JP2013006782A - ピラゾール化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法であって、反応液から生成物を効率よく回収できる製造方法の提供。
【解決手段】下記の2工程を含む一般式(5)で表されるピラゾール化合物の製造方法。
Figure 2013006782

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Rはアルキル基またはアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、医農薬中間体として有用なピラゾール化合物の製造方法に関する。
1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法としては、アルコキシ基を脱離基とする2−アルコキシメチレンアシル酢酸エステルとヒドラジン類との反応による方法が知られており(例えば、特許文献1、2、3)、特許文献3には、2−エトキシメチレン−4,4−ジフルオロアセト酢酸エチルとメチルヒドラジン水溶液から3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルと5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルの異性体混合物の得られることが記載されている。
これに対し、アミノ基を脱離基とする反応も知られ、特許文献4は、2−ペルハロアシル−3−アミノアクリル酸誘導体がヒドラジン類と反応して3−ペルハロアルキル−置換ピラゾール類を与えることを開示している。また、特許文献5は、2−(ジフルオロアセチル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルとメチルヒドラジンから3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルとその異性体(5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル)との89.2:10.8の比の混合物が得られることを開示している。
特開2000−128763号公報 特開2000−212166号公報 国際公開第06/090778号パンフレット 特表2005−511782号公報 特表2007−509850号公報
ジアルキルアミノアクリル酸エステルを出発原料とするアシル化反応および環化反応の二段階の反応による1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法であって、反応液からの生成物を回収効率よく得ることのできる製造方法を提供する。
1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法に関する反応は、例えば、ジアルキルアミノアクリル酸エステルを出発原料として次の二段階のスキームで示すことができる。
Figure 2013006782
環化反応後の反応液から二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルを回収するには、通常の精製方法として、反応液を水洗浄して水溶性成分を除くことと、溶媒などの有機成分を分離することが行われる。アシル化反応と環化反応は継続して行うことができ、中間において精製を行わないのはプロセスの簡略化となり生成物の高収率化も期待できるが、環化反応後の精製が煩雑になる恐れがある。例えば、アシル化工程でトリメシン酸の生成を抑制するために添加するトリエチルアミンなどの有機塩基(RN)とそのハロゲン化水素塩(RN・HX)などが、反応液に含まれることがある。反応液から二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルを取り出すには、水洗によりこの塩に含まれる酸成分を除去するが、有機相には二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル、溶媒のほかにトリエチルアミン等の有機塩基が含まれることがあり、それから有機溶媒、有機塩基等を留去しても不純物の多い固体またはオイルとして得られることが多い。
ところが、有機塩基として非水溶性であり有機溶媒と相溶性のある特定の有機塩基を使用すると、水洗後に分離して得られた有機溶液から有機溶媒を留去するすると有機塩基から二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルが析出し結晶として得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は、次の通りである。
[発明1]
下記の2工程を含む一般式(5)で表されるピラゾール化合物の製造方法において、第一工程の有機塩基が炭素数の合計が9〜18の第三アミンである、ピラゾール化合物の製造方法。
第一工程:一般式(2)で表されるカルボン酸ハライドと一般式(3)で表されるジアルキルアミノアクリル酸エステルを有機塩基と有機溶媒の存在下で反応させて一般式(1)で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルを含む反応器内容物を得る工程。
第二工程:第一工程で得られた反応器内容物、無機塩基および一般式(4)で表される置換ヒドラジンを混合して一般式(5)で表されるピラゾール化合物を合成する工程。
Figure 2013006782

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Rはアルキル基またはアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
[発明2]
第ニ工程で得られた反応器内容物を水で洗浄し、得られた有機溶液から有機溶媒を留去した第三アミン溶液から一般式(5)で表されるピラゾール化合物を結晶として析出させる工程を含む発明1のピラゾール化合物の製造方法。
Figure 2013006782
[発明3]
有機溶媒を留去した第三アミン溶液と、一般式(5)で表されるピラゾール化合物の貧溶媒を混合することを含む、発明2のピラゾール化合物の製造方法。
[発明4]
再三アミン溶液を冷却することを含む発明1〜3のピラゾール化合物の製造方法。
[発明5]
第二工程が、第一工程で得られた反応器内容物および無機塩基を含む組成物と、置換ヒドラジンを含む組成物とを混合して一般式(5)で表されるピラゾール化合物を合成する工程である発明1〜4のピラゾール化合物の製造方法。
[発明6]
第二工程で用いる無機塩基が水酸化カリウムである発明1〜5のピラゾール化合物の製造方法。
[発明7]
一般式(2)で表されるカルボン酸ハライドがジフルオロ酢酸フルオライドである発明1〜6のピラゾール化合物の製造方法。
[発明8]
第三アミンがトリブチルアミンである発明1〜7のピラゾール化合物の製造方法。
[発明9]
有機溶媒がトルエンである発明1〜8のピラゾール化合物の製造方法。
本発明の製造方法は、2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルとヒドラジン類からピラゾール環を形成する反応においてトリブチルアミンなどを塩基または溶媒として存在させることで、生成物である二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルを反応溶媒から容易に結晶として回収できるため、工業的な製法として有利な効果を奏する。
本明細書において、1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル等の1,3−位に置換基を有するピラゾール化合物をそれに対応する1,5−位に置換基を有するピラゾール化合物から区別するために1,3−異性体と称し、同様に、1,5−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル等を1,5−異性体と称し、これらの表示は特定のピラゾール化合物を意味するものではない。
本明細書において、アルキル基は、直鎖状、分岐状および環状のアルキル基を包含するものとする。アルキル基またはアリール基というときは、それぞれは置換基を有してもよい。
<アシル化工程 2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造>
一般式(1)
Figure 2013006782
で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルは、一般式(2)
Figure 2013006782
で表されるカルボン酸ハライドと一般式(3)
Figure 2013006782
で表されるジアルキルアミノアクリル酸エステルを反応させることで製造できる。
一般式(1)〜(3)におけるR、R、R、Rは、それぞれ独立にアルキル基を表す。ここで、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。各水素原子はハロゲン原子で置換していてもよい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、フッ素または塩素が好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、および、それらの任意の水素原子がハロゲン原子で置換したものが挙げられる。Rとしては、炭素数1〜4のハロゲン化アルキルが好ましく、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、クロロアルキル基またはクロロフルオロアルキル基がより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、モノクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、1,1,2,2−テトラクロロエチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基などを挙げることができる。これらのうち、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基などがさらに好ましい。R、Rは、脱離基−NRとして機能するので、特に限定されることはなく、ハロゲン置換しないものでもよく、前記アルキル基のうち、メチル基またはエチル基が好ましく、R、Rが共にメチル基であるものが特に好ましい。Rはピラゾール化合物を反応試剤として用いる反応の目的に応じて選択するべきであるが、生成したピラゾール化合物中のRを脱保護してカルボン酸に誘導する場合は、脱離基として機能するので特に限定されず、前記アルキル基のうち、エチル基またはイソプロピル基などが好ましい。
一般式(2)におけるXはハロゲン原子を表し、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。カルボン酸ハライドの製法としては、公知の方法を採用すればよく、例えば、対応するカルボン酸を塩化チオニルなどの塩素化剤で塩素化する方法またはハロゲン化炭化水素を酸化してカルボン酸クロライドとする方法や、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、触媒の存在下に熱分解してジフルオロ酢酸フルオライドを製造する方法(特開平8−20560公報)などが挙げられる。
本発明において、2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は第三アミンの存在下で行われる。第三アミンとしては、非水溶性のアミンが好ましく、炭素数が9〜18のものが好ましい。このようなものとしては、例えば、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−イソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリ−n−アミルアミン、トリ−イソアミルアミン、トリ−sec−アミルアミン、トリ−tert−アミルアミンなどの対称第三アミン、N−メチルジ−n−ブチルアミン、N−メチルジイソブチルアミン、N−メチルジ−tert−ブチルアミン、N,N−ジイソプロピルブチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、N,N−ジメチルノニルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N−メチルジヘキシルアミンなどの非対称第三アミンなどが挙げられる。沸点、融点、非水溶性、入手性などの点で対称アミンが好ましく、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンがより好ましく、トリ−n−ブチルアミンがさらに好ましい。
第三アミンの添加量は、カルボン酸ハライドのモル数の0.5〜3倍であり、好ましくは0.8〜1.5倍である。第三アミンの添加量が0.5倍未満では、トリメシン酸トリエチルが副生して2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの選択率を下げたり、後工程の環化工程で反応中に3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルが析出したりすることがあり好ましくない。逆に3倍を超えるとスペースイールドが低下するので好ましくない。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は非水溶性溶媒中で行われる。この溶媒としては、脂肪族または芳香族の炭化水素が挙げられる。例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化された炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタンなどが例示できる。トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサンまたはシクロヘキサンの使用が好ましく、トルエンまたはキシレンがより好ましい。これらの溶媒は混合して使用することができる。
溶媒の使用量は第三アミンの重量の0.5〜3倍であり、0.8〜1.5倍が好ましい。溶媒が無い系、少ない系でも目的が達成できるが、0.5倍未満では、アシル化工程で第三アミン/ハロゲン化水素塩の相と有機物相が二層を形成して均一形とならないことがあるので好ましくない。3倍を超えるとスペースイールドが低下するので好ましくない。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は、温度−20℃〜+50℃で行い、好ましくは−10℃〜+45℃で行い、さらに好ましくは0〜40℃で行う。反応圧力は反応に影響は及ぼさないので特に制限されないが、0.1〜10MPa程度の加圧下で行ってもよく、通常、大気圧〜1MPa程度で行えばよい。反応時間は反応温度や反応試剤の比率に依存するが、通常10分〜10時間程度であり、反応を追跡しながら基質の減少または消失を目安に決定する。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造では、カルボン酸ハライド1モルに対してジアルキルアミノアクリル酸エステルを0.5モル〜3モル、好ましくは0.5モル〜1.5モル、より好ましくは0.9モル〜1.1モルとする。塩基は通常、カルボン酸ハライド1モルに対し等モル量程度でよいが、0.5〜5モルであり、0.8〜2モルが好ましく、0.9〜1.5モルがより好ましい。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は、ジアルキルアミノアクリル酸エステルと第三アミンを溶媒に溶解して反応温度上限以下の温度に保持しながら、そこへカルボン酸ハライドを吹き込むことで行えるが、スクラバー形式などの各種気液接触方法を採用することもできる。第三アミンは反応の経過に伴って連続的または逐次的に添加することもできる。
このようにして得られた2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルを含む反応液は、第三アミン/ハロゲン化水素塩が含まれているが、この塩を含む2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルを次工程の環化反応に用いた場合、好ましくない1,5−異性体の副生が促進される。しかしながら、本発明の方法においては、この塩を除去することなく次工程に供することができる。
<環化工程 ピラゾール化合物の製造>
第二工程は、一般式(1)
Figure 2013006782
で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルと一般式(4)
Figure 2013006782
で表されるヒドラジン類を塩基の存在下で反応させて一般式(5)
Figure 2013006782
で表されるピラゾール化合物を製造する環化工程である。
一般式(1)および一般式(5)におけるR、R、R、Rは、前記の意味と同じであるので説明を繰り返さない。
一般式(4)及び一般式(5)におけるRは、アルキル基またはアリール基を表し、これらは置換基を有してもよい。好ましくは、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシアルキル基またはアリール基であって、アルキル基およびアルコキシ基の任意の数の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、アルコキシ基の酸素原子は硫黄原子で置換されていてもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素である。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基が挙げられ、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基またはtert−ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(4)で表されるヒドラジン類は、具体的にはメチルヒドラジン、エチルヒドラジンなどが好ましい。ヒドラジン類は、無水のものでもよいが水溶液のものが入手が容易で取り扱いやすく好ましい。
本発明のピラゾール化合物への環化反応は、無機塩基の存在下で行う。無機塩基としては、水溶性の無機塩基が好ましい。無機塩基としては、アルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩がより好ましい。アルカリ金属の水酸化物が特に好ましい。塩基として具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムが好ましく、水酸化カリウムは水性溶媒に対する溶解度が高く反応、精製等での操作性に優れるのでさらに好ましい。使用する塩基は、特に高純度品は要求されず、通常の工業用薬品、試薬等の汎用グレードのものが経済的で好ましい。
環化反応での無機塩基の添加量は、2−アシル−3−アミノアクリル酸エステル1モルに対して、1.1〜3モルであり、1.2〜2モルが好ましく、1.3〜1.5モルがより好ましい。1.1モルよりも添加量が少ない場合は、1,5−異性体の生成が増加するので好ましくない。3モルよりも多い場合は、原料または生成物が加水分解して目的生成物の収量が低下することがある。
本発明のピラゾール化合物への環化反応は、溶媒の存在下に行うことが好ましい。具体的には、水、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリンなど、およびハロゲン化された炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタンなど、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなど、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノールなど、ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなど、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなど、アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなど、スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシドなど、またはスルホン類、例えばスルホランなどが挙げられる。炭化水素およびハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素がより好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサンまたはシクロヘキサンが好ましく、トルエンまたはキシレンがより好ましい。また、環化反応で溶媒を追加する必要がある場合は、前段のアシル化反応と同じ溶媒を使用することが好ましい。溶媒は二種以上の併用することができる。
ピラゾール化合物への環化反応は低温度で行うことが好ましいが、実用上、−78℃〜+30℃で行い、−30℃〜20℃が好ましい。低温では選択率は高いが、−78℃より低温では溶媒の凝固または粘度上昇による操作の困難、冷却コストの上昇、および反応速度の低下などの点から好ましくない。また、30℃を超えると副反応が起こり選択率に低下が見られるので好ましくない。反応圧力は通常の圧力範囲では反応に影響を及ぼさないので任意であるが、加圧または減圧してもよく、一般的には意識的な加圧または減圧を行わない大気圧下で行えばよい。強い還元剤であるヒドラジン類と空気が接触することは安全上好ましくないので、窒素、アルゴン雰囲気下で行うことが好ましい。反応時間は、温度等の条件により異なるが10分〜10時間である。
ピラゾール化合物への環化反応は、第一工程(アシル化工程)で得られた反応器内容物、無機塩基および置換ヒドラジンを混合すればよく、反応に関与する基質および副資材を反応系に導入する順序は限定されない。無機塩基はヒドラジン類および溶媒を含む組成物として取り扱うのが容易であり、この組成物に対し2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルを含む組成物とを接触させる手順が好ましいが、当然、この趣旨に沿う方法であれば本発明の目的を達することができる。具体的には、反応器に仕込まれたいずれか一方の組成物へ他方の組成物を徐々に、例えば、滴下またはメータリングポンプによる注入等の方法で導入するのが好ましい。添加は反応器内容物の温度の上昇や成分の変化等の経過を観察しながら前記した反応温度の上限を超えない範囲で徐々に行うのが好ましい。また、反応器内容物は攪拌するのが好ましい。
環化反応終了後の反応液は、有機層と水層の二層に分離する。有機層には、二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル、アシル化工程で用いた第三アミンおよび有機溶媒(使用した場合に限る)が、水層にはフッ化カリウム等の無機塩、無機塩基、未反応ヒドラジン類等が分配される。有機層を分取して、これを水で洗浄した後、有機溶媒を留去すると二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルが第三アミンから結晶として析出してくる。留去後、内容物を冷却すると析出の回収率が向上する。冷却温度は、−20〜20℃とし、−10〜10℃が好ましい。また、留去後、二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの貧溶媒を添加することも好ましい。貧溶媒としては無極性溶媒であり、炭化水素溶媒が好ましく、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリンなどが挙げられる。内容物中の貧溶媒は、留去前に添加し、または反応中に存在していてもよいが、留去の後に存在することが必要であるので、これらの場合は第三アミンよりも高い沸点の高い溶媒に限られるが、留去後であれば、低沸点の溶媒を使用することができる。このような貧溶媒としては、n−ヘキサンが特に好ましい。
溶媒留去の前に有機層を乾燥剤により乾燥させておいてもよい。また、有機層がトルエンなどの水と共沸する溶媒を含む場合には共沸蒸留で水を除くこともできる。析出した結晶は、濾過分離し、無極性溶媒等で掛け洗浄することもでる。また、結晶は真空乾燥等により乾燥することもできる。濾液の第三アミンは、アシル化工程の塩基または溶媒として再度使用することができる。1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルに含まれる1,5−異性体は溶媒を用いた結晶化(晶折)により除去することができる。予め1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルとその異性体を加水分解して1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸に変換してから再結晶化することもできる。また、吸着カラム等を用いてさらに精製することもできる。
また、本発明の方法で合成した1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルは、無極性溶媒による洗浄も効果的であり、再結晶処理に代えてこの洗浄で、99.9%以上の高純度とすることができることがある。無極性溶媒としては、特に限定されないが、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリンなどが挙げられ、n−ヘキサンが特に好ましい。洗浄の温度は、0〜25℃が好ましい。0℃未満では、不純物除去効率が低く、25℃より高い温度では、1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルが溶出して回収率が低下することがある。洗浄方法は、攪拌洗浄、掛け洗浄、もしくはこれらの組み合わせが例示されるが、攪拌洗浄後に、濾過し、掛け洗浄することが好ましい。
以下に実施例をもって、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施態様に限られない。
[実施例1]2−(ジフルオロアセチル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル(以下、DFAAE)の合成
吹き込み管、温度計、ドライアイスコンデンサーを備え、窒素シールした1000ml三口フラスコに、3−N,Nジメチルアミノアクリル酸エチル(DMAE)143g、トルエン450g、トリブチルアミン(n−BuN)185gを仕込み、攪拌しながら水浴で20℃に冷却した。そこへ、ジフルオロ酢酸フルオライド(純度95%)111gを1g/分の速度で吹き込み管から反応器に導入した。導入後、反応液の温度を30℃として1時間攪拌を続け、反応を終了した。反応後の内容物(DFAAE溶液)は、762gであった。
[実施例2]3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルの合成
滴下ロート、温度計を備え、窒素風船でシールした500ml三口フラスコに、水9.0g、水酸化カリウム8.6g、トルエン100ml、モノメチルヒドラジン6.0g(0.13モル)を仕込み、攪拌しながら−15℃の低温恒温槽で−10℃以下に冷却した。そこへ、実施例1で得たDFAAE溶液77.8g(DFAAEの理論含有量:28.4質量%)を滴下ロートから内温が−10℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後−12℃で1時間攪拌を続けた後、0℃に昇温し水100mlを添加した。有機層を分液ロートで回収し、水100mlで水洗してから、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、次いで、エバポレータでトルエンを留去(20Torr、40℃)し、室温(約25℃)まで攪拌しながら冷却し1時間経つと、約1mm径の結晶が析出した。この結晶を桐山ロートで濾過し、ヘキサンで洗浄し、次いで真空乾燥して19gの白色結晶を得た。この結晶を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル99.6面積%、5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル0.06面積%であった。また、回収された濾液34gをガスクロマトグラフィー(FID検出器)で分析したところ、トリブチルアミン98.3面積%、トルエン0.7面積%、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル0.2面積%、その他(高沸点成分)0.8面積%が含まれていた。
[実施例3]
滴下ロート、温度計を備え、窒素風船でシールした500ml三口フラスコに、水9.0g、水酸化カリウム8.6g、トルエン100ml、モノメチルヒドラジン6.0g(0.13モル)を仕込み、攪拌しながら−15℃の低温恒温槽で−10℃以下に冷却した。そこへ、実施例1で得たDFAAE溶液77.8gを滴下ロートから内温が−10℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後−12℃で1時間攪拌を継続した後、0℃に昇温し水100mlを添加した。有機層を分液ロートで回収し、水100mlで水洗してから、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過してから、エバポレータでトルエンを留去(20Torr、40℃)後、ヘキサン30mlを加え5℃まで攪拌しながら冷却した。1時間攪拌後、約1mm径の結晶が析出した。この結晶を桐山ロート(濾紙No.5A)で濾過し、ヘキサンで洗浄し、次いで真空乾燥して20gの白色結晶を得た。この結晶をHPLCで分析したところ、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル99.6面積%、5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル0.06面積%であった。
医農薬中間体として有用な1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法として有効である。

Claims (9)

  1. 下記の2工程を含む一般式(5)で表されるピラゾール化合物の製造方法において、第一工程の有機塩基が炭素数の合計が9〜18の第三アミンである、ピラゾール化合物の製造方法。
    第一工程:一般式(2)で表されるカルボン酸ハライドと一般式(3)で表されるジアルキルアミノアクリル酸エステルを有機塩基と有機溶媒の存在下で反応させて一般式(1)で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルを含む反応器内容物を得る工程。
    第二工程:第一工程で得られた反応器内容物、無機塩基および一般式(4)で表される置換ヒドラジンを混合して一般式(5)で表されるピラゾール化合物を合成する工程。
    Figure 2013006782
    (式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Rはアルキル基またはアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
  2. 第ニ工程で得られた反応器内容物を水で洗浄し、得られた有機溶液から有機溶媒を留去した第三アミン溶液から一般式(5)で表されるピラゾール化合物を結晶として析出させる工程を含む請求項1に記載のピラゾール化合物の製造方法。
    Figure 2013006782
  3. 有機溶媒を留去した第三アミン溶液と、一般式(5)で表されるピラゾール化合物の貧溶媒を混合することを含む、請求項2に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  4. 再三アミン溶液を冷却することを含む請求項1〜3の何れか1項に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  5. 第二工程が、第一工程で得られた反応器内容物および無機塩基を含む組成物と、置換ヒドラジンを含む組成物とを混合して一般式(5)で表されるピラゾール化合物を合成する工程である請求項1〜4の何れか1項に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  6. 第二工程で用いる無機塩基が水酸化カリウムである請求項1〜5の何れか1項に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  7. 一般式(2)で表されるカルボン酸ハライドがジフルオロ酢酸フルオライドである請求項1〜6の何れか1項に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  8. 第三アミンがトリブチルアミンである請求項1〜7の何れか1項に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  9. 有機溶媒がトルエンである請求項1〜8の何れか1項に記載のピラゾール化合物の製造方法。
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