JP2013009806A - ドラム式洗濯機およびそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】洗濯物から汚れを十分に浮き出させた状態から汚れをはがし出して洗浄をより早く行うドラム式洗濯機を提供すること。
【解決手段】洗い工程が、洗濯槽3内で洗濯物が張り付かない程度の低速で洗濯槽3を回転させる工程と、洗濯物が洗濯槽3の内壁面に張り付いた状態となる高速で回転させる工程(S8)とを有し、制御手段16は、前記低速で回転する工程の後に汚れセンサ15の出力が所定の条件になると高速で回転させる工程を行う。これによって洗濯物に洗浄水を十分に行きわたらせて、洗濯物から汚れを十分に浮き出させた状態から汚れをはがし出して洗浄をより早く行うことができる。
【選択図】図2
【解決手段】洗い工程が、洗濯槽3内で洗濯物が張り付かない程度の低速で洗濯槽3を回転させる工程と、洗濯物が洗濯槽3の内壁面に張り付いた状態となる高速で回転させる工程(S8)とを有し、制御手段16は、前記低速で回転する工程の後に汚れセンサ15の出力が所定の条件になると高速で回転させる工程を行う。これによって洗濯物に洗浄水を十分に行きわたらせて、洗濯物から汚れを十分に浮き出させた状態から汚れをはがし出して洗浄をより早く行うことができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、弾性的に支持された外槽内に洗濯物を収容して回転可能な洗濯槽を備え、その洗濯槽内で洗濯物の洗い、すすぎ、脱水及び乾燥を行うドラム式の洗濯機もしくは洗濯乾燥機に関する。
従来のドラム式洗濯機においては、洗濯物を洗濯槽に投入した後、給水手段によって洗濯機外部より水が供給される。あらかじめ既定量の洗剤が投入されている洗剤入れを介して洗濯槽を収容する外槽または洗濯槽に洗浄水が注水される。注水後は、洗濯槽を低速で回転させながら、洗濯物を十分に洗浄水で濡らす。その後、洗濯槽を一定時間、洗濯物が洗濯槽壁面に張り付かない程度の低速で回転させる。濡れた洗濯物が回転に伴って洗濯槽の上部より落下する際の衝撃によって汚れを落とすことで洗浄が行われる。このようなドラム式洗濯機においては、特に洗濯物の量が多い場合には洗濯物を濡らす工程において、洗濯槽内に投入された洗濯物を均一に濡らすことが困難である。そのため、洗いムラが発生し、洗浄性能が著しく低下する。
そこで、給水後に、洗濯槽を比較的低速な所定の回転数で回転させてたたき洗いを行う。また、前述の所定の回転数よりも高い回転数で洗濯槽を回転させてしぼり洗いを行う。所定の回転数は、洗濯物の中の洗浄水を遠心力により洗濯槽の外に排出し得る回転数である。これによって洗濯物をより入り交じるようにして撹拌することで洗濯物が均一に濡らされる(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記従来構成では、給水後の適当な時間に高速回転させようとすると、給水を行ったのみでは洗濯物は十分に水に濡れていない。このため、洗濯物の重量があまり重くなっておらず高速回転を行っても遠心力の効果は少ない。さらに、水に十分濡れていなければ高速回転による洗濯槽との摩擦が大きく、洗濯物の傷みが大きくなる。また、洗剤の混ざった洗浄水が洗濯物に十分に行きわたっていないので、洗濯物の汚れが洗浄水によって浮き上がらない。このため、この状態で洗濯槽を高速回転させても洗濯物の汚れが引きはがされないので、十分な洗浄効果が得られないという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯物から汚れを十分に浮き出させた状態から汚れをはがし出して洗浄をより早く行うドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機およびプログラムは、洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、前記洗濯槽を収容する外槽と、前記洗濯槽を駆動する駆動手段と、前記外槽内の洗浄水の汚れを検知する汚れセンサと、前記汚れセンサからの出力により汚れ量を判断し、前記駆動手段の制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗濯槽の内壁面に洗濯物が張り付かない程度の低速で前記洗濯槽を回転させる低速撹拌工程と、洗濯物が前記洗濯槽の内壁面に張り付いた状態となるように高速で前記洗濯
槽を回転させる高速回転工程とを有する洗い工程を行い、前記低速撹拌工程中に前記汚れセンサの出力が所定条件になると、前記高速回転工程を行うものである。
槽を回転させる高速回転工程とを有する洗い工程を行い、前記低速撹拌工程中に前記汚れセンサの出力が所定条件になると、前記高速回転工程を行うものである。
これによって、給水後に、低速で回転する工程を行うことで洗濯物が十分に洗剤の混ざった洗浄水で濡れた状態になり、洗剤の界面活性剤が洗濯物の汚れに吸い付く。汚れセンサの出力が所定の条件になると洗濯槽を高速で回転させることで、洗濯物近傍の洗剤の混ざった洗浄水および洗剤に付着した汚れを引きはがすことができる。
本発明のドラム式洗濯機は、洗濯物に洗浄水を十分に行きわたらせて、洗濯物から汚れを十分に浮き出させた状態で汚れをはがし出すので、洗浄性能を向上させることができる。
第1の発明のドラム式洗濯機は、洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、前記洗濯槽を収容する外槽と、前記洗濯槽を駆動する駆動手段と、前記外槽内の洗浄水の汚れを検知する汚れセンサと、前記汚れセンサからの出力により汚れ量を判断し、前記駆動手段の制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗濯槽の内壁面に洗濯物が張り付かない程度の低速で前記洗濯槽を回転させる低速撹拌工程と、洗濯物が前記洗濯槽の内壁面に張り付いた状態となるように高速で前記洗濯槽を回転させる高速回転工程とを有する洗い工程を行い、前記低速撹拌工程中に前記汚れセンサの出力が所定条件になると、前記高速回転工程を行うものである。
このような構成によって、洗濯物から汚れを十分に浮き出させた状態から汚れをはがし出して洗浄をより早く行うことができる。
第2の発明は、第1の発明のドラム式洗濯機の前記制御手段は、前記汚れセンサの出力の変化量が所定以下になると前記高速回転工程を行うものである。汚れの量を汚れセンサの出力値で検知するのではなく、変化量で検知するので、布量や汚れ量が多い場合であっても少ない場合であっても、一律の制御をすればよい。このため、洗濯物から汚れが十分に洗浄水に溶け出し、汚れが飽和してきたところで高速で回転させて、さらに汚れを引きはがすことができる。
第3の発明は、第1の発明のドラム式洗濯機の前記制御手段は、前記汚れセンサの出力に基づき汚れ量が多いほど前記低速撹拌工程を長く行うようにするものである。これにより、洗剤に含まれる界面活性剤が洗濯物の汚れに吸い付いて洗浄水内に溶け出す時間を確保することができ、洗濯物の汚れに対して洗剤の洗浄効果を発揮させて汚れを浮き上がらせることができる。
第4の発明は、第1の発明のドラム式洗濯機の前記制御手段は、前記汚れセンサの出力
が所定値以上になると前記高速回転工程を行うものである。これによって、洗濯物に洗浄水が十分に浸透して洗濯物から汚れが溶け出しはじめたところで、高速で回転させてさらに汚れを引きはがすことができる。
が所定値以上になると前記高速回転工程を行うものである。これによって、洗濯物に洗浄水が十分に浸透して洗濯物から汚れが溶け出しはじめたところで、高速で回転させてさらに汚れを引きはがすことができる。
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明のドラム式洗濯機の前記汚れセンサによる汚れの検知は、濁度センサ、導電率センサ、色落ちセンサのうち少なくとも1つのセンサを用いて行うものである。これによって、洗濯物の汚れ成分に応じて必要な汚れの洗浄に対応することができる。
第6の発明は、第1〜5のいずれか1つの発明のドラム式洗濯機において、少なくとも一つの手段をコンピュータに実行させるためのプログラムである。これによって記録媒体や通信回線でのダウンロードによって運用途中でのプログラムの変更や追加を行うことができるので、新たな仕様変更に対応できる。
以下、本発明の実施の形態1〜3について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構成図である。図1に示すように、洗濯機全体の外箱1の内部に外槽2が配設されている。外槽2の内側に洗濯槽としてのドラム3が水平方向から背面方向へ下向きに傾斜した回転軸によって回転可能な状態で配設されている。ドラム3は、背面に駆動手段としてのモータ4が接続されて、モータ4の回転によりドラム3が回転する。また、ドラム3には外周面に複数の通孔が設けられており、洗濯槽、脱水槽、乾燥槽としても機能する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構成図である。図1に示すように、洗濯機全体の外箱1の内部に外槽2が配設されている。外槽2の内側に洗濯槽としてのドラム3が水平方向から背面方向へ下向きに傾斜した回転軸によって回転可能な状態で配設されている。ドラム3は、背面に駆動手段としてのモータ4が接続されて、モータ4の回転によりドラム3が回転する。また、ドラム3には外周面に複数の通孔が設けられており、洗濯槽、脱水槽、乾燥槽としても機能する。
外槽2の最下部には、取水口5が接続されており、取水口5には循環経路12が連通されている。取水口5から取り込んだ洗浄水は循環経路12を通り、吐出口11からドラム3に吐出されることで、循環している。循環経路12への水の取り込みは、循環経路12内に設けられた循環ポンプ13を用いて行われる。これによって、循環経路12による洗浄水の循環は循環ポンプ13の制御のみで行えるので、ドラム3の回転による水流など、通常洗浄力を制御する洗浄制御とは関係なく洗浄水を循環させることができる。
循環時の循環水に洗濯物の繊維や髪の毛などの異物が多く含まれると、循環ポンプ13や排水管7が詰まる恐れがあるため、取水口5と循環ポンプ13の間にフィルタ14を設置して洗濯物の繊維や髪の毛などの異物が取り除かれている。
汚れセンサ15は、循環経路12内に設置され、洗浄水の汚れを検出する。本発明の実施の形態1では、汚れセンサ15は取水口5とフィルタ14の間に配置されている。汚れセンサ15は、濁度センサ、導電率センサ、色落ちセンサのうち少なくとも1つ以上のセンサが用いられる。なお、センサを複数用いるものでもよいが、センサが濁度、導電率、色落ちなど、複数の機能を有するものであってもよい。
排水弁6は、取水口5と循環ポンプ13の間に設けられ、排水弁6の下流にある排水管7に接続されている。
取水口5には外槽2およびドラム3に給水された水位を検知するための水位検知手段としての水位センサ8が設置されている。水位センサ8は、給水後にすぐに浸水する位置に設置される。水位センサ8は、たとえば隔膜(ダイアフラム)に加わる圧力を膜の変形として検出することで水位を検知する。隔膜の変形を検出する方法としては、静電容量の変化やひずみゲージが使われる。
給水口9は水道に接続され、給水弁10を介して外槽2やドラム3を順次、洗浄水やすすぎ水で満たす。
制御手段16は、マイクロコンピュータ等で構成され、汚れセンサ15からの出力である汚れ検出値から汚れ量を判断する。また、制御手段16は、汚れセンサ15からの汚れ量や水位センサ8からの水位検出信号により、排水弁6および給水弁10の開閉、モータ4や循環ポンプ13の制御等を行う。これによって、洗い、すすぎ、脱水、乾燥工程の制御を行う。さらに、制御手段16は、モータ4に流れる電流信号を検知してドラム3の重さつまり洗濯物の重量を判定する布量検知手段としての機能も有している。
次に、本発明の実施の形態1のドラム式洗濯機の動作について、図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の洗浄制御を示すフローチャートである。洗濯機に洗濯物が投入されて洗濯を開始すると、制御手段16は、洗濯物の量を検出する布量検知を行う(S1)。
布量検知は、以下の要領で行う。まず、モータ4が回転駆動される。このとき、制御手段16は、ドラム3の回転数を、洗濯物がドラム3の周壁に張り付く程度の回転数、例えば100〜140rpm程度まで一旦立ち上げる。制御手段16は、所定時間、回転を維持した後、モータ4の通電をオフする。その後、ドラム3が惰性により回転することで、モータ4が回転する。このとき、ドラム3の回転は摩擦トルクによりしだいに低下して、やがてドラム3は停止する。通電停止からドラム3の停止までの時間は、洗濯物の量が多いときは長く、洗濯物の量が少ないときは短い。この停止に要する時間の違いが洗濯物の量に比例することを利用して洗濯物の量が検知される。
基本的な給水量は、この洗濯物の量をもとに決定する。たとえば、洗濯物の量が「少」と判定された時は、制御手段16は、「低」水位のWL1を設定水位とする。洗濯物の量が「中」と判定された時は、制御手段16は、「中」水位のWL2を設定水位とする。また、洗濯物の量が「多」と判定された時は、制御手段16は、「高」水位のWL3を設定水位とする(S2)。
次に、制御手段16は、給水弁10を開放して(S3)、外槽2およびドラム3に設定水位になるまで給水を行う(S4)。
給水中は、制御手段16により循環ポンプ13を制御して、洗剤とともに給水された洗浄水が循環経路12を介して吐出口11より外槽2へ循環することで洗剤の水への溶け込みを促進する。吐出口11からドラム3内に循環水が吐出すると洗剤が水に溶ける前に衣類が水を吸うため、循環ポンプ13の回転数は、ドラム3内に循環水があまり吐出せず、ドラム3の前端部を伝う程度に弱く設定されている。
制御手段16は、設定水位に到達したことを確認すると(S4のYES)、給水弁10を閉じる(S5)。次に、ドラム3の内壁面に洗濯物が張り付かない程度の低速でドラム3を回転させる第1の低速撹拌工程に入る。第1の低速撹拌工程では、ドラム3を低速で回転させながら洗濯物の撹拌を開始する(S6)。ドラム3の回転数は、洗濯物がドラム3内で持ち上げられ、ドラム3の上部より重力によって落下し、落下時の運動エネルギーが効果的に加えられる回転数である。よって、この時のドラム3の回転数は、洗濯物がドラム3の内壁面に、遠心力によって張り付かない程度の回転数である。例えば、洗濯物の量にも依存するが50rpm以下が好ましい。回転方向は、同一方向でもよいし、定期的
に逆転させてもよい。
に逆転させてもよい。
この時、制御手段16が循環ポンプ13を制御することで、洗剤が十分に溶けた洗浄水は循環経路12を介して吐出口11よりドラム3内へ循環される。これによって洗浄水の洗濯物への浸透が促進される。このため、循環ポンプ13の回転数は、ドラム3内に循環水がしっかり吐出して洗濯物に洗浄水が浸透しやすくできる回転数とする。
制御手段16は、汚れセンサ15からの汚れ検出値を定期的に読み出して、汚れ検出値の変化をみる。図3は、本発明の実施の形態1における洗い工程における汚れ検出値と汚れ検出値差分を示す図である。汚れ検出値の変化量が所定以下であれば、すなわち、前回読み出した値との差が小さければ、汚れが飽和したとみなす(S7のYES)。汚れの飽和は、図3に示すように、低速でドラム3を回転させる工程(S6)中に、汚れ検出量の立ち上がりが緩やかになり、前回読み出した値との差分が所定値以下になったときとする。このときの所定値としては、例えば、汚れ検出値の差分が1分間に5mm以下程度である。
汚れの量を汚れセンサ15の出力値で検知するのではなく、変化量で検知するので、布量や汚れ量が多い場合であっても少ない場合であっても、一律の制御をすればよい。このため、洗濯物から汚れが十分に洗浄水に溶け出し、汚れが飽和してきたところで高速で回転させて、さらに汚れを引きはがすことができる。
制御手段16はモータ4を制御して、ドラム3が高速で回転する工程である高速回転工程に移行する(S8)。高速回転工程におけるドラム3の回転速度は、洗濯物がドラム3の壁面に張り付いた状態となり、遠心力がかかる速度である。より具体的には、遠心力によって洗濯物が含んでいる水分が強制的に離脱することが十分に可能な回転数がよく、150rpm以上が好ましい。より好ましくは300rpm以上である。また、高速回転を行う際の単位操作として、連続的な一度の操作で行われる。また、短時間でON/OFFを行うような断続的に繰り返し行うものでもよい。ドラム3の高速回転を行うことで、洗剤による過剰の泡が発生することがあるので、繰り返し行う場合には断続的に高速回転を行う方が好ましい。
先に行われた第1の低速撹拌工程によって、界面活性剤からなる洗剤は衣類繊維の汚れ物質に付着している。高速回転工程において、衣類繊維近傍の洗浄水が遠心力によって除去されるので、汚れ物質は洗浄水と共に衣類繊維中から効率良く除くことが可能となる。さらに、高速回転時に洗浄水を循環ポンプ13によってドラム3内の洗濯物に向けて吐出すれば、汚れがまだ付着していない洗浄水が、高速回転によって脱水された洗濯物に効果的に吸収される。このように、ドラム3の高速回転による脱水と、吐出された洗浄水の吸水により、衣類繊維に含まれる洗浄水の入れ替わりが促進される。
ドラム3を高速で回転させる時間Tは、洗濯物に含まれる洗浄水を絞り出すことができればよいため比較的短時間でよく、例えば30秒間だけ行う。
高速回転工程の時間Tが30秒経過すると(S9のYES)、続いて、再びドラム3を低速で回転させる第2の低速撹拌工程を実施する(S10)。第2の低速撹拌工程では、第1の低速撹拌工程と同様に循環ポンプ13を起動させる。外槽2の洗浄水は、循環経路12を経由して吐出口11よりドラム3内へ循環する。この時、ドラム3は洗濯物が張り付かずドラム3内でゴロゴロと転がる程度の回転数で回転している。また、循環ポンプ13を稼動させ吐出口11より洗浄水を吐出させる動作は連続運転でも間欠運転でも動作可能である。
高速回転工程の後、さらに継続して第2の低速撹拌工程を行うことで、洗剤の化学的性質とドラム3の低速回転に伴う機械力によって、再び繊維に残存していた汚れ物質もさらに剥ぎ取ることが可能となる。繊維間の洗浄水中の汚れ物質濃度が高い場合には繊維への再付着が懸念されるが、洗剤の界面活性剤に付着して囲まれた汚れは再付着しにくい。このため、汚れに付着していない界面活性剤のみが洗濯物に吸い付くので、残った汚れに対して洗剤の化学的性質を働かせることができる。
第2の低速撹拌工程の時間は、残りの洗剤を洗濯物に十分に浸透させる時間があればよいため、布量に依存しない所定時間に固定する。本発明の実施の形態1では、前述の所定時間を5.5分として、所定時間が経過すれば(S11)、洗い工程を終了する。このようにすれば、演算や定数テーブルが少なくて済むため、制御手段16の負荷を軽くすることができる。
以上のように、給水後に、低速で回転する工程を汚れセンサ15の出力が飽和するまでの時間行うことにより、洗濯物が十分に洗剤の混ざった洗浄水を含んで濡れた状態になる。すると、洗剤の界面活性剤が洗濯物の汚れに吸い付いて洗浄水内に溶け出す。その後に、ドラム3を高速で回転させることで、洗濯物近傍にある洗剤が混ざった洗浄水と、洗剤に付着した汚れとを引きはがす。このようにすることで、再度洗濯物に残った汚れに洗剤を浸透させることができる。
なお、実施の形態1で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録、もしくはインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
なお、ドラム式洗濯機だけでなく、乾燥機能付きのドラム式洗濯乾燥機としても同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、ドラム式洗濯機の概略構成は実施の形態1で説明したドラム洗濯機と同じ構成であるが、制御手段16が行う動作が実施の形態1とは異なる。構成の詳細な説明は、実施の形態1のものを援用する。実施の形態2において、制御手段16は、汚れセンサ15の出力により汚れ量が多いほど、ドラム3を低速回転させる工程を長く行うようにする。
本発明の実施の形態2は、ドラム式洗濯機の概略構成は実施の形態1で説明したドラム洗濯機と同じ構成であるが、制御手段16が行う動作が実施の形態1とは異なる。構成の詳細な説明は、実施の形態1のものを援用する。実施の形態2において、制御手段16は、汚れセンサ15の出力により汚れ量が多いほど、ドラム3を低速回転させる工程を長く行うようにする。
本発明の実施の形態2のドラム式洗濯機の動作について、主に本発明の実施の形態1との違いを図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の実施の形態2におけるドラム式洗濯機の洗浄制御を示すフローチャートである。給水に関しては、本発明の実施の形態1と同様である。
洗い工程に入ると、ドラム3の壁面に洗濯物が張り付かない程度の低速でドラム3を回転させ第1の低速撹拌工程を行う(S6)。第1の低速撹拌工程の開始から所定時間(例えば2分)経過すると(S12のYES)、制御手段16は、汚れセンサ15の出力Xを読み出す。
汚れセンサ15の出力Xが、所定値A、たとえば100以上であれば(S13のYES)、第1の低速撹拌工程の時間tを4分とする(S14)。出力Xが100以上でなく(
S13のNO)、所定値Aよりも小さい値である所定値B、たとえば50以上であれば(S15のYES)、第1の低速撹拌工程の時間tを2分とする(S16)。そうでなければ(S15のNO)、第1の低速撹拌工程の時間tを1分とする(S17)。つまり、汚れセンサ15の出力X、すなわち汚れ検出値が大きいほど、第1の低速撹拌工程の時間tの値を大きいものとする。設定したt分間だけ第1の低速撹拌工程を行う(S18)。このように、汚れセンサ15の出力Xである汚れ検出値により、汚れ量が多いほど第1の低速撹拌工程を長く行うようにすることにより、洗剤に含まれる界面活性剤が洗濯物の汚れに吸い付いて洗浄水内に溶け出す時間を確保することができる。これにより、洗濯物の汚れに対して洗剤の洗浄効果を発揮させて、汚れを浮き上がらせることができる。
S13のNO)、所定値Aよりも小さい値である所定値B、たとえば50以上であれば(S15のYES)、第1の低速撹拌工程の時間tを2分とする(S16)。そうでなければ(S15のNO)、第1の低速撹拌工程の時間tを1分とする(S17)。つまり、汚れセンサ15の出力X、すなわち汚れ検出値が大きいほど、第1の低速撹拌工程の時間tの値を大きいものとする。設定したt分間だけ第1の低速撹拌工程を行う(S18)。このように、汚れセンサ15の出力Xである汚れ検出値により、汚れ量が多いほど第1の低速撹拌工程を長く行うようにすることにより、洗剤に含まれる界面活性剤が洗濯物の汚れに吸い付いて洗浄水内に溶け出す時間を確保することができる。これにより、洗濯物の汚れに対して洗剤の洗浄効果を発揮させて、汚れを浮き上がらせることができる。
その後、洗濯物がドラム3の壁面に張り付いた状態となるようにドラム3を高速で回転させる高速回転工程を行う(S8)。その後、実施の形態1のように、再度、ドラム3を低速で回転させながらの撹拌(第2の低速撹拌工程)を行い(S10)、洗浄を終了する。
以上のように、ドラム3を低速で回転させる工程の後に、高速で回転させる工程を行うことにより、洗濯物近傍にある洗剤が混ざった洗浄水と、洗剤に付着した汚れとを引きはがすので、再度洗濯物にった汚れに洗剤を浸透させることができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態2は、ドラム式洗濯機の概略構成は実施の形態1で説明したドラム洗濯機と同じ構成であるが、制御手段16が行う動作が実施の形態1とは異なる。構成の詳細な説明は、実施の形態1のものを援用する。本発明の実施の形態3において、制御手段16は、汚れセンサ15の出力が所定値以上になると、ドラム3を高速で回転させる工程を行う。
本発明の実施の形態2は、ドラム式洗濯機の概略構成は実施の形態1で説明したドラム洗濯機と同じ構成であるが、制御手段16が行う動作が実施の形態1とは異なる。構成の詳細な説明は、実施の形態1のものを援用する。本発明の実施の形態3において、制御手段16は、汚れセンサ15の出力が所定値以上になると、ドラム3を高速で回転させる工程を行う。
本発明の実施の形態3のドラム式洗濯機の動作について、主に本発明の実施の形態1との違いを図5を参照しながら説明する。
図5は、本発明の実施の形態3におけるドラム式洗濯機の洗浄制御を示すフローチャートである。給水に関しては、実施の形態1と同様である。
洗い工程に入ると、制御手段16は、ドラム3の壁面に洗濯物が張り付かない程度の低速でドラム3を回転させる第1の低速撹拌工程を行う(S6)。このとき、汚れセンサ15の出力を定期的に読み出す(S20)。
図6は、本発明の実施の形態3における洗い工程における汚れ検出値を示す図である。汚れセンサ15の出力Xが、所定値C、たとえば100以上となっていれば(S20のYES)、洗濯物がドラム3の内壁面に張り付いた状態となるように高速で回転する高速回転工程を行う(S8)。汚れセンサ15の出力値である汚れ検出値が所定値C以上になってから高速回転工程を行うことにより、洗濯物に洗浄水が十分に浸透して洗濯物から汚れが溶け出しはじめたところで、高速で回転させてさらに汚れを引きはがすことができる。
汚れセンサ15の出力Xが、100以上となっていなければ(S20のNO)、設定時間(例えば15分)が過ぎていない間(S21のNO)は、ドラム3を低速で回転させながら撹拌(S6)を続ける。
汚れセンサ15の出力Xが、100以上とならないまま設定時間(例えば15分)が過ぎた場合(S21のYES)は、そのまま洗い工程を終了する。
ドラム3を高速で回転させた(S8)後は実施の形態1のように、再度、ドラム3を低速で回転させながらの撹拌(第2の低速撹拌工程)を行い(S10)、洗浄を終了する。
以上のように、給水後に、汚れセンサの出力Xが100以上になれば高速でドラム3を回転する工程を行うことで、十分に汚れが溶け出し始めた段階で洗濯物近傍の洗剤の混ざった洗浄水および洗剤に付着した汚れを引きはがすことで、再度洗濯物の残った汚れに洗剤を浸透させることができる。
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、洗濯物の汚れ量に応じて洗濯槽の回転を制御して、洗浄性能を向上することができるので、繊維などの洗浄装置等の用途にも適用できる。
1 外箱
2 外槽
3 ドラム(洗濯槽)
4 モータ(駆動手段)
5 取水口
6 排水弁
7 排水管
8 水位センサ(水位検知手段)
9 給水口
10 給水弁
11 吐出口
12 循環経路
13 循環ポンプ
14 フィルタ
15 汚れセンサ
16 制御手段
2 外槽
3 ドラム(洗濯槽)
4 モータ(駆動手段)
5 取水口
6 排水弁
7 排水管
8 水位センサ(水位検知手段)
9 給水口
10 給水弁
11 吐出口
12 循環経路
13 循環ポンプ
14 フィルタ
15 汚れセンサ
16 制御手段
Claims (6)
- 洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、
前記洗濯槽を収容する外槽と、
前記洗濯槽を駆動する駆動手段と、
前記外槽内の洗浄水の汚れを検知する汚れセンサと、
前記汚れセンサからの出力により汚れ量を判断し、前記駆動手段の制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記洗濯槽の内壁面に洗濯物が張り付かない程度の低速で前記洗濯槽を回転させる低速撹拌工程と、洗濯物が前記洗濯槽の内壁面に張り付いた状態となるように高速で前記洗濯槽を回転させる高速回転工程とを有する洗い工程を行い、前記低速撹拌工程中に前記汚れセンサの出力が所定条件になると、前記高速回転工程を行うドラム式洗濯機。 - 前記制御手段は、前記汚れセンサの出力の変化量が所定以下になると前記高速回転工程を行う請求項1に記載のドラム式洗濯機。
- 前記制御手段は、前記汚れセンサの出力に基づき汚れ量が多いほど前記低速撹拌工程を長く行うようにする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
- 前記制御手段は、前記汚れセンサの出力が所定値以上になると前記高速回転工程を行う請求項1に記載のドラム式洗濯機。
- 前記汚れセンサによる汚れの検知は、濁度センサ、導電率センサ、色落ちセンサのうち少なくとも1つのセンサを用いて行う請求項1〜4のいずれか1項記載のドラム式洗濯機。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機において少なくとも一つの手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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