以下、本発明の実施形態を図1〜図5を用いて説明する。まず、第1の実施形態を図1〜図4を用いて説明する。そして、各実施形態では、モーター制御装置100を含む電子写真方式の複合機101(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機101の概略構成)
まず、図1を用いて、第1の実施形態に係る複合機101の概略を説明する。図1は、複合機101の概略構成を示す模型的断面図である。
本実施形態にかかる複合機101は、図1に示すように上部に設けられた原稿搬送装置3aを含む。そして、複合機101の正面前方には、複合機101に対し入力、設定を受け付ける操作パネル3bが設けられる(図1において破線で図示)。又、複合機101は、本体内に、画像読取部3c、給紙部4、搬送路5、画像形成部6、定着部6bなどを含む。
まず、原稿搬送装置3aは、画像の読み取りを行う原稿を画像読取部3cの上面の送り読取用コンタクトガラス31(読み取り位置)にむけて、自動かつ連続的に原稿を搬送する。原稿搬送装置3aの下方の画像読取部3cの内部には、露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ等の光学系部材が設けられる(不図示)。
操作パネル3bは、複合機101に対し、指示、設定のための入力を行う部分である。図1に示すように、操作パネル3bは、設定用の各種キーが示される設定画面等を表示し、タッチパネル式の液晶表示部33を含む。又、操作パネル3bは、テンキー部34や、コピーやスキャンを実行する際に押されるスタートキー35などを備える。
画像読取部3cの上面の左側には、送り読取用コンタクトガラス31が、右側に載置読取用コンタクトガラス32が配される。そして、送り読取用コンタクトガラス31を通過する原稿や、載置読取用コンタクトガラス32に載置された原稿に対し、露光ランプが光を照射し、原稿の反射光をミラー、レンズでイメージセンサに導く。そして、イメージセンサは、各画素について光信号を電気信号に変換し、原稿の画像データが得られる。
給紙部4は、複合機101の最下部に設けられ、レジストローラー対55や画像形成部6等に向け、例えば、コピー用紙、OHP用紙、ラベル用紙等の用紙Pの供給を行う。給紙部4は、カセット41、42、給紙ローラー43(回転体に相当)、給紙ローラー44(回転体に相当)等で構成される。カセット41、42は、本実施形態では2段重ねて設けられ、それぞれ複数の各サイズ、各種の用紙Pを積載し収容する。そして、各給紙ローラー43、44は、最上位の用紙Pと接し、複合機101に対して画像を形成する旨の入力がなされると、所定の方向(図1では反時計方向)に回転駆動し、1枚ずつ用紙Pを搬送路5に送り出す。
搬送路5は、給紙部4から供給された用紙Pを、排出トレイ51まで搬送する通路である。搬送路5には、装置内部で用紙Pの搬送を行うために、搬送ローラー対52(回転体に相当)、搬送ローラー対53(回転体に相当)、搬送ローラー対54(回転体に相当)(図1において、上流側から順に符号を付す)、レジストローラー対55(回転体に相当)、排出ローラー対56(回転体に相当)、その他ガイド部材等が設けられる。又、搬送路5の経路上に画像形成部6や定着部6bが設けられる。搬送ローラー対52〜54は、回転駆動し、用紙Pの搬送を行う(詳細は後述)。
レジストローラー対55は、画像形成部6よりも用紙搬送方向上流側に設けられ、搬送されてきた用紙Pが突き当てられ、用紙Pを撓ませた後、回転駆動する。そして、レジストローラー対55は、画像形成部6で形成されたトナー像にタイミングをあわせて用紙Pを送り出す。
画像形成部6は、画像読取部3cで得られた画像データやコンピューター200等から送信される画像データに基づきトナー像を形成する。そして、画像形成部6は、用紙Pにトナー像を転写する。具体的に、画像形成部6は、感光体ドラム61と、感光体ドラム61の周囲に配設された帯電装置62、現像装置63、露光装置64、転写ローラー65、クリーニング装置66等を備える。
感光体ドラム61は、画像形成部6の略中心に設けられる。感光体ドラム61は、同図中に示す矢印方向に回転可能に支持される。帯電装置62は、感光体ドラム61の上方に設けられ、感光体ドラム61の表面を所定電位に帯電させる。露光装置64は、例えば、レーザ光で画像データに基づき感光体ドラム61を走査、露光するユニットである。露光装置64は、感光体ドラム61表面にレーザー光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置63は、感光体ドラム61の右方に設けられ、トナーを帯電させ、感光体ドラム61上の静電潜像にトナーを供給して現像する。
そして、感光体ドラム61の下方に転写ローラー65が設けられる。転写ローラー65は感光体ドラム61に圧接する。印刷時等には、感光体ドラム61と転写ローラー65は回転し、用紙Pを搬送する。又、レジストローラー対55から送り出された用紙Pは感光体ドラム61と転写ローラー65のニップに進入する。この進入、通過のとき、転写ローラー65に所定の電圧が印加される。これにより、感光体ドラム61上に形成されたトナー像が、用紙Pに転写される。クリーニング装置66は、転写の終了後、次のトナー像形成のため、感光体ドラム61の表面に残留するトナーを清掃する。
定着部6bは、用紙Pに転写されたトナー像の定着を行う。本実施形態の定着部6bは、主として、発熱源が内蔵される加熱ローラー67と加圧ローラー68とで構成される。加圧ローラー68は、加熱ローラー67に圧接する。そして、加熱ローラー67と加圧ローラー68は回転し、ニップに進入した用紙Pを搬送する。トナー像が転写された用紙Pは、加熱ローラー67と加圧ローラー68のニップ通過時に加熱・加圧される。これにより、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙Pに定着する。尚、定着後の用紙Pは、排出ローラー対56の回転に伴い排出部57(用紙排出口)から排出トレイ51に排出され、1枚の画像形成処理が完了する。
(複合機101のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、第1の実施形態に係る複合機101のハードウェア構成を説明する。図2は、複合機101の一例を示すブロック図である。
まず、図2に示すように、本体内に、複合機101全体の動作の制御のため、CPU71等を含む主制御部7を有する。CPU71は、中央演算処理装置として機能し、記憶部72に記憶されるプログラム、データに基づき、各種演算を行い、複合機101の各部を制御する。
記憶部72は、例えば、RAM、HDD、ROMやフラッシュROM等のメモリで構成され、主制御部7と接続される。RAMは、揮発性のメモリであり制御用プログラムや制御用データを一時的に展開する場合や、画像データを一時的に保存しておく場合などに用いられる。HDDは、大容量の不揮発性の記憶装置であって、制御用プログラムや、画像データの保存や、使用者による複合機101の設定情報を保存する場合などに使用される。ROMやフラッシュROMは、複合機101の制御用プログラムや制御用データ等を記憶する。そして、CPU71は、制御のため記憶部72からプログラムやデータを読み出して制御を行う。
そして、主制御部7は、複合機101を構成する原稿搬送装置3a、画像読取部3c、I/F部73等と通信可能に接続され、記憶部72に記憶されたプログラム等に基づき、各部の動作を制御する。
又、I/F部73は、コンピューター200(例えば、パーソナルコンピュータやサーバー)と直接又はネットワークを介して接続するためのコネクタ、ソケットを備える。又、相手方のFAX装置300と通信するためのモデムなどを備える。これにより、複合機101は、コンピューター200から送信された画像データを受け取り、印刷を行うことができる(プリンタ機能)。又、画像読取部3cで読み取られた画像データをコンピューター200に送信することもできる(スキャナ機能)。又、相手方FAX装置300と画像データを送受信することもできる(FAX機能)。
又、主制御部7は、トナー像形成を制御するエンジン制御部8と通信可能に接続される。エンジン制御部8は、給紙部4、搬送路5、画像形成部6、定着部6b等と接続され、主制御部7の指示に基づき、各部のモーターの回転の制御やトナー像形成を制御する。
エンジン制御部8は、給紙部4、搬送路5、画像形成部6、定着部6bの制御を行うエンジンCPU80(モーター制御部に相当)や、エンジンCPU80が処理するプログラムやデータを記憶するエンジン記憶部81を含む。エンジンCPU80は、エンジン記憶部81が記憶するプログラムやデータに基づき、給紙部4、搬送路5、画像形成部6、定着部6bの動作を制御する。例えば、エンジン制御部8(エンジンCPU80)は、感光体ドラム61や画像形成部6に含まれる各種ローラー、回転体を回転させるメインモーター69aや、定着部6bの加熱ローラー67と加圧ローラー68を回転させる定着モーター69bの回転のON/OFFや回転速度など、回転制御を行う。
(モーター制御装置100(搬送装置102)のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、第1の実施形態の用紙搬送に係るモーター制御装置100(搬送装置102)のハードウェア構成を説明する。図3は、用紙搬送に係るモーター制御装置100(搬送装置102)の一例を示すブロック図である。尚、図3では、伝達される駆動力を白抜矢印で図示している。
まず、本実施形態に係るモーター制御装置100は、複数のモーター部(第1モーター部1と第2モーター部2)とエンジンCPU80を含む。モーター制御装置100は、この複数のモーター部を用いて機内での用紙搬送を行う。本説明では、モーター制御装置100が2つのモーター部を含み、制御する例を説明する。そして、以下の説明では、モーター制御装置100での一方のモーター部を第1モーター部1と称し、他方のモーター部を第2モーター部2と称する。尚、本実施形態での第1モーター部1と第2モーター部2は、同じ仕様、形式のものとして説明するが、第1モーター部1と第2モーター部2は異なる仕様であってもよい。
そして、エンジンCPU80と、複数のモーター部(第1モーター部1と第2モーター部2)と、用紙Pを搬送する複数の回転体(給紙ローラー43、給紙ローラー44、搬送ローラー対52、搬送ローラー対53、搬送ローラー対54、排出ローラー対56、レジストローラー対55等)で用紙Pを搬送する搬送装置102(給紙部4、搬送路5)が構成される。そして、本実施形態の複合機101は、このモーター制御装置100及び搬送装置102を含む。
又、モーター制御装置100において、第1モーター部1と第2モーター部2の制御を、本実施形態では、エンジンCPU80が行う。尚、エンジンCPU80ではなく、主制御部7のCPUが制御しても良い。言い換えると、複合機101のエンジンCPU80等がモーター制御装置100や用紙搬送を行う搬送装置102の一部として機能する。
エンジンCPU80は、複数のポート9を有する。エンジンCPU80は、本実施形態では、第1モーター部1、第2モーター部2を制御するために、4つのポート9(91〜94)を含む。
4つのポート9のうち、第1ポート91(出力ポートに相当)は、モーターを回転させるか否か(モーターの回転が有効か否か)を示すEnable信号S1(第1信号に相当)を出力する。又、第2ポート92(駆動信号用ポートに相当)は、モーター10の回転速度を決める(定める)第1Clock信号S2(駆動信号に相当)を出力する。又、第3ポート93(駆動信号用ポートに相当)は、モーター20の回転速度を決める第2Clock信号S3(駆動信号に相当)を出力する。又、第4ポート94(入力ポートに相当)には、最終段のモーター部が発し、モーターの回転が安定したことを示す第2Ready信号S6(第2信号に相当)が入力される。
そして、第1モーター部1は、例えば、モーター10、第1信号入力部11、第2信号出力部12を含む。第1モーター部1は複数のモーター部のうち、先頭のモーター部であり、第2モーター部2に対し前段のモーター部に相当する。又、モーター10は、複合機101の内部に設けられる電源装置82からの電力の供給を受け回転するモーター本体である。本実施形態では、モーター10は、DCブラシレスモーターであり、第1モーター部1の基板に実装される。
尚、電源装置82は、商用電源と接続される。そして、電源装置82は、内部に整流回路や平滑回路等を内蔵し、複合機101内の各部に供給する複数種の電圧を生成する。例えば、電源装置82は、複合機101内の各種モーターへの供給のため、DC24Vを生成し、第1モーター部1や第2モーター部2やメインモーター69aや定着モーター69b等に供給する。又、例えば、電源装置82は、DC5Vや3.3V等の制御素子や電子回路に供給するための電圧を生成し、主制御部7、エンジン制御部8、操作パネル3b、I/F部73等に供給する。
第1モーター部1の第1信号入力部11は、エンジンCPU80からEnable信号S1を受ける。第1信号入力部11は、Enable信号S1がモーターを回転させる旨の状態であるとき、第1信号入力部11は、電源装置82とモーター10とを電気的に接続する。これにより、第1モーター部1のモーター10(DCブラシレスモーター)に対し、電力が供給される状態となる。
第1モーター部1のモーター10は、エンジンCPU80から第1Clock信号S2を受ける。モーター10は、入力される第1Clock信号S2の周波数に応じた速度で回転する。
第1モーター部1の第2信号出力部12は、モーター10の回転が安定したか否かを示す信号を出力する。第2信号出力部12は、例えば、複数のホール素子を含み、モーター10内のローターの位置検知を行って、本体部の回転速度が第1Clock信号S2で規定される所望の回転速度で安定すると、安定した状態になった旨を示す信号を出力する(第1Ready信号S4)。
次に、第1モーター部1が駆動力を供給する部分を説明する。第1モーター部1は、例えば、用紙搬送における前半部分の駆動力供給を担当し、給紙ローラー43、給紙ローラー44、搬送ローラー対52、搬送ローラー対53に対して駆動力を供給する。この駆動力供給のため、複数のギアからなるギア列(不図示)が複合機101内部に設けられる。
尚、給紙ローラー43、給紙ローラー44を回転させ続けると、紙間なしに用紙Pが送り出される。そこで、給紙ローラー43の回転のON/OFFを制御するために電磁クラッチ43aが設けられる。又、給紙ローラー44の回転のON/OFFを制御するために電磁クラッチ44aが設けられる。例えば、エンジンCPU80が、各電磁クラッチ(電磁クラッチ43a、電磁クラッチ44a)の連結と開放による給紙の制御を行う。
次に、第2モーター部2を説明する。第2モーター部2は、第1モーター部1の後段のモーター部に相当する(複数のモーター部のうち最終段のモーター部でもある)。そして、第2モーター部2は、第1モーター部1と同様、例えば、モーター20、第1信号入力部21、第2信号出力部22を含む。
モーター20は、複合機101の内部に設けられる電源装置82からの電力の供給を受け回転するモーター本体である。本実施形態では、モーター20も、DCブラシレスモーターであり、第2モーター部2の基板に実装される。又、電源装置82は、複合機101内の各種モーター部への供給のため、DC24Vを生成し、第2モーター部2にも電力を供給する。
第2モーター部2の第1信号入力部21は、第1モーター部1と異なり、エンジンCPU80からEnable信号S1を受けず、第1モーター部1の第2信号出力部12の出力を受ける(第1Ready信号S4が入力される)。第1信号入力部21は、第1Ready信号S4の状態がモーター10の回転速度が安定したことを示す状態になると、電源装置82とモーター20とを電気的に接続する。これにより、モーター20(DCブラシレスモーター)に対し、電力が供給される状態となる。
又、第2モーター部2のモーター20は、エンジンCPU80から第2Clock信号S3を受ける。モーター20は、入力される第2Clock信号S3の周波数に応じた速度で回転する。
ここで、第1モーター部1のモーター10が回転させる回転体と、第2モーター部2のモーター20が回転させる回転体の回転速度を異ならせることができるように、エンジンCPU80には駆動信号生成部83が設けられる。例えば、駆動信号生成部83は、クロック発生回路や、複数の逓倍回路や分周回路やあるいはPLL回路等、複数種の周波数のクロック信号を生成するための回路を含む。そして、駆動信号生成部83は、第1Clock信号S2を生成するとともに、第1Clock信号S2とは周波数が異なる第2Clock信号S3を生成する。
第2モーター部2の第2信号出力部22は、モーター20の回転が安定したか否かを示す信号を出力する。第2信号出力部22も、例えば、複数のホール素子を含み、モーター20内のローターの位置検知を行って、本体部の回転速度が第2Clock信号S3で規定される所望の回転速度で安定すると、安定した状態になった旨となる信号を出力する(第2Ready信号S6)。
次に、第2モーター部2が駆動力を供給する部分を説明する。第2モーター部2のモーター20は、例えば、用紙搬送における後半部分を担当し、レジストローラー対55、搬送ローラー対54、排出ローラー対56に対して駆動力を供給する。この駆動力供給のため、複数のギアからなるギア列(不図示)が複合機101内部に設けられる。
尚、レジストローラー対55は、トナー像形成のタイミングにあわせ、感光体ドラム61と転写ローラー65のニップに用紙Pを進入させる必要がある。そこで、レジストローラー対55の回転のON/OFFを制御するために電磁クラッチ55aが設けられる。例えば、エンジンCPU80が、電磁クラッチ55aの連結と開放によるニップへの用紙P進入タイミングの制御を行う。
(モーター部の起動制御の流れ)
次に、図4に基づき、第1の実施形態のモーター制御装置100(搬送装置102)での用紙搬送制御の流れを説明する。図4は、モーター制御装置100に係る各種信号のタイミングチャートである。
まず、図4を説明する。図4のタイミングチャートでは、Enable信号S1、第1Clock信号S2、第1Ready信号S4、反転信号S5、第2Clock信号S3、第2Ready信号S6の各信号の波形を図示している。
Enable信号S1は、エンジンCPU80の第1ポート91から出力され、第1モーター部1の第1信号入力部に入力される信号である。本実施形態では、エンジンCPU80は、モーターを回転させるとき、Enable信号S1をHighの状態とし、各モーターを停止させるとき、Enable信号S1をLowの状態とする。
第1Clock信号S2は、エンジンCPU80の駆動信号生成部83が生成し、第1モーター部1に供給する信号である。第1モーター部1のモーター10は、第1Clock信号S2の周波数に応じた速度で回転する。言い換えると、エンジンCPU80は、第1モーター部1のモーター10を回転させたい速度(予め定められた速度)で回転するような周波数の第1Clock信号S2を生成する。
第1Ready信号S4は、第1モーター部1の第2信号出力部12が出力する信号である。第2信号出力部12は、モーター10の回転速度が予め定められた速度で安定していないときや、回転していないとき、第1Ready信号S4をHighの状態とする。又、第2信号出力部12は、モーター10の回転速度が予め定められた速度で安定した状態では、第1Ready信号S4をLowの状態とする。
反転信号S5は、図3に示すように、第1モーター部1の第2信号出力部12と第2モーター部2の第1信号入力部21の間に設けられる反転回路84(Not回路)の出力である。反転信号S5は、第1モーター部1の第2信号出力部12の論理を反転させる回路である。反転回路84の入力端子には、第1モーター部1の第2信号出力部12が接続される。これにより、反転回路84には、第2信号出力部12の出力信号が入力される。反転回路84の出力端子には、第2モーター部2の第1信号入力部21が接続される。これにより、第1信号入力部11には、反転回路84の出力信号(反転信号S5)が入力される。
尚、第1モーター部1の第1信号入力部11と、第2モーター部2の第1信号入力部21は、それぞれ、入力される信号がHighの状態を、モーターを回転させる旨と認識する。
第2Clock信号S3は、エンジンCPU80の駆動信号生成部83が生成し、第2モーター部2に供給される信号である。第2モーター部2のモーター20は、第2Clock信号S3の周波数に応じた速度で回転する。言い換えると、エンジンCPU80は、モーター20を回転させたい速度(予め定められた速度)で回転するような周波数の第2Clock信号S3を生成する。
第2Ready信号S6は、第2モーター部2の第2信号出力部22が出力する信号である。第2信号出力部22は、モーター20の回転速度が予め定められた速度で安定していないときや、回転していないとき、第2Ready信号S6をHighの状態とする。又、第2信号出力部22は、モーター20の回転速度が予め定められた速度で安定した状態では、第2Ready信号S6をLowの状態とする。
次に、図4のタイミングチャートを用いて、モーター制御装置100(搬送装置102)での各モーター部の起動制御の流れを説明する。
スタートキー35が押されたときや、外部のコンピューター200やFAX装置から画像データを受信し、印刷を開始するとき、エンジンCPU80は、第1モーター部1のモーター10を回転させ、次に、第2モーター部2のモーター20を回転させるため、Enable信号S1をHighに切り替える(図4での時点T1)。Enable信号S1のHighへの状態遷移により、第1モーター部1の第1信号入力部11は、モーター10を回転させると認識する。
あわせて、エンジンCPU80は、第1Clock信号S2と第2Clock信号S3を生成し、第1モーター部1のモーター10、第2モーター部2のモーター20に対し、それぞれClock信号を入力する。
Enable信号S1のHigh状態への遷移と第1Clock信号S2の供給により、モーター10の起動が開始され、モーター10の回転が開始される。そして、しばらくして、モーター10の回転速度が安定すると、第1モーター部1の第2信号出力部12が第1Ready信号S4の状態を変化させる(図4での時点T2)。本実施形態では、第2信号出力部12は、第1Ready信号S4をHighからLowに遷移させて、安定状態になった旨を出力する。
そして、反転回路84は、第1Ready信号S4のLowへの遷移に応じ、反転した出力(High状態)を出力する(図4での時点T2)。そして、反転された出力は、第2モーター部2の第1信号入力部21に、入力される。これにより、第2モーター部2の第1信号入力部21は、第2モーター部2(モーター20)を回転させると認識する。言い換えると、第1モーター部1の第2信号出力部12の出力は、反転回路84を経て、第1モーター部1の後段の第2モーター部2の第1信号入力部21にEnable信号S1として入力される。これにより、第2モーター部2に対してエンジンCPU80からEnable信号S1を供給せずに、モーター10の回転数が安定すると、第2モーター部2のモーター20が起動される。
尚、第2信号出力部12が、不安定状態ではLowを出力し、安定状態になるとHighを出力する論理であれば、反転回路84は不要である。
第1モーター部1の第1Ready信号S4のLow状態への遷移と第2Clock信号S3の供給により、第2モーター部2の起動(モーター20の回転)が開始される。そして、しばらくして、モーター20の回転速度が安定すると、第2モーター部2の第2信号出力部22が、安定状態に至ったとして、第2Ready信号S6の状態を変化させる(図4での時点T3)。本実施形態では、第2信号出力部22は、第2Ready信号S6をHighからLowに遷移させて、安定状態になった旨を出力する。この第2Ready信号S6は、エンジンCPU80の第4ポート94に入力される。
エンジンCPU80は、第2Ready信号S6がLow状態に遷移すると(図4での時点T3)、用紙搬送に関するの全てのモーターの回転速度が所定の(所望の)速度に至ったと認識する。そして、例えば、エンジンCPU80は、電磁クラッチ43aや電磁クラッチ44aを連結させ、給紙の開始を行う。
そして、エンジンCPU80は、印刷ジョブでの全ての用紙Pの搬送が終えると、Enable信号S1をLow状態とし、駆動信号生成部83は、第1Clock信号S2、第2Clock信号S3の生成を停止する。これにより、第1モーター部1のモーター10、第2モーターのモーター20の回転が停止される。
このようにして、本実施形態のモーター制御装置100は、モーターを回転させるか否かを示す第1信号(Enable信号S1等)が入力される第1信号入力部(第1信号入力部11や第1信号入力部21)と、回転が安定したか否かを示す第2信号(Ready信号)を出力する第2信号出力部(第2信号出力部12や第2信号出力部22)と、第1信号がモーターを回転させる旨を示すとき回転するモーター(モーター10やモーター20)と、を含む複数のモーター部と、第1信号(Enable信号S1)を出力する出力ポート(第1ポート91)と、第2信号(Ready信号)が入力される入力ポート(第4ポート94)を含むモーター制御部(エンジンCPU80)と、を含み、出力ポートは、複数のモーター部のうち先頭のモーター部(第1モーター部1)の第1信号入力部11に接続され、第2信号出力部12は、次段のモーター部(第2モーター部2)の第1信号入力部21に接続され、第2信号(第1Ready信号S4)を次段のモーター部の第1信号(Enable信号S1)として入力し、先頭の次段以降のモーター部のモーター(例えば、モーター20)は、第2信号がモーターの回転が安定したことを示す状態であるとき回転し、最終段のモーター部の第2信号出力部12は、入力ポートに接続される。
これにより、回転速度が安定すると状態が変化する第2信号(Ready信号)を、次段のモーター部(第2モーター部2)の第1信号(Enable信号S1)として用いることができる。従って、各モーター部の第1信号入力部とモーター制御部(エンジンCPU80)を接続する必要が無くなり、モーターの制御に要するポート数を減らすことができる。CPU等のモーター制御部(制御素子)を選択するうえでの制約を無くすことができ、モーター制御部に要するコストを抑えることができる。言い換えると、搭載すべきモーター制御部は、ポート数の多いものに限られず、高価なモーター制御部を用いずに済ますことができる。尚、前段のモーター部は、第2信号出力部12と第1信号出力部が接続される関係においての第2信号(Ready信号)を出力する側のモーター部である。後段のモーター部は、第2信号出力部12と第1信号出力部が接続される関係においての第1信号(Enable信号S1)の入力を受ける側のモーター部である。
又、回転開始時に、モーターには定常回転時に比べて大きな電流が流れるものがある。突発的な大きな電流は、電源装置82に与える負担が大きい。特に、複数のモーターを同時に起動させると、モーターに電力を供給する電源装置82の電流供給能力を超えることもある。そうすると、電源装置82の過電流防止回路が動作したり、場合によっては、電源装置82の故障を招きかねない。そこで、従来、複数のモーターを動作させるCPU等は、ソフトウェア制御により、各モーターの起動を意図的にずらしていた。しかし、第2信号出力部12は、次段のモーター部の第1信号入力部に接続され、先頭の次段以降のモーター部(例えば、第2モーター部2)は、第2信号(Ready信号)がモーターの回転が安定したことを示す状態であるときモーターを回転させる旨を示すと認識して回転する。これにより、モーターが回転を開始し回転速度が安定してから、次段のモーター部のモーターが起動されるので、ハードウェア的に、各モーターの回転開始のタイミングがずらされる。従って、従来のように、ソフトウェア制御により、各モーターの起動タイミングをずらす処理を行わずに済み、モーター制御部(エンジンCPU80)の処理負荷を軽減することができる。又、モーター制御部のソフトウェアの開発費や開発工数を減らすことができる。
又、モーター制御部(エンジンCPU80)は、モーター(モーター10やモーター20)の回転速度を決める駆動信号(第1Clock信号S2や第2Clock信号S3)を複数種生成する駆動信号生成部83と、モーターの個数分の駆動信号用ポート(第2ポート92や第3ポート93)を含み、各モーター部(第1モーター部1や第2モーター部2)のモーターは、駆動信号の入力を受け、駆動信号に基づく回転速度で回転し、各駆動信号用ポートは、いずれか1つのモーターと接続される。これにより、各モーターを異なる速度で回転させることができる。
各モーター部の仕様上、モーターの回転が安定した時の第2信号(第1Ready信号S4)の状態と、モーターを回転させるか旨を示す第1信号(Enable信号S1)の状態の論理は、逆である場合がある。そこで、第2信号出力部12と第1信号入力部21の間に、第2信号の論理を反転させる反転回路84が設けられる。これにより、第1信号と第2信号の論理が逆でも、前段のモーター部(第1モーター部1)の第2信号出力部12の出力を、次段のモーター部(第2モーター部2)の第1信号として用いることができる。
又、本発明は、用紙Pを搬送する搬送装置102と捉えることもできる。具体的に、搬送装置102は、モーター制御装置100と、複数の回転体(給紙ローラー43、給紙ローラー44、搬送ローラー対52、搬送ローラー対53、搬送ローラー対54、排出ローラー対56、レジストローラー対55等)と、を含み、各モーター部は、複数の回転体を回転させて、搬送対象(用紙P)を搬送する。これにより、搬送装置102でのモーター部の制御に要するポート数を減らし、モーター制御部(エンジンCPU80、制御素子)を選択するうえでの制約を無くし、コストを抑えることができる。又、搬送装置102でのモーター制御部の処理負荷を軽減することができる。又、搬送装置102でのモーター制御部(エンジンCPU80)のソフトウェアの開発費や開発工数を減らすことができる。
又、本発明は、画像形成装置の発明と捉えることもできる。具体的に、画像形成装置(例えば、複合機101)は、用紙Pを収容する給紙部4と、画像を形成する画像形成部6と、画像が形成された用紙Pが排出される排出部57と、給紙部4から画像形成部6を経て排出部57に至る用紙搬送経路に設けられる複数の回転体(給紙ローラー43、給紙ローラー44、搬送ローラー対52、搬送ローラー対53、搬送ローラー対54、排出ローラー対56、レジストローラー対55等)と、モーター制御装置100と、を含み、各モーター部は、複数の回転体を回転させて、用紙Pを搬送する。これにより、画像形成装置でのモーター部の制御に要するポート数を減らし、モーター制御部(エンジンCPU80、制御素子)を選択するうえでの制約を無くし、コストを抑えることができる。又、画像形成装置でのモーター制御部の処理負荷を軽減することができる。又、画像形成装置でのモーター制御部のソフトウェアの開発費や開発工数を減らすことができる。
(第2の実施形態)
次に、図5を用いて、第2の実施形態を説明する。図5は、第2の実施形態の用紙搬送に係るモーター制御装置100(搬送装置102)の一例を示すブロック図である。
第1の実施形態では、第1モーター部1のモーター10と第2モーター部2のモーター20に異なる周波数のClock信号を供給した。一方、第2の実施形態は、第1モーター部1のモーター10と第2モーター部2のモーター20に同じClock信号を供給する点で異なる。尚、その他の点は、第1の実施形態と同様で良く、共通する部分は、第1の実施形態を援用するものとして、説明、図示を省略する。
本実施形態のモーター制御装置100(搬送装置102)では、第1モーター部1のモーター10と第2モーター部2のモーター20に対して同じClock信号を供給する。そのため、エンジンCPU80でのポート数は、第1の実施形態よりも1つ少なくて済む。具体的には、図5に示すように、エンジンCPU80の第2ポート92の出力が分岐され、第1モーター部1のモーター10と第2モーター部2のモーター10に第1Clock信号S2が入力される。
このようにして、本実施形態のモーター制御装置100では、モーター制御部(エンジンCPU80)は、モーター(モーター10やモーター20)の回転速度を決める駆動信号(例えば、第1Clock信号S2)を1又は複数種生成する駆動信号生成部83と、モーターの個数分よりも少ない数の駆動信号を出力する駆動信号用ポート(第2ポート92)を含み、各モーター部の各モーターは、駆動信号の入力を受け、駆動信号に基づく回転速度で回転し、駆動信号用ポートは、複数のモーターと接続される。これにより、1つの駆動信号用ポートで複数のモーターに対して駆動信号を供給することができる。従って、複数のモーターを制御するために必要なポート数を更に減らすことができる。
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、モーター制御装置100に2つのモーター部を備える例を説明した。しかし、モーター制御装置100や搬送装置102に含まれるモーター部(モーター)の数は、3つ以上でもよい。この場合、各モーター部は、モーター、第1信号入力部、第2信号出力部を含む。そして、複数段の各モーター部のうち、先頭のモーター部には、エンジンCPU80からのEnable信号S1が、第1信号入力部に入力される。そして、前の段のモーター部の第2信号出力部12の出力が次段のモーター部の第1信号入力部への入力が最終段のモーター部まで繰り返される。尚、第2信号出力部12と第1信号入力部の間には、論理に応じて反転回路84が設けられても良い。そして、最終段の第2信号出力部12の出力がエンジンCPU80(の第4ポート94)に入力されることになる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。