JP6417841B2 - 冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、冷延鋼板の製造方法に関する。
産業技術分野が高度に細分化した今日、各技術分野において用いられる材料には、特殊かつ高度な性能が要求されている。例えば、プレス成形して使用される鋼板についても、プレス形状の多様化に伴い、より優れた成形性が必要とされている。また、高い強度が要求されるようになり、高張力鋼板の適用が検討されている。特に、自動車用鋼板に関しては、地球環境への配慮から、車体を軽量化して燃費を向上させるために、薄肉高成形性の高張力鋼板の需要が著しく高まってきている。プレス成形においては、使用される鋼板の厚さが薄いほど、割れやしわが発生しやすくなるため、より優れた延性および伸びフランジ性を備える鋼板が必要とされる。しかし、これらのプレス成形性と鋼板の高強度化とは、背反する特性であり、これらの特性を同時に満足させることは困難である。
これまでに、高張力冷延鋼板のプレス成形性を改善する方法として、ミクロ組織の微細粒化に関する技術が多く提案されている。例えば、特許文献1には、熱間圧延工程においてAr点近傍の温度域で合計板厚減少率80%以上の圧延を行う、極微細粒高強度熱延鋼板の製造方法が開示されており、特許文献2には、熱間圧延工程において、板厚減少率40%以上の圧延を連続して行う、超細粒フェライト鋼の製造方法が開示されている。
特許文献3には、熱間圧延工程において、動的再結晶域での圧下を5スタンド以上の圧下パスで行う、超微細粒を有する熱延鋼板の製造方法が開示されている。
微細組織を有する冷延鋼板に関しては、特許文献4に平均結晶粒径が10μm以下であるフェライト中に平均結晶粒径が5μm以下である残留オーステナイトを分散させた、耐衝突安全性および成形性に優れた自動車用高強度冷延鋼板が開示されている。
特許文献5には、結晶粒内に残留オーステナイトおよび/またはマルテンサイトからなる第二相を微細に分散させた、伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度鋼板が開示されている。
特許文献6には、平均結晶粒径が10μm以下であるフェライトおよび焼戻マルテンサイト中に残留オーステナイトおよび低温変態生成相を分散させた、延性、伸びフランジ性および耐疲労特性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。焼戻マルテンサイトは伸びフランジ性および耐疲労特性の向上に有効な相であり、焼戻マルテンサイトを細粒化するとこれらの特性が一層向上するとされている。
特許文献7には、熱間圧延直後に720℃以下まで急冷し600〜720℃の温度域に2秒間以上保持し、得られた熱延鋼板に冷間圧延および焼鈍を施す、微細フェライト中に残留オーステナイトが分散した冷延鋼板の製造方法が開示されている。
特開昭58−123823号公報 特開昭59−229413号公報 特開平11−152544号公報 特開平11−61326号公報 特開2005−179703号公報 特開2001−192768号公報 国際公開第2007/15541号パンフレット
特許文献の1および2の技術により、熱延鋼板において強度と延性のバランスが向上するが、冷延鋼板を微細粒化しプレス成形性を改善する方法については上記特許文献に何ら記載されていない。本発明者らの検討によると、大圧下圧延によって得られた細粒熱延鋼板を母材として冷間圧延および焼鈍を行うと、結晶粒が粗大化し易く、プレス成形性に優れた冷延鋼板を得ることは困難である。特に、Ac点以上の高温域で焼鈍することが必要な、金属組織に低温変態生成相および残留オーステナイトを含む複合組織冷延鋼板の製造においては、焼鈍時の結晶粒の粗大化が顕著であり、延性に優れるという複合組織冷延鋼板の利点を享受することができない。
特許文献3の技術では、熱間圧延時の温度低下を極度に低減させる必要があり、通常の熱間圧延設備で実施することは困難である。また、熱間圧延後、冷間圧延および焼鈍を行った例が示されているが、引張強度と穴拡げ性のバランスが悪く、プレス成形性が不十分である。
特許文献4に記載されるように、金属組織に残留オーステナイトを含む鋼板では、加工中にオーステナイトがマルテンサイト化することで生ずる変態誘起塑性(TRIP)により大きな伸びを示すが、硬質なマルテンサイトが生成して、穴拡げ性が損なわれる。特許文献4において開示される冷延鋼板では、フェライトおよび残留オーステナイトを微細化することにより、延性および穴拡げ性が向上するとされているが、穴拡げ比は高々1.5であり、十分なプレス成形性を備えるとは言い難い。また、加工硬化指数を高めて耐衝突安全性を改善するために、主相を軟質なフェライト相とする必要があり、高い引張強度を得ることが困難である。
特許文献5の技術では、第二相をナノサイズにまで微細化し結晶粒内に分散させるために、CuやNi等の高価な元素を多量に含有させ、高温で長時間の溶体化処理を行う必要があり、製造コストの上昇や生産性の低下が著しい。
特許文献6に記載の技術のように、焼戻マルテンサイトと残留オーステナイト含む金属組織を得るためには、マルテンサイトを生成させるための一次焼鈍と、マルテンサイトを焼戻しさらに残留オーステナイトを得るための二次焼鈍が必要となり、生産性が大幅に損なわれる。
特許文献7の技術は、熱間圧延終了後、オーステナイトに蓄積された加工歪みを解放させず、加工歪みを駆動力としてフェライト変態させることにより、微細粒組織が形成され加工性および熱的安定性が向上した冷延鋼板が得られる点において優れている。しかし、近年のさらなる高性能化のニーズにより、高い強度と良好な延性と良好な加工硬化性と良好な伸びフランジ性とを同時に具備する冷延鋼板が求められようになってきた。
本発明は、そのような要請に応えるためになされたものであり、優れた延性、加工硬化性および伸びフランジ性を有する、引張強度780MPa以上の高張力冷延鋼板の製造方法を提供するを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ね、下記の知見を得た。
(A)熱間圧延直後に水冷により急冷するいわゆる直後急冷プロセスを経て製造された熱延鋼板、具体的には、熱間圧延完了後0.40秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷して製造された熱延鋼板を、冷間圧延し、焼鈍する場合、焼鈍温度の上昇に伴い、冷延鋼板の延性および伸びフランジ性が向上する。しかし、焼鈍温度が高すぎると、オーステナイト粒が粗大化し、焼鈍鋼板の延性および伸びフランジ性が急激に劣化する場合がある。
(B)熱間圧延の最終圧下率を大きくすると、上記の高温焼鈍時にオーステナイト粒が粗大化するのを抑制できる。この理由は明らかではないが、最終圧下率が大きいほど、(a)熱延鋼板の金属組織においてフェライト分率が増加するとともに、フェライトが細粒化すること、(b)熱延鋼板の金属組織において粗大な低温変態生成相が減少すること、(c)フェライト粒界は焼鈍中にフェライトからオーステナイトへの変態における核生成サイトとして機能するため、微細なフェライトが多いほど核生成頻度が上昇し、オーステナイトが細粒化すること、(d)粗大な低温変態生成相は、焼鈍中に粗大なオーステナイト粒となること、に起因すると推定される。
(C)直後急冷プロセス後の巻取工程において、巻取温度を上昇させると、冷間圧延後の高温での焼鈍中に起こりうるオーステナイト粒の粗大化が抑制される。この理由は明らかではないが、(a)直後急冷プロセスにより熱延鋼板が細粒化するため、巻取温度の上昇に伴い、熱延鋼板中の鉄炭化物の析出量が顕著に増加すること、(b)鉄炭化物は、焼鈍中にフェライトからオーステナイトへの変態における核生成サイトとして機能するため、鉄炭化物の析出量が多いほど核生成頻度が上昇し、オーステナイトが細粒化すること、(c)未固溶の鉄炭化物がオーステナイトの粒成長を抑制するため、オーステナイトが細粒化すること、に起因すると推定される。
(D)鋼中のSi含有量が多いほど、オーステナイト粒の粗大化防止効果が強くなる。この理由は明らかではないが、Si含有量の増加に伴い、(a)鉄炭化物が微細化し、その数密度が増加すること、(b)これにより、フェライトからオーステナイトへの変態における核生成頻度がさらに増大すること、(c)未固溶の鉄炭化物の増加により、オーステナイトの粒成長がさらに抑制され、オーステナイトがさらに細粒化すること、に起因すると推定される。
(E)オーステナイト粒の粗大化を抑制しながら高温で均熱して冷却すると、微細な低温変態生成相を主相とし、第二相が微細な残留オーステナイトを含んでいる金属組織が得られる。
(F)オーステナイト粒の粗大化を抑制するためには、上記の条件に加え、冷延後の昇温速度を増加させることすなわち1℃/秒以上とすることが重要である。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、下記の冷延鋼板の製造方法を要旨とする。
〔1〕下記の工程(A)〜(C)を備える、主相が低温変態生成相であり、残留オーステナイトを含む金属組織を有する冷延鋼板の製造方法:
(A)化学組成が、質量%で、
C:0.10%超0.30%未満、
Si:0.50%超2.50%以下、
Mn:1.00%超3.50%以下、
P:0.10%以下、
S:0.010%以下、
sol.Al:1.50%以下および
N:0.010%以下と、
Ti:0.001〜0.100%未満および
Nb:0.001〜0.050%未満から選択される少なくとも一種と、
V:0〜0.50%、
Cr:0〜1.0%、
Mo:0〜0.50%、
B:0〜0.010%、
Ca:0〜0.010%、
Mg:0〜0.010%、
REM:0〜0.050%および
Bi:0〜0.050%と、
残部:Feおよび不純物とからなるスラブを1100〜1280℃に加熱し、仕上温度がAr点以上で、かつ850〜950℃の温度域となる条件で熱間圧延し、
熱間圧延完了後0.5秒以内に冷却を開始し、平均冷却速度が200℃/秒以上となる条件で(熱間圧延仕上げ温度−50)〜750℃の温度域まで冷却し、
0.3〜2.0秒放冷し、平均冷却速度が30℃/秒以上となる条件で700℃以下まで冷却した後、
600℃未満の温度域で巻取り、熱延鋼板を得る工程;
(B)前記熱延鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板を得る工程および
(C)前記冷延鋼板を、700℃から加熱停止までの平均昇温速度が1℃/秒以上となる条件で(Ac点−40)〜900℃の温度域に加熱し、その温度域で保持し、(Ar−60)℃から冷却停止までの平均冷却速度が30℃/秒以上となる条件で200〜450℃の温度域まで冷却した後、300〜450℃の温度域で保持する工程。
〔2〕前記(A)の工程において、最終圧延パスにおける圧延開始と、最終圧延パスの直前パスにおける圧延完了との間の時間t(秒)が、最終圧延パスの直前パスにおける圧延完了温度T(℃)との関係で下記式(1)を満足する、上記〔1〕の冷延鋼板の製造方法。
0.0015/exp{−6080/(T+273)}≦t≦2.0 (1)
〔3〕前記化学組成が、質量%で、
V:0.010〜0.50%を含有する、
上記〔1〕または〔2〕の冷延鋼板の製造方法。
〔4〕前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.20〜1.0%、
Mo:0.05〜0.50%および
B:0.0010〜0.010から選択される1種以上を含有する、
上記〔1〕〜〔3〕のいずれかの冷延鋼板の製造方法。
〔5〕前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005〜0.010%、
Mg:0.0005〜0.010%、
REM:0.0005〜0.050%および
Bi:0.0010〜0.050%から選択される1種以上を含有する、
上記〔1〕〜〔4〕のいずれかの冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、優れた延性、加工硬化性および伸びフランジ性を有する、引張強度780MPa以上の高張力冷延鋼板を製造することが可能となる。
本発明に係る方法で製造される高張力冷延鋼板における金属組織、化学組成およびそのような鋼板を効率的、安定的かつ経済的に製造するための圧延、焼鈍条件等について以下に詳述する。
1.金属組織
本発明の冷延鋼板は、主相が低温変態生成相であって、残留オーステナイトを含む金属組織を有する。このような金属組織は、引張強度を保ちながら、延性、加工硬化性および伸びフランジ性を向上させるのに好適である。主相が低温変態生成相ではないポリゴナルフェライトであると引張強度および伸びフランジ性の確保が困難となる。
主相とは体積率が最大である相または組織を意味し、主相以外の相および組織を第二相と呼ぶ。低温変態生成相とは、低温変態により生成される相および組織をいい、例えば、マルテンサイト、焼戻しマルテンサイト、ベイナイト、ベイニティックフェライトなどである。ベイニティックフェライトは、ラス状(板状)またはグラニュラー状(塊状)の形態を呈する点および転位密度が高い点でポリゴナルフェライトから区別され、その粒の内部および界面に鉄炭化物が存在しない点でベイナイトから区別される。この低温変態生成相は、2種以上の相または組織、例えば、マルテンサイトとベイニティックフェライトを含んでいてもよい。低温変態生成相が2種以上の相および組織を含む場合は、これらの相および組織の体積率の合計を低温変態生成相の体積率とする。
延性を向上させるためには、残留オーステナイトの全組織に対する体積率は5.0%超であることが好ましい。この体積率はさらに好ましくは6.0%超、特に好ましくは8.0%超、最も好ましくは10.0%超である。一方、残留オーステナイトの体積率が過剰であると伸びフランジ性が劣化する。したがって、残留オーステナイトの体積率は25.0%未満とすることが好ましい。さらに好ましくは18.0%未満、特に好ましくは16.0%未満、最も好ましくは14.0%未満である。
なお、延性と伸びフランジ性のバランスをさらに向上させるためには、残留オーステナイトの平均炭素濃度は0.80%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.84%以上である。一方、残留オーステナイトの平均炭素濃度が過剰になると、伸びフランジ性が劣化する。したがって、残留オーステナイトの平均炭素濃度は1.7%未満が好ましい。さらに好ましくは、1.6%未満、より好ましくは1.4%未満、特に好ましくは1.2%未満である。
マルテンサイト、残留オーステナイトまたはそれらの混合組織(これらを総称して「MA(MA Constituents)」という。)は、円相当粒径1.2μm以上のものが体積率で20%以下であることが好ましい。これは、伸びフランジ性が損なわれる恐れがあるためである。より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。強度確保と伸びの両立の観点からは、1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上である。また、MAの粒径が2μm以上の粗大な粒が多く存在すると、加工硬化性および伸びフランジ性が損なわれるおそれがある。したがって、円相当粒径2μm以上のMAの数密度は20×10−4個/μm以下とするのが好ましい。より好ましくは15×10−4個/μm以下、特に好ましいのは10×10−4個/μm以下である。
延性および加工硬化性をさらに向上させるために、第二相としては、残留オーステナイト以外にポリゴナルフェライトを含んでもよい。ポリゴナルフェライトの全組織に対する体積率は0〜30%とすることが好ましい。より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である。
本発明に係る冷延鋼板の金属組織は、次のようにして測定する。すなわち、低温変態生成相およびポリゴナルフェライトの体積率は、鋼板から試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨し、ナイタールで腐食処理した後、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置においてSEMを用いて金属組織を観察し、画像処理により、低温変態生成相とポリゴナルフェライトの面積率を測定し、面積率は体積率と等しいとして、それぞれの体積率を求める。
MAの体積率はレペラ腐食した試料を用いて、光学顕微鏡による組織観察を行い、画像解析によって、円相当粒径1.2μm以上のMAの合計の面積率を測定した。なお、面積率は体積率と等しいとして求めた。1.2μm以上とするのは、伸びフランジ性へ影響するのが該当する比較的粗大なものであるが故である。また、円相当粒径2μm以上のMAの数密度についても、光学顕微鏡による組織観察を行い、画像解析により求めた。
残留オーステナイトの体積率は、鋼板からXRD測定用試験片を採取し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置まで圧延面を化学研磨した後、X線回折試験を行い、残留オーステナイトの体積分率を測定した。具体的には、X線回折装置にリガク製RINT2500を使用し、Co−Kα線を入射してα相(110)、(200)、(211)回折ピークおよびγ相(111)、(200)、(220)回折ピークの積分強度を測定し、残留オーステナイトの体積分率を求めた。
γ相(111)、(200)、(220)回折ピークの回折角より格子定数dγ(Å)を求め、次式の換算式により、残留オーステナイトの平均炭素濃度Cγ(質量%)を求めた。
Cγ=(dγ−3.572+0.00157×Si−0.0012×Mn)/0.033
なお、本発明では、冷延鋼板の場合は鋼板表面から板厚の1/4深さ位置において、上述の金属組織を規定する。これは、板厚の1/4深さ位置での金属組織が、概ね板厚の深さ方向の全域での金属組織を代表するからである。
以上の金属組織上の特徴に基づいて実現されうる機械特性として、本発明の鋼板は、衝撃吸収性を確保するために、圧延方向と直行する方向において750MPa、好ましくは780MPa以上の引張強度(TS)を有していることが好ましく、さらに好ましくは950MPa、より好ましくは980MPa以上であれば好ましい。さらに980MPa級の鋼板において、TS×u.Elの値が12000MPa%以上、TS×Elの値が20000MPa%以上、穴広げ率λの値が40%以上であることが好ましい。ここでu.Elとは一様伸びのことである。
2.鋼の化学組成
C:0.10%超0.30%未満
C含有量が0.10%以下では低温相主体の金属組織を得ることが困難となる。したがって、C含有量は0.10%超とする。好ましくは0.12%超、さらに好ましくは0.14%超、特に好ましくは0.16%超である。一方、C含有量が0.30%以上では鋼板の伸びフランジ性が損なわれるばかりか溶接性が劣化する。したがって、C含有量は0.30%未満とする。好ましくは0.25%以下、さらに好ましくは0.22%以下、特に好ましくは0.20%以下である。
Si:0.50%超2.50%以下
Siは、延性、加工硬化性および伸びフランジ性を改善する作用を有する。また、オーステナイトの安定性を高める作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。Si含有量が0.50%以下では上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、Si含有量は0.50%超とする。好ましくは0.70%超、さらに好ましくは0.90%超、特に好ましくは1.20%超である。一方、Si含有量が2.50%を超えると鋼板の表面性状が劣化する。さらに、めっき性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は2.50%以下とする。好ましくは2.2%未満、さらに好ましくは2.0%未満、特に好ましくは1.8%未満である。Alを含有する場合は、Siおよびsol.Alの合計含有量が0.60%以上とするのが好ましい、より好ましいのは0.90%以上、特に好ましいのは1.20%以上である。
Mn:1.00%超3.50%以下
Mnは、鋼の焼入性を向上させる作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。Mn含有量が1.00%以下では上記の金属組織を得ることが困難となる。したがって、Mn含有量は1.00%超とする。好ましくは1.20%超、さらに好ましくは1.40%超、特に好ましくは1.50%超である。Mn含有量が過剰となると、熱延鋼板の金属組織において、圧延方向に展伸した粗大な低温変態生成相が生じ、冷延間圧延および焼鈍後の金属組織において粗大な残留オーステナイト粒が増加し、加工硬化性および伸びフランジ性が劣化する。したがって、Mn含有量は3.50%以下とする。好ましくは3.20%未満、さらに好ましくは3.0%未満、特に好ましくは2.80%未満である。
P:0.10%以下
Pは、不純物として鋼中に含有される元素であり、粒界に偏析して鋼を脆化させる。このため、P含有量は少ないほど好ましい。したがって、P含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.050%未満、さらに好ましくは0.020%未満、特に好ましくは0.015%未満である。
S:0.010%以下
Sは、不純物として鋼中に含有される元素であり、硫化物系介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させる。このため、S含有量は少ないほど好ましい。したがって、S含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.005%未満、さらに好ましくは0.003%未満、特に好ましくは0.002%未満である。
sol.Al:1.50%以下
Alは、溶鋼を脱酸する作用を有する。本発明においては、Alと同様に脱酸作用を有するSiを含有させるため、Alは必ずしも含有させる必要はない。すなわち、限りなく0%に近くてもよい。また、Alは、Siと同様にオーステナイトの安定性を高める作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素であるので、この目的で含有させることができる。しかし、sol.Al含有量が高すぎると、アルミナに起因する表面疵が発生しやすくなるばかりか、変態点が大きく上昇し低温変態生成相を主相とする金属組織を得ることが困難となる。したがって、sol.Al含有量は1.50%以下とする。sol.Alは0.0050%以上含有させるのが好ましく、より好ましくは0.020%超、より好ましくは0.10%以上、さらに好ましくは0.12%以上、特に好ましくは0.14%以上である。一方、sol.Alは1.0%未満含有させるのが好ましく、より好ましくは0.80%未満、さらに好ましくは0.50%未満、特に好ましくは0.30%未満とするのが好ましい。脱酸のみを目的として含有させる場合には、sol.Alは0.10%未満とすることが好ましく、より好ましくは0.080%未満、さらに好ましくは0.060%未満である。
N:0.010%以下
Nは、不純物として鋼中に含有される元素であり、延性を劣化させる。このため、N含有量は少ないほど好ましい。したがって、N含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.006%以下であり、さらに好ましくは0.005%以下である。
Ti:0.001〜0.100%
Nb:0.001〜0.050%未満
Ti、Nbは熱間圧延工程で再結晶を抑制することにより加工歪みを増大させ、熱延鋼板の金属組織を微細化する作用を有する。また、炭化物または窒化物として析出し、焼鈍中のオーステナイトの粗大化を抑制する作用を有する。したがって、これらの元素の少なくとも1種を含有させる。これらの効果を得るには、Tiは0.005%以上、Nbは0.005%以上含有させる。しかし、過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。そればかりか、焼鈍時の再結晶温度が上昇し、焼鈍後の金属組織が不均一となり、伸びフランジ性も損なわれる。さらには、炭化物または窒化物の析出量が増し、降伏比が上昇し、形状凍結性も劣化する。したがって、Ti含有量は0.100%未満、Nb含有量は0.050%未満とする。Ti含有量は、好ましくは0.080%未満、さらに好ましくは0.060%未満、より好ましくは0.050%未満、より一層好ましくは0.040%未満、特に好ましくは0.030%未満である。また、Nb含有量は、好ましくは0.040%未満、さらに好ましくは0.030%未満、より好ましくは0.02%未満である。また、Ti含有量の下限は0.010%以上とするのが好ましく、Nb含有量の下限は0.010%以上とするのが好ましい。
V:0〜0.50%
Vは、Ti、Nbと同様に熱間圧延工程で再結晶を抑制することにより加工歪みを増大させ、熱延鋼板の金属組織を微細化する作用を有する。また、炭化物または窒化物として析出し、焼鈍中のオーステナイトの粗大化を抑制する作用を有する。このため、Vを含有させてもよい。しかし、過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。そればかりか、焼鈍時の再結晶温度が上昇し、焼鈍後の金属組織が不均一となり、伸びフランジ性も損なわれる。また、炭化物または窒化物の析出量が増し、降伏比が上昇し、形状凍結性も劣化する。したがって、Vを含有させる場合には、その含有量を0.50%以下とする。V含有量は0.30%以下とするのが好ましく、0.050%未満とするのがより好ましい。上記の効果を十分に得るには、V含有量を0.010%以上とすることが好ましく、0.020%以上とすることがさらに好ましい。
Cr:0〜1.0%
Mo:0〜0.50%
B:0〜0.010%
Cr、MoおよびBは、鋼の焼入性を向上させる作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。したがって、これらの元素の1種以上を含有させてもよい。しかしながら、これらの元素を過剰に含有させても上記の効果が飽和して不経済となる。したがって、これらの元素を含有させる場合には、C含有量は1.0%以下、Mo含有量は0.50%以下、B含有量は0.010%以下とする。Cr含有量は好ましくは0.50%以下であり、Mo含有量は好ましくは0.10%以下であり、B含有量は好ましくは0.0030%以下である。上記の効果を十分に得るには、Crは0.20%以上、Moは0.05%以上およびBは0.0010%以上含有させるのが好ましい。
Ca:0〜0.010%
Mg:0〜0.010%
REM:0〜0.050%
Bi:0〜0.050%
Ca、MgおよびREMは介在物の形状を調整することにより、Biは凝固組織を微細化することにより、いずれも伸びフランジ性を改善する作用を有する。したがって、これらの元素の1種以上を含有させてもよい。しかしながら、これらの元素を過剰に含有させても上記の効果が飽和して不経済となる。したがって、Ca含有量は0.010%以下、Mg含有量は0.010%以下、REM含有量は0.050%以下、Bi含有量は0.050%以下とする。好ましくは、Ca含有量は0.0020%以下、Mg含有量は0.0020%以下、REM含有量は0.0020%以下、Bi含有量は0.010%以下である。上記の効果を十分に得るには、Caは0.0005%以上、Mgは0.0005%以上、REMは0.0005%以上およびBiは0.0010%以上含有させるのが好ましい。なお、REMとは希土類元素を意味し、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REM含有量はこれらの元素の合計含有量である。
本発明方法によって得られる冷延鋼板の化学組成は、上記の各元素をそれぞれ規定される範囲で含み、残部はFeおよび不純物からなるものである。不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。
3.製造条件
(1)熱間圧延工程
まず、上記の化学組成を有する鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」と呼ぶ。)を1100〜1280℃加熱する。加熱温度が1100℃未満ではAr3点以上の仕上温度を確保することが一般に困難であり、1280℃を超えると、加熱コストの増大やスケールロスによる歩留り低下を招く。したがって、スラブの加熱温度は、1100〜1280℃とする。
熱間圧延を施す設備は、リバースミルおよびタンデムミルのいずれであってもよい。工業的生産性の上からは、少なくとも最終の数段はタンデムミルを用いるのが好ましい。
続いて、上記の温度に加熱したスラブを、仕上温度がAr点以上で、かつ850〜950℃の温度域となる条件で熱間圧延する。本発明は、熱間圧延によりオーステナイト結晶粒内に歪を蓄積させ、蓄積された歪の解放を熱間圧延後の冷却によって抑制し、所定の低温域になった段階でこの歪を駆動力として、オーステナイトからフェライトへの変態を一気に促進させることにより、結晶粒の微細化を図るものである。したがって、熱間圧延をオーステナイト域で行う必要があるので、仕上げ温度はAr以上で、かつ850〜950℃とする。なお、上記温度は鋼板の表面温度であり、放射温度計等によって測定することができる。
熱間圧延における総圧下率は、フェライトの微細化を促進するため板厚減少率で90%以上とすることが好ましい。さらに、好ましくは92%、特に好ましくは94%以上である。同様の観点から、圧延完了温度以上(圧延完了温度+100℃)以下の温度域における板厚減少率は40%以上とすることが好ましく、圧延完了温度以上(圧延完了温度+80℃)以下の温度域における板厚減少率を60%以上とすることがさらに好ましい。
熱間圧延における1150〜1050℃の温度域における板厚減少率は40%以上とすることが好ましい。これは、NbまたはTiの析出を抑え、冷延焼鈍時のγ粒微細化を促進するためである。さらに好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上、より一層好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上である。
熱間圧延を多パス圧延により実施する場合、1パス当たりの板厚減少率を15%以上とすることにより、オーステナイトへの歪みを効率的に蓄積させることができ、熱間圧延後常温迄の冷却過程においてオーステナイトからフェライトへと変態させることで組織の微細化を図ることが容易になる。したがって、1パス当たりの板厚減少率は15%以上とすることが好ましい。また、1パス当たりの板厚減少率を60%以下とすることにより、圧延荷重の過度な増大が抑制されるので、圧延設備の大型化を避けることが可能になるばかりでなく、板形状の制御も容易になる。したがって、1パス当たりの板厚減少率は60%以下とすることが好ましい。本発明によれば、1パス当たりの板厚減少率を50%以下とした複数パスの圧延でも微細なフェライト結晶粒を得ることができる。したがって、特に板形状の制御を容易にしたいときには、最終の2パスの板厚減少率を45%/パス以下とすることが好ましい。
最終圧延パスにおける圧延開始と、最終圧延パスの直前パスにおける圧延完了との間の時間t(秒)は、最終圧延パスの直前パスにおける圧延完了温度T(℃)との関係で下記式(1)を満足するのが好ましい。
0.0015/exp{−6080/(T+273)}≦t≦2.0 (1)
上記時間tを0.0015/exp{−6080/(T+273)}以上とすることによりオーステナイトの再結晶を促進させることができ。一方、上記時間tを2.0以下とすることによりオーステナイトの粒成長を抑制させて、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を鈍化させる熱延鋼板の集合組織の発達を抑制して再結晶促進効果を高めつつ結晶粒の微細化を達成できる。オーステナイトの再結晶を促進し、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上、特に異方性の向上の観点からは、上記時間tは0.0018/exp{−6080/(T+273)}以上とすることが好ましく、0.002/exp{−6080/(T+273)}以上とすることが更に好ましい。上記時間tは、1.5秒以下とすることが好ましく、1.0秒以下とすることが更に好ましい。
上記の方法で得られた熱延鋼板は、熱間圧延完了後0.5秒以内に冷却を開始し、平均冷却速度が200℃/秒以上となる条件で(熱間圧延仕上げ温度−50)〜750℃の温度域まで冷却される(以下、「第一冷却」と呼ぶ。)。
熱間圧延により加えられる歪の板厚方向の分布は、板厚中心部から鋼板表面に向かうにしたがって大きくなるが、粒成長性の高い極低炭素鋼においては鋼板表面近傍領域における歪が極めて容易に解放されてしまう。しかし、熱間圧延完了後、極めて短時間で(熱間圧延仕上げ温度−50)〜750℃の温度域まで急冷(平均冷却速度:200℃/秒以上)すれば、熱間圧延によりオーステナイトに導入された加工歪みの解放が抑制されるため、後述の2次冷却停止後に、この歪みを駆動力としてオーステナイトからフェライトへと一気に変態させることができ、その結果、組織を微細化することができる。
よって、熱間圧延完了から冷却開始までの時間は、0.5秒以内とする。熱間圧延完了から冷却開始までの時間は、0.4秒以内とするのが好ましく、0.3秒以内とするのがより好ましい。特に、オーステナイトの加工歪の解放を抑え、フェライトの核生成をさらに促進させ、組織の微細化を促進する点からは、熱間圧延完了から冷却開始までの時間は、0.1秒未満とするのがよい。より好ましくは0.05秒以下、さらに好ましくは0.02秒未満である。
なお、第一冷却の平均冷却速度が遅すぎると、鋼板表面近傍領域における歪が開放され、組織の微細化ができないため、平均冷却速度は200℃/秒以上とする。また、第一冷却の冷却停止温度が、(熱間圧延仕上げ温度−50)℃を超えると、鋼板表面近傍領域における歪が開放され、組織の微細化ができない。一方、750℃未満の場合は、フェライト変態が高温域において進行してしまうため、組織の微細化ができなくなる。したがって、(熱間圧延仕上げ温度−50)〜750℃の温度域まで急冷することが重要である。
第一冷却の冷却停止後0.3〜2.0秒放冷し、平均冷却速度が30℃/秒以上となる条件で700℃以下まで冷却される(以下、「第二冷却」と呼ぶ。)。
第一冷却停止から第二冷却開始までの時間を0.3秒以上とすることにより、冷却の温度ばらつきを軽減させることができ、材料の特性の均一性が向上する。また、この時間を利用して、板厚、板形状、板温等の計測を行えば、加速圧延を行うことが可能になり、生産性が飛躍的に高まる。この間、大気放冷でもよく、空冷でもよい。第一冷却停止から第二冷却開始までの時間は、0.4秒以上とするのが好ましい。一方、第一冷却停止から第二冷却開始までの時間が2.0秒間を超えると、熱間圧延によりオーステナイトに導入された加工歪みが解放されてしまい、組織の微細化を図ることが困難になる。したがって、上記水冷停止の時間は2.0秒間以下とする。好ましくは1.5秒間未満である。
2次冷却は平均冷却速度30℃/秒以上で700℃以下とすることにより、歪みを駆動力としてオーステナイトからフェライトへと一気に変態させることができ、その結果、組織を微細化することができる。700℃以下への冷却時の平均冷却速度が30℃/秒未満の場合、熱間圧延によりオーステナイトに導入された加工歪みが解放されてしまい、組織の微細化を図ることが困難になる。よって、二次冷却においては、第一冷却停止後0.3〜2.0秒以内に冷却を開始し、平均冷却速度が30℃/秒以上となる条件で700℃以下まで冷却することとした。上記平均冷却速度は50℃/秒以上であることが好ましく、100℃/秒以上であることがより好ましい。また、冷却停止温度は680℃以下が好ましい。
巻取りは、600℃未満の温度域で行う。巻取温度が600℃以上になると、巻取り後の徐冷中に、TiまたはNbの窒化物または炭化物が粗大析出するだけでなく、結晶粒が粗大化したり、粗大な鉄炭化物が析出したりして、冷間圧延および焼鈍後の冷延鋼板において所望の組織を得ることができない。その結果、延性および穴広げ性の低下原因となる。また、表面疵の発生およびスケールロスによる歩留り低下といった問題が生じる場合がある。したがって、巻取温度は600℃未満とする必要がある。好ましくは550℃以下である。
なお、二次冷却後巻取りまでの間の熱履歴には制約がない。しかし、600〜700℃は、フェライト変態が活発化するフェライト変態温度域であり、この間の鋼板温度を適切に管理することが好ましい。すなわち、二次冷却において、700℃以下の任意温度で冷却を停止するか、冷却速度を20℃/秒以下に鈍化させ、上記のフェライト変態温度域で1秒間以上放冷するのが好ましい。これにより、熱的に安定なフェライト結晶粒組織を形成しやすくなる。その後、20℃/秒以上の平均冷却速度で巻取り温度まで冷却することによって、上記の熱的に安定なフェライト結晶粒組織をより確実に得ることができる。特に、620〜700℃の温度域で2秒間以上放冷することが好ましい。また、放冷後は、30℃/秒以上の平均冷却速度で巻取り温度まで冷却するのがよい。
前記熱延鋼板に冷間圧延を施して得た冷延鋼板には、必要に応じて公知の方法に従って脱脂等の処理が施された後、所定の熱処理が施される。この熱処理は、冷延鋼板を700℃から加熱停止までの平均昇温速度が1℃/秒以上となる条件で(Ac点−40)〜900℃の温度域に加熱し、その温度域で保持するものである。
熱処理における保持温度(均熱温度)を(Ac点−40)以上とするのは、金属組織を、主相が低温変態生成相であり、残留オーステナイトを含むものとするためである。低温変態生成相の体積率を増加させ、伸びフランジ性を向上させるためには、上記の保持温度は(Ac点−20℃)を超える温度とすることが好ましく、Ac点を超える温度とすることがより好ましい。しかし、上記の保持温度が高くなり過ぎると、オーステナイトが過度に粗大化して、ベイナイト変態が遅延するため延性、加工硬化性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、均熱温度の上限は、900℃以下とする。微細なポリゴナルフェライトの生成を促進し、延性および加工硬化性を向上させるためには、880℃以下とするのが好ましく、860℃以下とするのがより好ましい。
上記の保持時間(均熱時間)には特に制約がないが、安定した機械特性を得るためには、15秒を超える時間とすることが好ましく、60秒を超える時間とすることがより好ましい。一方、保持時間が長くなりすぎると、オーステナイトが過度に粗大化して、延性、加工硬化性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、保持時間は、150秒未満とするのが好ましく、120秒未満とするのがより好ましい。
再結晶を促進して焼鈍後の金属組織を均一化し、伸びフランジ性を向上させるためには、平均昇温速度を1.0℃/秒以上とする必要がある。ここで、平均昇温速度とは、冷延鋼板を(Ac点−40)〜900℃の温度域に加熱、保持するに際し、700℃から加熱停止温度までの平均昇温速度を意味する。この平均昇温速度が1℃/秒を下回るとオーステナイト粗大化が進行して、ベイナイト変態が遅延する。その結果、残留オーステナイトの生成が不十分となり延性が低下し、しかも、粗大MAの生成が顕著となり、穴広げ性が劣化する。この平均昇温速度が高すぎると、いたずらに加熱コストが著しく嵩み生産性を阻害するため、10.0℃/秒未満とすることが好ましい。より好ましいのは8.0℃/秒未満であり、更に好ましいのは5.0℃/秒未満である。
上記の熱処理後には、低温変態生成相を主相とする金属組織を得るために、(Ar−60)℃から冷却停止までの平均冷却速度が30℃/秒以上となる条件で200〜450℃の温度域まで冷却する必要がある。この冷却停止温度が450℃を超えると、低温変態相の体積率が低下し、所定の機械特性が得られず、また、200℃未満では、その後の工程で残留オーステナイトが得られないからである。上記の平均冷却速度が速いほど、低温変態生成相の体積率が高まるので、平均冷却速度を35℃/秒超とするのが好ましく、45℃/秒超とするのがより好ましい。一方、平均冷却速度が速すぎると、鋼板の形状が損なわれるので、200℃/秒以下とすることが好ましい。150℃/秒未満とすることがより好ましく、130℃/秒未満とすることがさらに好ましい。冷却停止の下限温度は、230℃以上が好ましく、より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは330℃以上、特に好ましくは360℃、最も好ましくは370℃である。保持温度の上限は440℃とすることが好ましく、430℃とすることがより好ましい。
冷却停止後は、300〜450℃の温度域で保持する必要がある。これは、残留オーステナイトを得るためである。残留オーステナイトの安定性を高めて、延性、加工硬化性および伸びフランジ性を向上させるためには、保持温度の下限を360℃とすること、更には370℃とするのが好ましく、保持温度の上限を440℃とすること、さらには、430℃とすることが好ましい。なお、300〜450℃の温度域で保持する工程は、冷却停止後、そのまま行ってもよいし、一旦、加熱した後に行ってもよい。
上記の温度域での保持時間には特に制約がないが、30秒以上とすることが好ましい。保持時間を長くするほど、残留オーステナイトの安定性が高まるので、保持時間を60秒以上とすることがより好ましい。120秒以上とすることがさらに好ましく、300秒超とすることが特に好ましい。
上記の熱処理(焼鈍)は、連続式でも、バッチ式でもよい。また、連続溶融亜鉛めっきラインを用いて熱処理を行った後、溶融亜鉛めっきもしくは合金化溶融亜鉛めっきを行ってもよい。また、熱処理後の鋼板に電気めっき、たとえば亜鉛系めっき(純亜鉛めっきおよびZn−Ni合金めっきのような亜鉛合金めっきを包含する)を施してもよい。これらのめっきはいずれも常法にしたがって行えばよい。
電気めっき鋼板を製造する場合には、上述した方法で製造された冷延鋼板に、必要に応じて表面の清浄化および調整のための周知の前処理を施した後、常法に従って電気めっきを行えばよく、めっき被膜の化学組成および付着量は限定されない。電気めっきの種類として、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。
溶融めっき鋼板を製造する場合には、上述した方法で焼鈍工程まで行い、必要に応じて鋼板を加熱してから、めっき浴に浸漬し溶融めっきを施す。溶融めっき後に加熱して合金化処理を行ってもよい。めっき被膜の化学組成および付着量は限定されない。溶融めっきの種類として、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。
めっき鋼板は、その耐食性をさらに高めるために、めっき後に適当な化成処理を施してもよい。化成処理は、従来のクロメート処理に代わって、ノンクロム型の化成処理液(例えば、シリケート系、リン酸塩系など)を用いて実施することが好ましい。
このようにして得られた冷延鋼板(表面をめっきした鋼板を含む。)には、常法にしたがって調質圧延を行ってもよい。しかし、調質圧延の伸び率が高いと延性の劣化を招くので、調質圧延の伸び率は1.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましい伸び率は0.5%以下である。
実験用真空溶解炉を用いて、表1に示される化学組成を有する鋼を溶解し、鋳造して鋼塊を得た。これらの鋼塊を、熱間鍛造により厚さ40mmの鋼片とした。これらの鋼片を、電気加熱炉を用いて1200℃に加熱し、60分間保持した後、実験用熱間圧延機を用いて、表2に示される条件で熱間圧延を行った。巻取りの熱履歴は、巻取温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの平均冷却速度で室温まで炉冷却し、巻取後の徐冷を模擬した。
得られた熱延鋼板を酸洗して冷間圧延母材とし、板厚減少率50%で冷間圧延を施し、厚さ1.0mmの冷延鋼板を得た。連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板を、表3の熱処理条件による焼鈍を行った。過時効処理相当の熱処理を施した後、室温まで冷却して焼鈍鋼板を得た。
Figure 0006417841
Figure 0006417841
Figure 0006417841
<金属組織の確認>
焼鈍鋼板から、SEM観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨した後、ナイタールで腐食処理し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における金属組織を観察し、画像処理により、低温変態生成相およびポリゴナルフェライトの体積分率を測定した。MAの体積率の合計は、鏡面研磨した鋼板をレペラ腐食液により腐食し、光学顕微鏡による観察と画像解析によって行った。
一方、焼鈍鋼板から、XRD測定用試験片を採取し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置まで圧延面を化学研磨した後、X線回折試験を行い、残留オーステナイトの体積分率および平均炭素濃度を測定した。具体的には、X線回折装置にリガク製RINT2500を使用し、Co−Kα線を入射してα相(110)、(200)、(211)回折ピークおよびγ相(111)、(200)、(220)回折ピークの積分強度を測定し、残留オーステナイトの体積分率を求めた。また、γ相(111)、(200)、(220)回折ピークの回折角より格子定数dγ(Å)を求め、次式の換算式により、残留オーステナイトの平均炭素濃度Cγ(質量%)を求めた。
Cγ=(dγ−3.572+0.00157×Si−0.0012×Mn)/0.033
さらに、焼鈍鋼板から、EBSP測定用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を電解研磨した後、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置において金属組織を観察し、画像解析により、ポリゴナルフェライトの体積率を求めた。
焼鈍鋼板から圧延方向と直行する方向に沿ってJIS5号引張試験片を採取し、JISZ2241(2011)に準拠して、引張試験を行った。伸びフランジ性は、日本鉄鋼連盟規格JFST1001に規定する穴拡げ試験を行い、穴拡げ率(λ)を測定することにより評価した。
表4に焼鈍後の冷延鋼板の金属組織観察結果および性能評価結果を示す。なお、それぞれの性能は、それぞれ下記の条件を満たす場合に良好であると判断した。
TS:750MPa以上
YR:0.60以上
λ:40%以上
TS×u.El:12000MPa%以上
TS×El:20000MPa%以上
Figure 0006417841
表4に示すように、本発明で規定される条件を全て満足する鋼板(試験番号1〜15)では、一様伸び(u.El)、全伸び(El)、穴広げ性(λ)が高く、優れた良好な延性、伸びフランジ性を示すとともに、降伏比も高い値が得られた。一方、化学組成が本発明で規定される範囲外である鋼板(試験番号16、17)、製造条件が本発明で規定される範囲外である鋼板(試験番号18〜20)では、延性、伸びフランジ性、降伏比のいずれかもしくは全てが劣っていた。
本発明によれば、優れた延性、加工硬化性および伸びフランジ性を有する、引張強度780MPa以上の高張力冷延鋼板を製造することが可能となる。

Claims (5)

  1. 下記の工程(A)〜(C)を備える、主相が低温変態生成相であり、残留オーステナイトを含む金属組織を有し、引張強度TS:750MPa以上、降伏比YR:0.60以上、穴広げ率λ:40%以上、引張強度TSと一様伸びu.Elとの積(TS×u.El):12000MPa%以上、引張強度TSと全伸びElとの積(TS×El):20000MPa%以上である冷延鋼板の製造方法:
    (A)化学組成が、質量%で、
    C:0.10%超0.30%未満、
    Si:0.50%超2.50%以下、
    Mn:1.00%超3.50%以下、
    P:0.10%以下、
    S:0.010%以下、
    sol.Al:1.50%以下および
    N:0.010%以下と、
    Ti:0.001〜0.100%未満および
    Nb:0.001〜0.050%未満から選択される少なくとも一種と、
    V:0〜0.50%、
    Cr:0〜1.0%、
    Mo:0〜0.50%、
    B:0〜0.010%、
    Ca:0〜0.010%、
    Mg:0〜0.010%、
    REM:0〜0.050%および
    Bi:0〜0.050%と、
    残部:Feおよび不純物とからなるスラブを1100〜1280℃に加熱し、仕上温度がAr点以上で、かつ850〜950℃の温度域となる条件で熱間圧延し、
    熱間圧延完了後0.5秒以内に冷却を開始し、平均冷却速度が200℃/秒以上となる条件で(熱間圧延仕上げ温度−50)〜750℃の温度域まで冷却し、
    0.3〜2.0秒放冷し、平均冷却速度が30℃/秒以上となる条件で700℃以下まで冷却した後、
    600℃未満の温度域で巻取り、熱延鋼板を得る工程;
    (B)前記熱延鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板を得る工程および
    (C)前記冷延鋼板を、700℃から加熱停止までの平均昇温速度が1℃/秒以上となる条件で(Ac点−40)〜900℃の温度域に加熱し、その温度域で保持し、(Ar−60)℃から冷却停止までの平均冷却速度が30℃/秒以上となる条件で200〜450℃の温度域まで冷却した後、300〜450℃の温度域で保持する工程。
  2. 前記(A)の工程において、最終圧延パスにおける圧延開始と、最終圧延パスの直前パスにおける圧延完了との間の時間t(秒)が、最終圧延パスの直前パスにおける圧延完了温度T(℃)との関係で下記式(1)を満足する、請求項1に記載の冷延鋼板の製造方法。
    0.0015/exp{−6080/(T+273)}≦t≦2.0 (1)
  3. 前記化学組成が、質量%で、
    V:0.010〜0.50%を含有する、
    請求項1または2に記載の冷延鋼板の製造方法。
  4. 前記化学組成が、質量%で、
    Cr:0.20〜1.0%、
    Mo:0.05〜0.50%および
    B:0.0010〜0.010から選択される1種以上を含有する、
    請求項1から3までのいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
  5. 前記化学組成が、質量%で、
    Ca:0.0005〜0.010%、
    Mg:0.0005〜0.010%、
    REM:0.0005〜0.050%および
    Bi:0.0010〜0.050%から選択される1種以上を含有する、
    請求項1から4までのいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
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