JP2013019329A - 冷媒圧縮機 - Google Patents

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昭彦 窪田
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Abstract

【課題】冷媒圧縮機のピストンの抉り運動の改善を図り、効率と信頼性が高い冷媒圧縮機を提供する。
【解決手段】密閉容器101内に配置された圧縮要素107を構成するピストン119とコンロッド125の押圧関係において、ピストン119に対するコンロッド125の押圧位置を、ピストン119の上下方向中心からずれる位置とした。したがって、ピストン119には、クランク軸127に対して直角よりも僅かに鋭角方向に進む力が生ずるようにモーメントが働き、シリンダブロック121に対するピストン119の抉り運動を回避し、効率と信頼性の高い冷媒圧縮機を実現する。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷凍冷蔵庫等の冷凍サイクルに用いられる冷媒圧縮機に関するものである。
従来、この種の冷媒圧縮機としては、ピストンの反圧縮室側に設けたキャビティーに、ピストンピンを介してコンロッドを摺動自在に設け、クランク軸の回転運動によるクランクピンの偏心運動をピストンの往復運動へと変換し、圧縮作用を得るものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の冷媒圧縮機を説明する。
図3は、特許文献1に記載された従来の冷媒圧縮機の全体構造を示す側面断面図、図4は、同圧縮機における圧縮要素の要部断面図である。
図3および図4において、潤滑油(図示せず)を貯留する密閉容器1内には、圧縮機本体15をばね等の弾性体17を介して懸垂し、収容している。圧縮機本体15は、クランクピン7に一体成形されたクランク軸9を支持するための軸受11を有するフレーム13の上下に、電動要素3と圧縮要素5を配置して構成されている。
クランクピン7は、電動要素3を構成する回転子19に圧入固定したクランク軸9に対し、偏心して形成されている。
ピストン21は、略円筒形のシリンダブロック23に往復摺動自在に挿入され、往復運動方向と直角の軸心を有するピストンピン25とクランクピン7との間をコンロッド27によって連結されている。
シリンダブロック23の開口端面を封止するバルブプレート29は、吸入バルブ(図示せず)の開閉によりシリンダブロック23と連通する吸込みポート(図示せず)と、吐出弁装置(図示せず)の開閉によりシリンダブロック23と連通する吐出ポート(図示せず)とを備えており、シリンダブロック23とピストン21のトップ面31とバルブプレート29とで圧縮室33が画定されている。
高圧室(図示せず)を形成するシリンダヘッド35は、バルブプレート29を介してシリンダブロック23の反対側に固定されている。
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素3によりクランクピン7に一体成形されたクランク軸9が回転駆動されると、クランクピン7の偏心運動によりコンロッド27を介してピストン21がシリンダブロック23内を往復運動し、吸込、圧縮、吐出行程を順次繰り返す。
特開2004−138018号公報
しかしながら、上記従来の構成は、ピストン21による圧縮行程において、トップ面31が受けた圧縮の反力によって、ピストンピン25、コンロッド27、クランクピン7が押圧される。これに伴って、図4に示すように、クランク軸9が軸受け11とのクリアランス内を傾斜して回転運動し、シリンダブロック23とクランク軸9の成す角が直角ではなく、極僅かではあるが鋭角となっていた。その結果、ピストン21がシリンダブロック23に対して上下方向に傾斜して抉り運動し、冷媒圧縮機の入力の上昇や摩耗の発生の恐れがあるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ピストン21の圧縮行程における抉り運動を回避し、冷媒圧縮機の入力を低くして効率が高く、かつ摩耗の発生のない信頼性の高い冷媒圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷媒圧縮機は、ピストンに配設されたピストンピンに対して、コンロッドが押圧する位置を、ピストン及びピストンピンの高さ方向の中心に対してずれる位置としたものである。
かかることにより、圧縮行程においてトップ面が受けた圧縮の反力が、ピストンピン、コンロッド、クランクピンを押圧し、クランク軸が軸受けとのクリアランス内を傾斜して回転運動し、シリンダブロックとクランク軸の成す角が直角でなく、極僅かではあるが鋭角となる冷媒圧縮機の運転中に、シリンダブロックに対するピストンの抉りを軽減するという作用を有する。
本発明の冷媒圧縮機は、ピストンに配設されたピストンピンに対してコンロッドが押圧する位置を、ピストン及びピストンピンの高さ方向の中心に対してずれる位置としたことにより、圧縮行程において、ピストンをクランク軸との直角方向に対して僅かに鋭角方向に推進することができ、ピストンを、略円筒形のシリンダブロックの円筒の軸心方向へ円滑に往復運動させることが可能となる。したがって、ピストンの抉りを低減して冷媒圧縮機の入力を低減し、効率と信頼性の高い冷媒圧縮機を提供することができる。
本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の側面断面図 同実施の形態1における冷媒圧縮機の要部断面図 従来の冷媒圧縮機の側面断面図 従来の冷媒圧縮機の要部断面図
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに、固定子と回転子とを備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素を、円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内を往復動するピストンと、前記回転子と一体となって回転するクランク軸と、前記クランク軸と一体成形されたクランクピンと、前記クランクピンの偏心運動を、前記ピストンの往復運動に変換するコンロッドと、前記シリンダブロックの端面を封止するとともに、反圧縮室側に吐出弁装置を備えたバルブプレートを備える構成とし、前記ピストンに対する前記コンロッドの押圧位置を、前記ピストンの上下方向の中心からずれた位置としたものである。
かかることにより、前記ピストンを、略円筒形のシリンダブロックの円筒の軸心方向へ円滑に往復運動させることが可能となり、摺動損失を抑制して冷媒圧縮機の効率と信頼性を向上することができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の側面断面図、図2は同実施の形態1における冷媒圧縮機の要部断面図である。
図1および図2において、密閉容器101は、吸入管103を配設し、底部に潤滑油105を貯溜している。また、密閉容器101は、内部に、冷媒ガス(図示せず)を吸入して圧縮するための圧縮要素107と、圧縮要素107を駆動する回転子109と固定子111とからなる電動要素113で構成した圧縮機本体115を、ばね等の弾性体117を介して支持し、収容している。
ピストン119は、略円筒形のシリンダブロック121に往復摺動自在に挿入され、クランクピン123との間を連結手段であるコンロッド125によって連結されている。
クランクピン123は、回転子109に圧入固定されたクランク軸127に偏心して形成されている。クランク軸127は、軸受け129に回転自在に保持されている。
シリンダブロック121の開口端面を封止するバルブプレート131は、吸入バルブ(図示せず)の開閉によってシリンダブロック121と連通する吸込みポート(図示せず)と、吐出弁(図示せず)と吐出弁座(図示せず)とを具備した吐出弁装置(図示せず)の開閉によりシリンダブロック121と連通する吐出ポート(図示せず)を備え、シリンダブロック121とピストン119の圧縮室側端面145とバルブプレート131で圧縮室147が画定されている。
高圧室(図示せず)を形成するシリンダヘッド149は、バルブプレート131を介してシリンダブロック121の反対側に固定されている。
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電動要素113の回転子109の回転によってクランク軸127が回転駆動されると、クランクピン123の偏心運動により、コンロッド125を介してピストン119がシリンダブロック121内を往復運動し、所定の圧縮動作を行う。
そして、ピストン119の圧縮行程では、ピストン119が圧縮室147内の圧縮された冷媒ガス(図示せず)の圧縮反力を受ける。ピストン119が受けた圧縮反力は、コンロッド125を介してクランクピン123を下死点方向に押し付ける。これに伴い、クランク軸127が軸受け129とのクリアランスで僅かに傾斜することから、クランク軸127とシリンダブロック121の成す角度が僅かに鋭角となる。
その結果、ピストン119がシリンダブロック121に対して抉り運動をすることとなるが、ピストン119に対するコンロッド125の押圧位置を、ピストン119の上下方向(直径)の中心位置からずれた位置に設定したことからモーメントが働き、ピストン119は、クランク軸127に対して直角よりも僅かに鋭角方向に進む力が生ずる。
よって、ピストン119は、クランク軸127に対して僅かに鋭角を成すシリンダブロック121内を抉ることなく運動することが可能となる。
ピストン119の上下方向中心とピストン119に対するコンロッド125の押圧位置の中心のずらし量は、ピストン119の直径に対して5%乃至10%の範囲に設定することが望ましい。
したがって、本実施の形態1による冷媒圧縮機は、抉り運動をしないことから摺動損失が小さく効率が高いものとなる。また、抉り運動をしないことから摩耗の危険性が低く、冷媒圧縮機の信頼性を高めることができる。
以上のように、本発明にかかる冷媒圧縮機は、ピストンに対するコンロッドの押圧位置を、ピストンの上下方向の中心からずれた位置となるように設定したことから、摺動損失が小さく、効率および信頼性の高い冷媒圧縮機とすることができ、エアーコンディショナーや冷凍冷蔵装置等の冷媒圧縮機の用途にも展開できる。
101 密閉容器
103 吸入管
105 潤滑油
107 圧縮要素
109 回転子
111 固定子
113 電動要素
115 圧縮機本体
117 弾性体
119 ピストン
121 シリンダブロック
123 クランクピン
125 コンロッド
127 クランク軸
129 軸受け
131 バルブプレート
145 圧縮室側端面
147 圧縮室

Claims (1)

  1. 密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに、固定子と回転子とを備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素を、円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内を往復動するピストンと、前記回転子と一体となって回転するクランク軸と、前記クランク軸と一体成形されたクランクピンと、前記クランクピンの偏心運動を、前記ピストンの往復運動に変換するコンロッドと、前記シリンダブロックの端面を封止するとともに、反圧縮室側に吐出弁装置を備えたバルブプレートを備える構成とし、前記ピストンに対する前記コンロッドの押圧位置を、前記ピストンの上下方向の中心からずれた位置とした冷媒圧縮機。
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