以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかるスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。また、図2は、リールに付された図柄の配列表である。
スロットマシン1の内部には、外周に複数種の図柄が配列された複数種類のリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、これらによって表示状態が変化可能な可変表示装置が構成されている。図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち、連続する3つの図柄が透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、図2に示すように、各々を識別可能な複数種類の図柄(識別情報)が図柄番号順かつ所定の図柄配置間隔(図柄ピッチ)で、それぞれ21個ずつ描かれている。
リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々、上段、中段、下段の三段に表示される。透視窓3により、図柄を視認可能な可変表示部が構成されており、特に、リール2L、2C、2Rのそれぞれに対応する透視窓3の領域は、それぞれ左可変表示部、中可変表示部、右可変表示部と称される。
各リール2L、2C、2R(左リール2L、中リール2C、右リール2R)は、各々対応して設けられたリールモータ32L、32C、32R(図4参照)によって回転する。これにより、各リール2L、2C、2Rに配列された図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示される。たとえば、リール2Lが回転することによって、図2に示す図柄番号0、1、2、3…20、0、1…の順で、各図柄番号に対応する「ブドウ(ブド)」、「ミカン」、「リプレイ(リプ)」、「メロン」…「リプレイ」、「ブドウ」の図柄が右可変表示部において繰り返し可変表示(変動表示)される。
リールモータ32L、32C、32Rが停止することでリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示される。たとえば、中可変表示部の下段、中段、上段に図柄番号13、14、15の各図柄が位置するときにリール2Cの回転が停止したときには、中可変表示部の下段に「リプレイ」、中段に「ブドウ」、上段に「イチゴ」がそれぞれ表示結果として導出された状態となる。
本実施の形態では、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータをリールモータ32L、32C、32Rに用いている。各リール2L、2C、2Rには、1図柄が移動するステップ数(8ステップ)毎に分割した21の領域が定められている。これら21の領域の1つを“1コマ”と称し、リールの回転に伴う図柄の移動数(変動数)を“コマ数”と称する。これら21の領域の各々には、リールに予め定めた“リール原点位置”から0〜20(図2参照)の図柄番号が割り当てられており、各々に、図2に示される種類の図柄が配列されている。
各リール2L、2C、2Rの手前側(遊技者側)の位置には、液晶表示器51(図4参照)の表示領域51aが配置されている。液晶表示器51は、液晶素子に対して電圧が印加されていない状態で、透過性を有するノーマリーホワイトタイプの液晶パネルを有しており、表示領域51aの透視窓3に対応する透過領域51bおよび透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。
また、スロットマシン1には、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数(本実施の形態では後述の一般遊技およびレギュラーボーナスにおいて共に“3”)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、ビッグボーナス等の遊技状況やエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、入賞の発生により払い出されたメダル枚数が表示されるペイアウト表示器13、賭数が1に設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2に設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3に設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられている。遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成されて各部に供給される。
遊技制御基板40には、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、所定のキー操作により打止状態等を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、投入メダルセンサ31、リール2L、2C、2Rそれぞれに設けられたリール原点位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rが接続されている。
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動される。
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行なうメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0〜65535)の乱数を発生させる乱数発生回路42、乱数発生回路から乱数を取得するサンプリング回路43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路48が搭載されている。ROM41bには、遊技制御用のプログラムや、リール停止制御に用いる各種のテーブルデータが格納されている。
乱数発生回路42は、後述するように所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路43は、乱数発生回路42がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路42は、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められており、本実施の形態では、その範囲として0〜65535が定められている。メインCPU41aは、その処理に応じてサンプリング回路43に指示を送ることで、乱数発生回路42が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。後述する内部抽選用の乱数は、ハードウェア乱数機能により抽出した乱数をそのまま使用するのではなく、ソフトウェアにより加工して使用する。
なお、内部抽選用の乱数は、ハード回路(乱数発生回路42)のみによって生成してもよく、あるいは、ハード回路(乱数発生回路42)を用いずに、メイン制御部41が実行する遊技制御プログラム内でソフトウエア的に生成してもよい。
また、メインCPU41aは、タイマ割込処理(メイン)により、特定のレジスタの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは、演出中継基板80を介して一方向のみで演出制御基板90へ送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。
演出制御基板90には、液晶表示器51、スピーカ52、53、リールLED54等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91による制御に基づいて駆動される。
スロットマシン1においてゲームを行なう場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジット(持点)を使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5、またはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図1参照)のうち遊技状態に応じて定められた入賞ラインが有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。遊技状態に対応する規定数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されたラインである。本実施の形態では、図1に示すように、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1(中段ライン)、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2(上段ライン)、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3(下段ライン)、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4(右上がりライン)、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5(右下がりライン)の5種類が入賞ラインとして定められており、規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1〜L5の全てが有効となる。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、メイン制御部41によってスタート操作が検出される。スタート操作の検出に基づいて、メイン制御部41は各リール2L、2C、2Rを一斉に回転開始させる。これにより、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、停止したリールの図柄の表示結果が透視窓3に導出される。以下、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかの操作を“停止操作”と称する。
全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止して各リールの図柄の表示結果が導出されることで1ゲームが終了する。なお、本実施の形態では、各リールの図柄の表示結果が導出されたときには、対応するリールが完全に停止する。しかしながら、これに変えて、リールの回転が停止して図柄の表示結果が導出されたときでも、リールが上下方向に振動するように動くようにしてもよい。その場合、全リールの回転が停止して全リールの図柄の表示結果が導出されたときには、各リールの振動動作を停止させてもよく、あるいは、各リールの振動動作を継続させてもよい。
全リールの図柄の表示結果が導出されたときに、有効化されているいずれかの入賞ラインL1〜L5上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生する。入賞が発生すると、その入賞に応じて定められた大きさの遊技価値が遊技者に付与される(規定枚数のメダルの払出し、あるいはこれに対応する数のクレジット加算)。
なお、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与される。
ただし、1ゲームで付与されるメダルあるいはクレジットの付与数には、上限(本実施の形態では、15)が定められており、合計数が上限を超える場合には、上限数のクレジットまたはメダルが遊技者に付与される。また、有効化されたいずれかの入賞ラインL1〜L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せ(ビッグボーナス)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行する。
本実施の形態のスロットマシン1においては、可変表示装置2のいずれかの入賞ライン上に予め定めた図柄の組合せが揃うと、入賞となる。
図3は、入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。入賞役は、入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、入賞の発生により特別遊技(ビッグボーナス)に移行する特別役と、特別遊技への移行がなくメダルの払出しがある小役と、新たな投資を必要とすることなく再ゲームが可能とされる再遊技役とに大別される。また、小役と再遊技役とを併せて一般役とも称する。
なお、ビッグボーナスをBBと表記し、ビッグボーナス中に提供されるレギュラーボーナスをRBと表記する場合がある。また、ビッグボーナス、レギュラーボーナスを単にボーナスという場合もある。さらに、ビッグボーナスを特別遊技状態ともいう。いずれにしても、遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選し、当該入賞役に対応する当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
特別役には、ビッグボーナス1(BB1とも称する)、ビッグボーナス(BB2とも称する)、ビッグボーナス3(BB3とも称する)が含まれる。小役には、イチゴ、ブドウ、メロン、特殊1〜6が含まれる。再遊技役には、再遊技1,2が含まれる。内部抽選は、これらの入賞役別に行なわれ、入賞役別に当選フラグが設定される。
ビッグボーナス1に対応する入賞ラインの図柄の組合せは、「赤7−赤7−赤7」である。ビッグボーナス2に対応する入賞ラインの図柄の組合せは、「白7−白7−白7」である。ビッグボーナス3に対応する入賞ラインの図柄の組合せは、「BAR−BAR−BAR」である。ビッグボーナス1〜3のうちいずれかに入賞すると、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)であるビッグボーナスに移行する。
ビッグボーナスに制御されているときには、当該ビッグボーナスが終了するまで、レギュラーボーナス(RBとも称する)に繰り返し制御される。レギュラーボーナス中は、たとえば、所定役(たとえば、「イチゴ」、「ブドウ」、「メロン」、「特殊1〜6」の全小役。あるいはこれらのいずれか1つあるいは複数の役であってもよい。)の当選確率がそれ以外の遊技状態のときよりも向上される。レギュラーボーナスは、所定のRB終了条件(たとえば、12ゲーム消化するかまたは8回入賞等)が成立したときに終了する。
遊技状態がビッグボーナスにある間は、入賞したビッグボーナス1〜3の種類に対応するビッグボーナス中フラグがRAM41cに設定される。また、レギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。すなわち、ビッグボーナス中フラグがON状態に設定されている間は、ゲームが開始されるときにレギュラーボーナス中フラグがON状態に設定されていないときに、繰り返しレギュラーボーナス中フラグがON状態に設定される。
ビッグボーナス1〜3は、予め定めたBB終了条件(たとえば、遊技者に払い出したメダルの枚数が規定枚数に達したこと、その他、所定期間の経過等であってもよい)が成立したときに終了する。
なお、ビッグボーナス1〜3の終了条件は、共通であってもよく、それぞれに異なる終了条件を設定してもよい。また、本実施の形態では、ビッグボーナス1〜3のいずれに入賞したときでも、移行するビッグボーナスは同じであるが、ビッグボーナス1〜3の種類によって、ビッグボーナスの遊技内容を異なるものとしてもよい。たとえば、ビッグボーナス1〜3の種類によって、賭数を異ならせたり、最大払出し枚数を異ならせたりすることが考えられる。
次に、小役について説明する。小役は、入賞時のメダルの払出数に応じて、1枚役、2枚役、5枚役、15枚役に分類される。
1枚役は、「イチゴ」、および「特殊4〜6」である。「イチゴ」に対応する入賞ラインの図柄の組合せは、「赤7−any−any」である。ここで、「any」は、いずれの図柄であってもよいことを意味する。つまり、「赤7−any−any」は、左リールの上段中段下段のいずれかに「赤7」が停止すれば、中リールおよび右リールの停止図柄の種類に関わらず「イチゴ」の入賞が発生することを意味する。特殊4〜6の各々に対応する入賞ラインの図柄の組合せは、各々、「赤7−イチゴ−イチゴ」、「白7−イチゴ−イチゴ」、「BAR−イチゴ−イチゴ」である。
2枚役は、「ブドウ」である。ブドウに対応する入賞ラインの図柄の組合せは、「ブドウ(図3では“ブド”と表記)−ブドウ−any」である。「ブドウ−ブドウ−any」は、左および中リールの入賞ラインのいずれかに「ブドウ」が揃って停止すれば、右リールの停止図柄の種類に関わらず「ブドウ」の入賞が発生することを意味する。
5枚役は、「メロン」である。メロンに対応する入賞ラインの図柄の組合せは、「メロン−メロン−メロン」である。
15枚役は、「特殊1〜3」である。特殊1〜3の各々に対応する入賞ラインの図柄の組合せは、各々、「赤7−ブドウ−ブドウ」、「白7−ブドウ−ブドウ」、「BAR−ブドウ−ブドウ」である。
次に、再遊技役について説明する。再遊技役には、再遊技1と再遊技2とがある。再遊技役1,2のいずれかに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数に対応した枚数分のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
再遊技1,2の各々に対応する入賞ラインの図柄の組合せは、各々、「リプレイ(図3では“リプ”と表記)−リプレイ−リプレイ」、「特7−リプレイ−リプレイ」である。
次に、リールの停止制御について説明する。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は、たとえば、190ms(ミリ秒)である。リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転するため、この間に80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄が変動することになる。
それゆえ、最大停止遅延時間(190ms)では、最大で4コマの図柄を滑らせることができる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄の合計5コマ分の図柄である。
たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかの操作が検出されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの中段位置を基準位置とした場合、基準位置に表示されている図柄から4コマ先までの図柄をリールの中段に引き込んで(滑らせて)停止させることができる。
本実施の形態では、可変表示装置の中段位置(中段の入賞ラインの位置)を“基準位置”としている。また、停止操作が検出されたときに基準位置にある図柄を含んで図柄停止に至るまでに送った図柄数を“滑りコマ数”と称し、停止操作が検出されたときに基準位置にある図柄で停止させた場合の滑りコマ数は、“0”とする。さらに、引き込み可能な最大コマ数(たとえば、停止操作検出時に基準位置にある図柄を除くと4コマ、基準位置にある図柄を入れて5コマ)を“最大滑りコマ数”と称する。
ここで、図2に示されるように、図柄の「リプレイ」は、各リール2L、2C、2Rにおいて、必ず5図柄以内に1つ配列されている(左リール2Lについてはさらに図柄番号19に「特7」が配列)。これにより、どのようなタイミングで停止操作をしても必ず「再遊技1,2」の入賞役による入賞を発生させることができ、その結果、「再遊技1,2」が内部当選している場合の当該役に対応する図柄の取りこぼしを防止することで単位時間あたりの遊技者の投資額を適度に抑えて射倖性が極端に高まり過ぎることを防止できる。
なお、基準位置は、可変表示装置の中段位置に限定されるものではなく、可変表示装置の上段位置としても、下段位置としてもよい。あるいは、可変表示装置の上中下三段のいずれかの位置に限定されるものではなく、可変表示装置のリールに配列された各図柄の可変表示部に対する位置を特定できる箇所であれば、いずれの箇所を基準位置としてもよい。
ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応する停止操作が検出されると、停止操作を検出した時点のリール原点位置からのステップ数に基づいて、基準位置(可変表示装置の中段)に位置する図柄の図柄番号が特定される。
次に、特定した図柄番号に対応する滑りコマ数が、滑りコマ数テーブルから取得される。滑りコマ数テーブルは、たとえば、図15に示されるように、各リールに対応して、図柄番号別に滑りコマ数を規定したデータである。メイン制御部41は、滑りコマ数テーブルを参照することで、停止させるリールの基準位置に位置する図柄の図柄番号に対応する滑りコマ数を取得する。
続いて、メイン制御部41は、停止操作を検出した時点で基準位置にある図柄を滑りコマ数分だけ滑らせて(滑りコマ数分だけリールを回転させて)停止させる制御を行なう。これにより、停止操作が検出されたときに基準位置に位置する図柄から滑りコマ数テーブルに従う滑りコマ数だけ移動した図柄番号に対応する図柄が基準位置(可変表示装置の中段)に停止する。
図5は、全リールの回転開始から全リールの回転停止までにメイン制御部41(図4参照)によって仮想的に設定される、第一停止リール〜第三停止リールと、左、中、右リール(リール2L、2C、2R)との対応関係を示す図である。
図5を参照して、1ゲームの開始によって回転を開始した左、中、右リール(リール2L、2C、2R)は、ストップスイッチ8L、8C、8Rが任意の順序で操作されることに基づいて停止する。
以下では、1ゲーム開始後、3つのリールのうちの1つ目のリールを停止させるための停止操作を“第一停止操作”、2つ目のリールを停止させるための停止操作を“第二停止操作”、3つ目のリールを停止させるための操作を“第三停止操作”と称する。
また、第一停止操作で停止するリールを“第一停止リール”、第二停止操作で停止するリールを“第二停止リール”、第三停止操作で停止するリールを“第三停止リール”と称する。
メイン制御部41は、1ゲーム開始後、第一停止操作が検出される前の段階で、仮想的に、第一停止リールを左リール2L、第二停止リールを中リール2C、第三停止リールを右リール2Rと設定する。その上で、メイン制御部41は、後述する手順によって第一〜第三停止リールに対応する滑りコマ数テーブルを用意する。
スロットマシン1は、第一停止操作に応じた各リールの滑りコマ数テーブルを予め複数種類記憶しており、第一停止操作前に滑りコマ数テーブルを選択して停止制御に用いる。しかし、第二停止操作あるいは第三停止操作に応じた各リールの滑りコマ数テーブルについては記憶しておらず、第一停止操作の検出によって停止した第一停止リールの停止結果に応じて、さらには第二停止操作の検出によって停止した第二停止リールの停止結果に応じて、夫々、滑りコマ数テーブルをその都度、作成する。
第一停止操作に備えて第一〜第三停止リールを仮想的に設定した後、設定した第一停止リールと異なるリールに対応する第一停止操作が検出されたときには、検出された第一停止操作に対応する種類のリールに対して用意した滑りコマ数テーブルをそのまま用いてリールの停止制御を行なう。
たとえば、第一停止操作が、第三停止リールとして仮想的に設定した右リール2Rに対応するものであったときには、右リール2R用(第三停止リール)に用意した滑りコマ数テーブルをそのまま用いて右リール2Rを停止させる。このような場合には、第一停止前に仮想的に設定した第一〜第三停止リールの組合せに変更が生じる。
そこで、第一停止操作の検出後、第二停止操作の検出前に、第二、第三停止リールを再設定する。この場合、図5に示されるように、第一停止リールが左リールであるか中リールであるか右リールであるかによって、第二、第三停止リールの設定が異なってくる。
図5に示されるように、第一停止リールが左のときは、第二停止リールを中、第三停止リールを右に設定し、第一停止リールが中のときは、第二停止リールを左、第三停止リールを右に設定し、第一停止リールが右のときは、第二停止リールを左、第三停止リールを中に設定する。ただし、第二停止操作の検出前であるので、いずれも仮想的な設定になる。
第二、第三停止リールを仮想的に設定した後、メイン制御部41は、後述する手順によって第二、第三停止リールに対応する滑りコマ数テーブルを作成する。
その後、仮想的に設定した第二停止リールと異なるリールに対応する第二停止操作が検出されたときには、第一停止操作が検出されたときと同様に、検出された第二停止操作に対応する種類のリールに対して用意した滑りコマ数テーブルをそのまま用いてリールの停止制御を行なう。このような場合には、第二停止前に仮想的に設定した第二、第三停止リールの組合せに変更が生じる。
そこで、第二停止操作の検出後、第三停止操作の検出前に、第三停止リールを再設定する。この場合、図5に示されるように、第一停止リールおよび第二停止リールの種類によって第三停止リールの設定が異なる。この場合、残る未停止リールは1つであるので、第三停止リールの設定は、確定的な設定になる。
第三停止リールを設定した後、メイン制御部41は、後述する手順によって第三停止リールに対応する滑りコマ数テーブルを作成し直し、第三停止操作に応じて、作成し直した滑りコマ数テーブルに基づいて第三停止リールを停止させる。
このように、本実施の形態に係るスロットマシン1は、第一停止操作検出前に、第一停止〜第三停止リールを仮決めするため、停止操作に備えた停止制御を極力簡単にすることができる。
図6は、リールの停止制御に関するメインフローである。また、図7〜図11は、このメインフローのサブルーチンを示すフローチャートである。さらに、図12〜図21は、リールの停止制御に用いられる各種データを説明するための図である。以下では、これらの図面を用いて、リールの停止制御を詳細に説明する。なお、図6〜11に示される処理は、図4に示したメイン制御部41が実行する。
[メインフローのS1〜S5]
図6のメインフローに従って、必要に応じて図7〜図21を参照しつつ、リールの停止制御を説明する。まず、スタートスイッチ7が操作されることに基づいて、スタート操作が検出される(S1)。次に、内部抽選処理が実行される(S2)。また、スタート操作の検出に基づいて、リール2L、2C、2Rの変動(回転)が開始される。
S2の内部抽選処理について詳細に説明する。内部抽選とは、入賞の発生(入賞表示結果の導出)を許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の操作検出時に)決定することである。
内部抽選では、まず、乱数発生回路42から内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)が取得される。次に、遊技状態に応じて定められた抽選対象役の組合せについて、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態、賭数および設定値に応じて定められた各役および役の組合せの当選値とが判定される。判定の結果、当選ありとなったときには、当選した役に対応する当選フラグが設定される。この当選フラグは、1ゲームが終了する毎に消去される。ただし、ビッグボーナス当選フラグについては、ビッグボーナス入賞が発生するまで、次回のゲームに持ち越される。RAM41cにより、当選フラグを記憶する当選フラグ記憶手段が構成されている。
本実施の形態においては、当選値の一部またはすべてが重複して設定された入賞役が存在する。このため、1ゲームにおいて複数種類の役が同時に当選することがあり得る。
たとえば、一般遊技では、「イチゴ」の当選値の一部と「特殊4」の当選値の一部とが重複しており、かつ、その重複部分において「特殊5」の当選値の一部が重複している。このため、乱数発生回路42から抽出された抽選値がその重複部分の当選値と一致するときには、それら3つの役が同時当選する。
また、一般遊技では、「再遊技1,2」の双方の当選値が共通しており、同様に、「特殊1,2」の双方の当選値が共通している。このため、「再遊技1,2」、および「特殊1,2」は、それぞれ同時当選する。
さらに、一般遊技では、「ブドウ」の当選値の一部と「特殊6」の当選値の一部とが重複しており、抽選値がその重複部分の当選値と一致するときには、「ブドウ」と「特殊6」とが同時当選する。
一方、ビッグボーナスの特別遊技では、「イチゴ」、「ブドウ」、「特殊1〜6」のすべての当選値が共通であり、「メロン」のみ当選値が異なるため、「イチゴ」、「ブドウ」、および「特殊1〜6」のすべてが同時当選した状態か、メロンのみが当選した状態、あるいは外れの状態となる。なお、特別遊技中は、リプレイおよびビッグボーナスは抽選されない。
以上より、特別遊技中に内部抽選の結果、設定される当選フラグ(の組合せ)は、図12(A)に示されるように、[イチゴ、ブドウ、特殊1〜6]または[メロン]のいずれかになる。
また、一般遊技中に内部抽選の結果、設定される当選フラグ(の組合せ)は、ビッグボーナス当選フラグの持越しを考慮すると、図12(B)に示されるように、[再遊技1,2]、[イチゴ]、[ブドウ]、[イチゴ、特殊4、特殊5]、[ブドウ、特殊6]、[特殊3]、[特殊1、特殊2]、[メロン]、[特殊6]、[特殊5]、[特殊4]、さらには、それらと[BB1]、[BB2]、[BB3]の組合せのいずかである。
S2の内部抽選処理の後、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、持越しフラグの有無、およびS2による当選状況が判別される(S3)。そして、S3の判別結果に基づいて、第一停止前の滑りコマ数テーブルを作成するための第一停止時テーブルが選択される(S4)。
具体的には、図12(A)、(B)に示されるような、第一停止時テーブル番号検索用データに基づいて、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、持越しフラグの有無、および当選状況に応じた第一停止時テーブル番号が検索され、対応する番号の第一停止時テーブルが選択される。
たとえば、遊技状態が特別遊技で、当選状況(S2)が外れのときには、図12(A)に示される第一停止時テーブル番号「0」が検索され、対応する番号の第一停止時テーブル0が選択される。遊技状態が一般遊技で、当選状況(S2)が外れのとき、持越し当選フラグが存在しなければ、図12(B)に示される第一停止時テーブル番号「3」が検索され、対応する番号の第一停止時テーブル3が選択される。
図13には、第一停止時テーブルの例が示されている。メイン制御部41には、番号0〜番号50までの合計51の第一停止時テーブルが予め記憶されている。第一停止時テーブルには、各リール2L、2C、2Rに配列された図柄の図柄番号に対応する滑りコマ数のデータが、左中右のリール順および図柄番号0〜20の順に羅列されており、その一部がデータ圧縮されている。
そこで、S5では、選択された第一停止時テーブルに基づいて第一〜第三停止リール別に滑りコマ数テーブルを作成するための「第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理」が実行される。ここで、図7を参照して、「第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理」を説明する。
[第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理]
図7は、第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、図6のメインフローのS5で実行されるサブルーチンである。
第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、選択された第一停止時テーブルのデータの先頭から単位データ分のデータを順番に読み出し、読み出したデータを第一〜第三停止リールの各図柄の滑りコマ数として順番に設定する処理である。
設定順序は、仮想的に設定された第一停止リール(リール2L)、第二停止リール(リール2C)、第三停止リール(リール2R)の順である。また、滑りコマ数を格納する領域としては、第一〜第三停止リール用に第一〜第三停止用領域が用意されている。第一〜第三停止用領域の各々には、リールの図柄番号0〜20に対応する21の格納領域が設けられており、各格納領域の先頭から順に第一停止時テーブルの単位データ分のデータが格納されていくことによって、第一〜第三停止用領域に滑りコマ数テーブルが作成される。
以下、フローチャートに基づいて、第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明する。最初に、読出す単位データの番号が0に初期化される(S21)。次に、単位データnのデータが第一停止時テーブルから読出される(S22)。たとえば、図13に示される第一停止時テーブル0の場合の単位データ0のデータは先頭の「2」であり、単位データ1のデータは後続の「A」であり、単位データ2のデータはさらに後続の「C」である。
次に、読出されたデータが「5」以下であるか否かが判断され(S23)、YESの場合には、その読出されたデータがそのまま滑りコマ数データとして格納される。この場合、このデータを格納する領域を検索するために、最初に第一停止用領域へは格納済みであるか否かが判断される(S24)。
第一停止用領域の格納領域0〜21のすべてにデータを格納済みの場合にはS28に進み、同様に、第二停止用領域へは格納済みであるか否かが判断され、第二停止用領域の格納領域0〜21のすべてにデータを格納済みの場合にはS30に進み、同様に、第三停止用領域へは格納済みであるか否かが判断される。そして、第三停止用領域の格納領域0〜21のすべてにデータを格納済みの場合には、第一〜第三停止リール用の滑りコマ数テーブルが完成しているため、データを格納することなく処理を終える。
たとえば、S24で第一停止用領域へ格納済みでないと判断されると、第一停止用領域のデータを格納していない格納領域のうち、最も若い番号の格納領域へデータが格納される。S24で第一停止用領域へ格納済みと判断されてS28で第二停止用領域へ格納済みでないと判断されたとき、あるいはS28で第二停止用領域へ格納済みと判断されてS30で第三停止用領域へ格納済みでないと判断されたときも同様に、未格納の格納領域のうち最も若い番号の格納領域へデータが格納される。
S25、S29、S31のいずれかでデータが格納されたときには、nが+1されて(S26)、再びS22に戻り、第一停止時テーブルの次の単位データが読出される。もし、S22で読出されたデータが5以上のときには、すなわち、圧縮されたデータであるので、変換用テーブルを用いてデータ変換する処理が実行される(S27)。
図14に変換用テーブルの例を示す。図14において、「変換対象データ」は、第一停止用テーブルから読出されたデータである。また、「変換後データ」は、第一停止用テーブルから読出されたデータを変換したデータである。
たとえば、第一停止用テーブルから読出されたデータが「5」の場合には、S27によって、「3、2、1、0、3、2、1、0」の滑りコマ数データに変換される。たとえば、第一停止用領域のすべての格納領域にデータが格納されていない場合には、S24にてNOと判断されて、S25において、データを未格納の格納領域の先頭から順に、「4」、「2」、「1」…の滑りコマ数データが格納される。なお、仮に、変換後データの各々を格納領域へ格納していく途中で、最後の格納領域へのデータ格納を終えた場合には、その第一停止用領域へのデータ格納が終了したと判断されて、第二停止用領域へのデータ格納処理(S29)に移行し、変換後データの後半部分は、第二停止用領域へ順次格納される。
同様に、変換後データの各々を第二停止用領域へ格納していく途中で最後の格納領域へのデータ格納を終えた場合にも、第三停止用領域へのデータ格納処理(S30)に移行し、変換後データの後半部分は、第三停止用領域へ順次格納される。
また、変換後データの各々を第三停止用領域へ格納していく途中で最後の格納領域へのデータ格納を終えた場合には、その段階で、本処理が終了する。
以上の第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理が実行されることによって、第一停止時テーブルに格納された滑りコマ数データが第一〜第三停止用領域へ展開される。これにより、図15(A)、(B)に例示されるような、第一停止前に対応する滑りコマ数テーブルが各リール別に作成される。
このように、第一停止時テーブルの羅列データに基づいて、各リール別の滑りコマ数テーブルを作成できるため、第一停止用の滑りコマ数テーブルの生成処理を単純化することができる。
なお、第一停止前に対応する滑りコマ数テーブルは、第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理によって作成されるが、実質的には、第一停止時テーブル自体が第一停止前に対応する滑りコマ数テーブルである。第一停止時テーブルは、圧縮されたデータを含むものの、基本的には、予め定めた滑りコマ数が羅列されたデータであり、第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、第一停止時テーブルに圧縮データとともに含まれるリール別の滑りコマ数データを展開する処理に過ぎないからである。
それゆえ、第一停止時テーブルを記憶させる代わりに、第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理によって作成される滑りコマ数テーブル自体を記憶させるようにし、これを図6のS4で選択するようにしてもよい。ただし、本実施の形態のように第一停止時テーブルを記憶させる方がデータ圧縮の作用によって、必要とする記憶容量を削減できるという効果が奏される。
[メインフローのS6〜S8]
第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理が終了すると、図6のメインフローに戻る。S5において第一停止用滑りコマ数テーブルが作成された後、第一停止操作が検出されると(S6)、リール2L、2C、2Rのうち、実際に検出された第一停止操作に対応するリールを第一停止リールとして、S5で作成された滑りコマ数テーブルに基づいて停止させる処理が実行される(S7)。
たとえば、仮想的に設定された第一停止リールは左リールであるが、第一停止操作としてストップスイッチ8Rの操作が検出され、実際の第一停止リールが右リールであったときには、第三停止リール用として作成された右リールの滑りコマ数テーブルに基づいて右リールが停止制御される。
次に、第二停止操作に備えて、第二、第三停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するために、第二第三停止時テーブルを選択する処理(第二第三停止時テーブル選択処理)が実行される(S8)。
このとき、第一停止操作前に仮想的に設定した第一停止リール(左)と異なるリールが第一停止リールとして停止したとき、メイン制御部41は、図5を用いて説明したように、第二、第三停止リールの仮想的な設定を再度し直した上で、、第二第三停止時テーブルを選択し、さらには第二、第三停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成する。
第二第三停止時テーブルは、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、持越しフラグの有無、およびS2による当選状況に加えて、実際の第一停止リールの種類(左、中、右)、および第一停止リールの基準位置(可変表示装置の中段位置)に停止している図柄の図柄番号に基づいて選択される。
ここで、図8を参照して、「第二第三停止時テーブル選択処理」を説明する。
[第二第三停止時テーブル選択処理]
図8は、第二第三停止時テーブル選択処理を説明するためのフローチャートである。第二第三停止時テーブル選択処理は、図6のメインフローのS8で実行されるサブルーチンである。
第二第三停止時テーブル選択処理は、第一停止後に、仮想的に設定した第二停止リールおよび第三停止リールの夫々に対応する滑りコマ数テーブルを新たに作成するために用いる「第二第三停止時テーブル」を選択するための処理である。
第二第三停止時テーブルは、図17に例示されるように、第二停止リール用と第三停止リール用とに分類されて記憶されている。第二停止リール用のテーブルとしては、先頭桁を「1」とするテーブル番号[1X(X=01〜21)]により識別される22種類のテーブルが用意されている。これに対して、第三停止リール用のテーブルとしては、先頭桁を「2」とするテーブル番号[2X(X=01〜21)]により識別される22種類のテーブルが用意されている。
各第二第三停止時テーブルは、図柄番号0〜20の各々に対応する8ビット×21のデータから成る。換言すると、各第二第三停止時テーブルは、図17に示すように、図柄番号0〜20の各々に対応する21個のビットデータから成るデータ列Y(Y=0〜7)により構成される。
ここでは、説明のため、図17に示すように、8ビット×21のデータのうち、先頭ビット(0ビット目)に位置する21個のデータを0列目のデータ、1ビット目に位置する21個のデータを1列目のデータ、…最終ビットに位置する21個のデータを7列目のデータと称する。
第二第三停止時テーブルに含まれるビットデータは、各図柄番号に対応する図柄を基準位置で停止させることを許可するか禁止するかを示すデータであり、「1」は停止許可を、「0」は停止禁止をそれぞれ意味する。
図8に示される第二第三停止時テーブル選択処理では、最初に、第二第三停止時テーブルの選択に用いる検索用テーブルが検索され、続いて、検索用テーブルに基づいて第二第三停止時テーブルが選択される。
以下、図8のフローチャートに基づいて、第二第三停止時テーブル選択処理を説明する。最初に、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、持越しフラグの有無、および当選状況に基づいて、使用する検索用テーブルの番号が特定される(S41)。
図16に検索用テーブルの例を示す。検索用テーブルとしては、先に図12を用いて説明した第一停止時テーブルと同様に、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、持越しフラグの有無、および当選状況に応じたテーブル0〜50が用意されている。ゆえに、S41では、結果的に、先に選択した第一停止時テーブルのテーブル番号と同一の番号が検索用テーブルの番号として特定される。
検索用テーブルn(n=0〜50)は、夫々、検索用テーブルn_L、C、Rの3つのテーブルを含んでいる。検索用テーブルn_Lは、第一停止リールが左リールであったときに選択される。検索用テーブルn_Cは、第一停止リールが中リールであったときに選択される。検索用テーブルn_Rは、第一停止リールが右リールであったときに選択される。
図16に示すように、各検索用テーブルは、「[X*8+Y](X=01〜21、Y=0〜7)」のデータから成る。[X]は、検索対象となる第二第三停止時テーブルの3桁のテーブル番号のうち、下二桁を示すデータである(図17参照)。[Y]は、選択された第二第三停止時テーブルのデータのうち、滑りコマ数テーブルの作成に用いるデータ列の位置を示すデータである(図17参照)。
特に、検索用テーブルn_Lは、既に停止済みの第一停止リールの基準位置に停止している図柄の番号に応じた複数種類のデータを含んでいる。これら複数種類のデータのうちのいずれを使用するかは、既に停止している第一停止リールの基準位置の図柄の図柄番号に応じて決定される。
たとえば、検索用テーブル1_Lは、図16に示すように3種類のデータを含んでおり、第一停止リールの基準位置に停止している図柄の図柄番号が(19、12、5)のいずれかのときに[2*8+6]を使用することが決定され、同様に図柄番号が(11)のときに[2*8+2]を使用することが決定され、同様に図柄番号がそれら以外のときに[2*8+3]を使用することが決定される。
S41において、使用する検索用テーブルの番号が特定された後、停止済みの第一停止リールが左中右のいずれのリールであるかが判定され、その判定結果に基づいて、S41で特定された番号nに対応する検索用テーブルn_L、C、Rのうち、いずれを用いるかが選択される(S42)。なお、このときに、第一停止リールが左リールであると判断されたときには、上記のとおり、第一停止リールの基準位置に停止している図柄の図柄番号に基づいて、使用する検索用テーブルn_Lのデータを複数種類のうちのいずれにするかが決定される。
検索用テーブルが選択されると、第一停止リールの基準位置に停止している図柄の図柄番号に基づいて、使用する第二第三停止時テーブルの番号Xと、第二第三停止時テーブルXの複数のデータ列のうち滑りコマ数テーブルの作成に使用するデータ列Yとが特定される(S43)。
次に、S43で特定されたテーブル番号Xに基づいて、第二停止リール用の第二第三停止時テーブルとして第二第三停止時テーブル1Xが選択され(S44)、第三停止リール用の第二第三停止時テーブルとして第二第三停止時テーブル2Xが選択され(S45)、処理が終了する。
このように、第二第三停止時テーブルを複数種類の中から選択するときに、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、持越しフラグの有無、当選状況、さらには第一停止リールに応じた選択用テーブルが用いられるため、選択用テーブルを用いることなく適切な第二第三停止時テーブルを逐一検索する処理を行なう場合に比べて、第二第三停止時テーブルの選択処理を単純化することができる。
[メインフローのS9]
第二第三停止時テーブル選択処理が終了すると、図6のメインフローに戻る。S8で第二第三停止時テーブルが選択された後、第二第三停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成する前に、優先ポイント算出処理が実行される(S9)。
ここで、図9を参照して、「優先ポイント算出処理」を説明する。
[優先ポイント算出処理]
図9は、優先ポイント算出処理を説明するためのフローチャートである。優先ポイント算出処理は、図6のメインフローのS9で実行されるサブルーチンである。
優先ポイント算出処理は、停止済みの第一停止リールの表示結果を考慮して、第二、第三停止リールの表示結果として優先して停止すべき図柄を決定するための処理である。優先ポイント処理では、既に確定している第一停止リールの表示結果と当選状況とを考慮し、第二、第三停止リールの表示結果のすべてをシミュレーションした上で、第二、第三停止リールに配列された図柄を基準位置に停止させる優先度が第二、第三リール別、かつ、各図柄別に演算される。そして、その演算結果が第二第三停止リール用の滑るコマ数テーブルの作成処理に反映される。このため、望ましい表示結果を精度よく導出させることができる。
以下、図9のフローチャートに基づいて優先ポイント算出処理を説明する。最初に、シミュレーション対象とする図柄の図柄番号nを0に初期化する処理が実行される(S51)。
次に、仮想的に設定した第二停止リールの基準位置に、図柄番号nの図柄が仮想的に配置される(S52)。なお、図5を用いて説明したように、仮想的に設定される第二停止リールは、第一停止リールが左のときは中、中または右のときは左になる。
次に、第二停止リールの基準位置に仮想配置した図柄によって中段入賞ライン発生し得る入賞役A1がチェックされる(S53)。この段階では、第一停止リールの表示結果が既に確定しているが、ここでは、第一停止リールの表示結果を考慮せず、第二停止リールの基準位置に図柄を仮想配置した結果、上段、中段、下段に並ぶ図柄の組合せのみでチェックを行なう。なお、この点は、チェックする入賞ラインが異なるS54〜S57でも同様である。
たとえば、第二停止リールが中リール2Cのときに、図柄番号0の「ブドウ」を基準位置(可変表示装置の中段)に仮想配置すると、上段、中段、下段には、「リプレイ」、「ブドウ」、「ミカン」が並ぶことになる。この状態で中段の入賞ラインに注目すると、中段位置に「リプレイ」が仮想配置されているために、入賞役A1として「再遊技1」、「再遊技2」、および「イチゴ」が抽出される。
次に、第二停止リールの基準位置に仮想配置した図柄によって下段入賞ライン発生し得る入賞役A2がチェックされる(S53)。たとえば、第二停止リールを中リール2Cとした先の例では、下段位置に「ミカン」が仮想配置されているために、入賞役A2として「イチゴ」のみが抽出される(「イチゴ−ミカン−any」)。
以下、同様にして、チェックする入賞ラインを異ならせて入賞が発生し得る入賞役A3〜A5がチェックされる(S55〜S57)。全入賞ラインについてのチェックが終了すると、第一停止リールに停止済みの図柄(上段、中段、下段位置の3つの図柄)によって発生し得る入賞役B(B1〜B5)が、入賞ライン別にチェックされる(S58)。ここでは、他のリールの表示結果を考慮せず、既に停止済みの第一停止リールの上段、中段、下段に並ぶ図柄の組合せのみでチェックを行なう。
次に、チェックした入賞役A1〜A5と、入賞役B(B1〜B5)とで共通する入賞役Cが特定される(S59)。次に、入賞役Cに、当選フラグが設定されている入賞役と異なる入賞役があるか否か(当選状況と一致しない入賞役があるか否か)、すなわち、不正入賞となる役があるか否かが判断される(S60)。
たとえば、入賞役Cが「再遊技1,2」、「ブドウ」を含む一方、「ブドウ」の当選フラグが設定されていないときには、不正入賞有と判断される。
S60において、不正入賞となる入賞役は存在しないと判断されたときは、入賞役Cに再遊技1,2が含まれているか否かが判断される(S64)。
入賞役Cに再遊技1,2が含まれていない場合には、第二停止リールの今回のシミュレーション対象である図柄番号nに対応する優先ポイントとして、入賞役Cの種類に応じた優先ポイントが設定される(S67)。
なお、入賞役Cが複数の場合には、夫々の入賞役に応じた優先ポイントを累積加算した値が設定される。また、S67で入賞役Cが1つも存在しないと判断されたときには、ポイント値としては0が設定される。優先ポイントの設定の際には、入賞役の種類と優先ポイントとの関係を示す優先ポイントテーブルが参照される。優先ポイントテーブルは、メイン制御部41に記憶されている。
図20は、優先ポイントテーブルを払出し枚数との関係で説明するための図である。優先ポイントの大きさは、それに対応する図柄番号の図柄を最大滑りコマ数の範囲にある他の図柄に優先させて基準位置に停止させる優先度を表す。優先ポイントのデータは8ビットデータで構成されている。
図20に示されるように、優先ポイントについて、「BB1〜3」は64、「再遊技1,2」は254、「特殊1〜3」は15、「特殊4〜6」は1、「メロン」は5、「ブドウ」は2に設定されており、「イチゴ」は2つの入賞ラインに停止する場合には2、1つの入賞ラインに停止する場合は1に設定されている。
優先ポイントは、「再遊技1,2」が最も大きく、また、各小役よりも「BB1〜3」の方が大きい値に設定されている。その結果、入賞役の中でも「再遊技1,2」を最優先で揃える制御が実行され、次に「BB1〜3」を優先して揃える制御が実行される。
このように、本実施の形態では、再遊技役とビッグボーナスと小役との3種類の入賞役を比較したときの、図柄の引き込み優先順序が「再遊技役>ビッグボーナス>小役」の順となるように、滑りコマ数テーブルが作成される。
このため、ビッグボーナス当選フラグと再遊技当選フラグとの双方がセットされているときに、再遊技の方がビッグボーナスよりも優先されて発生することになり、セットされているビッグボーナス当選フラグによるビッグボーナスの発生は、次回のゲーム以降に持ち越される。
ビッグボーナスは、そもそも大きな利益を遊技者に付与するためのゲーム状態であるから、ビッグボーナスが一旦発生してしまえば大きな利益がまとめて遊技者に付与されて射倖性に一時的に影響を与えることは当然ではあるが、再遊技をビッグボーナスに優先させて発生させることにより、ビッグボーナスが発生するまでに消化されるゲーム数を多くすることができるため、単位時間あたりの遊技者の利益額を抑えることができる。
したがって、再遊技の発生を優先させることそれ自体により、賭数の観点から遊技者の単位時間当りの投資額(いわゆるIN)を抑えることができるのみならず、ビッグボーナス当選フラグと再遊技当選フラグとの双方セット状態において、再遊技の発生を優先させることで、ビッグボーナスの発生により遊技者に与えられる多額の利益(いわゆるOUT)の発生のタイミングを遅らせることができ、賭数の観点からの比較的小額のINのみならず、ビッグボーナス利益の観点からの比較的多額のOUTをも抑えることが可能になり、射倖性を適度に抑えることが、IN・OUTの双方から可能になる。
また、ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいてビッグボーナス当選フラグに加えて小役当選フラグがセットされたときには、ビッグボーナスの停止結果を表示させるための制御が小役の停止結果を表示させるための制御よりも優先的に行なわれるために、ビッグボーナスと小役とのうちでも価値が大きいビッグボーナスを優先させて発生させることができ、遊技者のビッグボーナスに対する期待に応えることができる。
なお、本実施の形態では、ビッグボーナスと小役とでの価値の大きさに着目して、図柄の引き込み優先順を上記のとおりにしたが、これに変えて、図柄の引き込み優先順序が「再遊技役>小役>ビッグボーナス」となるように、滑りコマ数テーブルを作成してもよい。
また、本実施の形態では、優先ポイントは、払出し枚数の多い小役ほど、大きな値が設定されている。これにより、小役の中でも払出しの多い入賞役を揃える制御が優先的に行なわれる。このため、当選フラグが設定されている小役が複数存在するときに、遊技者は、その中で最大の払出しのある入賞役を優先的に導出させることが可能になる。
なお、図20に示す優先ポイントは例示であって、各入賞役間での優先ポイントの大小関係が変化しない限り、各入賞役に対する優先ポイントをどのような値に設定してもよい。たとえば、図20に示す優先ポイントテーブルでは、払出枚数と優先ポイントとが同数になっているが、払出枚数と優先ポイントとを必ずしも同数にする必要はなく、「特殊1〜3」に対応して「10」、「メロン」に対応して6、「ブドウ」に対応して「4」、「特殊4〜6」に対応して「2」、「「イチゴ」に対応して「2」としてもよい。
ただし、先に説明したとおり、入賞役Cとして複数種類が存在する場合には各入賞役に対する優先ポイントの合計値が設定されるため、「再遊技1,2」を引き込み最優先の入賞役とするためには、入賞役Cとして複数種類が存在することに基づいて優先ポイントを合計したとしても、その値が「再遊技1,2」に対応する優先ポイントを超えないようにする必要がある。
なお、S67で設定されたポイント値は、優先ポイントを用いて滑りコマ数テーブルを補正する際に+1される。
再び、図9に戻り、優先ポイント算出処理を説明する。S64において、入賞役Cに再遊技1,2が含まれていると判断された場合、第二停止リールの今回のシミュレーション対象である図柄番号nに対応する優先ポイントとして、優先ポイントの最大値である254が設定される(S61)。なお、再遊技1,2に対応して設定されたポイント値(254)は、優先ポイントを用いて滑りコマ数テーブルを補正する際に+1されることにより、8ビットデータの最大値である255に更新される。
あるいは、S60において、入賞役Cのうちに不正入賞となる入賞役があると判断された場合には、第二停止リールの今回のシミュレーション対象である図柄番号nに対応する優先ポイントとして、停止禁止を示すポイント値(255)が設定される(S61)。これにより、不正入賞となる位置に図柄が停止しないように制御されるため、不正入賞が発生することを防止可能となる。なお、停止禁止を示すポイント値(255)は、優先ポイントを用いて滑りコマ数テーブルを補正する際に+1されることにより、0に更新される。その結果、停止禁止を示すポイント値は0になる。
S61、S65、またはS67でのポイント値の設定後、全図柄番号(0〜20)をチェック済みかが判断され(S62)、チェック済みでない場合には、図柄番号nが更新(+1)されて(S66)、再びS52以降の処理が繰り返される。
S62において、全図柄番号をチェック済みと判断された場合には、チェック対象のリールが第二停止リールから第三停止リールに変更された上で、S51〜S62、S64〜S66と同様の優先ポイント算出処理が実行される(S63)。これにより、第三停止リールの図柄番号0〜20の各々に対して、優先ポイントが設定され、その後、処理が終了する。
以上、説明した優先ポイント算出処理においては、S52〜S59に示されるように、第二停止リールの図柄の変動が停止したと仮定したときに第一停止リールの図柄の表示結果との関係において発生し得る入賞種別が第二停止リールに配列された図柄毎に逐一、検索されるため、導出される可能性のある入賞種別を漏れなく特定できる。
[メインフローのS10]
優先ポイント算出処理が終了すると、図6のメインフローに戻る。S9において第二停止リールおよび第三停止リールの各々の図柄番号に対応して優先ポイントが設定された後、第二第三停止用滑りコマ数テーブルを作成する処理が実行される(S10)。
ここで、図10を参照して、「第二第三停止用滑りコマ数テーブル作成処理」を説明する。
[第二第三停止用滑りコマ数テーブル作成処理]
図10は、第二第三停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。第二第三停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、図6のメインフローのS10で実行されるサブルーチンである。
第二第三停止用滑りコマ数テーブル作成処理においては、最初に第二停止リール用の滑りコマ数テーブルが作成され(S71)、次に、第三停止リール用の滑りコマ数テーブルが作成される(S72)。
具体的には、図8のS44で選択された第二停止リール用の第二第三停止時テーブル1Xと、図8のS45で選択された第二停止リール用の第二第三停止時テーブル2Xと、図8のS43で特定されたデータ列Yとが参照されて、滑りコマ数テーブルが作成される。
たとえば、第二停止リール用の第二第三停止時テーブル1Xとして、図17に示されるテーブル101が選択済みでかつデータ列Yとして0が特定されていたときには、図18(A−1)の太枠内に示すように、データ列0に対応する「01000…1000」のデータが用いられて、図18(A−2)の太枠内に示すような滑りコマ数データから成る滑りコマ数テーブルが作成される。なお、図18(A−1)のデータ列0以外のデータ、および図18(A−2)の右リールのデータは、記載を省略している。
滑りコマ数テーブルの作成手順は、こうである。図柄番号に対応するデータ列Yのビットデータは、「0」が停止禁止、「1」が停止許可を示すデータであるため、図18(A−1)の太枠内のデータのうち、「1」が格納された図柄番号1、5、8、13、17の図柄位置が、基準位置での停止を許可された停止許可位置である。
ゆえに、図柄番号0から順に検索し、最大滑りコマ数を考慮して4コマ先以内に停止許可位置が存在する図柄位置の各々には、停止許可位置を目標とした滑りコマ数が設定される。その結果、図18(A−1)および(A−2)に示されるように、図柄番号1に対する滑りコマ数は「0」が設定され、それより1コマ分だけ先に基準位置に到達する図柄番号0に対する滑りコマ数は「1」が設定される。これにより、停止操作が検出された時点で基準位置に図柄番号0の図柄が位置する場合には、1コマ滑って基準位置に停止が許可された図柄番号1の図柄が停止する。同様の手順で滑りコマ数のデータを算出することにより、図18(A−1)に対応して、図18(A−2)のような滑りコマ数テーブルが作成される。
以上、説明した滑りコマ数テーブルの作成において、滑りコマ数を設定するための滑りコマ数設定処理のフローチャートを図10(B)に示している。図10(B)を参照して、最初に、滑りコマ数データの作成対象とする図柄番号n、および滑りコマ数を指定するデータaを夫々初期化(0)する(S81)。
次に、対象の第二第三停止時テーブルの使用データ列Yのデータのうち、n番目のビットデータが停止許可データであるか否かが判断される(S82)。たとえば、図18(A−1)の例では、0番目のビットデータは0であるので、停止許可データでないと判断されることになる。
この場合には、nおよびaが更新(+1)され(S87)、図柄番号20まで滑りコマ数を設定したかが判断される(S88)。NOの場合には、再びS82に進んで、更新されたnでn番目のデータが停止許可データであるか否かが判断される。たとえば、図18(A−1)の例では、1番目のビットデータは1であるので、停止許可データと判断されることになる。
この場合には、図柄番号nの滑りコマ数が「0」に設定され(S83)、続いてaが0を超える値かが判断される(S84)。aが0を超える値でない場合にはS87に進むが、超える値の場合には、図柄番号[n−a]、[n−(a+1)]、…[n−1]に対応して、滑りコマ数として[a]、[a−1]、…[1]が設定される(S85)。これにより、たとえば、図18(A−1)の例では、図柄番号1の滑りコマ数が「1」に設定される。
その後、aが初期化され(S86)、S87に進む。このような処理が繰り返し実行されることにより、図18(A−1)に対応して、図18(A−2)のような滑りコマ数テーブルが作成される。そして、図柄番号20まで滑りコマ数が設定された段階で、処理が終了する。
以上説明した滑りコマ数設定処理は、図10(A)のS71およびS72で実行され、これにより、第二停止リール用および第三停止リール用の滑りコマ数テーブルが作成される。
以上、説明したように、第二第三停止時テーブルには、リールに配列された図柄別に、予め設定した基準位置に当該図柄が位置する状態でリールの変動を停止させることを許可するか否かを特定可能なビットデータが格納されているため、滑りコマ数テーブルの作成処理を単純化することができる。
また、スロットマシン1は、第二停止リール用あるいは第三停止リール用に予め作成された数多くの滑りコマ数テーブルを予め記憶しているのではなく、第一停止リールの図柄の表示結果を考慮してその都度第二、第三停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成しているため、リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減できる。
[メインフローのS11]
第二第三停止用滑りコマ数テーブル作成処理が終了すると、図6のメインフローに戻る。S10で第二第三停止用の滑りコマ数テーブルが作成された後、第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理が実行される(S11)。この補正処理は、第二第三停止用の滑りコマ数テーブルの滑りコマ数データを、S9で算出された優先ポイントに基づいて補正する処理である。
[第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理]
ここで、図11および図21を参照して、「第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理」を説明する。図11は、第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理を説明するためのフローチャートである。図21(A)は、滑りコマ数の補正に用いる仮想位置検索データテーブルの構成を示す図であり、図21(B)は、滑りコマ数の補正例を説明するための図である。
第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理は、図8のS10で作成された第二停止用滑りコマ数テーブルおよび第三停止用滑りコマ数テーブルについて、図柄番号順に5コマ分の図柄を補正対象として優先ポイントを参照し、補正対象のうちで最大の優先ポイントが設定されている図柄番号の位置を滑りコマ数0に補正するとともに、補正対象の残りの4コマのうち、滑りコマ数を0に補正した図柄番号よりも若い図柄番号の図柄について、滑りコマ数を0に補正した図柄位置に向けて滑るように滑りコマ数を補正する処理である。
図11を参照して、最初に補正対象の図柄番号を選択するためのnを初期化(=0)する処理が実行される(S90)。次に、図柄番号n〜n+4の4図柄分が補正対象として設定される。図21(B)の例では、最初に図柄番号0〜4が補正対象として設定される。
次に、補正対象の図柄番号の中で最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが検索される(S92)。次に、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが複数存在するか否かが判断され(S93)、存在しない場合には、図柄番号Mの滑りコマ数が0に補正される(S94)。次に、補正対象の図柄番号のうち、図柄番号Mへ向けて図柄を滑らせることが可能な図柄番号について、図柄番号Mを基準とした滑りコマ数に補正される(S95)。
たとえば、図21(B)の例では、最初に図柄番号0〜4を補正対象としたときに、最大の優先ポイントを持つ図柄番号が3であるため、図柄番号3の滑りコマ数が0に補正されている。また、この補正に伴い、図柄番号0〜2の滑りコマ数が、3、2、1に補正される。これにより、補正対象の図柄のいずれかが基準位置に達した段階で停止操作が検出された場合には、図柄番号3まで図柄が滑ってリールが停止する。
次に、図柄番号20までの滑りコマ数が補正されたか否かが判断され(S96)、NOの場合にはnがM+1に更新され(S100)、更新後のnが16に達していないことを条件(S101でNO)に再度、処理がS91に戻る。
たとえば、図21(B)を参照して、図柄番号0〜4を補正対象とした結果、図柄番号3(M=3)の滑りコマ数が0に補正された場合、次の補正対象は、太枠で囲んだ図柄番号4〜8(n〜n+4(n=4))に設定される。
もし、nが16に達しているとき(S101でYES)には、「n+4」が図柄番号の最大値である20を超えるため、補正対象としては、図柄番号n〜20およびそれで補正対象数5に満たない場合には、補正対象数が5になるまでさらに図柄番号0から順に補正対象が選択されることになる(S102)。その後、再度、S92に進む。
ところで、図21(B)の太枠内の補正対象の場合には、図柄番号4と図柄番号5との双方に最大の優先ポイント15が設定されている。このような場合にはS93で、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが複数存在すると判断される。
この場合、図21(A)に示す仮想位置検索データテーブルを用いて、以下の手順でいずれの図柄番号の滑りコマ数を0に補正するかが決定される。
まず、補正対象の図柄番号のうち、先頭の図柄番号に対して現在設定されている滑りコマ数が特定される(S97)。
図21(B)の太枠内の場合には、図柄番号4が先頭であるので、これの滑りコマ数「1」が参照される。
次に、仮想位置検索データテーブルのうち、参照した滑りコマ数に対応する優先順序データが読出される(S98)。図21(B)の太枠内の場合には、図柄番号4の滑りコマ数が「1」であるので、これに対応する優先順序データとして、「1、0、3、2、4」が読出される。
次に、読出された仮想位置検索データテーブルの優先順序データに基づいて、最優先とする図柄番号Mが決定される(S99)。具体的には、最初に、仮想位置検索データテーブルから読出された優先順序が補正対象の図柄番号の先頭から順に対応付けされる。その結果、図21(B)に示すように、太枠内の4〜8の図柄番号のデータをそれぞれ「0番目」、「1番目」、「2番目」、「3番目」、「4番目」のデータとすると、それぞれに優先順が「二位」、「一位」、「四位」、「三位」、「五位」と対応付けされる。
図21(B)の場合には、図柄番号4よりも図柄番号5の方が優先順が高いため、最優先の図柄番号Mが図柄番号5と決定される。この場合、図柄番号5を対象として滑りコマ数が0に補正され、図柄番号5の一つ手前の図柄番号4については、滑りコマ数が1に補正される(S95)。その後、次の補正対象として、図柄番号6、7、8、9、10の5つが選択される。
このように、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが複数存在する場合であっても、位置検索テーブルを用いることによって、いずれの図柄番号に対応する滑りコマ数を0とすべきかを決定可能となる。
以上のような処理が繰り返し実行されて図柄番号20までの滑りコマ数が補正された段階で処理が終了する。その結果、たとえば、図21(B)に示すように、先に作成された滑りコマ数テーブルが優先ポイントに基づいて補正される。
第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理が第二停止リール用の滑りコマ数テーブルと、第三停止リール用の滑りコマ数テーブルとの双方に対して実行されることによって、第二および第三停止リール用の2種類の滑りコマ数テーブルが補正される。
以上、説明した第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理によれば、優先ポイントの大小に応じて停止を優先すべき図柄が特定されて滑りコマ数データが補正されるため、特定の入賞種別について、意図的に優先して導出させることが可能となる。
また、図9のS67に示すように、優先ポイントは、複数の入賞役が揃う可能性のある図柄に対応して、夫々の入賞役に応じた値の合計値が設定されるため、複数種類の入賞種別による入賞の発生の可能性のある位置に図柄が停止する優先度が高くなる。その結果、複数種類の入賞種別のいずれかを導出させる機会が優先的に遊技者に与えられるようになり、その結果、遊技の面白味を向上できる。
なお、図21(B)は補正前後で滑りコマ数テーブルが変化する例を示しているが、結果的に補正前後で滑りコマ数テーブルが変化しない場合もある。
[メインフローのS12〜S18]
第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理が終了すると、図6のメインフローに戻る。S11において第二および第三停止リール用の滑りコマ数テーブルが補正された後、第二停止操作が検出されると(S12)、回転中の2つのリールのうち、実際に検出された第二停止操作に対応するリールを第二停止リールとして、S11で補正された滑りコマ数テーブルに基づいて停止させる処理が実行される(S13)。
たとえば、仮想的に設定された第二停止リールおよび第三停止リールが、夫々、中リールおよび右リールであるにも関わらず、実際の第二停止リールが、右リールであったときには、第三停止リール用として作成された右リールの滑りコマ数テーブルに基づいて右リールが停止制御される。
このように、スロットマシン1は、図6のS10で作成された滑りコマ数テーブルを直接、第二停止リールの停止制御に用いるのではなく、優先ポイントに基づいて補正された滑りコマ数テーブルを用いて第二停止リールの停止制御を行なう(後述する第三停止リールの停止制御時も同様)。このため、遊技者のリール停止操作のタイミングを考慮しながらも、優先ポイントに基づく補正によって目標の最終表示結果に近づくようにリールの出目を誘導することが可能になる。
次に、第三停止操作に備えて、第三停止リール用の優先ポイントを算出する処理が実行される(S14)。この処理は、図9を用いて説明した優先ポイント算出処理と一部のステップを除いて同じである。具体的には、図9を参照して、S52を破線で示したS52Aに置き換え、S58を破線で示したS58Aに置き換え、S63の処理を省いた優先ポイント算出処理が実行される。
すなわち、第三停止リール(この時点では左中右リールのいずれであるかが確定)の基準位置に図柄番号nの図柄を仮想的に配置した上で(S52A)、入賞が発生し得る入賞役Aを第三停止リールのみで全入賞ラインについてチェック(S53〜S57)し、続いて第一停止リールおよび第二停止リールに停止済みの図柄の組合せによって発生し得る入賞役Bを全入賞ラインについてチェックし(S58A)、入賞役Aと入賞役Bとで共通する入賞役Cを特定する(S59)。
その他の処理は、SB63を削除する以外、既に図9を用いて説明した手順と同じであるので、ここではこれ以上の説明を省略する。
これにより、第二停止後で第三停止前に、第三停止リールの図柄番号の各々に対して、優先ポイントが再設定される。
S14の処理の後、第三停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するための第三停止リール用滑りコマ数テーブル作成処理が実行される(S15)。この処理では、実質的には、S10の第二第三停止用滑りコマ数テーブル作成処理で作成された第二停止リール用滑りコマ数テーブルと第三停止リール用滑りコマ数テーブルとのうち、第二停止が検出されたときに用いられなかった方のテーブルが新たに第三停止リール用滑りコマ数テーブルとして置き換えられる。
それゆえ、たとえば、第二停止操作に対応するリールが、仮想的に設定した第二停止リールと一致していたときには、S10で作成された第三停止用の滑りコマ数テーブルがそのまま流用される。これに対して、第二停止操作前に仮想的に設定した第二停止リールと異なるリールが第二停止リールとして停止したとき、メイン制御部41は、図5を用いて説明したように、第三停止リールを再度設定し直した上で、第二停止が検出されたときに用いられなかった方のテーブルを新たに第三停止リール用滑りコマ数テーブルとする。
このように、仮想的に設定した第二停止リールと異なるリールが停止リールとして停止したときでも停止リールの設定を変更して滑りコマ数テーブルを作成するため、実際の停止操作に応じた柔軟な停止制御が可能となる。
次に、第三停止用の滑りコマ数テーブルが補正される(S16)。ここでの処理は、S15で作成された第三停止用の滑りコマ数テーブルの滑りコマ数データを、S14で算出された優先ポイントに基づいて補正する処理である。この処理は、図11を用いて説明した第二第三停止用滑りコマ数テーブル補正処理と同様であるので、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
次に、第三停止操作が検出されると(S17)、第三停止操作に対応する第三停止リールをS16で補正された滑りコマ数テーブルに基づいて停止させる処理が実行され(S18)、これによりリールの停止制御が終了する。その結果、可変表示装置は、滑りコマ数テーブルによって誘導された左、中、右リールの表示結果が導出された状態となる。
次に、リールの停止制御の具体例を2つ説明する。
[具体例1]
具体例1を図22に示す。具体例1では、遊技状態が一般遊技中で、今回のゲームでの当選状況が再遊技1,2のみ当選で、かつ持越し中の当選フラグがない状態を想定している。
また、実際の停止操作に基づいた第一〜第三停止リールが、仮想的に設定される第一〜第三停止リールと同じであり(第一が左、第二が中、第三が右)、かつ、第一〜第三停止操作検出時の基準位置の図柄がそれぞれ「リプレイ(図柄番号20)」「BAR(図柄番号10)」「メロン(図柄番号16)」であるものとする。
[第一停止時テーブル番号の選択(具体例1)]
図12を参照して、遊技状態と当選状況と持越し中の当選フラグの状態とから、第一停止時テーブル番号としては、「4」が選択される。
[第一停止時テーブルの参照(具体例1)]
第一停止時テーブル4として、図13に示される「21、DC、B2、A3…70」のデータが参照される。
[第一停止用滑りコマ数テーブルの作成(具体例1)]
第一停止時テーブル4のデータのうち、5を超えるデータは図14の変換用テーブルで変換される。その結果、その第一停止時テーブル4のデータは、「21、10(D)00(C)、432(B)2、210(A)3…43210(7)0」となる(括弧内は変換前の圧縮データ)。
これを、第一(左)、第二(中)、第三(右)停止リール順かつ図柄番号順に滑りコマ数データとして展開すると、図15(A)に示される滑りコマ数データとなる。
[第一停止(具体例1)]
基準位置に左リールのリプレイ(図柄番号20)が位置するタイミングで、左リールを対象とする第一停止操作が検出されると、図15(A)に示されるように、リプレイ(図柄番号20)に対する滑りコマ数が1に設定されているために、図柄が1コマ滑る。その結果、図柄番号0のブドウが基準位置に停止し、左リールの上段、中段、下段の順にミカン、ブドウ、リプレイが並ぶ。
[第二停止前の滑りコマ数テーブルの作成(具体例1)]
(1) 検索用テーブルの選択
遊技状態と当選状況と持越し中の当選フラグの状態とから、第二第三停止時テーブルを検索するための検索用テーブルの番号が選択される、検索用テーブルの番号は、第一停止時テーブル番号と対応しているため、具体例1では、「4」が選択される。検索用テーブル4は図16に示されている。
第一停止リールは、「左」であったので、検索用テーブル4_L,C,Rのうち、検索用テーブル4_Lが選択される。さらに、第一停止リールの基準位置に停止している図柄の番号は「0」であるため、検索用テーブル4_Lのデータとして4種類規定された中から「1*8+0」が選択される。
(2) 第二第三停止時テーブルの選択
検索用テーブルのデータが「X*8+Y」=「1*8+0」であるため、3桁のテーブル番号で識別される複数種類の第二第三停止時テーブルの中から、下2桁が「01(X)」のテーブル番号の第二第三停止時テーブルが選択される。また、テーブル番号の1桁目は、「1」が第二停止リール用、「2」が第三停止リール用とされている。その結果、ここでは、第二停止用、第三停止用の第二第三停止時テーブルとして、それぞれテーブル101、テーブル201が選択される(図17参照)。
(3) 優先ポイントの設定
第二停止リールおよび第三停止リール別に、図9を用いて説明した優先ポイント算出処理が実行されて、図柄番号別に優先ポイントが設定される。図23の「優先ポイント」欄には、図柄番号別の優先ポイントが示されている。
第二停止リールの各図柄について、優先ポイントを算出してポイント総数を算出すると、図23(A)のとおりとなる。また、第三停止リールの各図柄について、優先ポイントを算出してポイント総数を算出すると、図23(B)のとおりとなる。なお、図23(B)では、優先ポイント欄の記載内容を省略している。
たとえば、図23(A)に示されるように、ポイント総数に+1処理した後の値が補正処理の対象とするポイントとされる。その結果、たとえば、不正入賞の発生有とされてポイント数が255に設定された箇所は、+1処理によって最終的なポイントが0に更新されている(たとえば、図柄番号0)。また、入賞の可能性なしと判断されて優先ポイントが0に設定された箇所は、+1処理によって最終的なポイントが1に更新されている(たとえば、図柄番号3)。
(4) 第二第三停止時テーブルに基づく滑りコマデータの作成
検索用テーブルのデータが「X*8+Y」=「1*8+0」であるため、選択された第二停止用、第三停止用の第二第三停止時テーブルのうち、データ列0(Y)のビットデータが滑りコマ数データの作成に用いられる。
図18(A−1)の太枠内に、第二停止用滑りコマ数データの作成に用いられるテーブル101のビットデータを示している。また、図19(C−1)の太枠内に、第三停止用滑りコマ数データの作成に用いられるテーブル201のビットデータを示している。
第二停止リール用の滑りコマ数テーブルの作成について、図18(A−1)(A−2)を参照して説明する。第二第三停止時テーブル101のデータ列0のビットデータのうち、停止許可を示すビット位置は、図柄番号1、5、8、13、17であるので、これらに対応する第二停止リール(中)の滑りコマ数が0に設定される。また、滑りコマ数が0に設定された図柄位置を基準にして、図18(A−2)に示すように、各図柄番号の滑りコマ数が設定される。
第三停止リール用の滑りコマ数テーブルの作成について、図19(C−1)(C−2)を参照して説明する。第二第三停止時テーブル201のデータ列0のビットデータのうち、停止許可を示すビット位置は、図柄番号3、6、10、14、19であるので、これらに対応する第三停止リール(右)の滑りコマ数が0に設定される。また、滑りコマ数が0に設定された図柄位置を基準にして、図19(C−2)に示すように、各図柄番号の滑りコマ数が設定される。
[第二停止前の滑りコマ数テーブルの補正(具体例1)]
図23に示される+1処理後のポイント総数に基づいて滑りコマ数が補正されて、補正後の滑りコマ数が、図23(A)(B)のとおりに算出される。なお、図23(A)の図柄番号0〜図柄番号5の間では、図柄番号1、2で共に優先ポイントが最大値となっているが、このような場合には既に説明したように、仮想位置検索データテーブル(図21(A))が参照されて、いずれを最優先するかが決定される。なお、この具体例1は、補正前後で第二第三停止リール用の滑りコマ数が変化しない例である。
[第二停止(具体例1)]
基準位置に中リールのBAR(図柄番号10)が位置するタイミングで、中リールを対象とする第二停止操作が検出されると、図23(A)に示されるように、BAR(図柄番号10)に対する滑りコマ数が3に設定されているために、図柄が3コマ滑る。その結果、図柄番号13のリプレイが基準位置に停止し、中リールの上段、中段、下段の順にブドウ、リプレイ、BARが並ぶ。
[第三停止前の滑りコマ数テーブルの作成(具体例1)]
(1) 優先ポイントの設定
第三停止リールを対象として、図9を用いて説明した優先ポイント算出処理が実行されて、図柄番号別に優先ポイントが設定される。ここでは、これ以上の詳細な説明を省略する。
(2) 第二第三停止時テーブルに基づく滑りコマデータの作成
第二停止前に作成された第二停止リール用滑りコマ数テーブルと第三停止リール用滑りコマ数テーブルとのうち、第二停止が検出されたときに用いられなかった方のテーブルが新たに第三停止リール用滑りコマ数テーブルとして置き換えられる。具体例1の場合には、図19(C−2)に示されるテーブルが、第三停止前の第三停止リール用滑りコマ数テーブルとされる。
[第三停止前の滑りコマ数テーブルの補正(具体例1)]
先に算出された優先ポイントのポイント総数に基づいて第三停止リール用の滑りコマ数が補正されて、補正後の滑りコマ数が、図24のとおりに算出される。
[第三停止(具体例1)]
基準位置に右リールのメロン(図柄番号16)が位置するタイミングで、右リールを対象とする第三停止操作が検出されると、図24に示されるように、メロン(図柄番号16)に対する滑りコマ数が3に設定されているために、図柄が3コマ滑る。その結果、図柄番号13のリプレイが基準位置に停止し、右リールの上段、中段、下段の順にリプレイ、ミカン、赤7が並ぶ。
これにより、図24に示されるとおり、右上がりの入賞ラインに、リプレイ−リプレイ−リプレイの組合せが導出され、当選状況の「再遊技1」に応じた入賞結果が得られる。[具体例2]
具体例2を図25に示す。具体例2では、遊技状態が特別遊技中(RB)で、今回のゲームでの当選状況が特殊1〜6、ブドウ、およびイチゴ当選で、かつ持越し中の当選フラグがない状態を想定している。
また、実際の停止操作に基づいた第一〜第三停止リールが、仮想的に設定される第一〜第三停止リールと異なり(第一が中、第二が右、第三が左)、かつ、第一〜第三停止操作検出時の基準位置の図柄がそれぞれ「ブドウ(図柄番号14)」「ブドウ(図柄番号5)」「イチゴ(図柄番号7)」であるものとする。
[第一停止時テーブル番号の選択(具体例2)]
図12を参照して、遊技状態と当選状況と持越し中の当選フラグの状態とから、第一停止時テーブル番号としては、「1」が選択される。
[第一停止時テーブルの参照(具体例2)]
第一停止時テーブル1として、図13に示される「8C、B2、A6…5F」のデータが参照される。
[第一停止用滑りコマ数テーブルの作成(具体例2)]
第一停止時テーブル1のデータのうち、5を超えるデータは図14の変換用テーブルで変換される。その結果、その第一停止時テーブル1のデータは、「3210(8)00(C)、432(B)2、210(A)4321010(6)…42103210(5)43(F)」となる(括弧内は変換前の圧縮データ)。
これを、仮想的に設定した第一(左)、第二(中)、第三(右)停止リール順かつ図柄番号順に滑りコマ数データとして展開すると、図15(B)に示される滑りコマ数データが作成される。なお、実際の停止操作に基づいた第一〜第三停止リールは、この段階で仮想的に設定したものと異なるが、この段階では、仮想的に設定した第一〜第三停止リールに基づいて滑りコマ数データが作成される。
[第一停止(具体例2)]
基準位置に中リールのブドウ(図柄番号14)が位置するタイミングで、中リールを対象とする第一停止操作が検出されると、図15(B)に示されるように、ブドウ(図柄番号14)に対する滑りコマ数が0に設定されているために、図柄が滑ることなく、図柄番号14のブドウが基準位置に停止し、中リールの上段、中段、下段の順にイチゴ、ブドウ、リプレイが並ぶ。
[第二停止前の滑りコマ数テーブルの作成(具体例2)]
(1) 検索用テーブルの選択
遊技状態と当選状況と持越し中の当選フラグの状態とから、第二第三停止時テーブルを検索するための検索用テーブルの番号が選択される、検索用テーブルの番号は、第一停止時テーブル番号と対応しているため、具体例2では、「1」が選択される。検索用テーブル1は図16に示されている。
第一停止リールは、「中」であったので、検索用テーブル1_L,C,Rのうち、検索用テーブル1_Cが選択され、「18*8+5」が抽出される。
(2) 第二第三停止時テーブルの選択
検索用テーブルのデータが「X*8+Y」=「18*8+5」であるため、3桁のテーブル番号で識別される複数種類の第二第三停止時テーブルの中から、下2桁が「18(X)」のテーブル番号の第二第三停止時テーブルが選択される。また、テーブル番号の1桁目は、「1」が第二停止リール用、「2」が第三停止リール用とされている。その結果、ここでは、第二停止用、第三停止用の第二第三停止時テーブルとして、テーブル118、テーブル218が選択される(図18、図19参照)。
(3) 優先ポイントの設定
第二停止リールと第三停止リール別に、図9を用いて説明した優先ポイント算出処理が実行されて、図柄番号別に優先ポイントが設定される。図26の「優先ポイント」欄には、図柄番号別の優先ポイントが示されている。
第二停止リールの各図柄について、優先ポイントを算出してポイント総数を算出の上で+1する処理を行なうと、図26(A)のとおりとなる。また、第三停止リールの各図柄について、優先ポイントを算出してポイント総数を算出の上で+1する処理を行なうと、図26(B)のとおりとなる。
(4) 第二第三停止時テーブルに基づく滑りコマデータの作成
検索用テーブルのデータが「X*8+Y」=「18*8+5」であるため、選択された第二停止用、第三停止用の第二第三停止時テーブルのうち、データ列5(Y)のビットデータが滑りコマ数データの作成に用いられる。
図18(B−1)の太枠内に、第二停止用滑りコマ数データの作成に用いられるテーブル118のビットデータを示している。また、図19(D−1)の太枠内に、第三停止用滑りコマ数データの作成に用いられるテーブル218のビットデータを示している。
第二停止リール用の滑りコマ数テーブルの作成について、図18(B−1)(B−2)を参照して説明する。第二第三停止時テーブル118のデータ列5のビットデータのうち、停止許可を示すビット位置は、図柄番号2、5、9、12、16、19であるので、これらに対応する第二停止リール(左)の滑りコマ数が0に設定される。また、滑りコマ数が0に設定された図柄位置を基準にして、図18(B−2)に示すように、各図柄番号の滑りコマ数が設定される。
第三停止リール用の滑りコマ数テーブルの作成について、図19(D−1)(D−2)を参照して説明する。第二第三停止時テーブル218のデータ列5のビットデータのうち、停止許可を示すビット位置は、図柄番号1、5、9、13、17であるので、これらに対応する第三停止リール(右)の滑りコマ数が0に設定される。また、滑りコマ数が0に設定された図柄位置を基準にして、図19(D−2)に示すように、各図柄番号の滑りコマ数が設定される。
[第二停止前の滑りコマ数テーブルの補正(具体例2)]
図26に示される+1処理後のポイント総数に基づいて滑りコマ数が補正されて、補正後の滑りコマ数が、図26(A)(B)のとおりに算出される。この具体例2では、補正前後で第二第三停止リール用の滑りコマ数が変化している。たとえば、図26(A)の図柄番号0〜4の滑りコマ数は、2、1、0、2、1であるのに対して、補正後は、これが3、2、1、0、1に変化している。
[第二停止(具体例2)]
基準位置に右リールのブドウ(図柄番号5)が位置するタイミングで、右リールを対象とする第二停止操作が検出されると、図26(B)に示されるように、ブドウ(図柄番号5)に対する滑りコマ数が4に設定されているために、図柄が4コマ滑る。その結果、図柄番号9のブドウが基準位置に停止し、右リールの上段、中段、下段の順に、イチゴ、ブドウ、BARが並ぶ。
この例のように、基準位置に停止する図柄の種類と、停止操作が検出された時点で基準位置に位置する図柄の種類とが同一であっても、図柄を滑らせて停止操作が検出された時点の図柄位置とは異なる図柄位置で停止制御する場合がある。これは、当選している複数種類の入賞役をリーチ状態(テンパイ状態)にするためである。
この点について、図28を用いて説明する。図28は、具体例2に関して、補正前の第二停止用滑りコマ数テーブルで右リールを停止制御する場合と補正後の第二停止用滑りコマ数テーブルで右リールを停止制御する場合とでの、両者の表示結果の違いを説明するための図である。
具体例2では、図28(6)に示されるように、特殊1〜6、イチゴ、ブドウの入賞役について当選していることが想定されている。このため、ゲームの面白さを向上するためには、既に停止済みの左リールの表示結果との関係において可能である限り、極力多くの当選入賞役をテンパイさせることが望ましいといえる。
補正前の第二停止用滑りコマ数テーブルでは、図柄番号5に対応する滑りコマ数が「0」である(図26(B)の「滑りコマ数」参照)。このため、具体例2として想定されているとおり、基準位置に右リールのブドウ(図柄番号5)が位置するタイミングで右リールを対象とする第二停止操作が検出されたとき、補正前の第二停止用滑りコマ数テーブルを用いると、図柄が滑ることなく基準位置にブドウ(図柄番号5)が停止する。その結果、図28(1)に示されるように、右リールの上段、中段、下段には、白7、ブドウ、メロンが並ぶ。
このとき、図28(3)に示されるように、既に停止済みの中リールとの関係においてテンパイしている入賞役は、特殊1〜3(中段ライン)、ブドウ(中段ライン、右下がりライン、右上がりライン)、イチゴ(全ライン)である。このため、特殊4〜6については、当選しているにも関わらず、テンパイしない。
この点、補正前の第二停止用滑りコマ数テーブルでは、図柄番号5に対応する滑りコマ数が「4」である(図26(B)の「補正後の滑りコマ数」参照)。このため、既に説明したとおり、補正後の第二停止用滑りコマ数テーブルを用いると、基準位置にブドウ(図柄番号9)が停止する。その結果、図28(2)に示されるように、右リールの上段、中段、下段には、イチゴ、ブドウ、BARが並ぶ。
図28(5)には、滑りコマ数テーブルの補正前後で、図柄の停止位置がどのように変化するかが示されている。図28(4)に示されるように、補正後の滑りコマ数テーブルを用いて停止制御した場合には、補正前の滑りコマ数テーブルを用いて停止制御する場合と比較して、特殊4〜6(上段ライン)がさらにテンパイする。その結果、当選しているすべての入賞役について、テンパイした状態となる。
このように、複数種類の入賞役が当選しているときには、極力多くの当選入賞役をテンパイさせる制御が行なわれる。このため、遊技者には、最後までいずれかの当選入賞役を引き込む機会が与えられる。その結果、複数種類の入賞役の当選フラグが設定されているゲームであるにも関わらず入賞のチャンスが得られる入賞種別が僅かな数に限定されてしまうようなことがなく、遊技者の不利益を防止可能となる。
特に、入賞役の種類によって遊技者に与えられる価値の大きさ(払出し数の大小、ビッグボーナス移行の有無)が異なるため、極力多くの入賞役について、テンパイさせることにより、価値の異なるバラエティに富んだ表示結果を導出できる機会を遊技者に与えて興趣を向上させることが可能になる。
なお、図28の例では当選した複数種類の入賞役のすべてについてテンパイする例を示した。しかしながら、当選した複数種類の入賞役のすべてについて、常にテンパイさせる必要はなく、当選した複数種類の入賞役のうち、極力多くの入賞役について、テンパイできるような滑りコマ数テーブルを作成すればよい。
[第三停止前の滑りコマ数テーブルの作成(具体例2)]
(1) 優先ポイントの設定
第三停止リールを対象として、図9を用いて説明した優先ポイント算出処理が実行されて、図柄番号別に優先ポイントが設定される。ここでは、これ以上の詳細な説明を省略する。
(2) 第二第三停止時テーブルに基づく滑りコマデータの作成
第二停止前に作成された第二停止リール用滑りコマ数テーブルと第三停止リール用滑りコマ数テーブルとのうち、第二停止が検出されたときに用いられなかった方のテーブルが新たに第三停止リール用滑りコマ数テーブルとして置き換えられる。具体例2の場合には、図18(B−2)に示される左リール用のテーブルが、第三停止前の第三停止リール用滑りコマ数テーブルに置き換えられる。
[第三停止前の滑りコマ数テーブルの補正(具体例2)]
先に算出された優先ポイントのポイント総数に基づいて第三停止リール用の滑りコマ数が補正されて、補正後の滑りコマ数が、図27のとおりに算出される。なお、図27では、各入賞役別の優先ポイントおよび+1処理前の優先ポイント総数の記載を省略している。
[第三停止(具体例2)]
基準位置に左リールのイチゴ(図柄番号7)が位置するタイミングで、左リールを対象とする第三停止操作が検出されると、図27に示されるように、イチゴ(図柄番号7)に対する滑りコマ数が4に設定されているために、図柄が4コマ滑る。その結果、図柄番号11のBARが基準位置に停止し、左リールの上段、中段、下段の順にリプレイ、BAR、メロンが並ぶ。
これにより、図27に示されるとおり、中段の入賞ラインに、BAR−ブドウ−ブドウの組合せが導出され、当選状況の「特殊3」に応じた入賞結果が得られる。
次に、以上説明した本実施の形態の変形例や特徴点を列挙する。
(1) 滑りコマ数テーブルの作成に用いられる各種データは、たとえば、メイン制御部41のROM41bに格納されている。なお、図面に示した各種テーブルは概念図であって、図面に示したようなテーブル形式でROM41bに格納する必要はない。たとえば、各テーブルに含まれるデータが制御プログラム内のアドレスによって指定される領域に離散的に配置されていてもよい。すなわち、本実施の形態のテーブルの概念は、このようにテーブルデータが制御プログラム内に離散配置されるようなケースをも包含している。
(2) 本実施の形態に係るスロットマシンでは、各リール2L、2C、2Rの手前側の位置に液晶表示器51の表示領域51aが配置されている。しかしながら、このような表示領域51aは、必須の構成ではない。
(3) リールの停止制御に必要となる、遊技状態情報(一般遊技、特別遊技)、および当選フラグの設定状況を示す情報等をメイン制御部41からサブ制御部91へコマンド送信してもよい。この場合、リールの停止制御をサブ制御部91が実行するように構成することも可能である。
(4) 第一〜第三停止リールを設定するタイミングは、たとえば、スタート操作検出時(第一〜第三停止リールを設定)、第一停止操作検出時(第二〜第三停止リールを設定)、第二停止操作検出時(第三停止リールを設定)とすることが考えられる。あるいは、スタート操作検出時(第一〜第三停止リールを設定)、第一停止操作に基づくリール停止時(第二〜第三停止リールを設定)、第二停止操作に基づくリール停止時(第三停止リールを設定)としてもよい。
(5) リール2L、2C、2Rを含む可変表示装置を画像表示装置によって構成することにより、図柄を仮想的な画像リール2L、2C、2Rによって変動表示させてもよい。
(6) 本実施の形態では、図22のS98に示されるように、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号が複数存在するときには、図21(A)に示した仮想位置検索データテーブルを用いて、いずれの図柄番号の滑りコマ数を0に補正するかが決定される。これにより、滑りコマ数を0に補正する図柄位置にバラツキをもたせ、表示結果をバラエティに富んだものとすることができる。
ここで、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号が複数存在するときに、仮想位置検索データテーブルを用いる代わりに、所定の乱数を抽出して、滑りコマ数を0に補正する図柄番号を複数のうちのいずれにするかをランダムに決定してもよい。
あるいは、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号が複数存在するときに、仮想位置検索データテーブルを用いる代わりに、予め定めた選択基準に基づいて、滑りコマ数を0に補正する図柄番号を複数のうちのいずれにするかを決定してもよい。選択基準として、たとえば、最も若い図柄番号とすることなどが考えられる。
(7) 本実施の形態で説明したリールの停止制御では、当選結果に応じた入賞役の出目を単に引込むためのみならず、“リーチ目”と称される特有の出目を表示できるように、リールの滑りコマ数テーブルが作成される。“リーチ目”とは、ビッグボーナス等の特別役が当選しているときに導出され得る表示態様をいう。
たとえば、ビッグボーナス当選フラグと任意の小役当選フラグとが共に設定されているゲームにおいて、当選しているビッグボーナスと小役のいずれも揃わないようなゲーム結果として、ビッグボーナス当選しているときに特有の出目を形成することで、遊技者にビッグボーナス当選を告知する。
第一〜第三停止に応じて滑りコマ数テーブルを作成する処理では、ビッグボーナスが当選しているか否かに応じて、リーチ目を考慮した滑りコマ数テーブルの作成が行なわれる。これにより、ビッグボーナス当選時にビッグボーナスを揃えることができず表示結果が外れとなるタイミングで停止操作が検出されたときには、リーチ目が導出される。
いずれのボーナス(BB1〜BB3)にも当選していないときに外れの表示結果を導出する場合には、リーチ目以外のはずれとなる図柄の組合せが導出される。
(8) 本実施の形態では、第一停止リールが第一停止操作検出前に仮想的に左リールに定められており、この停止操作順を原則として、リールの停止制御が実行される。また、この原則と異なる停止操作の順序があった場合には、不正入賞等が発生しないように、入賞が発生する入賞ラインを制限してリールの停止制御が行なわれる。なお、原則とする第一停止リールは“左”に限定されるものではなく、特定のリールとすればよい。本実施の形態では、原則の停止順と異なる変則的な停止順(中を第一停止、または右を第一停止とする)でリールの停止操作が行なわれたとき、当選役に応じた入賞ラインが制限される。
たとえば、再遊技役が当選しているときに原則の停止順と異なる変則的な停止順でリールの停止操作が行なわれたときには、以下のとおり、中段ラインでのみ入賞が発生する。
上記した具体例1(再遊技1,2当選)において、第一停止操作が左リールでなく中リールに対して行なわれた場合、図柄番号20の図柄が基準位置に存在するときに停止操作があれば、図柄が2コマ滑って中段ラインに図柄番号1の「リプレイ」が停止する。あるいは、第一停止操作が右リールに対して行なわれた場合、図柄番号0の図柄が基準位置に存在するときに停止操作があれば、図柄が3コマ滑って中段ラインに図柄番号3の「リプレイ」が停止する。このように、再遊技役が当選しているときに変則的な停止順でリールの停止操作が行なわれたときには、再遊技役の場合には、中段ラインのみに入賞図柄が揃うように制御される。
(9) 図28の例では、当選している複数種類の入賞役のすべてについて、テンパイする例を挙げたが、次のように制御してもよい。たとえば、当選している複数種類の入賞役のうち、最も引き込み優先順位が高い(優先ポイントが大きい)入賞役を優先的にテンパイさせ、さらにテンパイさせることが可能な複数種類の入賞役が存在する場合には、引き込み優先順位が高いものからテンパイさせる役として選択する。このような制御が行なわれるように、リールの滑りコマ数テーブルを作成する。
また、当選している複数種類の入賞役のうち、最も引き込み優先順位が高い(優先ポイントが大きい)入賞役をテンパイさせることが無理な場合(第一停止リールに入賞図柄が停止していない場合、あるいは第一停止リールに入賞図柄が停止しているが、第二停止操作時にその入賞図柄を入賞ラインに引き込めない場合)には、テンパイさせることが可能な他の当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高いものからテンパイさせる役として選択する。このような制御が行なわれるように、リールの滑りコマ数テーブルを作成する。
なお、複数のリールを備えたスロットマシンの一例として、リール2L、2C、2Rの3つのリール2L、2C、2Rを備えるスロットマシンを例示したが、リールの数は3つに限定されるものではなく、4つあるいはそれ以上の数のリールにしてもよい。この場合にも、入賞を発生させることが可能な当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高いものから入賞図柄を揃える制御が行なわれる。
たとえば、「複数のリール」を「4リール」で構成した場合には、第一〜第四停止リールが停止することによって最終的な表示結果が導出されるが、複数種類の入賞役が当選している場合に第一停止リールが停止し、続いて第二停止リールが停止するときに、入賞図柄を揃えることが可能な当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高い入賞役の入賞図柄を優先的に揃える制御が行なわれる。さらに、第二停止リールが停止し、続いて第三停止リールが停止するときにも同様に、入賞図柄を揃えることが可能な当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高い入賞役の入賞図柄を優先的に揃える制御が行なわれる。4リール構成の場合には、この段階で、状況により当選入賞役がテンパイする。
リールを5リール以上で構成したときにも同様の制御を行なうことにより、複数種類の当選入賞役が存在するときに、最終停止操作以前の停止操作の検出に基づいて当該停止操作に対応するリールの変動を停止させたときに当該複数種類の当選入賞役のうちの多くの入賞役について入賞の可能性が残るようになる。
(10) 本実施の形態は、次の発明を含む。複数のリールの各々に配列された複数種類の図柄を変動させる可変表示装置を備え、1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、全リールで図柄の変動が停止して図柄の表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、導出された図柄の表示結果の組み合わせに応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(スロットマシン1)であって、
入賞の発生を許容するか否かを入賞種別毎に決定する事前決定手段(図6のS2)と、
前記複数のリールの各々に対応して設けられ、前記リールの図柄の変動を停止させる停止操作を行なうための停止操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記停止操作手段の停止操作を検出する停止操作検出手段(図6のS6、S12、S17)と、
全リールで図柄を変動開始させた後、前記停止操作手段の停止操作が検出されたときに、リールに配列された図柄を単位コマとする所定の最大滑りコマ数の範囲内(引き込み可能な最大コマ数(停止操作検出時に基準位置にある図柄を除くと4コマ、基準位置にある図柄を入れて5コマ)、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間(たとえば、190ミリ秒))で停止操作に対応するリールの図柄の変動を停止させることにより、当該リールの図柄の表示結果を導出させる制御を行なう導出制御手段(メイン制御部41)とを含み、
前記導出制御手段は、
1ゲーム開始後の第一停止操作に対応する第一停止リールの図柄の滑りコマ数を特定するための滑りコマ数テーブル(図13の第一停止時テーブル)を複数種類記憶する第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段(ROM41b)と、
前記第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段が記憶している複数種類の滑りコマ数テーブルのうちから前記事前決定手段が入賞の発生を許容した入賞種別に応じた滑りコマ数テーブルを選択する滑りコマ数テーブル選択手段(図6のS4、S5)と、
前記滑りコマ数テーブル選択手段が選択した滑りコマ数テーブルに基づいて、前記第一停止リールの図柄の変動を停止させる第一停止リール停止制御手段(図6のS7、図15)と、
前記第一停止リールの図柄の表示結果および所定の作成用データ(図16の検索用テーブル、図17の第二第三停止時テーブル、図20の優先ポイントテーブル)に基づいて、前記第一停止操作に続く第二停止操作に対応して停止させる第二停止リールのための滑りコマ数テーブル(図18(A−2)(B−2)、図19(C−2)(D−2)、図23、図26)を作成する停止リール用滑りコマ数テーブル作成手段(図6のS10、S11、図10、図11)と、
前記停止リール用滑りコマ数テーブル作成手段が作成した滑りコマ数テーブルに基づいて、前記第二停止リールの図柄の変動を停止させる第二停止リール停止制御手段(図6のS13、図23(A)、図26(B))とを含む、スロットマシン。
このような構成によれば、第二停止リール用の数多くの滑りコマ数テーブルを予め用意して記憶しておくのではなく、第一停止リールの図柄の表示結果と所定の作成用データとに基づいてその都度第二停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するため、リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減できる。
(11) 前記導出制御手段は、前記第一停止操作の検出前に、前記第一停止リールおよび前記第二停止リールを仮決めし、仮決めした前記第一停止リールと異なるリールが前記第一停止リールとして停止したとき、前記第二停止リールの仮決め結果を変更可能であり(図5)、
前記停止リール用滑りコマ数テーブル作成手段は、変更後の第二停止リールを対象として、前記滑りコマ数テーブルを作成する(図5、図8のS42(実際に停止済みの第一停止リールに基づいた処理))。
このような構成によれば、第一停止操作検出前に、第一停止リールおよび第二停止リールが仮決めされるため、第一停止操作に備えた停止制御を極力簡単にすることができる。さらに、仮決めした第一停止リールと異なるリールが第一停止リールとして停止したときでも第二停止リールの仮決め結果が変更されて滑りコマ数テーブルが作成されるため、実際の停止操作に応じた柔軟な停止制御が可能となる。
(12) 前記作成用データは、前記第二停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するための複数種類の第二停止時テーブル(図17の第二第三停止時テーブルのうち、第二停止用のテーブル1X)と、前記複数種類の第二停止時テーブルの中から使用する第二停止時テーブルを選択するための選択用テーブル(図16の検索用テーブル)とを含み、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段が入賞の発生を許容した入賞種別および前記第一停止リールに応じた選択用テーブルを選択し(図8のS41、S42)、選択した選択用テーブルと前記第一停止リールの表示結果とに基づいて使用する第二停止時テーブルを選択する(図8のS43)。
このような構成によれば、第二停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するための第二停止時テーブルを複数種類の中から選択するときに、入賞の発生が許容された入賞種別および既に停止済みの第一停止リールに応じた選択用テーブルが用いられるため、選択用テーブルを用いることなく適切な第二停止時テーブルを逐一検索する処理を行なう場合に比べて、第二停止時テーブルの選択処理を単純化することができる。
(13) 前記第二停止時テーブルには、前記リールに配列された図柄別に、予め設定した基準位置に当該図柄が位置する状態でリールの変動を停止させることを許可するか否かを特定可能なデータが格納されており(図17〜図19;データ「1」は停止許可位置、データ「0」は停止禁止位置)、
前記停止リール用滑りコマ数テーブル作成手段は、前記第二停止時テーブルの停止許可に対応する図柄を基準にして前記最大滑りコマ数の範囲にある各図柄に対応する滑りコマ数を設定する(図18、図19)。
このような構成によれば、第二停止時テーブルには、前記リールに配列された図柄別に、予め設定した基準位置に当該図柄が位置する状態でリールの変動を停止させることを許可するか否かを特定可能なデータが格納されているため、停止リール用滑りコマ数テーブル作成手段による滑りコマ数テーブルの作成処理を単純化することができる。
(14) 前記第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段が記憶する滑りコマ数テーブルには、各リールに配列された図柄に対応する滑りコマ数が予め定めたリール順および図柄配列順に羅列されており(図13)、
前記導出制御手段は、前記第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段が記憶する滑りコマ数テーブルの羅列データに基づいて、各リール別の滑りコマ数テーブルを生成する処理を実行する(図7の第一停止用滑りコマ数テーブル作成処理)。
このような構成によれば、第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段が記憶する滑りコマ数テーブルの羅列データに基づいて、各リール別の滑りコマ数テーブルを生成できるため、第一停止用の滑りコマ数テーブルの生成処理を単純化することができる。
(15) 前記第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段が記憶する滑りコマ数テーブルには滑りコマ数のデータを圧縮した圧縮データが含まれており(図13に示されるデータのうち、5以上のデータ)、
前記導出制御手段は、当該圧縮データを変換するための変換用データ(図14の変換用テーブル)を用いて当該圧縮データを滑りコマ数のデータに展開する(図7のS27)。
このような構成によれば、第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段が記憶する滑りコマ数テーブルには滑りコマ数のデータを圧縮した圧縮データが含まれているため、第一停止用滑りコマ数テーブル記憶手段に必要とされる記憶容量を低減できる。
(16) なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。