2のフロー図を示したものである。この実施の形態2の発泡体の成形方法においては、まず、別途の成形型を用いて1次発泡体を製造する(S22)。ここで、別途の成形型は、1次発泡体と相補的な形状を呈するキャビティを備えており、たとえば実施の形態1の発泡体の成形方法と比較して、同一形状の1次発泡体を複数製造することが可能となる。
次いで、実施の形態1と同様に、上記別途の成形型を用いて製造された複数の1次発泡体を、最終成形品の形状に相当するキャビティを備えた成形型の所定の区画に配置する(S23)。
次に、ボルト締めもしくはプレスにて成形型を型閉めし(S24)、成形型内を1次発泡体の発泡開始温度以上に昇温させて1次発泡体を再発泡(2次発泡)させる(S25)。これにより、隣接する1次発泡体同士が一体となり、成形型内で2次発泡体が成形される(S26)。成形型内で2次発泡体を成形した後、成形型内を発泡開始温度よりも低温まで降温させて2次発泡体を脱型する(S27)。
[成形方法の違いによる2次発泡体の品質を検証した実験とその結果]
本発明者等は、成形方法の異なる2種類の発泡体(実施例、比較例)を作製し、それぞれの発泡体について目視および密度計測による品質検証を実施した。
本発明者等は、成形方法の異なる2種類の発泡体(実施例、比較例)を作製し、それぞれの発泡体について目視および密度計測による品質検証を実施した。
まず、実施例の発泡体の成形方法を説明すると、コア材(予備発泡体)としては、エボニックデグザ製のロハセル(ROHACELL)IG100を使用した。なお、ロハセルは、ポリメタクリイミド(PMI)からなる独立発泡を有する硬質発泡体であり、その形成素材を発泡開始温度である230℃以上の雰囲気温度下で所定の発泡倍率まで発泡させたものであり、剛性が高く耐熱性に優れた発泡体である。上記コア材からCADにて算出した多角形形状の1次発泡体を複数切り出し、常温にて成形型内にそれら複数の1次発泡体を配置(図7参照)して成形型を閉じた。そして、成形型を230℃まで昇温させて5分間保持し、成形型内の1次発泡体を2次発泡させた後、成形型を50℃以下まで冷却して2次発泡体を脱型した。このような2次発泡の工程によって、2次発泡体は一般に1次発泡体と比較して相対的にその発泡倍率が大きくなる。
次に、比較例の発泡体の成形方法を説明すると、コア材(予備発泡体)として、実施例の発泡体と同様、エボニックデグザ製のロハセルIG100を使用し、このコア材から成形型のキャビティ形状とほぼ同等の多角形形状を呈する1つの1次発泡体を切り出し、常温にて成形型内にこの1次発泡体を配置して成形型を閉じた。図8は、本比較例で使用した1次発泡体であり、実施例の発泡体で使用した中心部の発泡体と同じ形状の発泡体である。上記するように成形型を閉じた後、実施例の発泡体と同様、成形型を230℃まで昇温させて5分間保持し、成形型内の1次発泡体を2次発泡させた後、成形型を50℃以下まで冷却して2次発泡体を脱型した。
図9および図10はそれぞれ、脱型後の実施例と比較例の2次発泡体を示したものである。なお、図9および図10には、実施例と比較例の2次発泡体の所定の測定箇所における密度(単位:kg/m3)が示されている。
脱型後の実施例と比較例の2次発泡体を目視確認した結果、実施例の2次発泡体においては充填不良は確認されなかった。一方で、比較例の2次発泡体においては発泡体の末端部や挿入型(図7参照)近傍において充填不良が確認された。特に、挿入型の周囲のうち成形型内に配置した1次発泡体とは反対側の領域では、2次発泡の際に発泡体を構成する樹脂が挿入型を回り込んで流動することができなかったため、充填不良が大きかった。
また、実施例と比較例の2次発泡体の所定の測定箇所にて密度計測を実施した結果、2次発泡前の1次発泡体の密度(約100〜120kg/m3)に対して、実施例の2次発泡体においては密度低下が少なく、比較例の2次発泡体においては相対的に密度低下が大きいことが実証された。特に、比較例の2次発泡体の末端部においては密度低下が大きかった。
図11は、実施例の発泡体と比較例の発泡体の密度のヒストグラムを示したものであり、実施例の2次発泡体においては、比較例の2次発泡体と比較して、2次発泡前の1次発泡体の密度近傍に密度分布が集中しており、相対的に均一な密度分布を有することが実証された。
この実験結果より、所定形状の複数の1次発泡体を成形型内に配置する本発明の発泡体の成形方法を適用することで、成形型のキャビティが極めて複雑な形状を呈する場合においても、充填不良を抑止して所望の密度分布を備えた高品質な発泡体を成形できることが実証された。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
11〜21…1次発泡体、50…予備発泡体、100…2次発泡体、C…キャビティ、D11〜D21…キャビティを構成する区画、K…成形型、K1…下型、K2…上型、K3,K4…挿入型
Claims (5)
- それぞれが固有の発泡倍率を備えた複数の1次発泡体を成形型内に配置する第1の工程と、
前記成形型内を1次発泡体の発泡開始温度以上に昇温させて該成形型内の複数の1次発泡体を発泡させ、該複数の1次発泡体を一体として2次発泡体を成形する第2の工程と、からなる発泡体の成形方法。 - 前記複数の1次発泡体はそれぞれ、前記成形型のキャビティを構成する複数の区画のうちのいずれか一つと相補的な形状を呈している請求項1に記載の発泡体の成形方法。
- 前記1次発泡体は、予め発泡させた予備発泡体から前記成形型のキャビティを構成する複数の区画のうちのいずれか一つと相補的な形状を呈するように切り出されたもの、もしくは、前記1次発泡体と相補的な形状を呈するキャビティを備えた別途の成形型内で該1次発泡体の形成素材を発泡させたもののいずれか一種である請求項2に記載の発泡体の成形方法。
- 前記発泡体は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(PF)、シリコーン(Si)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)、ポリメタクリイミド(PMI)のうちの少なくともいずれか一種からなる請求項1〜3のいずれかに記載の発泡体の成形方法。
- 前記発泡体は独立気泡を有している請求項1〜4のいずれかに記載の発泡体の成形方法。
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