JP2013017994A - 金属イオンの分離方法 - Google Patents

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祐介 池永
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航佑 柳本
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Abstract

【課題】金属イオン含有溶液に含まれる金属イオンを捕捉した後、簡便な操作により解離させて回収することができ、かつ、金属イオンの捕捉に利用した材料を煩雑な操作を経ることなく再利用可能なものとすることができる、金属イオンの分離方法を提供する。
【解決手段】金属イオン含有溶液と、金属原子に配位結合する多座配位子を有するモノマー(A)と親水性のモノマー(B)とを少なくとも共重合させた共重合体とを接触させ、金属高分子錯体を形成させる錯体形成工程と、上記金属高分子錯体を分離する錯体分離工程と、上記金属高分子錯体から金属イオンを解離させ、当該金属イオンと上記共重合体とに分離する金属イオン解離工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属配位結合能を有するブロックと親水性ブロックとからなる高分子を利用して、金属イオンを分離する方法に関する。
従来より、環境汚染の防止、資源の再利用、産業廃棄物の減量等の観点から、工場等で排出される金属イオン含有廃液から金属を効率良く回収する方法が開発されている。例えば、金属イオン含有廃液に高分子凝集剤を添加してフロックを形成させ、生じた沈殿を除去する方法(特許文献1を参照)、有機系吸着剤に吸着させる用法(特許文献2を参照)、無機系吸着剤に吸着させる方法(特許文献3を参照)等が知られている。
特開平09−323005号公報 特開2005−021883号公報 特開2004−016994号公報
これらの方法で金属を分離回収した場合、金属を含む沈殿物や吸着剤が新たな産業廃棄物となるという問題があった。このため、金属イオンを捕捉、吸着等した後、簡便な方法で捕捉した金属イオンを放出し、容易に再生利用することが可能な材料の開発が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属イオン含有溶液から金属イオンを捕捉した後、pHを変化させることによって金属イオンを放出して容易に再利用できる高分子材料を利用した、金属イオンの分離方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、以下のような本発明を完成するに至った。
(1) 金属イオン含有溶液と、金属原子に配位結合する多座配位子を有するモノマー(A)と親水性のモノマー(B)とを少なくとも共重合させた共重合体とを接触させ、金属高分子錯体を形成させる錯体形成工程と、
上記金属高分子錯体を分離する錯体分離工程と、
上記金属高分子錯体から金属イオンを解離させる金属イオン解離工程と、
を有することを特徴とする金属イオンの分離方法。
(2) 上記金属イオン解離工程では、上記金属高分子錯体を含む溶液のpHを調整することにより、該金属高分子錯体から金属イオンを解離させることを特徴とする(1)記載の金属イオンの分離方法。
本発明の金属イオンの分離方法によれば、金属イオン含有溶液に含まれる金属イオンを捕捉した後、簡便な操作で解離させて回収することができ、かつ、金属イオンの捕捉に利用した材料を煩雑な操作を経ることなく再利用可能なものとすることができる。
銅高分子錯体(DPA(20)−b−PEG−Cu錯体)のUVスペクトルを示す図である。 白金高分子錯体(BPy(65)−g−PEG(35)−Pt錯体)のUVスペクトルを示す図である。 白金高分子錯体(BPy(65)−g−PEG(35)−Pt錯体)により形成されたミセルの粒径分布を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の金属イオンの分離方法は、金属イオン含有溶液と、金属原子に配位結合する多座配位子を有するモノマー(A)と親水性のモノマー(B)とを少なくとも共重合させた共重合体とを接触させ、金属高分子錯体を形成させる錯体形成工程と、
上記金属高分子錯体を分離する錯体分離工程と、
上記金属高分子錯体から金属イオンを解離させ、当該金属イオンと上記共重合体とに分離する金属イオン解離工程と、
を有することを特徴とする。本発明の方法によれば、金属イオンの回収と、再利用可能な共重合体の再生とを同時に実現することができる。以下、本発明の金属イオンの分離方法の各工程について、詳細に説明する。
[錯体形成工程]
錯体形成工程は、金属イオン含有溶液と、金属原子に配位結合する多座配位子を有するモノマー(A)と親水性のモノマー(B)とを少なくとも共重合させた共重合体と、を接触させ、金属高分子錯体を形成させる工程である。この工程では、上記共重合体中の多座配位子部位に金属イオンが捕捉され、金属高分子錯体が形成される。
本発明に用いられる共重合体は、金属原子に配位結合する多座配位子を有するモノマー(A)と、親水性のモノマー(B)と、を少なくとも共重合させたものであれば、特に限定されない。モノマー(A)と、モノマー(B)と、その他のモノマーとを共重合させたものであってもよい。共重合体の構造も、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、モノマー(A)と、モノマー(B)とは、共重合するための重合性の官能基を有していてもよい。モノマー(A)が重合性の官能基を有していない場合であっても、モノマー(A)に連鎖移動剤が導入されたマクロ連鎖移動剤を合成した後、該マクロ連鎖移動剤と、重合性の官能基を有するモノマー(B)とを共重合させてもよいし、モノマー(B)が重合性の官能基を有していない場合であっても、モノマー(B)に連鎖移動剤が導入されたマクロ連鎖移動剤を合成した後、該マクロ連鎖移動剤と、モノマー(A)とを共重合させてもよい。
モノマー(A)は、金属原子に配位結合する多座配位子を有する。配位子が多座配位子であると、キレート効果により安定な錯体を形成することができる。多座配位子は、特に限定されず、例えば、ビピリジン、シッフ塩基、フェナントロリン、オルトベンゾキノン誘導体、核酸塩基等の二座配位子、ジピコリルアミン、ターピリジン、ジエチレントリアミン、シッフ塩基、トリアザシクロアルカン、テトラキス(2’−アミノエチル)−1,2−ジアミノプロパン等の三座配位子、ポルフィリン及びその誘導体、フタロシアニン及びその誘導体、テトラアザシクロアルカン等の四座配位子、アミノアルキル・テトラアザシクロアルカン等が挙げられる。トリ(アミノアルキル)トリアザシクロアルカン、1,14−ジアミノ−3,6,9,12−テトラアザテトラデカン等の五座配位子、トリ(アミノアルキル)トリアザシクロアルカン、1,14−ジアミノ−3,6,9,12−テトラアザテトラデカン等の六座配位子が挙げられる。これらの中でも、ジピコリルアミン、ビピリジンが好ましい。
モノマー(A)は、その構造中に重合可能な官能基を有していてもよい。重合可能な官能基は、特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。モノマー(A)は、これらの重合可能な官能基を介して後述のモノマー(B)と共重合してもよい。
モノマー(B)は、親水性のモノマーである。親水性のモノマーは、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、酢酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(アルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド変性(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、N−ビニル−2−ピロリドン等のN−ビニルラクタム類、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルアミド類、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。なお、親水性モノマーが、メタクリル酸(MAA)、末端にメトキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アジ基、又はプロパギル基を有するポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、及びN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)からなる群より選択される少なくとも1種であると、共重合体は、極性溶媒中、特に水を含む溶媒中においてより優れた分散性を示す。
モノマー(B)は、その構造中に重合可能な官能基を有していてもよい。重合可能な官能基は、特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。モノマー(B)は、このような重合性基を介してモノマー(A)と重合してもよい。
共重合体は、モノマー(A)及びモノマー(B)以外に、その他のモノマーを有していてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーを、単独で有していても、2種以上を組み合わせて有していてもよい。
上記モノマー(A)と、上記モノマー(B)と、を少なくとも共重合させた共重合体によれば、多量の金属原子が安定に配位した金属高分子錯体を形成することができる。
共重合体の質量平均分子量(ポリスチレンを標準物質としたGPCによる測定)は、5,000〜5,000,000であることが好ましく、10,000〜1,000,000であることがより好ましい。上記範囲であれば、優れた分散性を示すことができる。
共重合体におけるモノマー(A)の占める割合は、特に限定されないが、好ましくは10〜90mol%であり、より好ましくは20〜60mol%である。上記範囲であれば、十分な量の金属原子を配位させることができる。また、共重合体におけるモノマー(B)の占める割合は、特に限定されないが、好ましくは10〜90mol%であり、より好ましくは20〜60mol%である。
共重合体におけるモノマー(A)と、モノマー(B)とのモル比は、特に限定されないが、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは10:90〜90:10である。モノマー(A)の比率が高いと、非極性溶媒中において優れた分散性を示し、モノマー(B)の比率が高いと、水等の極性溶媒中において優れた分散性を示す。共重合体におけるモノマー(A)/モノマー(B)とのモル比は、金属イオン含有溶液の種類によって、調整するとよい。
共重合体の重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、付加開裂連鎖移動(RAFT)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)等のリビングラジカル重合法が好ましい。リビングラジカル重合法によれば、合成する共重合体の分子量や分子量分布を制御することができる。以下に、共重合体の合成方法を例示する。
まず、RAFTによる場合について説明する。モノマー(B)と、連鎖移動剤と、重合開始剤とを所定の溶媒に溶解し、溶存酸素を含む反応容器中の酸素を完全に除いた後、重合開始剤が開裂する温度以上であって、かつ、100℃以下の温度で24〜48時間加熱することにより、モノマー(B)が重合したポリマー(以下、Bブロックと称する)の末端に連鎖移動剤が導入されたマクロ連鎖移動剤を合成する。次に、このマクロ連鎖移動剤と、モノマー(A)とを所定の溶媒に溶解し、重合開始剤が開裂する温度以上であって、かつ、100℃以下の温度で24〜300時間加熱することにより、Bブロックと、モノマー(A)が重合したポリマー(以下、Aブロックと称する)とが直列に結合した共重合体(ブロック共重合体)を合成することができる。なお、モノマー(B)が、例えば、ポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーの場合には、モノマー(B)に連鎖移動剤が導入されたマクロ連鎖移動剤を合成した後、このマクロ連鎖移動剤と、モノマー(A)とを所定の溶媒に溶解し、上記と同様に加熱することにより、モノマー(B)と、モノマー(A)が重合したポリマー(以下、Aブロックと称する)とが直列に結合した共重合体(ブロック共重合体)を合成することができる。
また、モノマー(A)と、モノマー(B)と、連鎖移動剤と、重合開始剤とを所定の溶媒に溶解し、重合開始剤が開裂する温度以上であって、かつ、100℃以下の温度で24〜300時間加熱することにより、Bブロックと、Aブロックとが櫛型に結合した共重合体(ランダムグラフト共重合体)を合成することができる。
RAFTに用いられる連鎖移動剤は、特に限定されず、例えば、ブチルベンジルトリチオカルボナート、クミルジチオベンゾエート(CDB)、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート、酢酸ジチオベンゾエート、ブタン酸ジチオベンゾエート、4−トルイル酸ジチオベンゾエート等が挙げられる。
重合開始剤は、特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等を用いることができる。重合開始剤の好適な使用量は、モノマーに対して、0.001〜1質量%、連鎖移動剤に対して、1〜33質量%である。
次に、ATRPによる場合について説明する。まず、モノマー(B)と、ハロゲン化アルキル剤と、触媒とを所定の溶媒に溶解し、反応させることにより、Bブロックの末端にハロゲン化アルキル剤が導入されたマクロハロゲン化アルキル剤を合成する。次に、このマクロハロゲン化アルキル開始剤と、モノマー(A)とを所定の溶媒に溶解し、更に触媒を加え、室温以上であって、かつ、100℃以下の温度で6〜50時間加熱することにより、Bブロックと、Aブロックとが直列に結合した、本発明で用いられる共重合体(ブロック共重合体)を合成することができる。
ATRPに用いられるハロゲン化アルキル開始剤は、特に限定されず、例えば、2−ブロモイソブチリルブロミド、2−クロロイソブチリルクロリド、ブロモアセチルブロミド、ブロモアセチクロリド、ベンジルブロミド等が挙げられる。
触媒としては、例えば、1価の銅、2価のルテニウム等の遷移金属錯体を用いることができる。
なお、重合反応に用いる溶媒は、特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、これらの混合液等が挙げられる。
本発明で用いられる金属イオン含有溶液に含まれる金属の種類は、特に限定されず、典型金属元素であっても、遷移金属元素であってもよい。典型金属元素としては、例えば、亜鉛、カドミウム等が挙げられる。遷移金属元素としては、例えば、銅、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、クロム等の第一遷移元素、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀等の第二遷移元素、タンタル、タングステン、オスミウム、イリジウム、白金、金等の第三遷移元素、ユーロピウム、ガドリニウム等のランタノイド、アクチノイド等が挙げられる。
金属イオン含有溶液に含まれる溶液は、水溶液でも、有機溶媒でも、これらの混合液であってもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。
共重合体におけるモノマー(A)/モノマー(B)のモル比と、金属イオン含有溶液の種類を適宜選ぶことによって、共重合体は金属イオン含有溶液中でミセルを形成し、よく分散するようになる。
[錯体分離工程]
錯体分離工程は、金属イオンを捕捉した上記金属高分子錯体を金属イオン含有溶液から分離する工程である。金属高分子錯体の分離は、金属イオン含有溶液から沈殿させて分離する方法によっても、あるいは金属イオン含有溶液に分散させたまま分離する方法によってもよい。沈殿させて分離する方法としては、濾過、遠心分離等が挙げられる。沈殿を容易にするため、あらかじめ金属高分子錯体が含まれる溶液のpHを調整したり、ポリアクリル酸等のアニオン性高分子を添加してもよい。金属高分子錯体を溶液に分散させたまま分離する方法としては、磁場を印加する方法等が挙げられる。例えば、配管の中に金属高分子錯体を含む溶液を流し、その溶液の流れ方向に対して垂直に磁場を印加すると、ローレンツ力によって金属高分子錯体と金属を捕捉していない共重合体が配管の片側に移動するので、配管を分岐してこれらを分離すればよい。
[金属イオン解離工程]
金属イオン解離工程は、上記金属高分子錯体から、金属イオンを解離させ、該金属イオンと上記共重合体とに分離する工程である。金属イオンを解離させる方法としては、上記金属高分子錯体を含む溶液のpHを調整する方法を用いるのが好ましい。pHを調整する方法として、例えば、塩酸、硝酸等の酸を添加することにより、pHを酸性側に調整すればよい。上記金属高分子錯体が前工程の錯体分離工程で固体として分離されている場合は、溶媒に再分散させてから、金属イオンを解離させるのがよい。再分散させる溶媒は、水溶液でも、有機溶媒でも、これらの混合液であってもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。
上記金属イオン解離工程にて分離した金属イオンは、例えば、ヒドラジン、1,2,3級のアミン類、NaCNBH,NaBH等の還元剤によって還元し、金属として回収することができる。また、金属イオンを解離した上記共重合体は、金属イオン溶液から金属イオンを分離するために再利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[モノマー(A)の合成]
<多座配位子としてジピコリルアミンを有するモノマー(A)>
2−クロロメチルピリジン塩酸塩11.81g(72mmol)に、アミノプロパノール1.8g(24mmol)、炭酸カリウム33.2g(240mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)0.322g(1mmol)、及び脱水アセトニトリル300mlを加え、95℃で3日間加熱還流した。TLCにより反応の進行を確認した後、セライト濾過、濃縮、及び真空乾燥した。その後、カラム精製し、濃縮することにより、式(1)で表される化合物(3−[ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ]プロパン−1−オール)を得た(収量:4.3g、収率:69.6%)。カラム精製の展開溶媒には、酢酸エチルに対してメタノールの割合を0%、5%、10%、20%と増やしたものを用いた。なお、式(1)で表される化合物の生成は、NMRスペクトルにより確認した。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
アルゴン雰囲気下で、式(1)で表される化合物3g(11.6mmol)を脱水ジクロロメタン500mlに溶解させ、氷浴条件下、塩化アクリロイル1.50ml(18.56mmol、式(1)で表される化合物に対して1.6当量)を滴下し、一晩撹拌した。TLCにより反応の進行を確認した後、濃縮し、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水処理した。その後、カラム精製し、モノマー(A)である多座配位子としてジピコリルアミンを有する、式(2)で表される化合物(DPAモノマー)を得た(収量:1.05g、収率:29.1%)。カラム精製の展開溶媒には、酢酸エチルを用いた。なお、式(2)で表されるDPAモノマーの生成は、NMRスペクトルにより確認した。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
[RAFT剤の合成]
4−ブロモメチル安息香酸3g(13.95mmol)をテトラヒドロフラン25mlに溶解させ、4−ブロモメチル安息香酸のテトラヒドロフラン溶液を得た。次いで、アルゴン雰囲気下、1−ブタンチオール1.80ml(16.74mmol、4−ブロモメチル安息香酸に対して1.2当量)、ジアザビシクロウンデセン2.5ml(16.74mmol、4−ブロモメチル安息香酸に対して1.2当量)、及び二硫化炭素1.01ml(16.74mmol、4−ブロモメチル安息香酸に対して1.2当量)を脱水テトラヒドロフラン75mlに加え、室温で30分間撹拌した。撹拌後、上記4−ブロモメチル安息香酸のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、更に室温で6時間撹拌した。TLCにより反応の進行を確認し、セライト濾過及び濃縮後、ベンゼンに溶解させた。更に、1M塩酸及びイオン交換水で洗浄し、次いで、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水処理した後、濃縮し、フリーズドライすることにより、式(3)で表されるRAFT剤を得た(収量:3.78g、収率:93.9%)。なお、式(3)で表されるRAFT剤の生成は、NMRスペクトルにより確認した。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
[モノマー(B)−マクロ−RAFT剤の合成]
アルゴン雰囲気下、式(3)で表されるRAFT剤720mg(2.4mmol、後述するモノマー(B)に対して10当量)を脱水ベンゼンに溶解させ、オキサリルクロライド242μl(2.88mmol、式(3)で表されるRAFT剤に対して1.2当量)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(cat.)を少量加え、撹拌した後、TLCにより式(4)で表される酸塩化物の生成を確認し、濃縮した。次いで、該酸塩化物を脱水ベンゼン7mlに溶解し、更に、脱水ベンゼンに溶解させたトリエチルアミン400μl(2.88mmol、式(3)で表されるRAFT剤に対して1.2当量)、及びポリエチレングリコール(PEG)(5K)1200mg(0.24mmol)を加えた後、70℃のオイルバス中で1晩撹拌した。その後、セライト濾過及び濃縮を行い、20倍量のイソプロピルエーテルで再沈殿を行った。得られた沈殿物をクロロホルムに溶解させ、濃縮後、フリーズドライすることにより、モノマー(B)が重合したポリマーの末端にRAFT剤が導入された、式(5)で表されるPEG(5K)−マクロ−RAFT剤を得た(収量:1060mg、収率:83.3%、末端修飾率:85%)。なお、式(5)で表されるPEG(5K)−マクロ−RAFT剤の生成は、NMRスペクトルにより確認した。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
Figure 2013017994
[共重合体の合成]
<DPA−b−PEGの合成>
式(5)で表されるPEG(5K)−マクロ−RAFT剤250mg(47μmol)、及び式(2)で表されるモノマー(A)のDPAモノマー(2M)1.42ml(2.83mmol、式(5)で表されるPEG(5K)−マクロ−RAFT剤に対して60当量)を、N,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、重合管に入れ、更に、0.1Mのアゾビスイソブチロニトリル溶液235μl(23.5μmol、式(5)で表されるPEG(5K)−マクロ−RAFT剤に対して0.5当量)を加えた。凍結脱気を3回行い、90℃のオイルバス中で5日間撹拌した。その後、セライト濾過及び濃縮を行い、20倍量のイソプロピルエーテルで再沈殿を行った。得られた沈殿物をフリーズドライすることにより、式(6)で表される共重合体(DPA(20)−b−PEG)を得た(収量:470mg、収率:35.7%)。なお、式(6)で表される共重合体DPA−b−PEGの生成は、NMRスペクトルにより確認した。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
[共重合体の物性評価]
得られた式(6)で表される共重合体の理論数平均分子量(Mn)、絶対数平均分子量(Mw)、DPAのユニット数、及び酸解離定数(pKa)を測定した。なお、理論数平均分子量(Mn)及びDPAユニット数は、NMRにより測定した。絶対数平均分子量(Mw)は、He−Neレーザーを用いたスタティック光散乱光度計(SLS)により測定した。酸解離定数(pKa)は、式(6)で表される共重合体DPA(20)−b−PEG 25mgをイオン交換水25mlに溶解させ、1Nの塩酸水溶液を用いてpHを2.0に調整した後、0.2Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定することにより測定した。理論数平均分子量(Mn)、絶対数平均分子量(Mw)、DPAのユニット数、及び酸解離定数(pKa)を表1に示す。
Figure 2013017994
表1に示すように、式(6)で表される共重合体DPA(20)−b−PEGの理論数平均分子量(Mn)は11500、絶対数平均分子量(Mw)は9673、DPAのユニット数は20.0であった。これらの結果から、RAFT剤による精密重合が達成され、分子量の制御がなされていることが確認された。また、酸解離定数(pKa)は2つあり、4.53及び10.61であることが確認された。ここで、4.53はピリジン環に由来する数値であり、10.61はDPAの構造中の第三級アミンに由来する数値であると考えられた。
得られた式(6)で表される共重合体について、動的光散乱法によってミセル形成を評価した。式(6)で表される共重合体DPA(20)−b−PEG 100mgをジメチルスルホキシド10mlに溶解し、透過膜(MW:1000)に入れ、イオン交換水に対して5日間透析を行った。その後、10mM pH9のバッファーで0.5mg/mlの濃度に溶液に調製した。0.22μフィルターでろ過した後、Arレーザーを用いて動的光散乱測定を行ったところ、ミセルの粒径は120nmであった。
[銅高分子錯体の合成]
式(6)で表される共重合体(DPA(20)−b−PEG)10mg(0.86μmol)をメタノール5mlに溶解させたものに、塩化銅(II)(CuCl・2HO)4mgをメタノール10mlに溶解させたものを滴下し、UV吸収スペクトルの測定を行った。なお、塩化銅(II)の添加量は、共重合体のDPAユニットに対して、0.1当量、0.3当量、0.5当量、0.7当量、0.9当量、1.0当量とした。UVスペクトルの測定結果を図1に示す。
図1に示すように、塩化銅(II)の添加量が増えるに伴い、Cu−DPAに由来する700nm付近の吸光度が高くなったことから、銅高分子錯体(DPA(20)−b−PEG−Cu錯体)が形成されていることが確認された。
[銅高分子錯体の分離]
式(6)で表される共重合体(DPA(20)−b−PEG)115mg(10μmol)、CuCl2 34.0mg(200μmol)をメタノール50mlに溶解し、一晩撹拌し、その後溶液を真空乾燥して銅高分子錯体を調製した。この銅高分子錯体15mgをpH7.4りん酸緩衝生理食塩水30mlに溶解した。この溶液から5mlをとりわけ、ポリアクリル酸中のアクリル酸ユニットモル/共重合体のPDAユニットモルが8となるようにポリアクリル酸を添加すると、速やかに青色をした沈殿が生じた。これを遠心分離して上澄みを除去し、銅高分子錯体を分離した。
[モノマー(A)の合成]
<多座配位子としてビピリジンを有するモノマー(A)>
2,6−ジブロモピリジン5.9g(25mmol)と、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム578mg(0.5mmol、2,6−ジブロモピリジンに対して2mol%)とを混合した後、アルゴン雰囲気下で、テトラヒドロフランに溶解させた0.5M 2−ピリジルジンクブロマイド50ml(25mmol、2,6−ジブロモピリジンに対して1当量)を加え、式(7)で表される化合物を得た(収量:2.60g、収率:44%)。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
式(7)で表される化合物2.6g(11.1mmol)に、ヨウ化銅114mg(0.6mmol)と、ヨウ化ナトリウム3.33g(2.2mmol)とを加えた後、アルゴン雰囲気下で、1,4−ジオキサンに溶解させたトランス−N,N−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン190μlを更に加え、110℃の密閉条件下で24時間撹拌し、式(8)で表される化合物を得た(収量:3.957g、収率:126%)。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
4−ペンチン−1−オール1.72g(20mmol)に、氷浴下で、ジクロロメタン40mlと、p−トルエンスルホン酸一水和物38mg(0.2mmol)とを加え、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン1850mg(22mmol)をゆっくりと滴下し、氷浴下で1時間撹拌し、式(9)で表される化合物を得た(収量:2.589g、収率:77%)。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
式(8)で表される化合物3.957g(14mmol)に、式(9)で表される化合物2.355g(14mmol)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド647mg(0.56mmol)、ヨウ化銅213.3mg(1.12mmol)、i−プロピルアミン7.95ml(56mol)、及びテトラヒドロフラン70mlの混合溶液を加え、アルゴン雰囲気下の室温で一晩撹拌し、式(10)で表される化合物を得た(収量:2.491g、収率:69.7%)。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
式(10)で表される化合物2.4g(7.4mmol)に、5%パラジウム−活性炭素500mgと、メタノール150mlとを加えた後、水素置換条件下で一晩撹拌し、式(11)で表される化合物を得た(収量:2.228g、収率:92%)。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
式(11)で表される化合物2.228g(6.8mmol)に、p−トルエンスルホン酸一水和物628mg(3.3mmol)と、メタノール30mlとを加え、一晩撹拌し、式(12)で表される化合物を得た(収量:1.545g、収率:94%)。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
式(12)で表される化合物0.770g(3.2mmol)に、無水メタクリル酸1.956g(12.7mmol)と、トリエチルアミン0.962g(9.5mmol)と、脱水ジクロロメタン40mlとを加え、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌し、多座配位子としてビピリジンを有する式(13)で表されるモノマー(A)(BPyモノマー)を得た(収量:0.682g、収率:69%)。なお、式(13)で表されるモノマーの生成は、NMRスペクトルにより確認した。反応スキームを以下に示す。
Figure 2013017994
[共重合体の合成]
<BPy−g−PEGの合成>
式(13)で表されるモノマー(A)のBPyモノマー396.8mg(1.28mmol)に、式(14)で表されるモノマー(B)1597mg(768μmol)と、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.77mg(4.71μmol)と、CDB 6.43mg(23.6μmol)と、総量が11.1mlとなるようにN,N−ジメチルホルムアミドを加え、凍結脱気を4回行い、70℃で二日と一晩撹拌し、式(15)で表される共重合体(BPy(65)−g−PEG(35))を得た(収量:295mg、収率:15%)。
反応スキームを以下に示す。BPy(65)−g−PEG(35)の生成はNMRスペクトルにより確認した。
Figure 2013017994
[共重合体の物性評価]
得られた式(15)で表される共重合体の理論数平均分子量(Mn)、ピリジン(Py)とポリエチレングリコール(PEG)との転化率、PyとPEGとのユニット比、及び臨界ミセル濃度(cmc)を表2に示す。なお、理論数平均分子量(Mn)、ピリジン(Py)とポリエチレングリコール(PEG)との転化率、及びPyとPEGとのユニット比は、NMRにより測定した。また、臨界ミセル濃度(cmc)は、ピレン可溶化試験により測定した。
Figure 2013017994
[共重合体のミセル化]
式(15)で表される本発明の共重合体(BPy(65)−g−PEG(35))50mgをN,N−ジメチルアセトアミド5mlに溶解させた後、透析膜(分画分子量:3500)に入れ、N,N−ジメチルアセトアミドに対して400倍量の水で5日間透析を行うことによりミセルを形成させた。透析後、得られた溶液のうち、50mlをメスフラスコに回収し、濃度が1mg/mlとなるように水を用いてメスアップを行った。そして、得られたミセルの粒径を、Arレーザーを用いたダイナミック光散乱光度計(DLS)により測定したところ、平均粒径21.9±5.6nmの均一な粒子が形成されていることが確認された。
[白金高分子錯体の合成]
テトラクロロ白金(II)酸カリウム300mg(722μmol)に、ジメチルスルホキシド(DMSO)169mg(d=1.099、2.17mmol、テトラクロロ白金(II)酸カリウムに対して3当量)と、ミリQ水1.5mlとを加え、氷浴下で2時間撹拌し、[Pt(DMSO)Cl]を得た(収量:248mg、収率:81%)
上記方法にて得られた[Pt(DMSO)Cl]60mg(0.14mmol)に、式(15)で表される共重合体(BPy(65)−g−PEG(35))5446mg(0.14mmol)と、メタノール100mlとを加え、80℃の還流条件下で、1日間撹拌し、BPy(65)−g−PEG(35)−Pt錯体を得た(収量:822mg、収率:74%)。得られたBPy(65)−g−PEG(35)−Pt錯体のUVスペクトルには、390nm付近に白金高分子錯体に由来するピークが確認された(図2)。
[白金高分子錯体のミセル化]
上記にて得られた白金高分子錯体(BPy(65)−g−PEG(35)−Pt錯体)100mgをN,N−ジメチルアセトアミド5mlに溶解させた後、透析膜(分画分子量:3500)に入れ、N,N−ジメチルアセトアミドに対して200倍量の水で5日間透析を行うことによりミセルを形成させた。透析後、得られた溶液のうち、50mlをメスフラスコに回収し、濃度が1mg/mlとなるように水を用いてメスアップを行ったところ、pHは7.4であった。そして、得られたミセルの粒径を、Arレーザーを用いたダイナミック光散乱光度計(DLS)により測定したところ、平均粒径80±33nmの均一な粒子が形成されており、多分散度指数は0.2586であった(図3(a))。
[白金高分子錯体ミセルから金属放出]
上記にて得られたBPy(65)−g−PEG(35)−Pt錯体のミセル溶液を静置し、粒径分布の変化を測定した。1日後の粒径分布を図3(b)に、2日後の粒径分布を図3(c)に示す。多分散度指数は、1日後に0.2719、2日後に0.2872となり、ミセルの粒径に大きな変化は見られなかった。
上記の白金高分子錯体のミセル溶液に塩酸を0.5mL加えてpHを5に調製し、静置して、粒径分布の変化を測定した。1日後の粒径分布を図3(d)に、2日後の粒径分布を図3(e)に示す。多分散度指数は、1日後に0.2574、2日後に0.4087と大きくなり、平均粒径が数nmの粒子が増えていた。
また、同様に塩酸を1.5mL加えて白金高分子錯体のミセル溶液のpHを4に調整し、静置して、粒径分布の変化を測定した。1日後の粒径分布を図3(f)に、2日後の粒径分布を図3(g)に示す。多分散度指数は、1日後に0.2846、2日後に0.4157と大きくなり、平均粒径が数nmの粒子が増えていた。この白金高分子錯体の酸性溶液から高分子を再沈殿法により回収し、H−NMRスペクトルを解析したところ、金属錯体の形成に基づくピークが消失していた。このことから、酸性条件下では、BPy(65)−g−PEG(35)−Pt錯体のビピリジン部位がプロトン化し,金属配位性能を失い、金属イオンを解離させた結果、ミセルが崩壊したことがわかった。
以上のように、多座配位子としてビピリジンを有するモノマーとポリエチレングリコール部位を有する親水性のモノマーとを共重合させたBPy−g−PEGを用いれば、金属イオン含有溶液と接触させることにより錯体を形成させて金属イオンを補足し、酸性条件下にすることにより、金属イオンを解離させることができるので、金属イオンを分離回収することができる。

Claims (2)

  1. 金属イオン含有溶液と、金属原子に配位結合する多座配位子を有するモノマー(A)と親水性のモノマー(B)とを少なくとも共重合させた共重合体とを接触させ、金属高分子錯体を形成させる錯体形成工程と、
    前記金属高分子錯体を分離する錯体分離工程と、
    前記金属高分子錯体から金属イオンを解離させる金属イオン解離工程と、
    を有することを特徴とする金属イオンの分離方法。
  2. 前記金属イオン解離工程では、前記金属高分子錯体を含む溶液のpHを調整することにより、該金属高分子錯体から金属イオンを解離させることを特徴とする請求項1記載の金属イオンの分離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016124925A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 トヨタ自動車株式会社 単官能光重合性単量体、光重合性組成物、非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法、および非水電解質二次電池
CN112337445A (zh) * 2020-10-16 2021-02-09 邓颖菁 一种吸附重金属的纳米聚酯膜及其制备方法
WO2022097580A1 (ja) * 2020-11-06 2022-05-12 五洋紙工株式会社 ジピコリルアミン部分を有する化合物およびその製造方法ならびにそれを用いた抗菌組成物

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