JP2013010700A - ヒアルロニダーゼ阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規なヒアルロニダーゼ阻害剤の提供。
【解決手段】カラギーナンを有効成分として含有することを特徴とするヒアルロニダーゼ阻害剤;またはアルギン酸を構成するグルロン酸(G)単位とマンヌロン酸(M)単位のうち、いずれか一方の割合が60%以上であるアルギン酸を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロニダーゼ阻害剤;または質量平均分子量が60,000Da以下である、アルギン酸加水分解物を有効成分として含有することを特徴とする、ヒアルロニダーゼ阻害剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒアルロニダーゼ阻害活性を示す、特定のカラギーナン、アルギン酸、アルギン酸の加水分解物を有効成分として含有するアルロニダーゼ阻害剤に関する。
ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸のβ−D−(1−4)−N−アシチルグルコサミンとβ−D−(1−3)−グルクロン酸のグルコシド結合を分解する酵素の総称である。この酵素はヒアルロン酸を分解するだけでなく、ヒアルロニダーゼ活性と腫瘍の侵入や転移、血管新生の誘導や肥満細胞の脱顆粒の間に何らかの関係性があることが報告されている。このため、ヒアルロニダーゼ活性の抑制は皮膚の保水力維持や、がん、アトピー性皮膚炎などのアレルギーの予防や治療に有効であると言える。このように、化粧品や医薬品としても有用なヒアルロニダーゼ阻害剤を、豊富に存在する天然資源を利用して効率良く製造できれば、極めて有用である。
海藻類資源のうちで硫酸化多糖類を用いるヒアルロニダーゼ阻害剤としては、ナガコンブ由来フコイダン(特許文献1参照)、海苔由来ポリフィラン(特許文献2参照)、ワカメ由来フコイダン(非特許文献1参照)、モズク由来フコイダン(特許文献3参照)などが知られている。
豚やサメやサケの軟骨を資源とする非海藻類硫酸化多糖類等としてはコンドロイチン硫酸が知られている(特許文献4参照)。
しかし、紅藻類由来の硫酸化多糖類であるカラギーナン、褐藻類由来の硫酸化多糖類であるアルギン酸には、ヒアルロニダーゼ阻害活性が認められていない(特許文献5参照)。
フコイダンはコンブ、ワカメ、ヒジキなどの褐藻類の細胞間粘質多糖類であり、硫酸化多糖類の一種である。一般的にフコイダンは、単糖であるフコースを主な構成糖とした硫酸化多糖類の総称であり、由来と構造の違いにより名称が異なる。褐藻類中のフコイダン含有率は、主属、生育場所、採集時期、藻体の部位などにより異なるが、乾燥藻体の0.5〜10%程度といわれている。フコイダンはフコース、ガラクトースなどの中性糖、ウロン酸、硫酸エステルなどが複合した構造をしている。そのため、同一藻にあっても部位によって各構成成分の割合が異なり、著しく不均一な分子集団であるといえる。現在、広く流通しているフコイダンには大きく分けて、モズク由来、メカブ由来、コンブ由来の3種類のフコイダンがある。コンブ由来のフコイダンの構造は、F−フコイダン、G−フコイダン、U−フコイダンであると報告されている。モズク由来フコイダンの構造は、α−1−3グリコシド結合による直鎖構造を有しており、フコース残基の約半分が4位で硫酸化されているとの報告がある。
ポリフィランは、アマノリPorphyara ap.の細胞間に存在する粘質多糖類(硫酸化多糖類)であり、乾燥藻体あたり約30%含まれている。ポルフィランはその性質から、褐水や外敵から海苔細胞を守る役割をしていると考えられている。ポルフィランの構造はアガロースと類似しており、D−ガラクトース、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトース、L−ガラクトース−6−硫酸からなる。アガロースと同様にβ−(1→4)とα−(1→3)で交互に結合し、部分的にメトキシ基に置換されている。
アルギン酸は、褐藻の細胞壁および細胞間に充填物質として存在する多糖類で、褐藻重量の約30%を占めており、食物繊維の一種である。アルギン酸は、β−D−マンヌロン酸(M)とそのC−5エピマーであるα−L−グルロン酸(G)とが(1−4)−グリコシド結合した直鎖ポリマーであり、マンヌロン酸が連なったマンヌロン酸ブロック(M Block)、グルロン酸が連なったグルロン酸ブロック(G Block)および、グルロン酸とマンヌロン酸がランダムに連なったランダムブロック(Random Block)から構成されている。
このように、酸性多糖類はその由来によって様々な構造を有し、構造に応じて様々な機能を有する。
特開2008−44912号公報 特開2005−255932号公報 特開2008−44913号公報 特開2011−68605号公報 特開平11−21247号公報
Takuya KATSUBE、Yukikazu YAMASAKI、Masatoshi IWAMOTO、Syuichi OKA著、「Hyaluronidase−Inhibiting Polysaccharide Isolated and Purified from Hot Water Extract of Sporophyll of Undaria pinnatifida.」"Food Sci. Technol. Res.,"、2003年、第9号第1巻、25−29頁。
上記のように、ヒアルロニダーゼ阻害剤は、皮膚の保水力維持や、がんやアトピー性皮膚炎などのアレルギーの予防や治療のための医薬品や化粧品としての利用価値が高く、特許文献1から5に開示されているものをはじめとする、従来のものとは異なる新たなヒアルロニダーゼ阻害剤を求める要望が多い。また、安価で大量に存在する海藻や廃棄コンブの有効利用法として、海藻由来天然多糖類の新規な生理活性の利用が切望されている。また、上記医薬品や化粧品として利用する場合、臨床上副作用がないことが求められるし、他の配合剤との混和性も求められる。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、新規なヒアルロニダーゼ阻害剤を提供することを課題とする。
海藻由来の酸性多糖類はその由来により、多糖を構成する単糖の種類と、酸性を発現するカルボキシル基又はスルホ基の置換位置および置換数が異なる。機能を発現する構造の違いとその機能性との関係は構造活性相関と呼ばれ、医薬品開発等の手法として知られている。本発明者らは種々の多糖類とヒアルロニダーゼ阻害活性の関係を構造活性相関から鋭意研究した。その結果、特定のカラギーナン、アルギン酸に、市販のヒアルロニダーゼ阻害剤であるクロモグリク酸と同等のヒアルロニダーゼ阻害活性があることを見出した。さらに、アルギン酸の構成糖であるグルロン酸およびマンヌロン酸からなるポリグルロン酸およびポリマンヌロン酸にもヒアルロニダーゼ阻害活性があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、カラギーナンを有効成分として含有することを特徴とする。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、前記カラギーナンがイオタ(ι−)カラギーナンであることを特徴とする。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、前記カラギーナンがカッパ(κ―)カラギーナンであることを特徴とする。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、アルギン酸を構成するグルロン酸(G)単位とマンヌロン酸(M)単位のうち、いずれか一方の割合が60%以上であるアルギン酸を有効成分として含有することを特徴とする。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、質量平均分子量が60,000Da以下である、アルギン酸加水分解物を有効成分として含有することを特徴とする。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、前記アルギン酸加水分解物が、グルロン酸(G)単位を80%以上含有するポリグルロン酸であることを特徴とする。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、前記アルギン酸加水分解物が、マンヌロン酸(M)単位を65%以上含有するポリマンヌロン酸であることを特徴とする。
本発明によれば、新規なヒアルロニダーゼ阻害剤を提供できる。
本発明の実施例におけるヒアルロニダーゼの阻害活性の測定結果を示す図である。
以下、本発明について、詳細に説明する。なお、本発明において、分子量の単位として示す「Da」は「ダルトン」を意味する。
<ヒアルロニダーゼ阻害剤>
はじめに、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤の有効成分である、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸を加水分解することによって得られるまたはポリマンヌロン酸について説明する。
<カラギーナン>
カラギーナンは、α−D−ガラクトースと、β−D−ガラクトースとが、β−1,4結合とα−1,3結合とを交互に繰り返して結合した直鎖状の硫酸化多糖類であって、ガラクトース骨格における硫酸エステル基(−OSO )や水酸基(−OH)の結合位置が異なる下記式で表される8種類の構造が知られている。
本発明においてカラギーナンの構造は特に限定されないが、Kappaphycus cottonii(オオキリンサイ属)から得られるκタイプ、Eucheuma spinosum(キリンサイ属)から得られるι(イオタ)タイプが好ましい。
Figure 2013010700
本発明において用いるカラギーナンとしては、市販のものであっても、カラギーナンを豊富に含有する紅藻類等から抽出したものであってもよい。カラギーナンの抽出は公知の方法により行うことができる。
<アルギン酸、ポリグルロン酸、ポリマンヌロン酸>
本発明においてアルギン酸とは、β−D−マンヌロン酸(M)とそのC−5エピマーと、α−L−グルロン酸(G)とが(1−4)−グリコシド結合した直鎖ポリマーである。アルギン酸として具体的には、マンヌロン酸が連なったマンヌロン酸ブロック(M Block)、グルロン酸が連なったグルロン酸ブロック(G Block)および、グルロン酸とマンヌロン酸がランダムに連なったランダムブロック(Random Block)から構成されている多糖類が挙げられる。
本発明のアルギン酸は、下記式で表される構成単位のみを含んだものだけでなく、その他の構成単位を含んでいてもよい。
Figure 2013010700
アルギン酸は原料となる海藻の種類や海藻の収穫時期によって、分子量や、構成単糖であるグルロン酸とマンヌロン酸の割合が異なることが知られている。本発明において用いるアルギン酸は特に限定されないが、コンブやワカメに代表される褐藻類でコンブ目Lessonia属から得られるものが好ましい。
本発明において有効成分となるアルギン酸としては、アルギン酸中に含まれるグルロン酸(G)単位とマンヌロン酸(M)単位のうち、いずれか一方の割合が60%以上であって、65%以上であることが好ましい。グルロン酸(G)単位とマンヌロン酸(M)単位のいずれが多い場合でもヒアルロニダーゼ阻害活性を示すが、マンヌロン酸(M)単位の割合が多い方が優れたヒアルロニダーゼ阻害活性を示すため、好ましい。
また、前記アルギン酸を加水分解し、分子量を低下させることによって、アルギン酸のヒアルロニダーゼ阻害活性が向上する。例えば、アルギン酸の質量平均分子量を160,000Da以下、より好ましくは60,000Da以下とすることによって、ヒアルロニダーゼ阻害活性が著しく向上するため、好ましい。また、アルギン酸の質量平均分子量は、4,000Da以上であることが好ましい。
また、本発明においてポリグルロン酸とは、直鎖状の多糖類であって、該多糖類中に含まれるグルロン酸(G)単位の割合が80%以上であるものを指す。
また、本発明においてポリマンヌロン酸とは、直鎖状の多糖類であって、該多糖類中に含まれるグルロン酸(M)単位の割合が65%以上であるものを指す。
本発明のポリグルロン酸、ポリマンヌロン酸を得る方法については特に限定されないが、アルギン酸、具体的には、グルロン酸含有量の多いアルギン酸またはマンヌロン酸含有量の多いアルギン酸を、加水分解し、得られた加水分解物からグルロン酸又はマンヌロン酸高含有物を分離することによって得ることが好ましい。
前記グルロン酸含有量の多いアルギン酸は、アルギン酸を構成する構成単位(糖)中に含まれるグルロン酸(G)単位が65%以上であることが好ましい。前記マンヌロン酸含有量の多いアルギン酸は、アルギン酸を構成する構成単位(糖)中に含まれるマンヌロン酸(M)単位が55%以上であることが好ましい。
アルギン酸、グルロン酸含有量の多いアルギン酸、またはマンヌロン酸含有量の多いアルギン酸を加水分解する方法は、良好に分解物が得られる限り、特に限定されない。
例えば、加水分解は、アルギン酸、グルロン酸含有量の多いアルギン酸、またはマンヌロン酸含有量の多いアルギン酸を含有する水溶液を加圧、加温、又は酸性条件下で行うことが好ましく、二酸化炭素ガスを作用させて酸性条件として行えば、反応が緩慢であることから所望の加水分解物を得ることができ、好ましい。
本発明のアルギン酸、ポリグルロン酸およびポリマンヌロン酸は、薬学上許容される塩であっても良い。前記アルギン酸、ポリグルロン酸およびポリマンヌロン酸は、例えば、カルボキシル基(−COOH)など解離し得る基を有しており、このような塩を形成し得る基の少なくとも一つにおいて、解離した水素イオンがその他のカチオンに置換されて、塩を形成していても良い。
加水分解物の薬学上許容される塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が例示できる。塩の形成部位が複数である場合には、これら複数の塩はすべて同じでも良いし、一部が同じでも良く、すべて異なっていても良い。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤において、有効成分としては、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤の利用形態は特に限定されず、食用、化粧用、医療用等に利用可能であるが、例えば医療用途に利用する場合、製剤形態としては、目的に応じて錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、細粒剤、液剤(水薬等)等の経口剤;吸入剤、座剤、注射剤、貼付剤、スプレー剤、軟膏等の非経口剤等から適宜選択すれば良い。
ヒアルロニダーゼ阻害剤を経口剤等の製剤形態とする場合には、これら製剤の製造で通常使用される各種添加剤を配合しても良い。前記添加剤としては、賦形剤、滑沢剤、可塑剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、安定剤、矯味剤、着色剤、香料等が例示できる。
前記添加剤は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール、果糖、デキストリン、デンプン、食塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、無水ケイ酸、カオリン等が例示できる。
前記滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、トウモロコシデンプン、マクロゴール等が例示できる。
前記可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン類、トリアセチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル等が例示できる。
前記界面活性剤としては、ステアリン酸ポリオキシル、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール等が例示できる。
前記結合剤としては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロースエステル、ポリビニルピロリドン、水飴、甘草エキス、トラガント、単シロップ等が例示できる。
前記崩壊剤としては、デンプン、カンテン、カルメロースカルシウム、カルメロース、結晶セルロース等が例示できる。
前記湿潤剤としては、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記安定剤としては、二酸化炭素、亜硫酸水素ナトリウム、窒素、エデト酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等が例示できる。
前記矯味剤としては、白糖、ハチミツ、サッカリンナトリウム、ハッカ、ユーカリ油、ケイヒ油等が例示できる。
前記着色剤としては、酸化鉄、β−カロチン、クロロフィル、水溶性食用タール色素等が例示できる。
前記香料としては、レモン油、オレンジ油、dl−メントール、l−メントール等が例示できる。
ヒアルロニダーゼ阻害剤を吸入剤、注射剤、貼付剤、スプレー剤、軟膏等、非経口剤の製剤形態とする場合には、使用できる溶媒として、注射用蒸留水、無菌の非水性溶媒、懸濁剤等が例示できる。非水性溶媒又は懸濁剤の基剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、オリーブ油、コーン油、オレイン酸エチル等が好ましいものとして例示できる。
さらに、ヒアルロニダーゼ阻害剤を貼付剤等、非経口剤の製剤形態とする場合には、有効成分等の各成分と基剤との混合物を、布、紙、プラスチックフィルム等に薄く塗布すれば良い。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤には、本発明の効果を妨げない範囲内で、上記成分以外の薬学上許容される任意成分を、必要に応じて適宜配合しても良い。
前記任意成分としては、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤等が例示できる。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、その化学的構造上、他の配合剤との良好な混和性が期待できるとともに、増粘剤、増量剤としての機能を賦活することもできる。
ヒアルロニダーゼ阻害剤の投与量は、患者の年齢、症状等により適宜調節することが好ましい。例えば、通常、成人一人一日あたり、(1mg〜500mg)mg/人であることが好ましい。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、所定量を一日に一回又は複数回に分けて投与される。
特開平11−21247号公報には、多糖類カラギーナンやアルギン酸ナトリウムのヒアルロニダーゼ阻害活性は認められなかったと開示されている。そして、褐藻類のマツモ属、モズク属、カジメ属、レッソニア属、マクロシスティス属、ヒバマタ属、アスコフィラム属及びダービリア属に属する海藻より抽出されるフコイダンがヒアルロニダーゼ阻害活性の有効成分であることが開示されている。
すなわち、本発明におけるカラギーナン、アルギン酸、ポリグルロン酸およびポリマンヌロン酸がヒアルロニダーゼ阻害活性を有することは、上記の開示内容に照らして、全く意外なものであると言える。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<試料>
本実施例で用いた試料はκ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸(ランダム:市販品)、前記アルギン酸(ランダム:市販品)の加水分解物、グルロン酸含有量の多いアルギン酸(High G:キミカ(株)製)、前記グルロン酸含有量の多いアルギン酸(High G)の加水分解物(ポリグルロン酸)、マンヌロン酸含有量の多いアルギン酸(High M:キミカ(株)製)、および前記マンヌロン酸含有量の多いアルギン酸(High M)の加水分解物(ポリマンヌロン酸)である。
本実施例で用いた各試料の質量平均分子量(Mw)を表1に示す。また、試料3〜8については、各試料中に含まれるグルロン酸(G)とマンヌロン酸(M)の比(G:M)を、NMRを用いて算出した結果も合わせて表1に示す。
Figure 2013010700
<ヒアルロニダーゼ阻害活性の測定>
試料1〜8について、以下に示す手順でヒアルロニダーゼの阻害活性を測定した。
<ヒアルロニダーゼ阻害活性測定溶液の調製>
0.1M酢酸緩衝液:0.1M酢酸溶液と0.1M酢酸ナトリウム溶液を混合し、pH3.5に調製した。酵素溶液は、牛こうがんヒアルロニダーゼ(シグマ社製、タイプIV−S)を0.1M酢酸緩衝液に溶解し1.9mg/mlに調製した。酵素活性化溶液は、compound48/80(シグマ社製)を0.1M酢酸緩衝液に溶解し、0.5mg/mlに調製した。基質溶液は、ヒアルロン酸カリウム(和光純薬工業製)を0.1M酢酸緩衝液に溶解し、0.8mg/mlに調製した。ホウ酸溶液は、ホウ素4.59gに水50mlを加えて1N水酸化ナトリウム水溶液でpH9.1にし、水で100mlに調製した。p−DAB試薬は、10N塩酸12.5mlと氷酢酸87.5mlの混液にp−メチルアミノベンズアルデヒドを10g溶解した。保存方法は冷蔵保存で、使用時には酢酸で10倍に稀釈して用いた。
<ヒアルロニダーゼ阻害活性測定方法>
ヒアルロニダーゼ阻害活性測定は、モルガン−エルソン(Morgan−Elson)法を応用する方法に従って行った(J.Biol.Chem.,217、959、1955年)。試料濃度が100μg/mLとなるように、試料1〜8それぞれについて、適当量を0.1M酢酸緩衝液にて希釈した試料溶液100μLを調製した。次に各試料溶液に酵素溶液を50μLを加え、37℃にて20分間放置した。次に酵素溶液を加えた前記各試料溶液に、酵素活性化溶液100μLを加えて37℃で20分間放置した。放置後の各試料溶液に、基質溶液250μLを加えて37℃で40分間放置し、0.4N水酸化ナトリウム水溶液100μLを加えた。続いて、各資料溶液にホウ酸溶液を100μL加えて3分間煮沸し、放冷後、p−DAB試薬3mlを加えて37℃で20分間放置し発色させ、585nmにおける吸光度を測定した。なお、試料溶液の代わりに酢酸緩衝液を入れたものを対照とし、各試料溶液、対照について酵素を入れないものブランクとし、下記式により阻害率を求めた。
Figure 2013010700
上記の手順で求めた、試料濃度が100μg/mLでの、それぞれの試料の酵素阻害活性の結果を表2および図1に示す。図1から明らかなように、試料1〜2、試料4〜8は市販のアルギン酸(ランダム:試料3)よりも高いヒアルロニダーゼ阻害活性を示した。特に、マンヌロン酸を多く含む試料7,8が優れたヒアルロニダーゼ阻害活性を示した。
Figure 2013010700
次に、試料3、試料4と市販のヒアルロニダーゼ阻害剤であるクロモグリク酸(DSCG:比較例1)について、ヒアルロニダーゼの50%阻害活性(IC50)を求めた結果を表3に示す。試料4については市販のヒアルロニダーゼ阻害剤と比較して、優れたヒアルロニダーゼ阻害活性を示した。
Figure 2013010700
本発明は、皮膚疾患や皮膚の保湿、ヒアルロニダーゼ阻害活性を利用した保湿、がんやアトピー性皮膚炎などのアレルギーの予防や治療のための、ヒアルロニダーゼ阻害作用を有する各種食品、化粧品や医薬品等の原料として利用可能である。

Claims (7)

  1. カラギーナンを有効成分として含有することを特徴とする、ヒアルロニダーゼ阻害剤。
  2. 前記カラギーナンがイオタ(ι−)カラギーナンであることを特徴とする、請求項1に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
  3. 前記カラギーナンがカッパ(κ−)カラギーナンであることを特徴とする、請求項1に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
  4. アルギン酸を構成するグルロン酸(G)単位とマンヌロン酸(M)単位のうち、いずれか一方の割合が60%以上であるアルギン酸を有効成分として含有することを特徴とする、ヒアルロニダーゼ阻害剤。
  5. 質量平均分子量が60,000Da以下である、アルギン酸加水分解物を有効成分として含有することを特徴とする、ヒアルロニダーゼ阻害剤。
  6. 前記アルギン酸加水分解物が、グルロン酸(G)単位を80%以上含有するポリグルロン酸である請求項5に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
  7. 前記アルギン酸加水分解物が、マンヌロン酸(M)単位を65%以上含有するポリマンヌロン酸である請求項5に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
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