JP2013006776A - ピラゾール化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】着色の少ない1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造法の提供。
【解決手段】一般式(1)
Figure 2013006776

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表す。)で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルとアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンとを塩基の存在下で反応させることを含む一般式(5)
Figure 2013006776

(式中、R、R、Rは前記と同じ。)で表されるピラゾール化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、医農薬中間体として有用なピラゾール化合物の製造方法に関する。
1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法としては、アルコキシ基を脱離基とする2−アルコキシメチレンアシル酢酸エステルとヒドラジン類との反応による多数の方法が知られており(例えば、特許文献1、2、3)、特許文献3には、2−エトキシメチレン−4,4−ジフルオロアセト酢酸エチルとメチルヒドラジン水溶液から3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルと5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルの異性体混合物の得られることが記載されている。
これに対し、アミノ基を脱離基とする反応も提案され、特許文献4は、2−ペルハロアシル−3−アミノアクリル酸誘導体がヒドラジン類と反応して3−ペルハロ−置換ピラゾール類を与えることを開示している。また、特許文献5は、2−(ジフルオロアセチル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルとメチルヒドラジンから3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルとその異性体(5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル)との89.2:10.8の比の混合物が得られることを開示している。
特開2000−128763号公報 特開2000−212166号公報 国際公開第06/090778号パンフレット 特表2005−511782号公報 特表2007−509850号公報
前記特許文献5の方法に従って製造したところ、得られた3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルに着色が認められた。
着色の原因物質は明確ではないが、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルおよびその異性体である5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルは無色の固体であることから何らかの未同定物質の存在が疑われる。ピラゾール化合物は医薬中間体としての用途を有する化合物であり、少量とはいえ含まれることは好ましくない。
そこで、着色の少ない1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルを製造することを課題とする。
本発明者らは、前記特許文献5の方法に従って製造するに際し、トルエン中で2−(ジフルオロアセチル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルをメチルヒドラジンに添加する際、塩基を存在させることで3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルの着色を顕著に低減できることを見出し、本発明に至った。
ここで、2−(ジフルオロアセチル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルなどのエステルは塩基性水溶液と接触させると容易に加水分解する性質があるにも拘らず、本発明の反応条件において加水分解は起こらず、高い収率で3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルを得ることができた。
本発明は、次の通りである。
[発明1]
一般式(1)
Figure 2013006776
(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表す。)で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルと一般式(4)
Figure 2013006776
(式中、Rはアルキル基またはアリール基を表す。)で表されるヒドラジン類を塩基の存在下で反応させることを含む一般式(5)
Figure 2013006776
(式中、R、R、Rは前記と同じ。)で表されるピラゾール化合物の製造方法。
[発明2]
塩基が、無機塩基である発明1のピラゾール化合物の製造方法。
[発明3]
塩基がアルカリ金属水酸化物である発明2のピラゾール化合物の製造方法。
[発明4]
が、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基である発明1〜3のいずれかのピラゾール化合物の製造方法。
[発明5]
が、炭素数1〜4のフルオロアルキル基である発明4のピラゾール化合物の製造方法。
[発明6]
が、トリフルオロメチル基またはジフルオロメチル基である発明5のピラゾール化合物の製造方法。
[発明7]
が、炭素数1〜4のクロロアルキル基である発明4のピラゾール化合物の製造方法。
[発明8]
が、ジクロロメチル基である発明7のピラゾール化合物の製造方法。
本発明の方法によると、着色の少ない1、3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルを高収率かつ選択率良く製造することができる。また、本発明の方法によると、生成物中の異性体(1,5−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル)含有量が著しく低いという効果を奏する。
本明細書において、1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル等の1,3−位に置換基を有するピラゾール化合物をそれに対応する1,5−位に置換基を有するピラゾール化合物から区別するために1,3−異性体と称し、同様に、1,5−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル等を1,5−異性体と称し、これらの表示は特定のピラゾール化合物を意味するものではない。
本明細書において、アルキル基は、直鎖状、分岐状および環状のアルキル基を包含するものとする。アルキル基またはアリール基というときは、それぞれは置換基を有してもよい。
<2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造>
一般式(1)
Figure 2013006776
で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルは、一般式(2)
Figure 2013006776
で表されるカルボン酸ハライドと一般式(3)
Figure 2013006776
で表されるジアルキルアミノアクリル酸エステルを反応させることで製造できる。
一般式(1)〜(3)におけるR、R、R、Rは、それぞれ独立にアルキル基を表す。ここで、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。各水素原子はハロゲン原子で置換していてもよい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、フッ素または塩素が好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、および、それらの任意の水素原子がハロゲン原子で置換したものが挙げられる。Rとしては、炭素数1〜4のハロゲン化アルキルが好ましく、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、クロロアルキル基またはクロロフルオロアルキル基がより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、モノクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、1,1,2,2−テトラクロロエチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基などを挙げることができる。これらのうち、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基などがさらに好ましい。R、Rは、脱離基−NRとして機能するので、特に限定されることはなく、ハロゲン置換しないものでもよく、前記アルキル基のうち、メチル基またはエチル基が好ましく、R、Rが共にメチル基であるものが特に好ましい。Rはピラゾール化合物を反応試剤として用いる反応の目的に応じて選択するべきであるが、生成したピラゾール化合物中のRを脱保護してカルボン酸に誘導する場合は、脱離基として機能するので特に限定されず、前記アルキル基のうち、エチル基またはイソプロピル基などが好ましい。
一般式(2)におけるXはハロゲン原子を表し、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。カルボン酸ハライドの製法としては、公知の方法を採用すればよく、例えば、対応するカルボン酸を塩化チオニルなどの塩素化剤で塩素化する方法またはハロゲン化炭化水素を酸化してカルボン酸クロライドとする方法や、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、触媒の存在下に熱分解してジフルオロ酢酸フルオライドを製造する方法(特開平8−20560公報)などが挙げられる。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は非水溶性溶媒中で行われる。この溶媒としては、脂肪族または芳香族の炭化水素が挙げられる。例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化された炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタンなどが例示できる。トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサンまたはシクロヘキサンの使用が好ましく、トルエンまたはキシレンがより好ましい。これらの溶媒は混合して使用することができる。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は通常は塩基の存在下で行われる。塩基の添加で、発生するHF、HClなどのハロゲン化水素を捕捉してトリメシン酸エステルの副生を防ぐことができる。塩基は、第三アミン(三級アミン)、ピリジンまたはピリジン誘導体(併せて、「ピリジン類」ということがある。)などが挙げられる。ピリジンまたはピリジン誘導体などの塩基としては、ピリジン、2−、3−もしくは4−メチルピリジン、2−メチル−5−エチル−ピリジン、4−エチル−2−メチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、2,4,6−コリジン、2−もしくは4−n−プロピルピリジン、2,6−ジメチルピリジン(ルチジン)、4−ジメチルアミノピリジン、キノリンまたはキナルジンなどが挙げられ、ピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,4,6−コリジン、キノリンまたはキナルジンなどが好ましい。これらのうちピリジンはより好ましい。第三アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−イソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリ−n−アミルアミン、トリ−イソアミルアミン、トリ−sec−アミルアミン、トリ−tert−アミルアミンなどの対称第三アミン、N−メチルジ−n−ブチルアミン、N−メチルジイソブチルアミン、N−メチルジ−tert−ブチルアミン、N,N−ジイソプロピルブチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、N,N−ジメチルノニルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N−メチルジヘキシルアミンなどの非対称第三アミンなどが挙げられる。沸点、水溶性、入手性の点で対称アミンが好ましく、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンがより好ましく、トリエチルアミンがさらに好ましい。この製造に使用する塩基としては、ピリジンまたはトリエチルアミンが特に好ましい。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は、温度−20℃〜+50℃で行い、好ましくは−10℃〜+45℃で行い、さらに好ましくは0〜40℃で行う。反応圧力は反応に影響は及ぼさないので特に制限されないが、0.1〜10MPa程度の加圧下で行ってもよく、通常、大気圧〜1MPa程度で行えばよい。反応時間は反応温度や反応試剤の比率に依存するが、通常10分〜10時間程度であり、反応を追跡しながら基質の減少または消失を目安に決定する。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造では、カルボン酸ハライド1モルに対してジアルキルアミノアクリル酸エステルを0.5モル〜3モル、好ましくは0.5モル〜1.5モル、より好ましくは0.9モル〜1.1モルとする。塩基は通常、カルボン酸ハライド1モルに対し等モル量程度でよいが、0.5〜5モルであり、0.8〜2モルが好ましく、0.9〜1.5モルがより好ましい。
2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造は、ジアルキルアミノアクリル酸エステルと塩基を溶媒に溶解して反応温度上限以下の温度に保持しながら、そこへカルボン酸ハライドを吹き込むことで行えるが、スクラバー形式とすることもできる。塩基は反応の経過に伴って連続的または逐次的に添加することもできる。
このようにして得られた2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルを含む反応液は、その後の環化工程での使用のためにさらなる精製なしに、または残存している有機溶媒、塩基と共に、あるいはまた例えば溶媒をフラッシュ蒸留により留去した後に使用することができる。ピリジン類やトリアルキルアミンを塩基として用いた場合、この2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルの製造工程(アシル化工程)で発生するハロゲン化水素は塩基と塩を形成して、副生成物の生成を抑制する。この塩基とハロゲン化水素との塩が含まれている生成物溶液を直接、次工程の環化工程に供することもできるが、水洗によりこの塩を除去することが望ましい。この塩を含む原料を用いた場合、好ましくない異性体(1,5−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル)の副生が促進されることがある。
<ピラゾール化合物の製造>
一般式(1)
Figure 2013006776
で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルと一般式(4)
Figure 2013006776
で表されるヒドラジン類を塩基の存在下で反応させて一般式(5)
Figure 2013006776
で表されるピラゾール化合物を製造できる。
一般式(1)および一般式(5)におけるR、R、R、Rは、前記の意味と同じであるので説明を繰り返さない。
一般式(4)及び一般式(5)におけるRは、アルキル基またはアリール基を表し、これらは置換基を有してもよい。好ましくは、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシアルキル基またはアリール基であって、アルキル基およびアルコキシ基の任意の数の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、アルコキシ基の酸素原子は硫黄原子で置換されていてもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素である。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基が挙げられ、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基またはtert−ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(4)で表されるヒドラジン類は、具体的にはメチルヒドラジン、エチルヒドラジンなどの置換ヒドラジンが好ましい。ヒドラジン類は、無水のものでもよいが水溶液のものが入手が容易で取り扱いやすく好ましい。
本発明のピラゾール化合物への環化反応は、塩基の存在下で行う。塩基としては、水溶性の無機塩基である。無機塩基としては、アルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩がより好ましい。アルカリ金属の水酸化物が特に好ましい。塩基として具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムが好ましく、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムがさらに好ましい。
塩基の添加量は、2−アシル−3−アミノアクリル酸エステル1モルに対して、0.05〜2モルであり、0.2〜0.6モルが好ましく、0.3〜0.5モルがより好ましい。0.05モルよりも添加量が少ない場合は、脱色効果が低く、2モルよりも多い場合は、原料または生成物が加水分解して目的生成物の収量が低下することがある。
本発明のピラゾール化合物への環化反応は、溶媒の存在下に行うことが好ましい。溶媒としては、水または脂肪族、脂環式もしくは芳香族の炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリンなど、ハロゲン化された炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンなど、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アニソールなど、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノールなど、ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなど、アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミドなど、スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシドなど、またはスルホン類、例えばスルホランなどが挙げられる。炭化水素およびハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素がより好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサンまたはシクロヘキサンが好ましく、トルエンまたはキシレンがより好ましい。また、前段の2−アシル−3−アミノアクリル酸エステル反応と同じ溶媒を使用することが好ましい。前段の2−アシル−3−アミノアクリル酸エステル合成での反応生成物を分離または精製することなくピラゾール環化反応に供する場合には特に同じ溶媒を選択することが好ましい。溶媒は二種以上の併用することができる。
ピラゾール化合物への環化反応は低温度で行うことが好ましいが、実用上、−78℃〜+30℃で行い、−30℃〜+20℃が好ましい。低温では選択率は高いが、−78℃より低温では溶媒の凝固または粘度上昇による操作の困難、冷却コストの上昇、および反応速度の低下などの点から好ましくない。また、+30℃を超えると副反応が起こり選択率に低下が見られるので好ましくない。反応圧力は通常の圧力範囲では反応に影響を及ぼさないので任意であるが、加圧または減圧してもよく、一般的には意識的な加圧または減圧を行わない大気圧下で行えばよい。強い還元剤であるヒドラジン類と空気が接触することは安全上好ましくないので、窒素、アルゴン雰囲気下で行うことが好ましい。反応時間は、温度等の条件により異なるが10分〜10時間である。
ピラゾール化合物への環化反応では、反応に関与する基質および副資材を反応系に導入する順序は限定されない。塩基はヒドラジン類および溶媒を含む組成物として取り扱うのが容易であり、この組成物と2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルを含む組成物とを接触させる手順が好ましいが、当然、この趣旨に沿う方法であれば本発明の目的を達することができる。具体的には、反応器に仕込まれたいずれか一方の組成物へ他方の組成物を徐々に、例えば、滴下またはメータリングポンプによる注入等の方法で導入するのが好ましい。添加は反応器内容物の温度の上昇や成分の変化等の経過を観察しながら前記した反応温度の上限を超えない範囲で徐々に行うのが好ましい。また、反応器内容物は攪拌するのが好ましい。
ピラゾール化合物の精製は、一般的な精製方法に従って行える。例えば、反応器内容物を水で洗浄し、有機相から溶媒を蒸留により除去することでできる。1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルに含まれる異性体(1,5−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステル)は溶媒を用いた結晶化(晶折)により除去することができる。予め1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルとその異性体を加水分解して1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸に変換してから再結晶化することもできる。また、吸着カラム等を用いてさらに精製することもできる。
また、本発明の方法で合成した1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルは、無極性溶媒による洗浄が効果的であり、再結晶処理に代えてこの洗浄で、99.9%以上の高純度とすることもできる。無極性溶媒としては、特に限定されないが、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素が挙げられる。洗浄の温度は、0〜25℃が好ましい。0℃未満では、不純物除去効率が低く、25℃より高い温度では、1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルが溶出して回収率が低下することがある。洗浄方法は、攪拌洗浄、掛け洗浄、もしくはこれらの組み合わせが例示されるが、攪拌洗浄後に、濾過し、掛け洗浄することが好ましい。
以下に実施例をもって、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施態様に限られない。
[比較例1]
Figure 2013006776
滴下ロートと温度計を備え、窒素風船でシールした500ml三口フラスコに、水9.0g、トルエン100ml、モノメチルヒドラジン6.0g(0.13モル)を加え、攪拌しながら−15℃に設定した低温恒温槽で−10℃以下に冷却した。22.6質量%2−(ジフルオロアセチル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル(DFAAE)のトルエン溶液110gを滴下ロートより内温−10℃を超えないように速度を調節しながら滴下した。滴下終了後−12℃で1時間反応を継続した後、0℃に昇温し水100mlを添加した。分液ロートで有機層を回収し、水100mlで水洗してトルエン溶液(193g)を得た。ガスクロマトグラフで分析した結果、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(目的化合物、1,3−異性体):9.70面積%、5−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(1,5−異性体):0.7面積%、トルエンを除いたその他化合物0.03面積%であり、目的化合物:1,5−異性体の比は93.3:6.7であった。上記の溶液を比色管に100ml採取して、目視でハーゼン標準液と比較したところ500であった。また、JIS色見本と比較した所、赤みが強い向日葵色がもっとも近かった。
[実施例1]
水9.0gの代わりに、NaOH (1.8g)を9.0gの水に溶かした水溶液を添加したこと以外、比較例1と同様の実験を行い、トルエン溶液(191g)を得た。ガスクロマトグラフで分析した結果、目的化合物:9.58面積%、1,5−異性体:0.02面積%、トルエンを除いたその他化合物0.01面積%であり、目的化合物:1,5−異性体の比は99.8:0.2であった。上記の溶液を比色管に100ml採取して、目視でハーゼン標準液と比較したところ300であった。また、JIS色見本と比較した所、比較例1よりも赤みが弱い刈安色がもっとも近かった。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で得られたトルエン溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、ヘキサン25gを加え、5℃に保ってマグネティックスターラーで1時間攪拌した。濾過後、ヘキサンで掛け洗浄し、濾物を真空乾燥して、17.7gの白色結晶を得た。その結晶をアセトンに溶解してガスクロマトグラフで分析したところ、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルが99.9面積%含まれていた。
[調製例(色度標準溶液)]
関東化学製の色度標準溶液(Color standard solution,1000度)を蒸留水で希釈して、表1に示す比較例1および実施例1で用いたハーゼン標準液を調製した。例えば、実施例1で使用した300度の標準液は、1000度の原液30mlをメスフラスコに仕込み、蒸留水で100mlに希釈したものであり、他も同様である。
Figure 2013006776
医農薬中間体として有用なピラゾール誘導体の製造方法として有用である。

Claims (8)

  1. 一般式(1)
    Figure 2013006776
    (式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表す。)で表される2−アシル−3−アミノアクリル酸エステルと一般式(4)
    Figure 2013006776
    (式中、Rはアルキル基またはアリール基を表す。)で表されるヒドラジン類を塩基の存在下で反応させることを含む一般式(5)
    Figure 2013006776
    (式中、R、R、Rは前記と同じ。)で表されるピラゾール化合物の製造方法。
  2. 塩基が、無機塩基である請求項1に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  3. 塩基がアルカリ金属水酸化物である請求項2に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  4. が、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  5. が、炭素数1〜4のフルオロアルキル基である請求項4に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  6. が、トリフルオロメチル基またはジフルオロメチル基である請求項5に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  7. が、炭素数1〜4のクロロアルキル基である請求項4に記載のピラゾール化合物の製造方法。
  8. が、ジクロロメチル基である請求項7に記載のピラゾール化合物の製造方法。
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