JP2013011217A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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JP2013011217A JP2011144006A JP2011144006A JP2013011217A JP 2013011217 A JP2013011217 A JP 2013011217A JP 2011144006 A JP2011144006 A JP 2011144006A JP 2011144006 A JP2011144006 A JP 2011144006A JP 2013011217 A JP2013011217 A JP 2013011217A
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Abstract

【課題】ウェーブワッシャー、下レース、スラストボールベアリング、上レースで構成される従来の圧縮機は、部品数が多くコストが高いという課題があった。
【解決手段】シャフト118を浸硫窒化することで、上レースがなくとも、ボール166とシャフト118のスラスト部174が、摺動損失が少なく摩耗しにくい状況で摺動でき、ウェーブワッシャー172が外部からの衝撃によって傷つくといったことも防ぐことができる。したがって、効率が高く低騒音で信頼性の高い、リューブライトが制限されても使用可能な密閉型圧縮機を実現することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷蔵庫等に使用される密閉型圧縮機に関するものである。
従来、スラストボールベアリングを用いた圧縮機としては、主軸受の上部管状延長部の周囲に転がり軸受を配置した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機を説明する。
図7は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図8は、従来の密閉型圧縮機に設けられたスラストボールベアリングの要部拡大図、図9の(a)は、従来の密閉型圧縮機のウェーブワッシャーの正面図、図9の(b)は、同ウェーブワッシャーにおける(a)のZ−Z線による断面図を示したものである。
図7おいて、密閉容器2の底部には潤滑油4を貯留しており、圧縮機本体6は、サスペンションスプリング8によって密閉容器2に対して弾性的に支持されている。
圧縮機本体6は、電動要素10と、電動要素10の上方に配設された圧縮要素12から構成されている。電動要素10は、固定子14および回転子16とから構成されている。
圧縮要素12のシャフト18は、主軸部20と偏心軸部22を備えており、主軸部20は、摩擦低減のためのリューブライト処理が施されており、シリンダブロック24の主軸受26に回転自在に軸支されるとともに、回転子16が固定されている。そして、荷重が作用する偏心軸部22に対して、偏心軸部22の下側のみに配置された主軸部20と主軸受26で支持する片持ち軸受の構成となっている。
また、シャフト18は、主軸部20表面に設けた螺旋状の溝等からなる給油機構28を備えている。
ピストン30は、シリンダブロック24に形成された略円筒形の内面を有するシリンダ34に往復自在に挿入されている。また、連結手段36は、両端に設けた穴部が、それぞれピストン30に取付けられたピストンピン38と偏心軸部22に嵌挿されることで、偏心軸部22とピストン30を連結している。
シリンダ34およびピストン30は、シリンダ34の開口端面に取り付けられるバルブプレート46とともに圧縮室48を形成している。さらに、バルブプレート46を覆って蓋をするようにシリンダヘッド50が固定されている。
吸入マフラ52は、PBT等の樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド50に取り付けられている。
次に、スラストボールベアリングについて説明する。
図8において、主軸受26には、軸心と直角な平面部であるスラスト面60と、スラスト面60よりさらに上方に延長し、主軸部20に対向した内面を有する管状延長部62が設けられている。
そして、管状延長部62の外径側には、上レース64、ホルダー部68に保持されたボール66、下レース70、およびウェーブワッシャー72からなるスラストボールベアリング76が配置されている。
上レース64および下レース70は、環状に形成された金属製の平板であり、上下の面が平行である。また、ホルダー部68は環状の形状をなし、周方向に設けた複数の穴部にボール66を転動自在に収納している。
ウェーブワッシャー72は、図9に示すとおり、環状の金属板において、下側方向に湾曲突出した下側突起72a、72bと、上側方向に湾曲突出した上側突起72c、72dを設けたものである。これらの突起72a、72b、72c、72dは、同じ半径の曲面で形成され、それぞれの突起72a、72b、72c、72dの間には、湾曲していない平面部72eが位置し、また、下側突起72a、72bの頂点を結ぶ線と、上側突起72c、72dの頂点を結ぶ線とが直角になるように配置されている。
そして、スラスト面60の上に、ウェーブワッシャー72、下レース70、ボール66、上レース64の順に互いに接した状態で積み重なり、上レース64の上面にシャフト18のフランジ部74が着座している。この状態において、ウェーブワッシャー72は、下側突起72a、72bが線接触の状態でスラスト面60と接し、上側突起72c、72dが線接触の状態で下レース70と接している。
以上のように構成された圧縮機について、以下にその動作を説明する。
電動要素10に通電されると、固定子14に発生する回転磁界により、回転子16は主軸部20とともに回転する。主軸部20の回転により、偏心軸部22が偏心運動し、偏心軸部22の偏心運動が連結手段36を介してピストン30に伝えられ、ピストン30はシリンダ34内で往復動する。
密閉容器2外の冷凍サイクル(図示せず)より戻った冷媒は、吸入マフラ52を経由して圧縮室48内へ導入され、圧縮室48内でピストン30により圧縮され、圧縮された冷媒は、密閉容器2から冷凍サイクル(図示せず)へ送出される。
また、シャフト18下端は潤滑油4に浸漬しており、シャフト18が回転することにより、潤滑油4は給油機構28により圧縮要素12の各摺動部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
次に、スラストボールベアリング76の動作について説明する。
スラストボールベアリング76は、ボール66が上レース64と下レース70に点接触の状態で転がる転がり軸受であり、ウェーブワッシャー72がシャフト18や回転子16の自重等の垂直方向の荷重を支持しながら回転が可能である。レース等の平板を用いた転がり軸受は、一般的に用いられているスラスト滑り軸受より摩擦が少なく、高効率を実現できる。また、下レース70の配置されているウェーブワッシャー72は、振動や落下の衝撃によるレースの打痕を防ぎ、高信頼性を維持できる。
一方で、ウェーブワッシャー72を含まない、上レース64、ボール66、ホルダー部68、下レース70で構成される転がり軸受、あるいは、ボール66、ホルダー部68のみで構成され、シリンダブロック24のスラスト面60とシャフト18の間でボール66が摺動する、部品数を削減した転がり軸受も知られている。
特許第4268519号公報
しかしながら、上記従来の構成では、ウェーブワッシャー72を配置する構成であることから、スラストボールベアリング76のボール66が転がるように下レース70の配置が必要不可欠の構成であった。この構成は、スラスト滑り軸受けに比べ、上レース64、ボール66、ホルダー部68、下レース70、ウェーブワッシャー72の5部品を余計に含んだ構成であり、部品数の増加及びコストアップという課題を有している。
また、上レース64、ボール66、ホルダー部68、下レース70で構成される転がり軸受、ボール66、ホルダー部68のみで構成され、シリンダブロック24のスラスト面60とシャフト18の間でボールが摺動する転がり軸受は、ウェーブワッシャー72がないため、振動や落下の衝撃を吸収できず、レース、シリンダブロック、シャフトに打痕が発生し、打痕に起因した摩耗により騒音の増加、効率の低下、信頼性の低下を生じるという課題を有している。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ウェーブワッシャー72、下レース70、ボール66、ホルダー部68、上レース64を配置した従来の構成から、上レース64を省くことで部品数を削減し、かつ効率と信頼性を変わらず維持できる圧縮機を実現することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、シャフトを窒化し、スラスト部を超仕上げすることで、シャフトのスラスト部に上レースと同等の硬度と面粗度を与え、ウェーブワッシャーと下レースを配置した構成において、上レースを省いてシャフトとボールが直接摺動できるという作用を有する。
本発明の密閉型圧縮機は、従来の構成から効率、信頼性を維持したまま上レースを省くことができるので、部品数を削減した低コストの高効率、高信頼性の圧縮機を実現することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機のスラストボールベアリング部の拡大図 (a)同実施の形態1における密閉型圧縮機のウェーブワッシャーの正面図、(b)同ウェーブワッシャーにおける(a)のX−X線による断面図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態2における密閉型圧縮機のスラストボールベアリング部の拡大図 (a)同実施の形態2における密閉型圧縮機のウェーブワッシャーの正面図、(b)同ウェーブワッシャーにおける(a)のY−Y線による断面図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 従来の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図 (a)従来の密閉型圧縮機のウェーブワッシャーの正面図、(b)同ウェーブワッシャーにおける(a)のZ−Z線による断面図
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に冷凍機油を貯溜するとともに、冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素とからなる電動圧縮要素を収納し、前記電動圧縮要素を、主軸部と偏心軸部を有するシャフトと、圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記シリンダブロックに設けられ、かつ前記主軸部を軸支する主軸受を備えた構成とし、前記主軸受のスラスト面に、バネ性を備えたウェーブワシャーと、平板状の下レースと、ホルダー部に保持された複数のボールを備えたスラストボールベアリングを設け、さらに、前記シャフトにおける前記ボールと接触する面に窒化処理を施したものである。
かかることにより、上レースがなくとも前記シャフトのスラスト部と前記ボールが直に摺動でき、密閉型圧縮機に振動や落下等の衝撃が与えられた際においても、前記シャフトのスラスト部と、前記下レースと、前記ボールが傷つき摩耗することを防止して、高効率と高信頼性を達成することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シャフトに窒化処理として、浸硫窒化を行なうようにしたものである。
かかることにより、前記シャフト主軸部に形成された硫化物層は、多孔質で保油性があることから初期なじみに有効であり、耐焼付け性も非常に優れている。したがって、前記シャフトの主軸部と前記シリンダブロックの主軸受の摺動摩擦を低減し、請求項1に記載の発明の効果に加えて、リューブライト処理を行なうことなく、高効率を達成することができる。しかも、リューブライトは、環境負荷の観点で、今後の使用制限が見込まれるため、リューブライトの代替としても有効である。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シャフトに窒化処理として軟窒化を行なうようにしたものである。
かかることにより、多くの構造用鋼、工具鋼にも同様に窒化処理ができ、これによって耐摩耗性、耐疲労性等に貢献する。したがって、請求項1に記載の発明の効果に加えて、前記シャフトの材質の選択の幅が広がり、高効率化や低コスト化を達成できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記シャフトのスラスト部と、前記下レースの硬度を、前記スラストボールベアリングのボールよりも低くしたものである。
かかることにより、全体の表面が接触応力を受けるボールの摩耗を防ぎ、ボールの状態を良好に維持することができる。したがって、さらに信頼性向上を達成することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記シャフトのスラスト部と、前記レースの硬度を同じにしたものである。
かかることにより、前記シャフトのスラスト部と、前記下レースが均等に前記ボールとの接触応力を受けることができる。その結果、前記シャフトのスラスト部と、前記下レースの摩耗を防ぎ、さらに信頼性向上を達成することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記シャフトのスラスト部と、前記下レースの表面をRa0.15以下としたものである。
かかることにより、前記シャフトのスラスト部と、前記下レースと、前記ボールの摺動摩擦を低減できるので、さらに効率向上と騒音低減、信頼性向上を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図である。図2は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の運転時のスラストボールベアリング部の拡大図、図3は、同密閉型圧縮機のウェーブワッシャーを示し、(a)は、ウェーブワッシャーの正面図、(b)は(a)のX−X線による断面図である。
図1および図2において、密閉容器102の内部には、底部に潤滑油104を貯留するとともに、圧縮機本体106がサスペンションスプリング108によって振動を吸収するように懸架されている。また、密閉容器102には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体106は、電動要素110と、これによって駆動される圧縮要素112とからなり、また、密閉容器102には、電動要素110に電源を供給するための電源端子113が取り付けられている。
始めに、電動要素110について説明する。
電動要素110は、薄板を積層した鉄心に銅製の巻線が巻かれて形成される固定子114と、固定子114の内径側に配置される回転子116とを備え、固定子114の巻線が電源端子113を経由して圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に、圧縮要素112について説明する。
圧縮要素112は、電動要素110の上方に配設されている。
圧縮要素112を構成するシャフト118は、主軸部120と、主軸部120と平行な偏心軸部122を備えている。シャフト118は、浸硫窒化が施されており、主軸部120の表面には硫化物層が形成されている。また、主軸部120には回転子116が固定されている。
シリンダブロック124は、円筒形の内面を有する主軸受126を備え、主軸受126に主軸部120が回転自在な状態で挿入され、支持されている。そして、圧縮要素112は、偏心軸部122に作用した荷重を、偏心軸部122の下側に配置された主軸部120と主軸受126で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シャフト118は、主軸部120表面に設けた螺旋状の溝等からなる給油機構128を備えている。
さらに、シリンダブロック124は、円筒状の穴部であるシリンダ134を備えており、ピストン130がシリンダ134に往復自在に挿入されている。
また、連結手段136は、両端に設けた穴部がそれぞれピストン130に取付けられた
ピストンピン138と偏心軸部122に嵌挿されることで、偏心軸部122とピストン130とを連結している。
シリンダ134端面には、バルブプレート146が取り付けられ、シリンダ134およびピストン130とともに圧縮室148を形成している。さらに、バルブプレート146を覆って蓋をするように、シリンダヘッド150がシリンダ134に固定されている。吸入マフラ152は、PBT等の樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド150に取り付けられている。また、シリンダヘッド134の吐出側空間は、吐出配管119に連通している。
次に、スラストボールベアリング176の構成について説明する。
主軸受126は、軸心と直角な平面部であるスラスト面160と、スラスト面160よりさらに上方に延長され、主軸部120に対向する内面を有する管状延長部162とを有している。
そして、スラスト面160には、ウェーブワッシャー172、下レース170、ホルダー部168に保持されたボール166が配置され、これらによってスラストボールベアリング176が構成されている。
下レース170は、環状に形成された金属製の平板であり、望ましくは熱処理を行ったバネ鋼等で形成され、上下の面が平行で、かつ表面は平滑に仕上げられており、Ra0.15以下となっている。ホルダー部168は、ポリアミド等の樹脂材料で形成され、環状の形状をなし、ボール166が転動自在に収納される複数の穴部(図示せず)を有している。
図3に示すように、ウェーブワッシャー172は、バネ用鋼の薄い平板を成型した環状のウェーブワッシャーであり、環状の金属板において、下側方向に湾曲突出した下側突起172a、172bと、上側方向に湾曲突出した上側突起172c、172dを設けたものである。これらの突起172a、172b、172c、172dは、同じ半径の曲面で形成され、それぞれの突起172a、172b、172c、172dの間には、湾曲していない平面部172eが位置し、また、下側突起172a、172bの頂点を結ぶ線と、上側突起172c、172dの頂点を結ぶ線とが直角になるように配置されている。
そして、スラスト面160の上に、ウェーブワッシャー172、下レース170、ボール166の順に互いに接した状態で積み重なり、ボール166の上面にシャフト118のスラスト部174が着座している。シャフト118のスラスト部174は、浸硫窒化の後に超仕上げされており、下レース170と同じ硬度、面粗度を備えている。また、ボール166の硬度は、スラスト部174と下レース170よりも高くしてある。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子113より電動要素110に通電されると、固定子114に発生する磁界により回転子116はシャフト118(主軸部120)とともに回転する。主軸部120の回転に伴い、偏心軸部122の偏心回転は、旋回運動となり、連結手段136によってその旋回運動が往復運動に変換され、ピストン130をシリンダ134内で往復運動させる。そして、圧縮室148が容積変化することで、密閉容器102内の冷媒を圧縮室148内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
この圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器102内の冷媒は、吸入マフラ152
を介して圧縮室148内に間欠的に吸入され、圧縮室148内で圧縮された後、高温高圧となった冷媒は、吐出配管119等を経由して密閉容器102から冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト118の下端は、潤滑油104に浸漬しており、シャフト118が回転することにより、潤滑油104は、給油機構128によって圧縮要素112の各摺動部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
次に、スラストボールベアリング176の動作、作用について説明する。
スラストボールベアリング176は、同じ大きさのボール166を、シャフト118のスラスト部174と下レース170の間に複数配置して、それぞれを点接触の状態で転がるようにすることで、摩擦を非常に小さくするものであり、摺動損失の低減により圧縮機の効率が向上できる。
スラストボールベアリング176に荷重がかかると、ウェーブワッシャー172が荷重を受け、シャフト118のスラスト部174と下レース170が傷つくことを防ぐ。このとき、ボール166の硬度は、スラスト部174と下レース170よりも高いので、全体の表面が接触応力を受けるボール166の傷つきも防ぐことができる。
また、シャフト118のスラスト部174と下レース170は、同じ硬度と面粗度を備えているので、均等にボール166との接触応力を受けることができる。したがって、スラスト部174と、下レース170の摩耗を防ぐことができる。
さらに、シャフト118のスラスト部174と下レース170は、共にRa0.15以下という面粗度の高い平滑な平面となっているので、高効率でかつ騒音の増大を防止し、低騒音化を維持できる。
一方で、シャフト118の主軸部120は浸硫窒化されており、表面に硫化物層を形成している。硫化物層は、多孔質で保油性があるため、初期なじみに有効であり、耐焼付け性も非常に優れている。したがって、主軸部120とシリンダブロックの主軸受126の摺動摩擦を低減し、リューブライト処理を行なうことなく高効率を達成することができる。リューブライトは、環境負荷の観点で今後の使用制限が見込まれるため、リューブライトの代替としても使用できる。
したがって、本実施の形態1によれば、従来用いられる上レースがなくとも、シャフト118のスラスト部174とボール166を、摺動損失が少なく摩耗しにくい状況で摺動させることができ、かつウェーブワッシャー172における外部からの衝撃による傷つきも防ぐことができる。その結果、効率が高く、低騒音で信頼性の高い、リューブライトが制限されても、使用可能な密閉型圧縮機を実現することができる。
なお、本実施の形態1では、シャフト118に浸硫窒化を施してあるが、その処理方法は塩浴でも気相でもよい。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図である。図5は、同実施の形態2における密閉型圧縮機の運転時のスラストボールベアリング部の拡大図、図6は、同密閉型圧縮機のウェーブワッシャーを示し、(a)は、ウェーブワッシャーの正面図、(b)は(a)のY−Y線による断面図である。
図4および図5において、密閉容器202の内部には、底部に潤滑油204を貯留するとともに、圧縮機本体206がサスペンションスプリング208によって振動を吸収するように懸架されている。また、密閉容器202には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体206は、電動要素210と、これによって駆動される圧縮要素212とからなり、また、密閉容器202には、電動要素210に電源を供給するための電源端子213が取り付けられている。
始めに、電動要素210について説明する。
電動要素210は、薄板を積層した鉄心に銅製の巻線が巻かれて形成される固定子214と、固定子214の内径側に配置される回転子216とを備え、固定子214の巻線が電源端子213を経由して圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に、圧縮要素212について説明する。
圧縮要素212は、電動要素210の上方に配設されている。
圧縮要素212を構成するシャフト218は、主軸部220と、主軸部220と平行な偏心軸部222を備えている。シャフト218は、軟窒化が施されており、主軸部220の表面には窒化物層が形成されている。また、主軸部220には回転子216が固定されている。
シリンダブロック224は、円筒形の内面を有する主軸受226を備え、主軸受226に主軸部220が回転自在な状態で挿入され、支持されている。そして、圧縮要素212は、偏心軸部222に作用した荷重を、偏心軸部222の下側に配置された主軸部220と主軸受226で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シャフト218は、主軸部220表面に設けた螺旋状の溝等からなる給油機構228を備えている。
さらに、シリンダブロック224は、円筒状の穴部であるシリンダ234を備えており、ピストン230がシリンダ234に往復自在に挿入されている。
また、連結手段236は、両端に設けた穴部がそれぞれピストン230に取付けられたピストンピン238と偏心軸部222に嵌挿されることで、偏心軸部222とピストン230とを連結している。
シリンダ234端面には、バルブプレート246が取り付けられ、シリンダ234およびピストン230とともに圧縮室248を形成している。さらに、バルブプレート246を覆って蓋をするように、シリンダヘッド250がシリンダ234に固定されている。吸入マフラ252は、PBT等の樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド250に取り付けられている。また、シリンダヘッド234の吐出側空間は、吐出配管219に連通している。
次に、スラストボールベアリング276の構成について説明する。
主軸受226は、軸心と直角な平面部であるスラスト面260と、スラスト面260よりさらに上方に延長され、主軸部220に対向する内面を有する管状延長部262とを有
している。
そして、スラスト面260には、ウェーブワッシャー272、下レース270、ホルダー部268に保持されたボール266が配置され、これらによってスラストボールベアリング276が構成されている。
下レース270は、環状に形成された金属製の平板であり、望ましくは熱処理を行ったバネ鋼等で形成され、上下の面が平行で、かつ表面は平滑に仕上げられており、Ra0.15以下となっている。ホルダー部268は、ポリアミド等の樹脂材料で形成され、環状の形状をなし、ボール266が転動自在に収納される複数の穴部(図示せず)を有している。
図6に示すように、ウェーブワッシャー272は、バネ用鋼の薄い平板を成型した環状のウェーブワッシャーであり、環状の金属板において、下側方向に湾曲突出した下側突起272a、272bと、上側方向に湾曲突出した上側突起272c、272dを設けたものである。これらの突起272a、272b、272c、272dは、同じ半径の曲面で形成され、それぞれの突起272a、272b、272c、272dの間には、湾曲していない平面部272eが位置し、また、下側突起272a、272bの頂点を結ぶ線と、上側突起272c、272dの頂点を結ぶ線とが直角になるように配置されている。
そして、スラスト面260の上に、ウェーブワッシャー272、下レース270、ボール266の順に互いに接した状態で積み重なり、ボール266の上面にシャフト218のスラスト部274が着座している。シャフト218のスラスト部274は、軟窒化の後に超仕上げされており、下レース270と同じ硬度、面粗度を備えている。また、ボール266の硬度は、スラスト部274と下レース270よりも高くしてある。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子213より電動要素210に通電されると、固定子214に発生する磁界により回転子216はシャフト218(主軸部220)とともに回転する。主軸部220の回転に伴い、偏心軸部222の偏心回転は、旋回運動となり、連結手段236によってその旋回運動が往復運動に変換され、ピストン230をシリンダ234内で往復運動させる。そして、圧縮室248が容積変化することで、密閉容器202内の冷媒を圧縮室248内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
この圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器202内の冷媒は、吸入マフラ252を介して圧縮室248内に間欠的に吸入され、圧縮室248内で圧縮された後、高温高圧となった冷媒は、吐出配管219等を経由して密閉容器202から冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト218の下端は、潤滑油204に浸漬しており、シャフト218が回転することにより、潤滑油204は、給油機構228によって圧縮要素212の各摺動部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
次に、スラストボールベアリング276の動作、作用について説明する。
スラストボールベアリング276は、同じ大きさのボール266を、シャフト218のスラスト部274と下レース270の間に複数配置して、それぞれを点接触の状態で転がるようにすることで、摩擦を非常に小さくするものであり、摺動損失の低減により圧縮機の効率が向上できる。
スラストボールベアリング276に荷重がかかると、ウェーブワッシャー272が荷重を受け、シャフト218のスラスト部274と下レース270が傷つくことを防ぐ。このとき、ボール266の硬度は、スラスト部274と下レース270よりも高いので、全体の表面が接触応力を受けるボール266の傷つきも防ぐことができる。
また、シャフト218のスラスト部274と下レース270は、同じ硬度と面粗度を備えているので、均等にボール266との接触応力を受けることができる。したがって、スラスト部274と、下レース270の摩耗を防ぐことができる。
さらに、シャフト218のスラスト部274と下レース270は、共にRa0.15以下という面粗度の高い平滑な平面となっているので、高効率でかつ騒音の増大を防止し、低騒音化を維持できる。
一方で、シャフト218の主軸部220は軟窒化されており、表面に窒化物層を形成している。窒化物層は、多孔質で保油性があるため、初期なじみに有効であり、耐摩耗性が非常に優れている。また、軟窒化は、多くの構造用鋼、工具鋼にも同様に窒化処理ができるので、シャフト218の材質の選択の幅が広がり、高効率化や低コスト化を達成できる。
したがって、本実施の形態2によれば、従来用いられる上レースがなくとも、シャフト218のスラスト部274とボール266を、摩耗しにくい状況で摺動でき、かつウェーブワッシャー272における外部からの衝撃による傷つきも防ぐことができる。その結果、効率が高く、低騒音で信頼性の高い密閉型圧縮機を実現することができる。
なお、本実施の形態2では、シャフト218に軟窒化を施してあるが、その処理方法は塩浴でも気相でもよい。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、ウェーブワッシャー、下レース、スラストボールベアリング、窒化処理を用いて、性能と信頼性の維持を向上できるので、家庭用電気冷蔵庫に限らず、エアーコンディショナー、自動販売機やその他の冷凍装置等に広く適用することができる。
102、202 密閉容器
104、204 潤滑油
110、210 電動要素
112、212 圧縮要素
114、214 固定子
116、216 回転子
118、218 シャフト
120、220 主軸部
122、222 偏心軸部
124、224 シリンダブロック
126、226 主軸受
130、230 ピストン
136、236 連結手段
148、248 圧縮室
160、260 スラスト面
162、262 管状延長部
166、266 ボール
168、268 ホルダー部
170、270 下レース
172、272 ウェーブワッシャー
172a、172b、272a、272b 下側突起
172c、172d、272c、272d 上側突起
174、274 スラスト部

Claims (6)

  1. 密閉容器内に冷凍機油を貯溜するとともに、冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素とからなる電動圧縮要素を収納し、前記電動圧縮要素を、主軸部と偏心軸部を有するシャフトと、圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記シリンダブロックに設けられ、かつ前記主軸部を軸支する主軸受を備えた構成とし、前記主軸受のスラスト面に、バネ性を備えたウェーブワシャーと、平板状の下レースと、ホルダー部に保持された複数のボールを備えたスラストボールベアリングを設け、さらに、前記シャフトにおける前記ボールと接触する面に窒化処理を施した密閉型圧縮機。
  2. 前記シャフトに窒化処理として、浸硫窒化を行なうようにした請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 前記シャフトに窒化処理として軟窒化を行なうようにした請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  4. 前記シャフトのスラスト部と、前記下レースの硬度を、前記スラストボールベアリングのボールよりも低くした請求項1から3のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  5. 前記シャフトのスラスト部と、前記レースの硬度を同じにした請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  6. 前記シャフトのスラスト部と、前記下レースの表面をRa0.15以下とした請求項1から5のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
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