JP2013018742A - ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法 - Google Patents

ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特定のpH領域に限定することなく、経時的外観変化を低減し、温度安定性に優れた安定化ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法の提供。
【解決手段】ピタバスタチン又はその塩と、合成ヒドロタルサイトとを含む組成物、及びピタバスタチン又はその塩と、合成ヒドロタルサイトとを混合する工程を含む組成物の製造方法である。ピタバスタチン又はその塩がピタバスタチンカルシウムである態様、合成ヒドロタルサイトの含有量が0.05質量%〜20質量%である態様などが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、高脂血症治療剤、高コレステロール治療剤及びアテローム性動脈硬化症治療剤であるピタバスタチンを安定化したピタバスタチン含有組成物及びその製造方法に関し、医療分野における発明である。
ピタバスタチンは、コレステロールの合成に必要なHMG−CoA還元酵素の活性を阻害するHMG−CoA還元酵素阻害剤の一種であり、持続的な血中総コレステロール低下作用を示し、高脂血症やアテローム性動脈硬化症などの循環系疾病のための有用な治療剤である。また、同様のHMG−CoA還元酵素阻害活性を示す化合物として、フルバスタチン、プラバスタチンなどのスタチン系化合物が知られている。
従来、フルバスタチン、プラバスタチンなどのスタチン系化合物は、低pHにおいて不安定であることが知られており、これらの製剤化に際し、特別な措置を講じる必要があった。
例えば、フルバスタチンの場合、炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムなどの少なくともpH8を付与するアルカリ性媒体を併用することにより、フルバスタチンを安定化した医薬組成物が開示されている(特許文献1参照)。
また、プラバスタチンの場合、酸化マグネシウムや水酸化ナトリウムなどのpH9以上を付与する塩基性化剤を併用することにより、プラバスタチンを安定化した医薬組成物が開示されている(特許文献2参照)。
一方、ピタバスタチンは、スタチン系化合物の一種ではあるが、従来のスタチン系化合物とは異なり、意外にも高pH領域においても不安定であることが見い出されている。具体的には、pH8を超えると60℃、3日間保存試験にて外観変化が認められることが示され、経時安定性に優れるピタバスタチンを含有する医薬組成物として、ピタバスタチンと塩基性物質とを含み、pH7〜8である医薬組成物が開示されている(特許文献3参照)。
したがって、製剤化に際し、特定のpH領域に限定することなく、経時的外観変化を低減し、温度安定性に優れた安定化ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法が求められているが、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
特開平5−246844号公報 特開平2−6406号公報 特表平11−503763号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、特定のpH領域に限定することなく、経時的外観変化を低減し、温度安定性に優れた安定化ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ピタバスタチン又はその塩と、合成ヒドロタルサイトとを含むことを特徴とする組成物である。
<2> ピタバスタチン又はその塩が、ピタバスタチンカルシウムである前記<1>に記載の組成物である。
<3> 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.05質量%〜20質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の組成物である。
<4> 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.5質量%〜15質量%である前記<3>に記載の組成物である。
<5> 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.5質量%〜3質量%である前記<3>に記載の組成物である。
<6> pHが、8.1〜9.1である前記<1>から<5>のいずれかに記載の組成物である。
<7> ピタバスタチン又はその塩と、合成ヒドロタルサイトとを混合する工程を含むことを特徴とする組成物の製造方法である。
<8> ピタバスタチン又はその塩が、ピタバスタチンカルシウムである前記<7>に記載の組成物の製造方法である。
<9> 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.05質量%〜20質量%である前記<7>から<8>のいずれかに記載の組成物の製造方法である。
<10> 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.5質量%〜15質量%である前記<9>に記載の組成物の製造方法である。
<11> 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.5質量%〜3質量%である前記<9>に記載の組成物の製造方法である。
<12> pHが、8.1〜9.1である前記<7>から<11>のいずれかに記載の組成物の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、特定のpH領域に限定することなく、経時的外観変化を低減し、温度安定性に優れた安定化ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法を提供することができる。
図1は、実施例12のピタバスタチン含有組成物(錠剤)の溶出率を示すグラフである。
(組成物)
本発明の組成物は、少なくともピタバスタチン又はその塩と、合成ヒドロタルサイトを含んでなり、更に必要に応じて、糖類、結合剤などのその他の成分を含む。
<ピタバスタチン又はその塩>
ピタバスタチン又はその塩は、コレステロールの合成に必要なHMG−CoA還元酵素の活性を阻害するHMG−CoA還元酵素阻害剤の一種である。
前記ピタバスタチンの化学名は、(E)−3,5−ジヒドロキシ−7−[4’−4”−フルオロフェニル−2’−シクロプロピル−キノリン−3’−イル]−6−ヘプテン酸、分子式は、C2524FNOであり、その構造式は、下記構造式(1)の通りである。
前記ピタバスタチンは、従来公知の方法により製造してもよく、市販品を用いてもよい。
前記ピタバスタチンの塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜薬理的に使用可能な塩を選択することができ、例えば、ピタバスタチンカルシウムなどが挙げられる。
前記ピタバスタチンカルシウムの化学名は、(+)−モノカルシウム ビス{(3R,5S,6E)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸}、分子式は、C5046CaFであり、その構造式は、下記構造式(2)の通りである。
前記ピタバスタチンの塩は、従来公知の方法により製造してもよく、市販品を用いてもよい。該市販品としては、例えば、ピタバスタチンカルシウム(Estech Pharma Co., Ltd.製、CU Chemie Uetikon GmbH製、Boryung Pharma Co., Ltd.製、ダイト株式会社製)などが挙げられる。
前記ピタバスタチン又はその塩の前記組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜3質量%が好ましく、1質量%〜2質量%がより好ましい。
<合成ヒドロタルサイト>
前記合成ヒドロタルサイトは、粘土鉱物の一種であり、MgAl(OH)16CO・4HOで表される複水酸化物である。
前記合成ヒドロタルサイトとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を用いることができる。該市販品としては、例えば、アルカマック(協和化学工業株式会社製)、合成ヒドロタルサイト(富田製薬株式会社製)、アパシット(富士化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記合成ヒドロタルサイトの前記組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましく、0.5質量%〜8.25質量%が更に好ましく、0.5質量%〜3質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、50℃、90%RHで従来技術よりも安定性が悪くなることがあり、20質量%を超えると、着色することがある。一方、前記含有量が、特に好ましい範囲であると、外観変化がなく、60℃、及び50℃且つ90%RHの両条件で安定性に優れる点で有利である。
前記組成物のpHとしては、pH7〜8の範囲に限らず、合成ヒドロタルサイトなどの添加に伴うpH増加や医薬組成物に通常用いられるpH調整剤などによるpH調節の範囲内であれば、目的に応じて適宜選択することができるが、8.1〜9.4が、60℃、及び50℃且つ90%RHの両条件で顕著に安定性に優れる点で好ましく、8.1〜9.1が、外観変化がなく、60℃、及び50℃且つ90%RHの両条件で顕著に安定性に優れる点でより好ましい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、通常、医薬組成物に用いることができる公知の成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、糖類、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、嬌味剤、香料、着色剤、流動化剤、コーティング剤などが挙げられる。
<<糖類>>
前記糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、マンニトール、キシリトール、ソルビトールなどが挙げられる。これらの中でも、乳糖、マンニトールが好ましい。
<<結合剤>>
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、トウモロコシデンプン、エチルセルロースなどが挙げられる。
前記結合剤は、前記組成物に必ずしも含まれていなくてもよいが、含まれている場合には、前記結合剤の前記組成物における含有量としては、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、より好ましい範囲であると、十分な錠剤の強度が維持でき、好適な錠剤物性が得られる点で有利である。
前記滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。
前記崩壊剤としては、デンプン(トウモロコシデンプン等)、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
前記嬌味剤としては、例えば、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチンなどが挙げられる。
前記香料としては、例えば、l−メントール、バニリン、オレンジ油、ペパーミントなどが挙げられる。
(組成物の製造方法)
本発明の組成物の製造方法は、少なくとも混合工程を含み、更に必要に応じて適宜選択した、造粒工程、打錠成型工程、コーティング工程などのその他の工程を含む。
<混合工程>
前記混合工程は、少なくとも前記ピタバスタチン又はその塩と、前記合成ヒドロタルサイトとを混合する工程である。
前記混合の方法としては、前記ピタバスタチン又はその塩と前記合成ヒドロタルサイトとが混合される限り、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、練合、捏和、篩過、攪拌、噴霧などが挙げられる。
前記混合に用いる装置としては、例えば、攪拌造粒装置、高速攪拌造粒装置、流動層造粒装置などが挙げられる。
<その他の工程>
<<造粒工程>>
前記造粒工程は、少なくとも前記ピタバスタチン又はその塩と、前記合成ヒドロタルサイトと、その他の成分とを造粒する工程である。
前記造粒する方法としては、特に制限なく、目的に応じて適宜公知の造粒法を選択することができ、例えば、円筒造粒機、ペレッター等を使用する押出造粒法、スピードミル、パワーミル等を使用して湿潤捏和物を破砕する破砕造粒法、ミニマイザー、パワーニーダー、スピードミル、マルメライザー等を使用し、主として転動作用により造粒する転動造粒法、噴霧乾燥等の方法による流動層造粒法、攪拌造粒装置、高速攪拌造粒装置などによる混合攪拌造粒法などが挙げられる。
<<打錠成型工程>>
前記打錠成型工程は、前記混合工程において得られた混合物を、打錠成型する工程である。
前記打錠成型工程における充填加圧時の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7.8kg/cm〜39kg/cmが好ましく、19.5kg/cm〜26kg/cmがより好ましい。前記圧力が、7.8kg/cm未満であると、適した硬度で成型できないことがあり、39kg/cmを超えると、杵に負担がかかることがある。一方、前記圧力が、より好ましい範囲であると、適した硬度で成型できる点で有利である。
前記打錠成型に用いる装置としては、例えば、Autograph(株式会社島津製作所製)、単発打錠機(株式会社菊水製作所製、株式会社畑鉄工所製)、ロータリー打錠機(株式会社菊水製作所製、株式会社畑鉄工所製)などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
−混合工程−
下記表1に示す通り、1錠120mgあたり(バッチあたりではその25倍量を使用)ピタバスタチンカルシウム2mg、乳糖造粒物104.2mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース12mg、及び合成ヒドロタルサイト0.6mgを乳鉢で混合した。得られた混合物にステアリン酸マグネシウム1.2mgを添加し、1分間混合したものを打錠用混合物とした。
−打錠成型工程−
得られた打錠用混合物120mgをAutograph(AGS−1000D TYPEIII、株式会社島津製作所)、及び7mm平型の杵を用いて打錠圧19.9kg/cm(7,500N)で1錠ずつ打錠して実施例1のピタバスタチン含有組成物(錠剤)を作製した。
<評価>
作製したピタバスタチン含有組成物について、以下のように評価した。
<<ピタバスタチンの類縁物質の測定>>
作製したピタバスタチン含有組成物について、ピタバスタチンの類縁物質、即ち、ピタバスタチンの分解物質の量を、以下のUPLC条件により測定した。また、ピタバスタチンの類縁物質量は、UPLCのピタバスタチン原薬に由来する全ピーク面積中の類縁物質のピーク面積の%で表した。
−UPLC条件−
装置: 日本ウォーターズ ACQUITY
カラム: ACQUITY UPLC BEH C18
2.1mm×100mm、1.7μm
注入量: 1.7μL
検出: UV 250nm
流量: 0.6mL/min
移動相A:バッファ:アセトニトリル=90:10(体積比)の溶液
移動相B:アセトニトリル:水=95:10(体積比)の溶液

勾配スケジュール:
A B
0min〜4.32min 68% 32%
4.32min〜7.96min 68%−>10% 32%−> 90%
7.96min〜9.78min 10% 90%
9.78min〜9.79min 10%−>68% 90%−> 32%
収集時間:12min
なお、「バッファ」として、0.82mgの酢酸ナトリウムを1,000mLの水に溶解し、酢酸でpH3.8に調整したものを用いた。
<<安定性評価試験>>
得られたピタバスタチン含有組成物を褐色ガラス瓶に入れてキムワイプ(日本製紙クレシア株式会社製)で蓋をしたものを、下記表2に示す通り、60℃、及び50℃、90%RH条件下で2週間又は1ヶ月間保存した後、上記測定方法を用いてピタバスタチンの類縁物質を測定した。結果を表2に示す。
なお、表2中、「初期値」とは、打錠後にアルミ袋で室温保存し、2週間後に測定した値を示す。
<<外観変化>>
先行技術文献である特表平11−503763号公報には、従来の課題として、pH8以上の高pH領域では、経時的安定性が低く、特に経時的に外観変化(変性、黄変)があることが記載されている。そこで、上記の通り、60℃、及び50℃、90%RH条件下で1ヶ月間保存した後の外観変化(黄変)について調べ、その結果を表2に示した。
<<pH測定>>
得られたピタバスタチン含有組成物のpHとして、打錠用混合物を水に懸濁して調製した5質量%懸濁液のpHを測定した。
(実施例2〜6)
実施例1において、下記表1に示す通り、合成ヒドロタルサイトの添加量、及び乳糖造粒物の添加量を変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜6のピタバスタチン含有組成物(錠剤)を作製し、実施例1と同様に上記評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、下記表1に示す通り、合成ヒドロタルサイトを添加せず、乳糖造粒物の添加量を変えた以外は、実施例1と同様にして比較例1のピタバスタチン含有組成物(錠剤)を作製し、実施例1と同様に上記評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例2のピタバスタチン含有組成物として、ピタバスタチンカルシウムを主成分とする先発製剤である「リバロ錠2mg」(興和株式会社製)を用いた。実施例1と同様に上記評価を行った。結果を表2に示す。「リバロ錠2mg」は、先行技術である特表平11−503763号公報に記載の発明に相当する。
なお、「リバロ錠2mg」は、組成に加え、フィルムコーティング剤である点で、実施例1〜6及び比較例1とは異なるが、実施例1と同様に上記安定性評価試験を行った。外観変化については、フィルムコーティング剤であり比較できないため、観察しなかった。また、pH測定については、「リバロ錠2mg」の錠剤を用いて実施例1と同様に5質量%水溶液を調製し、測定したpHを比較例2のピタバスタチン含有組成物のpHとした。結果を表2に示す。
その結果、試作した製剤のpHは、合成ヒドロタルサイトを添加しなかったものでは6.7であった。合成ヒドロタルサイトを0.6mg(0.5質量%)加えた場合のpHは、特表平11−503763号公報の発明のpH範囲である7〜8よりも高いpHを示した。60℃の苛酷条件下、及び50℃、90%RHの苛酷条件下で、合成ヒドロタルサイトを添加した実施例1〜6では、先発製剤である比較例2よりも安定化することが分かった。合成ヒドロタルサイトの添加量9.9mg(8.25質量%)、18mg(15質量%)では、60℃、1ヶ月間の保存で錠剤が僅かに黄変した。合成ヒドロタルサイトを1.2mg(1質量%)〜3.6mg(3質量%)添加したものでは外観変化がなく、60℃、及び50℃且つ90%RHの両条件で先発製剤よりも安定であった。
したがって、従来、ピタバスタチンの経時的安定性が低く、特に経時的に外観変化があるとされていたpH8以上の高pH領域においても、合成ヒドロタルサイトを添加した実施例1〜6では、安定性に優れ、且つ外観変化がないかその程度が僅かであり、使用上問題がないことが分かった。
次いで、合成ヒドロタルサイトの添加によるピタバスタチン安定化効果が、pH依存的であるか否かを調べるために、以下の実施例7〜11につき試験を行った。
(実施例7)
実施例1において、下記表3に示す通り、合成ヒドロタルサイトの添加量を0.1mgに変え、乳糖造粒物の添加量を104.7mgに変えた以外は、実施例1と同様にして実施例7のピタバスタチン含有組成物(錠剤)を作製し、実施例1と同様に安定性評価試験及びpH測定を行った。結果を表4に示す。
(実施例8〜11)
実施例1、3及び5〜6において、下記表3に示す通り、pH7〜8の範囲となるようにそれぞれ適量のクエン酸水素二ナトリウム1.5HOを添加し、クエン酸水素二ナトリウム1.5HOの添加量に応じて乳糖造粒物の添加量を変えた以外は、実施例1、3及び5〜6と同様にして実施例8〜11のピタバスタチン含有組成物(錠剤)を作製し、実施例1と同様に安定性評価試験及びpH測定を行った。結果を表4に示す。
その結果、実施例7では、pH7未満であっても、合成ヒドロタルサイトの添加により良好な温度安定性、及び高温高湿安定性が観察された。また、実施例8〜11では、pH7〜8に調整しても、先発製剤である比較例2(特表平11−503763号公報に記載の発明に相当)よりも類縁物質の増加が低減されることが分かった。したがって、本願発明は、特表平11−503763号公報に記載の発明よりも優れたピタバスタチン安定化効果を示し、その効果は、pH7〜8に限らないことが分かった。
また、pH調整を行っておらず、pHが8.1以上である実施例1及び4〜6では、pHを7〜8に調整した実施例8〜11と比べて、50℃、90%RHにおいて、それぞれ類縁物質量が低減されていることから、合成ヒドロタルサイトを含み、且つpHが8.1以上である場合に、より優れたピタバスタチン安定化効果が得られることが分かった。中でもpH8.1〜9.1が、外観変化がなく、60℃、及び50℃且つ90%RHの両条件で安定性に優れる点で、より好ましいことが明らかとなった。
次いで、先発製剤である比較例2では、フィルムコーティングがなされているため、特表平11−503763号公報に記載の発明と、本発明のピタバスタチン含有組成物との比較を行うため、以下の比較例3〜11につき試験を行った。
(比較例3〜11)
実施例1において、合成ヒドロタルサイトに代えて、下記表5〜7に示す添加量のメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加し、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの添加量に応じて乳糖造粒物の添加量を変えた以外は、実施例1と同様にして比較例3〜11のピタバスタチン含有組成物(錠剤)を作製し、実施例1と同様に安定性評価試験及びpH測定を行った。結果を表4に示す。これらの比較例3〜11は、特表平11−503763号公報に記載の発明(pH7〜8)に該当する。
なお、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとしては、複数のグレードが存在することから、3種類のグレードとして、ノイシリン(登録商標)の中性グレード(UFL2)、中性グレード(US2)、及びアルカリグレード(FL2)(いずれも富士化学工業株式会社製)を用い、それぞれ比較例3〜6、7〜10及び11を調製した。
その結果、実施例1、3及び5〜6は、比較例3〜6、7〜10及び11と比較して、60℃における類縁物質量が低減されている点で、顕著に優れたピタバスタチン安定化効果を示すことが分かった。
また、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを9.9mg添加した比較例5及び9、並びに、18mg添加した比較例6及び10では、60℃において黄変し、合成ヒドロタルサイト9.9mg又は18mg添加した実施例5及び6(僅かに黄変)よりも、黄変の程度が顕著なものであった。
以上より、本願発明では、特定のpH領域に限定することなく、経時的外観変化を低減し、温度安定性に優れた安定化ピタバスタチンを提供できることが分かった。
さらに、本発明のピタバスタチン含有組成物の溶出性について、以下の手順により調べた。
(実施例12)
−混合工程−
1錠120mgあたり(バッチあたりではその1,000倍量を使用)ピタバスタチンカルシウム2.33mg、乳糖造粒物102.31mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース12mg、三二酸化鉄0.36mg、及び合成ヒドロタルサイト2.4mgをメカノミル(岡田精工株式会社製)で混合した。得られた混合物にステアリン酸マグネシウム0.6mgを添加し、30秒間混合したものを打錠用混合物とした。
−打錠成型工程−
得られた打錠用混合物120mgをロータリー打錠機(VIRG、株式会社菊水製作所製)、及び7mm9.1Rの杵を用いて打錠圧26kg/cm(9,800N)で1錠ずつ打錠して実施例12のピタバスタチン含有組成物(錠剤)を作製した。
<溶出試験>
試験液を水とし、パドル回転数50rpmの条件において、第16改正日本薬局方に従い、溶出試験を行った。また、対照として、先発製剤である「リバロ錠2mg」(比較例2)を用いた。結果を図1に示す。
その結果、溶出時間15分間で85%の溶出率が達成でき、比較例2に対して同等の溶出効率を示すことが分かった。
なお、実施例1〜12及び比較例1〜11で用いた各成分の具体的な内容は、下記表8に示す通りである。
本発明の安定化ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法は、特定のpH領域に限定することなく、経時的外観変化を低減し、温度安定性に優れた安定化ピタバスタチン含有組成物及びその製造方法を提供することができるので、医薬組成物の製造方法として好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. ピタバスタチン又はその塩と、合成ヒドロタルサイトとを含むことを特徴とする組成物。
  2. ピタバスタチン又はその塩が、ピタバスタチンカルシウムである請求項1に記載の組成物。
  3. 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.05質量%〜20質量%である請求項1から2のいずれかに記載の組成物。
  4. 合成ヒドロタルサイトの含有量が、0.5質量%〜3質量%である請求項3に記載の組成物。
  5. pHが、8.1〜9.1である請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
  6. ピタバスタチン又はその塩と、合成ヒドロタルサイトとを混合する工程を含むことを特徴とする組成物の製造方法。
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