JP2013014822A - 冷延鋼板 - Google Patents

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【課題】延性、加工硬化性、伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の実現。
【解決手段】質量%で、C:0.020%超0.30%未満、Si:0.10%超3.00%以下、Mn:1.00%超3.50%以下、場合によりさらに適量のTi、Nb、V、Cr、Mo、B、Ca、Mg、REMおよびBiの1種又は2種以上を含有し、主相が低温変態生成相で第二相に残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを含む金属組織を備え、前記残留オーステナイトは体積率が4.0%超25.0%未満、平均粒径0.80μm未満であり、前記残留オーステナイトの内、粒径1.2μm以上の残留オーステナイト粒の数密度が3.0×10−2個/μm2以下、前記ポリゴナルフェライトは体積率が2.0%超27.0%未満、平均粒径5.0μm未満である。
【選択図】図3

Description

本発明は、冷延鋼板に関する。より詳しくは、延性、加工硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板に関する。
産業技術分野が高度に細分化した今日、各技術分野において用いられる材料には、特殊かつ高度な性能が要求されている。例えば、プレス成形して使用される冷延鋼板についても、プレス形状の多様化に伴い、より優れた成形性が必要とされている。また、高い強度が要求されるようになり、高張力冷延鋼板の適用が検討されている。特に、自動車用鋼板に関しては、地球環境への配慮から、車体を軽量化して燃費を向上させるために、薄肉高成形性高張力冷延鋼板の需要が著しく高まってきている。プレス成形においては、使用される鋼板の厚さが薄いほど、割れやしわが発生しやすくなるため、延性や伸びフランジ性により優れた鋼板が必要とされる。しかし、これらのプレス成形性と鋼板の高強度化とは、背反する特性であり、これらの特性を同時に満足させることは困難である。
これまでに、高張力冷延鋼板のプレス成形性を改善する方法として、ミクロ組織の微細粒化に関する技術が多く提案されている。例えば、特許文献1には、熱間圧延工程においてAr3点近傍の温度域で合計圧下率80%以上の圧延を行う、極微細粒高強度熱延鋼板の製造方法が開示されている。特許文献2には、熱間圧延工程において、圧下率40%以上の圧延を連続して行う、超細粒フェライト鋼の製造方法が開示されている。
これらの技術により、熱延鋼板において強度と延性のバランスが向上するが、冷延鋼板を微細粒化しプレス成形性を改善する方法については上記特許文献に何ら記載されていない。本発明者らの検討によると、大圧下圧延によって得られた細粒熱延鋼板を母材として冷間圧延および焼鈍を行うと、結晶粒が粗大化し易く、プレス成形性に優れた冷延鋼板を得ることは困難である。特に、Ac1点以上の高温域で焼鈍することが必要な、金属組織に低温変態生成相や残留オーステナイトを含む複合組織冷延鋼板の製造においては、焼鈍時の結晶粒の粗大化が顕著であり、延性に優れるという複合組織冷延鋼板の利点を享受することができない。
特許文献3には、熱間圧延工程において、動的再結晶域での圧下を5スタンド以上の圧下パスで行う、超微細粒を有する熱延鋼板の製造方法が開示されている。しかし、熱間圧延時の温度低下を極度に低減させる必要があり、通常の熱間圧延設備で実施することは困難である。また、熱間圧延後、冷間圧延および焼鈍を行った例が示されているが、引張強度と穴拡げ性(伸びフランジ性)のバランスが悪く、プレス成形性が不十分である。
微細組織を有する冷延鋼板に関しては、特許文献4に平均結晶粒径が10μm以下であるフェライト中に平均結晶粒径が5μm以下である残留オーステナイトを分散させた、耐衝突安全性および成形性に優れた自動車用高強度冷延鋼板が開示されている。金属組織に残留オーステナイトを含む鋼板では、加工中にオーステナイトがマルテンサイト化することで生ずる変態誘起塑性(TRIP)によって大きな伸びを示すが、硬質なマルテンサイトの生成により穴拡げ性が損なわれる。特許文献4に開示される冷延鋼板では、フェライトおよび残留オーステナイトを微細化することにより、延性および穴拡げ性が向上するとされているが、穴拡げ比は高々1.5であり、十分なプレス成形性を備えるとは言い難い。また、加工硬化指数を高めて耐衝突安全性を改善するために、主相を軟質なフェライト相とする必要があり、高い引張強度を得ることが困難である。
特許文献5には、結晶粒内に残留オーステナイトおよび/またはマルテンサイトからなる第二相を微細に分散させた、伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度鋼板が開示されている。しかし、第二相をナノサイズにまで微細化し結晶粒内に分散させるために、CuやNi等の高価な元素を多量に含有させ、高温で長時間の溶体化処理を行う必要があり、製造コストの上昇や生産性の低下が著しい。
特許文献6には、平均結晶粒径が10μm以下であるフェライトおよび焼戻マルテンサイト中に残留オーステナイトおよび低温変態生成相を分散させた、延性、伸びフランジ性および耐疲労特性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。焼戻マルテンサイトは伸びフランジ性および耐疲労特性の向上に有効な相であり、焼戻マルテンサイトを細粒化するとこれらの特性が一層向上するとされている。しかし、焼戻マルテンサイトと残留オーステナイト含む金属組織を得るためには、マルテンサイトを生成させるための一次焼鈍と、マルテンサイトを焼戻しさらに残留オーステナイトを得るための二次焼鈍が必要となり、生産性が大幅に損なわれる。
特許文献7には、熱間圧延直後に720℃以下まで急冷し、600〜720℃の温度域に2秒間以上保持し、得られた熱延鋼板に冷間圧延および焼鈍を施す、微細フェライト中に残留オーステナイトが分散した冷延鋼板の製造方法が開示されている。
特開昭58−123823号公報 特開昭59−229413号公報 特開平11−152544号公報 特開平11−61326号公報 特開2005−179703号公報 特開2001−192768号公報 国際公開第2007/15541号パンフレット
上述の特許文献7において開示される技術は、熱間圧延終了後、オーステナイトに蓄積された加工歪みを解放させず、加工歪みを駆動力としてフェライト変態させることにより微細粒組織が形成され、加工性および熱的安定性が向上した冷延鋼板が得られる点において優れている。
しかし、近年のさらなる高性能化のニーズにより、高い強度と良好な延性と良好な加工硬化性と良好な伸びフランジ性とを同時に具備する冷延鋼板が求められている。
本発明は、そのような要請に応えるためになされたものである。具体的には、本発明の課題は、優れた延性、加工硬化性および伸びフランジ性を有する、引張強度が780MPa以上の高張力冷延鋼板を提供することである。
本発明者らは、高張力冷延鋼板の機械特性に及ぼす化学組成および製造条件の影響について詳細な調査を行った。なお、本明細書において、化学組成における各元素の含有量を示す「%」とはすべて質量%を意味する。
一連の供試鋼は、質量%で、C:0.020%超0.30%未満、Si:0.10%超3.00%以下、Mn:1.00%超3.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:2.00%以下、N:0.010%以下を含有する化学組成を有するものであった。
このような化学組成を有するスラブを、1200℃に加熱した後、Ar3点以上の温度範囲で種々の圧下パターンで板厚2.0mmまで熱間圧延し、熱間圧延後、種々の冷却条件で720℃以下の温度域まで冷却し、5〜10秒間空冷した後、90℃/s以下の冷却速度で種々の温度まで冷却して、この冷却温度を巻取温度とし、同温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの冷却速度で炉冷却して、巻取後の徐冷をシミュレートした。得られた熱延鋼板を酸洗し、50%の圧延率で板厚1.0mmまで冷間圧延した。連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板を種々の温度に加熱し、95秒間保持した後、冷却し、焼鈍鋼板を得た。
熱延鋼板および焼鈍鋼板から組織観察用試験片を採取し、光学顕微鏡および電子線後方散乱パターン解析装置(EBSP)を備えた走査電子顕微鏡(SEM)用いて、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置において金属組織を観察すると共に、X線回折装置(XRD)を用いて、焼鈍鋼板の鋼板表面から1/4深さ位置において残留オーステナイトの体積率を測定した。また、焼鈍鋼板から圧延方向と直交する方向に沿って引張試験片を採取し、引張試験を行い、延性を全伸びにより評価し、加工硬化性を歪み範囲が5〜10%の加工硬化指数(n値)により評価した。さらに、焼鈍鋼板から100mm角の穴拡げ試験片を採取し、穴拡げ試験を行って、伸びフランジ性を評価した。穴拡げ試験では、クリアランス12.5%で直径10mmの打ち抜き穴を開け、先端角60°の円錐ポンチで打ち抜き穴を押し拡げ、板厚を貫通する割れが発生したときの穴の拡大率(穴拡げ率)を測定した。
これらの予備試験の結果、次の(A)ないし(G)に述べる知見を得た。
(A)熱間圧延直後に水冷により急冷するいわゆる直後急冷プロセスを経て製造された熱延鋼板、具体的には、熱間圧延完了から0.40秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷して製造された熱延鋼板を、冷間圧延し焼鈍すると、焼鈍温度の上昇に伴い、冷延鋼板の延性および伸びフランジ性が向上するが、焼鈍温度が高すぎると、オーステナイト粒が粗大化し、焼鈍鋼板の延性および伸びフランジ性が急激に劣化する場合がある。
(B)熱間圧延の最終圧下量を上昇させると、冷間圧延後の高温での焼鈍時に起こりうるオーステナイト粒の粗大化が抑制される。この理由は明らかではないが、(a)最終圧下量が多いほど、熱延鋼板の金属組織においてフェライト分率が増加するとともに、フェライトが細粒化すること、(b)最終圧下量が多いほど、熱延鋼板の金属組織において粗大な低温変態生成相が減少すること、(c)フェライト粒界は、焼鈍中、フェライトからオーステナイトへの変態における核生成サイトとして機能するため、微細なフェライトが多いほど、核生成頻度が上昇し、オーステナイトが細粒化すること、(d)粗大な低温変態生成相は、焼鈍中、粗大なオーステナイト粒となること、に起因すると推定される。
(C)直後急冷後の巻取工程において、巻取温度を上昇させると、冷間圧延後の高温での焼鈍中に起こりうるオーステナイト粒の粗大化が抑制される。この理由は明らかではないが、(a)直後急冷により熱延鋼板が細粒化するため、巻取温度の上昇に伴い、熱延鋼板中の鉄炭化物の析出量が顕著に増加すること、(b)鉄炭化物は、焼鈍中にフェライトからオーステナイトへの変態における核生成サイトとして機能するため、鉄炭化物の析出量が多いほど核生成頻度が増大し、オーステナイトが細粒化すること、(c)未固溶の鉄炭化物がオーステナイトの粒成長を抑制するため、オーステナイトが細粒化すること、に起因すると推定される。
(D)鋼中のSi含有量が多いほど、オーステナイト粒の粗大化防止効果が強くなる。この理由は明らかではないが、(a)Si含有量の増加に伴い、鉄炭化物が微細化し、その数密度が増加すること、(b)これにより、フェライトからオーステナイトへの変態における核生成頻度がさらに増大すること、(c)未固溶の鉄炭化物の増加により、オーステナイトの粒成長がさらに抑制され、オーステナイトがさらに細粒化すること、に起因すると推定される。
(E)オーステナイト粒の粗大化を抑制しながら高温で均熱して冷却すると、微細な低温変態生成相を主相とし、第二相が微細な残留オーステナイトおよび微細なポリゴナルフェライトを含む金属組織が得られる。
図1は、最終圧下量を板厚減少率で42%、圧延完了温度を900℃、急冷停止温度を660℃、圧延完了から急冷停止までの時間を0.16秒として熱間圧延し、巻取温度を520℃とし、熱延鋼板を冷間圧延し均熱温度850℃で焼鈍して得られた焼鈍鋼板において、残留オーステナイトの粒径分布を調査した結果を示すグラフである。図2は、同一の化学組成を有するスラブを、直後急冷を行わずに常法によって熱間圧延し、冷間圧延し焼鈍して得られた焼鈍鋼板において、残留オーステナイトの粒径分布を調査した結果を示すグラフである。図1、2の比較から、適切な直後急冷プロセスを経て製造された焼鈍鋼板(図1)では、粒径が1.2μm以上の粗大な残留オーステナイト粒の生成が抑制され、残留オーステナイトが微細に分散することが分かる。
(F)粒径が1.2μm以上の粗大な残留オーステナイト粒の生成を抑制することにより、低温変態生成相を主相とする鋼板の伸びフランジ性が向上する。
図3は、TS1.7×λと粒径1.2μm以上の粗大な残留オーステナイトの数密度(NR)との関係を示すグラフである。TSは引張強度、λは穴拡げ率であり、TS1.7×λは、強度と穴拡げ率のバランスから穴拡げ性を評価するための指標である。同図に示されているように、TS1.7×λはNと相関関係を有し、NRが低いほど穴拡げ性が向上することが分かる。この理由は明らかではないが、(a)残留オーステナイトは、加工により硬質なマルテンサイトに変化するが、残留オーステナイト粒が粗大であるとマルテンサイト粒も粗大となり、応力集中が高まり、母相との界面にボイドが容易に発生し割れの起点となること、(b)粗大な残留オーステナイト粒は加工の初期段階でマルテンサイト化するため、微細な残留オーステナイト粒よりも割れの起点となりやすいこと、に起因すると推定される。
(G)焼鈍温度の上昇に伴い、低温変態生成相の分率が増し、加工硬化性が劣化する傾向を示すが、粒径が1.2μm以上の粗大な残留オーステナイト粒の生成を抑制することにより、低温変態生成相を主相とする鋼板において、加工硬化性の劣化を防止することができる。
図4は、TS×n値とNRとの関係を示すグラフである。TS×n値は、強度と加工硬化指数のバランスから加工硬化性を評価するための指標である。同図に示されているように、TS×n値はNRと相関関係を有し、NRが低いほど加工硬化性が向上することが分かる。この理由は明らかではないが、(a)粗大な残留オーステナイト粒は、歪みが5%未満である加工初期段階でマルテンサイト化してしまうため、歪み範囲が5〜10%におけるn値の上昇にほとんど寄与しないこと、(b)粗大な残留オーステナイト粒の生成を抑制すると、5%以上の高歪み域でマルテンサイト化する微細な残留オーステナイト粒が増加すること、に起因すると推定される。
以上の結果から、Siを一定量以上含有させた鋼を、最終圧下量を高めて熱間圧延した後、直後急冷し、高温でコイル状に巻取り、冷間圧延し、高温で焼鈍した後冷却することにより、主相が低温変態生成相であって、第二相に残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを含み、粒径1.2μm以上の粗大なオーステナイト粒が少ない金属組織を有する、延性、加工硬化特性および伸びフランジ性に優れた冷延鋼板を製造することができることが判明した。
以上の知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.020%超0.30%未満、Si:0.10%超3.00%以下、Mn:1.00%超3.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:2.00%以下およびN:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する冷延鋼板であって、主相が低温変態生成相で第二相に残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを含む金属組織を備え、前記残留オーステナイトは、全組織に対する体積率が4.0%超25.0%未満、平均粒径が0.80μm未満であり、前記残留オーステナイトの内、粒径が1.2μm以上である残留オーステナイト粒の数密度が3.0×10−2個/μm2以下であり、前記ポリゴナルフェライトは、全組織に対する体積率が2.0%超27.0%未満、平均粒径が5.0μm未満である、ことを特徴とする冷延鋼板。
(2)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.050%未満、Nb:0.050%未満およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する上記(1)に記載の冷延鋼板。
(3)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.010%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する上記(1)または上記(2)に記載の冷延鋼板。
(4)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.050%以下およびBi:0.050%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する上記(1)から上記(3)のいずれかに記載の冷延鋼板。
本発明によれば、プレス成形などの加工に適用できる十分な延性、加工硬化性および伸びフランジ性を有する高張力冷延鋼板が得られる。本発明は自動車の車体軽量化を通じて地球環境問題の解決に寄与できるなど産業の発展に寄与するところ大である。
直後急冷プロセスを経て製造された焼鈍鋼板における残留オーステナイトの粒径分布を示すグラフである。 直後急冷プロセスを経ずに製造された焼鈍鋼板における残留オーステナイトの粒径分布を示すグラフである。 TS1.7×λと粒径1.2μm以上の残留オーステナイトの数密度(NR)との関係を示すグラフである。 TS×n値と粒径1.2μm以上の残留オーステナイトの数密度(NR)との関係を示すグラフである。
本発明に係る高張力冷延鋼板における金属組織、化学組成およびその鋼板を効率的、安定的かつ経済的に製造しうる製造方法における圧延、焼鈍条件等について、以下に詳述する。
1.金属組織
本発明の冷延鋼板は、主相が低温変態生成相であり、第二相に残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを含み、該残留オーステナイトは、全組織に対する体積率が4.0%超25.0%未満、平均粒径が0.80μm未満であり、該残留オーステナイトのうち、粒径が1.2μm以上である残留オーステナイト粒の数密度が3.0×10−2個/μm2以下であり、前記ポリゴナルフェライトは、全組織に対する体積率が2.0%超27.0%未満、平均粒径が5.0μm未満であるという金属組織を有する。
主相とは体積率が最大である相または組織を意味し、第二相とは主相以外の相および組織を意味する。低温変態生成相とは、マルテンサイトやベイナイトといった低温変態により生成される相および組織をいう。これら以外の低温変態生成相として、ベイニティックフェライトおよび焼戻しマルテンサイトが例示される。ベイニティックフェライトは、ラス状または板状の形態を呈する点および転位密度が高い点でポリゴナルフェライトから区別され、内部および界面に鉄炭化物が存在しない点でベイナイトから区別される。
低温変態生成相は、2種以上の相および組織、例えば、マルテンサイトとベイニティックフェライトを含んでいてもよい。低温変態生成相が2種以上の相および組織を含む場合は、これらの相および組織の体積率の合計を低温変態生成相の体積率とする。
主相が低温変態生成相であり、第二相に残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを含む組織とするのは、引張強度を保ちながら、延性、加工硬化性および伸びフランジ性を向上させるのに好適であるからである。主相が、低温変態生成相ではないポリゴナルフェライトであると、引張強度および伸びフランジ性の確保が困難となる。
残留オーステナイトの全組織に対する体積率は4.0%超25.0%未満とする。残留オーステナイトの全組織に対する体積率が4.0%以下であると延性が不十分となる。したがって、残留オーステナイトの全組織に対する体積率は4.0%超とする。好ましくは6.0%超、さらに好ましくは9.0%超、特に好ましくは12.0%超である。一方、残留オーステナイトの全組織に対する体積率が25.0%以上であると、伸びフランジ性の劣化が顕著となる。したがって、残留オーステナイトの全組織に対する体積率は25.0%未満とする。残留オーステナイトの全組織に対する体積率は18.0%未満であることが好ましく、さらに好ましくは16.0%未満、特に好ましくは14.0%未満である。
残留オーステナイトの平均粒径は0.80μm未満とする。低温変態生成相を主相とし、第二相に残留オーステナイトを含む金属組織をもつ冷延鋼板では、残留オーステナイトの平均粒径が0.80μm以上であると、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が著しく劣化する。残留オーステナイトの平均粒径は0.70μm未満であることが好ましく、0.60μm未満であるとさらに好ましい。残留オーステナイトの平均粒径の下限は特に限定しないが、0.15μm以下に微細化するためには、熱間圧延の最終圧下量を非常に高くする必要があり、製造負荷が著しく高まる。したがって、残留オーステナイトの平均粒径の下限は0.15μm超とすることが好ましい。
低温変態生成相を主相とし、第二相に残留オーステナイトを含む金属組織をもつ冷延鋼板では、残留オーステナイトの平均粒径が0.80μm未満であっても、粒径が1.2μm以上である粗大な残留オーステナイト粒が多く存在すると、加工硬化性および伸びフランジ性が損なわれる。したがって、粒径が1.2μm以上である残留オーステナイト粒の数密度は3.0×10−2個/μm2以下とする。粒径が1.2μm以上の残留オーステナイト粒の数密度は2.0×10−2個/μm2以下であることが好ましい。1.5×10−2個/μm2以下であればさらに好ましく、1.0×10−2個/μm2以下であれば特に好ましい。
延性および加工硬化性をさらに向上させるために、第二相に含まれるポリゴナルフェライトの全組織に対する体積率を2.0%超とする。好ましくは8.0%超、さらに好ましくは13.0%超である。一方、ポリゴナルフェライトの体積率が過剰になると、伸びフランジ性が劣化する。したがって、ポリゴナルフェライトの体積率は27.0%未満とする。好ましくは24.0%未満、さらに好ましくは18.0%未満である。
また、ポリゴナルフェライトは細粒であるほど、延性および加工硬化性を向上させる効果が増すので、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径は5.0μm未満とする。好ましくは4.0μm未満、さらに好ましくは3.0μm未満である。
伸びフランジ性をさらに向上させるために、低温変態生成相に含まれる焼戻しマルテンサイトの体積率は、全組織に対し50.0%未満とすることが好ましい。さらに好ましくは35.0%未満、特に好ましくは10.0%未満である。
引張強度を高めるために、低温変態生成相はマルテンサイトを含むことが好ましい。この場合、マルテンサイトの全組織に対する体積率は4.0%超とすることが好ましい。さらに好ましくは6.0%超、特に好ましくは10.0%超である。一方、マルテンサイトの体積率が過剰になると伸びフランジ性が劣化する。このため、金属組織全体に占めるマルテンサイトの体積率は15.0%未満とすることが好ましい。
本発明に係る冷延鋼板の金属組織は、次のようにして測定する。すなわち、低温変態生成相およびポリゴナルフェライトの体積率は、鋼板から試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨し、ナイタールで腐食処理した後、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置においてSEMを用いて金属組織を観察し、画像処理により、低温変態生成相とポリゴナルフェライトの面積率を測定し、面積率は体積率と等しいとしてそれぞれの体積率を求める。ポリゴナルフェライトの平均粒径は、視野中でポリゴナルフェライト全体が占める面積をポリゴナルフェライトの結晶粒数で除し、円相当直径を求めて平均粒径とする。
残留オーステナイトの体積率は、鋼板から試験片を採取し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置まで圧延面を化学研磨し、XRD用いてX線回折強度を測定して求める。
残留オーステナイト粒の粒径および残留オーステナイトの平均粒径は、次のようにして測定する。すなわち、鋼板から試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を電解研磨し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置においてEBSPを備えたSEMを用いて金属組織を観察する。面心立方晶型の結晶構造からなる相(fcc相)として観察され母相に囲まれた領域を一つの残留オーステナイト粒とし、画像処理により、残留オーステナイト粒の数密度(単位面積あたりの粒数)および個々の残留オーステナイト粒の面積率を測定する。視野中で個々の残留オーステナイト粒が占める面積から個々のオーステナイト粒の円相当直径を求め、それらの平均値を残留オーステナイトの平均粒径とする。なお、EBSPによる組織観察では、板厚方向に50μm以上、圧延方向に100μm以上の大きさの領域において、0.1μm刻みで電子ビームを照射して相の判定を行う。得られた測定データの内、信頼性指数(Confidence Index)が0.1以上のものを有効なデータとして粒径測定に用いる。また、測定ノイズにより残留オーステナイトの粒径が過小に評価されることを防ぐため、円相当直径が0.15μm以上の残留オーステナイト粒のみを有効な粒として、平均粒径の算出を行う。
本発明では、冷延鋼板の場合は鋼板表面から板厚の1/4深さ位置、めっき鋼板の場合は基材である鋼板とめっき層との境界から基材である鋼板の板厚の1/4深さ位置において、上述の金属組織を規定する。
以上の金属組織上の特徴に基づいて実現されうる機械特性として、本発明に係る冷延鋼板は、衝撃吸収性を確保するために、圧延方向と直交する方向において780MPa以上の引張強度(TS)を有していることが好ましく、950MPa以上であればさらに好ましい。一方、延性を確保するために、TSは1180MPa未満であることが好ましい。
プレス成形性の観点からは、圧延方向と直交する方向の全伸び(El0)を下記式(1):
El=El0×(1.2/t0)0.2 ・・・ (1)
に基づいて板厚1.2mm相当の全伸びに換算した値であるEl、日本工業規格JIS Z2253に準拠して歪み範囲を5〜10%とし5%と10%の公称歪みおよびこれらに対応する試験力を用いて算出される加工硬化指数であるn値、日本鉄鋼連盟規格JFST1001に準拠して測定される穴拡げ率λが、
・TS×Elの値が20000MPa%以上、
・TS×n値の値が160MPa以上、および
・TS1.7×λの値が5500000MPa1.7%以上、
を満たすことが好ましい。
式(1)において、El0は、JIS5号引張試験片を用いて測定された全伸びの実測値を、t0は、測定に供したJIS5号引張試験片の板厚を表し、Elは板厚が1.2mmである場合に相当する全伸びの換算値である。
加工硬化指数は、自動車部品をプレス成形する際に生じる歪みが5〜10%程度であることから、引張試験における歪み範囲5〜10%に対するn値で表した。鋼板の全伸びが高くても、n値が低い場合には自動車部品のプレス成形において歪み伝播性が不十分となり、局所的な板厚減少等の成形不良が発生しやすい。また、形状凍結性の観点からは、降伏比が80%未満であることが好ましく、75%未満であることはさらに好ましく、70%未満であれば特に好ましい。
2.鋼の化学組成
C:0.020%超0.30%未満
C含有量が0.020%以下では上述した金属組織を得ることが困難となる。したがって、C含有量は0.020%超とする。好ましくは0.070%超、さらに好ましくは0.10%超、特に好ましくは0.14%超である。一方、C含有量が0.30%以上では鋼板の伸びフランジ性が損なわれるばかりか溶接性が劣化する。したがって、C含有量は0.30%未満とする。好ましくは0.25%未満、さらに好ましくは0.20%未満、特に好ましくは0.17%未満である。
Si:0.10%超3.00%以下
Siは、焼鈍中のオーステナイト粒成長抑制を通じ、延性、加工硬化性および伸びフランジ性を改善する作用を有する。また、オーステナイトの安定性を高める作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。Si含有量が0.10%以下では上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、Si含有量は0.10%超とする。好ましくは0.60%超、さらに好ましくは0.90%超、特に好ましくは1.20%超である。一方、Si含有量が3.00%超では鋼板の表面性状が劣化する。さらに、化成処理性およびめっき性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は3.00%以下とする。好ましくは2.00%未満、さらに好ましくは1.80%未満、特に好ましくは1.60%未満である。
後述するAlを含有する場合は、Si含有量とsol.Al含有量が下記式(2)を満足することが好ましく、下記式(3)を満足するとさらに好ましく、下記式(4)を満足すると特に好ましい。
Si+sol.Al>0.60 ・・・ (2)
Si+sol.Al>0.90 ・・・ (3)
Si+sol.Al>1.20 ・・・ (4)
ここで、式中のSiは鋼中でのSi含有量を、sol.Alは酸可溶性のAl含有量を質量%にて表したものである。
Mn:1.00%超3.50%以下
Mnは、鋼の焼入性を向上させる作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。Mn含有量が1.00%以下では上記の金属組織を得ることが困難となる。したがって、Mn含有量は1.00%超とする。好ましくは1.50%超、さらに好ましくは1.80%超、特に好ましくは2.10%超である。Mn含有量が過剰となると、熱延鋼板の金属組織において、圧延方向に展伸した粗大な低温変態生成相が生じ、冷延間圧延および焼鈍後の金属組織において粗大な残留オーステナイト粒が増加し、加工硬化性および伸びフランジ性が劣化する。したがって、Mn含有量は3.50%以下とする。好ましくは3.00%未満、さらに好ましくは2.80%未満、特に好ましくは2.60%未満である。
P:0.10%以下
Pは、不純物として鋼中に含有される元素であり、粒界に偏析して鋼を脆化させる。このため、P含有量は少ないほど好ましい。したがって、P含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.050%未満、さらに好ましくは0.020%未満、特に好ましくは0.015%未満である。
S:0.010%以下
Sは、不純物として鋼中に含有される元素であり、硫化物系介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させる。このため、S含有量は少ないほど好ましい。したがって、S含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.005%未満、さらに好ましくは0.003%未満、特に好ましくは0.002%未満である。
sol.Al:2.00%以下
Alは、溶鋼を脱酸する作用を有する。本発明においては、Alと同様に脱酸作用を有するSiを含有させるため、Alは必ずしも含有させる必要はない。すなわち、限りなく0%に近くてもよい。脱酸の促進を目的として含有させる場合には、sol.Alとして0.0050%以上含有させることが好ましい。さらに好ましいsol.Al含有量は0.020%超である。また、Alは、Siと同様にオーステナイトの安定性を高める作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素であるので、この目的でAlを含有させることができる。この場合、sol.Al含有量は好ましくは0.040%超、さらに好ましくは0.050%超、特に好ましくは0.060%超である。一方、sol.Al含有量が高すぎると、アルミナに起因する表面疵が発生しやすくなるばかりか、変態点が大きく上昇し低温変態生成相を主相とする金属組織を得ることが困難となる。したがって、sol.Al含有量は2.00%以下とする。好ましくは0.60%未満、さらに好ましくは0.20%未満、特に好ましくは0.10%未満である。
N:0.010%以下
Nは、不純物として鋼中に含有される元素であり、延性を劣化させる。このため、N含有量は少ないほど好ましい。したがって、N含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.006%以下であり、さらに好ましくは0.005%以下である。
本発明に係る鋼板は、以下に列記する元素を任意元素として含有してもよい。
Ti:0.050%未満、Nb:0.050%未満およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上
Ti、NbおよびVは、熱間圧延工程で再結晶を抑制することにより加工歪みを増大させ、熱延鋼板の金属組織を微細化する作用を有する。また、炭化物または窒化物として析出し、焼鈍中のオーステナイトの粗大化を抑制する作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、これらの元素を過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。そればかりか、焼鈍時の再結晶温度が上昇し、焼鈍後の金属組織が不均一となり、伸びフランジ性も損なわれる。さらには、炭化物または窒化物の析出量が増し、降伏比が上昇し、形状凍結性も劣化する。
したがって、Ti含有量は0.050%未満、Nb含有量は0.050%未満、V含有量は0.50%以下とする。Ti含有量は好ましくは0.040%未満、さらに好ましくは0.030%未満であり、Nb含有量は好ましくは0.040%未満、さらに好ましくは0.030%未満であり、V含有量は好ましくは0.30%以下であり、さらに好ましくは0.050%未満である。上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.005%以上、Nb:0.005%以上およびV:0.010%以上のいずれかを満足させることが好ましい。Tiを含有させる場合には、Ti含有量を0.010%以上とすることがさらに好ましく、Nbを含有させる場合には、Nb含有量を0.010%以上とすることがさらに好ましく、Vを含有させる場合には、V含有量を0.020%以上とすることがさらに好ましい。
Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.010%以下からなる群から選択された1種または2種以上
Cr、MoおよびBは、鋼の焼入性を向上させる作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、これらの元素を過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。したがって、Cr含有量は1.0%以下、Mo含有量は0.50%以下、B含有量は0.010%以下とする。Cr含有量は好ましくは0.50%以下であり、Mo含有量は好ましくは0.20%以下であり、B含有量は好ましくは0.0030%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、Cr:0.20%以上、Mo:0.05%以上およびB:0.0010%以上のいずれかを満足させることが好ましい。
Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.050%以下およびBi:0.050%以下からなる群から選択された1種または2種以上
Ca、MgおよびREMは介在物の形状を調整することにより、Biは凝固組織を微細化することにより、ともに伸びフランジ性を改善する作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、これらの元素を過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。したがって、Ca含有量は0.010%以下、Mg含有量は0.010%以下、REM含有量は0.050%以下、Bi含有量は0.050%以下とする。好ましくは、Ca含有量は0.0020%以下、Mg含有量は0.0020%以下、REM含有量は0.0020%以下、Bi含有量は0.010%以下である。上記作用をより確実に得るには、Ca:0.0005%以上、Mg:0.0005%以上、REM:0.0005%以上およびBi:0.0010%以上のいずれかを満足させることが好ましい。なお、REMとは希土類元素を意味し、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REM含有量はこれらの元素の合計含有量である。
3.製造条件
上述した化学組成を有する鋼は、公知の手段により溶製された後に、連続鋳造法により鋼塊とされるか、または、任意の鋳造法により鋼塊とした後に分塊圧延する方法等により鋼片とされる。連続鋳造工程では、介在物に起因する表面欠陥の発生を抑制するために、鋳型内にて電磁攪拌等の外部付加的な流動を溶鋼に生じさせることが好ましい。鋼塊または鋼片は、一旦冷却されたものを再加熱して熱間圧延に供してもよく、連続鋳造後の高温状態にある鋼塊または分塊圧延後の高温状態にある鋼片をそのまま、あるいは保温して、あるいは補助的な加熱を行って熱間圧延に供してもよい。本明細書では、このような鋼塊および鋼片を、熱間圧延の素材として「スラブ」と総称する。熱間圧延に供するスラブの温度は、オーステナイトの粗大化を防止するために、1250℃未満とすることが好ましく、1200℃以下とすればさらに好ましい。熱間圧延に供するスラブの温度の下限は特に限定する必要はなく、後述するように熱間圧延をAr3点以上で完了することが可能な温度であればよい。
熱間圧延は、圧延完了後にオーステナイトを変態させることにより熱延鋼板の金属組織を微細化するために、Ar3点以上の温度域で完了させる。圧延完了の温度が低すぎると、熱延鋼板の金属組織において、圧延方向に展伸した粗大な低温変態生成相が生じ、冷間圧延および焼鈍後の金属組織において粗大な残留オーステナイト粒が増加し、加工硬化性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、熱間圧延の完了温度は、Ar3点以上かつ820℃超とすることが好ましい。さらに好ましくはAr3点以上かつ850℃超であり、特に好ましくはAr3点以上かつ880℃超である。一方、圧延完了の温度が高すぎると、加工歪みの蓄積が不十分となり、熱延鋼板の金属組織を微細化することが困難となる。このため、熱間圧延の完了温度は950℃未満であることが好ましく、920℃未満であるとさらに好ましい。また、製造負荷を軽減するためには、熱間圧延の完了温度を高めて圧延荷重を低下させることが好ましい。この観点からは、熱間圧延の完了温度をAr3点以上かつ780℃超とすることが好ましく、Ar3点以上かつ800℃超とするとさらに好ましい。
なお、熱間圧延が粗圧延と仕上圧延とからなる場合には、仕上圧延を上記温度で完了するために、粗圧延と仕上圧延との間で粗圧延材を加熱してもよい。この際、粗圧延材の後端が先端よりも高温となるように加熱することによって、仕上圧延の開始時における粗圧延材の全長にわたる温度の変動を140℃以下に抑制することが望ましい。これにより、コイル内の製品特性の均一性が向上する。
粗圧延材の加熱方法は公知の手段を用いて行えばよい。例えば、粗圧延機と仕上圧延機との間にソレノイド式誘導加熱装置を設けておき、この誘導加熱装置の上流側における粗圧延材長手方向の温度分布等に基づいて加熱昇温量を制御してもよい。
熱間圧延の圧下量は、最終1パスの圧下量を板厚減少率で25%超とする。これは、オーステナイトに導入される加工歪み量を増し、熱延鋼板の金属組織を微細化し、冷間圧延および焼鈍後の金属組織において粗大な残留オーステナイト粒の生成を抑制するとともにポリゴナルフェライトを微細化するためである。最終1パスの圧下量は30%超とすることが好ましく、40%超とすればさらに好ましい。圧下量が高くなりすぎると、圧延荷重が上昇して圧延が困難となる。したがって、最終1パスの圧下量は55%未満とすることが好ましく、50%未満とすればさらに好ましい。圧延荷重を低下させるために、圧延ロールと鋼板の間に圧延油を供給し摩擦係数を低下させて圧延する、いわゆる潤滑圧延を行ってもよい。
熱間圧延後は、圧延完了後0.40秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷する。これは、圧延によりオーステナイトに導入された加工歪みの解放を抑制し、加工歪みを駆動力としてオーステナイトを変態させ、熱延鋼板の金属組織を微細化し、冷間圧延および焼鈍後の金属組織において粗大な残留オーステナイト粒の生成を抑制するとともに、ポリゴナルフェライトを微細化するためである。好ましくは、圧延完了後0.30秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷することであり、さらに好ましくは、圧延完了後0.20秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷することである。また、加工歪みの解放は、急冷中の平均冷却速度が速いほど抑制されるので、急冷中の平均冷却速度を300℃/s以上とすることが好ましく、これにより、熱延鋼板の金属組織を一層微細化することができる。急冷中の平均冷却速度を400℃/s以上とすればさらに好ましく、600℃/s以上とすれば特に好ましい。なお、圧延完了から急冷を開始するまでの時間および、その間の冷却速度は、特に規定する必要がない。
急冷を行う設備は特に規定されないが、工業的には水量密度の高い水スプレー装置を用いることが好適であり、圧延板搬送ローラーの間に水スプレーヘッダーを配置し、圧延板の上下から十分な水量密度の高圧水を噴射する方法が例示される。
急冷停止後は、鋼板を500℃超の温度域で巻取る。これは、巻取温度が500℃以下であると、熱延鋼板において鉄炭化物が充分に析出せず、冷間圧延および焼鈍後の金属組織において粗大な残留オーステナイト粒が生成するとともに、ポリゴナルフェライトが粗大化するからである。巻取温度は550℃超であることが好ましく、580℃超であるとさらに好ましい。一方、巻取温度が高すぎると、熱延鋼板においてフェライトが粗大となり、冷間圧延および焼鈍後の金属組織において粗大な残留オーステナイト粒が生成する。このため巻取温度は650℃未満とすることが好ましく、620℃未満とするとさらに好ましい。急冷停止から巻取りまでの条件は特に規定しないが、急冷停止後、720〜600℃の温度域で1秒間以上保持することが好ましい。これにより、微細なフェライトの生成が促進される。一方、保持時間が長くなりすぎると生産性が損なわれるので、720〜600℃の温度域における保持時間の上限を10秒間以内とすることが好ましい。720〜600℃の温度域で保持した後は、生成したフェライトの粗大化を防止するために、巻取温度までを20℃/s以上の冷却速度で冷却することが好ましい。
熱間圧延された鋼板は、酸洗等により脱スケールされた後に、常法に従って冷間圧延される。冷間圧延は、再結晶を促進して冷延圧延および焼鈍後の金属組織を均一化し、伸びフランジ性をさらに向上させるために、冷圧率(冷間圧延における圧下率)を40%以上とすることが好ましい。冷圧率が高すぎると、圧延荷重が増大して圧延が困難となるため、冷圧率の上限を70%未満とすることが好ましく、60%未満とすることはさらに好ましい。
冷間圧延後の鋼板は、必要に応じて公知の方法に従って脱脂等の処理が施された後、焼鈍される。焼鈍における均熱温度の下限は、(Ac3点−40℃)以上とする。これは、主相が低温変態生成相であって第二相に残留オーステナイトを含む金属組織を得るためである。低温変態生成相の体積率を増加させ、伸びフランジ性を向上させるために、均熱温度は(Ac3点−20℃)超とすることが好ましく、Ac3点超とするとさらに好ましい。しかし、均熱温度が高くなり過ぎると、オーステナイトが過度に粗大化し、焼鈍後の金属組織が粗大となるとともにポリゴナルフェライトの生成が抑制され、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が劣化する。したがって、均熱温度の上限は、(Ac3点+50℃)未満とする。均熱温度の上限は(Ac3点+20℃)未満とすることが好ましい。
均熱温度での保持時間(均熱時間)は特に限定する必要はないが、安定した機械特性を得るために、15秒間超とすることが好ましく、60秒間超とするとさらに好ましい。一方、保持時間が長くなりすぎると、オーステナイトが過度に粗大化して、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、保持時間は、150秒間未満とすることが好ましく、120秒間未満とするとさらに好ましい。
焼鈍における加熱過程では、再結晶を促進して焼鈍後の金属組織を均一化し、伸びフランジ性をさらに向上させるために、700℃から均熱温度までの加熱速度を10.0℃/s未満とすることが好ましい。この加熱速度は、8.0℃/s未満とするとさらに好ましく、5.0℃/s未満とすると特に好ましい。
焼鈍における均熱後の冷却過程では、微細なポリゴナルフェライトの生成を促進し、延性および加工硬化性を向上させるために、5.0℃/s未満の冷却速度で均熱温度から50℃以上冷却する。均熱後の冷却速度は3.0℃/s未満であることが好ましい。さらに好ましくは2.0℃/s未満である。また、ポリゴナルフェライトの体積率をさらに増加させるためには、5.0℃/s未満の冷却速度で均熱温度から80℃以上冷却することが好ましく、100℃以上冷却することがさらに好ましく、120℃以上冷却することが特に好ましい。
また、低温変態生成相を主相とする金属組織を得るために、650〜500℃の温度範囲を15℃/s以上の冷却速度で冷却することが好ましい。650〜450℃の温度範囲を15℃/s以上の冷却速度で冷却することはさらに好ましい。冷却速度が速いほど低温変態生成相の体積率が高まるので、いずれの温度範囲でも冷却速度を30℃/s超とするとさらに好ましく、50℃/s超とすると特に好ましい。一方、冷却速度が速すぎると鋼板の形状が損なわれるので、650〜500℃の温度範囲における冷却速度を200℃/s以下とすることが好ましい。この冷却速度は、150℃/s未満であるとさらに好ましく、130℃/s未満であれば特に好ましい。
また、残留オーステナイト量を確保するために、冷却過程において450〜340℃の温度域で30秒間以上保持する。残留オーステナイトの安定性を高めて延性、加工硬化性および伸びフランジ性をさらに向上させるためには、保持温度域を430〜360℃とすることが好ましい。また、保持時間を長くするほど残留オーステナイトの安定性が高まるので、保持時間を60秒間以上とすることが好ましい。120秒間以上とすることはさらに好ましく、300秒間超とすることは特に好ましい。
電気めっき鋼板を製造する場合には、上述した方法で製造された冷延鋼板に、必要に応じて表面の清浄化および調整のための周知の前処理を施した後、常法に従って電気めっきを行えばよく、めっき被膜の化学組成および付着量は限定されない。電気めっきの種類として、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。
溶融めっき鋼板を製造する場合には、上述した方法で焼鈍工程まで行い、450〜340℃の温度域で30秒間以上保持した後、必要に応じて鋼板を加熱してから、めっき浴に浸漬し、溶融めっきを施す。残留オーステナイトの安定性を高めて延性、加工硬化性および伸びフランジ性をさらに向上させるためには、保持温度域を430〜360℃とすることが好ましい。また、保持時間を長くするほど残留オーステナイトの安定性が高まるので、保持時間を60秒間以上とすることが好ましい。120秒間以上とすることはさらに好ましく、300秒間超とすることは特に好ましい。溶融めっき後に再加熱して合金化処理を行ってもよい。めっき被膜の化学組成および付着量は限定されない。溶融めっきの種類として、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。
めっき鋼板は、その耐食性をさらに高めるために、めっき後に適当な化成処理を施してもよい。化成処理は、従来のクロメート処理に代わって、ノンクロム型の化成処理液(例えば、シリケート系、リン酸塩系など)を用いて実施することが好ましい。
このようにして得られた冷延鋼板およびめっき鋼板には、常法にしたがって調質圧延を行ってもよい。しかし、調質圧延の伸び率が高いと延性の劣化を招くので、調質圧延の伸び率は1.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましい伸び率は0.5%以下である。
本発明を,実施例を参照しながらより具体的に説明する。
実験用真空溶解炉を用いて、表1に示される化学組成を有する鋼を溶解し鋳造した。得られた各鋼塊を、熱間鍛造により厚さ30mmの鋼片とした。鋼片を、電気加熱炉を用いて1200℃に加熱し60分間保持した後、表2に示される条件で熱間圧延を行った。
具体的には、実験用熱間圧延機を用いて、Ar3点以上の温度域で6パスの圧延を行い、厚さ2〜3mmに仕上げた。最終1パスの圧下率は、板厚減少率で12〜42%とした。熱間圧延後、水スプレーを使用して種々の冷却条件で650〜720℃まで冷却し、続いて5〜10秒間放冷した後、60℃/sの冷却速度で種々の温度まで冷却して、その温度を巻取温度とし、同温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの冷却速度で室温まで炉冷却して巻取後の徐冷をシミュレートすることにより、熱延鋼板を得た。
得られた熱延鋼板を酸洗して冷間圧延母材とし、圧下率50〜60%で冷間圧延を施し、厚さ1.0〜1.2mmの冷延鋼板を得た。連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板を、10℃/sの加熱速度で550℃まで加熱した後、2℃/sの加熱速度で表2に示される種々の温度まで加熱し、95秒間均熱した。その後、表2に示される温度まで一次冷却し、さらに一次冷却停止温度から平均冷却速度を60℃/sとして表2に示される種々の温度まで二次冷却し、その温度に330秒間保持した後、室温まで冷却して焼鈍鋼板を得た。
Figure 2013014822
Figure 2013014822
焼鈍鋼板から、SEM観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨した後、ナイタールで腐食処理し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における金属組織を観察し、画像処理により、低温変態生成相およびポリゴナルフェライトの体積分率を測定した。また、ポリゴナルフェライト全体が占める面積をポリゴナルフェライトの結晶粒数で除し、ポリゴナルフェライトの平均粒径(円相当直径)を求めた。
また、焼鈍鋼板から、XRD測定用試験片を採取し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置まで圧延面を化学研磨した後、X線回折試験を行い、残留オーステナイトの体積分率を測定した。具体的には、X線回折装置にリガク製RINT2500を使用し、Co−Kα線を入射してα相(110)、(200)、(211)回折ピークおよびγ相(111)、(200)、(220)回折ピークの積分強度を測定し、残留オーステナイトの体積分率を求めた。
さらに、焼鈍鋼板から、EBSP測定用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を電解研磨した後、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置において金属組織を観察し、画像解析により、残留オーステナイト粒の粒径分布および残留オーステナイトの平均粒径を測定した。具体的には、EBSP測定装置にTSL社製OIM5を使用し、板厚方向に50μm、圧延方向に100μmの大きさの領域において、0.1μmピッチで電子ビームを照射し、得られた測定データの内、信頼性指数が0.1以上のものを有効なデータとしてfcc相の判定を行った。fcc相として観察され母相に囲まれた領域を、一つの残留オーステナイト粒とし、個々の残留オーステナイト粒の円相当直径を求めた。残留オーステナイトの平均粒径は、円相当直径が0.15μm以上である残留オーステナイト粒を有効な残留オーステナイト粒とし、個々の有効な残留オーステナイト粒の円相当直径の平均値として算出した。また、粒径が1.2μm以上である残留オーステナイト粒の単位面積あたりの数密度(NR)を求めた。
降伏応力(YS)および引張強度(TS)は、焼鈍鋼板から、圧延方向と直行する方向に沿ってJIS5号引張試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行うことにより求めた。全伸び(El)は、圧延方向と直行する方向に沿って採取したJIS5号引張試験片に引張試験を行い、得られた実測値(El0)を用いて、上記式(1)に基づき、板厚が1.2mmである場合に相当する換算値を求めた。加工硬化指数(n値)は、圧延方向と直行する方向に沿って採取したJIS5号引張試験片に引張試験を行い、歪み範囲を5〜10%として求めた。具体的には、公称歪み5%および10%に対する試験力を用いて2点法により算出した。
伸びフランジ性は、以下の方法で穴拡げ率(λ)を測定することにより評価した。焼鈍鋼板から100mm角の正方形素板を採取し、クリアランス12.5%で直径10mmの打ち抜き穴を開け、先端角60°の円錐ポンチでダレ側から打ち抜き穴を押し拡げ、板厚を貫通する割れが発生したときの穴の拡大率を測定し、これを穴拡げ率とした。
表3に焼鈍後の冷延鋼板の金属組織観察結果および性能評価結果を示す。なお、表1〜表3において、*を付した数値または記号は本発明の範囲外であることを意味する。
Figure 2013014822
本発明に従った冷延鋼板についての試験結果(試験番号6〜10、12、14、17〜27)は、いずれも、TS×Elの値が20000MPa%以上であり、TS×n値の値が165以上であり、TS1.7×λの値が6000000MPa1.7%以上であり、良好な延性、加工硬化性および伸びフランジ性を示した。
鋼板の金属組織が本発明の規定する範囲から外れる鋼板についての試験結果(試験番号1〜5、11、13、15、16)は、延性、加工硬化性および伸びフランジ性のいずれかもしくは全てが劣っていた。
具体的には、鋼Aを用いた試験(試験番号1)は、鋼中のSi含有量が少ないために、残留オーステナイトの平均粒径が大きく、残留オーステナイトの体積率が低く、また、ポリゴナルフェライトの平均粒径が大きく、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が悪い。鋼Bを用いた試験(試験番号2)および鋼Cを用いた試験(試験番号4)は、熱間圧延完了から急冷停止までの時間が長すぎるために、NRが大きく、また、ポリゴナルフェライトの平均粒径が大きく、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が悪い。鋼Hを用いた試験(試験番号11)は、熱間圧延完了から急冷停止までの時間が長すぎるために、NRが大きく、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が悪い。鋼Cを用いた試験(試験番号5)は、巻取温度が低すぎるために、NRが大きく、また、ポリゴナルフェライトの平均粒径が大きく、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が悪い。鋼Iを用いた試験(試験番号13)は、巻取温度が低すぎるために、NRが大きく、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が悪い。鋼Bを用いた試験(試験番号3)および鋼Kを用いた試験(試験番号16)は、焼鈍中の均熱温度が低すぎるために、低温変態生成相を主相とする金属組織が得られておらず、伸びフランジ性が悪い。鋼Kを用いた試験(試験番号15)は、熱間圧延の最終1パスの圧下量が低いために、NRが大きく、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が悪い。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.020%超0.30%未満、Si:0.10%超3.00%以下、Mn:1.00%超3.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:2.00%以下およびN:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する冷延鋼板であって、主相が低温変態生成相で、第二相に残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを含む金属組織を備え、前記残留オーステナイトは、全組織に対する体積率が4.0%超25.0%未満、平均粒径が0.80μm未満であり、前記残留オーステナイトのうち、粒径が1.2μm以上である残留オーステナイト粒の数密度が3.0×10−2個/μm2以下であり、前記ポリゴナルフェライトは、全組織に対する体積率が2.0%超27.0%未満、平均粒径が5.0μm未満である、ことを特徴とする冷延鋼板。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.050%未満、Nb:0.050%未満およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものである請求項1に記載の冷延鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.010%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものである請求項1または請求項2に記載の冷延鋼板。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.050%以下およびBi:0.050%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものである請求項1から請求項3のいずれかに記載の冷延鋼板。
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